*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「21-229」で検索した結果

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  • 21-229
    ほしいのは憐れみだけ 「馬鹿じゃないの?」 いつもは朗らかな君の刺々しい声。 「自分の立場分かってるの?」 わかってる。 「自分の性別分かってるの?」 嫌という程わかってる。 「…報われると思ってるの?」 思える訳、ないじゃない。 でも、いいんだ。僕が余りにも惨めだったなら、優しいあの人はきっと同情してくれる。 滑稽な僕を憐れんで、乞うままに触れてくれるかもしれない。抱いてくれるかもしれない。 ねえそうでしょう、と顔を上げれば泣きそうな君と目が合った。 そして僕は理解してしまう。 「どうして俺じゃだめなの?」 その問いは聞こえないふりをした。 ごめんねごめんね。 今僕が欲しいのは、君からのひたむきな愛情とか、そんなものではなくて、 メントス×コーラ
  • 1-229
    売れっ子ホスト×しがないキャバクラ (烏龍茶×緑茶)  きゅ、きゅきゅ……グラスを拭く音だけが静かに響く。 何時ものように、まだ見習いの店員が閉店後もずっとこうしてグラスを磨いていた。 そしてこんな日に、必ず訪れる男が居た。 カランカランコロン 酒を飲みすぎて疲れきった、この辺りでは人気の店のホスト。 閉店していてもう誰も居ないというのに、男は遠慮なくカウンターに腰を下ろした。 注文せずともホストの手には烏龍茶の入ったグラスが無言で用意される。 何時ものように、それを半分ほど飲み干すと、何時ものように、また、グラスを拭く静かな音だけが室内に響いた。 「……君、本当喋らないんだねえ。俺と一緒に居ると面白くない?」 「いえ、そういう訳では」 それでも目を合わせようとしない店員の襟元を、男はカウンターごしにグイっと引っ張った。...
  • 21-299
    パンツをかぶってみた パンツをかぶってみる事にした いつものように部屋へ入ってきたあいつは驚いた顔で俺をみつめていた 変態だとののしられるだろうか 「本当にお前は面白いな。馬鹿ばっかやって俺を笑わせようとするんだから」 彼はまた俺がやった馬鹿なことを許してくれた。 どうしてだろう。今までだってさんざん馬鹿な事をしてきて なんとか彼に嫌われようとしてきたのに。 早く俺なんか嫌いになってこの病室にくるのを止めれば良いのに 俺の余命はあと3ヶ月 今度はどうやって嫌われようか ノンケ×ノンケ
  • 5-229
    あいびき  そっと。  壊さないように。  この時間をただ、いとおしむように。  あなたが側に居てくれるだけでよいのです。  究極にはおそらく、あなたを見つめているだけでよかったのです。  本当は許されない間柄であると知りつつも、私はあなたに望みました。  望みは、受け入れられる事となりました。  これは罰なのでしょうか。  誰にも告げられないまま、あいびきは、幾年も続いております。  臆病なまま。  膚と膚を触れあわすことすらも出来ず。接吻のひとつもなく。  ただあなたと語り交わすことだけが、唯一許される私の倖せであり。  なによりの、不幸でもあるのです。  臆病で醜いこの想いを、どうか。その聡いまなざしで今日こそ見抜いて下さい。  硝子細工のように脆いつながりを深めることを許して下さい。  その膚の匂いを、移すように交わることを。 ...
  • 9-229
    たんぽぽ …いや、だから、買ったばかりのTシャツに、タンポポの茎の汁つけちまって 取れねえとか、草の汁だらけだとか、そんなに怒らなくてもいいじゃねーかよー。 つい、むらっときちまったんだからよー。 だってよ、一面黄色かったんだぜ?まっきっきだぜ? 黄色いジュウターンごろんごろんとか一度やってみたかったんだよ。 俺の地元じゃあ絶対できないからさー。 でよ、俺一人じゃちょっともったいなくね?とか思ったから… つい、一緒に、とか思っただけじゃねーかよー。 …だから!そんなに怒らなくてもいいじゃねーかよー。 そりゃあごろんと寝転がったあとに色々やったのはちょっと悪いなーとは思ったけどよ…。 たんぽぽ
  • 3-229
    水×乾燥剤 「共依存って知ってるかい?」 ゆっくり侵入していく俺の背を、なでながら、まっしろい乾燥剤は言った。全くコイツはどんなときでも上品ぶる。 きょういぞん? 「ニンゲンの言葉だろ。知るかよ」 ゆっくり、ゆっくり、俺は乾燥剤の、しろくてかわいた粒ひとつひとつにしみこんでいく。乾燥剤は、たまにふるっと震える。 おいおい、もっと派手に反応してくれないとつまらねぇんだけど。 「そう、ニンゲンの言葉だよ。自分と相手の区別がつかないっていう病気なんだけどね、」 まさか今この状況を例えてでもいんのかね? 気持ち強く押し込むとああっ…!とやっとやらしい声を出した。 「ん…で、自分と相手の…あっ…! く、べつが、はっきりしないと、ニンゲンは… うまく…っいかないらしいよ…」 はいはい、と俺は乾燥剤を揺さぶった。アンタ、なにが言いたいのか分かんな...
  • 8-229
    ツンデレ×素直クール で 雪の中 「寒くねーのかよ」 と、仏頂面で聞いてきた君は、マフラーにあごまで顔を埋めている。 鼻のてっぺんが赤いのが、妙に可愛らしかった。 「そりゃ、寒いさ。こんなに雪が降ってるんだから」 「だったらっ!」 けれど君はそれ以上何も言わない。君の背丈にやたら不釣合いな、 妙に大きなコートを羽織ったまま、そこに突っ立っている。 コートも羽織らず、ふらりと出かけた僕を、そうして待っている。 必死に、きついまなざしが僕を呼ぶ。 さあこのコートに入るんだと。 口では言わない。横に結んだ口は開かない。 ただまなざしだけが、僕に呼びかける。 曇天、降雪、ぶかぶかのコート。 それは君の兄さんのコート。 僕がさっきまで、一番好きだった人のコート。 秋風
  • 6-229
    ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン 『空が飛びたい』 それがあいつの口癖だった。 両手を大きく広げて、そのままの格好で『ブーン』なんて言いながら河原を駆け回る。 そんなあいつを横で見ながら、草笛なんかを吹いてぼーっとしている時間。 それは何より楽しくて、のんびりと流れる優しい時間だった。 「俺が飛ぶところを、健ちゃん絶対見ててくれよ」 そう言いながら土手を物凄い速度で下っていって、そのまま止まりきれず、 川にぼちゃんと落ちて底の石で足を怪我したりする、あいつは酷く馬鹿な奴だった。 それでも俺はあいつが好きだったし、あいつの夢も、好きだった。 応援したいと、思っていた。 次第にこの国は傾いて、暢気な夢など語れない時代になったけれど、 あいつは、自分の望みを諦めたりしなかった。 だけど、だけどだからといって。 あんな小さな飛行機に乗って、何とか片道...
  • 7-229
    ふたりでひとつ 覚えていますか? 君は、あの夜を。 あの夜ぼくらは身を寄せ合って、人のいない公園のベンチでふたり、静かに夜を過ごした。 凍えそうに寒い晩だったから、少ない金で餡まんをひとつだけ買って、ふたりで分け合って食べた。 「ねえ、大丈夫かな」 思わず口をついて出た言葉に、あいつは「何が」と聞き返す。 大丈夫なことなんて、何もない。そんなことくらい、ふたりとも始めから分かりきっていた。 「うちの人、心配してるよね」 「そんなの今さらだよ」 「これからどこに行けばいいんだろ」 「……」 「俺たち、これからどうなるんだろう」 「……何とかなるよ。きっと」 「そうだよね。ね」 その夜から二日たって、僕たちは知らない町で警察に補導された。 僕達の駆け落ちはただの家出ということにされて、学校の友達からもさんざんからかわれた。 あれからもう何年も経...
  • 2-229
    年の差でフリーン、最後の夜 「別れてやる」 ちょっとした事に腹をたてたに時に使うはったりにアイツはいつもと違う反応をした。 「そうだね、僕達終わりにしよう‥」 「…‥は?」 一瞬自分の耳を疑った。いつもなら、それはやだなぁと笑いながら暢気に言うアイツが。 深刻な顔で、声色でそんな事を言うなんて思いもしなかった。 「子供が出来たんだ、彼女に」 「‥じょ「冗談じゃないよ。君の事は変わらずに好きだけど、彼女を裏切るのはもう嫌なんだ」 彼女を愛しているから‥という言葉が胸に痛い。 こんな時何を言えば良いんだ。 頭が回らない。 「最後に抱かせろよ」 回らない頭でそれで別れてやるからさぁと鼻で笑う。 伝えたい言葉は本心と食い違う。 自分の性格を怨んだのは、この時始めてだった。 「…わかった」 そう頷くアイツを、...
  • 22-229
    チャラ男受け ホストたるもの、身なりの差別化は必須だ。 働く男達が皆同じような見た目同じような性格だと客は集まらない。 それぞれの個性がある。 俺も同じ夜の道を歩む者として、それは理解しているつもりだ。 しかし。 「…お前それは何のつもりだ」 そんな俺の言葉が理解できないみたいな顔で、控え室に入ってきたばかりの淳は首を傾げた。 「何って…?ピアスだけどぉ?」 「…いつ開けた」 「昨日。だってもうあけるとこねぇんだもーん」 淳はその下唇の端に光るシルバーの丸ピアスを指で弾いてみせた。 痛々しく見えて思わず顔を歪めた俺に、淳はニヤリと笑って目を細める。 「なに?くちピぐらい今ドキ普通っしょ?」 そう言って鼻で笑ってロッカーを開け、仕事着であるスーツに着替え始める。 日に日に増えていく耳のピアスはしょうがないにしても、とうとう唇にまで。 硬派がウリの...
  • 24-229
    掃除係 深夜の高層ビルの一室。 向こうから守衛が足音を響かせやってくる。 「やぁ。遅くまで大変だね。あれ?いつもの人と違うんだね」 人の良さそうな小父さんは僕の顔に光を当てて聞く。 掃除道具を入れたサイドネット付きの台車を押しながら 僕はにっこり笑って八重歯を見せる。 小父さんは全く怪しむでもなくそのまま行き過ぎる。 こんな時は童顔の自分で良かったと思う。 目的の部屋のドアを開け、クライアントの指示通りのファイルを運び出した。 僕の仕事は『なんでも屋』担当はクリーンアップ。 普通に部屋の掃除から、夜逃げをした人の旧居の最終チェックを兼ねた掃除 勤め先に残したまずい書類の回収、過去の清算など 結構犯罪すれすれの事もやる。 クライアントの詳しい事情は知らされない。 万が一の時に僕を巻き込まないようにとの社長の配慮のようだ。 ま、そんな事はどうでも良...
  • 26-229
    先生×生徒 故郷を離れて働き始めてもう5年になる。 高校を卒業してすぐに就職した会社の年上の同僚や上司は、高卒で入社した俺にも優しく厳しく接してくれて、おかげで楽しく仕事が出来ている。 先生が褒めてくれた手先の器用さを活かせる仕事が出来るだけで頑張れるのだ。 ただ、生きているとどうしても辛いことや悲しいこと、腹立たしいことはあるわけで。 特にこの季節は思い出したくないことも、思い出す。 そんな時、卒業アルバムを開いてみる。 卒業アルバム本体の写真は見ない。そこに見たい写真はない。 最後のページと裏表紙の間に挟んだ写真、それは、先生と俺が2人で撮った唯一の写真だ。 俺はまだ学生で、考えも甘くて、世間体なんてどうでも良くて。 でも先生はそうにもいかなくて。 卒業式のあとでこっそりと、セルフタイマーで撮ったツーショットの写真。 これを見るだけ...
  • 13-229
    今日から夏休み 「先輩、今日から夏休みですねっ!」 アイスを買いにスーパーに行ったら大好きな先輩を見つけて、駆け寄って抱きつく。 返ってきたのは、不機嫌そうな顔。 「…そうだな。もっとも俺には今日しか夏休みはない。明日からバイトにセミナーと予定づくめだからな」 「えー!!せっかくの夏休み、先輩と夏祭り行ったりしたかったのに!」 俺がぶーぶーと不満をたれると、先輩はどこかイヤミっぽく笑った。 「…そんなに遊びたいなら、暴走族仲間とヨロシクやればいい」 「はぁ!?俺もうやめましたよ。それに暴走族じゃなくてチームですー」 「でもあいつとはまだ連絡取り合ってるんだろ」 「あいつ?えーあー、うー…まあ、ダチだし」 俺が目線を右往左往させながら言うと、先輩はますます陰険な笑みを深くする。 「とにかく、俺に暇はない」 そう言って出口に向かう先輩。先輩はいじわるだ。俺は目に...
  • 17-229
    人間×人外 「ほんっと。おまえが俺の膝にいるときが一番幸せだなあ。癒されるー…」 俺の手に触るな。今は夏だから暑いんだ。おまえは体温が高すぎるんだから。 「腹もぷにぷに。最高。」 おまえが餌やりすぎなんだよ。目分量でやるな馬鹿が。 一口でも残すと見せる心配そうな顔見たくないんだよ。 「あー大好き。愛してる。」 この前来てた女がいるだろうが。あの香水くさい女が。 あいつ、オマエが居ない間は俺にオマエの愚痴を言うんだぞ。 知らないだろう。おまえセックス下手らしいな。 「やっぱりさ。女なんて俺、無理だった。いいや、おまえがいれば。」 嘘吐け馬鹿が。俺は猫だしオスだぞ。 人間ならまだしも、俺は何も出来ないんだから。 おまえの問いかけに言葉も返せないんだぞ。 さっさと恋人作って俺に暇をよこせ。 四六時中抱かれたり触られた...
  • 23-229
    自転車通学の君 時刻は午前6時50分。朝陽に水面がゆらりきらめく河原道。 ランニングシューズのひもをきゅっと締めて、屈めた膝をぐっと伸ばす。 光を背負ってやってくるあの人に向かって、走り出した。 「おはようございます!今日もいい朝ですね!」 「おまえのおかげで俺は今日もいやな朝だ」 こちらには目もくれず、機械的にペダルを漕ぐその横顔を、見逃してしまわないように必死で走る。 体力をつけようと始めた毎朝の日課も今日でもう3カ月。あなたを初めて見つけてからは1カ月。名前も知らない、年も知らないあなた。 唯一わかっているのは、その制服が県内有数の進学校のものであること。その高校は、ここから電車で1時間かかる先にあるというのに、あなたは毎朝1分と遅れることなく自転車に乗ってこの道を行く。 頭がいいのに運動も怠らないなんて、きっと勤勉な人なのだろう。部活もなにかやっているのか...
  • 14-229
    小動物系ヘタレ受け 「ったく……何で俺まで来なきゃ無いんだよ」 ぶつぶつと文句を言うと、背中のシャツがぐいと引っ張られた。 俺のシャツにしっかりと掴まっている幼馴染が、上目遣いで俺を見上げる。 「ご、ごめんてば。だって、怖いし……」 プルプルと震えながら体を縮こまらせるその姿は、まるでハムスターのようで、 俺はうっかり可愛いななどと考えた。 あわててその考えを振り払い、俺はあきれたようにため息をついて見せる。 「夜の学校が怖いとかって。お前何歳だよ。本当に俺と同じ歳? 本当に男か?」 「うう~~……」 「一人で取りに来るのが怖いなら、プリント忘れたりするなよ」 「だって、明日が提出だって忘れてたんだもん……」 「せめて暗くなる前に思い出せ」 更に大きくため息をつくと、相手はすっかりしゅんとして俯いてしまった。 そのまま会話が止まってしまって、少し言い過ぎた...
  • 25-229
    言葉責め 「……っ!」 「ちょっと、何泣いちゃってるんですか。部下にイジメられるのがそんなに悔しいんですか?」 私に覆いかぶさった狭山の指が、胸の突起を弄ぶ。 あられもない声を上げそうになる唇を必死に噛み締めたが、涙が浮かぶのは止められなかった。 「違う、これは――」 なけなしの理性で以って抗弁すると、 「ああ、そうですよね違いますよね。悔しいんじゃなくて気持ちよすぎるんだ。そうでしょう、しゃ・ちょ・う?」 滲む視界の向こうで、狭山は侮蔑もあらわに嗤った。 「まったく、呆れ返りますよ。社長がまさか男にヒンヒン言わされるのが大好きなマゾ野郎だなんて、思ってもみませんでした」 ため息とともに、ツツ、と脇腹をなぞられる。触覚と聴覚への刺激は私の上で混ざり合い、何倍にも膨れ上がって襲いかかる。 「わかってます? 自分が今どんなみっともない格好でいるか。どんな無様...
  • 16-229
    最後の手紙 御国のためとは思へども、明日のことを考へると手の震へがとまらない。 字が乱れてしまふのを許して欲しい。 先刻は本当にすまない事をした。 好いてゐる、などと突然言はれても、君は困るばかりだつたらう。 本当は君に告げるつもりはなかつた。早まつた出撃のため、気が動転してゐた。 君に告げた事はどうか忘れて欲しい。 君の記憶の中には、一人の戦友としての自分がゐて欲しいと願ふ。 勝手な事ばかりを言つてすまない。 君と話したい事はまだ沢山あつた。君と行きたい場所も沢山あつた。 君を僕の故郷へ呼び、共に酒を飲み交はしたかつた。 こんなことばかり考へる僕を、君は笑つてくれ。 そして、僕が笑つて征けるやう、どうか祈つてゐて欲しい。 僕も、君の為に祈る。 死して靖国でまた、会はう。 「そろそろ本気だしていいですか?」
  • 20-229
    年越した瞬間に殴られた 俺は結構な嘘つきだ。 どれぐらい嘘つきかといえば、まだまだ愛が残っているというのによりによってクリスマスにひどいやり方で別れ話を切り出すぐらいといえば分かるだろうか? さて何故どうしてそんなことになったかという理由はまあ割愛するとして、結果俺はひとり寂しく年越しかといえばそうでもない。 こんな俺にも十年来の友人がいる。名前を山田。 そいつがお屠蘇なんかをご丁寧に作ったうえに年越し蕎麦もセットでネトゲなんかを決め込みながらだらだらしていた俺の家にやってきたのである。 そしてようヒマそうだなひとりもん同士飲もうぜときたものだ。普段なら拒んでいるがなにせ年末の寂しさよ、と家に上げたのが間違いだった。 時計の針が進むにつれ机に置かれたビンから日本酒の量は減ってゆく。それを苦とも思わずにテレビで紅白なんて見ながら酔うがまま色々話をして、 年越し30分前に...
  • 19-229
    華道家とフラワーアレンジメント講師 「一万円でアレンジメント頼む。全体的にピンクな感じで」 事務所兼教室に現れた着物の男は、なんともアバウトな注文をすると、ドサッとソファーに腰かけた。 「出来上がるまで待ってるんで、早くな」 「デザイン考えて、花仕入れてから取りかかったら、有に一日かかる」 「泊まり込みか。着替えは貸してくれ」 「アホか、自分で生けろ」 華道家が花を生けずに、注文しに来るとは何事だ。バカにしてるのか、冷やかしか。 生徒さんが帰った教室を片付けながら、話だけ聞いてやる。 「お前が作ったのが良いんだよ。誕生日プレゼントなんだ」 嬉しそうに目を細めて笑う。 そんな相手なら、尚更自分でやれよ。 イラッとしたから、顔なんぞ見てやらん。 「メッセージカードにちゃんと書いてくれよ」 「そこにあるから自分で書け」 「お...
  • 12-229
    手のり Take 1 「くく…漸く気付いたか。そう、貴様らは私の掌の上で踊っている だけだったのだ!」 「その姿、まるでお釈迦様に弄ばれる孫悟空の如し!」 「古典冒険小説の一場面が一気に人聞き悪くなった!というかお前の 事だろ!」 「弄ばれた…」 「抽出するなー!」 Take 2 「貴様らは私の掌の上で踊っているだけだったのだ!」 「手乗り金魚~」 「…ぎょ、ぎ○ぴちゃん?」 「あの魚色々疑問に思うことは多かったのだが何が一番気になるって あの色だったんだよなピンクって何だよ魚だしカラーひよこみたいに スプレーで塗れそうも無いしかといって保護色にしても体が真ピンク になる環境って一体どんなもんかと」 「なあ貴様ファンタジーやる気無いだろ?」 Take 3 「私の掌の上で踊っているだけだったのだ!」 「南く○の恋人…か」 「え、いや...
  • 18-229
    うつらうつら たまたまその日は三日三晩会社で寝泊りをして仕事を終わらせた日だった。 上司から家で休め、と昼頃に会社から追い出された自分はフラフラで駅へ向かって電車に乗った 人身事故による遅れかなにかでホームから中々動く様子がない電車の中には日が射し込んでとても心地良く、ただでさえ疲労困ぱいの自分の眠気を誘った。 多分、そのままうつらうつらと眠ってしまったんだと思う 目をうっすら開けたらもう電車は動いていた その上自分は誰かの肩に頭を思いっきりあずけていた (やばっ…) と思った時にすぐ顔をあげれば良かったのに、寝ぼけていたせいかそのままぼーっと自分の足とその隣の人の足を眺めていた。 隣の足は自分より大きい 靴とスラックスが見えて足の間にスーツケースを挟んでいた。 (完全にタイミングを逃してしまった…) 図々しくも寝...
  • 28-229
    強気年下攻め×地味受け 「んじゃ、しましょうね!今日こそしますよ!」 「え、本当に?しなきゃ駄目?」 「はいします。しなきゃ駄目です。じゃ、シャワー使ってくださいね。綺麗にしてください」 「……ひょっとして、この間言ってたみたいに?」 「当たり前です。なんのために資料と道具まで渡したと思ってるんですか。言ったとおり、ちゃんと家で一回ぐらい練習しましたよね?」 「いや……その、いろいろ抵抗があって」 「えー?困るなぁ、じゃ今日入れられないじゃないですか」 「普通はいきなり……おしりはちょっと拒否反応あって普通っていうか」 「でもゲイといえばアナルです、他にないんですから」 「君、やっぱりゲイなの?」 「んー、そういうわけでもなかったんですが、石川さんのこと好きになったからにはそれでもいいかと」 「前向きだなぁ」 「僕、ネガティブなこと...
  • 15-229
    両親とご対面 「はじめまして、赤坂裕です。これ、つまらないものですが、どうぞ」 俺は前日に散々迷いながら選んだ土産の袋を渡した。 お父さんは日本酒が好きだというから手取川の純米吟醸古々酒とフグの 卵巣の糠漬け、お母さんは料理と甘いものが好きだというから煮物に使うと 照りが良くなる俵屋のおこしあめと、浦田の花くるみ。 俺たちの住む金沢近郊の物で揃えてみた。 静岡住まいの仁史のご両親には、珍しいものだろう。(仁史は「土産? 実家に帰るのにそんなものいるか!」というタイプだし) 「まあ、ご丁寧に」 お母さんがにっこり笑って袋を受け取ってくれて、その重さにちょっと 目を見張る。 「あら。こんなに気を使ってくれなくてもいいのよ?お父さん~! お土産いただいたわよ~!」 「お~お~。すまんなあ。まあ、遠慮なく上がりなさい」 居間から顔だけ...
  • 21-219
    精神的欲求不満 なんかむずむずする。 腹減ってんだな。メシ食おうメシ。 腹いっぱい。 でもまだなんか、そうかタバコだ。 食後の一服だ。 あーニコチンが体に染み渡る。 ……足りねぇ。いや、ニコチンじゃなくて。 なんっか足りねぇ。なんだこれなにが足りねぇんだ。 イライライライラ貧乏ゆすりが止まらない。 あーいらいらする! ――ピルルルルルル 「ああ゛っ?!」 『おお、どーしたおまえなにイラついてんの』 「あ、いや」 なんか、いま治まった。 『しばらく連絡できなくてごめんな。いま大丈夫?』「大丈夫じゃねぇ」 大丈夫じゃない。大丈夫しゃないから。 「いますぐ会いにこい」 声だけじゃ、まだ足りねぇから。 ほしいのは憐れみだけ
  • 9-229-1
    たんぽぽ 春になると幼稚園以来の友人がよく持ち出す話題がある。 幼稚園の頃オレがあいつを苛めて困らせた思い出話だ。 当時あいつはタンポポの綿毛を飛ばすのが大好きで、 綿毛になっているのを見つけては吹き飛ばしまくっていた。 あいつがあんまりタンポポに夢中だったから、まわりの子どもや先生も あいつにタンポポの綿毛をあげたりしていた。 でもオレはそういう奴らの差し出すタンポポの綿毛を横から ぷうぷうと吹き飛ばしまくった。 オレは結構そういう悪戯をする子どもだったけど、あの時は 徹底的に邪魔をした。 そうするうちにタンポポはどれも葉っぱだけになった。 「あれすごく嫌だったなあ」 「…ほい、どうぞ」 友人に綿毛のタンポポを差し出した。 友人は笑みを浮かべて受け取るとふうっと校庭に向かって吹いた。 友人にタンポポの綿毛を差し出すのが昨年以来の二人の遊びになった。...
  • 21-289
    絵画の中の男に恋をした その日、俺は美術館に来ていた。 アパートの近くに新しい美術館ができたと後輩が自慢気に話しており、バイトの休みを利用してなんとなく足を運んでみた。 平日の午後という時間帯のせいか、館内に客は俺だけだ。 だが、これといって芸術に興味があるわけではなく、単なる好奇心で足を運んでいた俺にとってはどれもただの平面に描かれた線や点にしか見えず、やや歩調を遅くしてそれぞれの作品を流し見ていた。 終盤に差し掛かり、来たことを後悔しはじめた頃、一つの絵の前で歩みを止められた。 その絵は部屋の隅の方にあり、照明も薄暗く、また絵自体も小さく、決して華やかとは言えなかった。 そして俺自身も、なぜこの絵の前で立ち止まったのかはわからなかった。 30cmほどの正方形の中には、1人の男がいた。 何の変哲もない男なのに、どうして目が離せないんだろう。 俺はその...
  • 21-279
    犯した直後の攻めの涙 終ぞ我に帰った目の前の彼は目尻に涙を浮かべて頭を下げている。 おいおい、犯されたのは俺だっていうのに。 何度もやめろと言ったのに制止も聞かずに俺の身体を暴いた大きな背中は小さく丸められ、涙混じりの声でごめんなさいと繰り返す姿は、ついさっきまで俺を組み敷いていた時と全く違って酷く小さく見えた。 毎回のように説教しても「つい、我を忘れて」がっついてしまうというのだから始末に負えない。 ていうか、毎回謝るけれど「次は抑える」なんてことは一度も口にしないのだから自覚はあるんだろうなと大きくため息をついた。 ため息を見ると呆れられたのかと思ったのか更に泣きながら謝罪を繰り返す。 その姿は大好きな飼い主に捨てられそうな犬を彷彿とさせた。 ああもう。 そんなに涙を見せられては、怒る事も嫌う事も出来ないじゃないか。 絵画の中の男に恋をした
  • 21-259
    銭湯に行こうよ 突然何を言い出すかと思ったら、「神田川ごっこ」ですか。 うん知ってる。お前はそういうロマンチックバカだ。 冷静になって考えてみてほしい。 まず俺達は、別の暖簾をくぐる必要もないし、そういうわけだからどっちかがどっちかを 待ちぼうけるようなことにはならない。 赤い手ぬぐいなんてそもそも持ってないし、石鹸じゃなくてボディソープだ。 冬じゃないんだから生乾きの髪が冷えることもない。そもそもこんな短い髪じゃあ冬でも冷えるわけがない。 大体俺はお前に肩を抱かれてどきっとするほど繊細な反応は出来ないし、 お前だって気障ったらしく俺の方を抱けるような男でもないだろう。 あ、そうだ。大事なことを忘れてた。 俺達はあの歌の二人と違って、今が今でとっても幸せで、 これから先、お前と生きていくことに何の不安も感じていないから、 あー…つまり、何が...
  • 21-239
    メントス×コーラ 「馬鹿な真似はよせ!」 僕は叫んだ。 「馬鹿な真似だって?……元々お前が挑発したんだろーが……」 イライラした様子で彼が呟いた。 体をがっちり掴まれて、どこにも逃げられない。 ああ……このままだと、またヤラれてしまう。 もう嫌なんだ、あんな醜態を晒すのは。 「お前だって、満更でもねーんだろ?」 「そんな、違うっ?もう嫌だ!やめてくれよ!」 僕は汗をかきながら逃れようとしたが、びくともしない。 口を開け嫌だと叫び続ける僕を、彼はニヤニヤ笑いながら見下ろしている。 「なぁ……口先より体は正直だよなあ?」 次の瞬間、彼の身体が一気に僕の中を犯した。 「あああああぁぁぁ…………っっ?」 突き抜ける快感に、先端から全てが噴き出す。 僕は空っぽになった身体をヒクつかせ、泡を吹いて倒れた。 誰かの笑う声がした。 メントス×コーラ
  • 21-249
    何が不満か理解できないよ 欲しい物だってプレゼントしたし、我侭だって全部きいてやった。 なのに目の前の可愛い人は満足できないで居る。 「一体、何が不満か理解できないよ」 「どうして分かんないのかがおれには理解できないよ」 そういってそっぽを向く横顔も幼くて、かわいい。 「どうして分かんないのかな」 おれだって薄々気付いているんだ。 何が不満か、お前が本当は何を欲しがっているかなんて。 だけどそれだけはおれにはあげられない。 おれなんかがあげちゃいけないんだ。 「わりぃな、」 おまえが本当に欲しがっている関係だけは。 何が不満か理解できないよ
  • 21-209
    サド攻×サド受 「誘ってるんですか」って見下すと 「アンタがヤリたいだけでしょ」って嗤う。 「この変態が」って罵ると 「犬以下だね」ってなじる。 「どうされたいか言ってみなさい」って命じると 「物欲しそうな顔でよく言うよ」って嘲る。 そうして、あとで つながりあって、 「いい加減、素直になったらどうです」って呻くと 「いいから動けよ、バカ」って喘ぐ。 不仲でしょうか。 いいえ、だれよりも。 精神的欲求不満
  • 19-229-1
    華道家とフラワーアレンジメント講師  花を生けていると背後で人の気配がした。斜め後ろの方からじっとこちらを見てくる気配はまず間違いなく彼だろう。いつもの紺の着流しを着て、腕組みをして。妙に熱心に観察してるはずだ。  いつものことだ。邪魔をしないようにとの気遣いだろう声をかけられたことはない。気になったのは、この家に住み始めた頃のこと。今はごく当然のこととして受け止めている。彼いわく、西洋の文化の良いところも学んで取り入れようと思うとか何とか。そのくせ、派手すぎるとばかり言っている。外国の文化にわびさびを求められても。 (ん……?)  背後の、どこか落ち着かないようなそわそわした気配に気づいて、そっと苦笑する。横目に時計を見て、もうこんな時間だったかと少し驚く。 (まあ、もう終わりますし)  もう少しだけ待ってもらうことにして、終わらせる。 (……よし) 「用事があるな...
  • 18-229-1
    うつらうつら 隣の席から、とんとん、と俺の軽く肩をたたきながら、 「おい、もうすぐ当てられるぞ。今、出席番号七番のやつが当たったから。」 と小声で囁く、上原の声がした。 「あー、ありがと。」 今の時間を担当している教師は、いつも出席番号順に生徒を当てて答えさせるやつだった。 つまり、俺は出席番号八番で、次に必ず当てられるのだ(後ろのほうの生徒はずるいよなー20番台のやつなんかぜんぜんあたんねーじゃん) ただただ教科書を読み上げるだけの、つまらん上に受験勉強にもならない授業なので、みんな、当てられるとき以外は寝るか、内職している。 俺は前者の居眠り派だ。 いつも真面目な、この授業をクラスで唯一ちゃんと聞いている超優等生上原が隣の席でよかった。 当てられる直前に、ちゃんと起こしてくれる。 その時だけは起きてないと。…あのクソハゲ眼鏡教師は、教科書で生徒の頭をひっぱ...
  • 20-229-1
    年越した瞬間に殴られた 燗はぬるい。 徳利は品の良い小さなもので、間をもたせるには足りない。 差し向かいの義兄にはこの徳利で足りるのだろう。音量をしぼった紅白に見入るでもなく、ただこたつに座っている男は、俺が考えていることなど知るはずもない。 よくおめおめとこの日を迎えられたものだ,俺も。 質の悪い借金をしては全部呑み捨てるような生活。 そのままほって置いてくれれば、今頃は義兄にとっても良いようになってたはずだった。 入り婿が、邪魔な義弟をわざわざ探し出して身ぎれいにさせて連れ帰った、とは大した美談だ。 酒を遠ざけ、目の届く配達仕事なんかさせて、姉に義理立てたのか。 もはや親父も母さんもなく、また姉も去年死んだとなれば、黙って家を独り占めできただろうに。 仕事を覚えなかった俺の代わりに親父の跡を継いだのだから、誰はばかることもないのだ。 「雪だよ、積もるだろう…...
  • 15-229-1
    両親とご対面 マッチを持つ手がぶるぶると震えてうまく煙草に火を点けられないでいると、 助手席から白い手が伸びてきて、俺の代わりに点してくれた。 「あ、ありがとう」 「いいえ」 小野寺は頬を膨らませ、マッチの小さな火を消した。 普段余り見ない幼い仕草に、ほんの少しだけ心が和む。 「明石さん、そこ右です」 「ええっ、マジでぇ!?」 思いっ切りハンドルを切ったら、周りの車に短いクラクションで非難されて、心臓がとび跳ねた。 「次からもうちょっと早めに言って、俺まだ右折苦手だから」 「だって明石さんが一人でニヤついてるから」 ――わざとかよ。 一人じゃ煙草も吸えないほどいっぱいいっぱいなパートナーに、この仕打ちはあんまりだ。 「出た、小野寺くんの意地悪」 「意地悪というより、もともと根性が悪いんです」 「あーもう、親御さんの顔が見てみたいね」 「これから見に...
  • 12.5-229
    踏んでくれたまえ じゃあ冒険家×前人未到の地でひとつ 「やあやあよく来たね君!ささ、早くそんな無粋な機械から降りて私を踏んでくれたまえ!」 「……」 「どうしたんだね?私に人類初の一歩を刻みに来てくれたのではないのかね」 「…なんかお前が誰にも触らせたことないって聞いてきたんだけど。  初めてのわりには、その、フランクすぎないか?」 「ああ、すまない。やっと人が来てくれたものだから嬉しくてね。  正真正銘初物だから是非とも君色に染めてくれ。  …も、もし、君が望むならその手に持っている旗に  突かれている私の写真を、博物館の中で衆人の目に晒してくれても構わんよ」 「初物のくせに意外とすごいこと許すんだな」 「勿論だとも。どれだけこの日を夢見てきたことか…ってどうしたのかね」 「帰る」 「え?」 「その様子じゃ、どうせ人間なら俺じゃなくてもいいんだろ...
  • 21-269-2
    俺様とおぼっちゃま 深窓の、ときたら、普通その後に続くのは「麗しき御令嬢」であるべきだと 誰でも思うだろう。 幼い頃の俺ももちろんその例にもれず、ある夏俺は町外れの大きな屋敷へと 忍び込んだ。誰もが一度はやってみたくなる冒険ごっこだ。 獰猛な魔犬…という設定の、その屋敷で飼われていた愛らしいスピッツをおやつで 従えて、こっそり潜り込んだ、別荘地でも一番上等な家の、一番上等な窓の下。 そこにいるはずのお姫様は、あろうことか、生意気でこまっしゃくれた、 同じ年くらいの餓鬼んちょだった。 あんまり癪に障ったから、つまらなさそうに本を読むそいつを無理やり外に 連れ出して、それから毎日のように、日が暮れるまで野山を引きずりまわしてやった。 そうして遊んだ懐かしい夏休み。 今じゃどこでどうしているんだか、もう会うこともないだろうと思っていた。 そして立派な一...
  • 21-269-1
    俺様とおぼっちゃま 「あーぼっちゃん、待ちくたびれましたよ」 校門の前に黒のリムジンが止まっている。父親の運転手が帽子を扇ぎながら立っていた。 「何で君がいるの?」 「お父様が久しぶりに一緒に食事したいと。乗ってください」 僕の今日の予定は、この後着替えて友達とカラオケに行くつもりだ。 「断ってください」 意味分かんないし、と言う前に彼は僕をはいはいと座席に押し込める。 恥ずかしい。これじゃまるで僕が愚図る子供みたいに見えてしまう。 「せめて校門の前に止めるのやめてくれないかな。皆が見てるよ、みっともない」 「何が? むしろ自慢でしょう。イケメン運転手付きベンツのリムジンに乗れる高校生はそういない」 車は有無を言わさず走り出す。 帰宅中の奴らが狭い路地を滑らかに進むベンツを、目を丸くして見ている。 「あーあつまんねー!」 わざとらしく呻いてみた。少しは申し...
  • 21-239-1
    メントス×コーラ 「なあ、メントスロケットやってみねぇ?」 ずいぶん長いこと飲料コーナーを見つめていると思ったら、南条はそんなことを言い出した。 昼休み、このクラス一馬鹿な男に「頼むこのままじゃ赤点一直線なんだわ何とかしてくれ」と泣き付かれ、 学校帰りに塾へ行く代わりに奴の家で勉強を教えてやることになってしまった。 そして奴が「甘いモノ無かったら勉強できない」と主張するので、二人してコンビニに寄ったところである。 「何だよメントスロケットって」 見るからに「いい悪戯を思いつきました」という顔をしているし、どうせ碌なことではないのだろうと思いながらも、俺は一応聞き返した。 「なんか、コーラにメントスいれて振りまくってから地面に叩きつけたらメチャクチャふっ飛ぶんだって。  これって化学実験じゃね? 勉強にならね? 四宮もやってみたくね?」 やはりというか想像以上にくだ...
  • 21-249-1
    何が不満か理解できないよ わからないんだ。何故君が、そんな顔で首を振るのか。 ずうっと悲しそうな顔をするのか、ぼくには。 「どうして?」 そう訊くと君は後ろめたそうに俯いた。ああ違う、そんな顔をさせたいわけじゃない。 「責めてるわけじゃないよ…」 単純な話で。ぼくは君に笑っていてほしいんだ。それだけの理由でぼくはここにいる。 「何にもいらない。ぼくはただあげるだけ。捧げるだけ」 ぼくは君にできることすべて、してあげたいと思う。愛したいと思う。 愛されたいとは、思わない。 君には日の光のように愛情を受けていてほしい。世界で一番愛されるものであるべきだ。 君は負担に思うことなど何もない。ぼくがしたいだけなんだから。 「君は、それを受け取るだけでいいんだ」 なんなら打ち捨ててくれて構わない。それで君が笑うなら。 愛させてほしい。君が愛するのがぼくでなくても。 ...
  • 1-299
    任侠のおっさん同士 任侠それは男の世界。そして運動部以上に厳しい上下関係と対立の中。 ほのかで、しかし確実な思慕の情を立場上隠しているんだよ… そろそろいい歳で無茶して懲役食らうのもきついが、組のメンツのためなら明日をも知れぬ命。 そんな環境の中。 お互い、チンピラ上がりのころから知ってはいる。 あのころは若かったな、と思い出話をしながら酒を酌み交わす。 こんな時間がずっと続けばいいなと思うのに、ひとたび抗争が始まれば次はいつ会えるかもわからない。 約束もない世界だから。 自分たちはもうそこそこの地位を得て下のものを世話する立場だが。 でも二人でいるときだけは「マサ」「ヤス」なんて若かったころの名前で呼び合える。 こんな日だけは、若い衆を少し遠ざけてのんびり昔話でもしようや… なんつって、どこかストイックでよくないか!! 万能後...
  • 1-219
    森×くまさん  彩り鮮やかににぎわせてくれた実りの季節もとうに終わり、色とりどりの枝葉は褪せて大地に染みる。  ひっそりと息吹を低める枝に雪が積もり始める頃、いつものようにのそりとあいつがやってきた。 「よーす。今年もお世話んなるよ」 「今年もって……てめえな、今年がいつ始まったか知ってるか?」 「ああ。なんか、気づいたら居眠りしてて、そのまんま寝入ったみたいでさ。さっき起きた。 いや、さっきおまえが顔に雪落としてくんなかったら、あのまま死んでたなあ」  これ、必死にかき集めて来たんだぜえー。  大らかに笑う顔に、あきれ返る。凍死直前の顔か、それが。  でかい図体で両手に食料をいっぱい抱え込みながら、きょろきょろと辺りを見回して、  しばらくしてちょうどいい穴を見つけたのか、のそのそと入り込んで膝を抱えこんだ。  そのまま寝入りそうな相手に...
  • 21-529
    身長差  キスをする時に身長差があるとどうもやりにくい。 背伸びするのはなんとなく格好悪いなと思ったので、顎を上げてじっと見つめた。 男は目を細めて笑って、俺の頭を撫でながら身を屈めて顔を近づけてくる。 その顔には、俺のことがかわいくてたまんない、と恥ずかしいくらい大きな字で書かれていた。 でっかい図体を折りたたんで俺にキスをして、唇を離したあとに恥ずかしそうにまた目を細める。 このやろう、と思ったので、俺は男の胸倉を掴んで引き寄せ、また唇を押し付けた。 田舎っこ×都会っこ
  • 21-429
    真の勝者 「いいから行けよ、バカ幸人。」 「え?でも大和!お前怪我が…。」 「そんなのアイツも同じだろ、いいから行けっつの。」 「で、でも、そしたらお前一人n「あ゛~~~!!」 「譲ってやるって言ってんの! てめえ を アイツ に!  俺だって、こんな台詞臭くて恥ずかしいんだよ!  ホント早く行けバカ!」 「……ごめん大和、行ってくる。」 …フー、やっと行ったか。無駄に渋りやがって。 本当に俺を看病すんのかと思って若干焦ったじゃねーか! お見舞い&看病なんて美味しいシチュ、逃したら堪ったもんじゃねえ。 ふふふ、でもこれで俺の「幸人×京矢BLアルバム」が一歩完成に近づくな。 リアルBLの為なら、骨の一本や二本安いもんだぜ。 ああ!ホント腐男子で良かったぁ! 破れ鍋に閉じ蓋
  • 21-129
    どっちからキスした? 「どっちからキスした?」 居酒屋のトイレの個室で男が男につめよる光景はさぞかししょっぱいものだろう。 でも俺は必死だった。 見上げる男は不機嫌そうに眉をしかめている。 いいから答えろよこのやろう。 さきほどこいつはトイレの前で後輩の女の子とキスをしていた。 それを偶然目撃してしまった俺に気づいて女の子は照れたように逃げ去り、残されたこいつを俺はトイレに押し込んだ。 別に報われる恋だなんてハナから思っちゃいない。 友達として一緒にいられるだけでよかったんだ。 でも実際そういうシーン見ちゃったらさ、どうしようもなくなった。 せめてさっきのキスが彼女からなら少しは救われるかもしれないなんて思ってこいつに縋る俺は馬鹿だ。 そんなもの聞いたところでなんの慰めにもなりゃしないのに。 「なあ、どっちだよ。答えろ、」 え、と思っ...
  • 21-929
    女王様攻め×大型番犬受け女王様攻め×大型番犬受け 君は本当に嫌らしい男だな。 僕の前ではまるで犬のように涎を垂らし、こんなにも淫らな格好で欲しがっているのに 彼の前では別人のようじゃないか。 彼の前で君があんな風に振る舞うのはどうしてなのかな? 男としてのちっぽけなプライド? それとも僕のようになりたいのか? どちらにしても滑稽だな。 君には僕の足を舐めるみじめな姿がお似合いだし、 どう頑張っても僕のようにはなれやしないよ。 いくら僕と同じように振舞ったって、君は男に抱かれずにはいられない体なんだから。 大きな体で女みたいな声をあげて男を欲しがる変態なんだから。 彼が君のこんな姿を見たらどう思うかな? そう、さっきから君の痴態を写してるのは 彼に君の本当の姿を見せてやる為だ。 泣くほど嬉しいのか? 最初からこうなる事を期待してた...
  • 21-029
    言葉が通じない 「あーあ、やってもた」 ほんま最悪や。 放課後の個人授業っつう響きはエロうてドキドキするもんやのにな。 教室で待ってんのが野郎やと思うだけで足重いわ。 まあ英語で赤点取ってもたんは自分の勉強不足やからしゃあないけど、 これ以上成績落として今バイト禁止されたらあかんて。 長い事口説いてた彼女、もう少しでモノに出来そうやのに。 はあ、せめて補習受けるんやったらカンナ女史が良かったわ。 こんな日に限って休みなんてほんまついてへん。 委員長って堅物とかクールとか無愛想とかええ噂聞かんし、 明日の追試ら無かったら、オレも絶対近づきたくないタイプや。 あんな堅物を絵に描いたような奴と補習どころか、会話成立するかも怪しいわ。 「はあぁ・・・」 ドアの前に着いてもた。 しゃあないわ、自分から頼んだんやし数時...
  • 21-629
    一人称「俺」、二人称「あんた」 「あんた」に対してはくだけた敬語の受け あれ、こんな時間にどうしたんすか? 俺?見ての通り今帰ってきたところですけど。 酒の匂いがするって、そりゃしますよ。接待で飲んできたんですから。 美人と2人でタクシーに乗り込むのを見た? ああ、いたんですか。声をかけてくれればよかったのに。 誰って、大学の教授ですよ、あの人。 うちで協賛する講演会のために招いたんじゃないっすか。 っていうか接待だって本来は社長のあんたの仕事なんですよ? はいはい、苦手なんですよね、そういうの。 知ってますよ。だから俺が代わりに行ったんじゃないすか。 飲み過ぎたらしいんでホテルまで送って行っただけですよ。 誘惑?されてませんし、されても断ってますよ。 っていうか、あんた俺のこと信用してないんすか? してるけど心配? そりゃね、以前の俺だったらあんな美人...
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