*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「21-729-1」で検索した結果

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  • 21-729-1
    ずっと好きだった幼馴染の結婚式 ※幼馴染みは男の子で 家が隣同士で、親同士も中がよかったため、小中高校、一緒に通う仲だった。 幼馴染みは優しくて、おっとりした質なので、自然と彼の兄貴分のようにふるまうようになり、幼馴染みにも、「頼りにしてる」と言われる程だった。 そんなある時、幼馴染みから、女の子に告白されたと相談される。 何故か必要以上に動揺しながらも、笑って幼馴染みの背中を押すが、何となく心に穴が空いてしまう。 その理由がさっぱり分からないまま、何人かと付き合っては別れてを繰り返した。 大抵は、「何で幼馴染みの話しかしないの?」と問い詰められ、曖昧に答えているうちに振られるのだ。 次第に、なぜか幼馴染みの顔を見れなくなっていき、衝動的に違う土地に引っ越した。 時が流れ、幼馴染みから母親経由で結婚式の招待状が届く。 懐かしい名前に顔を綻ば...
  • 21-729
    ずっと好きだった幼馴染の結婚式 ※幼馴染みは女の子で 小中学校とクラスが一緒で、割と仲も良かった二人。 幼馴染みが好きだと気づいたきっかけが、彼女に彼氏が出来たこと。 嫉妬や悲しさを抑えながら、励ましたり愚痴を聞いたりしているうちに、何も言えないまま時が過ぎる。 忘れようと他の子と付き合っても、幼馴染みが忘れられず、ズルズルと時が流れたある日、彼女から結婚式の招待状が届く。 この際だから彼女のことは忘れようと、けじめをつける為に、式に参加した。 ところが、思いのほか花嫁姿の幼馴染みが綺麗で、今までの事を思い出していくうちに、花嫁の父親よりも号泣してしまった。 その時、誰かからハンカチを差し出され、好意に甘えて、止まらない涙をそれで必死に拭っていった。 涙のついでに、それで鼻をかむと、少しだけ男物の香水が香った。 顔を上げて、ハンカチを...
  • 9-729-1
    お墓参りの帰り さっきから小さな足音がついてくる。 振り返るのがこわい。 逃げるのもこわい。 (大丈夫。きっとばーちゃんが守ってくれるから) 最後にばーちゃんから貰ったお守りをギュッと握りしめて、何度も自分に言い聞かせていた。 今日は三年前に死んだばーちゃんの命日だった。 お墓には花とまんじゅうだけで、お線香の煙も寂しかった。 去年は三回忌で、一昨年は一周忌だった。 父ちゃんも母ちゃんも『今年は特別じゃないからさみしいね』って言ってたのに。 でも、ぼくがいるからね。 ばーちゃんの大好きだったビールと、いい匂いのするお線香を、お年玉の残りで買って来たよ。 ばーちゃんに『また来るね』って言って、お寺から出るときに気付いた。 さっきからずっと、誰かが後を歩いてる。 ぼくが早足になると、足音も速くなる。 ゆっくりにすれば、ゆっくりになる。 おばけ...
  • 6-729-1
    交番勤務の警官×本庁の刑事 「売り切れだぁ?」 ほかのコーヒーはあと20円入れないと買えない。 「あーあ、うまくいかねえな」 「これでうまくいきますよ!」 突然、スーツの腕が俺の脇から伸びて、自販機に20円を投入れた。 振り返ると、背は低いが利発そうな若い男が、俺を見て笑顔をうかべていた。 「とっても機嫌が悪いみたいですね」 なんだこいつ。慣れなれしい。 「何でもないですから」と言い財布を出そうとしたら「あ、いいです、ぼくのおごりです」 こいつ人を馬鹿にしてるのか? 「君、あのね。警察を馬鹿にすると」 「それより早く交番にもどりましょう。聞きたいことがいっぱいあるんです」 な、何だって? 「ぼく、広域指名手配犯某号捜査本部の××です」と名乗った男からは、 さっきの笑顔は消え、ひきしまった表情があらわれていた。 こいつが本庁の? でも...
  • 7-729-1
    死亡フラグからのハッピーエンド 「ああ、随分昔よりも夏は暑くなったなぁ。  といってもあの頃ァミサイルで家が燃えて  夏でなくとも十分に暑かったがな。」 くくっと隣に住む爺さんは歯を見せて皮肉そうに笑った。 爺さんが出してくれたスイカに被りつき サンダルを履いた足をぶらぶらさせた。 「坊主、うまいか。」 蝉の鳴き声が遠く響く。 うん、と頷くと爺さんは目をくしゃっとさせて、 そりゃいい、と笑った。 「お前さんはよく焼けてるな。  野でも山でも駆け回ってんだろ?  俺ァガキんときゃ体が弱くてな、  なまっちょろい体に真っ白な色してたよ。  そのせいで戦争にさえ行けなかった。  ま、そのおかげで今もこうやって生きてんだけどな。」 そういった後この爺さんの憧れの源さんの話が始まった。 何度も聞いたよと訴えても何度でも聞け坊主、 と理不尽に諌められるので黙...
  • 23-729-1
    竜と人間 私が傷だらけの彼を連れ帰ると、集落の誰もが顔をしかめた。 「そんなものを拾ってきて、どうするつもりだ」 「傷を癒して故郷に帰す」 「やめておけ。お前も知っているだろう、残忍で獰猛な一族だ。」 「しかし、このままでは死んでしまう」 「死なせておけばいい」 「それなら私たちの方が余程残忍だ。可哀想に、こんなに弱って……」 「いずれ息を吹き返せば、お前に牙を剥くぞ」 「構わない。見たところまだ子供だろう、小さな牙だ」 「奴らの成長は早い。姿を覚えれば、やがて力をつけて復讐に来る」 「それでも一匹だ。私たちの敵ではない」 「群れで攻めてくることだってある」 「しかし」 「村に災いが訪れた時、お前はその責任を取れるのか」 「……」 私が押し黙ると、彼は首をもたげて不安げな表情を私に向けた。 私と彼の間には言葉がない。 しかし、彼の潤んだ...
  • 15-729-1
    はじめてのおつかい 「『ベルナード通りのメリーナさんにこの手紙を届けてください』…って これはどう見てもラブなレターです本当にありがとうございました」 「中身を見たら依頼は失敗扱いだぞ」 「いやだって表に堂々とハートのシール張っといて実は中身は『決闘を申し 込み致しますで候』とかいう線はないだろう」 「まあその方が冒険者の酒場に張られるのには適した依頼だと思うがな」 「というか荒くれものが集まる酒場に依頼できる根性があるならラブレター 渡す位楽勝だと思うんだよな。…つーかこの依頼主、あの親父にこの依頼を 渡したんだよな」 「個人的にはウェアウルフをこんぼうで撲殺しに行けと言われた方がまだ気が 楽な気がする」 「やべ、俺ちょっとこの依頼主尊敬しちゃいそう…応援したくなってきた…」 「…やる気が出てきたか?」 「おうよ!千リールの道も一歩からっつーし、それに俺...
  • 25-729-1
    寝正月 正月早々病で床についているのは縁起が悪いので『寝正月』と言い換えるとは、先人たちは洒落ている。 だが、言い方を変えも病気は病気だ。 通いの者は三が日は休みを取って家には一人きり、さてとうしたものか。 食欲はないので、水だけで持たないだろうか? ラチもないことを考えていると、縁側のガラス戸の開閉音と小走りの足音が聞こえてくる。 そして私のいる寝間の障子がからり開かれた。 「ああ、やはり寝込んでる」 「入ってくるな。風邪がうつるぞ!」 予想通りの相手に語尾を強めて言うが、彼は聞いていないかのように全く気にせず枕元に腰を下ろした。 「茶会に来ていなかったから、もしやと思ってきてみたら案の定だ」 「・・・・・・」 少しでも接触を避けるためと、こんな情けない姿を見られたくないのとで布団を目元まで引き上げるが、彼は腰を下ろすと手にしていた折り詰めを枕元に置く。 ...
  • 27-729-1
    ヤケ酒 「もうやめなよ、朔ちゃん。彼女にフラれて辛いのは分かるけど、そんなに飲んだらまた戻しちゃうよ」 「うるへー!」 朔はあおるように酒を飲んだ。アルコールに耐性のないその身体は、真っ赤に染まっている。また懲りずに酒を注ぐと、夏希がそれを取り上げた。 「らにすんだよ!ばかぁ!」 手を伸ばしても、背も足も、腕も長い夏希が遠くのところに置けば、届かなくなってしまう。 「もう終わりにしよ。明日も仕事があるんでしょ? そんなにあの子のことが好きだったなら、デートの約束も守れば良かったのに」 「夏希との約束があったらろ」 「彼女との約束を優先すべきだったんだよ。しかもその日、彼女の誕生日だったんでしょ」 「……んだよ、夏希は、おれが彼女を優先してもよかったのか」 朔が据わった目で、憎々しそうに夏希を睨むと、夏希は肩をおとした。 「いいに決まってるでしょ。放置された彼女...
  • 20-729-1
    友人だからこその気持ち 好きだ。 お前のことが、好きだ。 何より大切で、側にいたい。 お前の事を考えると苦しくなって、でも、考えると幸せになって。 「…なんて、言えれば楽になれるだろうになぁ…」 「何が?」 「んー…別に。何でもない」 ふと呟いた言葉を聞かれてしまったらしく、隣で本を読んでいた昌也が顔をあげる。 「何でも無い事あるか 今何を言ったんだよ」 「聞こえてなかったなら気にすんなよ」 「気になる」 「気になるな」 特に目も合わさず、声も荒げる訳でもなく、ただ淡々と言葉を交わす。 アイツだって別に聞きたい訳ではなく、単なる言葉遊び。 好きと言葉を伝えれば、この苦しい思いは楽になれるだろうけれど、その代わり、失う物もあるかもしれない。 もしも、この想いを拒否されれば、今のこの時間すら失う。 それは怖い。 今の友人という...
  • 22-729-1
    嘘つき×嘘つき 「きけ、マコト。いいか?俺がこれから言うことはウソだからな」 強張った表情の幼なじみの口から、そんな言葉が告げられた。 「…なにそれ、駆け引きのつもり?やめなよユイ、似合わない。君、不器用なんだからさ」 僕は読んでいた本で口元を隠した。ひどくいやな顔をしているに違いない、今の僕。 言われたユイは追い詰められたような表情で、ぐっと言葉を飲み込んだ。 昔からだ、すぐに黙り込む。そうして沈黙に耐えられない僕が、言葉で捲くし立てて君を傷つけて。 目の前に17年鎮座まします思いの丈には、二人とも気付かないふりで。 「ねぇ、ユイ。なんて言いたかったの?僕にさ。本音をぐちゃぐちゃにして、何を隠して、何を伝えたかったの?ユイ」 普段の底抜けに明るい姿とは似ても似つかない目の前のユイ。 「何を言いたかったの?僕に」 「………」 忌々しい。 性別、世...
  • 7-729
    死亡フラグからのハッピーエンド 「こんな自分でも踏み台として役に立ちたいと今は切に願う」  彼にどんな過去があるのか俺は知らない。  だが夕暮れ時、降り出した雨を傘も差さずに佇み青空の見えない空を見つめて呟いた722の姿は、 雨に濡れ泣いているようにも見えて――俺はその瞬間、彼のことは一生忘れられないだろうと思った。 「彼は鷹になりたかったんだ」  ベッドの上で懇々と眠るように息を引き取った722の姿を見下ろし、729はふっと表情を柔らかくして 722の穏やかな顔を見つめ言った。鳥という大きな括りでもなければ、優雅可憐な白鳥でもない、 雄々しい空の王者にの何を憧れ何を求めて722がそれに「なりたかった」のか。  ただ治る見込みのない病をその身体に抱き、残り僅かな命を少しでも延ばす治療を拒んで、愛する 729と共に自由に生きようとした――7...
  • 1-729
    博愛主義者×筋金入りの人間嫌い 博愛主義者はみんなが仲良く笑っていられる空間が好きだった。だから人間嫌いにも、この輪に入って欲しかった。 「俺に関わるな」 人間嫌いが言った。 「どうして?みんなで一緒にいる方が、楽しいのに」 「みんな一緒がそんなにいいとは思えんがね」 「一人でいるのは寂しくないの?」 人間嫌いは沈黙していた。これ以上、聞きたくなかった。 「ねえ、一緒に行こうよ。君のことが心配なんだ」 「…偽善だな」 「…え…?」 「お前は…相手が誰でも同じだ。これ以上、俺を怒らせたくなかったら…もう、俺に関わるな」 愕然とする博愛主義者に人間嫌いは背を向けた。 博愛主義者が受けた初めての拒否。そして生まれた初めての感情。それは痛みを伴い、切なく心を縛る。 みんなを見つめる為の目が、一人をとらえて放さない。 立ち去り歩み続けながら、博愛の精神が汚れな...
  • 15-729-2
    はじめてのおつかい 豚肉と、玉ねぎと、福神漬け。 …たったそれだけの買い物でも、その時の俺にとっては大冒険だった。 一緒に遊んでたマサキを無理矢理引っ張ってって、近所の八百屋に行ったら玉ねぎがなくて、 子供の足で歩いて20分かかるスーパーに行ったら、帰りに思いっきり道に迷って、 こけて、袋破れて、玉ねぎ転げて、悔しくて、…すっげえ泣いたのを覚えてる。 マサキが服の裾で玉ねぎ抱えながら、もう片手で俺の手をぎゅっと握ってくれて、 それが痛いけど暖かかった。とにかく心強かった。 でもマサキは口ひんまげて、泣くの必死で堪えてて、 …家の灯りが見えた途端、俺より大泣きしてたのも、覚えてる。 * 「絶対欲しいの何よ」 「えーと、福神漬け、肉、…豚肉安いからそれで。あと玉ねぎ」 「了解。…マジで?」 マサキが挙げた3つは、見事にあの時と被ってた。 「わざとじゃね...
  • 9-729
    お墓参りの帰り 静かに晴れた日曜日、手持ち無沙汰の昼下がりに からんからんと音を立てて小さな古い喫茶店の扉を開ける。 一年ぶりの店内はかわらず穏やかな光と香ばしいコーヒーの匂いに満たされていた。 緑の見える窓際の席にすわりコートを椅子の背にかけるタイミングで 上品な初老の店主が古びたメニューをそっと差し出してくれた。 コーヒーにはさっぱり詳しくないので呪文のような品種名にざっと目を通しただけであきらめ、 いつものようにお願いする。 「ブレンド」 「かしこまりました」 ひといきついて柔らかな光の中頬杖をつく。 煙草を吸おうとして胸ポケットに手を入れたが、ふとあいつの声を思い出してやめた。 ここは薫りを大事にする店だとうるさく言っていたっけ。 (ブレンド、だってよ) (苦いの駄目なくせに) (うるさいな) そもそも一年に一回しか飲まないんだから慣れるわ...
  • 21-799-1
    正義の味方×マッドサイエンティスト 「おい」 「ん? おはよー」 「おはよう。で、おい。今度は俺の腕に何つけた」 「エロゲ見て作った触手君プロトタイプ。俺特製801媚薬も出てきます」 「朝目覚めたら突然正義の味方に改造されてたのは許そう。でもこれは外せ」 「えー」 「正義の味方に触手つけたところで誰が得するんだよ。敵も野郎だらけだし、大きなお友達も喜ばないだろ」 「え? なんで敵にいい目見させてやることになってんの?」 「は?」 「俺に使わせるつもりでつけたんだけど」 「ふっざけんな!!! なんで夜の生活のためにこんな魔改造されなきゃならないんだ!  しかもこれ触っても感覚ないから俺がいい目見れないだろうが!」 「ちょっとだけなら801媚薬舐めてもいいから! お前勃ち悪かったり急に萎えるときがあるし!」  悪の軍団もこれ欲しさにやってきたぐらいの逸...
  • 21-749-1
    デリケートな攻め×デリカシーのない受け  野上はデリカシーのない男だった。そんなところも魅力に思えていたが。 「いいよ、つきあっても」  クシャッと目を細めて笑い、俺を驚喜させたあと、 「彼女できるまで、な。男同士とか『遊び』よ? あくまで」  こともなげに言い放ったような奴だった。  人より小柄なくせに態度がでかくて、言いたいことを我慢したことなんかない、その竹を割ったような性格が可愛いとか思っていた。  念願叶って、暗くした部屋でようやく抱きしめれば、 「え? 何? 抜きたいの? 溜まってるの?」  ──抱きたいんだ、愛し合いたい、と告げれば 「マジで!? 俺を?」  ぎゃはは、とばかりに爆笑して 「ま、いいけどさ」  とゴロリと寝っ転がる。 「やっぱ俺が掘られるほう? 林田より俺のほうが小さいもんな」  と大きく伸びをして、でも、と首をかし...
  • 21-719-1
    慣れていく自分が怖い 「面白いものを撮りに行く」 とかバカなことを言って、お前が日本を発ってから5年。 「友達できた!」 って現地の子供達とお前の、すごい笑顔の写真が届いてから3年。 何の連絡もないってのは、どういう了見だ? 「待ってて欲しい」 出発の日にお前はそう言って俺に土下座したよな? 勝手なこと言うなって怒り狂う俺に、 「絶対に帰ってくるから」 って約束したよな。 遠いどっかの国で紛争が始まってから3年。 お前の携帯が、ずっと圏外になってから3年。 連絡がない腹いせに、お前の置いていった歯ブラシ、トイレ掃除に使って捨ててやった。 帰ってきたら一緒に買いに行こうと思ってたのに、俺の歯ブラシの隣は今も空いたまま。 ベッドももう右半分空けずに、ど真ん中に寝てるからな。 帰ってきたら、俺に蹴落とされるのは覚悟しとけよ。 ...
  • 19-729
    ゲームに夢中で話を聞いてくれません 「なあ」 「はいはい」 「聞いてんの」 「聞いてるよーん?」 「嘘つけ」 「ほーんとほんと」 「こないだのテスト」 「あー」 「お前やばかったよな」 「うん」 「だから俺が今日来たんだよな」 「あー…ちょっくそっ」 「なんでゲームしてんの」 「始めちゃったもんはしょうがないっしょ…」 「あと10分」 「あいよ」 これ以降はもう、返答がない。 この集中力を勉強に使えば、あんな点数取らずに済むのにな。 「なあ」 「…」 「昨日のサッカーすごかったな」 「…」 「お前女子アナで誰がいい?」 「…」 「…好きな人とかいんの」 バカらしい。 高校生に、こんなにドキドキして、聞いてないって保険かけて、やっと出た言葉がこれかよ。 「はい、終わったよ。だいたい10分でしょ?」 ...
  • 3-729
    光源氏計画 深夜零時を回った頃、俺はやっと帰宅する。 玄関の開く音を聞いて、タタタと寄ってくるまだ幼い体。 俺がどこで何をしてたかなんて絶対に聞けない、ただ従順な犬みたいな奴。 俺の愛したあの人は天国から見ているのだろうか?哀れな俺と、こいつを。 つやのある漆黒の髪にすっと通った鼻筋。そして俺を呼ぶ声。 こいつは俺の愛した貴方に、目も鼻も口も髪も声も...全てそっくりなんです。 あの頃幼すぎた俺は貴方を手に入れる事ができなかった。 でも今は.... 「ぅ....ん、ぁ...」 「もっと腰を使って...そういい子だな」 俺の腹の上で息を荒げてよがる淫猥な少年の姿を見て、俺は貴方を思い出す。 今は目も大きく手足は細い、子供特有のそれだが後数年すればもっと貴方に似るだろう。 「あ、ぁ、もう....」 限界も間近なのか整った顔を涙や涎でぐしょぐしょに...
  • 8-729
    「チラシの裏にでも書いてろ」 明け方、屋根を打つ雨の音に目が覚める。 肌寒さを感じて隣にあるはずのぬくもりを求め手を伸ばすと、ひんやりとした冷たさが主の不在を示した。 それは同時に俺の頭を、昨日の怒りを蘇らせつつ覚醒させていった。 朝っぱらから不愉快極まりない気分だ。 雨だと言うのにチュンチュンピチュピチュ鳴く小鳥を煩く思い腹が立つ。 雨樋を伝ってポチャポチャ落ちる雨だれさえも俺をイラ付かせた。 二度寝する気にもなれやしない。 舌打ちしつつ寝床を出て水を飲みに台所へ行くと、瞋恚の源たる男がテーブルに突っ伏し寝ていた。 寒そうな肩をざまぁみろと憎々しく横目にしながら側を通り抜けようとすると、テーブル一面に何やら紙切れが散乱していることに気が付いた。 一体何事だと驚きながら見ると、それらは裏面の白いチラシ。 しかも、方眼紙にでも書いたのかと思うほど規則正しく隙間なく...
  • 2-729
    背の高い年下攻×背が低い年上受(ツンデレ気味) 「先輩、ほんとちっこいッスねえ」 「うるせえ! 身長にばっかり栄養吸い取られて㍉も脳に栄養が行き届いてないお前に言われたかねえ」 「良いじゃないスか。先輩。ちっこい方が可愛いよ」 びたり(びんた) 「お前、二度と俺に可愛いとか言うな。次はグーで頬を狙っていく」 「うわわわ、ウソですよ、ウソ。…牛乳、とか。飲んでます?」 「牛乳キライ」 「…じゃ、小魚」 「ネコの食いもんじゃねえか」 「カルシウム取らないからッスよ」 「…お前は、好きなのか? その、牛乳とか魚とか」 「え、いやあ、人並みっすかね。取り立てて好きなわけじゃ…」 「お前は何でタバコも吸うし、よっ…夜…も、俺と一緒で、寝てないだろうし…なのになんででっかいんだよっ!」 「家系、ですかねえ」 「お前んちでっかい...
  • 5-729
    同い年で老け顔×童顔 「はぁ~。俺プチ整形しようかな」 とんでもない事を言い出した親友に、俺は読んでいる本から目を上げた。 何でプチ整形?と問いかけると親友は口を尖らせてこう言った。 「B組の女子で高橋って居るじゃん」 「うん」 「俺昨日告白したんだー」 プチ整形よりも今の発言の方が驚いた。いつの間に… 「それで?」 冷静さを装いながら話を促す。 「そしたらさ、高橋が『大人っぽい人が好きなの』って」 なるほど。 高橋は目の前の親友と同じように小柄で童顔、所謂庇護欲をくすぐるタイプだ。 今までの彼氏は皆、年上か頼りがいのある奴じゃなかったかと記憶している。 それじゃフラれるのは仕方ない、と心で呟きながら俺は親友を見つめた。 すると、こいつの表情がたちまち険しくなる。 「……お前の顔ムカツク」 「はぁ?」 「お前みたいな大人っぽい顔だったら俺だって...
  • 4-729
    こたつでミカン 「……眠い」 「寝るな。風邪引く」 「……」 「……」 「……」 「あ、てめっ、靴下脱ぐなよ!」 「うっせーよ、熱いんだよ」 「やめろって! 狭いんだから足蹴るなよ!」 「うっせ、ばーかばーか」 「あ、てめこのやろ! セクハラするぞちくしょう!」 「な、なに言ってんだお前!」 ~数十分後~ 「……ほんとにしやがったな」 「お前が煽るのが悪い。みかん食うか」 「食う。くれ」 「ん」 日常の一こまということで。 レニングラード攻防戦のような緊迫した状況下にあるカポ、或いはカポ未満のふたり
  • 14-729
    年明けには君と二人で 「蕎麦も伸びきってんなぁ」 「汁が見えませんね」 「こんなの食えるか。しかし、ひと仕事終えたから腹も減ったよな、 コンビニ行ってカップ蕎麦でも買ってくるか?」 「カップラーメンならありますよ」 「バカ、年越しは蕎麦だろうが」 「外も寒いしラーメンでいいですよ、同じ麺類ですしいいじゃないですか」 「お前も屁理屈ばっかりだな」 「応用力があるんですよ、お湯入れますね」 「紅白はどっち買ったんだろうなぁ」 「そうですね、大トリ見てたら急患でしたしね」 「処置してたら年越してたもんな」 「カウントダウンも出来ませんでしたね」 「あー、年越した感じしねぇなぁ」 「だったらもう一度2人で仕切り直しますか?」 「は?」 「2人だけでカウントダウンです。いい考えじゃないですか?」 「ふ、ふたりで?」 「よしやりましょう、すぐやりまし...
  • 15-729
    はじめてのおつかい はじめて、あの方が一人で買い物へ行きたいと仰った。 幼い頃からボディガード無しには外出できない身分であった彼は、気ままに買い物をするなんて経験は全く無かったのだ。 もっともそんなご身分だからこそ、私が歳近いお目付役としてお近づきになれたのだが。 「欲しい物がおありでしたら、こちらで用意致しますが」 「駄目だ、俺は自分で見て買いたいんだ」 「何故私がお供してはいけないのですか?」 「俺はもう子供じゃない。たまには羽根をのばさせろ。」 結局説得はかなわず、その『はじめてのおつかい』は決行された。 当日は秘密裏に街中にSPが配備される厳戒態勢。 気づかれぬように超小型の隠しカメラ、発信機などが彼の服に仕込まれ、街の防犯カメラなどと連携した監視ルームで、私は彼の動向を見守っていた。 彼と長い時間離れるのはどれ程久々だろうか...
  • 17-729
    少しずつ死んでいく 最近、あいつは他の奴と仲が良いようだ。 悪い事じゃない。最近まであいつは俺に気持ち悪いくらいベッタリで、 他に友達くらい作れと散々言ってたのは俺自身だから、それを怒る義理もない。 一緒に帰るという、別に意識もしてなかったいつもの事がなくなって、 今更ながらそれは毎回やってた事で、しかも約束もなしに成立してた事に驚いた。 今日も一人で帰る。 むしろ俺の方が、あいつ以外友達居ない奴みたいじゃないか。 朝も一人。友達は居ない事もないが家が近いのはあいつだけなんで一人だ。 「よう」 席も近いので挨拶をする。あいつはよく知ってる顔で挨拶を返してくる。 まだ大丈夫だ、別に無視されてるわけじゃない。 でもその日の帰りも一緒じゃなかった。 勝手にしやがれバカヤロウ。俺はわざと一人で帰った。 あいつはまたアレと帰っているらしい。 これでも...
  • 22-729
    嘘つき×嘘つき 俺天然パーマなんだけど先週の日曜日の話。 最近俺が恋人と別れたのを知ってか知らずか友達が4人(友達・友達の彼女・彼女の友達・俺)で遊園地行こうと言い出した。 俺はそんなに気が乗らなかったが仕事始まってから友達に全然会ってなかったし、気分転換になるかもと思って遊びに行くことに。 遊園地に着いて遊んでると、友達が別行動にしようと言い出した。 知らない人なので最初は気まずかったけどそのうち気軽に話せるようになり、だんだん楽しいと感じるようになった。 話してるうちにその人とは思ってたより気が合うし付き合ってもいいと思った。いや、正直付き合いたいと思った。 3時くらいになって遊園地が物凄く混んできたので俺は「(はぐれないように)手繋ごっか?」と言った。 相手は男と付き合ったりした事が無いらしく俺がそう言うと何だか恥ずかしそうにしてた。 でもここで2人モジモジし...
  • 20-729
    友人だからこその気持ち 外は暴風雨で、時折ではあるが、雷鳴さえ轟いている。これでは流石の戦闘機も飛ぶことはできまい。 アキヨシはその事実にほっとするでもなく、喜ぶでもなく、ただそれを事実として淡々と受け入れていた。 辞令は下った。明日は無理でも、明後日にはアキヨシは出撃しなくてはならないのだろう。 それを覆すことなどできはしない。十三の春に入隊をしたときから、アキヨシが国のために散ることは 決まっていたのだから。 そのために様々な技術を叩き込まれ、この食糧不足の世においても一日二回の食事を与えられていたような ものなのだ。「飼われていた」という言葉が一番しっくり来るが、それでも飢えるでもなく親父に暴力を 振られるでもない環境は、アキヨシにとっては快適といって差支えがなかった。 アキヨシはコーヒーカップに並々と注がれた黒い液体を啜る。 深い苦味のあ...
  • 27-729
    ヤケ酒 何かあるかもしれない、と思った。 「直也さ、飲みに行こうぜ。ヤケ酒だよ、ヤケ酒。もう飲むしかねーだろ」 同期の達樹は大学時代からの友人だったが、やたらに正義感に溢れているせいで、今も昔も周囲と衝突することが多い。 それでも学生時代はそれが良い方に作用し、雨降って地固まる式でむしろ人気者の部類だった。 けれど――上司との衝突の末に、左遷されそうだと、彼は珍しく弱った顔で呟いて。そしてその直後の、空元気のような笑顔の誘いだった。 いいよ、と僕は言った。 そして、何かあるかもしれない、と思った。 その時、冷蔵庫の中に、趣味で買い求めた上質の日本酒があるのを思い出したのも。 いい店を知っているからと、僕の住むアパートに程近い居酒屋へ連れて行ったのも。 多分、その予感のせいだった。 「美味いなあ、これ。酒が進む」 「でしょ。どれを食べても美味...
  • 25-729
    寝正月 ドッという笑い声が聴こえて目が覚めた。 寝起きには見慣れない、しかし馴染みある天井に、ひとつまばたき。 上体を起こす。なるほど居間である。 首をぐるりと回して天板の上の眼鏡を取る。 昨日、僕はどうやらあのまま寝てしまったらしい。 溜め息と共に炬燵の中で無造作に動かした足がふわついた何かに当たって、息も動きも止まる。 布団をめくり、中に向かって声をかける。 「……教授、あけましておめでとう」 "教授"は気を悪くした素振りもなく、僕の脚にいちど頭を擦り付けた。 「お、起きたかー………ってなにやってんのお前」 「新年のご挨拶だ」 襖を開けて入って来たのは、昨夜何の前触れも無しに押し掛けて来たアホである。あー、と生温い合点の声がしたかと思えば、向かいの布団がばさりと開いた。膝をついて炬燵を覗き込む奴が見える。 「ねこすけー、あけましておめ...
  • 16-729
    また流される 浮気した。すぐバレた。 「怒ってないから」 恋人はいつもの優しい顔をして、話し始めた。けれど伏せた目の中に悲しそうな影が落ちている。 「だた俺は、お前がそんなことするなんて思ってもみなかった。自分のしたこと、もう一回ちゃんと考えてくれ」 そういう弱弱しい表情を見たことがなかったので、胸が痛くなった。 「もうしないよな」 呟くように言われたのに、頷いた。その日の夜にまた、浮気した相手に会った。 もう会うのはよそうと話した。 「嘘とか隠し事して付き合うのは、やっぱりだめだ。よくない」 きっぱり言うと、相手が笑った。 「嘘ついてるじゃないですか」 意外な言葉を返された。唖然としていると、なおも笑いながら言う。 「先輩、嘘つきじゃないですか。引け目で、無理してるじゃないですか」 体が凍った。 完璧な、誰からも好かれる、そんな人の恋人に選ばれて、嬉...
  • 24-729
    ベタだけど (……飽きた…) 見覚えのある爆発シーンを目にしながら、瀬戸はソファに深くもたれた。擦れた合皮が耳元で短く声を上げる。 (わかってるさ悪いのは俺だ。後ろ暗いゲイがマンネリで辟易としてるだなんて、贅沢すぎる悩みだ) 画面を見たまま手元で人差し指を立てる。中指、薬指と立てて五まで数えたところで、片手では足りないことに気付き、もう一度親指を折った。 六年だ。 鈴井と、二人で過ごすようになって六年。 三年目には粗方のイベント事はやりつくしてしまったし、丸四年経った頃には傍にいることが当たり前になっていた。 それからは、焼き直しのような日々。いわゆるベタな恋人同士。 これが居心地なのだと、信頼できるパートナーという関係なのだと、そう思っていた。 思い込ませていた。自分に。 (鈴井は悪くない、安定してるだけだ、日曜の十時からレンタルのDVD…...
  • 13-729
    もらったリングを返す 「これ返す」 「えぇっ!?なんで!?」 「俺はお前みたいにプロレスオタでもキ○肉マンオタでもないんだよ。  だからこんなジオラマとか貰っても置き場に困るわけ」 「ええぇ~~。これすっごくいい物なんだよ?  ほら、ロープだってきちんと伸縮するし、ゴングや実況席も付いてるんだから!  このリングと可動式フィギュアさえあれば  どんな試合だって再現可能なのに……」 「再現できなくていい」 「好きだって言ってたロビンマ○クとウォ○ズマンのフィギュアも  一緒にあげたら、喜んでくれたじゃん……」 「まぁ、最初見たときはすごいと思ったよ、こんなデカいリング。  でも冷静に考えたらかなり邪魔なの。うざいの。  フィギュアはテレビの上にでも置けばいいけど、これは真剣に置くところがない。  というわけで持って帰ってくれ」...
  • 18-729
    「メガネを外すとイケメン」の法則 眼鏡を外した彼は、いつもならレンズの向こうにある瞳を細め、眉間に皺を寄せながら俺を見た。 「やっぱり眼鏡がないとよく見えない」 ふうとため息を零し、目を伏せて笑う。 俺を射抜いた瞳は俺ではなく床を見ている。 それに少しだけムッとするが、顔に出さない様にしながらこっそり観察を続ける。 普段なら分からない睫毛の長さだとか、綺麗な瞳の色だとかが白日の元に晒されているのは、何だか見てはいけないものを見てしまったような気分にさせた。 「アンタやっぱり眼鏡じゃなくてコンタクトにすればいいのに」 呟いた俺の言葉に、彼は目を閉じて苦く笑った。 ああ、これは地雷だったのかもしれない、と後悔したが、言ってしまった言葉は取り消せない。 「私はコンタクトが苦手なんだ。何より、眼鏡を付けていないと不安で仕方ない」 閉じた目が開かれて、俺ではない何処かを...
  • 1-779-1
    卵とさいばしとフライパンの関係について 今日はぽかぽか いい天気になりそうです。 さぁ お弁当の卵焼きを作りましょう。 鈍器で強姦された卵さんをなぐさめるのは もっぱら菜箸さんの役目です。 だけど 血やボロボロになった肌が嫌いな 菜箸さんは ときどき卵さんを責めます。 言われてばかりで 何も言い返せない卵さん。 そんな時 「まぁイイじゃないの」と微笑んで 二人をなだめるのが 2人よりも年上のフライパンさんです。 サラダ油でお洒落をして フライパンさんに暖めてもらう卵さんを 菜箸さんはカッコよく 更にカッコよくします。 そうこうしている内に 現れたのは 四角くていい匂いのする美男子。 傷ついた卵さんからは 想像も出来ない姿になりました。 卵焼きの完成です。 鬼畜になりきれない受けにメロメロヘタレ攻め×計算小悪魔
  • 1-709-1
    担当×作家 「喋りすぎです。台詞で説明するのは下の下といつも言ってるじゃないですか」 「君には分からない。 きちんと論理的に説明しないと、読者は正確に私の作品を読まない。  メッセージがあって書いているんだ。 いつも言っている。君ならわかるだろう」 「だからそのメッセージは行間に書けと言っているんです」 「私の行間を正確に読める読者が今までにいたか!いつも裏切られるんだ!私は繊細なんだぞ、わかってるだろう!」 「はいはい先生。でもね、後世の研究者たちは、あなたの無意識を暴いて楽しむんですよ?  あなたのメッセージなど読者の誰も気にしない。おもしろいか、雰囲気があるか。自分と似ているか。  そういうもんでしょう?いつも言っていることです!」 「無意識だと?私の作品の中に意識的でない言葉があるか!  助詞のひとつひとつ、句読点の妙! 全てに私の意志が、血が通っているん...
  • 1-719-1
    夏ミケ×冬ミケ 「ちょっと君、寄らないでくれなよ。汗臭いじゃないか。汚いなあ」 「オマエが寒そうだから暖めてやろうと思ってたんだよ」 「大きなお世話だ。ホッカイロも持ってるし野外ストーブも持ち込んである。  いくら薄着で来ても暑さに勝てない君とは違うんだ。おかげで会場は快適だよ」 「おい、そういうのは負け犬の遠吠えっていうんだぞ?  結局のところ俺の方が入場者数多いんだからな。日数も多いし」 「し、仕方が無いじゃないか!年末だから皆忙しいんだよ!  最近じゃm-1グランプリなんてのまで近くでやるし…そもそも君が夏にやるから僕が冬になったんじゃないか!」 「オイオイ逆ギレかよ……しかも泣いてるし。ま、そういうとこが可愛いんだけどな」 「ちょ、なんでそうな……やめっ…は、半ソデの腕が張り付いて気持ち悪い……っ!」 「オマエの胸が汗ばんでるから張り付くんだよ。寒いから...
  • 21-749-2
    デリケートな攻め×デリカシーのない受け デリカシーがない、と突き付けられたのは俺が部屋にこっそり隠していた薬だった。 今の俺には必要不可欠なもの。チューっと注入することもサッと塗ることもできる万能なアレ。 「痔なの?」 デリカシーがないと言った口が躊躇いもなく問う。 デリカシーって何だっけ。 俺が部屋にこっそり隠していたにも関わらず、痔に~は♪のCMでお馴染みのあの薬を発見したのはまあいい。 仕方のない事故だと考えよう。たとえ意図的に探さないと見つからない場所に隠していたはずだとしても、だ。 問題なのはその後の言動。 何故、それを見なかったことにしてくれなかった。 「デリカシーがないのはどっちだ!俺の恥部に簡単に触れやがって!」 「ハァ!?いっつも恥部触ってんのはお前だろ!触るどころか指もナニも突っ込んでんのはお前だっつうのに、 何で痔になっ...
  • 21-719-2
    慣れていく自分が怖い シラフでも酔ってても欲情しててもとにかく祥吾さんは俺の体に触りたがる。 伸ばされた細い指先が俺の顎を。 「伸びたねえ、髭。」 手のひらで、肩を。 「お前、分厚いよこれ、どうすんの?格闘家にでもなんの?」 腕が体ごと俺を引き寄せて。 「お前可愛いねえ、ちっさいねえ。でもなんかすごいでかくなった?」 ……どっちだよ、と。 いくら俺が髭を伸ばそうが筋肉つけようが、祥吾さんにとって俺は可愛い存在らしい。 どんなに仏頂面して払いのけてみても、というか逆にそうすると祥吾さんは何だよお前つれないなあとか何とか言って余計に手を伸ばしてくるのだった。 俺は自分のテリトリーに人が入るのも、俺自身に触れてくるのもあまり好きではないから正直な所初めはかなり閉口したんだこの人には。 祥吾さんは、するりと人の懐に入ろうとする...
  • 11-429-1
    悪の組織の幹部×同組織の最下層 「大体いつもさ、作戦が悪いんだよ作戦が」 「はあ…」 「あと一歩って所で秘密兵器が出てくるのなんて分かりきった事だろ?  なに、それとも今回は出てこないとでも思ったわけ?  まさか出てこないといいな~とか希望的観測で作戦を進めたとかじゃないよな?」 「いや、そんなことは、…ないと思うんだが…」 「思うんっだがってなんだよハッキリしろよ!いつも現場で動くのは  俺たちなんだよ俺たち。それわかってんのか?」 「それは、申し訳ないと思っている」 もう小一時間説教を食らっている。その間正座させられっぱなしの私は しびれが足全体に渡ってすでに感覚はなかった。 おそるおそる手を挙げて提案してみる。 「すまない、次は善処したいと思うので、もうそろそろ、その…」 「お・ま・え・が言うなお・ま・え・が!」 ピシピシとプラス...
  • 21-139-1
    ヤンキー君とメガネ君 屋上に来たのは初めてだった。 「げっ風紀??、何で」 多分彼、沢良(さわら)が壁際の死角にでも座り込んでいて、そういう事をしてるだろうと 今まで殆ど接触も無かった僕にすら想像出来る形で、やっぱり彼はそれをしていた。 「未成年の煙草は厳禁+校則違反レベル10因って」 「消す消す消す!ってか、何で品行方正なお前がこんな所いる訳?」 「今のは見なかった事にする・・・今そんな気分じゃないから」 溜息を吐きながら当初の目的だった彼に近づいた。 彼女のあんな告白を聞きさえしなければ、僕はこうして正反対のタイプの彼に会いに来る事なんて無かっただろう。 初めての屋上で感じる風はかなり冷たく、頭を冷やすには丁度良い場所だった。 「ふうん、じゃあまあ美味い空気でも吸っていけよ」 どこが美味い空気なんだか。沢良の周りは咽返るような煙草の匂いで充満している。 ...
  • 21-149-1
     *9×*8 「君はどうしていつも僕に尽くしてくれるんだい?何の得もないのに」 「か、勘違いすんなよな!俺は別にお前の為にしてるんじゃない。単にMなだけだ!」 「でも、初めてだったり、ちょっと不安そうにしてたりするじゃないか」 「プレイの一環だ。ちゃんと女王様キャラの時もある」 「僕の為にいつも踏み台になってくれる君を見るたびに、僕は…」 「やめろ!お前は自分の欲望を晒け出しながら、俺を踏めばいいんだ!」 「君はルールの中でしか自分を解放出来ないんだね…わかったよ」 「ふん、わかればいいんだ。さあ、さっさと踏め。いつものように欲望をぶちまけろ」 「*9×*8」 「なっ…」 「これならいいんだろう?」 「お前…何考えて…」 「今度こそ、君は僕のものだ」 最後の約束
  • 12.5-729
    犬猿の仲 おもいきり睨み付けて彼の腕を引き剥がす。勝手に人のものに手を出すとは良い度胸しているな。 俺のいない間に何があった? 唾液に濡れ光る場所をそっと撫でると、自然と涙があふれる。こんなに汚されて黙っている事あるか。 考えるより先に手が出ていた。その場にうずくまり、どうしても欲しかったんだと泣き叫ぶ彼。 嗚咽しながらさっきたらふく飲んだであろう白いものを、涎と一緒に無様に垂らしやがる。 欲しければ何をしても許されると思うな! 認めたくはないが彼とは好みのタイプがもろに被る。でも俺のほうがずっとずっと前から好きだった。 収まらない気持ちのままもう一発殴ると、遠くから女が駆け寄ってくるのが見えた。 「あーもぅ!まーくん、ブランケットぐしょぐしょ……貸し出しのなのにどーすんの」 「ゆう!たたいちゃだめでしょ!!ごめんなさいねぇ、手が早くて」 大量の買い物袋...
  • 9-229-1
    たんぽぽ 春になると幼稚園以来の友人がよく持ち出す話題がある。 幼稚園の頃オレがあいつを苛めて困らせた思い出話だ。 当時あいつはタンポポの綿毛を飛ばすのが大好きで、 綿毛になっているのを見つけては吹き飛ばしまくっていた。 あいつがあんまりタンポポに夢中だったから、まわりの子どもや先生も あいつにタンポポの綿毛をあげたりしていた。 でもオレはそういう奴らの差し出すタンポポの綿毛を横から ぷうぷうと吹き飛ばしまくった。 オレは結構そういう悪戯をする子どもだったけど、あの時は 徹底的に邪魔をした。 そうするうちにタンポポはどれも葉っぱだけになった。 「あれすごく嫌だったなあ」 「…ほい、どうぞ」 友人に綿毛のタンポポを差し出した。 友人は笑みを浮かべて受け取るとふうっと校庭に向かって吹いた。 友人にタンポポの綿毛を差し出すのが昨年以来の二人の遊びになった。...
  • 9-829-1
    ノンケ親友に片思い 兄さん、お元気ですか。そちらは相変わらず暑いですか。 今日は下宿先に春日が、貸していた本を返しにやってきました。 上は白い袖なしのランニングシャツに、紺色のジーンズを履いて、 足元は健康サンダルと、いつも通りの気安さでした。 春日とオレは本の好みが似ているみたいで、 この時の本も気に入ってくれたようでした。 板塀沿いの木戸をくぐったら裏庭があって、犬小屋があって、 縁側が張り出していて、棹に干した洗濯物が揺れていて、 お世話になってる下宿先のご夫妻は旅行に行ってて、だから今日は 日がな一日オレが留守番をしていて、冷蔵庫を開いて麦茶のグラスに 氷を入れて、しま模様のストロー立てて、 風鈴がちんちろ鳴ってる下で、サンダルの足をぶらぶらさせながら、 春日とオレは本の話をしました。今度映画になるのもあって、 それは見てみたいなあと、春日は言っ...
  • 21-769
    二人きりの同窓会 二拝二拍手一拝。 形式通りのそれを行って次の参拝者に譲ろうとしたらふいに肩を叩かれた。 「やあ、山本」 「え? ……おまえ、武内?」 無遠慮にまじまじと眺めると、声をかけてきた男の顔はおよそ一年前まで寝起きを共にしていた友人のものだった。 驚く俺に、奴は泣き笑いのような笑みを浮かべている。 きっといまは俺も似たような顔をしているはずだ。 そうして俺たちは、どちらともなく抱擁を交わした。 積もる話はたくさんあった。 だが互いに近況を二三言報告しあった後は、ただ静寂だけが続いていた。 「もう、部隊の生き残りは僕らだけになってしまったね」 唐突に沈黙を破ってぽつりと呟かれた言葉は、まだ痛みを伴っていた。 いまでも克明に思い出せる。火薬のはぜる音、血と硝煙の臭い。 「まさか、死んでないのに靖国で会うとは思わなかったけど」 「……そりゃ、仲...
  • 21-759
    自分が受けだと思ってた 兄さんと両想いになってから、少しずつ心の準備はしていた。 そして今日、今夜が俺の覚悟が試される時なんだと、思う。 俺達以外の家族は皆外泊とか、こんないかにもなお膳立て。 けれどいざ家に二人きりとなってしまうと途端に緊張してしまい、夕食を終えた後俺は自室に篭って頭を抱えている。 勿論チャンスを逃したい訳じゃない。俺だって健全な男子であって、色々と、興味は、ある。 兄さんだってそれは同じだろう。 ああ、でもやっぱ怖いなあ。痛かったり、するんだろう、な。 …いやいや違うだろ俺の馬鹿!兄さんなら俺を気遣って大切に、それは大切に抱いてくれる筈だ。 物静かで、正直何を考えてるか分からない時もあるけど優しくて、 誰よりも俺を理解してくれる、あの人のそんなところが俺は好きで堪らないんだから! あと背が高くて格好良くて、そのくせ甘いものとか好きでそれを指摘...
  • 21-779
    無口攻め×お喋り受け  ふと気が付いたら、いつものように愚にもつかないことを喋り続ける沢村さんの肩を力任せにソファーに押し付けて馬乗りになっていた。  どうしてこんなことになったのか、俺はさっきまで何をしていたのだったか。 すぐ側では、倉庫から引っ張りだしてきた古い扇風機が壊れる寸前のような音を立てていて、 節電対策とか言ってもうずっとクーラーは動いていなくて、そうだ俺は数瞬前まで暑さで朦朧としながら扇風機の羽のようによく回る沢村さんの舌を眺めていたのだった。 今はその舌はびっくりしたように止まっていて、いや実際に驚いているのだろう沢村さんの目が見開かれている。 そういえばこの人のこんな顔を見るのは珍しいことだと思う。 もちろん日頃から彼は多分に表情豊かではあるのだけれど、通常はもっと芝居がかっているというか余裕綽々の態度が崩れないので性質が悪い。 だがそんな空...
  • 21-799
    正義の味方×マッドサイエンティスト 「それは本当ですか、博士。」 「ああ、もう今日でちょうど5年になる。そろそろ彼の身体機能は停止するだろう。」 「今回は5年ですか。少し伸びましたね。」 「彼に薬を投与した君は、少し負い目を感じるだろうが、あまり気にするなよ。 彼を選んだのは君では無く、上の指示なんだからな。」 「いえ、大丈夫です。」 「私も優秀な助手を持ったものだな。さて、薬の開発を続けるか。 この世界を守る新たなヒーローを誕生させる為に!」 「・・・はい。」 「・・・痛っ!」 「ご、ゴメン。」 昼間の会話を思い出しながら、ボーっと傷の消毒をしていた為、手元が狂ってしまった。 「・・・今日、傷多いな。敵、強かった?」 「いやー、なんか最近、治癒力がすげー弱くなってきてんだよな。 正義の味方も加齢には勝てないってか」 「加齢って・・・俺たちまだ...
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