*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「19-049」で検索した結果

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  • 19-049
    チンポ狂いの超淫乱係長 係長であるからには、大前提としてリーマン。 白いシャツ、ネクタイ、スラックスに色気の無い革ベルト。 それに眼鏡があると萌える。 髪はきっちりとセットしていてくれればなお良し。 もちろん普段は真面目そうな顔をしている。 真面目そうな外見だから、Yシャツの中にアンダーウェアが透けてもよろしい。 イメージとしては、ドラマえすぴーのこーあん第一科、銀縁眼鏡のたなかいちろう氏。Rは付かない。 そんな係長が、服を脱いだら淫乱。 だけどただの淫乱じゃない。 淫乱な自分の身体に非常に羞恥を感じる性格。 だから言葉責めに弱い。 そして複数での行為が大好き。 愛があればいいけど、愛がなくてもいい。 後から入れられて、口ではねっとりとしゃぶる。 自分の上で、前と後にいる二人がキスしているともっと燃える。 トライアングルに繋がっている、その感じがいい...
  • 9-049
    夜間飛行 通りを歩いていると、誰かが「星」と呟いた。 思わず空を見上げると、信じられない量の星が見えた。 そして、見覚えのある星座を見つける。 ――― お前知ってるか? あれオリオン座なんやぞ? 耳に慣れた彼の言葉が聞こえた気がした。 『この前聞いた。それにしても、東京でこんなにくっきりと星が  見えるなんて、初めての経験だな。…お前のおかげか?』 俺は心の中で、そう答える。 彼のはにかんだような嬉しそうな笑顔が浮かびあがる。 あの会話をした時は、二人ともまだ田舎にいて。 夜中に家を抜け出して、田んぼしかない道のど真ん中で、バカみたいに星を 見て色々話していた。大きくなったら何をしよう、あれがしたい、これが したい、どこにいこう、どこかにいける。そんな会話をしていた。 おずおずと差し出された手。握りあった指。交わした体温。 昨日のことの...
  • 28-049-01
    許されない二人 「慶一…もう、ここに来るのはやめるんだ」 薄い布団の中、優(まさる)は自分を抱きかかえている慶一に言い聞かせた。 激しい情事に耐えた体はまだ重い。普段はどちらかと言えば物静かな少年である慶一は、 情事の時だけ、抑えていた何かを発散するかのように優を翻弄する。 十八歳の優とちょうど一歳差の十七歳で今年高校三年生になる慶一は、まだ優より 少し背が低かったけれど、このところまた背が伸びたようだから近々優を追い越すかもしれない。 「どうして…どうしてそんなことを言うの、優…」 慶一が身じろぎし、真冬であるにも関わらず汗にしっとりと湿った二人の素肌がこすれた。 窓の外にはしんしんと雪が積もっている。心なしか色素の薄い慶一の髪を優が撫でた。 「男同士だから? 僕がこの家の跡取りで君が使用人の子供だから? 僕が受験生になるから?」 その全部だよ、と優が...
  • 27-049-1
    役者と裏方 本スレ49ですが、あの後の部長視点も書いてみたので投下 あっははっ。いやいや何も聞いてないよー俺は。 そんな聞いたからって真っ赤になって怒られるようなこと聞いてないよー。 うんごめんごめん。ごめんねー。いやこの前はほんと迷惑かけたね。それは悪いと思ってるよ。 いや裏方に迷惑かけちゃうようなアドリブしちゃうあたりは俺の技量不足だよ単純に。 でもさ、ちょっとくらい無茶しても君がどうにかフォローしてくれちゃうんだよね。 だからつい甘えちゃうんだよ。信頼できるのはいいけど信頼できすぎちゃうのも考えもんだねー。 嘘じゃない嘘じゃない。 ニヤニヤしてるのは君がかわいいから。 お?どしたどした?ほらこんなとこでうずくまんないで。顔上げてごらん?ほら! いたいいたいいたい。褒めたのにぃ。 ていうか、友達ほっといていいの? ねー。俺こんなはたかれるようなこ...
  • 22-049-1
    長針と短針と秒針 ごめんね、また来ちゃった。1分って短いよね。 僕と同じ職場のチームである短針と長針が、最近特別に仲良くなったので、僕はとても気まずい。 同じライン上を3人でぐるぐる回るこの仕事が恨めしい。 嫌でも気づくよね、いかにも怪しい雰囲気出してもんね、あのふたり。 短針は、もともとおっとりのんびり屋。 どっしり構えて物に動じないタイプだから、ともすれば焦りがちな長針をなだめて支えてあげてるみたい。 長針はスラリとスマートで、仕事もできる奴だけど、短針にべた惚れなのは見てておかしいくらいだ。 ふたりが仕事ですれ違う瞬間、それこそが彼らの待ってる時。 それはほぼ1時間と5分くらいの間合いで訪れる。 12時ちょうど。その次は1時5分27秒。2時10分54秒。3時16分21秒。4時21分49秒……そして11回目にまた12時ちょうど。 短針が数字と数字の間...
  • 2-049
    No.1ホスト×ちょいブサ ちょいブサさんは容姿もさることながら話術もあまり上手じゃないから、 なかなか固定のお客さんが付いてくれない。 完全歩合制の職場なもんだから、 自分の3倍は稼いでる店でNo.1の売れっ子さんのことが羨ましくて仕方がない訳だね。 営業時間が終わってから家に帰る方向が同じだから一緒に帰るんだけど、 その帰る道中ちょいブサさんは売れっ子さんに固定客が付くための話術とか、 お肌の手入れ法とか、お店で売れっ子になるためのコツをしつこく聞きまくる。 でも売れっ子さんは的外れなヒントを出して、 わざとちょいブサさんが売れっ子にならないように仕向けるんだ。 なんでかって? ちょいブサさんが売れっ子になっちゃったら当然今住んでいる 小さい1Kのアパートから高級マンションに引っ越すでしょ。 そうしたら一緒に帰れなくなって...
  • 10-049-1
    この胸を貫け 「よ、お疲れ」 顔を上げると西崎さんがいた。俺も「お疲れさまです」と返す。 壁際の自販機にコインを入れながら、西崎さんは俺を見て少し笑った。 「どうした。なんだか本当にお疲れ風に見えるぞ」 「やっぱりそう見えますか?」 そう返すと、彼は僅かに目を瞠ってその笑みを引っ込めた。 「何かしんどいことでもあったのか?」 心配そうに訊ねてくる。俺は何秒か逡巡して、思いきって口を開いた。 「……俺、近いうちに死ぬかもしれないんです」 「おいおい」 俄かに深刻な表情になる西崎さんに、俺は慌てて説明する。 「いや、あの、別に死にたいとか、そういう訳じゃないんですよ。ただ」 「ただ?」 「その…。最近、殺される夢をよく見るんですよ」 笑われるだろうかと様子を伺うが、彼は指を止めたまま真顔でこちらを見ている。 「同じシチュエーションで、毎回、同じように...
  • 16-049-2
    夜桜 夜を迎えた桜の庭にふらりと顔を出しても、縁側で手酌する家主は表情を変えることさえしなかった。 勝手に俺は隣に腰を下ろし、家主は徳利と空いた杯を寄こす。それが挨拶の代わりとなった。 そのまま互いに一人酒を続けるようにただ黙々と酒を注いでいたが、 先に一本呑り終えたので、俺の方から口を開くことにした。 「盛りは過ぎた。風も出ている。おそらく桜は今晩で散ってしまうのだろう」 「そうかもな。わざわざ人の家の庭にまで押しかけて呑もうとする酔客も随分と減った。  あとは、もうおまえぐらいのものだ」 もっともおまえは季節を問わず押しかけてくるがな、と淡々とした調子で家主はぼやく。 その物言いの底にあるくすぐったくなるような親しみは、おそらく俺だけが感じとれるものだ。 近所ではこの家の桜は評判で、満開の頃には昼夜問わず花見目当ての客がやってくる。 しかし、少しずつ花が若...
  • 16-049-3
    夜桜 「桜の樹の下には、屍体が埋まっている」 「――君は梶井基次郎が好きだったか、」 四月とはいえ、夜は冷えていた。強い夜風が頬を撫で、外套が靡く。 地面に敷き詰められた桜の絨毯が、 自ら闇に呑まれるように、漆黒の境界に溶けていった。 「いや――妻がね、好きだったんだよ。美学がある、と云ってね」 今日は彼の妻の一周忌だった。彼女の輪郭を辿るかのように、彼は目を細めた。 「早いものだな。……彼女はね、君と映画に行くのが好きだったんだよ。 蘊蓄が聞けるといってね、喜んでいた。妬けるから、黙っていたけど」 「少しは、落ち着いたか」  私は口早に云った。 「ああ、お陰様でね。君にも随分世話になった」 眠りという一時の安息にも身を委ねることができなかった彼の深酒に付き合うのは、私の役目だった。  泡沫の酔いの中にいる間、彼はよく笑いよく話し、そして...
  • 6-049
    意地っ張り同士 ウチは書道部であってウェイトレーニング部ではない筈なんですが。 部長と副部長にそう言いたい気持ちをぐっとこらえ、乱れた字が書かれた紙を丸めて 捨てながら小林君はため息を吐きました。小林君の傍では部長が腕立て伏せをする副 部長の背中に硯を大量に乗せています。 「どうだ、重いだろ!」 「重くないな。俺は鍛えてるから」 「なにぉ。うりゃこれでどうだ」 「全然余裕。お前だったら潰れてるな」 部長が更に副部長に5個ほど硯を乗せたのを、小林君は筆に墨を含ませながら横目で 見ていました。どちらも意地っ張りでちっともひきません。「重い。参った」「お前の体 力には負けた」どちらかがこう言うまでこの勝負は続くようです。 ウチは書道部であって柔道部ではない筈なんですが。 部長と副部長にそう言いたい気持ちをぐっとこらえ、顧問と一緒に新しい紙の注文を 検討しな...
  • 23-049-1
    付箋を貼る 授業中に、大事だと思うとこには付箋をつけろよ、と牧野先生が言ったので、すぐそこにあった後藤の左手に貼った。 訝しげな顔をして小声で、星くんなにすんの、と聞くので大事なものに貼るんだろと答えたら、びっくりしたのか付箋の貼られた手を高々とあげて牧野先生に怒られていた。 真っ赤になって俯く後藤にピンクの付箋がよく似合って、にやけていたら不機嫌そうに睨まれた。 そのあと僕は、付箋は顔に貼るものじゃない、と牧野先生に怒られた。 冤罪です先生。 行き止まりでの出会い
  • 14-049-1
    日本昔話風  昔々、あるところの小さな村に、ゴンベエという働き者とクロという名の真っ黒い猫が住んでいました。 ゴンベエは日が昇る頃から畑を耕し、日が沈む頃帰ってきてクロと一緒に眠りました。 ゴンベエはクロが大好きでした。 クロもゴンベエが大好きでした。  ある朝、ゴンベエが起きると枕元にクロがいませんでした。 ゴンベエはその日から畑仕事もそこそこに、クロを探して歩きましたが、とうとうクロは見つかりませんでした。  そうして三年ほどたったある日のことです。 ゴンベエが目覚めると、枕元に黒い着物を着た少年がすやすやと寝息を立てています。 ゴンベエは飛び上がるほどビックリしました。 少年は自分のことを猫のクロだと名乗り、 「大好きなゴンベエさんにご恩返しをしたいと思い、お山の仙人様に人間になる術を習いました。 一生懸命働きますからどうかおそばにおいてください。...
  • 4-049
    なんでも受け入れちゃう総受け冷蔵庫に熱烈片思いの電気ポット まったく、腹の立つことばかりだ。 連中は今日もあいつを押し開いて、手当たり次第に突っ込んでいく。 セロリ、にんじん、ねぎ、牛蒡…長物を入れるな長物を! いつまでこんな事続けるつもりだ?一度だけそう聞いたことがある。 壊れて捨てられるまでかな、とあいつは言った。何の感慨もなく。 あいつだって何も好んでやってるわけじゃない。かといって嫌がる様子もない。 僕に出来ることなんてこのくらいだし、なんて 日がな一日、見せつけられてる俺の気持ちにもなってみろと言いたい。 あいつの事なら何でも知ってる。 人一倍電気を食って、絶え間なく働いている。唐突に黙り込んだりする。 来るものは拒まず、限界ギリギリまで受け入れる。 中はクールなヤツだけど、裏に温かな面を隠し持っている事も、全部知っている。 ...
  • 10-049-2
    この胸を貫け 2月16日、会社員芦野基彦(27)が仕事を終えて自宅アパートに帰宅すると、 六畳の日に焼けた畳の真ん中に、不釣合いなストロベリーブロンドの美少年が、 正座をして待っていた。 「…どちらさまですか?」 「こんばんわ。私はキューピッドです」 「すいません、部屋を間違えたようです」 「芦野基彦さんでいらっしゃいますね?」 「…はい」 「初めまして。私はあなたの恋心を奪うためにやってきました」 「はあ?」 「さる2月14日午後6時24分15秒、○×駅前広場噴水横ベンチにて、  同僚花丸希美子さんから差し出されたチョコレートを受け取りませんでしたね?」 「はあ?」 「受け取りませんでしたね?」 「…はあ」 「契約により、この鉛の矢を撃ち込んで、あなたの恋心には死滅してもらいます」 「ちっ、ちょっと待って!何それ弓矢!?こっち向けないで危な...
  • 16-049-1
    夜桜 人文学部棟と教育学部棟を結ぶ道の両脇には桜が植えられていて、北国の遅い 春に合わせて四月半ばに満開を迎える。 道の途中に作られた小さな広場の横にはひときわ大きなソメイヨシノ があって、その広場がN大文化人類学ゼミの花見の定位置だ。 20年前、俺が文化人類学ゼミに入った頃にはもう、そこが定位置と言われていて、 俺が、院生になり、オーバードクターから助手になり助教授になって、退官した教授 の後釜として文化人類学ゼミを担当するようになった今までも、ずっと伝統を守って ここで花見をやっているのだ。 近所のスーパーの惣菜やら乾き物やらのつまみと、俺が資金を出して 銘柄指定で買ってこさせた俺好みの地酒5升と、水落の父親から今年も 送られてきた緑川純米吟醸と、軽い酒が好きなゼミ生達のための大量の ビールやらなにやらを広場の半分を占めるブルーシートの上に広げて、 花...
  • 1-049
    全裸×半裸 「攻めは脱ぎかけ(もしくは完全に着衣)、受けは全裸で羞恥プレイ(もしくは言葉責め)」に行くだろう。 でもそれじゃあ足りないのだ。確かに恥じらいは大事だ。受けの初々しく恥じらう様はいつ見ても萌える。 そこで、反対にしてみた。そう、攻めが全裸、受けが半裸。ありそうでなかったシチュエーションになった。 攻めがせっかく脱がせてやろうとしているのを拒否する受け。 洋服は汚したくはないが然し猛る下半身は止められず、そのままがっちゅん。 快楽に溺れ理性を飛ばしかける時にふと、まとわりつく衣類の感触。 着衣したまま行為に及んでいる、と改めて認識。そして、攻めを見ると攻めは全裸。 勿論、部屋は攻めと受けの二人きり。自分だけが服を着ている、と思いこみ赤面、 受「…アンタと一緒がいい」 攻「そうか?汗で服がまとわりついて体型がくっきり見えるのって相当エロくて良いと思う...
  • 7-049
    マフィア 夜遅く帰宅するなり兄は俺に大事な話があると言った。 ファミリーを支える幹部の一人である兄は、近頃首領の跡目問題に忙殺されている。 ろくに寝てもいない兄の体が心配で早く休んで欲しかったが、とにかく話が先だと言う。 「ドンのご意向はお前も知っているな。…やはりランベルト・カペリには一刻も早く戻って来て いただくしかない。あの人が跡目として立ちさえすれば、八方丸く収まるんだ。」 「ええ…でも確かランベルト様は、登山家になると言ってアルプスに旅立たれたまま連絡が 取れないのでは?」 「それは一昨年の話だ。今はトウキョウにいる。…なんでもマンガ・ライターになるだのと…」 ランベルト・カプリはドンが内々に三代目にと望んだ男だ。彼の実績、その腕前、人望も 誰もが認めるところだが、肝心の本人は近年のらりくらりと組織との接触を避けている。 そのせいで、ドンの体調が思わし...
  • 26-049-1
    いい声の人 「好きだ」というのが、彼の最高の褒め言葉だった。 曰く、他人には文句のつけようのない誉め方、らしい。 す、の時にすぼめる口。き、でこぼれる形の良い歯。 滑らかで心地の良い低音が僅かに上ずる瞬間。 ずっと横で見ていたから、あの満面の笑顔と一緒に覚えてしまった。 旨い料理を、広がる絶景を、美しい音楽を、咲き誇る花を。 最高のものを、彼は「好きだ」と評価する。 上ずった低音の、嬉しそうな声で。 その声が隣の平凡な僕に向くことはない。 そう、思っていた。 「好きだ」 すぼめる口は見えなかった。こぼれた歯も見えなかった。 声の上ずる瞬間なんて、感じている暇もなかった。 耳に湿った温もり。息の音。 背中には僕より少し大きな手。 「な、んて・・・」 ひっくり返りそうな、無様な僕の声。 「好き、って何が、を・・・?」 面食らった僕を抱きしめたま...
  • 27-049-2
    役者と裏方 本番初日の前夜だった。 劇場から出て駅までぞろぞろと歩く中で、偶然吉井さんと歩調が合い、どちらからともなく「お疲れ様です」の決まり文句とともに会話を始めていた。 吉井さんは他の劇団から参加している役者の一人で、おそらく年上のはずだったが、礼儀正しい人らしく丁寧な言葉遣いで話してくれた。 今回の舞台もかっこいいですね、と褒められたことにどぎまぎしてしまって、思わず「いや、実はまだ二度目で」と縮こまった。 彼はこの劇団の過去の舞台を思い起こしているのだろうが、おそらくそれは別のベテランが担当したときの公演だろう。 ところが吉井さんは目を丸くしてこんなことを言った。 「じゃああれが初めてだったんですか」 驚いたのはこちらの方だった。あれを観に来ていて、しかもそのときの舞台美術担当の名前まで記憶しているとは。 「あの舞台、すごいなと思って。シンプルなのに幻想的で...
  • 5-049
    うるう秒 「1月1日は一秒多いって、なんかのテレビで言ってたよ。 その一秒で何が出来るかなあって言ってた気がするよ。 手は繋げるよね? 見つめ合う事は出来るよね? …キスはできるかな?」 …うるう秒は明日だって言ってるのに、どうして今試すんだ馬鹿野郎。 牡牛座×山羊座
  • 3-049
    ツンデレラ 昔々とあるところにツンデレラと呼ばれるツンデレボーイがおりました。 「ツンデレラ! 今日はお城のパーティーだから髪を結って頂戴!」 「ちょっとツンデレラ!? 何よこのお風呂! 糸くずが浮いてるじゃない! 入れなおして!」 「ツンデレラ、ドレスを出してきて頂戴」 義姉と義母はパシりたい放題。 しかし――…。 「うるせぇな。それ位自分でやったら?」 ツンデレラは用意されたボロ屋根裏部屋へとのしのし行ってしまいました。 一階からは「キー生意気!」などの声が聞こえてきますが、かまいません。 ちゅうちゅうと鳴く唯一の友達、ネズミさんをムカつきに任せて力いっぱい足蹴にすると ツンデレラはベッドにゴロリと寝転び大きなため息を吐きました。 今日はお城の舞踏会。 何でも妙齢の王子様が奥さんを探すために国中の女を集めるという事らしいのです。 ...
  • 8-049
    インコ 「オハヨウ」 「カワイイナ」 あいつが、いなくなっても 「コッチオイデ」 「ダイスキダヨ」 その声は、残る。 一人暮らし
  • 19-019-1
    滅びを予感する軍師 その軍師は、今帝の物心ついた時分より老人であった。 年輪のように刻まれた皺は深く顔に貼り付き、まるで生まれた時から老人であったようでさえある。 その灰色の眼は、今帝、先帝、先々帝と三代に亘る治世を見守ってきた。 実の正体は仙人であると囁かれるのも無理はない。若い姿を知る者は最早この宮廷には居ないのである。 さて幼き頃よりこの軍師に稽古をつけられし帝もちらほらと白髪の混じり始めた初春、 かねてより勢力を増していた西の異国が大陸の向こうより騎馬20万もの大軍で押し寄せてきた。 対する自軍は5万、小国ながら軍師の策により初めは拮抗していたものの、 夏にもなると若き国、若き軍に押され始め、遂に疲弊しきった自軍は僅かに宮廷を守るのみとなってしまった。 かつての美しかった都は焼け、民は南の国へ次々と逃げ落ちた。 今にも帝の玉間に敵軍の蹄の音が聞こえ...
  • 19-019
    滅びを予感する軍師 彼は暴君だった。 欲望のままに全てを欲しがり、手に入れたものを飽きては捨てる。 軍師である私は、この国を正しい方向に導く役目にも関わらず、国王の暴走を止められないまま国は荒れていくばかりだ。 この国はいずれ滅びる。 その責任は誰にあるのか、彼の欲しがるままに与えた私か、全てを欲しがり捨てる彼なのか。 いくら頭を悩ませようが、この国が母なる大地の怒りに触れるのは時間の問題だろう。 私ができる事は、せめてその時を遅らせる為に、この国を神の目を逸らす事くらいだ。 しかし今、王は私の制止も聞かずにその扉を開けようとしている。 「シュウ君、ふすま開けちゃ駄目!」 「や!」 「ふ・た・り・と・も!!なーにやってるのっ!」 「あ、ママあのね、いま二人でお片付けしようと思ってたの」 「こんなに散らかして!あー壁に落書きしちゃ駄目...
  • 25-049
    長命な者と短命な者 「理不尽だ」 縁側にのんびり腰を下ろす彼は、あと少しで消えてしまうという。 出逢ったのは去年の春。まだ少ししか共に過ごしていない。なのに。 「仕方なかろう。いくらわしとて時の流れには逆らえん」 「だからって、何で。何千年も、生きてきたくせに」 俺はたかだか20年を生きたくらいで、百年も生きることは出来なくて。 これほど寿命が違うのに、どうして俺が置いていかれるだろう。 唇を噛み締めていると、ふいに引き寄せられた。 彼の腕の中、見上げれば常に変わらない穏やかな表情と出逢う。 「嘆いたところで死は避けられんよ」 いつも時間がもったいないと、お前は言うではないか。 それとこれとは話が違うと返せば、不思議そうに首を傾げる。 「わしには瞬きに等しい長さだが、お前には違うのだろう?」 「そう、だけど…。……ん?あれ、ちょっと待て。あと少しって、何年...
  • 27-049
    役者と裏方 ん?ああ、おはよ。 つーかお前さ、見に来いって言ったろ。うちのサークルの公演。 忘れてたって……まぁいいけど。 ああ、まぁ、成功した。そこそこウケてたし。 でもさ、部長がアドリブ入れまくってさあ。いやアドリブ自体はいいんだよ。面白いし。 でも照明のキッカケになるセリフとか動きまで変えてくるんだよ。 まぁなんとか合わせたけど。 あと時々動きが大きすぎてスポットからはみ出てたし。 しょうがないから他のライトも使ってフォローしたけど。 あ?役者の動き追っかけたり動かせるスポットなんて上等なもんはうちには無い! ん?いや……注意はしたよそりゃ。ていうかあとで部長のほうから謝ってきたし。 でもなぁ……いや、照明としてはすげぇ困るよ? でもさ、俺あの人のアドリブ好きなんだよ。 ていうかあの人の演技が好き。 人ってあんな面白い動きできるんだなーって。感...
  • 16-049
    夜桜  こんなにも月の明るい晩に、一人だけで呑むなんて、なんとも味気ないじゃないか。 だから安酒片手に、こうやってふらりと出てきたってわけさ。 行き先?そうだなぁ、花見でもしに行こうか。風流だろう? しかし今日の月は本当に明るいな、 街灯なんて野暮なものは要らないくらいだ。 こんな足元の悪い石段だって、昼と変わらない調子で登れる。 気味の悪いほど静かだなぁ。 そりゃそうだ、この先には墓場しかないからな。 けど、月夜の花見を邪魔する野暮ったい人間も現れやしないから、いいだろう? そら、登りきったぞ。 ああ、見事なもんだなぁ。 こんなさびしい墓場の真ん中に、あんなに古びて大きな桜が咲いてる。 ちょうど具合よく満開だ。全く、素晴らしい晩に出てきたもんだ。 こんな見事な桜、死人だけが楽しむにはもったいない。 生きてるうちにこの景色を...
  • 17-049
    受けの奴浮気しやがった 叶うことのない恋だと知っていた。 だから、受け入れられた時には天にも昇る気持ちだった。 そもそも出自も違うし、身分だって違っていた。 俺は厳しい環境で育った野良で、あいつは古くから伝わる由緒ある血筋だった。 毎日喧嘩ばかりして、その日食うものを得るにも必死で、 そうやって毎日死に物狂いで生きていた俺と、日々の生活に何ら不自由のない血統書付きのあいつ。 俺が喧嘩でずたぼろにやられて息絶えそうなところをあいつが見つけてくれなければ、 あいつの家が俺を御庭番として雇う事がなかったならば、俺は今頃こうして立っていることなどなかったに違いない。 だから、俺はあいつに感謝していた。 いくつになっても体が小さくて、俺に懐き付き纏って来るあいつを、俺の全てで慈しんでいた。 それはいつしか愛情に変わり、そしてあいつもそう思ってくれている事を知...
  • 15-049
    宝石商 「この石のリカットを依頼したいと?」 彼は僕の差し出したダイヤモンドを手に取った。 「父の遺産にあったのですが、これだけ大きいと高額になりすぎて 処分し難いのです。分割して処分したいと思いまして....」 事前に用意しておいた言い訳を説明する。 いや、これはこれで真実だし。 「お父様は、元華族のお家柄でしたな。財閥解体で規模縮小をやむなく されながらも、その経営手腕で再び力をつけた複合企業。社会福祉にも 力を入れて、多くの人々の尊敬を集めた人格者」 赤ん坊のこぶしくらいはありそうなペアーシェイプのダイヤモンドの巨塊を 弄びながら、彼は眼鏡の向こうから鋭い視線を向けて言った。 「そんなお父様も、人に言えない面をお持ちだったようですな。これは 50年程前に盗難被害に遭った石です」 バレた.... 僕は下唇を噛んだ。 公...
  • 18-049
    触手×人間 「ただいま」 「受けさんお帰りなさい!……あっ、プリンの匂いがする!おみやげ?ボクにおみやげ?」 「違う。……ってお前、なにテラスに貼りついてんの」 「あのね、今日は星が綺麗なんだよ。でもガラスで偏光してよく見えないから、ボク、ベランダ出たいな」 「却下。つーか、お前は当分の間、昼夜問わずベランダに出るの禁止な」 「ええええっ、なんで!?受けさん酷いや!」 「当たり前だ。また昨日みたいにベランダ伝いで侵入してお隣さんを襲われたらかなわん」 「だっ…だから、あれは侵入したんじゃないんだよぅ。ただ単に、日向ぼっこしてて  陽の光があんまり暖かいからついウトウトして、寝ぼけて隣まで伸びちゃって」 「そこでお隣さんの首を絞めただろうが」 「だって目が合っちゃったんだよ。それであのまま引っ込んだら、受けさんちに  ボクがいることバレちゃうじゃないか。だから一...
  • 14-049
    日本昔話風 題「ひまわり」 昔、昔のおはなしです。どこかに小さな村があり、そこには幼いふたりの兄弟が暮らしておりました。 素直で働き者の兄と、腕白盛りの弟はたいそう仲が良く、早くに両親を亡くしながらも支えあって懸命に生きていたものですから、村の人々も何かと世話を焼き可愛がる、そんな兄弟でありました。 さて、この村の外れには、村の神様をお祀りするための小さな祠があり、祭事を取り仕切る大人以外は近寄ることすら許されないとされておりました。 寄れば最後、神様のお怒りを買ってしまうと。大人たちはそう言って子供たちを諫めており、子供たちもしっかり言いつけを守っておりましたが、件の弟ばかりは、自分の子供らしい好奇心に勝てなかったらしいのです。 弟は兄や大人の目を盗んで祠に立ち入り、そして、 いつまでも帰らないことを心配した村の衆が見つけ出したときにはもう、物言わぬ冷たい体にな...
  • 21-049
    ガチムチ熱血系×ほんわか癒し系 ――お二人はどんな子供時代を過ごしてましたか? 甲:僕は小学校からずっとサッカー漬けでしたね。   朝から晩まで走り回ってました(笑) 乙:高校生の頃、ファミレスのドリンクバーで新しいドリンクを作ってました。 甲:新しいドリンク? 乙:色んな種類のドリンク混ぜて新しい味を発見するんです。 甲:それ、楽しい? 乙:まあまあ。 ――乙さんらしいエピソードですね(笑)    お二人が出会われたのは大学時代ですよね?第一印象はどんな感じでしたか? 乙:うーん、熱い人だなぁと(笑) 甲:僕はね、最初苦手だったんですよ、今まで周りにいたタイプとは全然違ったから。   俺なんかはいつも必死に努力してるのに、乙君は涼しい顔でサラっと何でも出来ちゃうみたいな。   だから悔しくて「絶対追いぬいてやるぞ」って変に...
  • 28-049
    許されない二人 「本当にいいのか?」 「はい」 「必ず見つけて会いに行くから」 「私も貴方を捜しましょう」 「…じゃあ、また」 「…それでは、また」 拝啓 父上、母上 これを読んでいるということは、俺達は既にあなた方の前から姿を消しているのでしょう。 親不孝をどうかお許しください。 俺と遥希は共にある事を選びました。 短絡だとお怒りになるだろうとは思いますが俺達は決心したのです。 あなた方に、世に認められぬのなら――全てを捨てるしかないのだと。 俺は遥希を愛しています。遥希も、こんな俺を愛してくれました。俺の我が儘に付き合ってくれました。 もう俺は遥希以外を愛すことなど出来はしません。 家督は弟にでも相続させてやってください。俺よりはよっぽど出来のいい弟です。家も安泰でしょう。 それではどう...
  • 12-049
    好きな人に嫌われてる 君が好きでたまらないけど 君は僕を嫌っていて 僕の存在を認めるたびに 君がそんな顔をするのなら 僕は君のために 君の前から姿を消そう 同じ教室の端と端で 僕は存在するだけの陰になる 僕の声を君に聞かせまい 僕の姿を君に見せまい 僕の匂いを君に嗅がせまい 僕の熱を君に伝えるまい 僕がいることを気取られまい 君の安らぎのために 僕ができる唯一のこと 「…なー、あんな奴うちのクラスにいたっけ?」 「何言ってんの? お前の後ろの席じゃん」 「なんかあいつキモくね? しゃべんねぇし」 「俺、あいつの声聞いたことない」 「あ、俺も俺も」 「キモいよな、オタクじゃね?」 「うへ、マジきめぇ」 「俺去年同じクラスだったけどさ、普通にしゃべってた気がすんだけど…」 「どうでもいいよ、それよりお前ら土曜の...
  • 24-049
    まわし 「…………」 「……………」 「………なんか言えよ」 「……どうしろっつーんだよ」 「大丈夫、お前ならこのやっちゃった感漂う空気を打破した挙げ句GJの嵐を巻き起こせる出来るはずだ!いけ!」 「何その無茶振り!?」 「あたしぃ、キミの事信じて待ってるから!!きっと生きて帰って来てね!」 「不自然に高い声を出すな気色悪ぃ!つーかサラッと死出の旅発言!」 「………ゑー?」 「ゑーっじゃねぇよぶん殴るぞ」 「じゃあお前、どうすんだよこの空気」 「いや知らねーし俺ら通りかかっただけだし」 「困ってる姐さん達を見捨てるの!?この人でなしっ!」 「知るかぁ!!たかがリロミスだろうがァ!」 「ちょうど出くわしちゃった以上なんとかしたいだろ…でも本当どーすっかなぁ」 「いきなり冷静になったな」 「うーーん」 「…………」 「うーーーーーん」 「……………...
  • 23-049
    付箋を貼る 師走も半ばを過ぎたある日。度重なる休日出勤の末ようやく24日の休みをもぎ取った僕は、恋人のアパートを訪れた。 イブを一緒に過ごせることは到着する前にメールで伝えたが、その返信の文章からも、今実際に部屋のドアを開けて 出迎えてくれた彼の表情からも、嬉しいという感情が滲み出ているようだった。 コーヒー淹れるんで座っててください、という彼の言葉に甘え、ローテーブルの前に腰を下ろす。 「ごめんね。予定が決まるの遅くなって」 キッチンに居る彼の背中に声をかけると、慌てたように顔だけ振り向かせる。 「いや、気にしないでください! 暇な学生の俺と違ってナオさん忙しいんだし! あの、もうちょっとかかるんで、  テレビでも漫画でも見ててください」 「うん、ありがとう」 久しぶりに来た彼の部屋は、前よりも雑然としていた。ラグの上にうず高く積み上げられた漫画誌やファッショ...
  • 22-049
    長針と短針と秒針 ああ、まただ。また君がやって来る。 ひょろりと背の高い君が僕の後ろをせかせかと歩いている。 君が近付いてくるのは嫌と言うほど分かっているのに、 鈍重な足しか持たない僕は、待つことも逃げることも出来ず、君が追いついてくるのを待つしかない。 君の歩みに合わせて心臓がとくとくと鳴る。 あと10歩。僕が後ろを振り返ることは出来ない。 あと5歩。心臓の音は相変わらず鳴っている。 とく、と心臓の音に合わせて、君が僕に重なる。 息が止まる。胸の奥がきゅっと締まる。 とく、と心臓の音に合わせて、君があっけなく追い抜いていく。 秘かに息を吐く。胸は張り詰めたままだ。 何度繰り返しても慣れないこの一瞬。 そうしてまた君が遠ざかっていく。 僕が心臓の音を数えている間に、君はまた僕の後ろからせかせかと近付いて、 そして一瞬だけ僕とすれ違う。 君のその...
  • 10-049
    この胸を貫け 「待てよ!」 犯罪者のオレを追う君は正義の味方。 もっともっと追いかけて。 もっともっとオレを欲して。 オレについてこられるのは君くらい。 能無しの警察なんてさっさと撒いてしまおう。 そうすれば君とオレの二人きり。 今だってオレの目に映るのは君だけだけど。 君だってそうだろう? 銃弾が足元をかすめた。 振り返ればそこには銃を構えた君だけがいる。 「これでおしまいだ!」 そんなもので止められると思わないで欲しいな。 けれど君の手で時間を止めるのは悪くない。 さぁこの胸を貫いて。 その視線のように、 まっすぐ。 この胸を貫け
  • 19-029
    四兄弟 「お前んち、四兄弟なの?」と聞かれる度に、「まぁ、そんなもん」と答えている。 両親を田舎に残し、兄弟のいる都会の家に暮らして始めてから1年が経った。 家にいるのは4人だ。商社勤めの大(おお)兄ちゃんに、広告デザイナーのちょっと変な小(ちい)兄ちゃん、こっちの高校に進学したオレ、それから、役所勤めの中野さん。 中野さんは小兄ちゃんの高校からの友人だ。 もともと中野さんも別の場所に住んでいたそうだけど、こっちの家の方が勤め先に近く、何度か遊びに来たり泊まっていったりするうちにいつの間にか居着いてしまったらしい。 ……そんなにアバウトで大丈夫なのか、この家は。 「ただいまー、はらへった」 「おかえり。二人とも遅いらしいから先にご飯にしようか」 キッチンから中野さんの声がする。 ダイニングのドアを開けると、テーブルにはハンバーグとミネスト...
  • 19-099
    クマのぬいぐるみだと思ってたらサルだった ガタイが良いのにおっとりしててタレ目でいっつも笑ってる。 誰だったかが言ってた。くまのぬいぐるみみたいだって。 ――なのに 「――陽っ…!!」 くまのナニガシこと陽太と何故だか体を重ねる関係になって1週間。 「はぁ…はぁ…っはぁ…」 運動部の体力は底無しなのか?貫かれた俺はこんなに息が上がってるのに 「アキちゃん、もいっかい、いい…?」 良くねぇよ。腰がダルくて立てねぇんだよ。 恨みがましい視線を向けても一切通じず。 「――んっ、あぁ…」 ほらまた溺れる俺。 誰がくまのぬいぐるみだって? これじゃサルじゃねぇか。 クマのぬいぐるみだと思ってたらサルだった
  • 19-009
    絶対に知られたくない人 僕は知られたくないのだろうか。それとも知って欲しいのだろうか。 絶対に知られたくない人 「おはよう」 「おはよう」 彼は僕の幼馴染みだ。 「はい、これ今日の分」 「・・・こんなの相手にしなくていいって、いつも言ってるのに」 僕の渡した数枚の封筒に、彼はうんざりとした顔をした。 彼はもてる。整った顔立ち、男らしい性格に加えて、文武両道。天が二物も三物も与えたのが彼、だ。 逆に僕は平々凡々、顔立ちも普通だし、性格も無難、成績も中の中。母が、彼の爪の垢でも煎じて飲ませてもらいなさい、と常々言うほどだ。 「そういうわけにはいかないよ。朝イチで待っていてくれる彼女たちをむげに断るわけにもいかないし」 「まぁお前の顔をたてて一応、貰っとくけど」 「焼却炉行き?」 「そうだな。こんなもの、俺には必要ない」 「彼女たちが可哀想だよ」...
  • 19-089
    共犯者 「ち、ちいちゃん、どうしようっ」 息を切らしながら俺の家のインターホンを鳴らした瑛はひどく焦っていた。 理由を聞くとどうやら、近所で有名なカミナリジジイの植木鉢を割ってしまったようだ。 「そうだ!俺にいいかんがえがあるぜ」 そういうと俺は割れた鉢を両手でかかえて自分ん家の庭に走り出した。 「ええっ」 「なんだよ、文句あんのかよ。お前のためだぞ」 穴を掘って、割れた植木鉢を埋める。 「しょーこいんめつってコトバ知ってるか?」 「も、もし見つかったら、ちいちゃんも怒られちゃう!やっぱり僕・・・」 「いいの、俺も きょーはんしゃ」 10年たっても変わらない。幼馴染の瑛は相変わらず鈍くさかった。 「ち、ちいちゃんどうしようっ」 勢いよく教室に飛び込んでくる。 「あ...
  • 19-059
    ひぎぃぃぃぃぃらめぇええええこわれちゃうぅぅぅぅぅぅっつ 「『ひぎぃぃぃぃぃらめぇええええこわれちゃうぅぅぅぅぅぅっつ』ってどうやって発音するのかな」 「なんですか?」 「エロマンガのセリフです」 「今読んだ通りに発音するんじゃないんですか?」 「最後の『っつ』はやっぱりちゃんと『つ』も言うんですよね、きっと」 「知りません」 「試してみませんか」 「誰が」 「あなたが」 「誰と」 「私が」 「嫌です」 「どうしてですか」 「どうしてもです」 「試してみないとわからないじゃないですか」 「僕はわからなくても困りません」 「私はわからないとこの好奇心が収まりません」 「収まらなくてもいいじゃないですか」 「いいですけど、納得するまであなたで妄想しますがいいですか」 「それは嫌です」 「あなたの顔を見る度に、どんな声を出すのかなとか、妄想で頭が...
  • 19-069
    24時間 あいつはデート、俺は家。 執行猶予は24時間、そう決めた。 俺は男だし、あいつも男だったから、もともと叶う恋なんかじゃないってわかってた。 あいつは俺のことを友人だと思っていたし、俺もそう思われるように振舞っていたから。 気付かれないのも当たり前で、優しいあいつに初めての彼女ができるのも当たり前。 好き合う男女が2人で休日に出かけるのも当たり前。 たとえ今日が俺の誕生日でも、彼女を優先するのは当たり前なんだ。 俺は男で、友達だから。 もういいじゃないかと俺の中の誰かが言った。 もういいじゃないか、お前は頑張ったよ。不毛な片想いを、もう3年目。 それでも相手は気がつかない。そろそろ潮時じゃないか? わかってる。多分一生気付いてもらえない。一生友達、それで終わり。 でもこの気持ちに気付かれたら友達ですらいられない。 友達になって3...
  • 19-009-1
    絶対に知られたくない人 人里離れたこの学校に、転校生が来た。 噂によると、転校生はジャ●ーズジュニア真っ青なかわいらしい顔立ち、編入試験もほぼ満点。 転校初日に副会長の似非スマイルを見抜き、寮の同室である一匹狼な不良を懐柔。 双子会計を見分け、無口ワンコな書記の言いたいことを理解し、会長に「面白い」と言わしめたらしい。 随分とスゴい奴が来たものだ。 既に転校生の親衛隊も作られたとも聞いた。 近いうちに生徒会入りかもな、と生徒会顧問が呟いていた。 そんな面白い奴なら、是非お目にかかりたいと思いながら、タイミングが合わずに早一ヶ月が過ぎていた。 どうやら生徒会入りが本格的に決まったようだ。 それを知ったのは書面だった。 各委員会当てに配られたプリントに、生徒会補佐の承認を求める内容が書かれていた。 時期が時期なため、選挙とはいか...
  • 19-059-1
    ひぎぃぃぃぃぃらめぇええええこわれちゃうぅぅぅぅぅぅっつ 「…暇だぁー」 「銀也、お前今朝からそれしか言ってないぞ」 「いや、そう言われてもね。マジ暇なんだって」 「いい加減、聞き飽きた。そんなに暇なら勉強でもしたらどうだ?次の試験、赤点だと単位ヤバいんだろう?」 「嫌だ。つまんねーもん」 「嫌って…お前な…。春休みに補習したいのか?」 「いや…そういうワケじゃ…ってか、そっちのが嫌だ。そーだ、お前勉強みてくれよ。どーせ、もうお前はカンペキだろ、首席サマ?」 「来週までにお前のそのポンコツ頭に知識詰めこむ自信はないな」 「眼鏡のくせにエラソーに。ポンコツって何だよ、殴るぞ?」 「偉そうって何さ。というか、眼鏡関係ないだろっ。まったく…そもそも、それが勉強教えてもらう奴の態度か?まあ、教えなくて良いなら…」 「えーっ」 「えー、じゃない」 「…。…。…。え...
  • 19-099-2
    クマのぬいぐるみだと思ってたらサルだった ショータが放課後、女子と一緒に何かしてたのは何となく知ってたけど、まさかフェルトでぬいぐるみを作っているとは思わなかった。 「ソウマ、これやるよ。お前もエナメルに付けとけ」 「おー、なにコレ、作ったん?」 「おうよ」 「すげー。さんきゅ、かわいいじゃん」 「サッカー部で貰えてないのはお前だけだからなあ、かわいそうで見てられね」 関東大会出場が決まってから、部の連中のエナメルバッグにはお守り代わりの手作りぬいぐるみがぶら下がるようになった。 いる奴は彼女とか、ファンの子とかがくれるのだが、俺は全部断っていて、ショータもそれはよくわかっていた。 多い奴は10個ぐらいぶら下がってるが、俺のはシンプルに飾りは無い。 ショータがくれたものをまじまじと見る。 手が込んでるのかどうなのか俺にはよくわからないけど、目がちんまいビーズだ。...
  • 19-089-1
    共犯者 …えェ、ですから私は共犯者なんです。 藤野が?全て罪を認めると? いいですか…イイエ、毛布なんぞ要りませんよ。飴玉?子供扱いしないで下さいよ。 水?そんなら一杯頂きます… …フゥ。 いいですか、藤野が何と言ったかは知りませんが、私は藤野の共犯者なんです。 えェ、私は四宮の長男です…そして藤野は我が家に出入りしていた庭師です… 坊っちゃんと呼ぶのは止めて下さい。幼く見えましょうが私はもう十八です。 そうです。来月祝言を挙げる事になっていました。そしてゆくゆくは四宮商事を継がされる… 結構じゃあありませんよ。冗談じゃない。毎日ゝゝ息が詰まりそうでした。 藤野とは良く話をしました。口を利いている所を見つかりますと叱られましたので、こっそりと障子越しに話を。 イエなにという事もない話です。しかし私の知らない世界の話でした。 年もそう変わら...
  • 19-099-1
    クマのぬいぐるみだと思ってたらサルだった 「いや、お前はクマじゃなくてサルだよ」 「…へ?」 突然言われた衝撃的な一言に、俺の思考回路が一瞬止まる。 「だから、お前はクマじゃなくてサルのぬいぐるみ」 …えーと…俺が、クマじゃなくて、サル? 「いやいや!お前何言ってんの!俺はクマだろ!?」 「…お前、自分の姿見たことないのか」 目の前のクマのぬいぐるみがため息をつきながらそう言う。 「…え…だって工場からUFOキャッチャーまで段ボール箱の中だったし……マジで?」 「…手見てみろ。同じ茶色だけど俺のとちょっと違うだろ」 そう言われて自分の手をまじまじと見てみる。 茶色だ。薄茶色で…指がついている。 「ほら、俺のは指までついてない。もっと丸いんだ」 隣のこいつの手と比べれば、その違いは一目瞭然だった。 「…知らなかった…」 俺はてっきり、クマだとばかり。 ...
  • 12.5-049
    二人まとめて 握り締めた銃把が汗でぬめった。 不快な感触に眉をしかめ、さりげなく腿のあたりで手を拭う。 「緊張してるんですか」 見咎めてか、隣の男は囁くようにそう言った。 「二人まとめてあの世行き、ってのは勘弁して欲しいところだな」 こちらも状況が許す限りの音量で返す。 幾度か死線をくぐり抜けて今ここに立っているわけだが、 今度ばかりは生きて帰れる気がしなかった。 最悪、こいつだけでもなんとか。 弱気な考えがちらりと脳裏をかすめる。 「お供しますよ、どこまでも」 見透かしたようなタイミングで、相棒が口を開いた。 つられて声のする方を向く。 全身泥と埃にまみれた姿に、見慣れた小綺麗なインテリの面影はなかった。 乱れた髪の下で、目だけが剣呑な光を宿して爛々と輝いている。 こんな時に冗談をいうような男ではないから、さっきの言葉は本気なのだろう。 生きるも...
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