*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「20-279」で検索した結果

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  • 20-279
    宇宙人×地球人 出会い 「*+` @ # %+`*?」 「Please speak in English at least. 」 「I came from the andromeda Milky Way for the investigation. 」 「できれば日本語で」 「お前初対面に対して注文多すぎだろ。宮沢賢治も引くわ。」 「しゃべれんじゃん」 君はともだち 「ねえねえ何でのぶ代ドラえもんやめたの?」 「やめたんじゃねーよ世代交代だよ」 「何でこの星の人類って70年くらいしか持たないの?」 「体細胞が決められた分裂可能回数しか持ってないから」 「なんで細胞って不死化したらがん化するの?」 「それ解ったらノーベル賞ものだっつーの」 「ノーベル賞ってどれぐらい凄いの?」 「株式会社やおきん顔パス」 「やべえ」 君はおほもだち 「...
  • 20-279-1
    宇宙人×地球人 「やだー!連れて帰るー!」 「いけません!」 信じられない光景が広がっていた。 広さだけは無駄にある(寧ろ、ただ広い以外は何もない)ひいじいちゃん家の裏山、そのススキ畑の上を、同心円状の風がごうごうと撫でていた。 その中心にあるのはマンガのような円盤型UFO、銀色の服を身につけたいかにもアレな青年に、……地べたに座り込んで駄々をこねる、見知った顔の少年・リコだった。 「ちゃんと世話するからあー!」 「あのね、世話したって、すぐ死んじゃうの。地球人は。そしたら今日よりもっと悲しい思いをすることになるから。な?」 「な?じゃないもん!いやなものはいやなのー!ばかばかばか兄ちゃんの分からず屋ー!」 兄らしき人物に掴みかかり、今時おもちゃ売り場でも見ないようなひどい容態で泣き叫んでいる少年は、確かにさっきまで俺と遊んでいたリコそ...
  • 10-279
    三角関係 「…ここにいろ、とは言わないんだな」 小さな呟きが聞こえた。 背中のぬくもりが動いて、温度が一気に下がる。彼が起きたのだろう。 数時間の眠りは行為の甘ったるい余韻さえ残していない。 俺は薄く目を開けて、冷え切った壁の木目に背後にいただろう彼の行動をただ思い描いた。 「お前が言えば、俺はいくらでもいてやるのに」 服を着込みながら、相変わらず淡々とした口調をこぼす。 俺は何も返さずに眠った振りをして、窓際に佇む彼の幻影を追う。 部屋の中にゆっくりと光が差す。昨日からの雨は止んだらしい。 「…酷か。そんなことを尋ねるのは」 床の軋む音、踵を少し蹴り付ける癖のある足音、蝶番がきぃと鳴って扉がばたりと閉じた。 彼が外に出ると同時に入ってきた晩冬の空気が、俺の背に縋っていたぬくもりさえじわじわ奪い行く。 「ここにいろ言うても...
  • 2-279
    42歳×19歳 「ただの骨折です。頭部に異常はありませんし、二週間で退院できますよ。」 目の前にいるのは朝方救急で運ばれきた患者。免許取得後一ヶ月、ハンドル操作ミスで電柱に激突したらしい。 右腕を吊っている以外は、普通の少年となんら変わりないが、ただ違うのは男らしくないこの顔立ち。 男に生まれて42年、ちなみに独身。向かい合ってこれ程緊張する男は初めてだった。 実はというと自分はこの少年が気になってしょうがない。 午前の診察もあまり集中できず、昼食もとらず用もないのに病室来ているくらい。 「先生さーそのメガネとってよ。ねぇってばー」 上目遣いで覗き込まれる。赤面しそうになって視線を逸らす。 「だめだめ。これがなきゃ何も見えな、、こら、返しなさい!」 「へーけっこう男前じゃん。45だっけ?30代に見える!」 「42だ!!ちょっと、眼鏡!」 ...
  • 28-279
      277  踏まれるのは私だ! 「待ちたまえ、277」 赤いピンヒールが俺の背中を踏みしめようとするのを、苛立った声が遮った。 「君は昨日も踏んでいただいただろう。今日踏まれるのは私のはずだ」 その台詞を口にした人物の表情からは、この空間の中では正当ではあるが世間一般では異常な主張をすることへの羞恥と、 それを凌駕する欲望と、そして嫉妬心がはっきりと読み取れる。 「すみません、274先輩」 立ち上がっていちおうは謝罪の言葉を口にしたものの、俺は口元に笑みが浮かびそうになるのをこらえていた。 男子校の弱小同好会を隠れ蓑にしたこのSM倶楽部の存在を知って入会してみたものの、 Sは『女王様』(男子校だから男だが)1人だけで、残りは全員が通し番号で呼ばれるM奴隷というシステムは俺の嗜好とはかけ離れていた。 それでも俺が退会せずに今日まで奴隷...
  • 7-279
    緊縛プレイ中に蚊が登場 こんなにも縛られることが気持ち良いなんて。 何も出来ない自分を嘲笑われる事ががこんなに俺を昂ぶらせるなんて。 股間のみが誇らしげにそそり勃つ俺の痴態を無様だなんだと笑いながら、 彼はグロテスクなオモチャを手にした。 普段は人様がうっとうしがる程にイチャコラしている俺たち。 夜になればお互いの違う顔が垣間見える。 そんな俺たちはプーン俺たちプーンおプーンおれプーン うわああああ!ウットウシイィィィィ! 我慢ができるのは彼氏のためだけだ。 何がプーンだ。ささやかな音が強烈過ぎてバイブの音が聞こえねえよ! 気分出neeeeeeee!!!!! 「おい……そんな福笑いで作ったひょっとこの様な顔をされると気分が壊れるんだが」 攻めの言葉に我に返り再び苦悶する顔を作ってやる。 こんなモノァとっとと再開、とっとと終...
  • 9-279
    点と線 今、俺の斜め向かいで、ゼミの助教授が講義をしている。 左手で専門書を押さえ、右手の人差し指でテーブルの端を叩きながら、 小難しい顔で小難しいことを朗々と話している。 周りの奴らはそれに聞き入っていたり、ノートにペンを走らせていたりしている。 俺もノートを広げて講義に聞き入っている……振りをしている。 ノートには、講義の内容など一文字も書かれていない。 斜め向かいに視線をやって、俺は軽くため息をつく。 そりゃ、ね。 確かに俺は、周りにバレないようにしようと言いましたよ。 俺はいいとしても、向こうは社会的地位とかあるわけで。 大学で教鞭とってる人間が教え子と付き合ってるなんてバレたら、色々と問題があるし、 しかも、俺は男で相手も男なわけで、危険度は更に倍率ドン。 ところが向こうはそういうものに頓着がなかった。なさすぎた。 ...
  • 5-279
    ミラーボール いいから来てくれ、と幼馴染から半ば無理やり渡されたのは、 小さなライブハウスでの小さなイベントのチケットだった。 「マジおもしれーから!絶対来いよ!」 ここ何年も連絡ひとつよこさなかったくせに、この野郎。なんて心で悪態をつきながら、分かったよ、と頷いた。 あいつが最近ダンスに夢中になってんのは知ってたけど、大して期待はしてなかった。 冷やかし半分、義理半分って感じだった。 それなのに。 俺はステージで舞うあいつから目を離せずにいる。 光と爆音の渦のなかで、周囲からは野次やら嬌声やらが飛び交って。 皆思い思いに身体を揺らしているというのに、ただ一人棒立ちだった。 音とリズムに合わせて動く身体は、たまに人間かと思うほどのトリッキーさで客を魅了し。 メンバーとの大技が成功した時なんて、俺も思わず歓声を上げた。 いくつもの派手なパフォーマ...
  • 8-279
    幼馴染 幼馴染のふたりは、いつも寝る前に「おやすみのキス」をします。 小さい頃お母さんたちが教えてくれました。 最初は軽く「ちゅっ」と触れるだけのキスだったのですが、 どこで覚えたのか、テレビドラマなのか、親のしてるのを見ちゃったのか いつの間にか、舌と舌を絡めるような所謂ディープなのになっていることは お母さんたちは気付いていません。 そんな「おやすみのキス」はいつまで続くか。 小学校高学年ともなれば、さすがにキスがどういう意味合いを持つのか わかってくることでしょう。 恋人でもないのに、しかも男同士でこんなのはおかしい…と一人が気付き、 もう一人はそんなことはまったく気にしない、天然だか鈍感だかだといいですね。 そして、気付いたほうの彼は、さらに自分の恋心も発見し自覚するとなおよろしい。 幼馴染の同性に恋したとなると、その相手とあいさつでする、気...
  • 4-279
    眠る男 この状態は…なんていうの? まさに ィ ン しちゃってるわけじゃない? 睡眠時間ナニソレオイシイ?状態の激務に渡る激務。 隣にいるのは可愛い恋人。 むんむんむらむら耐えていたわけですよ。 そいでもってさー、やっと仕事が終わってえちーにしけこむわけですよ。 あんあんかわいく鳴かせて、一回出させて、さぁ本番!なその時に。 寝やがったわけですよこいつ。 そりゃーもう気持ち良さそうにすやすやと。 もうね、おまえは眠り姫かと。ツンデレラかと。 ほんとに気分よく寝てるから、さすがの俺もそれ以上悪さできずにあいつの中から抜いちゃうわけですよ。 その後かわいぃ寝顔とかみて一人で抜いちゃうわけで。 いー加減一人ほっとかれりゃ忘れてた眠気もやってくるわけで。 起きたら覚えてろよ、とか思いつつ、一緒に寝たわけです。 高校生にしか...
  • 3-279
    このシュートを決めればチームが優勝するFW×決められたら二部落ちケテーイなGK、二人は幼馴染 あれだけ耳に届いていたゴール裏の歓声が、消える。 聞こえるのはただ、心臓の鼓動と数十メートル先のお前の吐息だけ。 (互いに大一番だって時に何やってんだ俺は…) 不意に自嘲的な笑みが口に浮かび、懐かしい記憶が甦る。 「いっけー、タイガーショットォ!!」 子供独特の稚拙な蹴り方ながらも、弧を描きネットを揺らすボール。 また止められなかった。悔しさで噛み締める唇が痛い。 「なぁに泣きそうな顔してんだよ! 次行くぞ次~!」 「今度は絶対止めてやるんだからな!!」 いつだって、お前の姿だけを見てきた。 選手権大会も、勿論このチームに入ってからも。 ―なぁ、もし違う場所でプレイすることになっても 俺らは変わらないよな? 真剣な瞳に尋...
  • 1-279
    少年×中年 「……僕みたいな、中年のおじさんなんか、君は相手にするべきじゃない」 「……そんなのアンタの都合だろ。俺はアンタに惚れてるんだよ」 好きになった相手が、いつもこうして自分を子供扱いするのが不満で仕方ない。 確かに自分はまだ高校生だ。相手としては役者が不足しているかも知れない。 それでも。 「中年中年って、自分を卑下するなよ。アンタは十分、綺麗だよ」 好きになったのだから仕方ないだろう。 年を重ねた分だけ色気がある。少年はそう感じていた。 生意気なだけのガキと侮るなら、どれだけ自分が彼を好きか分からせてやる。 「なあ……俺のものになってよ……好きだよ……」 年上だろうがなんだろうが、欲しい気持ちは止まらない。 さあ、どうすれば手に入る? 大学生カプの夏休み
  • 27-279
    主審とピッチャー その夏、私は恋をした。 青く高い空を背負って、グラウンドの土色を踏みしめて、彼は王様のように堂々と不適に笑う。 九回の裏、二死満塁。ドラマにしても出来すぎている舞台の上で、エースはそれでも真っ直ぐに前を向いていた。 まだあどけない日焼けした頬を汗が伝う。帽子のひさしの影の中で、挫けきらぬ目が弓を引き絞るように眇められる。 その視線に射すくめられ、観客の歓声が瞬間遠のく。十八.四四メートルを隔てて、その瞳に絡めとられた気がした。 否、錯覚だ。その目が見ているのは私ではない。 しなやかな腕が振られ、矢のような速球が放たれる。僅かに外れた。感情を排して告げた声に、彼が唇を噛む。 彼の視線が私に向けられることはない。その獰猛な眼差しは、相対する打者と、捕手の指だけを熱く見つめている。 私は黒子だ。この舞台を最も間近で見ていながら、しかし今...
  • 25-279
    本物とニセモノ 放課後の教室は、人もまばらでどこか寂しい。 そんな教室に、うるさい奴が入って来る。 「ナイトー、俺、またふられちまった」 遠野はそう言って俺の机に縋りついて来た。これで何度目だか解らない。 遠野がふられるのも、こうしていちいち俺の席へやってきて泣き言を漏らすのも毎度の事だ。 「なあ、ナイトー、俺の何がだめなんだと思う?」 「とりあえず、俺が女ならいちいち事あるごとに友達のところへ来てそういう事を言う奴はお断りだね」 「……ちぇー。ちゃんと聞いてくれると思ったのに、つめてーの」 そう遠野が言うのも無理はないだろう。これまではきちんと遠野の泣き言にも付き合っていたし、それなりに慰めもしていた。 けれど、今回はそんな気になれなかった。気づかない方がいい事に気づいてしまったからだ。 「ほんと、俺、ミリョク? っつーのがないのかな。なあ、ナイトー」 「知...
  • 16-279
    末っ子の先輩×長男の後輩 「昭島!見つけたぞ!」 部室である地学講義室の戸を開けるなり、何かを振り回して突入してきた先輩。 また何か変なものでも持ってきたのかと密かにため息を吐く。 「今度はなんすか。グレープフルーツ味のヨーグルトシェイクは微妙でしたよ」 「アホか。そんなくだらないジュースのためにこんなに走ってくると思うか?」 でも前回、大発見だ!!とか言って、地学部員全員分買い占めてましたよね。 不味くて処分に苦労しました。 「これ!イチ兄ぃが持ってきた」 ―ああ、ブラコンで有名な先輩のお兄さんその1か。 先輩のお兄さんは三人。皆さん弟が可愛くて仕方がないらしく、甘やかしまくって育てたらしい。 その結果がこれだけど。 先輩を見ているとまるで自分の弟、妹といるような気分になる。 大きな声で騒がれても、イタズラされても、止め...
  • 18-279
    普段コンタクトの奴が珍しく眼鏡 このところ忙しかったせいか、その人と久しぶりに顔を合わせたのはその日のお昼休みだった。 コンビニのハンバーグ弁当に集中していた俺が隣に気配を感じて視線を向けると 吉田さんが穏やかな微笑みを浮かべて会釈した。 「隣いいかな?」ということらしい。俺が頷くと、吉田さんはゆっくりと腰を下ろす。 手に持っているのは湯気の立つ湯のみと、コンビニ弁当 いつもは手作りなのに珍しいなぁとぼんやり考えていると、それ以上の違和感に漸く思い至った。 「あれ、今日は眼鏡ですか?」 我ながらなんと鈍い、吉田さんの眼元が見慣れぬ銀縁のフレームで覆われているではないか 「ああコレ?実はずっとコンタクトだったんだけどね。昨日眼鏡に戻してみたんだよ」 「眼鏡よりコンタクトの方が楽じゃないっスか?」と俺が尋ねると、吉田さんは困ったように言った。 「僕はどうもそそっか...
  • 19-279
    だから僕はまた歌う 僕は歌が好きだった。 だから僕は、僕の歌が好きな僕の為に、歌を歌っていた。 僕は一人ぼっちだったけれど、歌っていれば寂しくはなかった。 ある日、僕のところに男の人が一人やって来た。立派な服を着た、都の人だった。 「歌っていたのはそなたか」 僕が驚いて歌を止め口をつぐんでいると、都の人がそう問うてきた。 頷くと、都の人は僕の傍に腰を下ろして「続けてくれないか」と言う。 僕は嬉しくなって、いつもより張り切って歌った。 歌い終わった後、都の人は「見事なものだ」と言って、優しい笑みを浮かべた。 「そなた、歌が好きか」 問われて僕は直ぐに頷いた。するとその人は何かを考えるように少しの間目を閉じて 「そうだな。好きでなければ歌わぬな。当たり前のことだ」 と、独り言のように言った。 「好きで歌っているものを誰が止めら...
  • 23-279
    旧正月 オレの実家は西日本の田舎の旧家で、とりあえず家の敷地だけはやたらと広い 両親はオレが大学生のときに相次いで他界して、今では長男のオレが当主なんかしている でも愛する恋人がそばに居るから、両親が旅立ってしまったのは悲しいけど、孤独は全くなかった また遺産をたっぷり相続してしまったので極端な贅沢をしなければ働かなくても余裕で生活できた でも無職じゃなくて町立図書館なんかでまったりと働いて生活している オレの恋人は今では数少ない旧正月を祝う風習が残る沖縄の離島の出身者だ だから新暦の正月には全く思い入れがないらしい ということでオレたち二人は新暦の正月とは別に旧正月にもご馳走を食べるのがお約束になった ぶっちゃけると恋人とイチャつけるイベントなら何でもいいんだけどさw 一つ下の弟は東京で貿易会社に就職して、その後に北京に赴任した 二つ下の弟はJリーグのサッカ...
  • 15-279
    機械化 僕は此処が大好きだ。 時折流れる機械音、鼻を突く薬品の匂い。 壁際に乱雑に置かれた、試作品達。 外ではいつも“独りきり”であったが、この部屋に帰ると組み立てた機械が、「おかえり」と言ってくれているような気がする。 そして、最近僕の帰りを待ちわびる子が一人増えたんだ。 「…おかえり」 ほぉらね、この子はちゃんと僕の事を待っててくれている。 最初はなかなか素直になってくれなかったけど、一度関係ない所を弄ってやったら大人しくなった。 「ただいま、愛しい実験体。身体の調子はどうだい?」 僕は荷物をそこら辺に投げ、可愛い可愛い機械を見つめた。 うん、いい具合に顔色が悪いじゃないか。でも昨日組み入れた機械は正常に動いている。 やっぱりアレかな、機械になりかかっているとはいえ半分は人間なんだし、ちゃ...
  • 13-279
    台風 ああ……もう台風の時期か…。 朝起きると外は凄まじいまでの豪雨と風で、思わず俺はそうつぶやいた。 昨夜寝るときは静かなものだったから大分足の速い台風だ。 …そして、台風が来る頃になると決まって俺はあいつの事を思い出す。 雷が鳴るたびに怖がって俺に泣きついてきたイトコの優太…… 兄弟同然に育った俺たちは、いつもいつも一緒だったのに。 「……どこに行っちゃったんだよ、優太………  俺、もうお前に会えないのかな……ぐすっ…」 「…あのさあ、コウ兄ちゃん。そうやってわざとらしく言うのやめてくれる?  別に背が伸びたのは俺の責任じゃないんだし」 「うるさいバーカ。お前なんか優太じゃない。  いっつも半べそで兄ちゃん兄ちゃんって言いながら俺の後付いてきたくせに  急に図体ばっかりデカくなりやがって。俺の可愛かった優太を返せ!  つーか何でおんなじモン食って...
  • 17-279
    恋と尊敬の狭間で自己犠牲 「――この戦いが終わったら、二人だけで遠くへ旅にでよう」 そう言ってくちづけをくれたあの夜を、僕は忘れない。 立ちはだかる高位悪魔は次々と魔物を召喚し、攻撃を加えることもままならない。 魔神の待ち構える祭壇まであと一歩だというのに、儀式の間に通じる扉にさえ近づけない。 体力自慢のウォルフの顔には疲労の色が浮かび、治癒巫女レナも巫力が尽きかけているようだ。 それでも、なおも果敢に武器を振り上げるアレン様に引きずられるように、誰もが微塵も絶望を感じず、声を張り上げ足を踏み締める。 血と汗でぬめる掌をローブにこすりつけ、僕は龍の腕から作られた杖を握りしめた。 ここを突破すればいよいよ魔神と相対することになる。 世界を滅ぼす諸悪の根源たる魔神を封じることこそ、勇者アレン様の願い。 その考えに共感し、またアレン様の人柄に惹かれて、僕らはこ...
  • 22-279
    お前が好きなんだよっ、バカ! 「お前が好きなんだよっ、バカ!」 裏返った大声と表のドアがたてた派手な音に驚いて顔を出すと、ベテランバイト君がレジ前に立ちつくしていた。 ドアがまだ揺れている。……体当たりで開けたんじゃなかろうな。 うわー、他にお客さんいなくて助かった。 「杉浦君。杉浦くーん」 正面に回って声を掛ける。バイト君――杉浦君は、ようやく僕に気付いたようだ。 まだ口が半開きのままだけど。 「あ、店長……」 「今出てったお客さん、友達でしょ? あの子よく来てくれてる」 よね、と言い終わる前に、杉浦君がその場にしゃがみ込んだ。 「あ、ちょっと、大丈夫? ……喧嘩?」 ……いくらなんでもあのセリフは店へのクレームじゃないだろう。 「ち、違うんです。喧嘩とかじゃ、なくて、急に」 椅子を引っ張ってきてなんとか座らせると、エプロンをきつく握りしめて震え...
  • 11-279
    ボケ×ツッコミ 「何やってるんだよ」 この台詞、いったい何度使ったことか。 どうして俺の意表をつくことばかりするのだろう、この男は。 「何って、風邪ひいたって言ってたからお見舞い」 「だからってお前、」 普通病人の部屋に真夜中に訪ねて来るか? 言いかけて咳こみ、おまけに熱のせいで立ち眩みを起こし俺はしゃがみ込んでしまった。 「とりあえず上がらせてもらうからな!一人暮らしは大変だろ」 言うや否や、奴は人の部屋に遠慮なく上がり込む。 今日は断る体力も気力もないので、俺も後に続いて玄関から狭いワンルームの部屋に戻った。 「よし、何か病人食作ってやるよ!!」 「わかったから静かにしてて」 よろけながらベッドに戻る。 横になり目を瞑っていると、熱い体に今まで意識していなかった音が響く。 やばい、思ってた以上に俺体調悪いのかも…。 音と意識が脳の奥で混ざり合...
  • 24-279
    二人がかりでもかなわない 闇の中、所々に炎が上がっている。 その炎に照らされて仲間の兵士の倒れている姿が浮かび上がる。 岩陰に二人の男が身をひそめていた。 「大尉、もうまともに動けるのはあなたと私の二人きりです」 「くそっ!後一発あいつの口の中にこいつをお見舞い出来たら倒せるのに」 「大尉、私が囮となって引きつけますから」 「馬鹿な事を言うな!君にそんな危険な真似はさせられない」 「あの怪物が私を襲う為に口を開けた所を狙うしかありません!」 「よせ!やめろ!少尉!」 少尉は大尉の腕を振り払い岩陰から飛び出した。少尉は動き回り挑発したが 怪物は中々口を開けなかった。 怪物が少尉を薙ぎ払い、地面にしたたかに打ちつけられて少尉は動きを止めた。 「少尉!」銃を構えたまま大尉は飛び出し少尉に駆け寄った。 怪物が二人を見すえ、炎を噴き出すためにその醜い大きな口を開けた...
  • 26-279
    メガネ 「伊達メガネ買うかな……」 「どうした? コスプレか?」 「違ぇよ」 「じゃあなんでだよ」 「そりゃあれだよ、ファッションだ」 「だったらメガネより先に靴を買え。  何だそのあからさまに一葉さんにも届かなさそうな安物オーラ」 「うっせえよ」 「小物つけときゃおしゃれなんじゃねーよ。  必須アイテムに凝るのが本物のおしゃれだ」 「まあそうなんだろうけどさ」 「だからメガネは却下」 「やだ。俺はメガネがいい」 「だめ」 「やだ」 「だからなんでだ」 「何ででも」 「馬鹿だろお前」 「じゃあなんでお前はメガネに反対するのさ。  自分だってメガネのくせに」 「コンタクトは無理だって医者に言われたんだよ。  俺だってメガネよりコンタクトしたいのに」 「……お前、コンタクト好きなの?」 「だってメガネだとフレームで視界の一部分が隠れるだろ。...
  • 14-279
    さあ踏め 「お前が最後か。ふん、忠誠心が聞いて呆れるわ」 投げ出されたように転がっている石像を見ていると 目の前の男が薄ら笑いを浮かべて吐き捨てるように言った 「お前の国では、王にその身が滅びるまで仕えるのが普通であると聞いていたが…」 ふんぞり返り、手にしたグラスをぐいと飲み干す姿 あのお方とは似ても似つかない、こんな王がいる国に負けたのかと思うと涙が出る 「所詮人間なんてそんなものだ。そうだろう?王の右腕と呼ばれていた者よ」 蔑むようなその目、その目で同じようにあのお方を見たのか 同じようにあのお方に話しかけたというのか 「なんだ?随分と反抗的な目だな」 合図を受けて男の横から出てきた兵士が、無言で俺の背中を打つ 何度打たれたか分からない、その生々しい傷痕の上に鞭が降り下ろされる だが、痛みなどとうに感じなくなっていた あのお方が、俺が唯一この身を捧...
  • 21-279
    犯した直後の攻めの涙 終ぞ我に帰った目の前の彼は目尻に涙を浮かべて頭を下げている。 おいおい、犯されたのは俺だっていうのに。 何度もやめろと言ったのに制止も聞かずに俺の身体を暴いた大きな背中は小さく丸められ、涙混じりの声でごめんなさいと繰り返す姿は、ついさっきまで俺を組み敷いていた時と全く違って酷く小さく見えた。 毎回のように説教しても「つい、我を忘れて」がっついてしまうというのだから始末に負えない。 ていうか、毎回謝るけれど「次は抑える」なんてことは一度も口にしないのだから自覚はあるんだろうなと大きくため息をついた。 ため息を見ると呆れられたのかと思ったのか更に泣きながら謝罪を繰り返す。 その姿は大好きな飼い主に捨てられそうな犬を彷彿とさせた。 ああもう。 そんなに涙を見せられては、怒る事も嫌う事も出来ないじゃないか。 絵画の中の男に恋をした
  • 6-279-1
    教師二人 さあ帰るかと、車のキーを取り出しながら中庭を横切っていると、 どこからともく「花村せんせー」と名前を呼ばれた。 立ち止まって辺りを見回すが、薄暗い中には誰の姿も見えない。 「ここですここー。上です」 見上げると、二階の理科準備室の窓から同僚が手を振っていた。 「鳥井先生。まだ残ってらっしゃったんですか?」 若干声を張り上げると、「それがですねぇ」と呑気な声が返ってきた。 「ちょっと今、大変なことに」 「は?」 「花村先生、もう帰るんですよね?」 「え。あ、はい」 「もし良ければ、ちょっと時間とってもらえないですか」 「え?」 「お願いします。このとおり。俺を助けると思って」 二階から拝まれては「いえ、お先に失礼します」とも言えない。 仕方なく、キーをポケットに仕舞って第二校舎へ入って二階へ上がる。 理科準備室のドアを開けると、そこは真...
  • 9-279-1
    点と線 「俺は【線】だから」 そう言って誇らしげに奴は笑った。 邪気なんて微塵もないその笑顔に胸の奥がもやもやする。 「…お前、それでいいの?」 俺の言葉にきょとん、と奴は首を傾げる。意図が伝わらないことに少しイライラする。 「だって、吉田のやつ、最近お前放置で吉田と仲良いし…あとお前、酒井のこと、好きだったんだろ?なのに」 「嬉しいよ」 遮った声にも暗い影は見当たらない。 「ただの点同士で繋がりのなかった奴らが、俺っていう線で繋がって仲良くなって幸せになるんだぜ?」 それって凄いことじゃん、なんて、やっぱり笑顔で奴は言う。 …凄い事なわけあるか。 仲の良かった友達が自分経由で知り合った別の友人と自分より仲良くなる。 想い人が自分経由で知り合った別の誰かと付き合い始める。 …それが笑い事なわけがあるか。寂しくないわけがあるか。 そんな俺の苛立ちをよそに...
  • 3-279-1
    決められたら二部落ちケテーイなGK、二人は幼馴染 勝負の世界ってのはとにかく厳しい。 一球入魂の馴れ合いなんて無いストイックな世界。サッカーなんかだと、個人のぶつかり合いが激しくて、そのくせ個人よりチームの事を考えなきゃいけないからそのストイックさはいや増すね。 そんな世界に幼なじみ同志がいたりしたらもう最高。 2人は小さい頃から一緒に、雨の日も風の日もボールを蹴って過ごしたきたわけだ。 夕日を眺めながら憧れの選手、監督、チームの話。最後には決まって、一緒にプロになろうな!と誓い合う。 FWは熱血、GKは反対に思慮深くて落ち着いてるイメージだなぁ。 2人は正反対だからこそ仲良くなって、補い合えて。そんな高校時代だけでも鼻血もの。 でもそんな2人も同じ世界に入ってしまったときに、違うチームに入ってしまったときに運命が分かたれるわけだ! 勝負の世界は厳し...
  • 5-279-1
    ミラーボール 「ちょ、見て! コレ! 正に ミ ラ ー ボ ー ル 級 」 潰れたカラオケの解体作業中、 Aが薄いカーテンに包んだミラーボールを股間に押し当て、誇らしげにみせつけてきた。 「…なんか、逆に気持ち悪い」 「お前わかってねえなあ、この煌く姿、タヌキにも負けないデカさ。常に装着して歩きたい気分だ。  町中の視線が俺に集まるぞ…」 「逆の意味で集まるだろうね」 「まあ、集まりゃ何でもいいわ。いやー、これ貰えねえかなあ」 「…そんなにでかいと、セックスできないよ」 「!!」 「残念」 「やっぱ時代は小さめッスよね」 鬼と桃太郎
  • 18-279-1
    普段コンタクトの奴が珍しく眼鏡 「兄ちゃん…おかえり」 「おや、眼鏡なんだ?」 「コンタクト切らしちゃってて」 兄貴は荷物を解いているところだった。 分厚い本や、大学の意味のわからない講義テキストを、 小学時代から使っている古びた学習デスクの上に並べてる。 そんな重いもん、東京に置いてきてゆっくりすればいいのに。 使い捨てコンタクトを切らしたというのは嘘だった。 ただ、俺の持ってるのはギラギラのド緑の色したやつだし くそ真面目の兄貴はそれが大っ嫌いでぐちぐち怒るから、 アレが帰省してる一週間は眼鏡っこぶろうというわけだ。ピアスも一個に減らした。 「…今日は先輩とメシ食う約束してっからまたすぐ行かなきゃなんねんだ。  また帰ってからな」 「えぇ~?久々に兄ちゃんカレー作ってやろうと思ってたのになんだよぉ。  ってそんな格好で行くの? 外...
  • 24-279-1
    二人がかりでもかなわない 昼休みの教室内、トイレから戻ると、むさ苦しい友人たちが顔を寄せ合っていた。 なにかおぞましい儀式でも行われているのかと近付いてみると、そこにあったのは幼い頃からよく見慣れた光景だった。 「なにやってんの?」 劣勢と思しき二人が声を上げる。 「あ、上原!加勢してくれよ!」 「おかえり!放課後のラーメンかかってんの!」 「ふーん」 ごく一般的な表現をするならばそれは腕相撲と呼ばれるものに似ていた。 ただし行われていたのは多対一、つまり小中高と野球一筋の体育会系代表である日野の右腕に、友人の森と園部がなりふり構わずぶら下がっていた。 「上原が入ったぐらいで負けるかっつーの」 明るく笑う日野に煽られ、園部が余計ムキになる。 「来い上原!三本の矢作戦だ!」 三本の矢とは力を込めるのが人だから使える言葉であって、象だの虎だのハリウッド仕込みの...
  • 11-279-1
    ボケ×ツッコミ ありがとうございました、と頭を下げて拍手が聞こえる中、二人で裏に 引っ込んだ。そしたらいきなり相方に頭を小突かれた。 「いって、なにすんねん」 「下手な関西弁使うなバカ。……お前、さっきのなに?  あの、『意味わかんねえ』のとこ。ナニ、あの変な間は」 ああ、また始まった。いつもこれだ。なんで終わってすぐに相方から ダメ出しをくらわにゃならんのだ。反省会がとても重要なのは分かっている。 けれどそうやって言われるたびに自分の中の自信が風船みたいにシワシワに しぼんでゆく。 「なぁ、なんか最近変だぞお前。なんかあったのか」 心配そうに聞いてくる相方に俺が出来ることと言ったらせいぜい鼻で笑うこ とぐらいだ。 「べっつに。ちょっと疲れてるだけだ」 悩みがあった。ここ二ヶ月、俺を睡眠不足に陥らせているほどの悩み。 「大丈夫か」 相方に言っても理解さ...
  • 20-219
    裏切り者 裏切り者→裏切り者に裏切られた過去がある攻め×攻めの過去を知らない受けに萌えてみようじゃない というか現在進行形で萌えている。たまらん 以下裏切り者の事を裏と呼ぶ事にする 攻めが裏切られた理由は何でも良いし、二人の関係がどんな形でも構わない 会社の同僚、先輩後輩、幼馴染み、元恋人でもいい ただしいずれにしろ共通項目として欲しいのは 攻めの心に深く傷をつけるくらいの裏切り行為をしてもらいたい それが原因でしばらくの間相手を信じる事が出来なくなって その最中に受けに出会って、ようやく心を開けるようになって 受けとの幸せな日々を暮らしている最中に裏が再び攻めの前に現れる 裏は元々攻めの事が大好きで大好きで 言ってしまえば裏切り行為はハメをはずしたヤンデレ行為と言ってもいい でも攻めはそんなこと知らないから過去のトラウマが蘇って震えると良...
  • 20-289
    見違えるほどきれいになった 「えっ、お前……クロード?」 「はい。見違えましたか?」 目の前の友人に俺はただ戸惑うばかり。 「なんか、全体的にこざっぱりとしたな」 「バッサリ切ったんです。トリートメントもしたんでフワフワになりました」 出会ったときの姿からは想像もつかない変身だった。 『クロード』というより、『田吾作』って感じだったのに… 見た目が変わると印象も激変だ。 「ビックリするくらい変わったでしょ?」 「かなり驚いてます」 「これからも来てくれますか?月一くらい」 「むしろ毎日来ます」 「私に会いに?」 「もちろん。ありがとうございます」 「では本日のお会計は4500円になります」 「ありがとうございました。クロード、行くぞ」 「ワンッ!」 大嫌いだけど…仕方がない
  • 20-249
    殊勝なことを言ってはいるが 「……何でお前が家にいるんだよ」 「マネージャーですから」 エプロン姿で菜箸を扱う仏頂面の男は、当たり前のようにそう答えた。 俺は絶望した。 年末年始は受験生の俺だけ残して父母姉貴で旅行に行く……そう聞いていた。 だから、予備校の仲間との年越しパーティーの後、俺は心なしかわくわくした気分で家に帰ったのだった。 それがどういうことだ。 がらんどうであるはずの家では、幼なじみがおせちを作り溜めながら俺を待っていた。 「答えになってねえよ。たかが陸部のマネージャーが、なんで人ん家まで来てお節作ってんだよ」 「OBの進学実績向上も、部の将来のためには必要不可欠だからな」 「進学実績向上?それがこれと何の関係があるんだよ」 「急激な外気温の変化から、ただでさえこの時期に体調を崩す受験生は多い。最悪の事態を避けることができるか...
  • 20-229
    年越した瞬間に殴られた 俺は結構な嘘つきだ。 どれぐらい嘘つきかといえば、まだまだ愛が残っているというのによりによってクリスマスにひどいやり方で別れ話を切り出すぐらいといえば分かるだろうか? さて何故どうしてそんなことになったかという理由はまあ割愛するとして、結果俺はひとり寂しく年越しかといえばそうでもない。 こんな俺にも十年来の友人がいる。名前を山田。 そいつがお屠蘇なんかをご丁寧に作ったうえに年越し蕎麦もセットでネトゲなんかを決め込みながらだらだらしていた俺の家にやってきたのである。 そしてようヒマそうだなひとりもん同士飲もうぜときたものだ。普段なら拒んでいるがなにせ年末の寂しさよ、と家に上げたのが間違いだった。 時計の針が進むにつれ机に置かれたビンから日本酒の量は減ってゆく。それを苦とも思わずにテレビで紅白なんて見ながら酔うがまま色々話をして、 年越し30分前に...
  • 20-269
    僕(受け)には君(攻め)が眩しすぎる 「卒業したら海外に行く。世界中を回って、世界中をこの目で見てみたい」 小さい頃からの夢だから、と、いつもの仏頂面で、でも少しだけ照れくさそうに君は言った。 それは、夢も希望もなく、ただ安定だけを求めて教師になった僕には、眩しすぎる夢だった。 「何考え事してんの?」 「え?」 「こっちに集中しろよ」 「んんっ・・・」 そう言って、高校生とは思えない器用さで僕の体を責めたてる。 僕はその快感を余すところなく受け止めて、あっけなくイッてしまった。 目の前が真っ白になるほどの絶頂に体を震わせているうちに、後孔に脈打つ雄を押し当てられる。 校舎の真北。薄暗く、肌寒い科学準備室。埃くさいセックス。 きっと、これが最後。今日で、君との関係は終わる。 君は今日から、自分の夢に向かって走り出すんだから。 無造作に脱ぎ捨てられたブレ...
  • 20-259
    キレると手がつけられない優等生 「キレる」。 この単語を聞いて真っ先に思い浮かぶ状況といえば、叫びながら暴れるとか、 誰かを殴る蹴るなどするとか、そういったものだろう。ニュースにも出るし。 が、ことこいつにおいてだけは、そのイメージはこれっぽっちも当てはまらない。 「な、なあ……今の、やりすぎじゃねぇ?」 「そう? 僕としては手加減しすぎたと思ってるんだけど」 にこにこと笑っているが、目がちっとも笑ってない。怖ぇ……。 沸点の低さで言えば、評論家いわくの「キレやすい若者」よりも低いんじゃないだろうか。 俺もどっちかといえば短気な方だが、こいつに比べりゃ温厚だ。俺が先にキレたことなんて一度もない。 そして、何よりも怖いのがこいつのキレ方。それは見事な笑顔で近づいて、逃げたり暴れたりしないように 両手を押さえつけて壁とかに拘束したら、怒涛の言葉責めが待っている。 ...
  • 20-299
    大嫌いだけど…仕方がない 「大事な話があるから早く帰ってきてね」普段わがままを言わない受けが そう言ったから今日だけは急いで帰りたかったのに、そんな時に限って ミスが発覚して、後始末に時間が掛かってしまった。 もうそろそろ日付も変わろうかという時間だし、夜に弱い受けはもう眠って しまっただろう。明日は早起きして謝ってから改めて話を聞こう。 そう思ってもう寝ているだろう受けを起こさないようにそっと家に入る。 「ただいま」 小声で言いながら靴を脱ぐと、リビングからガタガタと音をさせながら 足取りの覚束ない受けが顔を出した。 「おかえり、攻め!」 明らかに眠そうな顔で抱きつかれて、そんなにまでして待っててくれたのかと 嬉しさと申し訳なさが入り交じった気持ちで、もう一度ただいまと言った。 「遅くなってごめんな」 「いいよ、今日中に帰って来たから許してあげる。それ...
  • 10-259
    10-259 http //web.archive.org/web/20060219134238/http //www.ismusic.ne.jp/nyoitaph/music/276-400.mp3 この曲のイメージでどうぞ。 微グロ電波注意 +++ いつか、大切な人と、ずっと一緒に暮らせるといい。 僕はずっと一人で旅をして来た。死んだ弟を生き返らせる方法を探して。 旅は十の時から始まり、どこにあるとも分からないその方法を追い求めて、 大陸中を巡ってもう18年も経った。弟は既にあの家で腐り、骨になっている事だろう。 それでも僕は旅をやめる事はできなかった。 旅の途中、色々な人と出会い、別れた。辛くないと言えば嘘になるが、 それでも目的の為には仕方がないのだと諦め続けていた。 だけどひとつだけ、どうしても離れがたいものができてしまったの...
  • 20-229-1
    年越した瞬間に殴られた 燗はぬるい。 徳利は品の良い小さなもので、間をもたせるには足りない。 差し向かいの義兄にはこの徳利で足りるのだろう。音量をしぼった紅白に見入るでもなく、ただこたつに座っている男は、俺が考えていることなど知るはずもない。 よくおめおめとこの日を迎えられたものだ,俺も。 質の悪い借金をしては全部呑み捨てるような生活。 そのままほって置いてくれれば、今頃は義兄にとっても良いようになってたはずだった。 入り婿が、邪魔な義弟をわざわざ探し出して身ぎれいにさせて連れ帰った、とは大した美談だ。 酒を遠ざけ、目の届く配達仕事なんかさせて、姉に義理立てたのか。 もはや親父も母さんもなく、また姉も去年死んだとなれば、黙って家を独り占めできただろうに。 仕事を覚えなかった俺の代わりに親父の跡を継いだのだから、誰はばかることもないのだ。 「雪だよ、積もるだろう…...
  • 20-269-1
    僕(受け)には君(攻め)が眩しすぎる 光には、人間の可視できる種類として二つ挙げることができる。 太陽光のように全ての波長(色)の要素を均質的かつ強く反射し、白に見える光を白色光。 レーザー光のように一つの波長(色)のみからなる光を単色光。 周りの人間は彼のことを太陽のような人、と喩える事をよく好む。 温厚篤実かつ怜悧、そこに美形とくれば正に八面玲瓏、全てを照らし出す光だ。 しかしそれは私によって創りだされた幻影でしか無い。 私が、どれだけ彼の為に尽くしたか、周りの人間は知る由もないだろう。 いや知ってはならない。これは私と彼との秘め事でなければならない。 彼は豊かすぎるあまり世界に対して唖でつんぼの振りをしていた。 そして穏やかに気力は衰え、持った才能を使う事無くそろそろこの世界から去ろうとしていた。 だが私は、彼の生来の高尚さに酷く感動したので...
  • 20-779
    せいろがん 「おい」 「はい、なんですか先輩」 「てめぇナヨっちい癖にあんまり調子乗ってんじゃねぇぞ」 「ナヨっちい、ですか」 「なんだよ今の世の中はよぉ、やたら優しさだの取っ付きやすさだのばっかり有り難りやがって」 「癒やしブームなんかもありましたしね」 「大事なのは強さだろうが! いざという時優しさで人が苦しみから救われるか!?」 「確かに、優しいばかりじゃ駄目かもしれません」 「駄目なんだよ! なのに最近の奴らは俺が臭いとか身体に悪そうとか、馬鹿げた理由で避けやがる」 「……」 「――悪い。ただの八つ当たりだな、こんなの」 「そんな、謝らないで下さい」 「ま、価値観なんざ時代時代で真逆にだって変わるもんだしな。 今は俺みたいなアクの強いのより、お前みたいな穏やかで見た目もいい奴が――あ、いや」 「先輩、僕のことそんな風に...
  • 20-679
    彼のことも彼女のことも好きだ 拳が震えている。 男らしい無骨な指がぎゅっと丸まっては時折思いあぐねたように緩んで、ジーンズを爪の先で引っ掻くのは彼が何かを我慢している時の癖なのだ。 「……もう限界だ。」 ……あ、やっぱし。ついに決壊か、そうか。 「あのな、俺はお前の優しいところを尊敬してるんだ。」 ふむ。上げてから落とす作戦か。 「……だが、これだけは言わせてくれ。いや、言わせろ。恋人とのセックスの最中に!実の妹の自慢をするバカがどこに居るか!いや居ないね!お前はデリカシーを母親の腹の中に落としてきたのか!?」 エクスクラメーションマークだらけの威勢の良い啖呵とは裏腹に、彼の視線は落ち着きなく宙を泳いで俺と目を合わせてくれない。 きっとヨソの女でも男でもない、ただの妹に嫉妬するような自分が後ろめたいのだ。あなたはそういう人だ。 だが待...
  • 20-079
    想いを口にしたら終わりの関係 買い物を済ませて店を出ると、聞き慣れたカラコロという音が耳に飛び込んできた。思わず辺りを見回す と、案の定こちらに向かってくる見慣れた姿があった。整えればそれなりに男前だろうに、相変わらず野 暮ったいやつだ。 呼びかけると、向こうも気付いて手を上げて応える。いい加減買い替えろというのに一向に聞かない、古 臭い便所草履をカラカラ鳴らしながら近付いてきた男に、俺は声をかけた。 「今日休みだろ? 何してんだ」 「洗剤切れたから、買いに行こうと思って」 「ああ、やっぱり。そろそろかと思って、今買っといた」 ほれ、と手に提げたビニール袋をちょっと持ち上げると、わりィな、と目尻を少し下げた。そこにわずか にできる笑い皺が、俺は好きだった。 どちらから言い出すわけでもなく、二人肩を並べて家路に着く。 「今日の夕飯、何?」 俺の持ってる袋を覗...
  • 20-879
    受けさんはずるい大人です 喫煙とは、無意識下の自殺である。  どこのどいつが言ったか知らないが、きっとそいつは一分の隙もなくスーツを着込み、 死の煙で肺を満たしたりはしないんだろう。  ちょうど今、俺の目の前に立つ、こいつのように。 「なんで……!」  絶望の表情を浮かべる顔を引き寄せて、ゆっくりと紫煙を吹き付ける。  やかましく何か囀ろうとした口が、たまらず咽る様子が可笑しい。 「なんでって言われてもねえ」  二本目の煙草に火をつけて、空っとぼける。 「お前の体、もう飽きたわ」  そうして、にっこりと微笑んで言ってやる。  作り笑顔がばれない自信はあった。何て言ったって年季が違う。  何事もなかったように別れていくのには、慣れている。   煙草の毒が俺の致死量を超えて積もり積もったとしても、それが無意識の作用ならば致し方ないのだ...
  • 20-179
    好きなところが3つある 「タケってさー、俺のこと本当に好きなの?」 「あぁ…うん。」 「俺のどこが具体的に好きなの?」 このテのウザい質問が大嫌いな俺は、アイツからそう聞かれた時、嫌々ながら答えたのを今も覚えてる。 「…あー、体の相性いいからな俺ら。お前のフェラ、マジ最高だし。」 「ふーん。…それだけ?」 「えー、あとは…、…えー、メシだな!」 「料理うまいだけの奴なんて今時腐るほどいると思うけど。…てかさ、他にないわけ?その二つだけなの?」 あーうぜー。 こいつは何を言わせたいんだよ。この俺に。 好きだとか愛してるだとかそういう暑苦しい言葉が嫌いだって知ってんだろうが。 そこらへんの偏差値低そうなバカップルどもの同類になってたまるかよ。 イラついて虐めてやりたくなったのは至極自然な成り行きだったと思う。 「いいや、三つだ。あと一...
  • 20-579
    やっと追いついたと思ったのに やっと追いついたと思ったら、彼は次に行ってしまう人だった。 自分が四回転に成功したと思ったら、彼は難易度の高い四回転に成功して翌日の新聞に大きく載った。 常に同じ技に挑戦していたから、ファンからは彼の劣化コピーとなじられた。 僕は彼より高い表彰台にのぼった事はない。そして、もうそれは出来ない。 「西谷選手、世界選手権優勝おめでとうございます」 「ありがとうございます」 「完璧な演技でしたね」 「イメージ通りに滑れたのは良かったと思います」 「このプログラムは今は亡き佐武選手の代表作と同じ曲ですが、プレッシャーはありませんでしたか?」 「大事な曲なので大切に滑ろうと思いました」 「もうあの難易度のプログラムを滑る選手は日本からは出てこないのではと言われていましたが」 「一つの形に出来た事には満足しています」...
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