*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「16-509」で検索した結果

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  • 16-509
    頭のいいへたれ テスト週間明け初の授業。 俺の手には返ってきた数学のテスト用紙が収まっていた。 (58点・・・まあまあか。) 黒板にでかでかと書き示されているクラス平均点は67点、学年平均点は60点。 特に悔しがるほどの点差でもないだろう、とテスト用紙を机の中へと押し込んだ。 見直しもする気になれず、ぼんやりと周りを見ていると赤点をネタにしている奴や人の点数を聞きまわる奴がいる中、 ある一人の人物に俺の目線はぴたりと留まった。 そいつは不機嫌そうに眉を顰め、口をへの字に結んでいた。目線の先にはテスト用紙。 せっかく俺好みな綺麗な顔してるのに勿体無い。 他の奴ならああ、点数が悪かったんだろう。ドンマイ。程度にしか思わなかっただろうがこいつの場合そうは思えない。 何故ならそいつは定期テストのたびに発表される成績上位者のトップに居座り続けていて、 ありがたく...
  • 6-509
    大人と呼ぶにはまだ早い 「愛してるよ、伊藤」 「はいはい」 「大好き」 「俺もですよ」 軽く流すことに勤める俺に、奴は頬を膨らませた。いくつだよお前。 「真面目に聞いてよ」 「真面目に聞いてますよ。で、何だって?」 やっと俺が弁当から顔を上げたら、奴はぷいと顔を背けた。 いちいち子供っぽい怒り方に笑いそうになるが、そこは抑える。 2人しかいない昼の放送室。誰も見てない空間。 まぁ、こんな場でならタワゴトを聞いてやらんでもない。 俺が弁当を食い終わって、小さくゴチソウサマを呟くと、奴はやっとこっちを向いた。 「俺はさ、伊藤とずっと一緒にいたいわけよ」 「アリガト」 子供じみた言葉。笑える反応を期待していたが、その顔は意外に真剣なままだった。 口周りに一杯弁当つけてさ?決まらない奴だねどうも。 「伊藤は俺のこと、どう思ってる?ただの友達?」 「坂内は坂...
  • 26-509
    運動部対文化部 「申し上げます!」 「どうした副キャプテン」 「野球部が、陥落しました!」 「なん…だと…?」 「スタンドの応援席で短調の曲ばかりを演奏されたとのことです!」 「おのれ、吹奏楽部め…!小ざかしい真似を」 「いかがしましょう」 「卓球部の様子はどうだ。出撃はできそうなのか」 「それが……手品同好会にピンポン玉を奪われ、今は素振りしか出来ないと…」 「何?奴らは同好会まで参加させているのか」 「はっ。どうやらそのようで」 「サッカー部はどうした。我が連合のエースは」 「そ、それが……その」 「どうした副キャプテン。何かあるなら報告しろ」 「実は、サッカー部も、戦意を喪失してしまい…」 「なんだと!?」 「サッカーボールの白い部分を全て黒く塗られたそうで……おそらく、書道部の仕業です」 「なんということを……奴らに道具を愛する心は無いの...
  • 26-509-1
    運動部対文化部 「貴様、そんなつもりで学園祭がどうにかできるとでも思っているのか!軟弱者が!」 ハヤトが怒鳴るので、僕はびくりと肩を震わせた。 「そんなこと言ったって……ぼくはハヤトみたいにかっこよくないし、みんなをまとめるなんて……」 「何を言うか!阿呆!俺にできて龍介にできない訳があるか!根性を出せ、根性を!」 その後ハヤトは30分にわたるお説教を繰り広げ、スポ根漫画の主人公のようなセリフを何度も繰り返した。 二か月後に迫った学園祭、そこで繰り広げられる運動部と文化部に分かれて行うレクリエーションの指揮を任された僕は早くも胃が痛い。 人前に立って誰かをまとめるのは僕にはどだい無理な話なのだ。 「僕もハヤトみたいにかっこよければな……」 「な、なんだいきなり!」 「僕もハヤトみたいにかっこよくなりたいよ」 「~~~っ!阿呆か貴様!龍介だってかっこいいわ!阿呆...
  • 4-509
    そろそろコタツ出さない? 「そろそろコタツ出さない?」 そう、あいつが俺に対して言ってくる いつものように、俺の部屋で2人、テレビをなんとはなしに見ていた時のことだった。 確かに、そろそろ寒くなってきた。広くはないが、一人で住むには十分な広さに、 二人きりで体を寄せ合っていても、震えてしまう。 暖房器具が欲しくなるのも頷ける。 でも 「出さない。」 断固として俺が断ると、あいつは子供のようにふくれっ面になって 「寒いよー出そうよーケチー。」 しばらく文句を言っていたが、俺の意思が変わらないことがわかると、拗ねたように 黙ってしまった。 それでも、時々俺の横顔を盗み見ては怒ったような顔をしているようで、 まだまだ諦めていないようだ。 「なんと言ったって、まだ出さない。」 止めの一言を言うと、あいつはそれきり黙ってしまった。 完全に拗ねたようだ。...
  • 3-509
    ttp //users.skynet.be/tinformatica/waha.wmv この試合が終了した後の2人 坂事情には明るくないけれど。 まず、チンポロリ、略してポロリの表情を見逃してはいけない。 心底あきれた様な「お前なにすんねん」みたいな。でも冷静。 それにひきかえ、プチスキンの人はもう大慌て。 アテレコをするとしたら「うわヤッベ、いや、え、ヤッベ! ちょ、見ない振りしとこ!」。 これを踏まえて、数式にするために整えるとすると、 冷静ポロリとヘタレスキン 試合後の光景はかなりオイシイものになるのではないでしょうか。 パターン1 ポロリ×スキン ポロリの語尾に思わず(妖笑)などとつけたくなるような 鬼畜ガチュンがおすすめ。言葉攻めの際は「今度はお前のモノを群集に晒しに行こうか…」 パターン2 スキン×ポロ...
  • 1-509
    赤いきつね×緑のたぬき お肌は色白、お口に含むとお汁がいっぱい溢れ出すきつね。 ちょっと田舎っ子な雰囲気を醸し出しつつ、最初はサクっと軽いけど そんなお汁で身体が満たされる内にどんどんフニャフニャと 腰砕け状態になるたぬき。(ちなみに喘ぎ声はみさくら系キボン) お湯をカップ一杯まで注いで汁だくプレイ開始。 身体に悪いかもと思いつつ、いつも最後の一滴までお汁を搾り取られる たぬきたち(時にはきつねも同じ目に) …萌と同時に腹がへってきました。 ぶっかけ
  • 9-509
    日曜大工 バイトの夜勤明けでロクに寝ていない。 頭も身体も、深い水底に沈み込んだような重さを湛えたままの日曜日、朝8時。 根っから朝型、こんな時間からハイテンションなあいつが、カナヅチとノコギリ、そして大小様々数枚の板を抱えてやってきた。 「あれ、ゴメン。寝てた?」 あたりまえだろ馬鹿野郎! 俺の生活パターンも夜型体質も熟知しているはずのあいつは、そんなことはたった今知りました、みたいな顔をして、 へらっと玄関先で笑って見せた。 「…何しに来た」 「うん、あのさ。急に思い立っちゃって。ほら、俺、手先器用だろ?特技は日曜大工ってくらい。実家のトイレの棚も庭にあるゴンゾーの小屋も、俺がまだ中学生の頃に作ったヤツなんだよね」 「…それで?」 「うん、それでさ。さっき起きて、外見たらやけに天気がいいからさ。もうこれは日曜大工日和だなぁと思って。なんだか天気の上に カ...
  • 7-509
    ツンデレ攻め×ツンデレ受け 「あ…の、こんなとこにずっといると日射病になる……」  夏日の日差し照りつける第二校舎の屋上に、そいつは午前中からずっと一人でいた。 向かいの、第一校舎の生徒会室からはこの屋上の一角が見えて、昼休みの間も「あの男子 生徒はこのくそ暑いのに屋上で何をしてるんだ」と話題になった。 「嶋ノ辺、あいつここに連れてこい。俺一応説教しなきゃならないかも。同じ一年だろ」 村上先輩は、よく横柄な物言いをするけどそれは誰にも媚びないからで、本当は気さくで 後輩にも威張ったりしない人望の厚い生徒会長で、僕はこの人のおかげで生徒会にも学校 にも気後れせずに居場所を作ることができた。……だから、嫌だったけど村上先輩の頼み だから、僕は屋上にいるそいつを呼びにいった。  屋上の扉を開けると、熱気と光線が額を打つように襲ってきて、それだけで立ち眩みが ...
  • 5-509
    お人好し お人好し。 お前ほんとにどうしようもないな。 なに弱っちぃくせに喧嘩の仲裁とかしてんだ。 猫の睨み合いにまで首つっこむな。手当てするのは俺なんだぞ。 おばあちゃんが道に迷ってたからって、わざわざ送り届けて自分が遅刻してどうするんだ。 そうやって譲ってばかりだから、いつも自分が損をするんじゃないか。 告白する前に、弟に好きな女取られるなよ。 血のつながらない水子が何人いるんだ。 もうちょっと自分を大事にしろよ。やさしいお前は好きだけど、お前ばっかり不幸せなのはいやだ。 お人好し。 そんなんだから、好きでもない男に抱かれる羽目になるんだよ。 さっさと振れよ。でなきゃ、俺も踏ん切りがつかないよ。 俺強情だから、はっきり拒否されなきゃ謝れないんだよ。知ってるだろ。 なぁ、頼むよ。好きなんだ。不幸せにしたくないんだ。だから。 ツンデリズ...
  • 2-509
    軽薄人気者窓×堅物マニア受けな林檎 「ってーかさ、お前の存在意義ってなによ?」 「なにって言われても」 「正直さァ、昨今マウスに押しの一手しかないなんてどうよ?」 「いいじゃん別に」 「俺を見てみ?スクロールに左右クリックに、最近あと二つ機能追加したぜ」 「そんなにあったって使わないから」 「だいたい発色だって負けてねーぞ?」 「でも動画の処理なら負ける気はしないよ」 「俺なんてメールにネットにテレビにエトセトラ、もち写真屋も絵描きも対応済」 「そう………」 大きなオフィスの中で、仲間はたったの2,3機。 CMや新聞の広告ででかでかと威張る大勢から『マニア向け』と罵られても、 それでも彼らは挫けはしない。 昔もいまもこれからも、確かに心から彼らを愛し、いとおしむ人たちがいてくれるから。 ポジ×ネガ
  • 8-509
    馬と騎手 「よう、来ると思ってたぜ」 古めかしい厩舎の入り口に立つと、中で男がウィスキーを持った片手を上げて俺に振り向いた。 奥のほうで蛍光灯が小さく唸りながらチカチカと寿命を主張していたが、 男のいる場所を照らしているのは、ほとんどが窓から入る冴え冴えしい秋の月明かりだ。 白い光が男の向こうに横たわる黒く滑らかな毛にそそがれている。 俺は黙って、男の背後へと近付いた。 ここで過ごした日々よりも、離れていた時間のほうがずいぶん長くなったはずなのに、 目をつぶっても歩いていけそうなほど、俺の身体はこの場所を覚えていた。 同じくらい、男の後姿も。 「今日のレース見たぞ。さすが、中央競馬会のホープ」 背を向けたまま、男が言った。 俺はやはり黙ったまま、柵を潜り男の側に腰を下ろす。 そして、横たわる大きな黒い美しい毛に、手をあてた。 ひんやりと、それは静かに冷たく...
  • 16-519
    ポケットティッシュ 「何、ポケットティッシュなんて買ってんだよ。駅前でいくらでも配ってる じゃないか」 「駅前で配ってるのは質が悪いんだよ。保湿ティッシュじゃなきゃダメなんだよ」 「貯金したいって言ってたのユタカじゃん。協力してくれなきゃ、金なんか溜まんないぞ」 「それはそうだけど、生活必需品ってのはあるんだよ」 「生活必需品はティッシュであって、保湿ティッシュじゃない」 「お前、今、全国2000万人の花粉症患者を敵に回したぞ!自分が花粉症じゃないから って、人を思いやる気持ちを忘れやがって!」 「大体、なんで急に貯金なんだよ」 「...そりゃ、誰にも頼れないゲイカップルの老後に必要なのは金だから...」 「へ?」 「何?お前、俺と老後を過ごすこと、考えてなかったの?」 「...考えてなかった...」 「......何だよ、真剣だったのは俺だけか?」 ...
  • 16-529
    文系世話焼き×理系ひきこもり カーテンを思い切りシャッと開ける。 「……まぶしい」 かすかな抗議の声が万年床の中から聞こえてくる。布団の中でまぶしいもんか。 「昼なんだよ、起きろ」 この春大学生になったばかりの聡文が引きこもりだしたのは、3週間前からだ。 小中高と、一学年違うだけでずっと後からついてきた聡文は、大学までも同じ所についてきて、 何故かゴールデンウィーク明けから講義に出て来なくなった。 1年先輩で学部も違う俺が、こうして毎日面倒を見ている。 と言っても、コンビニで適当な食べ物を買って食べさせるぐらいだが。 親元を離れるにあたって、幼なじみとして、奴のお母さんにくれぐれも頼まれているのだ。 「もう、来ないで」 聡文は布団から顔も出さない。 「お前ね、俺が来なかったら飢え死にするぞ」 「コンビニくらい自分で行く」 「だからって、1人で生き...
  • 16-549
    へたれ関西弁×クーデレ 「神部さん、いてはります? 大家さんから伝言頼まれましてん。開けてー」  隣の部屋の黒田が今日も私の部屋を訪ねてくる。  毎回毎回、くだらない用事をよく見つけてくるものだと感心する。  無視をしようと思ったが、一向にあきらめる様子がない上、 インターフォンではなく、ドアを叩き始めたので、仕方なくドアを開けた。 「……どうも」 「おるんやったら、さっさと出てくれまへん? 疲れますやん」 「用件は簡潔にお願いします、黒田さん」 「いややわー。いつも簡潔やないみたいな言い方」  簡潔だったことがあるみたいな言い方じゃないか。 「連絡は書面でお願いしますって、何度も申し上げていますけど」 「隣の部屋におるのに、なんでわざわざ紙切れに書かなあきまへんの」 「もう2分たってますよ。用件は」 「2日後に、火災報知器の点検やて」 「そうですか」...
  • 16-589
    君と会うのはいつも真夜中 「働いてくれ」 唐突にそういわれて、金髪の男は呷っていたビールの缶を取り落としそうになる。 いつものようにいとしい恋人より少し前に起きて、ビール片手に朝食と弁当を作っている最中の出来事だった。 「いつもそばにいてお前を愛してんのが俺の仕事だよマイハニー」 「冗談じゃない、真面目に聞け」 思いつめたような目をして、ハニーと呼ばれた眼鏡の青年は低い声を出した。 昨夜のとろけっぷりが嘘のようにハニーの顔に浮かぶのは怒りと哀しみと憤りだけで、愛しい唇からは最ついに終通牒が下された、 「働け、じゃないともう俺はお前と一緒にいられない」 まるで無職の夫と働く妻。いや変わりないか、共に暮らす働く男と無職の男、二人は恋人。 「オーケイわかったよ。働くよ、そうしたら今までどおりだ、別れるなんていわないでくれ」 金髪がそういうと、眼鏡は緊張の糸が切れたよう...
  • 16-569
    君が好きだ 「卒業おめでとう」 「…あー、先生。…ありがとうございます。 」 「思い出すね。君とはじめて会ったのも、この桜の樹の下だった。」 「…そうっすね。」 「入学式に遅刻して、自分のクラスさえわからなくて、オロオロしていた。」 「…。」 「初々しくて、かわいらしい新入生だった。」 「…はぁ。」 「あれから君は、なぜか僕になついてしまって、何かにつけ職員室へ通って来ていたね。  学年が上がって、君の背がずいぶん伸びてからもずっと。」 「…あの、先生。  さっきから…何が言いたいんすか?」 「一年前。  君がこの場所で告げてくれた気持ちに、ずっと答えられなくて、すまなかった。」 「!?」 「あの日から、君は僕の元に姿をみせなくなったね。  他の先生方が、ずいぶん不思議がっていたよ。」 「…だって、…」 「大人というのは複雑で厄介なものなんだ。...
  • 16-559
    堅物優等生×不真面目チャラ男 「斉藤君。こんなところにいたのか」 「げ……」 「げ、じゃない。また音楽の授業をサボっただろ」 「あー、ほら。午後って眠くなんじゃん」 「音楽と言えど大切な授業だ。ちゃんと受けないといけない」 「頭かったいなー。だいたい委員長には関係ないでしょ」 「毎回先生にプリントを持っていけと言われるのは僕だ。関係なくない」 「そんなのいちいち渡してくれなくていいよ。委員長も大変でしょ」 「ダメだ。プリントには大切な連絡が書いてある。ほら、次回は歌のテストだ」 「そんなのなおさら出ねーよ」 「……斉藤君。少し気付いたんだが」 「なにー?」 「基本的に君がサボる授業は音楽が中心だ」 「あー?だってめんどくせーじゃん」 「次回は歌のテストだと言ったらなおさら授業に出たくないと言った」 「……だから何だよ」 「君は歌が苦手なんじゃないか...
  • 16-579
    その笑顔に心は千々に乱れる 「ん?」 気まぐれに名前を呼んだら、振り向いたその顔はやっぱり笑顔だった。こいつは、いつもいつも笑顔だ。 少しだけ嘘くさい。作ったようにも見える笑顔。 「どうした?」 自分から呼んだ癖に、続く言葉が思い浮かばなくて黙り込む俺にそいつは少しだけ腰を屈めて、視線を合わせてくる。いつもは自分が見上げるだけの笑顔に、ドキリと心臓が跳ねたような気がする。 言葉が喉の奥に引っ掛かったまま、出てこない。「なんでもない。呼んだだけ」と、笑って言えば良いだけなのに。 言葉の代わりに、思わず手を延ばして、頬に触れていた。驚いたように微かに肩を竦めたそいつの髪がさらりと揺れる。 シャンプーとワックスの混じり合った匂いは、女の子の甘いそれとは全然違う。分かっているのにくらくらして、気付いたらそいつを引き寄せて唇を合わせていた。 一瞬だけ触れて、直ぐ...
  • 20-509
    美人×強面 俺は甘いものが苦手だ。 食べられないほど嫌だというわけじゃないが好き好んで口にしようとは思わない。 だからこの日だけはチョコの一つも貰えない自分を誤魔化すことができる。 「完全に負け惜しみじゃないか」 「いや……本当に甘いものは苦手でな」 「でも貰ったら食べるんだろう?」 貰えるんだったら女の子の愛は欲しい。仮に貰ったとしたら喜んで食べる。 こんなことを言うと「そんな厳つい顔した男がよく言うよー」なんて茶化されるが顔は関係ないと思いたい。 「貰ったらな」 それにしても毎年のことながらこの日のこいつはすごい。美人で優しいのが女心くすぐるそうで市販のチョコや手作りチョコ。 本命に義理に友チョコなんでもあれだ。 一切貰えない――どころか目が合っただけで女性に怯えられる――俺を尻目に紙袋いっぱいになるほど貰う。 朝の時点で2袋、仕...
  • 10-509
    義理の兄弟な大学生×小学生 小2の終わりに、父と母は離婚した。しかしこの上なく円満に。 ドラマや小説で取り上げられるような愁嘆場はまず以って演じられることがなく、 離婚に纏わる問題の中でも特に重大なものとして扱われる子供の親権問題、つまり 一人息子である僕自身の身の処し方の事なのだが、やはりそれも問題になる前に 綺麗さっぱり片付けられてしまった。 いや、片付けられたと言うのは語弊がある。なんせそれだと僕が受け身だから。 正確には父と母は僕に十分な猶予と選択肢を与え、僕は自ら選択した。母と一緒に行くと。 理由は非常に明確で、それだけに俗っぽかった。 その理由を説明するには、僕の両親の離婚の原因をぶっちゃけてしまうのが手っ取り早いように思われる。 父と母は結婚9年目にして互いに別の女と別の男に惹かれてしまったのだ。 毎朝男の戦闘服である鋼鉄のスーツを身にまとい...
  • 27-509
    膝枕をする 「朝から膝枕について考えている」 「暇なんですか。暇なら洗濯物たたむの手伝ってくださいよ」 「というのも『膝枕は男のロマンだ』と耳にしたのだ。ロマンと聞いては捨て置けん」 「聞いてないし。まあいいですけど。……で、膝枕がどうしたんですか」 「それが不可解なのだ。まず私は、第一の命題として、枕たりえる膝の高さについて考えたのだが」 「ああ、それで今朝メジャー持ってうろうろしてたんだ」 「床に座ったときに膝の位置というのは、案外と高さがある。正座すると更に高くなる。  椅子に座った場合は、首の長さがいくらあっても足りないほどだ。あの高さを平気で枕にできるのは猫くらいだな」 「猫は膝の上に乗るの好きですからね」 「しかし残念ながら私は猫ではない。ついでにキリンでもない」 「そうですね」 「そこで私は今回の考察の前提として椅子というものを除外した。世...
  • 18-509
    女装男子高生×ツンツン化学教師 「見て、先生!」 突然の訪問者に肩がびくりと跳ねた。 扉を開く時はノックをしてからにしろ、と毎回毎回言っているのになぜ聞かないんだ。 心の中で文句を言いながら後ろを振り返ると、そこにいた人物の姿に驚いて、俺は持っていたビーカーを落としかけた。 「なんだ、その格好は」 「かわいいっしょ?」 毎日嫌がらせの様にこの部屋に訪れ、ろくでもないいたずらを俺にかます茶髪のひょろ長い男は、 なぜか黒と白を基調としたメイドの服を着て誇らしげにそこに立っていた。 俺は思わずめがねをかけ直してしまった。 アホだアホだとは思っていたが、なんだってコイツは……。 「文化祭で女装喫茶すんの。ねえ、かわいい?」 「へえー。それはご苦労さん。帰れ」 しっしっと右手で追い払う仕草をしていると、その手を掴まれて俺は黒革のソファに座らされた。 顔は化粧でもし...
  • 24-509
    暑いから 「お前なんで毎日俺んち来んだよ」 言いながら内藤は麦茶の注がれたコップを差し出してきた。 「暑いから。俺の家クーラー壊れてんだもん」 「ああそう、つーか邪魔なんだけど」 少しウザったそうにしながらも、繋ぎっぱなしのゲーム機を立ち上げてコントローラーを寄越す。 「負けたら帰れよ」 「いいよ。俺景品かかると強いんだ」 「クーラーごときでよー、もーコンビニ行けよ」 「ははは」 今のとこ全勝、だって内藤がかかってんだもん。 「江田、電気代払え。つーかクーラー直せ」 「お前が勝ったらね。明日バイト休み?」 「休み。あっ、お前今のハメだろ!」 楽しい楽しい夏休み。 お前の隣で「せっかく涼しいんだし、もっと暑いことしちゃう?」なんてエロ漫画真っ青のサムいこと考えてるのは内緒。 「はー天国!」 「そのまま召されろよ」 ...
  • 13-509
    (相手の手で)ゆるく結ばれたネクタイを 「どうせほどくんなら結ばないで下さいよ」 「ロマンだよ、ロマン、お前にはわからないだろう。ネクタイをほどくロマンが」 「わからないしわかりたくもないですけど」 「あーあーお前はそういう男だよ。まあいいや、ベッド行くか。ホレ」 「…何ですか、その顔は」 「こういう時はお前が俺を姫だっこで連れて行くんだろー」 「それを言うならネクタイだってあんたが結んで俺がほどくんでしょーが」 「ほんとわかってねーな、お前。ギャップかつロマンだよ」 「…わかりましたよ、ほら。…軽っ」 「うるせーゴチャゴチャ言ってないでチャキチャキ運べ!」 「はいはい」 「…、いって、お前もう少し慎重に下ろせよ。痛いよ」 「はいはい。それで?俺のネクタイほどくんでしょ」 「そうそう。えーと…ネクタイってどうやってほどくんだっけ?えーとこうやって…」 「...
  • 25-509
    移り気 小学校何年生だっただろうか。 当時高校生だか大学生だった叔父に、自由研究の手伝いを頼んだことがあった。 紫陽花の花で土質がわかると何かの本で見て、花に詳しい叔父を頼ったのだ。答えはノーだった。 「紫陽花の花はあれじゃない。あれはただのガク」 そう言ってあしらわれた。 かじかんだ指先に凍える息を吐きかけながらふと、そんなことを思い出した。 あれから何年経っただろう、恒例と化した年末年始のアルバイトで僕は、叔父の経営する花屋にいた。接客の合間、延々と花束や鉢植えにつけるためのリースを作る。柊がささくれた指にチクチクと痛い。 「おじさーん、おじさんも手伝ってよ、一人じゃ終わんないよ」 お客が切れたので声をかけると、外から花屋に似つかわしくない男がずかずかと店内へ入ってきた。 「弘平くん、お店で大きい声を出さないでくれるかなー?」 貼り付けたような笑顔に向かって...
  • 14-509
    双子の弟と間違えて兄に告白  大事な話があると凛の携帯にメールしたのは昨日のことだ。  眠れなくて、俺はベッドの中でシミュレーションをしていた。 『嬉しいよ』と頬を染める凛。 『ゴメン』とうつむく凛。  妄想なのに、凛がどんな表情をしていても悶えてしまう俺は変態かもしれない。  凛には双子で同じ顔の廉という兄がいる。でも何故か俺が悶えるのは凛の方なのだ。  30分前に来た俺よりも先に、凛は待ち合わせ場所の公園にきていた。  これは脈アリなのかもしれない。俺は話を切り出した。 「す…好きなんだ!」 「好き?」 「き、気持ち悪いよな。でも、もし可能性があるなら考えて欲しくて…」 「恋愛って意味で?」 「恋愛って意味で」 「俺のどういうところが好き?」 「どういうって……」 「顔? 顔なら俺、同じ顔のやつがいるよ?」 「確かに君の顔は、俺の好...
  • 28-509
    バレンタインデー バレンタインデーだった。 もちろん、俺もチョコをもらった。 マンガみたく、「紙袋いっぱい」ではないが、有志一同みたいなものをいくつか。 親兄弟からまとめてひとつ。 時折、本命チョコがいくつか。 断りの口上は毎年変わらず、だけど今年から本音が混じる。 「悪いけど、付き合ってる人、いるから」 ほんのり浮かべた涙に、少しの罪悪感が沸きつつ、それでもあの人に義理立てしたくて振り切った。 なのにあの人は、渡されるチョコ全部、告白ごと受け入れた。 よりにもよって、俺の目の前で、2つ返事で。 だから、今日の酒のつまみにする予定だった魚肉ソーセージとチーカマ、鮭とばにジャーキー入った袋を あの人に分投げた上で、ぶん殴って帰ってきた。 着信もメールも無視してやった、ざまーみろ! と、ふて寝した所で俺の記憶は途切れている。 今目の前には...
  • 19-509
    一夜だけ 『真夏に一夜だけ咲くサボテンの花があるんだけど、うちに見に来ない?』 そういわれて、そいつの家で食われて男に目覚めたのが三年前。 結局、そのサボテンはその為だけに購入されたもので、 そいつにとっては俺を食えたら用なしになっていた。 花に魅入られた俺は、ゴミ箱に捨てられていたサボテンが自分のように思えて、 不憫になったのか、拾って家にもって帰ってきた。 決していい思い出ではないので、ろくに世話もしなかったけれど、さすが砂漠の植物で、 今年もちゃんと蕾をつけた。 「月下美人?」 携帯の待ち受けにしていたサボテンの蕾をみていたら、 隣の席の男が声をかけてきた。ここは相手がいない同性愛者が集まるバーで、 男がほしくなった時に来ては、俺は適当な相手を持ち帰り、 一夜だけの関係を持つのが習慣になっていた。 遊ばれてヤケになったことがきっかけだっ...
  • 17-509
    クリーチャーの恋 「あいつ、……らしいぜ」 「マジかよ、さすが……だな」 「…んとだよ。あーあーゼッタイ俺かなわねー。でも俺たかが任務で死にたくねーし…じゃなくて良かった」 「シッ…聞こえるぜ」  ガヤガヤと雑音が鳴る。  人間じゃないと言われることにはもう慣れた。自分はほんの少し、身体能力が高かっただけだ。  ほんの少し、人よりも、生きている意味が見つからなかっただけだ。  三回ノックして、執務室のドアを開ける。ここだけ息が楽だ。空気が柔らかい。 「ボス。ただ今、任務から戻りました」 「お帰り」 「ご報告を」 「うん。それより――こっちへおいで。血が出てる。誰の血?」  手を取られて俯く。視線を落とすと、胸のあたりから下肢にかけて、べったりと血がついていた。  ほとんどはかえり血だが、自分のものもあるかもしれなかった。 「痛かった?」 「いえ...
  • 15-509
    お互いに妻子ありの幼なじみ 「お前と飲むのも久しぶりだな」 「……1週間前に飲んだばかりじゃん」 「そうだったか?」 「アンタ飲み潰れてたよ」 「覚えてねーわ」 「俺が優しく介抱してやったのに」 「マジかよ?うわ、勿体ねーな」 「ばーか」 「はぁ…お前ももう父親かよ」 「アンタは俺の親父かよ」 「お前みたいなガキは手間がかかる」 「酷いな」 「酷くねーし」 「女だったか?」 「そうだけど」 「ふーん…俺のは男だ」 「それで?」 「俺らみたいにずっと一緒だったら面白いなとか思っただけだ」 「ぶはっ、何その少女漫画的な流れ」 「悪いか」 「いいや?面白いんでないの」 「将来、結婚したりしてな」 「させたいの?」 「まーな」 「俺らは出来なかったしねー」 ...
  • 21-509
    人恋しい夜 寂しくて苦しくて、どうしようもない気持ちになる時がある。 煙草を吸っても酒を開けてもそれだけはどうしようもなくて、オレは雨の中携帯も財布も傘すら持たずに家を出た。 止みそうな気配すら見せない夏の雨は陰鬱な気分を助長させるに十分で、じんわりと足下から上がって来る寒さは孤独そのものだった。 さみしい。携帯のボタン一つで誰とでも繋がれるはずなのに、どうしてこんなにも。 簡易的な繋がりより、薄っぺらな言葉より、彼の熱が欲しかった。 人恋しくて堪らないのにそれは彼にしか満たせない。 他の誰でも良いのなら、どんなに楽だったろう。 ためらう事なくインターフォンを押すと、数秒の後に機械音と混ざった眠た気な声が聞こえてきた。 「はぁい、どなたですか?」 「オレ、です。」 緊張か、それとも期待か。冷えた喉から出た声は、少しだけ震えていた。 通話が切れ...
  • 9-509-1
    日曜大工 ぎこぎこぎこぎこ 「…あれ??」 がんがんがんがん 「…あれ???」 時間経過に比例して徐々に増えていく疑問符。 だから止めておけと言ったんだ。 「材料は揃ってるんだから作ってみる!」なんて言っても、カレーと本棚とじゃ訳が違う、と。 おまけに設計図も無し。 あいつは頭の中に本棚を描き、それっぽいパーツの形に板を切り出し、それっぽく適当な釘を打って組み立てる。 『緻密な計算』『綿密な計画』なんて言葉はあいつの辞書にはきっと載っていない。だってバカだから。 「……~~!!!」 どすっ、と鈍い音がして、あいつが突然カナズチを放りだしてうずくまる。また指を叩いたらしい。 「…もう止めたら?」 「止めないっ!」 がばっ、と身を起こして作業続行。そしてやっぱり「あれ?」と首を傾げる。 心なしか先程より渋い顔。事態は深刻化しているらしい...
  • 9-509-2
    日曜大工 電動ドリル: 強気攻め。日曜大工道具の中でもお高いお坊ちゃま。        これと決めると目標に向かって一直線。行動が早く、すぐ相手を落とす。        彼に開けられない穴はない。 プラスドライバー: プラスネジだけを回す一途な男。プラスネジのことしか頭にない。           しかし彼は知らない。           マイナスドライバーが強引にプラスネジを回していることを… ノコギリ: 見た目がトゲトゲしていて「うかつに触ると怪我をする」と恐れられているが、       本人は寡黙で地道にコツコツ鋸引く真面目な男。引いては押し、引いては押し。 トンカチ: 彼の一撃は重い。が、本人はそれほど激しくしている自覚がないのが難点。       鉄製である釘は、彼のせいで一本気な生き方を曲げざるを得なくなってしまった。 紙や...
  • 9-509-3
    日曜大工 降り止む気配は一向に無く、どうやら長雨になりそうだった。 軒の下ではおっさんが紫煙をくゆらす。今にも無精ヒゲに燃え移り そうな赤い火は、そぼ降る雨の狭間にちろちろと揺れ、昼なお薄暗い 庭先に頼りない灯りを燈している。 煙草の量、増えたんじゃないかな。ぼんやりとあてどのないおっさん の顔を気にしながら、俺は濡れそぼった前髪から飛沫を散らして金槌を 振り上げ、ガンゲンと不揃いな音を立てて板に釘を打ち付けた。 三ヶ月前、勤めていた警察庁を辞し、おっさんは警察官ではなく なった。ちょうどその日、署を去り行く長い長いその廊下で、俺は おっさんに体当たり気味の愛の告白をした。以前に起きた事件で知り 合い、関り合いになった頃から既におっさんは疲れ切った気怠げな目を していたが、この時もやはり、俺は邪険に追っ払われかけていた。同僚 にも、職場にも愛想を尽か...
  • 4-509-1
    そろそろコタツ出さない? ずっと捜し求めていたぬくもりを手に入れた日。それはもうふたつきも前のことだ。 大切な人と、同じ町で同じように暮らしていること。一番会いたい人に、会いたい ときに、いつでも会えること。 それがこの上もなく幸せなことを、僕は知っている。 夕方を過ぎる頃、芹沢は僕のアパートを訪れる。 手に缶ビールとカップ酒の袋を下げて、くたびれた上着を羽織った彼を僕が迎える。 二ヶ月の間に、季節は夏の終わりから冬の始まりに変わっていった。芹沢はほとん ど毎日、僕の部屋にやってきた。 夜遅くまでふたりで酒を飲み交わしながら、じゃれあったり、世間話をしたり、テ レビ番組にけちをつけたりしながら過ごす。 それが今の僕たちの当たり前になりつつあった。 初めて木枯らしが吹いた日曜日だった。 その日彼は珍しく昼間から入り浸っていて、昼食を待ちながら黄ば...
  • 16-569-3
    君が好きだ あまりにも時間の過ぎ去るのが早くて付いていくのが精一杯で、とうとう走るのをやめてみたら周りに誰もいなくなっていた。 そこでようやく、本当は走りきらなければいけなかったのだと、初めて気付いた。 中途半端な場所に止まって息を整えてみても、もう何の意味もない。時間は私を置いてどんどんと前へ進んでしまった。 私は、取り残されたのだ。 「君が好きだ」 そう言ってくれたあの人は、空で火となったと聞いた。 優しかったあの人が敵とは言え誰かを犠牲にしようとするだなんて到底信じられないが、戦争とはそういうものだ。 「お国のためという大義名分を掲げているが、僕はね、ただ君に生きていてもらいたいだけなんだ。君を生かすために僕は行くんだ」 あの人はそう言った。 馬鹿馬鹿しい、女子供じゃあるまいし、私だって男です。戦地に出るんですよ、生きていられる保証は何処にもない。 ...
  • 16-589-1
    君と会うのはいつも真夜中 草木も眠る何とやら、テレビの画面の向こうはやたらと騒がしい。 疲れた目に決して優しくない派手な色合いのセットの中で、あいつは一際大声を上げては周りの共演者にはたかれていた。 「俺、芸人になって、ゴールデンで冠持つのが夢なんだ」 高3の秋、図書館でせっせと勉強する俺の隣で、至って真面目な顔であいつはそう言った。 「東京行ってさ、休みなんてないくらいガンガン売れて、毎日テレビ出てさ、」 その夢物語には俺も登場するらしい。ある日一緒にコンビを組もうと誘われた。 「バカ言ってんなよ、俺は家継がなきゃいけないんだっつってんじゃん」 ひいじいちゃんの代から続いている医院を継ぐ事が、生まれた時から俺ら姉弟に決められた将来だった。 元々両親と反りの会わなかった年の離れた姉貴は、俺が小学生の時に外国人と結婚してそっちに移ってしまい、俺はそれから両...
  • 16-569-1
    君が好きだ 雨がざぁざぁと降っていた。 僕はそれを教室の窓から憂鬱な眼差しで眺めている。 ――傘がない。 今朝は寝坊をして天気予報がチェック出来ていなかった。 朝、家を出るときには晴れていたから、まさか夕方になって急激に天気が悪くなるだなんて思ってもみなかった。 そうして大降りの雨を見ながら溜め息をついていると、後ろで教室のドアの開く音がした。 「どうして、まだ残っているの」 「あぁ、君か」 振り向けばそこにはクラスメートの鈴木がいた。 少し大人しいけれども明るくてとても良い奴だ。 僕はあまりクラスメートのことに興味など持ったりしない、所謂『変わった奴』だ。 そんな僕が何故彼の印象だけは覚えているかといえば、単純な話、彼に好意を持っているからだ。 他のただ馬鹿騒ぎをしているだけの奴らと違って、彼は明るいのに控えめで空気の読めるお人よしだ。 だから僕がクラ...
  • 16-569-2
    君が好きだ 「君が好きだ」 「へえ、俺は白身も好きだけどな」 朝食のサラダをフォークでつつきながら、彼は答えた。 頬杖をつき、かき回すだけで一向に食べる様子はないサラダに視線を据えて。 僕はもう一度繰り返す。 「君が好きだ」 「そんなに好きなら、俺のやるよ」 ぐちゃぐちゃになったサラダから、スライスされたタマゴを探し出し、僕の皿へと移す。 タマゴが形を崩してテーブルにいくつも落ちたが、彼は気に留めはしないようだ。 白い輪になった白身だけが、僕のサラダの上に積まれていく。 「君が」 「ああ、白身ばっかりになっちゃったな」 彼はそう言って、僕の言葉を遮った。 「悪い悪い。白身は嫌いなんだっけ?俺が食ってやろうか」 気怠く笑うその時の目も、僕に向けられはしない。 「ふざけないで聞いてくれ」 「ふざけてんのはお前だろ」 小さく吐き捨てるように彼は呟...
  • 22-509-1
    天然同士のバカップル 天然同士のバカップルって、お互いのことしか見えてないしそれが当たり前ってイメージです。 例えば、 受けが友達と立ち寄ったコンビニで食べた新作の食べ物が美味しかったら 「ウマッ! これ絶対今度Aと食べよーっ」と語尾にハートマークつきで笑顔で話す。 攻めが友達と食事に行ったら、 「友は本当に美味いもの知ってるな」と言いつつ、一口食べただけで無理にテイクアウト。 「腹へってるのにどうした?」と聞かれると、 「確かに空腹だけど、美味い物を受けと一緒に食べたらもっと美味しくなるんだ。だから、持って帰って食べる」 と平然と言って、友達残して帰ってしまう。 食べ物だけでなく、生活全てがこの調子。 何をしていても誰と居ても、攻めは受けの、受けは攻めの、話題や行動になってしまう。 最初はポカーンな友達もすぐになれて、「あー、はいはい」「ったくバカップルが...
  • 21-509-1
    人恋しい夜 疲れた体でベッドに寝転がる。今すぐ眠りに落ちたいんだけど、一人きりのベッドが酷く寂しかった。 いつもの事なのにたまにあるんだよなあ、こーゆーの。 寂しいっていうのもセックスしたいとかじゃなくてただ単純に寂しい。 ベッドにもぐりこんだ時にシーツが冷たいとか、帰ってきた時に部屋の電気が真っ暗だとか、 そんなのもうずっと前からの事なのになあ。 年食うと涙もろくなるっていうけど、これもその一種類なんかなあー。俺、寂しいなあー。 枕に埋めた顔をのろのろと上げながら、一度だけ迷って携帯を手に取った。 ……真夜中だ。まあ、何回か鳴らして、出なければそれで。そしたらまあ諦めもつくってもんでしょ。 寂しい気持ちが、以前だったら耐えられなかったけれどそこに諦めがつくようになったのも年取ったって事なんかなあ。 履歴に残りっぱなしの番号を探し当てて、発信ボタンを押した。...
  • 12.5-509
    真夜中に届いた、たった1行だけのメール。 朝起きてメールを確認すると、受信メールが二件あった。 どっちも親友。なんだろうと思ってメールを開く。 『好きだ』 件名、無題。本文、三文字。 送信時間は深夜一時。 『ごめん』 件名、無題。本文、三文字。 送信時間は深夜二時。 たった一時間の間に何180度回転したメール送ってんだよ! 自己完結?!俺の返事は待たんのか?!そりゃねーよ!! 剣豪×ごろつき集団
  • 15-509-1
    お互いに妻子ありの幼なじみ 「久方ぶりに時丸をみたが、ありゃあ本にお前さんの生き写しじゃなあ、なあ」 「阿呆、もうあやつはとうに時丸ではないわ」 もうろくじじいが、領主の名も忘れたのかと、同じく白髪のまじる年寄りが何やら皮肉を言っているが、もうろくと一緒に耳も遠くなったわと茶化してやれば、あの頃と変わらぬ血気盛んな剣幕で拳を振りあげてくる。 若い時分は、顔を合わせれば喧嘩ばかりしていた。元服して髷を結い、戦陣を駈けるようになっても、共に妻を娶り、子を持つようになっても、二人の関係は変わらず年ばかりを重ねたように思う。 齢17にして家督を継いだ男の、頭主としての双肩にのし掛かったその重圧や、己なぞが測り得るものではなかった。 だか、こやつを取り巻く周りが、目まぐるしく渦巻いては黒々と追いつめるようにこの男をせき立てていたことだけは、20に足りぬ若造にも嫌と言うほど感じるこ...
  • 15-509-2
    お互いに妻子ありの幼なじみ 「美咲さん今何ヶ月だっけ?」 「えーっと……8、かな。来週実家帰るって。あ、智子さん何度も飯お裾分けしてもらってありがとな。美咲より旨いから助かるよ」 たまたま帰りが一緒になって、駅から家までの10分を共に歩く。俺が住んでいたマンションにこいつが越してきて以来、よくある光景だった。 「あいつなんかの飯でよければ何度でも。そうか、もう8ヶ月か。じゃあウチんとこの圭介と一緒に学校通えるのか」 「だな。男の子らしいから、俺たちみたいに仲良くやっていけたらいいな」 「まったくだ」 そういってあいつは笑った。俺たちみたいに仲良くか。自分にしちゃ皮肉が効いているな、と内心自嘲した。こいつも笑って流せるくらいになったんだな。 俺とこいつは物心が付く前からのつき合いで、気づけば側にこいつがいた。喧嘩もしたし、親に言えないような悩みをいくつも相談しあった仲...
  • 28-509-01
    バレンタインデー 唐突だが、俺には恋人がいる。 幼馴染かつクラスメイトである俺たちの腐れ縁は発酵して、爛れて、どうしてか恋愛感情として落ち着いた。そいつも俺も男だが、俺達は立派な恋人である。今日も一緒に下校するため、校門でそいつの部活が終わるまで待っている。 話は変わるが、本日世間はバレンタインデー。店先には様々な種類のチョコレート製品が並び、おめかしをした女子たちがそれをきらきらと輝く瞳で見つめてはしゃいでいる。彼女らが各々の想い人に渡すのであろうチョコレートを購入している姿をなんとはなしに見ていると、隣から大きなため息が聞こえた。 「啓、」 いつの間にか部活は終わっていたらしい。女子たちを眺めている恋人の名前を呼ぶと、彼はこちらに目を向けた。 「華やかだよなあ、おい」 無視して歩きだすと、まてよ、と啓の足音が追いかけてくる。 「あーあ、今年は誰かさんのせいでチョ...
  • 16-149
    誇り 「何をする!」 荒っぽくベッドに突き飛ばされ、僕は怒鳴った。 「何をするって、あなたを抱くんですよ、鳳家のおぼっちゃま」 ネクタイを緩めながら、奴は言った。 「さっき、食べるためなら何でもすると言ったでしょう?約束は守っていただかなくては 困ります」 抱く?男の僕を男の奴が? 混乱する僕に構わず、奴は僕の上に覆いかぶさろうとした。 四つんばいになって慌てて逃れようとする僕を、奴は体を使って背中から押し潰すように 押さえつけた。 ベッドカバーと僕の体の間に押し込むように手を入れて、さっき着たばかりの風呂上りに 用意されていた新しいスラックスのベルトを外しにかかる。 「やめろ!やめろよ!!」 「大丈夫、痛くはしませんよ」 「やめろっつってんだろ!東山!!」 かつての学友であり、元・父の秘書、そして、父の死後に会社を乗っ取り、僕を無一文で 路頭に彷徨...
  • 16-109
    秘密を告白したあとで お慕いしていました。 貴方が戦火の中の村から俺を拾って下さった時から。 「おまえはもう私の子なのだから、下を向く必要などないのだ」と微笑んで下さった時から。 拾われてすぐに教え込まれた学問も剣術も、学ぶ喜びが無かったわけではありません。 ですが、貴方の喜ぶ顔を見たくて、大きな手で頭を撫でてほしくて、 私のことを誇らしげに語る貴方の姿を見たくて努力していたことを、貴方は知っていたでしょうか。 下賤の子だという侮蔑と嘲笑、暴力には、絶望を感じたことはありませんでした。 貴方がいたから。貴方さえそばにいて下されば、他のことなどどうでも良かったのです。 私のすべては貴方のためにありました。 あの日、国の領土を広げるため決断した結婚に、貴方は苦渋の色を浮かべました。 「おまえには愛する人と一緒になって欲しい」と静かに私の目を見つ...
  • 16-009
    お花見 「私が死んだら、この桜の木の下に埋めて下さいませんか」 ひとけのない真夜中の一本桜を見上げていると素直に本心が口をついて出た。 「執事に頼んでおこうか。そのときは私もお前と一緒にいくから」 「お戯れを。貴方は本家の当主となられる御身ではありませんか」 彼は私をきつく抱きしめた。 「放してっ。誰かに見られます」 「お前は誤解をしている。今までお前が負担に思わぬよう黙っていたが」 「何ですか、とにかく手を放して下さい」 「こんな辺鄙な場所での夜桜見物になど誰が訪れようか。顔を見られると私も恥ずかしいのだ。 このままで聞いておくれ」 「…」 「私はお前を無理やり花嫁に迎えたが、その時点で、本家に関する一切の権利を義弟に譲り渡してきた」 「…!」 私は息をのんだ。なんということを! 「金も仕事も地位も、一から築き上げていく...
  • 16-709
    裏切り者の憂鬱 とある組織に潜入する、ありていに言えばスパイだ。 物好きな幹部クラスの奴を適当にたらしこんで、適当にいい思いをさせてやりながら、 がっつかずに情報を仕入れる。そして欲しい情報が揃ったらハイサヨウナラ。 上手くやるコツは、仕事熱心だと思わせること、機密情報を聞いても興味のないフリをして 他愛もない話へすぐスライドすること、自分が相手に惚れてしまっていると勘違いさせること、 あとはベッドの中で数分でもいいから相手を忘我状態にすること。 男相手ということに免疫がない奴ほど、上手くいきやすかった。特殊な状況に冷静な判断ができなくなるらしい。 「お前も物好きなヤツだ」 こちらに背を向けてシャツの袖に腕を通しながら、今回の『お相手』がぽつりと言った。 「俺なんかに近づいても何も出ないぞ。俺は地位も力も何もない、ただの落ちこぼれだ」 「ヤることヤッとい...
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