*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「2-289」で検索した結果

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  • 2-289
    ボールペン×えんぴつ オマエなんかケシゴムで消されるやろ、とアイツはイヤミったらしく言う。 けどオマエやってインクが乾いてなきゃ びよーんとみっともなく予想外な方向に中途半端に伸ばされて 小汚くなるやろ? …乾くまで待ってて貰えればいいだけか。 線も太いし水にも少しは強いし… ずるいわ自分。 俺の上にたまに乗ってニヤケた顔しとるけど ま、せいぜい重宝されたらエエがな。 一人で。 …時々、おまえの上に俺は重ねられる 短い時間でしかないけど 憎まれ口ばかりきいてしまうけど マジに白状すれば、 それは俺にとってはかけがえの無い時間で。 …おまえがいなくなった後も おまえと重なり合ってた時間の思い出だけで どうにかやってるよ、 俺。 中国×台湾
  • 22-289-1
    博奕打ちの恋 「負けたらどうなるか、判ってんだろうな」 「ああ」  目の前で凄む男に、オレは軽く頷く。  適当に遊んで来たつもりだが、負け無しのオレが気にいらないらしくついにルーレットでサシの勝負。  イカサマ防止で玉を入れてからオレが賭けて、その逆を奴が賭けるいたってシンプルな方法だ。  ルーレットが回り玉が入ると、いつものようにフッと脳裏に数字が浮かぶ。  今回は19。  オレは迷わず黒にチップを置き、奴は赤に置いて後は勝負を待つだけ。  スピードの落ちてきた玉はコツンコツンと音をたて、赤の19に収まった。  瞬間、奴の顔が笑顔になる。  そりゃ嬉しいだろう、初めてオレに勝てたんだからな。  奴は笑顔のままオレを見て、 「約束どおり、今までの分体で返してもらうぜ」 「好きにしろ」  奴の言う取り立てがタコ部屋送りか、臓器を抜くのか、それとも言葉通りか...
  • 3-289
    自分を最高に格好いいと思ってるのに不本意ながら受け 就業後、一息付く。 「・・・やっと、無くなった・・・。」 佐藤が疲労と幾らかの満足感を込めた声で 決済済みの書類の山を見やった。 そうして、何時間前かに 「これで帰るけれど」の後、労いの言葉を続け コーヒーを差し出して来た女子社員の顔を ちら、と目蓋に思い出しながら目先の紙コップに手を伸ばす。 「おー!終わった?」 コーヒーに手を掛けようとしていた佐藤の背が途端強張る。 背後に立っているであろう人物の顔はわざと見ない。 返事もしなかった。 「丁度良かったなー!俺も今終わってちょと様子見に来たとこ!」 しかし鈴木はそんな事はお構いなしといった呈で 椅子に座る佐藤の背後から自身の上半身を これでもか、と押し付け体重を掛けていく。 「・・・重い・・・。」 今や佐藤...
  • 1-289
    大学生カプの夏休み 真面目な眼鏡受がいるとしよう。 倹約生活を余儀なくされている彼は、 夏休みとはいえ、家でゴロゴロだなんてとんでもない。 とはいえバイトするほどの時間もないので、 今日も涼みがてら、課題を片づけに図書館へ。 そこへやってくる足りない子の攻。 最初のうちは一緒にレポートをやってるんだけど、 だんだんつまらなくなって受に構って貰おうとする。 でも受は集中していて気づいてもくれない。 攻はすごく寂しいんだけど、ここで邪魔したら怒られるから、 受が集中してこっちに気づかないのをいいことに観察。 資料をめくる指だとか、ときどき眉間を揉む仕草だとかを、 あー受さんいいなー好きだなーと思いながら見ている。 ふと受が我に返ると、 攻がいつの間にか寝てたりして。 そこで受は起こしてやって一緒に帰るもよし、 ...
  • 8-289
    苗字が同じ クラスやらクラブやら同じ部署やらで同じ苗字の人がいたら ○○兄弟と呼んであげてください 早く生まれた方がお兄ちゃん 遅く生まれた方が弟 同じ苗字なので、週番も一緒 出席番号も一緒 席は前後でしょうか ついでに運動会の実行委員や慰安旅行の幹事にセットで指名されたら萌え倍率ドンでございます 弟(偽)は「っていうか兄弟じゃないし…」とふくれてくれたらよいと思います ―――  (;´Д`)出席番号一緒ジャナイヨ  (  八)  ホントウニゴメンナサイ    〉 〉 ラブレター
  • 7-289
    俺のモノは俺のモノお前のモノも俺のモノ そーいう思いこみって、本っ当に鬱陶しいね 色々言うと、きっとあいつはムキになって暴れるだろうし 後々まで面倒くさいからハイハイ、って顔して聞いてるけど。 で、そうしてるとあいつは実に満足げな、幸せそうな顔をする訳だ ま、じゃあそれでいいかなって思ってしまう自分も大甘だとは思うけれど。 けどあいつは重大なことに気付いてない。 お前のモノはお前のモノ、俺のモノもお前のモノだと思っているけど そのお前が、俺のモノだということを。 気付いてないあいつが、俺にはどうにも可愛くて 調子っぱずれの歌声も、実はかなり好きだってことも あいつは知らない。 HELLO
  • 5-289
    鬼と桃太郎 ある老夫婦の元に若々しくみずみずしい、桃尻の桃太郎と言う少年が居ました。 従来の桃太郎ならば鬼退治へとでかけますが、 桃尻桃太郎はそんな所へ行き大事な尻が汚されては大変、と 老夫婦に部屋の奥深くで大事に大事に育てられました。 日本中の男達が桃太郎の桃尻の噂をききつけその美しい尻を一目見ようと覗きに来ましたが、 「どなたにも、僕は尻をさし出すつもりはありません」 と尻はおろか顔すら見せてもらえませんでした。 「ああ、僕に言い寄る男は皆、尻目当てばかり。  おとうさま、おかあさま、僕は尻だけの男ではありません」 桃太郎は床に伏せて泣きました。 老夫婦は困ってしまい、外の男達にこう言い渡しました。 「桃太郎は興味本位で尻尻と騒ぎ立てられることに大変困惑し嘆いております。  もしも会いたいのならば、証にこれらをもっていただきましょう」 老...
  • 9-289
    物凄い受けの俺 はあ……いったい何度目だろうな、お前に乗っかられるの。 いや、確かに俺は女顔だし小柄だよ。幼稚園のときなんか何度も 女の子に間違えられたし。名前も「雅美」ってのがまずかったな。 町歩いてて男に「彼女、ひとり?」なんてナンパされかけたことも あった。 でもさ、俺だって男なんだ。お前の上に乗っかりたいって、何度 思ったか分からない。……だけど、考えてみればお前合気道の 達人だもんな。いくら隙をついて押し倒したって、上手いこと体勢 を引っくり返されちまう。でも、その度にうれしそうな顔でキスして くるお前を見てると、ああ、なんかこれでいいのかなって思えてくる。 たぶん、俺は一生お前の上に乗ることは出来ないだろう。けどそ れもいいかもしれない。俺はずっと、お前の愛撫を受けよう。 物凄い受けの俺
  • 6-289
    時代劇の主役×斬られ役で  あの人の綺麗な顔が間近に迫ってくるあの瞬間、俺は息が止まり そうになる。 「おつかれさまー」 「ご苦労様です」  収録後の現場にはいつもこんな声がこだまする。俺はそんな声を 聞き流しながら、スタジオの裏にある自販機へと急いだ。。まったく、 なんで和服ってのはこんなに暑苦しいんだ。……それでも、俺は この仕事はそんなに嫌いじゃない。  俺は今、とある時代劇に出演している。……って言っても、俺みたい に名前の売れてない俳優が目立つ役なんかに起用されるわけなく、い わゆる「斬られ役」という超脇役で出演させてっもらっているわけだ。 「……ふう」  スタジオを出た瞬間、それまでこらえていた汗がどっと噴き出した。 俺は着物の袖で乱暴に顔の汗をぬぐってから自販機に近づき、小銭を 入れて、ペットボトル入りのスポーツドリンクのボタンを押し...
  • 4-289
    高校生にしかみえないけど実は中学生×どうみても中学生だけど本当は高校生 「お久し振りっす、先輩」 雑踏の中でもはっきり聞き取れる声には聞き覚えがあった。 あぁ、部活一緒だったあいつか…ゲームとかの好みがよくあった奴だ…と風貌を思い出しながら振り向く。 あれ。 顔があると思ったところは首の下だった。視線を上にずらすと、変わらない笑顔があった。 「びっくりしました?」 「いやぁでも偶然っすねー、びっくりしたっすよ」 まさか俺もお前がそこまで背が伸びたとは夢にも思ってなかったし。 「でも先輩何にも変わってないから、一発で先輩ってわかったし」 悪いな、俺の背は生憎この春から伸びてないんだよ。高校の制服着てなきゃ高校受験の塾の勧誘がうるさいし。 「それにしても…先輩、制服の袖」 言うな。頼むからそれ以上言うな。まくってごまかしてるけど余ってるって言いたいんだろう...
  • 19-289
    敗者復活戦 「先輩の乗ってるの、あれかな」 「方向違ぇだろ」 俺と片野は空港のベンチに呆けたように座りながら、飛んでいく飛行機を眺めた。 何だか気が抜けてしまった。 俺と片野、そして先輩。 1年越しの三角関係が、ついさっき終わった。 サークルに入ってからこっち、俺たちの不毛な争いは絶えることがなかった。 片野が先輩を食事に誘えば、俺が割り込んで無理矢理3人メシにした。 俺が先輩にテスト勉強の手伝いを頼めば、呼んでもないのに片野がノートを持ってきた。 先輩はといえば、そんな俺たちの争いなどつゆ知らず、「卒業してもこのまま3人でつるめたらいいね」なんて、嬉しいような歯痒いようなことをよく口にしていた。 先輩をめぐる、俺と片野のくだらなくも充実した日々。 それは、振り返れば意外と尊いものだったようにも思う。 「同じ...
  • 26-289
    些細なことで嘘を吐く  シーフのサラキは些細なことで嘘をつく。 嘘つきな男だと思われたいのだ。 自分は茶葉の目利きの天才であるとか、 この先の教会は十字の代わりに矢印が飾ってあるのだとか、 水竜のなめらかな背中は怒るとトゲトゲが出るのだとか。 すぐばれる嘘を、法螺を、軽やかに揺れる赤毛と 道化た手振りに乗せて日々繰り出している。 真摯な男だと思われてはたまらない。 いつか一番大事な場面で、 彼が大事なもののために命を投げ出す時に、 彼が思わず本音をこぼしてしまうだろう時に、 あいつのことだから本気かどうか分かりゃしないと、 笑い飛ばしてほしいのだ。 彼が心と剣を捧ぐ主に。 **** その日も、冗談で場を盛り上げていたサラキは いつの間にか酔いつぶれてしまった。 宿屋の酒場。 パーティーの仲間や荒くれ...
  • 24-289
    アニヲタ攻め おい、今日はこの俺がわざわざ時間作って会いにきてやってるんだぞ。何でアニメ見てんだよ、なあ。 …無視すんなよ。…このシーンが今後の鍵になるから黙れ? って、録画じゃねーか!ビデオマークだろうが!いつでも見れるだろう、なあ! …何度も見るから意味がある?リリちゃんの勇姿が?はあ? リリちゃんグッズなら、部屋のいたるところに、携帯の待ち受けに、キーホルダーで鞄にも付いてるよな!今見なくてもいいよな! こっちは、部屋にあるのはお前がくれたプレゼントだけだし、携帯の待ち受けはお前との写真だし、キーホルダーはお前とお揃いで買ったやつなんだよ! …なのに、何だよ。 あー、分かってるよ。お前がリリちゃん一筋だってことぐらい。 俺が不良に絡まれてやばかった時、リリちゃんの決め台詞吐きながら震えて現れたもんな。 初対面がそれだ...
  • 16-289
    1cm 「…惜しいなあ」 「何が?」 「あと1cmなのに」 「だから何が?」 「…身長。あと1cmで、僕は君と並べるんだ」 「そんな1cmなんて気にしなくても」 「君が気にしなくても僕は気にするんだ!」 「ぁ…すまん」 「ずっと身長が低かった僕が、やっと、やっと君に追いつけそうなんだ。」 「…」 「身長が君と同じ、173cm」 「身長が君と同じ、173cmになったら、僕は君に伝えたいことがあるんだ」 「伝えたいこと?」 「うん。だから、もうちょっとだけ待っててね。すぐに、すぐに君に追いつくから」 「…わかった、待ってる」 「うん」 あと1cm伸びたら、僕は君に最高の告白を送ろうとおもう。 だから、あと少し。あと少しだけ、伸びないで待っていてください。 表示名?
  • 20-289
    見違えるほどきれいになった 「えっ、お前……クロード?」 「はい。見違えましたか?」 目の前の友人に俺はただ戸惑うばかり。 「なんか、全体的にこざっぱりとしたな」 「バッサリ切ったんです。トリートメントもしたんでフワフワになりました」 出会ったときの姿からは想像もつかない変身だった。 『クロード』というより、『田吾作』って感じだったのに… 見た目が変わると印象も激変だ。 「ビックリするくらい変わったでしょ?」 「かなり驚いてます」 「これからも来てくれますか?月一くらい」 「むしろ毎日来ます」 「私に会いに?」 「もちろん。ありがとうございます」 「では本日のお会計は4500円になります」 「ありがとうございました。クロード、行くぞ」 「ワンッ!」 大嫌いだけど…仕方がない
  • 14-289
    学生と老教授 父の同級生だったという水谷教授は、体育会系の父とは 全く正反対の物静かな雰囲気で、初めてその関係を知った 僕は大変に面食らわされたものだった。 「みずや、です。たに、では無く」 低く芯の通った声で交わされた最初の言葉は、今も僕の中で しっとりと響いている。あの人の優しい笑顔と共に。 普段雄弁な父なのに、教授の話となると何故か口を噤んだ。 まるで、何か後ろめたい事でもあるかのように。 不思議な2人の秘密めいた関係に、何かを突き動かされたように僕は。 謎を探るかのように、まるで、囚われるかのように。 どうしても堪え切れない感情は、ある日。 父と同じ齢のその人を、無人の空間の、教壇へと押し付けてあまつさえ。 女性にするかのような口付けをするまでに。 大した抵抗もなく、普段と同じ物静かさで。 ふわりと白髪混じりの髪を...
  • 13-289
    ら、らめえ~ がーごがーごがーごがーご シャリシャリシャリシャリ がーごがーごがーごがーご シャリシャリシャリシャリ 「ああもう!」 俺はクマさんの形のカキ氷器をまわす手を止め、思わず叫んだ。 「……ん、あに?」 そう言って目をあげたカズキの舌は、真っ青に染まっている。 昨日の夏祭りで余ったので町内会からばーちゃんがもらってきた シロップの色だ、もちろん。 「俺が作る片っ端から全部食うなよ!俺の分は?!」 「あ……おめん」 片時もスプーンを口に運ぶ手を休めずにシャリシャリ言ってたカズキは 口いっぱいにかき氷を頬張ったままそう言って笑った。 「あわりにも、うあくて」 「お前、もう舌回ってないじゃん。やっぱ食いすぎだって!」 『あまりにくも旨くて』さっきから間違いなく三杯分くらいは 食べ続けてるカズキは、舌が冷たくなりすぎたのかロレツが回らなく ...
  • 18-289
    お道具。 幼馴染が大学に合格した。 とても喜ばしいことだとわかっているけど、どうしても本心から喜んであげることはできなかった。 地元を選んだ俺とは違い、あいつの志望大学は隣の隣の県。 ここから通うには遠い距離で、受かれば一人暮らしを始めると屈託なく言い出したときには、 言葉に詰まって体当たりでやりすごした。 引越日は今週末に迫っており、今日は片付けの手伝いに来ている。 通いなれた隣家の部屋は、もうひとつの自分の部屋のようだったのに、ダンボールがひとつ増えるたびに 余所余所しさを漂わせていく。 体の中がどんどん重苦しくなっていくのを無視して、普段どおりの態度でひたすらに手を動かした。 「ここも適当に詰めていいよな?」 「あー、頼む。ちょっとガムテ取ってくる」 階下へと遠ざかる足音を背に、俺はここぞとばかりに深く深くため息をついた。 のろのろと押し入れの中にし...
  • 17-289
    初めての… こんなに近くでユウの顔を見たのは初めてで、それだけで心臓が高鳴った。 同い年とは思えないほど大人びたその表情。 強い光を持つその瞳は今は伏せられて、長い睫毛がその目元に影を作って、とても綺麗で見惚れる。 そっと額が合わさる感触、反射的に目を瞑ればただ感じるのは額から伝わる熱だけで。 鼻先を擦り合い、その感触に震えて身を竦める。 少しだけ身を離そうとした俺をユウは逃さない。 その大きな掌が俺の後頭部に回り、固定する。 ユウが、俺の名前を囁く。吐息が、籠る。 「ナツ」 初めて交わした口付けは、さっきまで食べていた水蜜桃の味がした。 なんて男らしい
  • 11-289
    わんこ下僕攻め×猫女王受け たまには初心に返って萌え語りしてみる。文才ないけど勘弁な。 わんこ下僕攻×猫女王受、というと、やはりツンデレ系の受に思う存分振り回されて (´・ω・`)ショボーンとなるヘタレ攻が基本形だが、 あなたの下僕ですどうぞあなたのお気の済む様になさって下さい、という感じの忠.犬.で、 受大好き!受まっしぐら!な物凄く真っ直ぐで分かりやすい愛情表現をする攻に戸惑ってしまい、 いつもの様に我侭に振舞えない女王受というのも、それはそれでなかなかいいと思うんだ。 受がいくらツンツンしても、我侭言ってみても全然通じない、構われるのが嬉しい!って ニコニコしてる攻と、そんな攻にどんどん溺れていく自分に驚き、戸惑う受。 ごめん萌え過ぎてうまく書けない。 個人的には、1・2歳くらい年下の攻×年上受だと嬉しい。逆でももちろん美味しいが。 ...
  • 27-289
    保育士×元園児 「先生って背、低い」 はいはい、と先生はうなずいた。 「先生、園長先生だよね、偉いんでしょ? でも若いから松本先生とか黒木先生とかによく怒られる」 そうだね、と先生は苦笑いした。 「先生、五月の運動会のあいさつ下手だった、えーっと、えーっと、とか言っちゃって」 あいさつニガテなんだよ、とあごを撫でる。 「ピアノも下手だ」 練習してるんだけどね、早くは弾けないの、悪いね、と謝る。 「……その眼鏡、なんかダサい。大きすぎる」 また、はいはい、とテキトーな返事。 「服もダサい。エプロンもダサい」 いいんです、こどもと遊ぶのにはこういう服が一番、そう言って先生は、 「もっと可愛いエプロンもあるけど、これくらいが気に入ってるんだよ、ダメかな?」 エプロンのお腹に手をやって、ちょっと首を曲げてみせた。 それが可愛いポーズ...
  • 15-289
    大事な事なので二回言いました 「お前なんて嫌いだ」 お前なんて嫌いだ、と念を押すように俊吾は二回言った。 慌しく一夜の逢瀬を重ね、平日朝、くだり電車には二人以外誰も乗っていない。ボックス席に座り、人目を気にせず二人で身を寄せ合っている。心地よい揺れは普段なら心地よい眠りを誘うものだが、今日ばかりは睡魔はちらとも襲ってこなかった。 「俺のこと、嫌いなの?」 玲一は眼鏡越しに俊吾をちらりと見た。その茶化すような声音に血が上り、俊吾は隣の玲一を睨む。こいつはいつもこんなだ。自分が真剣になっても、子供をあしらうような態度で押さえつけにかかってくる。 玲一の家はでかい。家政婦だっている。聞いても玲一は言葉を濁すばかりだが、家が代々会社を経営しているということは言葉の端々から窺うことが出来た。 大学で出会ってから今までずるずると付き合ってきたが、玲一は大学院で研究中、俊...
  • 23-289
    ドSの懇願 息苦しい。なんとか酸素を取り込もうと息を吸うたびに、傷口に激痛が走る。 浅い呼吸を繰り返して、思わず上がりそうになる声を噛み殺した。 平静を繕おうとする自分の姿は、きっと無様なことだろう。 瞬間、夜ごと繰り広げられる己の痴態が脳裏を掠め、こんな状況なのに無性に笑い出したくなった。 もっとも、抱かれたときに噛み殺すのは苦痛の声だけではないのだけれど。 それに、お前ももっと余裕のある表情をしているだろう? 俺を支えるようにして止血を行っている男の顔は、今やそちらの方が死んでしまいそうなほど蒼白だ。 ピンチになった俺の下に駆け付けたのが、散々俺をいたぶってきたこの男だとはなんという皮肉だろう。 「……いかないでください」 唐突に、男の唇からひどく似つかわしくない言葉が漏れた。 驚いて顔を見上げると、男自身も途方に暮れたような表情を浮かべていた。 男が再...
  • 21-289
    絵画の中の男に恋をした その日、俺は美術館に来ていた。 アパートの近くに新しい美術館ができたと後輩が自慢気に話しており、バイトの休みを利用してなんとなく足を運んでみた。 平日の午後という時間帯のせいか、館内に客は俺だけだ。 だが、これといって芸術に興味があるわけではなく、単なる好奇心で足を運んでいた俺にとってはどれもただの平面に描かれた線や点にしか見えず、やや歩調を遅くしてそれぞれの作品を流し見ていた。 終盤に差し掛かり、来たことを後悔しはじめた頃、一つの絵の前で歩みを止められた。 その絵は部屋の隅の方にあり、照明も薄暗く、また絵自体も小さく、決して華やかとは言えなかった。 そして俺自身も、なぜこの絵の前で立ち止まったのかはわからなかった。 30cmほどの正方形の中には、1人の男がいた。 何の変哲もない男なのに、どうして目が離せないんだろう。 俺はその...
  • 4-289-1
    高校生にしかみえないけど実は中学生×どうみても中学生だけど本当は高校生 先輩と初めて会ったのは夏祭りだった。金魚掬いが上手な奴がいるなって興味を持って、のぞき込むと、ちょっと可愛い顔立ちで、しゃがみ込んだ浴衣の裾から白くて華奢な足がのぞいてた。 なんか一目惚れって感じで、側に行って一緒にしゃがみ込んで話し掛け、すぐに親しくなって帰り道、神社の裏手の木陰の暗闇で無理矢理キスしてた。あんまり抵抗もなかったから、そのまま押し倒して、それから何度か関係を持ってから、初めて気が付いた。 相手は高校生だったって。向こうも、背の高い俺のことを同じ高校生だと思ってたみたいで、ちょっとショック受けてたみたい。押し倒された相手が中学生だったなんて。 しかも、最初に「何年?」って聞いたら、ただ「2年。」って、それ以上、学校の話しは出なかったから後輩だと思ってたぐらいで。 でも、ホント華奢で可愛...
  • 9-289-1
    物凄い受けの俺 「ありがとう、変態仮面! 今まで男同士で悩んでいたのが嘘みたいだ」 20歳前と思しき内気そうな青年が満面の笑顔でそう言った。 青年の前に立つのは奇妙な格好の男。 スレンダーな肢体に黒いズボンしかつけておらず、惜し気もなく晒された 胸板は白く滑らかだ。顔を覆う白い仮面が妖しい魅力を醸し出していた。 「悩めるゲイを救うのが我が使命! どんな激しいプレイもいとわない! 体に漲る『物凄い受けパワー』! その名は 変 態 仮 面 !!!」 ヒーローさながらにポーズを決め、男はそう言い放つ。 「何かあればまた呼んでくれ!ではさらばだ!」 男は不敵に微笑むと素早く身を翻し、闇の中に消えた。 「はぁ…疲れたー」 自宅に戻ると、俺は仮面を外してソファへぐったりと座り込んだ。 俺は瀬崎真・21歳。昼間は大学生、夜は素顔を隠し裏稼業に精を出している。 ...
  • 15-289-1
    大事な事なので二回言いました 「好き、だーい好き」 「はいはい」 「大好き、ものすごく好き」 「あっそ」 「すきすきあいしてるー」 「……いい加減うるさいんだけど」 「なんだよ、そこは俺も好きだよって返すとこだろー?」 「うるさい、誰が言うか」 「お前滅多に好きとか行ってくれないじゃん。俺の事好きじゃないのー?」 「嫌いな奴だったらこうやって膝に頭乗せてきた時点で殴ってるよ」 「それはそうだけど」 「俺なりの愛情表現なの。いいだろこれで」 「ダメ、口に出さないと伝わらないの!大事な事は2回言うぐらいで丁度良いんですー」 「そんなもんか?」 「そんなもんだよ」 「へぇ……好き、好き」 「えっ、いや、えっと」 「2回言うぐらいが丁度いいんだろ?好きだ、大好きだ」 「た、タンマ!耳元で囁くの反則!低い声出すの反則!」 「そうやって顔を真っ赤にするお...
  • 12.5-289
    機械の体 貴方様を強く優しく抱きしめとう御座います 体温が溶け合う程、熱を分かち合えたら、 貴方と私、どちらがどちらかも分からぬ位に 一つになってしまえたらいいのに けれどそれは叶わぬ譫言 …そう、思っていたのに。 嗚呼。 最期の時を迎える筈の私は 場違いな、筆舌に尽くしがたい程の幸福を感じて居ます 歓喜の熱を感じているのは そう、体ではなく心なのです 捨てられたと悲嘆に暮れている貴方様を、 慰め、癒やすことが許されるならば 何も畏れることはありませぬ 貴方様と一緒ならば、何も。 …溶鉱炉の中 二つの機械の体はあっという間に、その形を無くした 機械の体
  • 10-289-1
    党首×捕手 『八神海渡、八神海渡、海を渡る八人の神。もうこりゃ縁起もんです。 しかし皆さん、名前負けするような男ではありません。 お手々繋いで幼稚園…そうかれこれ30年近くの腐れ縁ですが、 一度たりとも約束を反故にしたことのない誠実な男です。 高校時代デッドボールを受け、足を打撲した私を担いで医者まで走ってくれた、そんな優しい男です。 お嫁に貰ってもらいたいほど…あっいや女房役はグラウンドだけで手一杯でして、 それは未来のお嫁さんにお任せしましょう。 また皆さん、……』 私は横で微笑みを浮かべながら、嫁という言葉にあの日の自分を思い出し真っ赤になった。 和人とゆっくり会ったのはもう3ヶ月も前だったろうか。 お互い忙しくいつもこんな調子だ。 あの日、逞しい和人に何度も貫かれ追い上げられ快楽の淵に突き落とされた私は 「そろそろお嫁に貰ってくれてもい...
  • 16-289-1
    1cm しこたま飲んで酔いが回り始めると、シュウはいつも決まってこう言う。ごめんねえ、と。 「ごめんねえ、またクビになっちゃった」 僕の知っている限り、シュウがバイトをクビになるのは今回で四度目。僕の部屋に転がりこむ前も数えたら、一体何回になるのだろう。いつも誰かと喧嘩をしては啖呵をきって辞めてきてしまう。 リビングに散乱するビール缶をごみ袋へと入れながら、僕は酔っ払いの覚束無い言葉へ返事を返す。 「いいって。家賃だってちゃんと半分入れてくれてるんだしさ、僕は何も困ってないよ」 「だって、俺がいたら、彼女も部屋に呼べないっしょ?」 そしてまた、ごめんねえ。 そんな、もうほとんど眠りに落ちかけているシュウに、苦笑いを浮かべた。 「そんなのは僕に彼女が出来てから心配してよ」 彼女なんて大学以来いたためしがない。 「俺のことは、いつでも追い出していいから。だから良い...
  • 12.5-289-1
    機械の体 「正気か!? 身体を機械にするなんて……! クローン技術だってあるだろ!」 「生身のままじゃ、奴らを殺せない!!」 幸せだった2人に突然襲い掛かった悲劇。 テロに巻き込まれ、目の前で恋人を殺され、自分も瀕死まで追い込まれた彼はすっかり復讐鬼となっていた。 この前まで、虫を殺すことも嫌がるような奴だったのに。 そしてあいつも、死んでいい理由なんか何一つなかった。 本当に、いい奴だったのに。 「だけど、あんたがサイボーグ技術士でよかったよ。他の奴だったら、理由知ったら絶対やってくれないし」 「……だろうな」 復讐のためか、こいつのためか。 どっちにしても不毛なこと。 ただわかるのは、他の奴にだけは任せられないってことだけだ。 悪の総帥に惹かれる正義の味方
  • 2-279
    42歳×19歳 「ただの骨折です。頭部に異常はありませんし、二週間で退院できますよ。」 目の前にいるのは朝方救急で運ばれきた患者。免許取得後一ヶ月、ハンドル操作ミスで電柱に激突したらしい。 右腕を吊っている以外は、普通の少年となんら変わりないが、ただ違うのは男らしくないこの顔立ち。 男に生まれて42年、ちなみに独身。向かい合ってこれ程緊張する男は初めてだった。 実はというと自分はこの少年が気になってしょうがない。 午前の診察もあまり集中できず、昼食もとらず用もないのに病室来ているくらい。 「先生さーそのメガネとってよ。ねぇってばー」 上目遣いで覗き込まれる。赤面しそうになって視線を逸らす。 「だめだめ。これがなきゃ何も見えな、、こら、返しなさい!」 「へーけっこう男前じゃん。45だっけ?30代に見える!」 「42だ!!ちょっと、眼鏡!」 ...
  • 2-299
    中国×台湾 台湾は苛立っていた。 あいつさえいなければ、俺はもっと自由にやれるのに、と。 あいつ――中国は月日の経過なんて考えもしないで、俺を縛り付ける。 俺はもう、何も知らないガキじゃないのに。 あいつに頼らねば生きていけなかった昔とは違うのに。 むしろ、そうむしろいつのまにかあいつを追い越してしまっているのに。 一人になりたい。自分の足で立ってみたい。 あいつの背に負ぶわれ、あいつの影に潜むのはもうたくさんだ。 ならば、無理やり逃げ出せばいいと誰かが言う。 武器を取り、炎を放ち、今までの恨みを散々晴らして、 奴の元から逃げればいいではないかと。 ……それが出来るなら、とうにやっている。 でもそんな大それた事出来る筈がない。 だって、結局俺はひどく姑息で臆病なのだから。 一人前になったのを認めては欲しいけれど...
  • 2-239
    桃と梨 あいつのぐじゃぐじゃしたところが嫌いだ しゃっきりさくっとした歯応えが俺の身上だしな 「指で押さないでください」ってそんなやわでどうするよ そりゃ果物みんなネットは大抵かぶるけどあいつのは異常 身体が弱いんだかなんだか知んないがいつも大抵コートを身に纏ってるしよ 皮だって指で剥くべきかナイフで剥くべきか、そもそも剥くか否かすらはっきりしない奴じゃないか 俺は皮剥いてから食べないと腹壊すと言われてるぜ バナナとかみかんとか見習えあんなに皮がはっきりしてるしイチゴに至っては剥かなくても食える なんでここまであいつとは正反対なんだろうな それに桃ってなんだよ姿そのものが卑猥じゃんかよ あんな格好して甘い香りを漂わせてかぶりついたら汁が溢れてきて口も指もべたべたになるって …何考えてんだ俺。 短気な後輩×卑屈な先輩
  • 2-209
    韓国×日本 日本の何が気に入らないって、あの人情味の無さだ。 「戦争を反省しろ!」 「はいしてます。遺憾です」 「国連になんか入るな!」 「理解してもらえるよう努力します」 「独島は俺のモンだ!」 「冷静に話し合いを続けましょうね」 あいつの目はとことん米国にしか向いていない。 俺の言葉なんざ風音のように無視している。 まだ足りないのか? もっと強く押せばいいのか。 叩いても叩いても割れない壁があるみたいだ。 さすがに罵声のネタが尽きた頃、ふっと日本がこちらを向いた。 突然で死ぬほど驚いたんだが、日本は涼しい顔をしている。 「ドラマ、面白いね」 「エッ?」 「韓国の。ドラマ。わりといい」 「え? あー。家では古臭いって評判なんだが……」 「その懐かしい感じが良いんじゃないですか。  も...
  • 2-249
    短気な後輩×卑屈な先輩 ゴールデンウィークが終わりに近づくころになると、毎年のことながらどこにも出たくなくなる。 五月病って名前もついていることだし、と布団かぶってごろごろしてたら、 いきなり上から踏みつけられた。 「アンタまただらだらしてんのかよ!何時だと思ってんだ、起きろ!」 がんがん踏まれる。がしがし蹴飛ばされる。 不法侵入者に用はない、と丸くなろうとしたら、今度は毛布ごとひっぺがされた。 「アホか。アンタまた五月病とか言ってんだろ?アンタのは年中じゃねーか。 単なるサボリだろ。とっとと起きろ。GW最後の日曜だってのにうざいこと言ってんな」 イライラしてるのが口調で分かる。大体こいつは瞬間沸騰がすぎるんだ。 二年前に高校で告られた時だって、最後は半分怒鳴りつけられてた気がする。 「ホラ。起きな」 差し出される手をぼんやり眺めた。で...
  • 2-269
    米国×日本 (この無神経野郎…。) 日本は思う。 大きくて、強くて、陽気で、どこまでも明快。 いっそ米になりたいとまで思うほど、ひたすらに憧れた時期があった。 同時に、何もかもを自分の思い通りにしようとするその無神経さを憎んでもいた。 相反する感情は時に耐えがたいほどの葛藤をもらたす。 「全てお前の為なんだ。お前の身は守ってやってるだろう?もっと俺に寄り掛かればいい。」 別れ話の腰を折って、米は慣れた仕草で肩を抱き寄せた。 小柄な日本はすっぽりと包み込まれる形になる。 日本は微かに眉を寄せたが、物憂げに微笑んで、続きを飲み込んだ。 日本が押しに弱いことは初めての時から百も承知だった。 米に半ば強引に体を開かされて以来、ひきずられるようにして続いている関係。 理不尽な要求を突きつける米に日本は時折こうして別れ話を切り出そう...
  • 2-219
    執事×旦那様 執事はあれだ、個人的には年上で、旦那様が坊ちゃまだった時代からお仕えしてるといいね。 旦那様は天使のようにかわいらしい子供時代を経て、かなりお腹の黒いお方にご成長なさった んだけど、執事的には未だに清らかで守ってあげたいお坊ちゃまなわけですよ。 僭越ながら弟のように思ってるわけですよ。 そんな坊ちゃまは今では立派な妖艶誘い受け旦那様だけどな。 旦那様が色んな紳士と浮名を流してる片棒を担いでおきながら、今いち事態を把握してない 執事。いやね、執事も大人だし、心当たりがないでもないよ。 だけどそんな疑惑が胸に浮かぶたびに打ち消してるわけ。傍から見たら無理がありすぎな 必死さで打ち消してるわけ。そんなことあるはずない、うちの旦那様に限ってと。 旦那様の方でも執事は兄っつうか、空気? そう、空気のような存在。恋愛対象外。 だっておしめ...
  • 2-259
    無職者と新幹線で飛び回る有職者 「あへ……お前でかけんの…?」 朝早くからバタバタと用意をしている恋人に、布団の中から男が声をかけた。 「昨日言っただろうがー。今日から出張!帰るの明々後日な」 「あれま……気ぃつけろやー」 寝癖がついた髪をぼりぼり掻きながら、パジャマのままで玄関まで出迎える。 この男にゃ急ぐ必要は無い。どうせ仕事も何もあったもんじゃないのだから。 「俺が留守ン間の戸締りとか頼むぞ。俺が居ないからってご飯は適当にするなよ?後それから…」 「おーい、時間いいのかぁ?」 「うぎゃああ!やべぇ!んじゃ行って来ますッ」 「あ、ちょっと」 「え?何?マジで俺、新幹線の時間やば……」 きっちり着込んだスーツな姿の相手の、ネクタイをグイっと引っ張る。 ちゅっと軽く口付けてから、男はやんわりと笑んだ。 「行ってらっしゃい。毎回言...
  • 2-229
    年の差でフリーン、最後の夜 「別れてやる」 ちょっとした事に腹をたてたに時に使うはったりにアイツはいつもと違う反応をした。 「そうだね、僕達終わりにしよう‥」 「…‥は?」 一瞬自分の耳を疑った。いつもなら、それはやだなぁと笑いながら暢気に言うアイツが。 深刻な顔で、声色でそんな事を言うなんて思いもしなかった。 「子供が出来たんだ、彼女に」 「‥じょ「冗談じゃないよ。君の事は変わらずに好きだけど、彼女を裏切るのはもう嫌なんだ」 彼女を愛しているから‥という言葉が胸に痛い。 こんな時何を言えば良いんだ。 頭が回らない。 「最後に抱かせろよ」 回らない頭でそれで別れてやるからさぁと鼻で笑う。 伝えたい言葉は本心と食い違う。 自分の性格を怨んだのは、この時始めてだった。 「…わかった」 そう頷くアイツを、...
  • 22-279
    お前が好きなんだよっ、バカ! 「お前が好きなんだよっ、バカ!」 裏返った大声と表のドアがたてた派手な音に驚いて顔を出すと、ベテランバイト君がレジ前に立ちつくしていた。 ドアがまだ揺れている。……体当たりで開けたんじゃなかろうな。 うわー、他にお客さんいなくて助かった。 「杉浦君。杉浦くーん」 正面に回って声を掛ける。バイト君――杉浦君は、ようやく僕に気付いたようだ。 まだ口が半開きのままだけど。 「あ、店長……」 「今出てったお客さん、友達でしょ? あの子よく来てくれてる」 よね、と言い終わる前に、杉浦君がその場にしゃがみ込んだ。 「あ、ちょっと、大丈夫? ……喧嘩?」 ……いくらなんでもあのセリフは店へのクレームじゃないだろう。 「ち、違うんです。喧嘩とかじゃ、なくて、急に」 椅子を引っ張ってきてなんとか座らせると、エプロンをきつく握りしめて震え...
  • 22-219
    身長・体格が受け>攻め、ちんこのサイズも受け>攻め 週末雑居ビルのバー。 戸川がサッカー中継を見ながら奥の席で一杯飲んでいるとすぐ隣に男が座った。 一瞥してしめっぽいちっこいおっさんでとても自分がどうこうするタイプじゃなかったのでよそあたって、 と言うと今にも消えそうな声で男が言った言葉があまりにも衝撃過ぎたので戸川は飲んでたものを吹きそうになって思わずおもしれーと言ってしまった。 それを聞いて相手は?マーク浮かべながら笑ってちょっとこのおっさんかわいいなと戸川は思った。 サッカーはスポーツニュースで結果を見ることにして店を出た。 本当に世の中には色々な出会いがある。 狭いエレベーターの中で並ぶと相手は戸川の胸あたりまでしか身長がなかった。 白髪のちょいちょい目立つ頭を見ながら品定めする。 年は30半ば40いかないくらい。地味な色のスーツ。 「俺でいいんで...
  • 12-269
    あなたが最近目覚めた萌え 語りでもSSでも 満月の夜。二人の男が、とある縁側に並んで座っていた。 黒髪の男が葉巻をくゆらせ始めた。 彼は火を隣の男に渡そうとしたが、隣に座っている金髪の男は、柔らかい手つき でそれを退けた。 「俺ぁいいですぜ、俺にゃあこれがありますから」 そう言って笑う金髪の手には飴玉が握られていた。 「前から少し気になっていたけれど、お前はひょっとすると、酒とか葉巻が苦手 なのかい」 黒髪が金髪の顔を覗き込んだ。 「苦手ってんのとは違います」 金髪は飴玉を口に放り込むと、黒髪の顔を見て寂しそうに笑った。 「味がしねぇんでさ。貴方方の仰る、辛い、酸い、苦い、後は何だったか忘れ ましたが、とにかくそういうのが俺にゃあ分かんねぇんです。まぁ分かる方にお 話ししても、合点はいかないでしょうね」 黒髪は目を丸くし、数秒金髪を見つめた後、なるほど...
  • 22-229
    チャラ男受け ホストたるもの、身なりの差別化は必須だ。 働く男達が皆同じような見た目同じような性格だと客は集まらない。 それぞれの個性がある。 俺も同じ夜の道を歩む者として、それは理解しているつもりだ。 しかし。 「…お前それは何のつもりだ」 そんな俺の言葉が理解できないみたいな顔で、控え室に入ってきたばかりの淳は首を傾げた。 「何って…?ピアスだけどぉ?」 「…いつ開けた」 「昨日。だってもうあけるとこねぇんだもーん」 淳はその下唇の端に光るシルバーの丸ピアスを指で弾いてみせた。 痛々しく見えて思わず顔を歪めた俺に、淳はニヤリと笑って目を細める。 「なに?くちピぐらい今ドキ普通っしょ?」 そう言って鼻で笑ってロッカーを開け、仕事着であるスーツに着替え始める。 日に日に増えていく耳のピアスはしょうがないにしても、とうとう唇にまで。 硬派がウリの...
  • 22-239
    紳士受け 「わかりました」  と言われたからには、合意の上だ。何の問題もない。年の差も、立場の差も。  ネクタイは自分で外してくれた。  そのおぼつかない手つきを見て、引きちぎるようにボタンを外したのはこっちだった。  外しながらキスをした。  まったく為すがままに、息継ぎもできずに呼吸を荒くするので、俺はますます余裕をなくす。  ズボンに手を伸ばして、ビクッと腰を引かれた。 「……よしてください」  やわらかく拒絶。  こんな時まで敬語使いだとちょっとおかしくなりながら、ああ、やっぱりという思いがする。  本来ならこんなことできるはずもない相手なのだ。 「いいって言ったのに」  責めると、乱れた前髪に隠れるような視線が惑って、 「……まだ、シャワーも浴びていません」  ほっと胸をなで下ろす。 「シャワーは無理です」  と、触れた。布越しにもみしだ...
  • 22-249
    権力者の初恋 生まれながらに権力を約束されていた。 見目麗しく学問に秀でた、大国の王太子。 性格は冷酷というより酷薄。 人の心がない、非人間と陰で散々に言われていた。 手に入るものに興味はないから、欲しいものなど何もない。 かしずく者は疎ましい。治める民は愚かしい。 万人を平等に見下し、当然ながら恋愛とは無縁に日々を生きていた。 そんな王子も父王の退位を受けて王位に就くこととなり、各国から慶賀の使者が続々と訪れる。 若い新王は酒癖が悪く、 めでたいはずの酒宴で誰彼かまわず論戦を吹っかけた。 そこで使者の一人と、有名な詩人の作品を巡っ て議論を戦わせた。 議論に決着はつかなかったが、王は使者の才気を気に入り、手元にとどめ置くことにした。 使者はよき友になった。何といっても、まず聡 い 。 歳の離れた兄のように王を甘やかし、 時には愛 情深い父親の...
  • 12-259
    夢精 「兄貴兄貴兄貴っ!? ねえ、兄貴ってば!!」 ドタドタと盛大な足音を立てて、一段抜かしに階段を駆け下りてくる我が弟に、俺は小さく吐息した。 「うるさい、黙れ。そして階段は静かに下りろ」 「だ、だってだってだって!!」 そう口にする弟の頬が、いつもと違い林檎のように赤く染まっている。 おまけに目元には、薄っすらと涙まで滲みかけているようだ。 何なんだこいつはと思っていれば、眼前の弟は蚊の鳴くような声でこちらに縋ってぽそりと告げた。 「お、俺、おもらししちゃったみたい……」 「…………は?」 あまりに予想外なその言葉にあっけに取られ、手にしていた新聞を思わず床へ取り落とす。 口をぽかんと開けたまま何も言えずにいる俺に、弟はなおも小声で続けた。 「どうしよう、母さん達昼には帰ってきちゃうよね? ……それまでに、布団乾く? 乾くかな!?」 漸く立ち直ったこちら...
  • 12-249
    手をつなぐ 手袋を持ってきて良かった、と帰宅時間を迎えた岩田は心底思っていた。 登校しようと玄関のドアをあけた岩田の目に、一面の銀世界が飛び込んできたのは今朝のことだ。厚手のコートだ けではもう駄目だと判断し急いで室内に戻り、手袋とマフラーを押入れから引っ張り出したことを思い出す。それか ら半日。岩田は帰り支度をしながら玄関へと歩いていた。廊下の窓の外では、今朝より一層激しく雪が降り続けて いる。玄関の扉に手をかけた岩田に、 「今、帰り?」 後ろから、同級生の声がかかった。 「おぉ、北村。…おまえも?」 「うん、一緒していい?」 頷いて、許可を示す。嬉しそうに笑った北村に促されて、岩田は外へと足を踏み出した。 大粒の雪が降る外は人通りはなく、防寒具を通しても寒さが伝わってきた。自然と北村との距離が近づく。大の男 二人の影がくっつくのを、岩田は気恥ずかしく思った...
  • 22-299
    さあ、踏め!  それは突然の事だった。昼時、畑仕事をしていたおれ達の前に厳つい顔をした役人どもが現れおれ達を追い立てる様に奉行所へと集めた。  奉行を含めずらりと並ぶ役人どもの姿に、すわ何事かと戸惑うおれ達の前へと投げ置かれたのは一枚の汚れた真鍮板だった。 (絵踏じゃ……!)  泥にまみれたその表面に見える女の顔。弾かれるように隣のヨシロウへと顔を向ければ、ヨシロウは静かにじっとその板を見つめるばかりだった。 「前へ」  奉行の声に一人ずつ村人が板の前へと連れ立てられる。皆心得た様に泥まみれの足で女の顔を踏みつけた。 「次」  順調に事は済み、次にヨシロウが前へと進み出る。同心に促されるよう肩を押され板の前へとたどり着くと、ヨシロウは足を止め――跪いた。  一気に奉行所がざわめきで満たされる。 「ヨシロウ! 踏まんか!!」  思わず声を張り上げた。 「そんな...
  • 12-209
    直球エロ 「先輩、エロいことして良いですか?」 「え?」 「さっきから我慢してたんですけど、もうオレ暴発寸前です。  とりあえず抱き締めて舐めまわして良いですか?」 「…はぁ!?」 「具体的には、キスして舌入れて先輩の口腔内を犯しまくって、先輩の舌に俺の舌絡めたり先輩の下唇甘噛みしたりしながら、先輩の反応を楽しみつつ、そのシャツのボタン外して先輩の素肌をなで上げて、」 「何言ってんだバカ!」 「先輩、顔赤いよ?  耳まで赤い。すげー可愛い。今すぐ押し倒して耳たぶ噛んで、」 「馬鹿馬鹿馬鹿!それ以上言うな!!」 「先輩、したい。」 「…っ!!」 「駄目?」 「…駄目じゃ…ナイけど…。」 「じゃあ遠慮なく」 「ちょ!待て!少しは遠慮しろ!  …っ馬鹿…や…ぁ……」 手のり
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