*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「21-069-1」で検索した結果

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  • 21-069-1
    本屋の店員×BL本を買う常連 「……これをお探しですか?」 勇気を振り絞って声をかけると、棚の前にいた男性は驚いた顔をこちらに向けた。 「そう……だけど」 「やっぱり。今、そこの平積みスペース空になってるでしょう。実は午前で完売しちゃったんです。これは、慌てて取り寄せた補充分で」 「なんで分かったの?」 「え?」 男性の目には、戸惑いの表情が浮かんでいた。 その視線に、今更ながら我に返る。 そうだ、確かに、書店のたかがバイト店員が客の買う本をここまで熟知しているのはおかしい。 ……この店員が彼の買った本をあとから追いかけて読んでしまうぐらいに、この客に思いを募らせてでもいなければ。 「えーと、それは」 思わず目が泳ぐ。どうしよう、何か納得のいく理由を探さなければいけない。 好かれなくてもいい、せめて不審に思われずに、嫌われずに...
  • 9-069-1
    毛布に包まる 「適当に座っててくれ。」 「おー……。」 と言いつつ奴は辺りを見回している。 珍しいものなんか何も無いぞ。 「布団発見!突撃ー!」 俺の布団に寝転ぶな、子供かお前は。 ゴロゴロと転がっているリュウジを無視してお茶を用意する。 茶葉を急須に入れていると何度も俺を呼ぶ声がする。 茶を入れるのに集中したいのに何事だ。 「五月蝿いな、白湯飲ますぞ。」 「これすっっっっごく気持ちいい!なにこれ!」 何って、 「毛布だろ。」 リュウジは何が楽しいのか毛布に包まって笑いながら脚をバタバタさせている。 そうかと思うと急に体を起こしてシャツを脱ぎ始めた。 「なっ、何やってんだよ……。」 「これの感触をもっと味わおうと思って。」 相変わらず突拍子も無いことを思いつく奴だ。 「風邪ひくからやめろ。」 そう言っても「えー。」とか「お前も一緒にどうよ。」...
  • 21-069
    本屋の店員×BL本を買う常連 秋原は今、最大のピンチに直面していた。 「よぉ、アキじゃん。俺の事覚えてる?」 いつもの本屋のレジに居たのが、小学校時代の同級生だったからだ。 秋原は、今すぐにこの場から消え去りたい衝動に駆られた。 別に、相手は同性だから、ヤラシイ本の購入現場を見られてしまうくらいは構わない。 だが、今己が持っている本は、ヤラシイ事はヤラシイが、BL本。 ましてや、片田舎の本屋で元同級生なんて、下手したら、己の趣味が1日で元級友に伝わってしまう。 秋原は、瞬時にそこまで考えた後、出しかけた本を引っ込めた。 「久しぶりだな、寺田。なに、お前ここでバイト始めたのか?」 「母さんがギックリ腰になってさ、その代打だよ」 苦笑する寺田に、秋原はふと、眉をひそめた。 「あれ、でも寺田なんて名字の店員さんいたか?俺知...
  • 4-069-1
    50代×30代 「70年安保の頃?馬鹿な。私はノン・ポリだったんだよ。都市革命論なんてあり得ないってのが持論だったからね。」 彼の話を聞くのが好きだ。 それは越えられない20年の時の壁を感じさせるけれども、僕の知らない彼の、まだ若く生き生きとしていた時代の光を、感じさせてくれるから。 「でも、結構大学では有名だったって噂に聞きましたよ。」 「ああ、あれは他の大学の奴らが、うちの大学に乗り込んで来てね。革丸だか中核だか、知らないが、私の尊敬していた教授を取り囲んで吊し上げようとしたんだ。だから頭に血が昇って、怒鳴って、暴れて蹴散らかしてしまってね。それで一躍大学では有名人さ。武闘派の右翼だって、勘違いされたよ。」 「その教授が好きだったんですか?」 「いや、尊敬してた。それだけだよ。」 ちょっと嫉妬に駆られた僕の気持ちを、彼は何時も敏感に察知し...
  • 16-069-1
    自分も気圧の知識がなかったwでも文章とかの雰囲気は好き!お次どうぞ 「お前、気象予報士にでもなんの?」 うるさい奴が来た。どう考えても人種が違うのに しつこく絡んでくるこいつとは、入学式で隣だったというだけの関係だ。 「考え中」 短く言って、僕は奴を視界から追い出し、 『石原良純のこんなに楽しい気象予報士 (小学館文庫)』に視線を戻す。 「はっ、おまえ、良純って」 「うるさい」 「――前は『小説家になる方法』読んでなかったか」 そうなのだ、こいつはことごとく嫌なタイミングで現われる。 その時は、本を開きながら書いていた散文を読まれたのだった。 「あれは……いいんだ、もう」 ため息をつきながら言うと、 「なんだ、お前の書く文章の雰囲気、好きだったのに」と奴は言った。 思わず奴を見る。目が合って、しまった、と思った。 畜生、不意打ちだ、こいつはことご...
  • 15-069-1
    ある日目覚めたら魔法がかかっていた ある朝目覚めると、俺に魔法がかかっていた 「おはようございます、旦那様」 ―早く起きていただかないと、予定が狂ってしまうんですよ。 「あ…ああ…おはよう。済まない、すぐに起きるから…」 「いえ、ごゆっくりどうぞ。ところで本日は紅茶と珈琲、どちらになさいますか?」 ―いつも紅茶に角砂糖三つを召し上がられますよね。意外にも甘党でおられますから。 「えーと…じゃあ…今日は珈琲をいただこうかな…」 ―はい?用意しておりませんよ!? 「かしこまりま…」 「あ、やっぱりいいよ!いつも通り紅茶にしよう!」 「ではお砂糖は三つで宜しいですか?」 「あ、うん…そうだね…三つがいいかな…」 「かしこまりました。…ところで本日は体調がお悪いのですか?」 「えっ?」 「先程から顔色が優れないように見えますが…」 ―風邪でもおひきになっ...
  • 14-069-1
    親の言いなり攻めとそんな攻めに対して何も言わない受け クールビューティーが怒っている姿というのは、 個人的にはとてもそそられる。 ただソレが自分のパートナーだとちょっと話は違ってくるけど。 「そ…それでね。オトウサンが正月には家に帰ってこいって いうから…。コレ、チケット…」 包丁をまな板の上にドスッと刺すような音がした。 対面カウンターキッチンじゃなくて良かった。 今どんな顔をしているのか、想像するだけで恐ろしい。 「い、嫌ならすぐに帰ってこようよ! 顔だけ見せれば満足するって!」 無言で鍋に火をかける後姿。 マンガでよく見る炎のオーラが俺にも見えるようだ。 「勘当覚悟でカミングアウトしたのはわかるけど、理解してくれたんだしさ」 テーブルの上に料理が並べられた。一人分だけ。いいけど。 「孫の顔を見る機会は来ないん...
  • 22-069-1
    女装が似合う攻め×女装が似合わない受け 「お帰りなさいませ、お嬢様」 薄く整った唇から、甘く蕩けるような声が流れる。 フリフリのスカートを摘んで、軽くお辞儀をすれば、女子の黄色い声が教室に広がった。 「玲様可愛すぎるー」 「可愛いっていうより美人系!」 きゃあきゃあと騒ぐその女子達に微笑みかけて席へと案内する。 「凄えなあ…」 そんな玲也を見ながら、ぼんやりと呟いた。 「おい健太、ぼーっとしてないでこっち手伝えよ!お前どうせ暇だろ」 「うるせえ」 頼まれた力仕事をするには動き辛いが、そうも言ってられないと段ボールを持ち上げた。 文化祭の出し物でメイド喫茶しようなんて提案があったときは、こんな事になるなんて思ってなかった。 クラスの可愛い女子のメイド服やらコスプレやらが見たいからと、クラスの男は皆賛成してた。 俺も大賛成だった。 でも、お菓子やら料...
  • 18-069-1
    静かな雪の夜 「あの、ウチ、客用布団とかないんで。あの、ソファじゃ寒くて寝られないんで」  一緒のベッドで、とはあまりに生々しい気がして言えなかった。  そんな岡田をよそに、伊勢崎はふわふわと、楽しげに揺れている。 「あの、スーツしわになりますから脱いでください」 「らーい」  そう言いながらも脱ごうとしない。ふらふら揺れて、岡田にしがみついてくる。 「この酔っ払い!俺は彼女じゃないですよ!脱がせますよ!いいですね!」  なんとはなしに目を背けながらジャケットを引っぺがし、ベルトに手をかけて――ためらった。 「しわになりますからね!脱がせますよ!」  苦情がきそうなほどでかい声で叫んで、岡田はベルトをはずしてズボンを下げた。  ジッパーをおろしたとき、手がわずかに伊勢崎の股間にふれたことを頭を振って意識から追い出す。 「足、あげてください」  らーい、と今...
  • 1-069
    車×高速道路 金はとるけど、そのくらい速く走ってもいいという高速道路。 急いでるんだから、金を払ってでも早く行きたいという多くの車。 何があってもじっと耐える高速道路には、雪が積もったりしてる以外なら 金さえ払えばいつでも走れる。つまりアレだ、誰にでも体を許してるんだよな。 金を払ったんだからと、車たちは遠慮無しに走る。 なんかゴカーンぽいけどもえー。 寿司ねた×シャリ
  • 21-569-1
    穏やか若隠居受け 「あきれたね、本当に隠居しちまうのかい、喜さん」 「いいじゃないか、清さん、これで心おきなく遊べるってもんだ」  喜之助……喜さんは文机の前で泰然としたものだ。 「せっかくだからね、寮のひとつも作ってもらおうと思うんだよ。そこで戯作でもしようか。人情物かな。芝居の台本もいい。  そうだな、寮の名前は喜詩庵、喜文庵、それとも喜雨庵、さて……」  何をのんきな。ぼんやりした人だとは思っていたが。  手前のお店には何の未練もないのか。心配したのがだんだんばからしくなってきた。  喜さんは隠居して、弟にお店を継がせる。  弟と言っても死んだ先代の後添いの子だ。後妻が、後見の伯父に通じてうまいことやりやがった。  もっとも、喜さんも逆らわなかったようだ。  争いは好まない人だし、おもしろく噂にでもなればお店の評判に傷がつくと考えたんだろう。 ...
  • 21-869-1
    二人暮し ただいま、という言葉は酷く馴染みが薄かった。おかえり、という言葉は酷く座りが悪かった。 どこか照れくさくて、続くただいま、の言葉を口にしきれない。そんな時、いつだって目の前で彼はまだ慣れないんだ?と笑ってくれた。 「おかえり、智」 とはいえ、時間が不規則な仕事をしている夏樹が常に智の帰宅する時間に部屋にいる訳ではない。 逆も然りで、だからたまたまタイミングが合う度に智は玄関で彼の靴を見ては少しだけ口端を上げる。無意識の内に。 そしてむずがゆくなる。自分を迎えてくれる人がいる事に、そしてそれが夏樹だという事に。 「あ。……智、また困ってる?」 「いや、驚いただけだって……ただいま」 子供みたいな顔をして楽しそうに近付いてくる夏樹に、智は微笑む。一体この時間を何と呼べばいいのだろう。未だに智にはわからなかった。 幸せ、という一言ではとても足りる気がしな...
  • 21-969-1
    花火大会 今夜の花火大会にアイツを誘った。 他の奴と行くって言われたら諦めようと思ったけど二つ返事でOKもらえて、俺は花火の下での告白も決心する。 夜空に輝く花火に映し出されながら、好きだって言ってやる。 のはずか、何でオレラ人混みの屋台に並んでんの? アイツいわく、「先に買っとかないと売り切れる。この屋台の粉は他と違ってメチャうまで。揚げ物はやっぱり揚げた手が一番」とのこと。 お前は何処の食いしん坊だ! 両手に食い物の袋ぶら下げて、やっと土手に上がった。 ちょっと計画はズレたが、クライマックスの連発に間に合ったぜ。 色とりどりの花火が開く中アイツの前に回って、真っ正面から見つめて告白するぞ! 意気込んでたらポツポツと雨が・・・・。 あれ?と思う間もなく、土砂降りで2人ともずぶ濡れだ。 「天気予報で所により雨って言ってたけど、すごかったな」 のんきに言うアイ...
  • 21-669-1
    達観してる人×往生際の悪い人 「受け君、どうやら僕は君を愛してしまっているようだ」 いや、俺ももうずっとそんな感じではあるんだがな。 「もしかするとこの想いは秘めたるべきものであるかもしれない。  しかしそれゆえに秘めるべきではないのだ、受け君。  なぜなら君が僕の心を知る術など一欠けらほども存在しないのだから」 うん、まあ、告ってくれたことには素直にありがたいと思うんだよ。 「そして愛するものに触れ抱き締め悦ばせたいと思うことは真理であるのだよ、受け君」 そりゃそうだ、俺だってそうだよ。 「受け君、僕らが男同士であることに君が戸惑っているのならば、そこに根拠は何もない。  なぜなら僕らは男同士である前に人間同士であるのだから。雌雄の区別などない肉の器なのだ。  愛すると共に愛さないということは不可能なのだよ、受け君」 ...
  • 21-269-1
    俺様とおぼっちゃま 「あーぼっちゃん、待ちくたびれましたよ」 校門の前に黒のリムジンが止まっている。父親の運転手が帽子を扇ぎながら立っていた。 「何で君がいるの?」 「お父様が久しぶりに一緒に食事したいと。乗ってください」 僕の今日の予定は、この後着替えて友達とカラオケに行くつもりだ。 「断ってください」 意味分かんないし、と言う前に彼は僕をはいはいと座席に押し込める。 恥ずかしい。これじゃまるで僕が愚図る子供みたいに見えてしまう。 「せめて校門の前に止めるのやめてくれないかな。皆が見てるよ、みっともない」 「何が? むしろ自慢でしょう。イケメン運転手付きベンツのリムジンに乗れる高校生はそういない」 車は有無を言わさず走り出す。 帰宅中の奴らが狭い路地を滑らかに進むベンツを、目を丸くして見ている。 「あーあつまんねー!」 わざとらしく呻いてみた。少しは申し...
  • 21-469-1
    思ってたのと違う 「そぉーいえばさあ」 服を脱がせていると、昭仁がいきなり声を上げた。 俺は昭仁のシャツを脱がせて放り投げながら、何?と目線だけで先を促す。 昭仁はふざけて俺のシャツに手をかけて脱がせようとする。 あのさあ、今俺が昭仁脱がしてるんだから邪魔しないでよ。 「今さぁ、お前と会った時のこと思い出してたんだけどさー」 「はあ」 昭仁、足浮かせて。 ん。 と俺達は間抜けにも服を脱がせ合いながら会話を続ける。 昭仁が腰を浮かせるので俺はズボンをそのまま下ろして足首から抜くと、今度は昭仁が俺の服に手をかける番。 「懐かしいよなぁー。昔さあ、和志、俺の事さー、」 ……なんか嫌な予感がする。そして、昭仁がにやにやとだらしなく緩ませた顔を見れば 多分俺のこの予感は8割方当たっているんだろう。ああ、もう。 「……昭兄、なん...
  • 21-079-1
    某トキ保護センターのトキ(♂)×トキ(♂) 「貴方が好きだ」 「やめろ。忘れたのか。我々には一族の復興という指名が」 「では貴方は愛してもいない女との間に無理に子を成すつもりなのか」 「違う。私も君もいつか愛する女性と」 「無理だ」 「何故」 「第一に、僕は一生貴方しか愛せないだろうし、  第二に、貴方は僕を誰にも渡したくないだろう」 「な、私は」 「交尾なら僕とすればいい。僕は下でじっとしているから、貴方の良いようにしたらいい」 「そんなのは非生産的だ」 「愛が有る」 「使命は」 「種を残すことだけを目的として生を終えるつもりか」 「・・・」 「僕たちにだって誰かを愛する権利があるはずだ」 「・・・」 「僕は貴方が好きだ」 「・・・」 「・・・貴方に、・・・貴方に拒絶されたら、僕は、衰弱して死んでしまうよ、・・・」 「・・・仕方ない。私の...
  • 21-039-1
    ノンケのイケメン→ハイテンションなオカマ 彼女と別れてヤケ酒。二日酔いでガンガンする頭を抱えながら出勤退社。 その後ブラック・アウト。記憶なし。 気付いたらベッドの上で、傍らには短い黒髪にガタイの良い男。 意識が落ちる瞬間、誰かに抱えられた気がしたが、なるほどこの男なら有り得そうだ。 黒いタートルネックセーターとベージュのパンツで実にシンプルな装いだが、派手では無いがそれなりに整った顔立ちと長身とがあいまって 同性から見ても凄く良い男に見えた。―――その時は。 「あれ…俺、ここは…。」 「あ、気が付いたの?覚えてるワケないと思うけど倒れてたんだよ君。ここは俺の家。」 「倒れたって…。」 「インフルエンザで。凄い高熱だったけど自覚なかったの?」 確かにヤケ酒する前もなんだかムカムカしてた気がするけど、まさか出勤停止命令が出るほどの病にかかっているとは思わな...
  • 21-009-1
    敬語ガチホモ×関西弁ノンケ 「栖本さん、お願いですよ」 「いやです」 できるだけそっけなく言ったつもりだったが、彼はひるんだ様子もない。 むしろ、どこかうっとりとも見える表情で小さなため息をついて、 「まあ、そういう……ね、そんなところも、また」 と意味のわからぬことを言った。 坂下さんのお願いは何度もされたからわかっている。俺の「大阪弁」が聞きたいというのだ。 「大阪弁じゃないです、兵庫のほうですから。それも、俺のは相当おかしいですよ」 俺の母は、兵庫を離れこの地に嫁いでも関西弁を忘れなかった。 その言葉で育てられた俺は、酔った時だけ関西弁になるらしい。 「忘れられないんですよ、あの夜の栖本さん」 坂下さんが耳元でささやくように声をひそめる。 なんだかやらしい雰囲気に、耳がこそばゆい。 関連会社の坂下さんとは、先般一緒になった企画の懇親会で...
  • 9-069
    毛布に包まる …毛布に包まった君は寝息を立てていた 窓から入る街灯の明かりが頬に残った涙の跡を照らし出す …本当に強情なんだから… 起こさないようにそっとキスして部屋を出る 僕は…ここにいるべき人間じゃないからね… 幸せになって欲しい…君が本当に結ばれるべき人と… 毛布に包まる
  • 19-069
    24時間 あいつはデート、俺は家。 執行猶予は24時間、そう決めた。 俺は男だし、あいつも男だったから、もともと叶う恋なんかじゃないってわかってた。 あいつは俺のことを友人だと思っていたし、俺もそう思われるように振舞っていたから。 気付かれないのも当たり前で、優しいあいつに初めての彼女ができるのも当たり前。 好き合う男女が2人で休日に出かけるのも当たり前。 たとえ今日が俺の誕生日でも、彼女を優先するのは当たり前なんだ。 俺は男で、友達だから。 もういいじゃないかと俺の中の誰かが言った。 もういいじゃないか、お前は頑張ったよ。不毛な片想いを、もう3年目。 それでも相手は気がつかない。そろそろ潮時じゃないか? わかってる。多分一生気付いてもらえない。一生友達、それで終わり。 でもこの気持ちに気付かれたら友達ですらいられない。 友達になって3...
  • 9-169-1
    年賀状を書きながら 「明けましておめでとう。今年も・・・よろしく・・・か。」 なんとも短く愛想の無い文面を見つめるが、他の言葉が浮かばない。 何故ならこの手塚智弥と俺は、今まで3回程度しか話した事がない。 同じバンドが好きで、同じクラス、席が斜め前って事くらいしか近しい記憶はない。 話しかけるタイミングだって逃してばっか・・・8ヶ月で話した記憶が3回て・・・ 「年賀状出しても、俺のこと知らないんじゃねぇか?」 最悪の予感がよぎる・・・っていうかあいつ、俺の名前知ってるのか? 俺なんて名前どころか顔すら思い出せない程度の存在なんじゃないかとも思う。 「あああああーーーー冬休み前にもっとアピっとけば良かったああああ・・・」 あのバンド、年明けにアルバム出すんだよな。 2月には武道館でライブもあるし、行けたらいいよなー・・・って、話題...
  • 1-669-1
    スーパーマ○オ×クッ○大王 「もし彼が来なかったら、どうするの?」 「来るさ。ヤツが来なかったことなど無いだろう」 玉座と呼ぶに相応しい豪奢な椅子に大きな体躯を沈め、ク/ッ/パは鷹揚に言い放った。 闇と雷光のほかに見るべきものなどない窓の外をぼんやりと眺めている。 広過ぎる城の最上階で、彼はひたすら待っている。 寂しいひとだとピ/ー/チは思う。 富も権力も、七人の子どもたちでさえ、彼の孤独を癒すことは叶わなかった。 必要以上に傲慢な振舞いは、周りの者を試さずにはいられないその臆病さ故か。 底抜けに陽気なあのラテン男は、そういったことに拘らない。 ただまっすぐク/ッ/パに向かってくる。 年齢に見合わぬ屈託の無さを誰もが愛した。情熱、機知、無謀とも言える大胆さ。 命を削るような道のりを経て必ずク/ッ/パのもとへやって来るのは、 本当はわたしの為...
  • 1-369-1
    空手部部長×剣道部部長 まず両方強いというのが良い。見た目に体格も良くて、守り守られじゃなくて対等というのが良い。 空手部は豪気でちょっと強引。剣道部はストイックで天然だともう萌え。 お互い厳しい練習で精神力も強くって、部長だから他人に弱さも見せない。 何かあっても他人に見せないから一人でどんどん悩んじゃうけど、部員は誰も気づかない。 でも同じ場所(体育館)で練習してるから、指示の出し方声とか、些細な事で、相手には気づかれてしまう。 部活が終わってから、誰にも気付かせないようにしている剣道部から強引に悩みを聞き出す空手部。 何でもないと言いながら、「お前が心配なんだよ」と言う空手部の押しの強さと思いに負けてぽつりぽつりと語る剣道部。 それを真面目に聞いて包み込んじゃう空手部に超癒やされる剣道部。 逆に空手部の様子がおかしいと問いつめる剣道部。のらりくらり...
  • 19-169-1
    あなたの子供が欲しいのに 「貴仁義兄さん。いきなりですが、今日は折り入って義兄さんにご相談が」 「まあ茶飲めや。しかしお前が俺に相談なんて珍しいなあ」 「あなたのお子さんを俺に下さい」 無情にも彼の率直な願いは、彼の義理の兄によるアッパーフックではね除けられた。 「義雄よ、俺は残念だよ。非常に残念だ」 「クッ……義兄さん、危うく脳震盪起こしかけるほど見事な攻撃でした……」 「誉めんなよ。照れんだろ?」 「誉めて無いですよ!」 「で、なんの話だったっけか」 「だからあなたの子供が欲しいからおくれって話……や、ちょっ構えを取らないで構え」 「ああ、スマンいつもの癖でイラッと来るとつい。……えっと何?お前ってホモだったの?」 「ええ。姉は知ってますよ。ちなみに俺の初恋兼恋人は義兄さんの同僚の義純さんです」 「マジでっ!?あ、あーでも確かにアイツボディ...
  • 21-269-2
    俺様とおぼっちゃま 深窓の、ときたら、普通その後に続くのは「麗しき御令嬢」であるべきだと 誰でも思うだろう。 幼い頃の俺ももちろんその例にもれず、ある夏俺は町外れの大きな屋敷へと 忍び込んだ。誰もが一度はやってみたくなる冒険ごっこだ。 獰猛な魔犬…という設定の、その屋敷で飼われていた愛らしいスピッツをおやつで 従えて、こっそり潜り込んだ、別荘地でも一番上等な家の、一番上等な窓の下。 そこにいるはずのお姫様は、あろうことか、生意気でこまっしゃくれた、 同じ年くらいの餓鬼んちょだった。 あんまり癪に障ったから、つまらなさそうに本を読むそいつを無理やり外に 連れ出して、それから毎日のように、日が暮れるまで野山を引きずりまわしてやった。 そうして遊んだ懐かしい夏休み。 今じゃどこでどうしているんだか、もう会うこともないだろうと思っていた。 そして立派な一...
  • 6-069
    弟子×師匠 剣術でこの人に勝つことは一生無理だろう。 弟子とは師匠を超えてこそ弟子なのだろうが俺にはできないだろう。 だって、どんなに試合をしても、どんなに素振りをしても、 師匠の顔に打ち込むことなんてできない。切れ長の目と、男のくせに長めな睫、きゅっと引き締まった口元、プライドの高さを表すような笑顔。 ほかの部分に打ち込んだって、この人は美麗なその顔を苦痛にゆがめるのだろう。そんな顔を・・・ 俺は見たくないのだ。 そして今日も容赦なく叩きのめされる。 そしてそれを快感に感じる俺。 この関係は一生続くだろう。 月が見てるー。又は、桜に掠われるー。
  • 4-069
    50代×30代 言葉足らずなあんたの世話係になってから、俺は苦労しっぱなしだったよ。 刺激物はダメだって言ってんのに勝手に食うし、どっか行くなら声掛けろって何度注意しても無断で出掛けるし。 俺、何度叱られたと思ってんの、周りの人にさ。 珍しいですね、手を焼くなんて…なんて仲間にも言われた。 そうだよ、普段はこんな入れ込んだりしなかったしな、失敗とは無縁の中堅の優秀な世話係…だったわけよ、あんたに会うまでは。 あの日。 あんた調子悪いとか言っといて、俺、心配で泊まり込んだら、俺の方が次の日、腰痛いは、熱出るは…って、あんた、俺にあん時、告白もしなかったこと、今思い出してもむかつく。 考えてみりゃ、あんた、一度も俺に告白してねぇじゃん。 日本男児はそんなことは口にせん、とか、あんた戦後生まれだろってつっこみどころ満載だったよ。 でもさ。 あんたが俺に内緒で最後に...
  • 2-069
    真面目部下×女からも男からももてる上司(既婚) 「さて時間だな。天羽、今日は珍しく定時上がりだし、どっか寄ってかないか?」 「あら、いいなぁ。天羽君。部長ぉ、たまには私達も誘ってくださいよ~」 「まあ、また今度な」 「きっとですよ?」  ころころと笑う女達のかしましい声を軽くいなしながら、その存在私の隣にやって来る。 「もう終業時間だぞ? 真面目なのはいいが、真面目過ぎるのもな?」  私に対して気安い態度で肩を叩くのは、一人しかいない。書きかけのレポートから目を離さず 微かに溜息を漏らした私は、気を取り直して表情を取り繕うと、肩越しに上司の顔を見遣った。 「いえ……。私はまだ仕事が残っていますので」 「ん? 何かあったか」 「明日の会議の資料を纏めなければなりませんので」  この人は何が面白いのか、何かにつけ私を引っ張り出そうとする。無...
  • 3-069
    クール×お調子者 「……だからさー、そん時のアイツの顔ったら。って、オイ、 お前いま聞いてなかったろ!」 「……あ゙? あぁ。気にすんなよ。しゃべれ」 「バカやろーお前に聞かせてんのにお前が聞いてなかったら ぜんぜん意味ねーじゃん! もぉ! お前なんかシラネーヨ! いーよ他の奴としゃべる! お前はココで化石みてーに ぼーっとしてりゃいいだろ!」 「化石って、ねぇ……まぁ良いや。でもお前が他の奴の所に 行くのは良くねぇな」 「なんでよぉ!」 「そういうカマ声はちゃんと女装してから出しな。……大体、 お前が俺を呼び出したんだろーが」 「……あ……そうでした。しかも今日って……ええと、もしかして お前、深夜バイト明けだった? ゴメン……」 「ん、まぁな」  本当はこいつのこんな顔なんて見たくないんだけどな。  幸せ...
  • 5-069
    番人さん 「お通しするわけには参りません」 夜の闇に映える銀の短髪を冷たく光らせながら、その扉の前に立っていた 男はきっぱりと言い切った。 「いいじゃねえかよ。その扉の奥にある物が何なのか分かったら、すぐに 帰るからよ」 こげ茶色の癖毛を肩の上で揺らしながら、大柄な男が言う。しかし銀髪の 番人は微動だにしないまま、同じ言葉を繰り返した。 「お通しするわけには参りません」 「……ちっ、気難しい奴」 大柄な男は舌打ちをして、ポケットから煙草とライターを取り出した。やや 細身の煙草を口にくわえ、先端にライターで火を点けると、ゆっくりと煙を 吸う。 「じゃ、通してくれなくていいからよ、この奥に何があるのか教えてくれ」 「……それは」 番人は目を伏せた。大柄な男は煙草をくわえたまま、番人の返答を待つ。 「知っていたとしても、教えられません。……それに、私もこの...
  • 9-669-1
    色鉛筆 「おい、何とろとろしてんだよ。置いてくぞ」 「待ってよぉ。みんな慌てて走ってくから僕にぶつかっていくんだもん。転んじゃうんだもん」 「だぁーからおまえと遊びに行くのヤダったんだよ。トロいし鈍いし運動神経ないし」 「それ全部同じじゃん。そんなに怒らなくてもいいでしょ。」 「だいたいなぁ、おまえは八方美人なんだよ。言い寄ってくるやつみんなにイイ顔してよ、 ちったぁ自己主張ってもんしろ。あぁまったくイライラする」 「酷い。そんな顔真っ赤にして怒らないでよ。激情型なんだから」 「煩せぇ!顔が赤いのは生まれつきだ。悪いか。嫌なら一緒に遊ぼうなんて誘うな」 「だって、いつもみんなの中心で人気者の君に、なかなか声かけられなかったんだもん。 昨日、マリコちゃんが初めて隣同士にしてくれて…嬉しかったんだ。 せっかく…勇気出して、、誘ったのに、怒らなくても…」 「おまっ...
  • 7-069
    幸せな二択 「どっちがいい?」  そういって俺の目の前に差し出されたのは、二つのこぶし。 「片方にはお前のだーいすきな北海道のくじが入っていて、もう片方は俺の愛して やまない沖縄のくじが入っている。さあ、好きなほうを選べ」  目の前のTはニコニコと満面の笑みで、あっけにとられいる俺をみた。  北海道を当てれば、俺が嬉しい。  沖縄が当たったら、Tが喜ぶ。  …………二人で旅行に行くのは変わらないのだから、どちらを選んでも構わない のだろう。来年は当たらなかったほうに行けばいいのだから。  俺は目を瞑り、Tのこぶしを握った。 左翼×右翼
  • 8-069
    死んだはずの君を見る 「何できゅうりやナスにぶすぶす割り箸を刺すのか、昔は分からなかったなぁ。 多分こんなことにならない限り、理解しても納得出来なかったろう」 そう言ってからやっと、久しぶり、と笑いかけてきた奴の顔を、俺はまじまじと 見つめた。 「なんだい、ちっとも嬉しそうじゃないな。来た甲斐が無いな」 「いや、嬉しくないわけじゃない」 むしろ泣きたいくらい嬉しい。 しかしそうして涙を流せば、半透明のお前の輪郭は、ますます曖昧になって しまうだろうと思ったのだ。 ぽつり、ぽつりと言葉を交わす俺とそいつ。 お前、両親の所には行かなくて良いのか? 先に行ったさ。それに僕は君といたいんだ。 近況を語るのは俺だけで、そいつは相槌しか打たない。 それが無性に寂しいが、世の理を曲げる術を、こいつも俺も持ち合わせている はずもなく。 「なすを」 ...
  • 21-139-1
    ヤンキー君とメガネ君 屋上に来たのは初めてだった。 「げっ風紀??、何で」 多分彼、沢良(さわら)が壁際の死角にでも座り込んでいて、そういう事をしてるだろうと 今まで殆ど接触も無かった僕にすら想像出来る形で、やっぱり彼はそれをしていた。 「未成年の煙草は厳禁+校則違反レベル10因って」 「消す消す消す!ってか、何で品行方正なお前がこんな所いる訳?」 「今のは見なかった事にする・・・今そんな気分じゃないから」 溜息を吐きながら当初の目的だった彼に近づいた。 彼女のあんな告白を聞きさえしなければ、僕はこうして正反対のタイプの彼に会いに来る事なんて無かっただろう。 初めての屋上で感じる風はかなり冷たく、頭を冷やすには丁度良い場所だった。 「ふうん、じゃあまあ美味い空気でも吸っていけよ」 どこが美味い空気なんだか。沢良の周りは咽返るような煙草の匂いで充満している。 ...
  • 21-149-1
     *9×*8 「君はどうしていつも僕に尽くしてくれるんだい?何の得もないのに」 「か、勘違いすんなよな!俺は別にお前の為にしてるんじゃない。単にMなだけだ!」 「でも、初めてだったり、ちょっと不安そうにしてたりするじゃないか」 「プレイの一環だ。ちゃんと女王様キャラの時もある」 「僕の為にいつも踏み台になってくれる君を見るたびに、僕は…」 「やめろ!お前は自分の欲望を晒け出しながら、俺を踏めばいいんだ!」 「君はルールの中でしか自分を解放出来ないんだね…わかったよ」 「ふん、わかればいいんだ。さあ、さっさと踏め。いつものように欲望をぶちまけろ」 「*9×*8」 「なっ…」 「これならいいんだろう?」 「お前…何考えて…」 「今度こそ、君は僕のものだ」 最後の約束
  • 6-169-1
    笑わない人 「なあ、俺そんっなにつまんないオトコ?」 「…は?」 自分で言うのもナンだけど、今言ったの俺の十八番のギャグ、伝家の宝刀よ?自信無くしちゃうなー。 おどけた口調で言うと、アイツはいつものしかめっ面を更に歪め「馬鹿」と一言で切り捨てた。 最初はただの興味。 校長のヅラが風に舞った時も体育教師のジャージのゴムが切れてズリ落ちたときも クスリともしなかったアイツは何をどうすれば笑うのかって。 顔面の筋肉おかしいんじゃないかと思って顔グリグリしたら殴られたこともあった。 ここ1年とちょっと、少なくとも学校にいる間は一緒に行動するようになって、 色々と知らなかった部分も見た。全く無表情ってわけじゃないんだよ、絶望的にわかり辛いだけで。 怒るし、睨むし、驚くし。悔し泣き寸前の顔も見た。 ―――でも、笑わないんだ。笑わないんだよ。 どんなに自...
  • 7-169-1
    どうして自分じゃなくてあの子なんだろう ずっと、欲しかったんだ。 俺は震える手でそっと彼の頬に触れた。 酒に潤んだ目には普段の鋭い光は宿っていない。 いつもは堅く引き結ばれた口元も、わずかだけど弛んでいる。 頬から瞼、額へと、触れるか触れないのかのタッチで辿っていく。 短く刈り込んだ髪が、触ると意外に柔らかいことを知った。 俺は手をとめて、じっと彼の顔を見た。 酔いに濁った目は俺を映しているのに、何も見ていない。 「……も……」 何か呟いたと思ったら、急に腕をとられて引き寄せられた。 びっくりして固まっている俺の腰を硬くてゴツゴツした指先が掴んで、 服の下に無遠慮な手のひらが潜りこんでくる。 「ちょ…ちょっと滝…!?」 本当に酔ってるのかと疑いたくなるような巧みさだった。 硬い指先に官能を引きずりだされて、あっという間に茹で上がる。 酔った男は、しきり...
  • 21-409-1
    出来の悪い兄貴 「愛だね」 潤二がはっきりとそう口にした時この酒豪とうとう酔い潰れたかとうとう酔い潰してやったぜハハハ、って具合で 多分俺が相当酔っていた。 俺は自分のこの酒に痺れた脳味噌と口が何を喋っていたかだって結構曖昧なのに。 ああ、そうそう、あの出来があんまりよろしくない兄貴分の話だっけ。 そーほんとヒデ兄どうしようもない。 こないだもクラブで酔い潰れて俺が部屋に運んだし、ちょっとでも目を離すとへらへらと誘いに、 そうあれだよ、こうなんていうの?セックス?そう、セックス! その誘いにだって乗りかねないし、あーもーほんとどうにかしてくれよ、って。 ごめんユキちゃん、俺もーしないからーなんてあのおっさん、絶対思ってないんだ。 いや、思ってんだろうけど忘れちゃうんだろうな。馬鹿なんだよ多分壊滅的に。酒で記憶なくすし。 いっそアル中になれ。アル中に...
  • 8-469-1
    人でなし×お人よし 「僕はね、医学生であって医者じゃないんですからね」 真夜中に呼び出されて、傷の手当てをさせられるのはもう何度目だろう。その度に同じことを繰り返す。 「頼みますから、ちゃんと病院に行ってください…必ずですよ?」 今まででも一番ひどくやられている様を見て、少し厳しい口調で言った。 彼は曖昧に返事をして誤魔化すように笑ったが、すぐ苦痛に顔を歪めることとなった。 どうして、あなたがこんな目にあわなけりゃならないのですかと、聞いたことがある。 こんなことくらいしかできないからだと、彼は答えた。 答えになっちゃいないと言ってやった。 「確かにあいつがやったことは人としてあるまじき行為かもしれない。  それでも俺は、それが正しいことだと思ってる。あいつは間違ってない」 信じてるんだと続けた彼が何故か少し妬ましく、僕は意地悪を言う。 「法が禁じてい...
  • 7-469-1
    そんな顔したりするから 乗る人も降りる人もいない各停の鈍行列車が、目の前をゆっくりと通り過ぎていく。白地に青と水色の二本線が入った車体を見送っていたら、小窓から顔を出した車掌と目が合った。加速の緩い列車に乗った車掌は、たっぷり十何秒かはおれたち二人を怪訝そうな顔つきで見ていた。  地味な夏服のおれと、大きなドラムバッグを斜めに背負った先輩。  地元の私鉄の小さな駅の、プラットホームの端っこ。  一時間に一本の各停を見逃したのは、これで3回目だ。  そもそも2両編成の鈍行は、こんな端のほうまでは届かない。 「……あーあ、また乗れなかった」  線路がきしむ音が聞こえなくなって随分たってから、おれの傍らに立つ先輩がやけに間延びした声で言った。おれは黙って、自分の足元を見下ろした。何か言い返してやりたかったけど、あと一時間は一緒にいられるという切ない安堵と、一時間後には先輩はい...
  • 8-569-1
    懐いてる×懐かれてる 幽霊ネタ注意 チリ、チリと、夜風に吹かれて風鈴が鳴いている。ヒビでも入っているのか安っぽい無機質な音しか出さないが、ここのところ、そんなものは問題にならないほどの音害に悩まされる日々が続く。日が暮れるまでは蝉の放吟、月が出たなら蛙の合唱。そうして深夜ともなれば、俺の部屋を支配するのは幽霊のラップ音だ。 「騒いでも昼間は誰もいないからつまんなくってさあ。でも夜はあんたが帰ってくるもんね、頑張っちゃうよ、オレシャウトしちゃうよー」 鬱陶しい事この上ない。 背後からべたりと張りついてくる半透明の男を剥がそうという努力は一週間でやめた。俺の背中を特等席と決めたらしく、てこでも離れないのだ。自分の名前すら忘れてしまったというこのおんぶおばけ、俺が家にいる間は逞しくも色のない腕を肩口に回し、首筋にむしゃぶりついてはバキバキと怪音を立てる。郊外の借家で人家...
  • 21-889-1
    主人公×ラスボス ラスボス「よくぞここまでたどり着いた勇者よ」 ラスボス「我が右腕となれば世界の半分をくれてや…」 勇者「お前が欲しい!!!!!!!」 ラスボス「え?」 勇者「ラスボスたんラスボスたん本物のラスボスたんktkrハァハァハァァアあああああ!!!」 勇者「結婚してくれラスボスうぅうううううう!!!」ガバッ ラスボス「ひぃっ!!」 女戦士「バインド!!」ビシィッ 勇者「ハァン!」 女戦士「すまないラスボス。勇者はこちらで抑えておくから続けてくれ。」 ラスボス「いや、ちょっと状況がよくわからないんだが」 女魔法使い「とりあえず~、"断られた"ってことでぇ~、すすめて?」 ラスボス「あ、ああ…」ゴホン「では」 ラスボス「我が誘いを断るとは愚かな!では力づくでかかってくるがよ…」 勇者「 力 づ く...
  • 21-389-1
    元正義の味方×現正義の味方 ツウカイダーこと本城隆二は、ヤンナルナー総帥クーゲル・シュライバーに捕えられた。 「ふははは!にっくきツウカイダーめ。お前の命もあとわずか…」 逆さまに吊られた隆二は、屈辱に顔を歪め目を閉じる。 次の瞬間、派手な爆発音と共に秘密基地の壁が吹き飛んだ。 「時空刑事 ゴウカイダー!」 ポーズと台詞を決めたゴウカイダーの後ろに七色の煙が舞う。 「げえっ、ゴウカイダー!!なぜここに…っ!」 シュタイナーは青い顔で後ずさった。 その言葉に、ゴウカイダーは顔の前で人差し指を振る。 「チッチッチ…神が見逃す悪い奴、ゴウカイダーは見逃さない!お主らの真っ黒な悪事は、俺が真っ白に染めてやるぜ!」 3方向からのカメラワークで片足を高く上げ、ジャンプ一発。ゴウカイダーは華麗に着地した。 流石初代、決まったぜ。液晶テレビの向こうにいるちびっこた...
  • 21-509-1
    人恋しい夜 疲れた体でベッドに寝転がる。今すぐ眠りに落ちたいんだけど、一人きりのベッドが酷く寂しかった。 いつもの事なのにたまにあるんだよなあ、こーゆーの。 寂しいっていうのもセックスしたいとかじゃなくてただ単純に寂しい。 ベッドにもぐりこんだ時にシーツが冷たいとか、帰ってきた時に部屋の電気が真っ暗だとか、 そんなのもうずっと前からの事なのになあ。 年食うと涙もろくなるっていうけど、これもその一種類なんかなあー。俺、寂しいなあー。 枕に埋めた顔をのろのろと上げながら、一度だけ迷って携帯を手に取った。 ……真夜中だ。まあ、何回か鳴らして、出なければそれで。そしたらまあ諦めもつくってもんでしょ。 寂しい気持ちが、以前だったら耐えられなかったけれどそこに諦めがつくようになったのも年取ったって事なんかなあ。 履歴に残りっぱなしの番号を探し当てて、発信ボタンを押した。...
  • 21-419-1
    まわし 「お前の親父、化粧まわし作ってたんだって?」 「そうだよ」 「あの相撲取りの?」 「うん。脳梗塞で入院してからやめたけど」 「え? そうなの? 大変だな」 「今はだいぶ良くなったから大丈夫」 「じゃあ、今はどうしてんの? お前が作ってんの?」 「そんなわけないだろ。俺は不器用だし性にあわなかった」 「お前、頭がいいからなあ。職人じゃもったいないよな」  それどういう意味?とちょっとだけ反論したかったが、やめておいた。 どうせ他人に言ってもわかるわけがないので。 「なら親父さんの代で終わりなんだ」 「大丈夫。将ちゃんがいるから」 「将ちゃん?」 ----------------------  規則正しく機を織る音が作業所に響く。  俺は彼の手が止まる瞬間を見て声をかける。 「将ちゃん」  将ちゃんがやっと振り向いて俺...
  • 21-599-1
    充電器×携帯 「……待ってくれ……頼むから」  プライドを捨てて懇願した声は、大抵は聞き入れられない。  それでも、彼の前に連れてこられ秘められた部分を露出させられると、拙い抵抗を試みずにはいられなかった。 「今更純情ぶらないで下さいよ。一日一回は喰ってるって言うのに」  冷やかにつきつけられるのは見たくもない真実だ。  体を辱められ、言葉で詰られる瞬間は、何回経験しても慣れることはなかった。 「わかってるだろう? 今日は――」 「ええ。見ればわかりますよ。電池マークがまだ2本残ってますね」 「電源が切れるまでとは言わない! せめて……マークが1本の時にしてくれないか」 「ダメです。明日早いんでしょう? それに――」   ――ぎりぎりまで我慢すれば、その分受け入れる時間は長引くことになりますよ?  ことさらゆっくりと続けられた言葉に、これ以上反抗することは許さ...
  • 21-249-1
    何が不満か理解できないよ わからないんだ。何故君が、そんな顔で首を振るのか。 ずうっと悲しそうな顔をするのか、ぼくには。 「どうして?」 そう訊くと君は後ろめたそうに俯いた。ああ違う、そんな顔をさせたいわけじゃない。 「責めてるわけじゃないよ…」 単純な話で。ぼくは君に笑っていてほしいんだ。それだけの理由でぼくはここにいる。 「何にもいらない。ぼくはただあげるだけ。捧げるだけ」 ぼくは君にできることすべて、してあげたいと思う。愛したいと思う。 愛されたいとは、思わない。 君には日の光のように愛情を受けていてほしい。世界で一番愛されるものであるべきだ。 君は負担に思うことなど何もない。ぼくがしたいだけなんだから。 「君は、それを受け取るだけでいいんだ」 なんなら打ち捨ててくれて構わない。それで君が笑うなら。 愛させてほしい。君が愛するのがぼくでなくても。 ...
  • 21-679-1
    次どうぞ 「風呂あがりました。次どうぞ」 「あのさ、お前とルームシェアしはじめてから、いつか言おう言おうと思ってたんだけどさ。 何かがおかしいだろ? わかるか?」 「なにがですか?」 「お前が今言っているのは「lt s your turn」だ。だが、お前は年下だ。 本来、お前が言うべきなのは「after you」なんじゃないのか?」 「英語にされたので、余計わかりません」 「つまり「次どうぞ」じゃなくて、「お先にどうぞ」って言うべきってことだよ」 「ああー、なるほど」 「年上に対する敬意が足りない」 「敬意ですか。じゃあ「Next please」」 「お前は医者かよ。それは「お次の方どうぞ」だ」 「俺、文系なんで、英語って苦手なんですよね」 「ああ、そう。俺は英語が得意なんだよね」 「怒ってます?」 「いや、別に」 「The moon is beau...
  • 21-729-1
    ずっと好きだった幼馴染の結婚式 ※幼馴染みは男の子で 家が隣同士で、親同士も中がよかったため、小中高校、一緒に通う仲だった。 幼馴染みは優しくて、おっとりした質なので、自然と彼の兄貴分のようにふるまうようになり、幼馴染みにも、「頼りにしてる」と言われる程だった。 そんなある時、幼馴染みから、女の子に告白されたと相談される。 何故か必要以上に動揺しながらも、笑って幼馴染みの背中を押すが、何となく心に穴が空いてしまう。 その理由がさっぱり分からないまま、何人かと付き合っては別れてを繰り返した。 大抵は、「何で幼馴染みの話しかしないの?」と問い詰められ、曖昧に答えているうちに振られるのだ。 次第に、なぜか幼馴染みの顔を見れなくなっていき、衝動的に違う土地に引っ越した。 時が流れ、幼馴染みから母親経由で結婚式の招待状が届く。 懐かしい名前に顔を綻ば...
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