*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「21-109」で検索した結果

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  • 21-109
    DT×女たらし 「あの子達どう?あそこの髪の長い子達。どっちも美人じゃん?」 「いや、あのね、安達…」 「あまり好みじゃない?じゃぁ…あっちの2人連れは? 右側の子は目がぱっちりしてて可愛いし、左側の子はちょっと派手めだけどスタイルいいし」 「そうじゃなくて」 「もっと清楚な感じの方がいいのかな……だったら向こうのお嬢様風の…」 「っていうかさ、俺たち今何やってるわけ?」 「ナンパだろ?仁科がしたいっていったんじゃん」 「いやいやいや、俺んなこと一言も言ってねーし」 「だってお前昨夜俺の所に来たよな?すげー思い詰めた顔してさ。 そいで脱童貞に協力してくれって言ったよな? 「言ったよ。それだ安達がわかった俺に任せろって言ってくれて」 「だから、俺達は今ここでナンパしてるんだろ?まずカラオケで盛り上がって それから食事か飲みかでさらにムードを高めて…まあ、...
  • 1-109
    バーテンダー×バーテンダー まぁ、何だ。アレだ。 2人はライバルであり良き親友で ベテランの攻めの方が まだ初心者の受けにいろいろな対処法を教えていくんだよ。 でもそれを素直に受けは受け取らないため ちょっと捻くれたりする。 でもベテランさんはそんなこと知っているかのように 軽く流し、優しく教える。 そしていつしか受けは一人前になった。 攻めは「もうお前は一人前だから…」と何処にでも行くように言う。 しかし受けは攻めと一緒に仕事をしたいと言い出した。 突然の言葉に驚く攻め。しかしそれよりも何とも言えない嬉しさ等が 自分の心の奥深くから込み上げて来た。 そのことがあってからは、お互い仲良く客相手に商売をし、 時には2人仲良く… こんなんでいいでしょうか…? 下克上
  • 6-109
    三人で一組のカップル 今日もあいつらはじゃれあっている。 10年前、一目惚れして買った白い雑種。 6年前、近所をうろついていた茶色の雑種(多分)。 3年前、親の事情で一時的に預かった黒いラブラドール(まだ小さかった)。 性格も体格もばらばらで仲良くなることは期待していなかった。 ただ、交通量の多いこんなところでうろうろされるよりいい。 しばらく預かるだけだから少しの辛抱だ。 そんな軽い気持ちで家に来た犬たちは、いつの間にか居ついてしまった。 短気でプライドの高い白、大人しく寂しがりやな茶、食欲旺盛で人懐っこい(うっとおしい!)黒。 ちぐはぐな性格がわざわいしたのか、白に以外にも父性本能が備わっていたのか。 3匹は仲良くなった。 というかお前ら。 親子以上に年が離れているというのに、 俺が「さんぽ」と言えば一緒になってはしゃぎ、 夜中に突...
  • 21-129
    どっちからキスした? 「どっちからキスした?」 居酒屋のトイレの個室で男が男につめよる光景はさぞかししょっぱいものだろう。 でも俺は必死だった。 見上げる男は不機嫌そうに眉をしかめている。 いいから答えろよこのやろう。 さきほどこいつはトイレの前で後輩の女の子とキスをしていた。 それを偶然目撃してしまった俺に気づいて女の子は照れたように逃げ去り、残されたこいつを俺はトイレに押し込んだ。 別に報われる恋だなんてハナから思っちゃいない。 友達として一緒にいられるだけでよかったんだ。 でも実際そういうシーン見ちゃったらさ、どうしようもなくなった。 せめてさっきのキスが彼女からなら少しは救われるかもしれないなんて思ってこいつに縋る俺は馬鹿だ。 そんなもの聞いたところでなんの慰めにもなりゃしないのに。 「なあ、どっちだよ。答えろ、」 え、と思っ...
  • 21-169
    相貌失認症  グリーンとブルーの絵の具を半々に溶かして、ガラス玉の中に閉じ込めたような二つの虹彩。  瞼を動かしてぱちぱちと瞬きする度に、透明度の高い、南国の海を思わせるそれが窓から差す太陽の光を受けて綺麗に輝く。 「これが、俺の目」  促されるまま、ブラウンの睫毛を人差し指で撫でると彼は猫のように瞳を細め、瞼に皺を作った。  くすぐったいと言わんばかりに、ふにゃふにゃと溶ける可愛い眼差しを見つめているとなんだか胸が落ち着かない。  あたたかくて、見ているこちらがくすぐったくなるような、この気持ちはなんだろう。 「んじゃ、次。これが唇、な。ちゃんと覚えて」  飽きもせず、下瞼の縁に生える睫毛を撫でていたら少し強引に手首を掴まれて口元へ導かれた。  指先に当たった柔らかくてあたたかい感触に、やましい事なんて何も無いのに思わず口ごもってしまう。...
  • 7-109
    うんこもれちった 「何で嫌なんですか?」 俺は目の前で落ち着きなく目を泳がせている先輩に問いかけた。 照れ屋で常識人の先輩が俺の告白を受け入れてくれて半年。手をつなぐ事から 始めて、今では抱きしめても嫌がらなくなったし、俺の仕掛けるキスにも段々 応えてくれるようにもなった。 しかしいざセックスとなると怯えて逃げられてしまう。余程警戒しているのか、 俺のマンションに泊まって行く事もない。 未知の事に対して臆病な人だとは分かっていたけれどこれ程とは……。 「だって、痛いって聞いたし」 「それだけですか? 痛くないようにするって言ったじゃないですか」 「それに……その……中で出すんだろ?」 「え?」 何の事かと思い聞き返すと先輩は真っ赤な顔で叫んだ。 「出すっつったらアレに決まってんだろ!!」 「あぁ、すみません。ザーメンの事ですか」 先輩は照れ隠しに怒った...
  • 3-109
    開業医×製薬会社の営業 その日はやっぱり忙しくて、午前の診療が終わる時間まで一息もつけない有様だった。 てんてこ舞いの診療時間が終わって看護婦が受付と一緒に食事に出てしまうと狭苦しい筈の 待合室ががらんと広く見える。 「やれやれ……」そう呟きながらぐるりと見回すと一人、長椅子の端に座っている。 どうやら眠っているらしい。 傍に寄って俯いたその顔を覗き込んでみる。 「なんだ、安藤さんじゃないか」 眠り男はたまに顔を出す製薬会社の営業。こんな片田舎のちっぽけな医院にまで来なきゃ ならないなんてご苦労様だといつも思う。 「こらこら、こんなとこで寝てちゃ風邪を引くよ。ここに来て風邪引いたなんてことになったら うちは商売あがったりだ。」 肩を揺すってみても起きる気配はない。 「疲れてんだねぇ……」 ...
  • 4-109
    あ、あの、どうぞ踏んでください……>○r2” あ、あの、どうぞ踏んでください… え?いや、いいんです…どうぞ遠慮しないで! ぼくが…あなたのその白くて柔らかそうなそれで踏まれたい、 ただ、それだけなんです。 あっ…うそっ…そんな早いリズムで…っ! だめ、だめです!そんなにしたら…あなたの肌が…! ああ、ほんとに…いいんですか、肌真っ赤ですよ? そんなところにもぼくの跡が、真っ赤に…恥ずかしい。 もっとつよく?え、いや、ぼくはかまわなっ…あっ 今度はそんな先の方で?…だめです、そこは刺激が強すっ…ぎ…! もっとリラックスして、ゆっくり…ゆっくり… 「んうっ!」 「はまってるね最近」 「うんっ…健康にっねっ…って、痛っ!」 「足ツボマットね、しっかしすごいイボイボだなこれ」 「…攻めがマッサージしてくれるんなら使わなくてもいいんだけ...
  • 21-159
    最後の約束 現八郎は譲られた席を固辞した。 立っているのは席がないのではなく、ただ座っていられなかっただけなのだから。 アナウンスが、戦前から永く残っている古い公園の名を告げる。 現八郎はしっかりとした足取りで、約束の地に向かった。 造園に多少の変わり様はあっても、その四阿(あずまや)は健在だった。 ここは変わらないのに、自分はあの頃とは足取りも体も心も様変わりしている。 目を閉じ、かの人を想う。 あの日の事を。 「柏木さん、僕は悔しいです」 眼鏡の奥で、切れ長の目が潤んでいた。 研究室の後輩である田辺は、徴兵検査で己が出兵出来ない身体と知った時よりも、 現八郎に赤紙が届いた事を嘆いている。 「僕なんかより柏木さんの方が、研究には必要な人なのに……これは国家の損失ですよ!」 「田辺、声が大きい……」 憲兵がいないか注意深く見回しながら、現八...
  • 5-109
    踏まれる人×踏む人 踏みつけられて気持ちがいいのは、踏みつけにされたことのない人間だからと、 侮蔑の表情と、まっすぐに揃った爪先とで、僕の肩を踏みつけながら君は言う。 君がくちづけて欲しいのは、くるぶしの骨ではないと知ってはいるが、 君を抱くのはまだ先だ。 トーテムポール
  • 21-119
    旅先での再会 空港から外に出ると照りつける陽射しにみまわれた。 「あっつ。これ日傘必要だな。どーする買う?」 「女子か。いらねぇよ」 5月だというのにこの暑さ。 俺と一哉は沖縄にきていた。 最後を迎えるために。 「別れよう」 もう限界だろう、と一哉がいったのは1週間前のことだ。 俺たちは高校の教室で出会った。 ふたりの関係が親友から恋人へと変化をとげてから4年半。 大学生になり、就職も決まった俺たちの間には、気づけば大きな溝が生まれていた。 それは俺たちが半端に大人になってしまったせいだった。 好き、だけでずっと一緒になんていられないのだ。 自分の将来、周りの人間、相手の未来。 昔は見なくてよかった現実を日々思い知る。 そうしていつしか、その好き、ですら本当にあるのかもわからなくなった。 一哉のいうとおりだった。 俺たちもう、限界なんだ。 ...
  • 21-139
    ヤンキー君とメガネ君 「おいこら」 「僕の名前はおいでもこらでもありません」 「ちっ…な「あああ!顔!ほっぺケガしてるじゃんバカ!なんで早く言わないの、ほら手当てするからこっち座って」 「言おうとしたらおまえが名前どーこー言いだしたんだろうが」 「もー、またケンカ?いいかげんにしてよね」 「安心しろ。俺様が負った傷はふいうちのこの一発だけで相手は今ごろ病院だ」 「そういう問題じゃないでしょ。毎回毎回手当てするこっちの身にもなってよ」 「へいへい。どうもすいませんでしたね、毎度お勉強の邪魔しちゃって」 「…だから、そういうことじゃないって言ってんだろー!」 「…っ!いいいいってぇ!おまえ、腕」 「ちょっとつついただけでもそんな痛いんだろ?折れてるよそれ。ほら病院行くよ。さすがに骨折の手当てはできないからね」 「ちっ黒ぶちメガネはなんでもお見通しかよ」 「何年...
  • 2-109
    のほほん電波×俺様ツンデレ のほほんが入院した。青天の霹靂だ。 長い付き合いになるが、ヤツが医者の世話になったのはこれが初めてだ。 病気もあの電波っぷりを警戒して近付かないんじゃないかと思っていた。 気が動転した俺は車のキーだけひっ掴んで慌てて病室へ向かう。 15分後。 医者の話によれば、ヤツは急性盲腸炎に罹ったことに気付かず 一昼夜放置して、腹膜炎の一歩手前までいったらしい。馬鹿だ。 「驚きました。普通、我慢できるような痛みじゃないんですが。」 上品な初老の医師はごく控えめにそうコメントした。 「今時盲腸で死に掛ける馬鹿がいるか!この馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿」 「わあ俺様よく来たねー何もないけどゆっくりしてってよ。」 「俺の気も知らねぇでゆんゆんしてんじゃねぇ!」 「あはははー、君麻雀好きかい?」 「これドソジャラじゃね...
  • 9-109
    けんだま 「ほらほら、世界一周!」 得意げな俺に向かって、上手だねと微笑んでくれた。 調子に乗った俺が『飛行機』っていう技をやろうとして、ぶん回したグリップが額を強打した時、泣き喚く俺を抱きしめて、ぶつけた額にキスしてくれた。 あなたが男じゃなかったら、俺は多分、ストレートに育ったんだと思う。 けんだま
  • 8-109
    再試合 告白をした。 俗に言う『酒の勢い』ってヤツだ。俺もアイツもしこたま飲んで、べろんべろんに酔っ払って。 テーブルの上に片頬くっつけて、意味も無くケタケタ笑いながら他愛もない話をしていた時、出し抜けに俺は言った。 「なぁ、俺、お前のこと好きだぜぇ」 「おー、俺も俺も」 アイツは、やたらデカい声で答えた。 それで、俺は何か、酔いが醒めてしまって。 慌てて身を起こしてみれば、アイツは、早くも寝こけていて。 俺は呆然と、その寝顔を見ていた。 「……何やってんだ俺」 これじゃ、まるで無効試合じゃねーか。 情けないやら虚しいやら切ないやらで、もう一度テーブルに頬をくっつける。 目の前には想い人。 さっきの言葉を、聞いていたのかいないのか。 ……まぁ、とりあえず。 「……酒やめよ」 いつかくるかもしれない『再試合』を...
  • 10-109
    マッドサイエンティストに振り回される人  いや、さ。  俺はアンタの研究や、研究に打ち込む情熱を批難するつもりはねぇんだよ。  研究に打ち込み始めると他の事に全く気付かないってのも、許す。  俺だって剣の修行にのめりこんでた時機はそうだった。精神集中、ただ一点を見つめて剣を振る。強くなる為なら、飯も食わずに修行をした。  だからアンタが、俺の作った飯や珈琲を無視しようが、かけた言葉を聞き流そうが、気にしてねぇ。  ――全裸でアンタを誘ったのに見向きすらされなかった時は、少し殺意を覚えたがな。  怒ってねえよ。昔の話だろ?  あん時はまだ付き合い始めて直ぐの頃だったからな。俺も焦ってたんだよ。  今は、アンタがそういう奴だって知ってる。腹立てる方が馬鹿馬鹿しい。  一週間、いや一ヶ月、放って置かれても気にはしねえさ。  俺は、アンタの研究を応援したい。  ...
  • 19-109
    ウザカワ受け 「うわーうわー俺はじめて来たよラブホテル!略してラブホ!エロスの宮殿!!」 「よかったな」 「いやあ、男二人でも入れるもんだなあ。ラブホって受付いないもんなの?ぜんぶ機械でピッピッてさ、いや恥ずかしくなくていいけどさ」 「かもな」 「おいあれ見ろよ風呂場!ガラス張りじゃんなにあれなにあれ!覗きプレイか?覗きプレイなのか?この部屋考えたやつスッケベー!」 「そうだな」 「うおおおやべえやべえ普通にテレビでAVやってる!なにこれ高校の修学旅行でゲーセンのコイン必死にねじ込んでエロチャンネル見てた俺たちが馬鹿みてえじゃん!!そんなことしなくてもここならワンボタンでエロスの洪水じゃん!!」 「…………」 「?なあおい聞いてんの?エロスの」 「うるせえちょっと黙ってろ」 腕を掴んで乱暴に押し倒すと、あんなにけたたましかった奴のお喋り...
  • 14-109
    女王様受 萩本さんと付き合うようになって、そろそろ三ヶ月。 今まで付き合った女の子達とは、大体三ヶ月で最後まで致してきた。 男同士の相場なんて知らないけど、いい加減手を出してもいい頃合だと思う。多分。きっと。 などと決意して、甘い妄想とともに枕を抱えてごろごろしていたら萩本さんから電話が来た。 「もしもし、里中です」 「あ、オサム?ちょっとさー、今からウチ来ない?つーか来い。五分で」 「へ、あの……え!ちょ、萩本さ……あ、分かりました!」 俺がそう答えるなり唐突に切られた通話は、如何にも萩本さんらしい傍若無人ぶりだった。 いつもなら眉を寄せてしまうような困った行為だが、今の俺にとってはもう「そういう」お誘いにしか受け取れない。 ついついにやけてしまう顔を引き締めつつ、俺は急いで部屋から駆け出した。 萩本さんの部屋は広い。ついでに綺麗だし、センスもいい...
  • 21-139-1
    ヤンキー君とメガネ君 屋上に来たのは初めてだった。 「げっ風紀??、何で」 多分彼、沢良(さわら)が壁際の死角にでも座り込んでいて、そういう事をしてるだろうと 今まで殆ど接触も無かった僕にすら想像出来る形で、やっぱり彼はそれをしていた。 「未成年の煙草は厳禁+校則違反レベル10因って」 「消す消す消す!ってか、何で品行方正なお前がこんな所いる訳?」 「今のは見なかった事にする・・・今そんな気分じゃないから」 溜息を吐きながら当初の目的だった彼に近づいた。 彼女のあんな告白を聞きさえしなければ、僕はこうして正反対のタイプの彼に会いに来る事なんて無かっただろう。 初めての屋上で感じる風はかなり冷たく、頭を冷やすには丁度良い場所だった。 「ふうん、じゃあまあ美味い空気でも吸っていけよ」 どこが美味い空気なんだか。沢良の周りは咽返るような煙草の匂いで充満している。 ...
  • 21-149-1
     *9×*8 「君はどうしていつも僕に尽くしてくれるんだい?何の得もないのに」 「か、勘違いすんなよな!俺は別にお前の為にしてるんじゃない。単にMなだけだ!」 「でも、初めてだったり、ちょっと不安そうにしてたりするじゃないか」 「プレイの一環だ。ちゃんと女王様キャラの時もある」 「僕の為にいつも踏み台になってくれる君を見るたびに、僕は…」 「やめろ!お前は自分の欲望を晒け出しながら、俺を踏めばいいんだ!」 「君はルールの中でしか自分を解放出来ないんだね…わかったよ」 「ふん、わかればいいんだ。さあ、さっさと踏め。いつものように欲望をぶちまけろ」 「*9×*8」 「なっ…」 「これならいいんだろう?」 「お前…何考えて…」 「今度こそ、君は僕のものだ」 最後の約束
  • 22-109
    甘えるのが苦手 ぱさり、と音がして、俺ははじめて本から目を離した。 それは、教授の顔の上に論文が落ちた音だった。 自分の膝に頭を預け、論文を読んでいたはずの教授は、今やすっかり沈黙していた。 無骨にまとめられた白い紙束の下で、くぐもるような寝息が聞こえる。 ただそこには、規則正しく上下するワイシャツの薄い胸があるだけだった。 「せんせい」 小さく呼んだが、返事はない。 否、返事をされたくない気持ちがどこかにあったから、小さな声で呼び掛けたのだった。 「……寝てる」 わざと口に出して、幸福感を噛み締めた。 「たまには、甘えさせてみないか」 教授にしては、突拍子もない提案だった。 しかしそれは彼なりの論理で「最も恥ずかしくない誘い方」を模索した結果だったのではないかと、今にして思う。 「いいですよ」 ...
  • 23-109
    睡眠不足の原因 「愛してる」 「うん」 「愛してるんだ」 「そっかよく分かった。だからそろそろ眠らせr」 「大好き。兄さん超大好き愛してる」 「……」 「兄さん? 寝ちゃったの? 酷いよ兄さん僕を置いて先に寝ちゃうなんて」 「寝てねえしうるせえし分かったから眠らせてくれよ! 寝てんじゃなくて呆れてんだよ!」 「いきなり大きな声出さないでよ兄さん」 「お前が原因だろうが!」 「僕に愛してるって言われて眠れないなんて、兄さん興奮しちゃったの?」 「ああもうそれでいいから寝ろよもう」 「それって照れ隠し?」 「そういう事でいいから」 「ねえ兄さん、僕の事愛してる?」 「お前それ何回聞くつもりだよ。言わなきゃ分かんねえのかよ」 「言わなきゃ伝わらない事ってあると思うんだ」 「……」 「僕はたくさん兄さんに愛してるって言ってるけど、兄さんは全然言ってくれ...
  • 24-109
    背中から抱き締める 風が強く吹いて、飛ばされた木の葉がはらはらと舞い落ちる。 その向こうに見えるのは広い背中だった。対して僕の、なんて小さい事だろう。 だというのに、消えてしまいそうだ、そう思った瞬間身体が動いて、彼を背中から抱きしめる形になった。 わ、と驚いたように声を上げ、びっくりしたじゃないですかと、笑いながら彼は言う。 ごめんなさい。僕は謝罪の言葉を口にして、それでも離れる事ができずにいた。 僕を守るために彼は戦って、その度に傷だらけになって帰ってくる。 本当は戦いなど好きではない事は、彼よりももはや僕の方が良く知っている。 優しい彼は、それを僕に悟らせまいと平気な振りをして、そしてとうとう自分自身を騙してしまった。 痛みはないのだという。怖くはないのだという。 けれど最初は違っていた。 彼が痛みに隠れて泣き、殺めた命に魘されては眠れない夜を過ごしていた...
  • 26-109
    紙の花 むかし俺の家に泊まりに来た須藤と見たドラマに 『私は一生枯れない花以外はいらないの』というセリフがあった。 当時まだ小学1~2年だった俺はセリフの本質も理解できずに なんかロマンチックだなー、とぼんやり思っていたような気がする。 今から思えばあのセリフは完全に、冷めゆく愛を見透かした ヒロインからの"別れのセリフ"で、ロマンチックというよりは シビアでドロドロしたものだったのかもしれない。 たしかそのセリフを聞いたあと俺は すぐ須藤に『俺も枯れない花が欲しい!』とねだり、 ロマンチックやファンタジーという言葉からは程遠いあいつは 『そんな花あるわけねーじゃん』という夢も希望もない言葉でバッサリ切り捨てた。 当時ものすごく泣き虫君だった俺はその言葉でまた泣かされて 冷酷非情に見えて案外気を使うタイプのあいつは地味にオロオロして...
  • 15-109
    ちいさな祈り テニスコートの周りには、普段からは考えられないくらいのギャラリーがいた。 黄色い声を送る人も、写真を取る人も、何かを細かくメモする人もいた。 男性も、女性も、大人も、子どももいた。 しかし、その人たちの全ての目は、コートの中の2人に注がれていた。 その内の1人、前原祐二は私の息子だ。 流れる汗もそのままでコートの中を走り、懸命にボールを追いかけている。 一進一退の攻防が続き、どちらが勝っても負けてもおかしくない状況にある。 パコーンパコーンとラリーの音が続く。 この1セットを取れば祐二の勝ちだ。 神様お願いします。どうか祐二を勝たせてやってください。 そして、全国大会へ行かせてやってください。 私は懸命に神に祈った。 それは、本当に小さな祈りだったのかもしれない。 しかし、これほどまでに何かを真剣に祈った事は無かった...
  • 13-109
    無口男×腹話術士 「なあ」 「なに?」 「今更こんなこと言うの恥ずかしいけどさ」 「何だよ、教えろよ」 「俺、やっぱりお前のことが一番好きだよ」 「言葉にしなくたって分かってたよ、そんなこと」 「……人がずっと黙ってるからといって、勝手に腹話術で人の言葉盗るな」 「よかった」 「何がだ」 「俺はそんなこと言わねえ、と言わなくて」 スリーセブンorラッキーセブン
  • 17-109
    伝わらない 自覚してからは、境界線がどこまでなのか分からなくなってしまった。 学校帰りにコンビニ寄るのは友達。 そこで買ったアイスを一口交換するのは、 16年来の幼なじみとしては、まあ、アリだろう。 だけど、 俺のガリガリ君に近づくその唇を思わず目で追ってしまうのは、 唇からちらっと覗く赤い舌に反応してしまうのは、 汗ではりつくシャツに何故かこっちが汗をかいてくるのは、 最近目を合わせられないのは、 「和田、溶けてる!」 「あ!?うわ!」 「バッカ、何ぼうっとしてんだよ」 「何って、」 お前の事考えてんだよ とは言えないから、溶けたアイスでベタベタになった手を 佐野の腕になすりつけた。 「何すんだバカ!」 「うるせ、バカって言う奴がバカなんですぅ」 「ガキか!お前はほんと昔から変わんねぇな!」 昔と...
  • 12-109
    さらわれたい 「ぼっちゃん、今までありがとうございました」 「いいえ、こちらこそ今まで私の世話をしてくれてありがとうございました」 「…」 「…結婚…される方にはもう会ったんですか?」 「いいえ…まだ。明後日実家に着く頃には家で待っているそうで、そこで対面すると思います」 「そう…ですか…」 「こちらの旦那さんのお知り合いのお嬢さんです、きっと良い方でしょう」 「貴方なら良い夫、良い父になれますよ…私が証明します」 「ありがとうございます」 「また、家に遊びに来てください」 「…申し訳ありません、それは…約束出来ません」 「…そう、ですよね…」 「…ぼっちゃん、貴方の顔は今しっかりと目に焼き付けました。どうかお元気で…」 「……っ…!」 「泣かないでください、お互い辛くなります」 「…行かないで…ください…っ」 「旦那様の紹介です、私は拒む事は出来ま...
  • 25-109
    ドン引き、でも好き×好きすぎてド変態 最近あいつが怖い。いや怖いのは以前からなんだけど、なんというか、いつにも増してというか。 少し前だってやけに静かに台所に立っているかと思ったら、 俺のパンツを煮込んでいた。昨日履いていた紺色のボクサー。 洗濯しようと洗濯機の中に突っ込んでいたはずなのに。 「なんでてめえ俺のパンツ煮込んでんだよ!」 「だって食べたかったからさー、お前だって食べたいだろ?俺の手料理」 「いや……まあ、お前の手料理は食べたいけれど、 でもパンツはねえよパンツは! つーか鍋どうすんだよもう使えねえじゃねえか」 俺の罵声にも興奮するのが気持ち悪いを通り越して怖い。 今だってそうだ。フェラするのはいいけれど、必ずと言ってもいいほどチン毛を抜いてくる。 痛い! と叫ぶと肩を大きく揺らして驚いた後、にへらと薄い笑みを浮かべてそのままキスをしてくる。 口の...
  • 16-109
    秘密を告白したあとで お慕いしていました。 貴方が戦火の中の村から俺を拾って下さった時から。 「おまえはもう私の子なのだから、下を向く必要などないのだ」と微笑んで下さった時から。 拾われてすぐに教え込まれた学問も剣術も、学ぶ喜びが無かったわけではありません。 ですが、貴方の喜ぶ顔を見たくて、大きな手で頭を撫でてほしくて、 私のことを誇らしげに語る貴方の姿を見たくて努力していたことを、貴方は知っていたでしょうか。 下賤の子だという侮蔑と嘲笑、暴力には、絶望を感じたことはありませんでした。 貴方がいたから。貴方さえそばにいて下されば、他のことなどどうでも良かったのです。 私のすべては貴方のためにありました。 あの日、国の領土を広げるため決断した結婚に、貴方は苦渋の色を浮かべました。 「おまえには愛する人と一緒になって欲しい」と静かに私の目を見つ...
  • 20-109
    強く噛んで 腕まくりをした、清潔そうなシャツから伸びる、すらりとした腕。 別段細くはない、しっかりとした男の腕だ。 でも、力を込めたときに色白の肌から浮かびあがる血管は、たまらなくセクシー。 そんな腕が、猫のしっぽのようにくるくると動いて、目の前のキャンバスにモデルの輪郭をかたどっていく。 本日のモデルさんはこちら。 真っ赤に熟れた、セクシーな・・・リンゴ。 まあ、ヌードモデルとかだったら俺ももうちょっと燃えるんだけど。 相手は旬のリンゴちゃんだから、俺のキャンバスはなんだかまだ真っ白。課題は全然進まない。 まあでも、裸婦デッサンとかだと彼は間違いなく逃げるだろうから、こうやって二人で居残りできるのは、ひとえにこのリンゴのおかげなんだけど。 真っ白なうなじをじっと見つめていたら、形のいい頭がくるっと振り返った。 「進んでる?」 「んー?う...
  • 7-109-1
    うんこもれちった なーなータカユキぃ。遊ぼうよー。つまんねーよー。 「はいはい、あとでな」 さっきからずぅーっと『あとでな』ばっかり!俺をほったらかして何してんだよ。 「今宿題してるんだから、邪魔しないで」 なんだよ。俺よりそんなもののほうが大事だってのかよ。 俺とらぶらぶしようよー。 「ご飯はさっき食べただろ」 ちげーよ腹なんか減ってねーよ!タカユキの飯なら胃が破裂しても食うけど! あーもう、かーまーえーよー。 「いい加減にしろ!これ明日提出なんだぞ!お前に構ってる暇はないんだよ!」 ……そーかよ。そーですか。 つまりタカユキは、もう俺のこと愛してないんだな。 いーよいーよ!俺もタカユキなんか嫌いだよ!もう知るもんか! あとで謝っても許してやんないからな! 「こらー!!あそこはトイレじゃないって、何度言...
  • 9-109-1
    けんだま 「あーだめだって、そこだけは。絶対だめ!!」 そもそも、ちょっとした好奇心だった。 あいつが絶対にそこだけは開けさせないから。 キツめのエロ本かAVでも入ってるのかと思ってた。 見つけてちょっとからかってやるつもりで、 あいつが目を離した隙にその引出しを開けた。 でも、中に入ってたのは古ぼけたけんだま。 それから、おもちゃのピストルとビッ●リマンシール。 「これって、もしかして…」 「……だから、おまえにだけは見られたくなかったんだよっっ!!」 そう、それはまだほんのガキだった俺があいつにあげたものばかりで。 こんなに大事にしてくれてるなんて、知らなかった。 「女々しいだろ、もらったものずっと大事にしまってるなんてさ。」 真っ赤になりながらそう言うおまえのことを俺は思わず抱きしめた。 「実は俺も、お...
  • 4-109-1
    あ、あの、どうぞ踏んでください……>○r2” 降り止まぬ雪で、町が埋もれ始めていた。 小さな民宿では、帰り損ねた30前半の男性客がたった一人、聞き慣れぬ雪の軋む幽幻の様な密やかな音に、四方八方を取り囲まれて、眠れぬ夜を過ごしていた。 酒を呑んでもいっこうに酔いは回らず、暖房を強くしても冷気が部屋に染み込んでくる。 どこか窓でも開いてるのかと、部屋を出て戸締まりを確認すると、はたして二階にある玄関のドアが僅かに開いて風が吹き込んでいた。 主人が締め忘れたのかと、忌々しく思いながらドアを閉めようとすると、 隙間から、するりと白い手が入って来て、冷たい細い指が男の頬を撫でた。 びっくりして、数歩飛びさがると、ドアが表から大きく開け放たれ、その手の主が入って来た。 ぬけるような白い肌に端正な顔立ち、後ろで一つに束ねられた長い黒髪、均整のとれた...
  • 21-139-3
    ヤンキー君とメガネ君 「わりぃな。すぐ返すから」 嫌がるメガネ君の懐から無理やり財布を抜き取り、金を抜く。 返した事は一度もなかった。アイツはいつも何も言わずに泣いていた。男のくせに。  *** 「またメガネ君から金とったのかよ。悪い奴だね」 ギャハハと笑って煙草の火をつけながら東が言った。 「だってアイツうぜえし。金もってるし」 俺の手にはビール。堂々制服です。はい。 「メガネ君、家に金なんかねーだろ」 「んな訳ねーだろ。現に持ってるぜ」 「いや、その金ってさあ…」 東が何か言いたそうにしていたが、 道路の向こう側に先公が見えたので俺はすぐに立ち上がった。 「こら!お前ら!」 「うわっ、北野だ!やべっ!」 逃げようとしたが、東は悠然と座って俺をひきとめた。 「平気、平気。北野センセエお疲れ様でーす」 ニヤニヤしながら東は手に持った携帯を北野に振...
  • 21-139-2
    ヤンキー君とメガネ君 「ァンダマェ! ォンクアンノカゥラァ!」 「え、何? 僕? 僕に向かって言ってるの? うわ、目があっちゃった……参ったなぁ……」 「オゥ! ガンツケトンノカワレァ! ァニミトンジャコラァ!」 「おいおい、僕は何もしてないよ……ほーら、僕は君のことなんか見てません」 「ァニツッタッテンダコラァ! サッサトムコウイケヤッテンダォラァ!」 「はーいはいはい、大丈夫、見てないからね……っしゃ、捕まえた!」 「ウッコラキサッ……ッニシヤガルンダハナセ! ハナセッテイッテンダロガゴラァ! ナメトンノカ!」 「おーよしよし、大丈夫だからね……あー……やっぱり怪我してる、けんかしたのかな」 「タッ、タッ……ッテェーヨサワンナボケェ! テメェニハカンケーネーヨ!」 「泥が入り込んでる洗わなきゃだめだよ、よしよし」 「ッテェー! ツメテッ! ヤメ! コノ!」...
  • 26-109-1
    紙の花  下校間際になって、ダチにこれからどうすると聞いてみた。 「オレ塾」 「生活指導の呼び出し」 「デート」  珍しく全員が予定を口にしたので、オレは驚きと落胆で大声を出してしまう。 「誰も暇なやついねぇの?」 「みたいだな」 「で、どうした?」 「誕生日だから、何かおごってもらおうと思ったのに」 「ばか!」 「そんなのはちゃんと先に言っとけ!」 「今日は無理だから今度な」 「ちぇっ」  確かに事前アピールしてなかったから仕方ないとすねながらも諦めるオレを残して、ダチはそれぞれに行ってしまった。  仕方ない、家に帰ったら何かあるかもしれないと帰りかけるとアイツと出くわす。 「一人なんて珍しいな」 「皆用があるんだって。オレの誕生日だっていうのに」 「誕生日?今日が?」 「ああ」 「…………」  何か複雑な表情をしたアイツはカバンからノート...
  • 19-109-1
    ウザカワ受け 幼馴染でクラスメイトの巧は相手の迷惑というものをまず考えない 今日も突然家に訪ねてきたと思ったら、シャツを2着突きだして聴いてきた 「将志はどっちがいいと思う?」 「は?」 俺は勉強の手を休めて巧が持ってきたシャツを見比べた。どちらがいいと聞かれたって 俺にはファッションの知識もセンスも全くない。 普段着ている服だって、マネキンが着てるやつを丸ごと買ってるからそれなりになってる だけであって、趣味もこだわりも何も無いのだ。それは巧もよく知っている筈なのだが… 「どちらでも同じじゃねーの?」 「全然違うよ!どこに目を付けてるのかなぁ?」 巧はさも信じられない!と言いたげに語気を強めたが、俺にはどちらもヒラヒラしていて 女が着るような服だとしか思えない。 だがそんな服でも巧は似合ってしまうのだ。 小柄で細身、睫毛の長い大きな目、ふんわりした栗色の...
  • 22-109-1
    甘えるのが苦手 アイツは人に甘えるのが苦手のようだ。 家庭の事情が複雑で、児童相談所に世話になったこともある。 何故そんなことを知っているかと言えば、俺が隣の家の住人だからだ。 隣の夫婦げんかは内容まで知っているし、物が倒れる音がしたと思うと 翌日あざの出来たアイツに会うという事は日常茶飯事だった。 通報があって一時保護が決まった時には、さすがのアイツも嫌そうだったので、 俺の家に来てもいいぞといったが無視された。 まあ、保護決定してるんだから来られる訳もなかったけど。 借金の督促もたくさんあった。郵便物がポストから溢れていた。 「親に死んで欲しい」と物騒な事をアイツが言っていたら、本当に事故で亡くなった。 自殺じゃないかと近所で噂になったが、自殺するような夫婦ではないという両親の火消しで なんとか沈静化した。自殺するなら夜逃げだと俺も思う。そんなにしおらし...
  • 12.5-109
    成人式or同窓会 来るだなんて、思いもしなかった。 心のどこかではなから来ないものだと思い込んでいたから、全く思考に掠めもしなかった。 小中を共にした懐かしい顔が並ぶ中に見つけた顔を、一瞬理解できなかった。 「おい立花、見ろよ。あいつ菊池じゃね?」 随分と頭身が高くなって、あの頃見下ろした目線が見上げた先にある。 女のような顔をしていた菊池は、男らしさが面差しに見え隠れする華やかな男になっていた。 そうだ。あの頃菊池はなよなよとして、友達も女ばかりだった。 男だか、女だかが曖昧なあいつが気に食わなくて、気持ち悪くて。 俺は、幼稚な残酷心でもって菊池をいじめ抜いたのだ。 「立花君」 式の半分は、やれ誰が可愛くなっただの、今どうしてるのかだの雑談を聞き流しているうちに終わった。 ざわついた会場の外で肩を叩かれ、俺は随分怯えた顔をして振り返ったように思...
  • 21-409-1
    出来の悪い兄貴 「愛だね」 潤二がはっきりとそう口にした時この酒豪とうとう酔い潰れたかとうとう酔い潰してやったぜハハハ、って具合で 多分俺が相当酔っていた。 俺は自分のこの酒に痺れた脳味噌と口が何を喋っていたかだって結構曖昧なのに。 ああ、そうそう、あの出来があんまりよろしくない兄貴分の話だっけ。 そーほんとヒデ兄どうしようもない。 こないだもクラブで酔い潰れて俺が部屋に運んだし、ちょっとでも目を離すとへらへらと誘いに、 そうあれだよ、こうなんていうの?セックス?そう、セックス! その誘いにだって乗りかねないし、あーもーほんとどうにかしてくれよ、って。 ごめんユキちゃん、俺もーしないからーなんてあのおっさん、絶対思ってないんだ。 いや、思ってんだろうけど忘れちゃうんだろうな。馬鹿なんだよ多分壊滅的に。酒で記憶なくすし。 いっそアル中になれ。アル中に...
  • 21-509-1
    人恋しい夜 疲れた体でベッドに寝転がる。今すぐ眠りに落ちたいんだけど、一人きりのベッドが酷く寂しかった。 いつもの事なのにたまにあるんだよなあ、こーゆーの。 寂しいっていうのもセックスしたいとかじゃなくてただ単純に寂しい。 ベッドにもぐりこんだ時にシーツが冷たいとか、帰ってきた時に部屋の電気が真っ暗だとか、 そんなのもうずっと前からの事なのになあ。 年食うと涙もろくなるっていうけど、これもその一種類なんかなあー。俺、寂しいなあー。 枕に埋めた顔をのろのろと上げながら、一度だけ迷って携帯を手に取った。 ……真夜中だ。まあ、何回か鳴らして、出なければそれで。そしたらまあ諦めもつくってもんでしょ。 寂しい気持ちが、以前だったら耐えられなかったけれどそこに諦めがつくようになったのも年取ったって事なんかなあ。 履歴に残りっぱなしの番号を探し当てて、発信ボタンを押した。...
  • 21-609
    節電対策 「『節電にご協力ください』って言われても具体的に何すりゃいいんだ? 電気を着けっぱなしにしない…くらいしか思いうかばねえ」 「仮に、先輩のうちの電力を5、僕のうちの電力を5だとして、二人合わせても5以下にする方法がありますよ」 「マジか!」 「そして先輩はよく僕に電話をくれますが、これに使う電力をほぼ0にも出来ます」 「すげえな!どうやるんだ!?」 「僕と一緒に暮らしてください」 「…」 「…」 「なるほど!お前頭いいな!」 「…」 「お前んち広いし綺麗だしな!俺Wii買ったから一緒にやろうぜ!」 「何言ってるんですか。テレビの消費電力馬鹿にしてるんですか」 「えー…」 「ちなみに、冷房と洗濯の節電のために室内では全裸で。寝るときは僕と同じベッドで寝てください」 「なるほど!」 「節電ですから、当然お風呂も僕と一緒です」 「お前マジですご...
  • 21-009-1
    敬語ガチホモ×関西弁ノンケ 「栖本さん、お願いですよ」 「いやです」 できるだけそっけなく言ったつもりだったが、彼はひるんだ様子もない。 むしろ、どこかうっとりとも見える表情で小さなため息をついて、 「まあ、そういう……ね、そんなところも、また」 と意味のわからぬことを言った。 坂下さんのお願いは何度もされたからわかっている。俺の「大阪弁」が聞きたいというのだ。 「大阪弁じゃないです、兵庫のほうですから。それも、俺のは相当おかしいですよ」 俺の母は、兵庫を離れこの地に嫁いでも関西弁を忘れなかった。 その言葉で育てられた俺は、酔った時だけ関西弁になるらしい。 「忘れられないんですよ、あの夜の栖本さん」 坂下さんが耳元でささやくように声をひそめる。 なんだかやらしい雰囲気に、耳がこそばゆい。 関連会社の坂下さんとは、先般一緒になった企画の懇親会で...
  • 21-909-1
    舞台はスラム 荒廃した街の片隅。 泥と埃、血と汗にまみれて今にも呼吸をやめそうな少年が横たわっていた。 本来なら白く柔らかい肌には殴打された痕が無数に散らばり、身につける衣類はもはやぼろきれでしかなかった。 少年の目は天に広がる空をまっすぐ見つめていた。 澄み渡る青を憎むかのように、もしかしたら憧憬するように、徐々に光を失っていく瞳で睨みつけていた。 「死ぬのか?」 青空を遮るようにして少年の視界に男が顔を出した。仕立てのいいスーツに身を包んだ男だった。 後ろには屈強そうな男を2人従えている。 右腕にはめられた時計は、貧乏人には死んでも手が届かない代物だ。 物心ついたころよりこの街で育った少年にもそれは理解できた。 「君、死ぬのか」 男がもう一度訊ねる。少年は答えない。 「わかった。質問を変えよう」 泥と血が固まってこびりついた頬に、男は躊躇いなく触...
  • 21-809-1
    近所のお兄さん×近所の悪ガキ 「なあ、あんたさあ。男の人が好きってマジ?」 背中合わせでの真剣ポケモンバトル中にかけられた一言は、ボタンを間違って押すぐらいの衝撃を僕にもたらした。 「…どういうこと、それ」 「言葉通りの意味。隆クンは昔っから男が好きなヘンタイだから近づくなって、裕二んちのおばさんが言ってたからさ」 ほんとかと思って、というあんまり直裁な彼にちょっと頭を抱えそうになる。 「なあなあ、どうなの。どうなの?」 「ちょっと静かにしてなさい。今僕のターンでしょう」 「ちえー」 しばらく、かちかち、かちかち、とボタンを押す音だけが響く。 そらをとぶを無効化するために違うタイプのポケモンに入れ替えるか、というタイミングになって、僕はすこしだけ目を瞑る。 そうして再び開いた視界は、何も変わることがない。 だから、彼の疑問に応えてやることにした。 「…すきだ...
  • 21-309
    ノンケ×ノンケ なんでもよくできる人の良いノンケAと、努力してもAに追いつけない嫉妬屋のノンケB ノンケAが好きな女の子に、告白されたノンケB ノンケAに初めて勝った気がして、ノンケBはそのまま女の子と付き合う事に その事をAに報告すると A「そうか、良かったな!俺はきっぱり諦めるから、彼女を幸せにしろよ!」 と言って無理に笑って去って行くA やっとAに勝てたのに、少しも嬉しくないB 彼女との時間を邪魔しないようにと、だんだんBを避けるようになるA 何故か解らないけど、それがとても悲しくてしかたないB Bが実はAに惚れていたと気がつくのはずっとずっと先 他の人には優しさを振り撒くけど、あの人だけは嫌がる顔が見たい
  • 21-909
    舞台はスラム コンコン、と扉が叩かれる。 どうぞ、と答えるよりも早く、薄い扉は来訪者によって開かれた。 スーツ姿で、片手に大きな紙袋を抱えたまま部屋へするりと入ると、もう片方の空いた手で扉を閉める。 「大丈夫か?」 「ええ、今日はかなり調子がいいですよ」 固いベッドの上に身を起こした部屋の住人は、儚げな笑みで答える。 「いつもすみません、リヒト」 「気にするなと言っているだろう、チサト。お前はこの街に必要な人間なんだ、早く体を治すことだけを考えろ」 紙袋を脇に置いて、ベッドへ腰掛けると、中から林檎を取り出した。サイドテーブルのナイフを使って手早く皮を剥き、それを無理矢理口へねじ込む。 慌てて咀嚼して、チサトはベッドから足を下ろした。 咎める様なリヒトの視線を躱し、ゆっくりと立ち上がると窓を開ける。 煤けた灰色の空が、すぐに視界を埋めた。...
  • 21-409
    出来の悪い兄貴 やはり弟×兄かな。 ほのぼのとした日常が良い。 二人は本当の兄弟でも良し。 親の再婚相手の連れ子でも良し。 成績も運動も身長も弟>兄で、弟は完璧主義の高1、兄はバカでドジな高3。 兄弟の高校は別。 弟は勉強も運動も出来て成績は良いんだけど、冷たくてポーカーフェイスなので、学校では独りぼっち。 本人は独りでも良いと思ってるんだけど、まだまだ子供故、胸中では寂しさを感じている。 兄は学校に友達はたくさん居るんだけど、友達がそれぞれの進路に向かおうとする中、出来の悪い自分がどこへ向かうべきか分からずに、一人二の足を踏んでいて、出遅れてしまったことからの疎外感と劣等感に押しつぶされそう。 そんな2人が安らげる唯一の場所が家で、そこでは 「本当に兄貴はバカだな。 こんな成績じゃ大学行けないぞ。」 「だって授業の内容分かんないだもん。」...
  • 21-509
    人恋しい夜 寂しくて苦しくて、どうしようもない気持ちになる時がある。 煙草を吸っても酒を開けてもそれだけはどうしようもなくて、オレは雨の中携帯も財布も傘すら持たずに家を出た。 止みそうな気配すら見せない夏の雨は陰鬱な気分を助長させるに十分で、じんわりと足下から上がって来る寒さは孤独そのものだった。 さみしい。携帯のボタン一つで誰とでも繋がれるはずなのに、どうしてこんなにも。 簡易的な繋がりより、薄っぺらな言葉より、彼の熱が欲しかった。 人恋しくて堪らないのにそれは彼にしか満たせない。 他の誰でも良いのなら、どんなに楽だったろう。 ためらう事なくインターフォンを押すと、数秒の後に機械音と混ざった眠た気な声が聞こえてきた。 「はぁい、どなたですか?」 「オレ、です。」 緊張か、それとも期待か。冷えた喉から出た声は、少しだけ震えていた。 通話が切れ...
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