*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「17-469」で検索した結果

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  • 17-469
    中二病×中二病 「サラリーマンだけにはなりたくねぇな」 俺はそう悪態をつくと最近覚えた苦いブラックコーヒーに口を付けた。 苦っ。苦みに一瞬顔を歪めるが、それを誤魔化すように瞳を閉じた。 俺はこの日も脳裏によぎった三文字を口に出さぬよう必死に取り繕う。 旨い。俺は違いの分かる男。同世代のガキとは違うんだ。 本音を言えば苦くてまずいが、 そう思うことでシュガーポットに手を伸ばそうとする未練を断ち切る。 ビルの三階にあるカフェは通りに面している壁がガラス張りになっていて、そこから下の様子などが見える。 俺は冷めた瞳で行き交う灰色の群衆を見つめていた。 スーツで武装し表を歩く生気も表情もない顔は見ていて不愉快で、いっそネクタイを窒息してしまうまで締めてやりたい。 見下ろした灰色の蠢きと自分に干渉する父親とダブり、余計に憎悪が増す。 ムカムカする気持ちを押さえつけよう...
  • 7-469
    そんな顔したりするから 死にネタ系苦手な人注意 短くてすまん。 ====== 「もう動かないね。」 震える唇を指でなぞる。 「ぼくの……せい?」 君は虚ろな眼でぼくを見る。 「そうだよ。君が好きになったから、あのこは動かなくなっちゃった。」 僕は君の髪をゆっくり撫でる。 「かわいそうにね。」 大粒の涙をこぼす君はとても綺麗で、とても愛しい。 「泣かないで、もうあのこは苦しくないし、痛くないよ。」 繰り返しごめんなさいと呟く君に何度も優しくキスをする。 そんな顔したりするから、僕はもっと君に酷い事をしたくなるんだよ。 そんな顔したりするから
  • 27-469
    ヤキモチ妬きなあいつ ん?何々? あぁ、プリント今日提出だったっけ。いいぜ、ほら。授業までには返せよな。 …は?佐々木?佐々木がどうした? ずっとこっち睨んでるって? あー、まあな、うん。原因は分かってるから。 何って?そりゃ…ヤキモチ、かな?ほら、俺とお前今喋ってんじゃん? あいつ可愛いんだぜ?女みたいにほっぺ膨らませてさ、「高野のばーか」だって。 その癖すぐにひっついてくるからもうほんと、可愛くて可愛くて。 え?惚気は他所でやれ?俺を巻き込むなって…はは、悪い悪い。 そんじゃ、プリント早く返せよ。 「…鯛焼き2つ」 「ハイハイ。仰せのままに、王子様」 恐い話
  • 7-469-1
    そんな顔したりするから 乗る人も降りる人もいない各停の鈍行列車が、目の前をゆっくりと通り過ぎていく。白地に青と水色の二本線が入った車体を見送っていたら、小窓から顔を出した車掌と目が合った。加速の緩い列車に乗った車掌は、たっぷり十何秒かはおれたち二人を怪訝そうな顔つきで見ていた。  地味な夏服のおれと、大きなドラムバッグを斜めに背負った先輩。  地元の私鉄の小さな駅の、プラットホームの端っこ。  一時間に一本の各停を見逃したのは、これで3回目だ。  そもそも2両編成の鈍行は、こんな端のほうまでは届かない。 「……あーあ、また乗れなかった」  線路がきしむ音が聞こえなくなって随分たってから、おれの傍らに立つ先輩がやけに間延びした声で言った。おれは黙って、自分の足元を見下ろした。何か言い返してやりたかったけど、あと一時間は一緒にいられるという切ない安堵と、一時間後には先輩はい...
  • 10-469
    騙す人騙される人 それでは久々に萌え語りしてみましょうか。 今回のお題は「騙す人騙される人」ということですが、皆さんの着眼点はどこですか? ちなみに私は騙す人が悪意を持って騙すのか、 騙される人が騙されている事実を知っているのかどうかの2点が気になります。 例えば、幼馴染で恋人同士の、攻めA君が受けB君を騙すとしましょう。 ここで、A君がB君を明らかに騙そうという意図を持ってB君に接触する。 A君は、「Bを裏切っている」という良心の呵責に耐え切れないで新たな嘘を重ねるかもしれません。 この場合のA君は真面目攻めというあたりでしょうか。純粋さが売りですね。 あるいは、「Bを自分の意図通りにするためには必要なことだ」と割り切り、開き直る可能性もあります。 こちらは先程とは正反対に、計算高さで魅了する腹黒攻めというあたりですか。 そして、対するB君は、果た...
  • 27-469-1
    ヤキモチ妬きなあいつ  やたらと背の高いスーツの男が夕暮れ時にぬぼーっとやってくるのにも、最近慣れたところだ。 「お、もう来たのか後藤。もうちょい遅くなると思ってた」 「先輩、あいつ誰」 「敬語を使え」  後藤の指差す方には、先程まで話していた女子高生がいた。 「……誰ッスか」  まともな敬語使えってだから……まあいいか。 「近所のガキ……だった子。久々に会ったけどデカくなったわ。もうあの子が近所のお姉さんって感じ」  正直、月日の流れがコワいところだけど仕方ない。俺のマンションに後藤を引き連れていく最中に、また後藤は口を開いた。 「さっきの。援交かと思いましたよ、一瞬」 「え、援交ってお前、そういうこと言うのやめろよ」  嫌な響きの単語にビクつきながら、生きづらい世の中になったもんだぜと呟くと、後藤はイヤミな笑みを浮かべた。 「先輩がそれだけオッサン...
  • 9-469
    ギターとドラム スタジオの重いドアを開けると、ドラムセットの前に直人がいた。 真剣な表情で、神経質にシンバルの位置を調整している。 「お疲れ」と声をかけてから「ああ」と返事らしきものが返ってくるまで十秒。 「調子どうだ?」と問いかけてから「うん」と返事になってないものが返ってくるまで三十秒。 ここで構って欲しいからとちょっかいをかけても、冷たい視線が返ってくるだけなので 俺は大人しくケースからギターを取り出して、壁際に座り込む。 外の音が遮断されているから、スタジオの中はしんとしている。 もう少ししたら他のメンバーが来て騒がしくなるが、今はドラムの音が微かに響くだけだ。 そのまま約十分間、直人は黙々と叩いては再調整を繰り返していたが、 不意にこちらを見て「アンプ、繋げば」と言った。 「この間も言ったけど、神崎が俺に遠慮する必要はないよ」 ...
  • 5-469
    ねるねるねるね 「…………」 攻めの肩に頬を寄せて、受けは寝言のように呟く 小さな声につられて攻めが視線を落とすと、柔らかな唇がすぅすぅと寝息を立てていた それは昔、二人がまだ出会ったばかりの子供の頃、攻めが受けに教えた呪文 家族と離れ、共に過ごした寄宿舎時代 三秒でおやすみの攻めが、寝つきの悪かった受けに気休めになれば、と教えたおまじない …あどけない記憶。 時は過ぎ 二人は共に、大人になった 夜が怖くて淋しくて、攻めを起こした受けも、攻めに負けじと三秒でおやすみ 仕事がハードなせいもあるけれど。 攻めの背中に隠れるような引っ込み思案も、今やバリバリの仕事の虫 上司先輩同期後輩にも妥協を許さぬ厳しい顔 攻めは窓を拭きながら、そんな受けを見てる 目があっても素っ気ない受けの態度にしょんぼりしながら、だけども。 けど、眠りに落ちて...
  • 1-469
    兵庫県民×大阪府民 「絶対俺のがおもろいて!」 「いいや認めん。大阪人がおもろさナンバーワン説はもはやただの神話や。」 「なんやと!?衛星都市住民のくせして!俺の書いたネタのが客受けよかったやないか!」 「お前、ガッコの隠し芸大会とオーディション一緒にすな!レベルがちゃうわ!」 「なんやと!?笑いのメッカ、大阪の若者に受けてんぞ?!」 「あぁもう!ああ言えばこう言う奴っちゃなあ!わかったわ!じゃあテストや!俺がツッコミ入れるからうまくボケろや。」 「おうやったるわ!・・・待て、ツッコミからボケて・・・おい、寄ってくんな」 「わかっとるやんwじゃいこか。おもろいボケかませや?w」 「ちょ、まて!アカンて!まっ・・ぅわああぁぁぁあ!」 殺人鬼×医者
  • 4-469
    ttp //grm.cdn.hinet.net/xuite/a9/42/11018309/blog_65709/dv/3811374/3811374.wmvの、ベンチの前と後ろに座っている、左端2人に萌えてください。  高々とセンターの奥へと打ち上げられたフライを捕球したのを確認してタッチアップ。 滑り込むことなく、悠々とホームベースを走り抜けた俺の目に、一人ベンチの隅へと座る姿が映る。 俺をホームベースに帰してくれた犠打を放った張本人。 仲間や観客に手を振って、一通り笑顔を向けて応えた後、いつも通りに相手へ近づく。 「よくやったじゃん。やっぱ、俺とは違ってお前には華がある」 派手な一発や印象に残るプレイはないかも知れないけど、この人がいるからホームへ帰ってこられる。 絶妙な場所へ狙ったように打ち上げる犠牲フライ。 もしかしたらヒットを打つよりも難しいかも知れないバ...
  • 8-469
    人でなし×お人よし 畦道に沿うた人々の列は千々に乱れ、今や阿鼻叫喚の体を成している。その小柄な身体は暗雲と共に訪れたつむじ風に巻かれて宙に躍り上がり、今となっては、空の高きより、ただ呆然と事の成り行きを見守る他無かった。耳の側で哄笑が聞こえる。首を反らして、身の自由を奪っている者を怒鳴りつけた。 「何故、斯様な真似をするのだ!今すぐ私を下ろせ!」 罵声を浴びた異形の者は金色の瞳を大きく見開き、 「そんなにあの大仰な神輿が気に入っていたのか?」 とおどけた事を言う。ぎり、と歯を軋らせて睨みつけるものの、どこ吹く風といった様子だ。 初めは村に住む少年の一人だと思っていた。祭事を司る神職に有ると言えど若輩者、全ての民を把握してもおらず、 見知らぬ顔に戸惑いはしたものの、無垢な眼に、自然と微笑が浮かんだ。油断をしていた訳ではないが、 人柱としての定めを受け入れ、土牢の...
  • 2-469
    病院と注射 突き当たりのドアを開ける。 診察室の主はこちらを振り返り、嬉しそうにギシギシと椅子を鳴らした。 「久しぶりだねぇ君。元気?」 この男は、いつ見ても場違いなほどにこやかだ。 「ここは病院ですよ先生。元気なら来ません。」 「たまには僕の顔見に来てくれたっていいじゃないか。で、どうしたの?今日は。」 御歳36になる若先生(通称)は、幼い頃かかりつけだった老医師の息子だ。 既に父親は引退し、診療所にただ一人の医師となった今もこの呼称は健在だ。 彼との付き合いは長い。初対面は確か中学生に上がったばかりの頃だ。 結核の感染を疑われたとき、ツベルクリン注射を担当したのが彼だった。 一週間後、赤く膨れ上がった6cmほどのツベルクリン反応を見て、 「おお、こりゃ立派なツ反だねぇ、こんなの初めて見たよ。」 と嬉しそうにのたまい、付き添い...
  • 6-469
    甘党 「クリームついてるぞ・・・」 唇の端についていた生クリームを舐めとられた。 「俺のとったな?!」 「・・・一口分も無いのにとったって・・・。」 そう言いながらこいつはうまい事俺を押し倒した。 畳が嫌に冷たく感じた。 濃厚な口付けをされて、体中愛撫されて・・・意識が曖昧になりながら“パフェ食いかけなのに・・・”って馬鹿なこと考えた。 長い口付けが終わると一言「甘い」と言われた。ああ、お前も甘いもん好きだったっけ? コタツの上に置いてあるコンビニの安いパフェが視界にうっすら見えた。でもそれもすぐにこいつとの行為でどうでも良くなるのだろう。 俺にとってお前はそんだけ甘い 雨に濡れて
  • 3-469
    張り込み中車内で2人きりの刑事達 「先輩眠いっす」 「うるせえ俺だって眠いよ」 張り込み開始からはや数時間。 まったく変わりのないマンションの入り口を見つめ続けて数時間。 「先輩寝ていいですかー?」 「あ?殺すぞコラ」 卒配されたばかりの後輩が先ほどから気力体力の限界を訴えてぶつぶつ言っている。 うるせえよお前。そんなんで刑事が務まるか。 「俺あんなむさいおっさんじゃなくもっと可愛い女の子張りたいです」 「俺だってそうだよ。つーかホシのえり好みなんかできるか馬鹿」 馬鹿は何人も見てきたけどホシのえり好みまでした奴は初めてだ。 筋金入りの馬鹿だな。 「先輩おなかすいた」 「俺だって減ってんだよ。つーかお前食うぞコラ」 頭から齧ってやろうかと思ったがこんなちっこい奴食いでねーだろうな。 「……先輩のえっち」...
  • 22-469
    執事と僕 トテテテテテ「ひつじさん!ひつじさん!」 「…君はなかなか訛りが抜けませんね…"し"」 「"ひ"」 「"し"」 「"…し"」 「"しつじ"」 「"し、つじ"、さん!」 「よろしい。さて、ご用件はなんですか?」 「あ!えと、お馬さんにお水、あげました!お庭のおち葉も、全部まとめました!」 「そうですか、君は仕事が早いですね。助かりますよ」ナデナデ 「ほかにお仕事は、ありますか?」 「そうですね…ではベッドメイキングのお手伝いをお願いします。」 「はい!」 「ああ、その前に台所に行って、おやつをもらってきなさい。君の分を取ってあります。」 「わあ!はい!いただきます!」トテテテテテ 「しつじさん!しつじさん!」 「...
  • 24-469
    女の子にモテまくってるけど隠れゲイな攻め 「おー、おあよー佐藤に琴ヶ峰さーん。今日も夫婦揃ってご登校か、仲いいねえ」 「はよー田中」 「田中! 夫婦じゃないってば! 私はこいつが家がとなりだから仕方なくー!」 「夫婦じゃねーけど、こいつ、前に田中と先に学校行ったとき、めっちゃ機嫌悪くなって大変だったから」 「あーもうヤメテー佐藤夫妻の夫婦喧嘩に俺を巻き込まないでー」 「はー教室着いた。琴ヶ峰さん、佐藤のことになるとガチ切れすっからこええわー」 「あいつ、ムキになりやすいんだよ昔から。あ、そういやこの間田中が言ってたゲーム、クリアしたから貸すぞ」 「お、マジでマジで、さっすが佐藤さまステキー」 「ちょっと!!! 2-E佐藤!!! いる!!!?」 「びびった。なにあれ、3年の都大路さんじゃん。佐藤知り合い?」 「……? いや、あんな金髪...
  • 28-469
    プリクラ 「よし、プリクラとろうか」 UFOキャッチャーに熱中していた俺を、アイツが引っ張ってきた。 「待てって、あのピ○チュウがあと2回で取れるんだってば」 「時間ないんだから急げって!」 脇から手を回されて強制送還。ああ、俺のピ○チュウが。 ……時間がないのは分かってる。電車の時間、あと30分だってことも。 だから何か記念になるものを残したいんだってこともわかってる。 あんなゴツイ面で可愛いもの好きだから、ぬいぐるみでもあげようと思ったのに。 アメリカでも人気なんだから話のとっかかりにはなるだろうに。 「ほらUFOキャッチャーなんていつでもできるんだから、入れって」 ぐいぐいと強引にプリクラの機械に押し込まれる。 「お前一期一会って知らないのかよ。ああいういいプライズはなかなかないんだぞ」 「あーもーうっさいなー、いいから撮るぞ...
  • 23-469
    妹が、お前のこと好きだって 「妹が、お前のこと好きだって」 「…………無理だろ」 突然の投げかけに真意を掴みあぐね、ようやっと言葉を返す。 「もし俺とお前が付き合ってます、付き合ってましたって知られてみろよ。 そしたら多分あいつまず泣くじゃん。それはめんどくせえよ」 そう言って様子を窺えば、顔はずっと手元の本に向けられている。 こいつら双子の兄妹は、二卵性だからそんなに似てないよと揃って言うけれど、 俺から見れば二人とも母親ゆずりの顔と、母親ゆずりの真面目さをそっくり持ち合わせていた。 「さすがに、親子丼ならぬ兄妹丼なんて勘弁したいし」 顔は、ずっと手元の本に向けられている。 何でもないように見えるけど、止まった手と対照的に目線がきょろきょろとせわしなく上下していた。 そのいかにも危うげな様を見て、ああまたかよとげんなりする。 自分の中の正道と現実がぶつか...
  • 16-469
    文房具 「ねぇ、緑鉛筆さん。緑鉛筆さんは時々不安になったりしませんか?  僕たち鉛筆はいったいいつまで皆さんに使っていただけるんでしょうか、って」 「あ?何くだらねー心配してんだよ、えび茶鉛筆。  んなもん決まってんじゃねーか。人が物を書き続ける限り、ずっと、永遠に、だよ」 「そう思いますか?でも、今はほとんどの方がパソコンをお使いになるし、  手書きの場合だってシャープペンさんやボールペンさんの人気が高いですし」 「ったく、エリートさんてのはなんでこうつまらないことでくよくよ悩むかねぇ。  あのな、お前さん、お前さん一本がいくらするか知ってるか、なぁ?  100円玉一個じゃ足んねーんだぜ?タイ焼き一匹より高価なの。わかるか?  そんだけの値段払ってまでお前のこと使いたいって人達がいるってことなんだぜ?」 「そう、ですよね。僕にそれだけの価値を見出してくれてる方...
  • 21-469
    思ってたのと違う 俺はさ、全部隠し通すかいっそ全部ぶっ壊すかのどっちかしかないと思ってたんだ。 つうかおかしいだろ、なんで俺あんたの事好きになってんの。 そりゃ好きだったよ優しい兄貴分とかいい友達とか初めは確かにそうだった。普通そんなもんじゃないか。 世話好きなんだけどちょっとズレてて、でもそれがどうにも俺への好意120%で出来てるものだから 俺はいつもぼそぼそとありがとうって呟くだけでそれに昭兄はくしゃくしゃの笑顔で笑うんだ。 ねえもう我慢できないよと夢の中の俺が俺に囁く。 初めは囁いていたけどしまいにはいい加減にしろ早く白黒つけやがれこの馬鹿!と叫ぶくらいになってきて いよいよ俺は不眠症になりかけ、元々明るくもない性格が益々塞ぎこむようになってしまった所に昭兄登場だ。 どーしたんだよ、和志、なんていかにも年上の優しさでもって俺の目の前でふんわり笑う。 …...
  • 20-469
    もう好きにして ※軽く暴力表現あります あの日、彼は唐突に、何の感慨も浮かばない目で言い放った。 「もう好きにしていい」 彼の言葉の意味が理解できなくて、僕の頭はフリーズする。否、本当は理解していたからこそ、理解できないフリをした。 「ぁ、え、と」 目を泳がせて、しどろもどろに声を洩らす僕に、彼は珍しく舌打ちさえもしなかった。 「お前を解放してやるって言ってるんだよ。散々、良いように利用してきた俺が言うのも可笑しいけど、こういうのやっぱ良くねぇよ。 忠犬ごっこはもうおしまい。好きにしていいよ」 彼の真っ直ぐな視線が僕の瞳を射抜いていた。 違うのに。違うのに、違うのに、という思いは頭の中をただぐるぐると巡るばかりで、喉元にすら迫り上がってこない。 彼は間違っている。今まで彼の命に従ってきたのは僕の意思で行なっていたことだ。 ...
  • 25-469
    お父さんに似てるね 僕の父は、チャラくて金髪でプラプラしていて、そんな父の様子を反面教師に育った僕とは正反対の位置にいます。 僕は黒髪で眼鏡をかけていて、真面目に生きる事を信条としています。 そんな父が先日、亡くなりました。 葬式の席には、父の幼馴染(僕はのぶおじさんと呼んでいます)がかなり憔悴した様子で参列していました。 おじさんは僕と同じように真面目で勉強が得意な人です。なぜ父と仲が良かったのかわかりませんでした。 父は決しておじさんのようにはならず、いつも僕に、なぜ俺に似ないでのぶにばかり似てるんだと言っていました。 しかしおじさんは、泣き腫らした目で僕を見て、 「なんだ…そこにいたのか、駿」 そう言って、僕のおでこを撫でました。 僕は、「僕はお父さんじゃないよ。のぶおじさん」と言いました。 おじさんは薄く笑って...
  • 26-469
    お説教 「お前は、食った食器を水に漬けとけって何度言ったら分かんだよ!」 今日もスミに説教を食らう。 几帳面なスミと、ズボラな俺。しっかりしてるスミと、うっかり者の俺。 同い年なのに。ガキの頃からずっと、何かにつけて俺はスミに説教されてる。 今も、晩飯を食い終わって食器を放置していた俺に、風呂から上がるなりスミが説教を始めた。 「洗えって言ってんじゃないんだぞ。せめて漬けておくくらいしろ!乾いたらどんなに落ちづらいか…」 親に説教された回数よりも、スミに説教された回数の方が確実に多い。 まあこの説教も、母ちゃんによくされたけど… でも今は、スミにばかりされている。狭いアパートで、寝食を共にする今は。 「ごめんなさい」 「態度で示せ!そう言ってちっとも治んねえな!飯抜きにするぞ!」 「わーマジごめんなさいいいい!」 実は、説教を聞くのは好きだ。なんて言ったら本...
  • 18-469
    ゼロ距離 「…ひま」 「…おおー」 「…なんかすることないの」 「…」 「返事ぐらいして」 「…俺はね、人生を楽しむにはちょっとしたスリルが必要だと思うわけ」 「ん?うん」 「ここにポッキーがあります」 「ありますね」 「さて問題ですポッキーがあってヒトが2人でやることと言えば?」 「えっお前何考えてんの」 「答えは?」 「ポッキーゲームだろ、やだよ何で俺がお前とポッキーゲームやんなきゃいけな…、っ!」 「俺はね、人生を楽しむにはちょっとしたサプライズも必要だと思うわけ」 「…」 「…嫌、だった?」 「……別に…」 「良かった」 やっと埋まった、最後の距離。 卒業
  • 14-469
    すっげーオンチな鼻歌をあこがれてる人に聞かれてあせる! 放課後になると、音楽室から聞こえてくるピアノの音。 俺の憧れの、広瀬先輩の弾くピアノの音。 先輩のピアノを聞くために、ひとり教室に残ることが気づけば日課になっていた。 沈む夕日を眺めながら、今日も待っている訳だがいっこうに聞こえてこない。いつもの時間を、20分も過ぎていた。 今日は弾かずに帰ってしまったのだろうか。それとも、教師に捕まっているとか?もう帰ってしまおうかとも思ったけど、後少ししたら聞こえてくるかもしれない、と思うと帰れなかった。 先輩がいつも弾いている曲はなんていう曲なんだろう。 綺麗な顔立ちの先輩に似合った綺麗な曲だ。 「ふんふんふん~ふふふ~」 こんなんだっけ?違う気がする。 「ふふ~んふんふふ~ふ?」 「ブフッ」 ん?俺の鼻歌に混じって誰かの吹き出した声が聞こえた気がした。 何...
  • 15-469
    お幸せに 「大丈夫だと言われたんだがね、それが全然大丈夫じゃなくてね」 「はあ…それで先生はどうしたんですか」 「どうしたと言われても…我慢したとしか…」 「…お気の毒に」 「全然気持ちよくなんかなかったよ、下手くそで」 「それは、その、ごめんなさいと言うべきでしょうか」 「謝罪の気持ちがあったら君は治療に専念したまえ」 「はあ…でも僕の病気が治っちゃったら教授が困りませんか」 「…君も言うようになったな。そもそも君の病気…まあつまり多重人格だが、それはそもそも 君の抑圧された感情によって起こっているわけで…その兆候が薄まりつつある今、確実に回復に向かっているわけだ」 「ですから、そうしたら教授が」 「困るものか、あんな男、私は別に好きじゃあない」 「でも…したんでしょう、あいつと」 「…それは」 「でもちょっと矛盾してます...
  • 19-469
    あくびの出そうな朝  部活の合宿ともなると、みんなで深夜まで馬鹿騒ぎして、 翌日眠気を引きずりながら朝を迎えるのはよくあることだ。 木田も例によって仲のいい友達の部屋に押し掛け、こっそり 持ちこんだおやつを肴に深夜までカードゲームや雑談に興じていた。  いつの間に寝ていたのだろう、ハッと目が覚めると友達の 部屋で椅子に座ったままの体勢で寝ていた。あたりに散らばった トランプや菓子の袋を見て「しまった!」と頭が真っ白になった。 朝になれば起こしに来る先輩や顧問に見つかったら大目玉を 食らうのは目に見えていた。罰としてトレーニングメニューを 増やされたらたまらない。周りの友達を起こそうにもぐっすり 眠っていて起こしたらいけない気がして、木田はこっそり自分の 部屋に戻り、持参した大きなゴミ袋を持ってきた。  あらかた片付いた部屋を見まわす。...
  • 8-469-1
    人でなし×お人よし 「僕はね、医学生であって医者じゃないんですからね」 真夜中に呼び出されて、傷の手当てをさせられるのはもう何度目だろう。その度に同じことを繰り返す。 「頼みますから、ちゃんと病院に行ってください…必ずですよ?」 今まででも一番ひどくやられている様を見て、少し厳しい口調で言った。 彼は曖昧に返事をして誤魔化すように笑ったが、すぐ苦痛に顔を歪めることとなった。 どうして、あなたがこんな目にあわなけりゃならないのですかと、聞いたことがある。 こんなことくらいしかできないからだと、彼は答えた。 答えになっちゃいないと言ってやった。 「確かにあいつがやったことは人としてあるまじき行為かもしれない。  それでも俺は、それが正しいことだと思ってる。あいつは間違ってない」 信じてるんだと続けた彼が何故か少し妬ましく、僕は意地悪を言う。 「法が禁じてい...
  • 2-469-1
    病院と注射 真っ白なアイツ。 ココにはじめてきた時、はにかみながら挨拶してきた。 綺麗なアイツ。 「僕は嫌われ者なんだ。」 アイツは笑いながら、そういった。 「混んでるし、痛いことするし、」 いや、そのイメージの半分くらいは俺たちのせいだろうが。 「治ってく患者さんたちを見るのは嬉しいんだけど、やっぱりなくなっちゃう人もいるしね。」 そう、寂しそうに笑った。 アイツとは包装のビニール越しにいろんなことを話した。 でも俺はやっぱりアイツの笑顔が好きみたいだ。 どんどんと俺たちの仲間が減っていく。 この前新入りの奴も来た。 仕方が無い。 オレたちは一回きりの命だ。 アイツと同じ空気を感じられるのは、針を携えて赴く時だけ。 そしてそのまま捨てられる運命だ。 ある日、とうとう俺の番が来た。 ...
  • 17-489
    黄金時代 部屋の掃除をしていたら、高校時代のアルバムが出てきた。 それは禁断の書のように、本棚の奥に眠っていた。 俺はそっとアルバムを開いた。湧き上がる懐かしさには勝てなかった。 写真は見事に俺とあいつばかりだった。しまった、と一瞬後悔した 女子の数が足りなくて、あいつと踊るはめになったフォークダンス。 二年の林間学習の時、こっそり撮ったあいつの寝顔。 一杯のコーラにストローを二本差して、一緒に飲んでいる俺とあいつ。 一緒にコーラを飲んでるのは、確か三年の修学旅行だっけ。 行き先は遊園地でやけにはしゃいでいた気がする。 この写真は確か、変なノリだった俺たちを他の友達が撮ったやつだ。 お前ら何やってんだよ、って馬鹿にしていた笑顔で。 あの時は恋人っぽく振舞っても茶番劇で済まされていたから楽だった。 あいつと俺は卒業後、別々の道をたどった。 俺は...
  • 17-439
    どちらかしか選べない 「ああああどうしよう! 俺選べないっ!」 アイスクリームのショウウインドウを前に、ユキオが頭を抱えてうんうん唸っていた。 ユキオは、二百円ちょいしか持ってない。俺はおごってやる気なんぞこれっぽっちもない。 だからコーンにアイスをダブルで盛るとか、ましてやトリプルにしてうはうはするなんてもってのほかだ。 ミントかチョコチップ。俺の隣で、彼はどっちにしようか決めかねている。かれこれ二十分。 店内に客は二人。そろそろ、店員さんの笑顔がある手前いづらくなってきた。接客ってなんて大変な仕事なんだ。 「河野ぉ、ねえどっちがいいかなあ。もうおまえ選んで!」 小動物みたいな目でユキオが俺に嘆願してくる。おおげさに肩を竦めて、じゃあミントにしなと頭をぽんぽんした。 素直にユキオがミントを注文し、受け取って隅っこの席に座った。 俺はそれを追わず、自分ぶんのアイ...
  • 17-449
    手と手が触れた 話しかけてもほぼ無視。あいつは昨日のケンカをまだ引きずってる。 悪いのは僕じゃないって、向こうも分かってるはずだ。だからこちらからは謝らない。 今日のパーティにはただでさえ知り合いが少ないってのに、あいつがあんなんじゃ、喋る人間がいない。 つくづく自分の人見知りっぷりに嫌気がさす。 さり気なく隣に座る。あいつは僕を一瞥して向かいの人間と喋ってる。あいつの社交性が羨ましい。 机の下に置かれた手の横に、さりげなく自分も手を置く。 触れたとき、やつの手が少し動いたところをみると、向こうも気にはなっているらしい。 でも、意地でも話しかけてこないんだな。笑っている横顔にムカついてくる。 誰かが僕の名を呼んだ。 苛ついていた僕はいいきっかけができたとばかりに、席を立とうとした。 でも、できなかった。 机の下であいつが僕の手を掴んで離さない。 あいかわら...
  • 17-459
    同僚カップルとその片方に片思いする後輩 「大槻さんってえ、ほんっと超かっこいいすよね。出来る男って感じでえ」 「もっと褒めていいよ」 大分酔ってたけど向こうも酔ってたみたいで、普段真面目な大槻さんが冗談めいたことを言っていた。 俺が注ぎすぎてこぼして、すいませんと言ったのも気に留めてないようだった。 何話したかよく覚えてないけど、とにかく大槻さあん大槻さあんと言っていたら先輩が来た。 「お前どんだけ飲んでんだよ、後輩に情けないとこ見せんな」 大槻さんはふいと顔を背けて、先輩を故意に無視している。まあ二人はそれだけ気安い仲なのだ。 俺は大槻さんの仕草が子供っぽすぎてちょっと笑った。 「早く帰れ。陣内さん一緒の方だろ、今帰るとこだから」 「帰らねーよ」 「帰れアホ」 先輩は口汚くそう言いつつもかいがいしく大槻さんの世話をして、酔ってふらふらな身体を引っ張り上げた...
  • 17-419
    思い出のなかに生きる人と見守る人 会話の途中で目が不自然に揺れたのに気づいてしまった。 テーブル横の通路をトレーを持った集団が通りすぎる。 夕方のファーストフード店。学生らしき客が多く、店内は雑然としていた。 この席もそうだった。 確か、クラス委員長の山本の彼女が可愛いらしいという会話だった。 「で、可愛いって何系よ?」 何も気づかない振りをして話の続きを促す。 「ん、あー…、あっ○ーな?らしい」 「マジか!それは意外なとこきたな」 だよな、と笑う。さっきの一瞬なんてなかったことになった。 これでいいんだと安心する。 たまに見せる表情に本当は気づきたくなかったんだ。 いつも同じ他校の制服を目で追うことも、その似合わないピアスを触る癖も知ってる。 ワックスを変えた時に微妙に避けられていたのも分かってた。 だけど理由は知らない。知りたくもない。 なぁ、も...
  • 17-479
    家族か恋人か 同棲していた恋人と別れた。 理由は、奴が実家から勧められたお見合い相手との結婚を決めたから。 そりゃなあ、銀行関係は結婚して初めて信用できる一人前の銀行員として 認められるそうだから、いつかはこうなることはわかっていたんだが。 わかっていたからと言って、平静でいられるわけじゃないんだよな。 ともかく、奴の部屋は出て行かなければいけなかった。 元々最小限だった荷物を抱えて転がり込んだのは、年子だけど同学年の 弟の裕樹の部屋。 ルームシェアしていた友人が海外赴任で出て行った直後だなんて、すげえ タイミング良くて笑える。 風呂上りに、共有リビングで共有キッチンの冷蔵庫に冷やされていた裕樹の ビールを飲む。 俺はいつも発泡酒ばかりなのに、裕樹の奴、エビスなんぞ常備してやがる。生意気な。 俺が5本目のエビスのプルタブを開けたところで、風呂から裕...
  • 17-499
    指舐め 「あっ…、ん…」 下半身に与えられる快感に思わず身体を振るわせる。 すると首輪に繋がっている鎖がジャラと音をならした。 僕を拘束する鎖はご主人様に与えられたものだ。 鎖を意識するとさらに快感が身体中に駆け巡った。 「あぁ…っ」 「汚い…」 達した余韻に浸っていた僕の目の前にずいっと指を近づける。 僕が出した精液がご主人様の指に絡み付いていた。 それを躊躇せず口にくわえ、指の間に舌を這わす。 これは合図だ。 ご主人様が僕に抱かれたいという合図。 一通り指を舐めちゅっと音をさせて口をはなし、手首から肘にかけて唇を這わす。 「自分の精液を舐めるなんて、変態だな…」 ふっと鼻で笑い僕を見下ろす。 汚いものを見るような目付きだが、その奥に興奮の色が見える。 「ごめんなさい…」 言いながらご主人様の股間に顔を埋める。 そこは既に硬くなっており...
  • 17-409
    さあ踏め! 「さあ僕を踏むといいさ」 そう言われて、はいそうですかと踏みつける事ができる人間が一体どの位存在しうるのか 俺は途方にくれて天を見上げた後、目の前でタルーンと寝転がる彼を見つめた 「ふふふ、何を混乱してるんだ?踏め踏め僕の腹をグリグリしろ」 彼は更に仰向けになると身悶えながらじりじりとにじりよって来た 踏めと言われてもなぁ「間違えて腹を蹴ったらどうするんだ」 そう問うと、いきなり涙目になって怯えだした 「酷い、酷いよ、僕をいぢめるの?」 …踏むのはいいのか? 「それはスキンシップだから!愛情だから!!」 愛情なのか… 俺はそっと足を上げ、柔らかい腹にそっと乗せた。そのまま撫でる様に上下させる いや、本当に足で撫でていたんだ。彼はすこぶる機嫌良さげで嬉しいらしい さて、もういいだろう。「立ちなさい。お散歩にいくぞ」 「ワ~イお散歩お散歩~!!...
  • 21-469-1
    思ってたのと違う 「そぉーいえばさあ」 服を脱がせていると、昭仁がいきなり声を上げた。 俺は昭仁のシャツを脱がせて放り投げながら、何?と目線だけで先を促す。 昭仁はふざけて俺のシャツに手をかけて脱がせようとする。 あのさあ、今俺が昭仁脱がしてるんだから邪魔しないでよ。 「今さぁ、お前と会った時のこと思い出してたんだけどさー」 「はあ」 昭仁、足浮かせて。 ん。 と俺達は間抜けにも服を脱がせ合いながら会話を続ける。 昭仁が腰を浮かせるので俺はズボンをそのまま下ろして足首から抜くと、今度は昭仁が俺の服に手をかける番。 「懐かしいよなぁー。昔さあ、和志、俺の事さー、」 ……なんか嫌な予感がする。そして、昭仁がにやにやとだらしなく緩ませた顔を見れば 多分俺のこの予感は8割方当たっているんだろう。ああ、もう。 「……昭兄、なん...
  • 12.5-469
    愛の戦士? ちょっとおまいら聞いてくれ。 俺の幼なじみ超可愛いんだよ。俺とタメなんだけどさ。 ありえねーの。超いい奴でさ。ホントいい奴でさ。まさに俺の天使って感じなんだ。 クラスじゃ女子に人気があるわけでもないんだけど。 むしろちょっと怖いとか感じ悪いとか言われてることもあるけど俺はハア?って感じだね。 お前ら見る目あんのか?とか思うよ。確かにあいつキツイこともあるけどそれはフェイクなんだって。 あいつは色々不器用なだけでホントはすごいいい奴だから。 まあそんなわけで俺はそいつ大好きだから、一緒に帰ったりもしてて、 ついに「お前好きな奴いたりする」って聞いてみたんだよ。 絶対いないと思ったね。じゃなきゃ聞かないだろ常識的に。 でも駄目だった。うん。いたんだよ好きな奴。隣のクラスのバスケ部の奴。 マジちょっと泣きそうだったよ。そりゃ泣けないけど。 ...
  • 22-469-1
    執事と僕 「書類は揃えましたし、当座はあれで大丈夫でしょう。  …さて、御主人様は…軽い脳震盪、ですかね。  気絶というより、もう眠っておられるようだ。  だいぶお酒を召し上がられているようだし、最近お忙しくてお疲れだった影響もありそうですね。  ベッドに運んでおきましょうか」 ファサ 「一応、朝起きたら医者を呼ぶようには指示しておきましたが、  変ないびきもかいていないようですし、とりあえず無事そうですね。  …良かった。」フウ 「さて、待ち合わせまであと1分少々ありますね…ふむ。」 「ご主人様、起きて下さい。」 「…うーん、もうちょっとー…」 「朝ですよ。起きて下さい。」 「…あと少し…だけ…」 「起きなさい!ぼっちゃま!」 「ひあ!爺!?ごめんなさい!…え?」 「おはようございます、御主人様。  …まったく、だからあれほど御就寝前のお酒...
  • 23-469-1
    妹が、お前のこと好きだって 「お前彼女いんのか?」 「はっ?」 大学に入って、お世話になっていた叔母の家を出て一人暮らしを始めた。 いつまでも迷惑をかけられないと、両親の遺してくれた俺のための預金は学費を払うのには十分足りたし、バイトで生活費を稼げばなんとかやっていけるもんだった。  理由はそれだけじゃないけど。 「なんだよ、急に来ていきなり……」 「いやーさすがに大学入ったらなあ。自ずと出来るもんじゃないのか?」 「圭さん、それ俺の友だちの前で言ったらぶっ飛ばされる」 「おっ? じゃあお前はいるのか?」 圭さんの頭の後ろに、わくわくという文字が浮かんで見える。そう輝かしい目で見つめられたってなあ。本当に、こっちはひとつもおもしくない。 「残念ながらいないよ。作る気もない」 「えー、マジかよ。若いのに有り余る性欲どこで発散すんのお前!」 「うるさいな! そ...
  • 28-469-01
    プリクラ 「男同士でプリクラってのは恥ずかしくないか?」 「堂々としてれば、そう気にする人はいませんよ」 「しかし…こんなおじさんとで大丈夫か?」 「まだ三十半ばでしょう。まだまだですよ」 彼と知り合ったのは、ゲイコミュニティの掲示板だった。 ヤリ目的でタチネコスリーサイズが踊る中、ただ「誰かと話がしたいです」というメッセージだけが残されていた。 場所も近かったので好奇心で待ち合わせてみると、やってきたのは疲れた顔をしたサラリーマンだった。 誰かと話したいというわりには彼はひどく無口で、佐山さん、という名前を聞き出すのさえ1時間くらいかかった。 それでも、ぽつぽつとたわいない話を続けているうちに、少しずつ自分のことを教えてくれた。 昔、とても大切な幼馴染がいたこと。 その人に友情というだけでは片付けられないほどの想いをもっていたこと。 それ以上好きにな...
  • 17-439-1
    どちらかしか選べない 神様、僕は何か悪いことをしたでしょうか。 思えば幼稚園から大学まで地方の中流を渡り歩き、我ながら何の変哲も無い人生でした。 それなのになぜ僕は今、見も知らぬ男に圧し掛かられているんでしょうか。 「突っ込みたい?突っ込まれたい?」 舌を噛んで死ぬべきか、なんていってもそんな根性僕には無い。 死ぬなら男とでもセックスしたほうが良いのか? どうなんだ?逃げるのか? ああ、けっきょくあまりにも平凡な僕はするかしないかではなくて、 ヤるかヤられるかしか選べないんだろう。 「突っ込みたい?突っ込まれたい?」 頬を吊り上げるようにして男が耳元で囁く。 答えはそのどちらかしか選べないだろうとばかりに、 手と手が触れた
  • 17-499-2
    指舐め 僕が子供の頃、近所にケーキショップがあって、いい匂いをいつも漂わせていた。 甘いもの好きの僕は、毎日のようにショーウィンドウから店内を眺めていたものだ。 奥でケーキの飾り付けをしているのを見て、僕も将来あんな仕事につきたいと思ったのもこの頃。 飾り付けをしている人の指示で厨房をせわしなく動いている人がいる。 ああいうのはやだな、と子供心に思ったっけ。今だから分かるけれど、彼は見習いの若いパティシエだった。 ある日、いつものように店の前に行くと、その日は見習いの彼一人だった。準備中らしく、客もいない。 僕を見かけると、彼は微笑んで、おいでと言うように手招きした。 言われるままに店の中に入ったのはいいが、母親がいる時と違って一人なので少し心細くなる。 「君いつも見てるよね。ケーキ好きなんだ」 僕は答えに困った。もちろん好きだけど、食べるのが好きみたいに思われ...
  • 17-499-1
    指舐め 校舎の屋上で、俺と高梨は5限のグラマーをサボっていた。 高梨は、屋上の入り口のドアのところにある段差に座りながら、誰かが置き捨てていったらしい エロ漫画雑誌をどうでもよさそうにめくっていた。立って反対側からそれを覗き込みながら、 ふと思いついて俺は言った 「口でされるのって、どういう感じなんだろうな?」 「口でされる...?」 俺の言葉に、高梨はきょとんとした表情で俺を見上げた。 「フェラだよ、フェラチオ」 「ああ...そういう意味か」 なあんだという高梨の表情に、俺はちょっとむっとした。 「なんだよ、お前、興味ないのかよ...それとも、経験済みか?!誰だ?クラスの女か?!」 「女と経験なんかしてねえよ。興味も、ないわけじゃない」 経験無いという高梨の言葉に、俺はほっとした。 高梨は顔立ちの整った、穏やかな性格で、女子の間でも人気がある。ぱっと見...
  • 17-419-1
    思い出のなかに生きる人と見守る人 双子の弟が事故でいなくなってしまった。 しばらくして、弟のパソコンを開くと沢山メールが届いている。 全部同じ人物からで、英語だった。 内容は、メールが返ってこないことへの不安がひたすら書かれていた。 弟は最近まで留学していたから、多分そこでできた友達だろう。日本の知り合いには一応連絡をしていたけれど、彼のことは気づかなかった。 僕は弟のメールソフトから、彼に弟はもういないことを告げた。 なのに、未だに彼から毎日のようにメールが送られてきている。 内容は、今日何をしたとか、こんなことがあったとか、そんな些細なことが綴られていた。勉強し始めたのか、短い拙い日本語でメッセージが添えられていた。 「あいたい」「さびしい」「またあいましよ」 彼のメールを読んでいると、まだ弟がここにいるような気がする。 「日本 い...
  • 17-169
    神様 横断歩道、突然目の前に現れた車体。なにが起きたのか判断する間もなく目の前が真っ白に染まり数秒の浮遊感。 あ、もしかしてこれやばい? 思った瞬間固い何かに叩きつけられ一瞬呼吸が止まった。 体中がびりびりと痺れ、あたまの中身が揺れる。 目の前にはコンクリート。赤い何かが広がって、あれ、俺死ぬ? 冗談じゃない神様。俺にはこれからやらなきゃならないことがあるんだ。 今日こそは今日こそは、思い続けて一年間。恋愛運は二重丸。おみくじは大吉。やっと踏ん切りがついたんだ。 あいつに言いたい事があるんだよ。 いっつもからかってばっかりだけど、俺はお前が好きなんだ。笑った顔も怒った顔も困った顔もぼーっとしてるときも、全部好きなんだ。 冗談じゃねえよ、これからあいつに伝えに行くところだったんだよ。待ち合わせの時間がもうすぐなのに、約束破るわけにはいかないんだよ。 初詣の時ぐらい...
  • 17-569
    ピエロとブランコ乗り ピエロの頬には涙。 ドーランで描いたこの模様だけが、僕が流せる涙なのです。 素敵なブランコ乗り、長いしなやかな体と明るい目を持つ、 次から次へとブランコを飛び渡る彼の芸のように遊び上手なあの男と、 実のない関係を結んでからずっと、僕はちぎれてしまいそう。 笑っていただけるならそれもよし。 綺麗なダンサー達や、艶めかしいライオン使いの娘を横目に、 彼の後ろをおろおろ、ヨロヨロするもんだから、 テーブルから落とした酒瓶とグラスを3つずつ放り投げ、 蹴つまずいてボールに乗っかって、 哀れなピエロは恋しい相手と逆方向へ転がり落ちていくのです。 不実な、とは申しません。これでも僕はピエロです。 捨てられて女のように泣くばかりじゃ、仕込まれた芸が泣くってもんです。 男が男に遊ばれて、尻を抱えて這々の体。 美しい一夜の思い出でございます。 あ...
  • 17-769
    思われニキビ 昔の相方をなくした芸人は、どれぐらいかわいそうなんだろうか。 親兄弟をなくすぐらいなんだろうか。それとも、親友ぐらい? 「つらいでしょ?」とか、「しんどいだろうね」とか、訳知り顔で言ってくる人間や、 俺を痛々しそうに見てくる人間は、どれぐらいだと思っているんだろうか。 というか、何を理解しているんだろうか。 俺とアイツが、どんな関係だったかなんて、知らないくせに。 語るつもりもなければ、分かってもらうつもりもないけど。 それを口に出すと仕事がなくなるから、あいつに関しての質問は、全て曖昧な 笑みでかわしている。 新幹線でため息をつくと、今の相方が俺を見た。 「ため息ついたら、幸せが逃げますよ」 俺は彼の言うことを、無視する。しかし、それでへこむことはない。 「もー、新堂さんは、いつもそうですよ。ひどい」 ふてくされたように言う相...
  • 17-969
    極悪人と偽善者 「難しいお顔ね。どうなさったの」 女の声がした。華奢な骨格に似合わぬ艶のあるアルトに、からかうような響きが混じっている。 君か、と男は振り向きもせずに言った。女が近付いてきても、特に関心を払う様子はない。 椅子に掛けて脚を組み、放心したように暖炉の炎を眺めている。 女は男の背後に立ち、両腕を回して甘えるようにしなだれかかった。 「どうせ、あの人のことを考えていらしたのでしょう」 「人畜無害にみえて、したたかな男だ。この私を出し抜くとは」 「ふふ、いい気味ですわ」 「君はあの男に味方するのかね」 「だって、愉快じゃありませんか。貴方みたいに傲岸不遜な悪人がいいように振り回されて  ……自分の尻尾を追いかける仔犬みたい」 女はいよいよ愉快そうに、声を立ててわらい出した。 「ふん。君はよほど奴のことが気に入ったとみえる」 「ええ……そうね。きっ...
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