*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「16-289-1」で検索した結果

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  • 16-289-1
    1cm しこたま飲んで酔いが回り始めると、シュウはいつも決まってこう言う。ごめんねえ、と。 「ごめんねえ、またクビになっちゃった」 僕の知っている限り、シュウがバイトをクビになるのは今回で四度目。僕の部屋に転がりこむ前も数えたら、一体何回になるのだろう。いつも誰かと喧嘩をしては啖呵をきって辞めてきてしまう。 リビングに散乱するビール缶をごみ袋へと入れながら、僕は酔っ払いの覚束無い言葉へ返事を返す。 「いいって。家賃だってちゃんと半分入れてくれてるんだしさ、僕は何も困ってないよ」 「だって、俺がいたら、彼女も部屋に呼べないっしょ?」 そしてまた、ごめんねえ。 そんな、もうほとんど眠りに落ちかけているシュウに、苦笑いを浮かべた。 「そんなのは僕に彼女が出来てから心配してよ」 彼女なんて大学以来いたためしがない。 「俺のことは、いつでも追い出していいから。だから良い...
  • 16-289
    1cm 「…惜しいなあ」 「何が?」 「あと1cmなのに」 「だから何が?」 「…身長。あと1cmで、僕は君と並べるんだ」 「そんな1cmなんて気にしなくても」 「君が気にしなくても僕は気にするんだ!」 「ぁ…すまん」 「ずっと身長が低かった僕が、やっと、やっと君に追いつけそうなんだ。」 「…」 「身長が君と同じ、173cm」 「身長が君と同じ、173cmになったら、僕は君に伝えたいことがあるんだ」 「伝えたいこと?」 「うん。だから、もうちょっとだけ待っててね。すぐに、すぐに君に追いつくから」 「…わかった、待ってる」 「うん」 あと1cm伸びたら、僕は君に最高の告白を送ろうとおもう。 だから、あと少し。あと少しだけ、伸びないで待っていてください。 表示名?
  • 9-289-1
    物凄い受けの俺 「ありがとう、変態仮面! 今まで男同士で悩んでいたのが嘘みたいだ」 20歳前と思しき内気そうな青年が満面の笑顔でそう言った。 青年の前に立つのは奇妙な格好の男。 スレンダーな肢体に黒いズボンしかつけておらず、惜し気もなく晒された 胸板は白く滑らかだ。顔を覆う白い仮面が妖しい魅力を醸し出していた。 「悩めるゲイを救うのが我が使命! どんな激しいプレイもいとわない! 体に漲る『物凄い受けパワー』! その名は 変 態 仮 面 !!!」 ヒーローさながらにポーズを決め、男はそう言い放つ。 「何かあればまた呼んでくれ!ではさらばだ!」 男は不敵に微笑むと素早く身を翻し、闇の中に消えた。 「はぁ…疲れたー」 自宅に戻ると、俺は仮面を外してソファへぐったりと座り込んだ。 俺は瀬崎真・21歳。昼間は大学生、夜は素顔を隠し裏稼業に精を出している。 ...
  • 4-289-1
    高校生にしかみえないけど実は中学生×どうみても中学生だけど本当は高校生 先輩と初めて会ったのは夏祭りだった。金魚掬いが上手な奴がいるなって興味を持って、のぞき込むと、ちょっと可愛い顔立ちで、しゃがみ込んだ浴衣の裾から白くて華奢な足がのぞいてた。 なんか一目惚れって感じで、側に行って一緒にしゃがみ込んで話し掛け、すぐに親しくなって帰り道、神社の裏手の木陰の暗闇で無理矢理キスしてた。あんまり抵抗もなかったから、そのまま押し倒して、それから何度か関係を持ってから、初めて気が付いた。 相手は高校生だったって。向こうも、背の高い俺のことを同じ高校生だと思ってたみたいで、ちょっとショック受けてたみたい。押し倒された相手が中学生だったなんて。 しかも、最初に「何年?」って聞いたら、ただ「2年。」って、それ以上、学校の話しは出なかったから後輩だと思ってたぐらいで。 でも、ホント華奢で可愛...
  • 15-289-1
    大事な事なので二回言いました 「好き、だーい好き」 「はいはい」 「大好き、ものすごく好き」 「あっそ」 「すきすきあいしてるー」 「……いい加減うるさいんだけど」 「なんだよ、そこは俺も好きだよって返すとこだろー?」 「うるさい、誰が言うか」 「お前滅多に好きとか行ってくれないじゃん。俺の事好きじゃないのー?」 「嫌いな奴だったらこうやって膝に頭乗せてきた時点で殴ってるよ」 「それはそうだけど」 「俺なりの愛情表現なの。いいだろこれで」 「ダメ、口に出さないと伝わらないの!大事な事は2回言うぐらいで丁度良いんですー」 「そんなもんか?」 「そんなもんだよ」 「へぇ……好き、好き」 「えっ、いや、えっと」 「2回言うぐらいが丁度いいんだろ?好きだ、大好きだ」 「た、タンマ!耳元で囁くの反則!低い声出すの反則!」 「そうやって顔を真っ赤にするお...
  • 10-289-1
    党首×捕手 『八神海渡、八神海渡、海を渡る八人の神。もうこりゃ縁起もんです。 しかし皆さん、名前負けするような男ではありません。 お手々繋いで幼稚園…そうかれこれ30年近くの腐れ縁ですが、 一度たりとも約束を反故にしたことのない誠実な男です。 高校時代デッドボールを受け、足を打撲した私を担いで医者まで走ってくれた、そんな優しい男です。 お嫁に貰ってもらいたいほど…あっいや女房役はグラウンドだけで手一杯でして、 それは未来のお嫁さんにお任せしましょう。 また皆さん、……』 私は横で微笑みを浮かべながら、嫁という言葉にあの日の自分を思い出し真っ赤になった。 和人とゆっくり会ったのはもう3ヶ月も前だったろうか。 お互い忙しくいつもこんな調子だ。 あの日、逞しい和人に何度も貫かれ追い上げられ快楽の淵に突き落とされた私は 「そろそろお嫁に貰ってくれてもい...
  • 22-289-1
    博奕打ちの恋 「負けたらどうなるか、判ってんだろうな」 「ああ」  目の前で凄む男に、オレは軽く頷く。  適当に遊んで来たつもりだが、負け無しのオレが気にいらないらしくついにルーレットでサシの勝負。  イカサマ防止で玉を入れてからオレが賭けて、その逆を奴が賭けるいたってシンプルな方法だ。  ルーレットが回り玉が入ると、いつものようにフッと脳裏に数字が浮かぶ。  今回は19。  オレは迷わず黒にチップを置き、奴は赤に置いて後は勝負を待つだけ。  スピードの落ちてきた玉はコツンコツンと音をたて、赤の19に収まった。  瞬間、奴の顔が笑顔になる。  そりゃ嬉しいだろう、初めてオレに勝てたんだからな。  奴は笑顔のままオレを見て、 「約束どおり、今までの分体で返してもらうぜ」 「好きにしろ」  奴の言う取り立てがタコ部屋送りか、臓器を抜くのか、それとも言葉通りか...
  • 6-289
    時代劇の主役×斬られ役で  あの人の綺麗な顔が間近に迫ってくるあの瞬間、俺は息が止まり そうになる。 「おつかれさまー」 「ご苦労様です」  収録後の現場にはいつもこんな声がこだまする。俺はそんな声を 聞き流しながら、スタジオの裏にある自販機へと急いだ。。まったく、 なんで和服ってのはこんなに暑苦しいんだ。……それでも、俺は この仕事はそんなに嫌いじゃない。  俺は今、とある時代劇に出演している。……って言っても、俺みたい に名前の売れてない俳優が目立つ役なんかに起用されるわけなく、い わゆる「斬られ役」という超脇役で出演させてっもらっているわけだ。 「……ふう」  スタジオを出た瞬間、それまでこらえていた汗がどっと噴き出した。 俺は着物の袖で乱暴に顔の汗をぬぐってから自販機に近づき、小銭を 入れて、ペットボトル入りのスポーツドリンクのボタンを押し...
  • 12.5-289-1
    機械の体 「正気か!? 身体を機械にするなんて……! クローン技術だってあるだろ!」 「生身のままじゃ、奴らを殺せない!!」 幸せだった2人に突然襲い掛かった悲劇。 テロに巻き込まれ、目の前で恋人を殺され、自分も瀕死まで追い込まれた彼はすっかり復讐鬼となっていた。 この前まで、虫を殺すことも嫌がるような奴だったのに。 そしてあいつも、死んでいい理由なんか何一つなかった。 本当に、いい奴だったのに。 「だけど、あんたがサイボーグ技術士でよかったよ。他の奴だったら、理由知ったら絶対やってくれないし」 「……だろうな」 復讐のためか、こいつのためか。 どっちにしても不毛なこと。 ただわかるのは、他の奴にだけは任せられないってことだけだ。 悪の総帥に惹かれる正義の味方
  • 26-289
    些細なことで嘘を吐く  シーフのサラキは些細なことで嘘をつく。 嘘つきな男だと思われたいのだ。 自分は茶葉の目利きの天才であるとか、 この先の教会は十字の代わりに矢印が飾ってあるのだとか、 水竜のなめらかな背中は怒るとトゲトゲが出るのだとか。 すぐばれる嘘を、法螺を、軽やかに揺れる赤毛と 道化た手振りに乗せて日々繰り出している。 真摯な男だと思われてはたまらない。 いつか一番大事な場面で、 彼が大事なもののために命を投げ出す時に、 彼が思わず本音をこぼしてしまうだろう時に、 あいつのことだから本気かどうか分かりゃしないと、 笑い飛ばしてほしいのだ。 彼が心と剣を捧ぐ主に。 **** その日も、冗談で場を盛り上げていたサラキは いつの間にか酔いつぶれてしまった。 宿屋の酒場。 パーティーの仲間や荒くれ...
  • 16-089-1
    愛馬 夜の闇をつんざく呼子の音に、僕は飛び起きた。 夜襲だ。 直後に、抑える必要がなくなった敵のときの声が驚くほど近く で、とどろくように上がった。 馬番の寝所は厩の隣。息も凍るような寒さの中、上着を羽織る のも忘れ駆け出し、厩に飛び込み、入り口にある領主様の馬具を 抱き上げる。 他の馬達が外の騒ぎに鼻息荒くざわめく中、入り口に一番近い 柵の中の領主様の白馬は泰然としていた。 僕と目が合うと、早く鞍をつけろと催促するように前足を掻いた。 国王様から贈られた外国の白馬はとても大きな体をしていた けれど、とても気難しくて何人もの馬番を蹴り飛ばして怪我 させていた。 馬番見習いだった僕に白馬の世話が回ってきたのは、馬番として たいして役に立たないから蹴り殺されても惜しくないからだった のだと思う。 「汗を拭いておけ」と布を渡され、厩で初めて白馬の前...
  • 16-889-1
    来ないで だめだよ、と言って彼は笑った。 「どうして」 「まだ根を上げるには早すぎるんじゃない?もうちょっと頑張りなよ」 「俺は十分頑張った」 「まだ、まだだよ。君にはまだ、与えられた分が残っているだろう?」 そう軽い口調で俺を窘める目の前のこいつを、少しだけ睨みつける。 俺は今まで、精一杯この世の中で頑張ってきたはずだ。 俺の頑張りを俺の傍で見ていなかった奴に、何が分かる。 「あ、今ちょっと失礼なこと考えたでしょ」 「人の思考を読むな!」 「見てたに決まってるじゃない、そこら辺の草の陰から」 「な、うわ、お前そんな悪趣味な奴だったのか」 「別に、誰も彼もを覗き見してるわけじゃないって」 君だからだよ、 少しだけ目の前の男から身を離した俺との距離を詰めるように、 一歩こちらへと近づいたそいつは、俺の耳元でそう囁いた。 ...
  • 16-589-1
    君と会うのはいつも真夜中 草木も眠る何とやら、テレビの画面の向こうはやたらと騒がしい。 疲れた目に決して優しくない派手な色合いのセットの中で、あいつは一際大声を上げては周りの共演者にはたかれていた。 「俺、芸人になって、ゴールデンで冠持つのが夢なんだ」 高3の秋、図書館でせっせと勉強する俺の隣で、至って真面目な顔であいつはそう言った。 「東京行ってさ、休みなんてないくらいガンガン売れて、毎日テレビ出てさ、」 その夢物語には俺も登場するらしい。ある日一緒にコンビを組もうと誘われた。 「バカ言ってんなよ、俺は家継がなきゃいけないんだっつってんじゃん」 ひいじいちゃんの代から続いている医院を継ぐ事が、生まれた時から俺ら姉弟に決められた将来だった。 元々両親と反りの会わなかった年の離れた姉貴は、俺が小学生の時に外国人と結婚してそっちに移ってしまい、俺はそれから両...
  • 16-259-1
    漢を目指す受とそれを必死で止める攻 『ボビーになってきます。2週間で帰ってきます。何も言わずにいなくなってゴメン』 いつも通りネギのささった買い物袋を提げ、合いカギを使い、上機嫌で部屋の扉を開けた俺を待っていたのは 誰もいない片づけられた部屋と一枚の簡単な書き置きだった。 「…は?」 俺の頭の中をあらゆるクエスチョンマークが埋め尽くす。 いやいやいやまてまてまてまて待ってくれ ボビーになる?誰が?お前が?お前は生粋の日本人だろう?いやその前に人は他人になれるのか?2週間てなんだ?それって国籍変更の申請期間?というかこの部屋は?てかなんでお前いないの?なんでキレイなの?? しばらく呆然と立ちすくむ。どさりと買い物袋が崩れ落ちる音がした。その音で思考停止だった頭が再びフル回転し始める。そしてやっと、理解した。 「あ…のや、ろーーーーー!!!!!」 魂の限り雄たけびを...
  • 9-289
    物凄い受けの俺 はあ……いったい何度目だろうな、お前に乗っかられるの。 いや、確かに俺は女顔だし小柄だよ。幼稚園のときなんか何度も 女の子に間違えられたし。名前も「雅美」ってのがまずかったな。 町歩いてて男に「彼女、ひとり?」なんてナンパされかけたことも あった。 でもさ、俺だって男なんだ。お前の上に乗っかりたいって、何度 思ったか分からない。……だけど、考えてみればお前合気道の 達人だもんな。いくら隙をついて押し倒したって、上手いこと体勢 を引っくり返されちまう。でも、その度にうれしそうな顔でキスして くるお前を見てると、ああ、なんかこれでいいのかなって思えてくる。 たぶん、俺は一生お前の上に乗ることは出来ないだろう。けどそ れもいいかもしれない。俺はずっと、お前の愛撫を受けよう。 物凄い受けの俺
  • 19-289
    敗者復活戦 「先輩の乗ってるの、あれかな」 「方向違ぇだろ」 俺と片野は空港のベンチに呆けたように座りながら、飛んでいく飛行機を眺めた。 何だか気が抜けてしまった。 俺と片野、そして先輩。 1年越しの三角関係が、ついさっき終わった。 サークルに入ってからこっち、俺たちの不毛な争いは絶えることがなかった。 片野が先輩を食事に誘えば、俺が割り込んで無理矢理3人メシにした。 俺が先輩にテスト勉強の手伝いを頼めば、呼んでもないのに片野がノートを持ってきた。 先輩はといえば、そんな俺たちの争いなどつゆ知らず、「卒業してもこのまま3人でつるめたらいいね」なんて、嬉しいような歯痒いようなことをよく口にしていた。 先輩をめぐる、俺と片野のくだらなくも充実した日々。 それは、振り返れば意外と尊いものだったようにも思う。 「同じ...
  • 6-189-1
    何度繰り返しても。  誰もいない、いや、正確には俺と先輩しかいない放課後の図書室。 俺は机の上に座って足をぶらつかせながら、本の整理をしている先輩を見つめていた。 「先輩、キスしていいですか?」 そう言って机から降りて先輩に近づく。  先輩は見事なまでに固まり、ギギッと言う効果音が付きそうな動作で俺から顔を背ける。 「キス、していいですよね?」 いつも顔を背けるだけで抵抗しないから、返事は聞かずに抱き寄せる。 短いキスをいくつもすると、強ばっていた体から徐々に力が抜けていくのを感じる。 何度繰り返してもキスに慣れない先輩が可愛くて、俺は抱きしめる腕に力を込めた。 何度繰り返しても。
  • 6-089-1
    子育て ――俺はお前の親じゃない。何度言ったら分かるんだ。  そう言って睨んでも、いっこうに堪えたようでもなくへらへら笑って俺に懐いてくる。 ――お前は犬か? アヒルの仔か? いい歳して俺の尻ばっか追いまわすんじゃねえ。  うっとうしいんだよ、とはねのけてもはねのけても、痛くも痒くもない様子だ。  以前、お前が女に言い寄られているのを立ち聞きしてしまったことがある。  孤立してるからってあんたが世話焼く義務ないよ、もう放っておけば? そう迫った女をお前は笑って一蹴した。ごめんね、俺があの人から離れられないんだ、惚れてるから。 ――頭おかしいんじゃねえの、俺も男だしお前も男だし、惚れるとかありえねえ。  じゃあどうしてこんなことするのを許すの、と俺の上で息を弾ませながらお前が訊く。頬を汗が伝って、ほんの一瞬、泣いているように見えた。俺は黙ってお前の口を塞ぐ。  絶対に...
  • 6-689-1
    好きで好きでどうしようもない それとこれとは関係ない 「本当に、辞めるのか?」 「はい」 迷わず答える俺に部長は少しためらって、でも引き止めようと身を乗り出してきた。 「スタメンになれたりなれなかったりするのは、監督が相手に応じて考え抜いた結果だ。身長というネックはあるが、お前のテクはうちの部にとって…―――」 「部長。それとこれとは、関係ねーっスよ」 間接的には関わってるけど。心の中で続けた言葉は部長には聞こえない。 名門と呼ばれるこのバスケ部に不満があったわけじゃない。部長でさえ時に外されるっていうのに、スタメン落ちに今更文句を言う奴はいない。 監督の鬼のような厳しさも、本気で最強を目指してのことだと誰もが知っている。同じように突っ走っている。 だからこれはただの、いや、どうしようもないわがままだ。 「……そうか」 それ以上何も言わないで、これは俺から監督...
  • 6-889-1
    握り返された手 お互いに嫌いだったはず。 相手は違う人だったけど、俺もあんたも長いこと片思いしてた。 その人を見る目や、気持ちが、手に取るようにわかった。 おんなじ、叶わない思いを持て余してた。 お互いの気持ちがわかる分、俺たちは近かった。 自分を見ているようで、あんたの事大嫌いだったんだ。 片思いの相手を諦めなきゃいけない時も、おんなじにやってきた。 気まぐれ、寂しさ、理由なんて何でも良かったんだけど、俺はあんたの手を握ってみた。 まさか、握り返されるなんて思ってもなかった。 いつのまにか近くにいる相手が大事になっちゃった所まで、おんなじなんて。 *8あいしてる
  • 6-489-1
    今夜もひとり生け贄になる 手足も口も動かぬままに 今夜も一人生贄になる。 手足も口も動かぬままに。 今日の男は巨大な長物とぬるぬるしたものを持っていた。 ぬるぬるする物を体中に塗りこめる。 長物を無理やり胎内に挿入する。 もう慣れた、そう思う躰が衝撃に揺れる。 内から外から別の物に変えられていく。 私が我慢すれば良いだけの話だ。もう慣れた。 「…今年の銅像は意外とシンプルっすね」 「単に色を塗り替えて、のぼりを突っ込んでか」 「疾…如く?はやしおかすな?なんて読むんだこれ?」 「はやきことかぜのごとく、しずかなることはやしのごとく。  武田騎馬軍団だな、これ」 「ヤンキーじゃなかったんすね」 今夜もひとり生け贄になる 手足も口も動かぬままに
  • 6-239-1
    あなたの特技は何ですか? 「はい。愛の言葉です。」 「……はい?」 「魔法です。」 「え、魔法?」 「はい。魔法です。一瞬であなたの心を魅了します。」 「……で、その心を魅了する魔法が当社において働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」 「はい。あなたが敵に襲われても僕ならあなたを守れます。」 「いや……私に襲ってくるような敵はいませんから。それに人に危害を加えるのは犯罪ですよね。」 「でも、あなたは自分の魅力に気がついてないだけなんです。」 「いや、そういう問題じゃなくてですね……」 「俺、あなたに一目ぼれしてしまったんです。」 「ふざけないでください。一目ぼれって何ですか。だいたい……」 「一目ぼれは一目ぼれです。フォーリンラブとも書きます。フォーリンラブというのは……」 「聞いてません。帰って下さい。」 「あれあれ?怒らせていいんですか?さ...
  • 3-289
    自分を最高に格好いいと思ってるのに不本意ながら受け 就業後、一息付く。 「・・・やっと、無くなった・・・。」 佐藤が疲労と幾らかの満足感を込めた声で 決済済みの書類の山を見やった。 そうして、何時間前かに 「これで帰るけれど」の後、労いの言葉を続け コーヒーを差し出して来た女子社員の顔を ちら、と目蓋に思い出しながら目先の紙コップに手を伸ばす。 「おー!終わった?」 コーヒーに手を掛けようとしていた佐藤の背が途端強張る。 背後に立っているであろう人物の顔はわざと見ない。 返事もしなかった。 「丁度良かったなー!俺も今終わってちょと様子見に来たとこ!」 しかし鈴木はそんな事はお構いなしといった呈で 椅子に座る佐藤の背後から自身の上半身を これでもか、と押し付け体重を掛けていく。 「・・・重い・・・。」 今や佐藤...
  • 1-289
    大学生カプの夏休み 真面目な眼鏡受がいるとしよう。 倹約生活を余儀なくされている彼は、 夏休みとはいえ、家でゴロゴロだなんてとんでもない。 とはいえバイトするほどの時間もないので、 今日も涼みがてら、課題を片づけに図書館へ。 そこへやってくる足りない子の攻。 最初のうちは一緒にレポートをやってるんだけど、 だんだんつまらなくなって受に構って貰おうとする。 でも受は集中していて気づいてもくれない。 攻はすごく寂しいんだけど、ここで邪魔したら怒られるから、 受が集中してこっちに気づかないのをいいことに観察。 資料をめくる指だとか、ときどき眉間を揉む仕草だとかを、 あー受さんいいなー好きだなーと思いながら見ている。 ふと受が我に返ると、 攻がいつの間にか寝てたりして。 そこで受は起こしてやって一緒に帰るもよし、 ...
  • 5-289
    鬼と桃太郎 ある老夫婦の元に若々しくみずみずしい、桃尻の桃太郎と言う少年が居ました。 従来の桃太郎ならば鬼退治へとでかけますが、 桃尻桃太郎はそんな所へ行き大事な尻が汚されては大変、と 老夫婦に部屋の奥深くで大事に大事に育てられました。 日本中の男達が桃太郎の桃尻の噂をききつけその美しい尻を一目見ようと覗きに来ましたが、 「どなたにも、僕は尻をさし出すつもりはありません」 と尻はおろか顔すら見せてもらえませんでした。 「ああ、僕に言い寄る男は皆、尻目当てばかり。  おとうさま、おかあさま、僕は尻だけの男ではありません」 桃太郎は床に伏せて泣きました。 老夫婦は困ってしまい、外の男達にこう言い渡しました。 「桃太郎は興味本位で尻尻と騒ぎ立てられることに大変困惑し嘆いております。  もしも会いたいのならば、証にこれらをもっていただきましょう」 老...
  • 8-289
    苗字が同じ クラスやらクラブやら同じ部署やらで同じ苗字の人がいたら ○○兄弟と呼んであげてください 早く生まれた方がお兄ちゃん 遅く生まれた方が弟 同じ苗字なので、週番も一緒 出席番号も一緒 席は前後でしょうか ついでに運動会の実行委員や慰安旅行の幹事にセットで指名されたら萌え倍率ドンでございます 弟(偽)は「っていうか兄弟じゃないし…」とふくれてくれたらよいと思います ―――  (;´Д`)出席番号一緒ジャナイヨ  (  八)  ホントウニゴメンナサイ    〉 〉 ラブレター
  • 7-289
    俺のモノは俺のモノお前のモノも俺のモノ そーいう思いこみって、本っ当に鬱陶しいね 色々言うと、きっとあいつはムキになって暴れるだろうし 後々まで面倒くさいからハイハイ、って顔して聞いてるけど。 で、そうしてるとあいつは実に満足げな、幸せそうな顔をする訳だ ま、じゃあそれでいいかなって思ってしまう自分も大甘だとは思うけれど。 けどあいつは重大なことに気付いてない。 お前のモノはお前のモノ、俺のモノもお前のモノだと思っているけど そのお前が、俺のモノだということを。 気付いてないあいつが、俺にはどうにも可愛くて 調子っぱずれの歌声も、実はかなり好きだってことも あいつは知らない。 HELLO
  • 2-289
    ボールペン×えんぴつ オマエなんかケシゴムで消されるやろ、とアイツはイヤミったらしく言う。 けどオマエやってインクが乾いてなきゃ びよーんとみっともなく予想外な方向に中途半端に伸ばされて 小汚くなるやろ? …乾くまで待ってて貰えればいいだけか。 線も太いし水にも少しは強いし… ずるいわ自分。 俺の上にたまに乗ってニヤケた顔しとるけど ま、せいぜい重宝されたらエエがな。 一人で。 …時々、おまえの上に俺は重ねられる 短い時間でしかないけど 憎まれ口ばかりきいてしまうけど マジに白状すれば、 それは俺にとってはかけがえの無い時間で。 …おまえがいなくなった後も おまえと重なり合ってた時間の思い出だけで どうにかやってるよ、 俺。 中国×台湾
  • 4-289
    高校生にしかみえないけど実は中学生×どうみても中学生だけど本当は高校生 「お久し振りっす、先輩」 雑踏の中でもはっきり聞き取れる声には聞き覚えがあった。 あぁ、部活一緒だったあいつか…ゲームとかの好みがよくあった奴だ…と風貌を思い出しながら振り向く。 あれ。 顔があると思ったところは首の下だった。視線を上にずらすと、変わらない笑顔があった。 「びっくりしました?」 「いやぁでも偶然っすねー、びっくりしたっすよ」 まさか俺もお前がそこまで背が伸びたとは夢にも思ってなかったし。 「でも先輩何にも変わってないから、一発で先輩ってわかったし」 悪いな、俺の背は生憎この春から伸びてないんだよ。高校の制服着てなきゃ高校受験の塾の勧誘がうるさいし。 「それにしても…先輩、制服の袖」 言うな。頼むからそれ以上言うな。まくってごまかしてるけど余ってるって言いたいんだろう...
  • 26-389-1
    秘密の関係 いつも真面目で、誰からも信頼されて、俺に常識をわきまえろと説教してくるくせに、佐内は俺の『セフレ』をしてる。 最初はじゃれ合いで、悪戯しあってるうちに、お互いなんだか気持ち良くなってきてエッチした。 次は甘えてきた。佐内からだ。 甘い言葉を俺に囁くので、佐内にとってそれが遊びでも、嬉しかったから、またヤった。 気がついたら習慣化してた。 気持ちのいいことを追求する習慣に。 佐内はどれだけヤりたいんだろう。 俺は毎日でもヤりたい。 だからだろうか。普通に友だちと話しながら笑ってる佐内にイライラしてきた。 そいつ、その笑い声よりもっと高い、スゴい声出すんだ。それを俺は知ってる。 真剣に答弁する佐内を見ながらイライラしてきた。 そんな澄ました顔なんかじゃなく、快感にうっとりしてる表情の方が自然だ。それを俺は知ってる。 口うるさく俺に説教して...
  • 26-489-1
    あえぎ声がうるさい攻め(notショタ)と声を我慢する受け ドン、と。地鳴りのような音がした。 すぐにわかった、誰かが壁を叩いた音だと。 陶酔していた雰囲気の中から急に日常に引き戻される。俺が真昼間っから男とセックスしている間、隣の誰かがテレビを見ている洗濯をしている友達と電話している。 途端に顔が熱くなる。「恥ずかしがっている」それをこいつ知られるのが殊更に恥ずかしく、耳元がカイロでも押し当てられたみたいに熱い、それが触れなくてもわかった。 2階建ての安アパート、当然のように薄い壁、最初から声は抑えていたつもりだったが、こいつの実家から持ってきたというちゃちなパイプベッドが高い音を立てながら軋んでいるのに気が付いた。 「うぁ、沢原ぁ……、ちょっ、ゆっくり…」 助けを求めるように後ろに首を向けると、俺とベッドを揺らしている男が幸せそうに笑っていた。 「なに?なんでーこ...
  • 4-889-1
    880とカメダにGJ!とささやきつつ、踏まれます。 4-889 「ちくしょー!!」 パソコンにかじりついていたKが、いきなり大きな叫び声を上げた。 夕食どきに近所迷惑な奴だ。とりあえず黙らせるか、そう思って振り返る。 だが、先にKの方がパソコンの前を離れて、泣きながら俺に抱きついてきた。 なんなんだ。そう思ってパソコンの画面に目を向けたけれど、 いい加減度が合わなくなってきている眼鏡では、 いくつかのウインドウが開かれているのがおぼろげに見える程度だ。 どうせもう外出しないからと、コンタクトを外してしまったのは失敗だったか。 仕方ない、まずは奴を落ち着かせよう。 「落ち着け。どうした」 「お、俺……ちくしょう……」 「いいから落ち着け。泣くな。そして説明しろ」 今度はどんなくだらない理由だ、と言いたかったがそれは呑み込んで...
  • 26-089-1
    やっと愛するお前のところへ行ける 港を一望できる小高い丘の頂に造成された公営墓地 その東側の片隅にアイツの墓はあった 少しだけ伸び始めた白髪混じりの坊主頭に初冬の風は冷たい 自分は24歳だけど今の自分を見て誰もが40代だと思うだろう あれから7年ですっかり老け込んでしまった ずっとこの日を待っていた ただいざこの日を迎えるとそれが何なのだという虚しさが猛烈に込み上げて来る アイツとはずーっと幼馴染みでダチだった 高1の夏に部活の合宿で行った長野の山奥で関係は劇的に進んだ それからは猿みたいにやりまくった 男子高校生なんて性欲の塊みたいなもんだからな あの日はオレもアイツも17歳の高2の秋の夜だった 一緒に帰る途中に寄ったコンビニで実に他愛ないことで口げんかした コンビニを出て別々に帰宅の途に就いた アイツはオレと別れてから約10分後に何者かに刺され...
  • 6-189-2
    何度繰り返しても。 「いかないでくれ…っ」 言っては無駄とわかっていても、言わずにはいられなかった。 ベッドに力無く横たわる手を、俺は必死に握る。 「…泣かないで…本当に、すまない…」 そう言いながら、どんなに痩せこけても変わらない眩しさで、お前は笑う。 お前はいつも、俺が行き詰まっていると、目を細めて微笑んでくれた。そして、優しく優しく抱きしめてくれた。 しかし今はその腕も、女のようにか細くなって。 だけど懸命に、抱き締められない代わりとでも言うように、俺の手を握り返してくれる。 「お前はっ…こんなときまでどうして微笑っていられるんだっ…」 目前に、死という恐怖が迫っているのに。 言葉が嗚咽で邪魔されて続かない。 涙なんかながしても、何も変わらない、何もしてやれないんだ。 うずくまったまま握り続けていた指が、...
  • 6-279-1
    教師二人 さあ帰るかと、車のキーを取り出しながら中庭を横切っていると、 どこからともく「花村せんせー」と名前を呼ばれた。 立ち止まって辺りを見回すが、薄暗い中には誰の姿も見えない。 「ここですここー。上です」 見上げると、二階の理科準備室の窓から同僚が手を振っていた。 「鳥井先生。まだ残ってらっしゃったんですか?」 若干声を張り上げると、「それがですねぇ」と呑気な声が返ってきた。 「ちょっと今、大変なことに」 「は?」 「花村先生、もう帰るんですよね?」 「え。あ、はい」 「もし良ければ、ちょっと時間とってもらえないですか」 「え?」 「お願いします。このとおり。俺を助けると思って」 二階から拝まれては「いえ、お先に失礼します」とも言えない。 仕方なく、キーをポケットに仕舞って第二校舎へ入って二階へ上がる。 理科準備室のドアを開けると、そこは真...
  • 6-259-1
    スクーター 「あーうるせぇ・・・・」 この時間決まって聞こえるエンジン音。 俺の住むアパートの空き部屋が埋まった。 俺の”お隣さん”となった男は髪こそ金髪だが背の低い華奢な奴で、 その上猫背で、一見すると地味な男だった。 いやこの様子は・・・あれか?アキバ系ってやつか?! まぁなんにせよ、それが引越し初日挨拶に来た男の印象だった。 「うるせぇ・・・・」 俺はこの日二回目となる言葉を呟いた。 通称「アキバ系地味男」は引越し初日の深夜にはその被っていた猫を脱いだ。 深夜バイトなのだろう。 男はスクーターに乗って出かける。 それはいい。 だが問題はスクーターだ! 何をどうしたらそんな音が出るんだ!! もともとバイク関係に疎い俺はそれが普通なのか改造なのかさえ判断がつかない。 ただ、う る さ い。 しかも出かけるまで何分も掛けっぱなしなのだ!...
  • 6-269-1
    グラサン×眼鏡 東京の川は汚いけれど、大きな橋の上から見れば大して気にならない。橋の真ん中で、欄干に寄り掛かってホットドッグを食べていた。そうしたら、黒いスーツにサングラスの長身の男に突然肩をつかまれた。鬼気迫る様子で僕の顔を覗き込んだあと、男は声を震わせてこう言った。 「…口の周りに、血が付いていますよ」 僕は…唖然とした。男の容姿は日本人と言われても通用するものだったが、言葉は明らかに外国人のアクセントだった。ごくん、と唾を飲み込んで、こう答えた。 「これは、血ではなくて…ケチャップです。このホットドッグの。でも、心配していただいたようで、ありがとうございます。」 僕は英語には自信があったので、できる限り正確な発音で、ゆっくりそう言った。 すると男は僕の腕を乱暴に引っぱって止めてあった車に押し込むと、僕が何かを言う間もなくすごい勢いで発進した。 「あの…!止め...
  • 16-259-2
    漢を目指す受とそれを必死で止める攻 「岩城竜之介さんってこちらですかー? 宅配便です、はんこ下さい」 「いつもご苦労様です。わー、やっときた」 「竜ちゃん。それ、この間頼んでた通販の家具?」 「うん。一目ぼれしちゃって……。うわ~、思ってた以上に可愛い!」 「いつも以上にバラがたくさんついてるねえ」 「さとりん、ごめんね。本当は嫌なんでしょ、こんな部屋……」 「いや、別世界にいるみたいで楽しいよ。携帯の模様替えも面白いし。また変えた?」 「気がついてくれて嬉しい! このチュールフリルとテディベアが可愛いの!」 「可愛いけど、現場で驚かれたりしない?」 「驚かれたから現場用は他に用意したんだ。ほらほら、とにかくご飯食べよ! お腹すいたでしょ?」 「ありがとう。今日は何?」 「炊き込みご飯と、魚の味噌ホイル焼きと、あさりのお吸い物、五目豆」 「くー、いいね。い...
  • 16-179-1
    昨日 昨日のことを思い出した。 村上と、夕方まで一緒にいた。 駅で別れる時間まで、駅ビルのでっかい本屋で心ゆくまで新刊漁ったり、専門書パラ見したりした。 本屋に入る前に公園で飲んだ暖かい缶コーヒーのおかげで、実にゆったりした気分で過ごした。 公園の桜はすっかり散ってしまっていたが、枝変わりなのか、 一枝だけ、もうまばらな花を残している木があって、 それが風に吹かれて最後の花びらを散らすのを、ベンチで見ながら飲んだ缶コーヒーだった。 村上が、 「まるで祝福の」 言ったと同時に、自分でも無意識の正拳突きが奴の腹に決まったっけ。 「さっき食べた天津飯がぁ……」 悶えた村上。これ見よがしに大盛りなんか食べたからだ、馬鹿。 あいつのアパート近くの中華料理屋は天津飯が美味いんだ。ラーメンは不味いけど。 俺の方は少々食欲不振だったから、嬉しそうに注文する村上にちょっとむ...
  • 24-289
    アニヲタ攻め おい、今日はこの俺がわざわざ時間作って会いにきてやってるんだぞ。何でアニメ見てんだよ、なあ。 …無視すんなよ。…このシーンが今後の鍵になるから黙れ? って、録画じゃねーか!ビデオマークだろうが!いつでも見れるだろう、なあ! …何度も見るから意味がある?リリちゃんの勇姿が?はあ? リリちゃんグッズなら、部屋のいたるところに、携帯の待ち受けに、キーホルダーで鞄にも付いてるよな!今見なくてもいいよな! こっちは、部屋にあるのはお前がくれたプレゼントだけだし、携帯の待ち受けはお前との写真だし、キーホルダーはお前とお揃いで買ったやつなんだよ! …なのに、何だよ。 あー、分かってるよ。お前がリリちゃん一筋だってことぐらい。 俺が不良に絡まれてやばかった時、リリちゃんの決め台詞吐きながら震えて現れたもんな。 初対面がそれだ...
  • 16-929-1
    年の差主従 「今日からあなたさまにつかえることになりました、あーさーです!」 目をきらきら輝かせながらそう言ったその子を、僕はひきつりながら見下ろした。 「どうしましたか?あなたさまはこのお城のりょう主さまのこうけい者となったんですよ」 そうだ。僕は本当はしがない農夫だったのだが、 ひょんなことからここら一帯を治める領主様の命を助けて、養子になった。 大怪我をしながらも幸い一命を取り留めた領主様の口から飛び出たそれは夢のようなおいしい話で、 毎日腹の音を子守唄にしていた僕はすぐに飛びついたものだ。 しかし、うっかり口をぽかんと開けてしまったくらい立派で重厚な門をくぐり、 初めて乗った馬車に揺られながら美しい庭園を抜けて、車から降りようとしたとき、 馬車の出口で僕を待ちかまえていたかのように手を差し出してきたのが、この、金髪の男の子だった。 「え、あ、あの...
  • 16-149-1
    誇り 自分なりの誇りを模索しつつ戦う王子の話はいかがでしょう。  以下、無駄に膨大なあらすじ&シーン抜き取りです。女の子も出てくるので注意。  舞台は小さいけど豊かな国。  美しい港、肥沃な大地、実直で勤勉な人々のおかげでその王国は栄えていた。  しかしその恩恵を受けようと、強欲な隣国の軍が王国への侵略を度々企んだ。  その度に人々は結束し、勇敢に戦って敵を退けてきた。  主人公は王子。若くして戦線に立って指揮を執り、 圧倒的に不利な状況をひっくり返して勝利を収めたために 他の国からも自国の民からも希代の名将として特別視されている。  王子は自国の平和を乱し、搾取を狙う隣国を激しく憎み、 「国のために戦い、誇りのために死ね」というモットーで鬼神のごとく戦った。  兵士達は王子の言葉に奮い立ち、死を恐れずに敢然と敵に立ち向かったのだった。        ...
  • 20-289
    見違えるほどきれいになった 「えっ、お前……クロード?」 「はい。見違えましたか?」 目の前の友人に俺はただ戸惑うばかり。 「なんか、全体的にこざっぱりとしたな」 「バッサリ切ったんです。トリートメントもしたんでフワフワになりました」 出会ったときの姿からは想像もつかない変身だった。 『クロード』というより、『田吾作』って感じだったのに… 見た目が変わると印象も激変だ。 「ビックリするくらい変わったでしょ?」 「かなり驚いてます」 「これからも来てくれますか?月一くらい」 「むしろ毎日来ます」 「私に会いに?」 「もちろん。ありがとうございます」 「では本日のお会計は4500円になります」 「ありがとうございました。クロード、行くぞ」 「ワンッ!」 大嫌いだけど…仕方がない
  • 14-289
    学生と老教授 父の同級生だったという水谷教授は、体育会系の父とは 全く正反対の物静かな雰囲気で、初めてその関係を知った 僕は大変に面食らわされたものだった。 「みずや、です。たに、では無く」 低く芯の通った声で交わされた最初の言葉は、今も僕の中で しっとりと響いている。あの人の優しい笑顔と共に。 普段雄弁な父なのに、教授の話となると何故か口を噤んだ。 まるで、何か後ろめたい事でもあるかのように。 不思議な2人の秘密めいた関係に、何かを突き動かされたように僕は。 謎を探るかのように、まるで、囚われるかのように。 どうしても堪え切れない感情は、ある日。 父と同じ齢のその人を、無人の空間の、教壇へと押し付けてあまつさえ。 女性にするかのような口付けをするまでに。 大した抵抗もなく、普段と同じ物静かさで。 ふわりと白髪混じりの髪を...
  • 13-289
    ら、らめえ~ がーごがーごがーごがーご シャリシャリシャリシャリ がーごがーごがーごがーご シャリシャリシャリシャリ 「ああもう!」 俺はクマさんの形のカキ氷器をまわす手を止め、思わず叫んだ。 「……ん、あに?」 そう言って目をあげたカズキの舌は、真っ青に染まっている。 昨日の夏祭りで余ったので町内会からばーちゃんがもらってきた シロップの色だ、もちろん。 「俺が作る片っ端から全部食うなよ!俺の分は?!」 「あ……おめん」 片時もスプーンを口に運ぶ手を休めずにシャリシャリ言ってたカズキは 口いっぱいにかき氷を頬張ったままそう言って笑った。 「あわりにも、うあくて」 「お前、もう舌回ってないじゃん。やっぱ食いすぎだって!」 『あまりにくも旨くて』さっきから間違いなく三杯分くらいは 食べ続けてるカズキは、舌が冷たくなりすぎたのかロレツが回らなく ...
  • 18-289
    お道具。 幼馴染が大学に合格した。 とても喜ばしいことだとわかっているけど、どうしても本心から喜んであげることはできなかった。 地元を選んだ俺とは違い、あいつの志望大学は隣の隣の県。 ここから通うには遠い距離で、受かれば一人暮らしを始めると屈託なく言い出したときには、 言葉に詰まって体当たりでやりすごした。 引越日は今週末に迫っており、今日は片付けの手伝いに来ている。 通いなれた隣家の部屋は、もうひとつの自分の部屋のようだったのに、ダンボールがひとつ増えるたびに 余所余所しさを漂わせていく。 体の中がどんどん重苦しくなっていくのを無視して、普段どおりの態度でひたすらに手を動かした。 「ここも適当に詰めていいよな?」 「あー、頼む。ちょっとガムテ取ってくる」 階下へと遠ざかる足音を背に、俺はここぞとばかりに深く深くため息をついた。 のろのろと押し入れの中にし...
  • 17-289
    初めての… こんなに近くでユウの顔を見たのは初めてで、それだけで心臓が高鳴った。 同い年とは思えないほど大人びたその表情。 強い光を持つその瞳は今は伏せられて、長い睫毛がその目元に影を作って、とても綺麗で見惚れる。 そっと額が合わさる感触、反射的に目を瞑ればただ感じるのは額から伝わる熱だけで。 鼻先を擦り合い、その感触に震えて身を竦める。 少しだけ身を離そうとした俺をユウは逃さない。 その大きな掌が俺の後頭部に回り、固定する。 ユウが、俺の名前を囁く。吐息が、籠る。 「ナツ」 初めて交わした口付けは、さっきまで食べていた水蜜桃の味がした。 なんて男らしい
  • 11-289
    わんこ下僕攻め×猫女王受け たまには初心に返って萌え語りしてみる。文才ないけど勘弁な。 わんこ下僕攻×猫女王受、というと、やはりツンデレ系の受に思う存分振り回されて (´・ω・`)ショボーンとなるヘタレ攻が基本形だが、 あなたの下僕ですどうぞあなたのお気の済む様になさって下さい、という感じの忠.犬.で、 受大好き!受まっしぐら!な物凄く真っ直ぐで分かりやすい愛情表現をする攻に戸惑ってしまい、 いつもの様に我侭に振舞えない女王受というのも、それはそれでなかなかいいと思うんだ。 受がいくらツンツンしても、我侭言ってみても全然通じない、構われるのが嬉しい!って ニコニコしてる攻と、そんな攻にどんどん溺れていく自分に驚き、戸惑う受。 ごめん萌え過ぎてうまく書けない。 個人的には、1・2歳くらい年下の攻×年上受だと嬉しい。逆でももちろん美味しいが。 ...
  • 27-289
    保育士×元園児 「先生って背、低い」 はいはい、と先生はうなずいた。 「先生、園長先生だよね、偉いんでしょ? でも若いから松本先生とか黒木先生とかによく怒られる」 そうだね、と先生は苦笑いした。 「先生、五月の運動会のあいさつ下手だった、えーっと、えーっと、とか言っちゃって」 あいさつニガテなんだよ、とあごを撫でる。 「ピアノも下手だ」 練習してるんだけどね、早くは弾けないの、悪いね、と謝る。 「……その眼鏡、なんかダサい。大きすぎる」 また、はいはい、とテキトーな返事。 「服もダサい。エプロンもダサい」 いいんです、こどもと遊ぶのにはこういう服が一番、そう言って先生は、 「もっと可愛いエプロンもあるけど、これくらいが気に入ってるんだよ、ダメかな?」 エプロンのお腹に手をやって、ちょっと首を曲げてみせた。 それが可愛いポーズ...
  • 15-289
    大事な事なので二回言いました 「お前なんて嫌いだ」 お前なんて嫌いだ、と念を押すように俊吾は二回言った。 慌しく一夜の逢瀬を重ね、平日朝、くだり電車には二人以外誰も乗っていない。ボックス席に座り、人目を気にせず二人で身を寄せ合っている。心地よい揺れは普段なら心地よい眠りを誘うものだが、今日ばかりは睡魔はちらとも襲ってこなかった。 「俺のこと、嫌いなの?」 玲一は眼鏡越しに俊吾をちらりと見た。その茶化すような声音に血が上り、俊吾は隣の玲一を睨む。こいつはいつもこんなだ。自分が真剣になっても、子供をあしらうような態度で押さえつけにかかってくる。 玲一の家はでかい。家政婦だっている。聞いても玲一は言葉を濁すばかりだが、家が代々会社を経営しているということは言葉の端々から窺うことが出来た。 大学で出会ってから今までずるずると付き合ってきたが、玲一は大学院で研究中、俊...
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