*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「21-889-1」で検索した結果

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  • 21-889-1
    主人公×ラスボス ラスボス「よくぞここまでたどり着いた勇者よ」 ラスボス「我が右腕となれば世界の半分をくれてや…」 勇者「お前が欲しい!!!!!!!」 ラスボス「え?」 勇者「ラスボスたんラスボスたん本物のラスボスたんktkrハァハァハァァアあああああ!!!」 勇者「結婚してくれラスボスうぅうううううう!!!」ガバッ ラスボス「ひぃっ!!」 女戦士「バインド!!」ビシィッ 勇者「ハァン!」 女戦士「すまないラスボス。勇者はこちらで抑えておくから続けてくれ。」 ラスボス「いや、ちょっと状況がよくわからないんだが」 女魔法使い「とりあえず~、"断られた"ってことでぇ~、すすめて?」 ラスボス「あ、ああ…」ゴホン「では」 ラスボス「我が誘いを断るとは愚かな!では力づくでかかってくるがよ…」 勇者「 力 づ く...
  • 4-889-1
    880とカメダにGJ!とささやきつつ、踏まれます。 4-889 「ちくしょー!!」 パソコンにかじりついていたKが、いきなり大きな叫び声を上げた。 夕食どきに近所迷惑な奴だ。とりあえず黙らせるか、そう思って振り返る。 だが、先にKの方がパソコンの前を離れて、泣きながら俺に抱きついてきた。 なんなんだ。そう思ってパソコンの画面に目を向けたけれど、 いい加減度が合わなくなってきている眼鏡では、 いくつかのウインドウが開かれているのがおぼろげに見える程度だ。 どうせもう外出しないからと、コンタクトを外してしまったのは失敗だったか。 仕方ない、まずは奴を落ち着かせよう。 「落ち着け。どうした」 「お、俺……ちくしょう……」 「いいから落ち着け。泣くな。そして説明しろ」 今度はどんなくだらない理由だ、と言いたかったがそれは呑み込んで...
  • 4-889-2
    880とカメダにGJ!とささやきつつ、踏まれます。 4-889 書き込み完了!さぁて、次はどんな萌えリクが来るかな?と期待しながら 掲示板を閉じようとマウスを操作した瞬間、背後にとんでもなく冷ややか な風が吹いた。 全身が凍りつくのを感じながら後ろを振り返ると、いや振り返るまでも無 く、俺の顔の横には奴の顔があった。 「『 880とカメダにGJ!とささやきつつ、踏まれます』・・・・・・?」 「や、ややややっ山田!?」 「なにこれ、どういうこと?」 「なんだよ、ビックリすんじゃん。てっきり妖怪かなんかの類かと・・・」 「な、どういうこと?」 耳の近くで喋られるくすぐったい感覚に耐え切れず、俺は山本の顔を押し やった。山本は不満そうに眉を寄せ、睨みつけるように俺を見た。 「人が風呂、入ってる間に・・・」 「え?なに?」 山本が何...
  • 4-889
    880とカメダにGJ!とささやきつつ、踏まれます。 4-889 「カメダ、ホントにグッジョブだよな~うま~」 カメダのかきピーを頬張りながらそう呟く俺の背中に、突然どさ りと何かが降って来た。 「いってぇ!何すんだよ!?」 床にうつぶせている俺の背中に、達哉のケツが乗っかっている。 「お前が掃除しないからだろ。何もしないんだったら座椅子 にでもなってろ。あー疲れた」 俺の幼馴染み・達哉は、異様な程の潔癖性だ。 大雑把でものぐさな俺とは全く正反対なのだが、だからこそ気 が合うのかもしれない。俺のアパートに遊びに来ると、あまり の散らかりように文句を言いつつも毎回掃除して帰って行く。 「またかきピーの袋溜めてる!!」 達哉は俺をにらみつけながら天板の上の大量の空き袋をゴミ 袋に放り込んだ。 ホントこいつ掃除好きなんだな… 俺の背中に腰掛けながらも、...
  • 21-889
    主人公×ラスボス お互い、あと一撃で勝負が決まることを予感していた。 肩で息をし、額から流れる汗と血を乱暴に拭うと、二人は同時に動いた。 一瞬の交錯。 倒れたのは、全世界の民に恐れられ続けてきた魔界の王の方だった。 聖剣と呼ばれるそれが、禍々しい体を突き抜ける。王の体からは黒い霧のようなものが吹き出して、その聖剣へと吸い込まれていった。 世界に平和が訪れた後、青年は目を覚ました。 見慣れない、簡素な山小屋。彼が固いベッドに身を起こすと、すぐ近くの扉が開いた。 「お目覚めか?」 両手にトレイを持って現れたその男こそ、聖剣を手に魔界の王と戦ったその人に違いなかった。 それを理解した瞬間、青年は男を殺そうと跳ね起きた。だが男は、口元に笑みを浮かべるだけだ。 それは、男がすでに青年が無力であることを知っているがゆえのことだった。 「どういう…...
  • 7-889-1
    もうちょっとだったのに ごめん、すみません、面目無い、と 思いつくままの言葉で謝り続ける攻めを、受けは煙草をふかしながら横目で見ている 謝られたって、お人好しにいいよ、気にしないでなんて この状況じゃ口が裂けても言えない 「…自信満々だったくせに」 汗で湿った髪をかきあげて、受けはわざと大きく煙りを吐き出しすと、 「あーもう!」 と唸るように言い、乱暴に煙草をもみ消した 攻めが悪い訳ではないと、分かっているけど この火照ったカラダをどうしてくれよう 「…もうちょっとでイケたのに」 ぶーぶー文句を言いつつ。 最中も最中、めちゃめちゃいい時に気の毒にも情けなく ぎっくり腰を発症させた攻めを病院に連れて行くかと、 受けはタクシーを呼ぶべく携帯を手にした もうちょっとだったのに
  • 6-889-1
    握り返された手 お互いに嫌いだったはず。 相手は違う人だったけど、俺もあんたも長いこと片思いしてた。 その人を見る目や、気持ちが、手に取るようにわかった。 おんなじ、叶わない思いを持て余してた。 お互いの気持ちがわかる分、俺たちは近かった。 自分を見ているようで、あんたの事大嫌いだったんだ。 片思いの相手を諦めなきゃいけない時も、おんなじにやってきた。 気まぐれ、寂しさ、理由なんて何でも良かったんだけど、俺はあんたの手を握ってみた。 まさか、握り返されるなんて思ってもなかった。 いつのまにか近くにいる相手が大事になっちゃった所まで、おんなじなんて。 *8あいしてる
  • 10-889-1
    煙突のある風景 投下させてください。あと長くなってしまいました、すみません。 ______________________________ 僕の住んでいる町には巨大な煙突がある。 町のどこからでも見える、とても大きな煙突だ。 煙突の横には小さな家がちょこんと建っているのだが、空き家のようなので誰が 何のために建てたのかさっぱりわからない。 両親や祖父母にも聞いてみたが知らないと言う。なんとも不思議な話だ。 煙突と、まるで煙突のおまけのように小さな家(廃墟と言ったほうがいいかもしれない)は 子供たちの絶好の遊び場だった。 まわり一面原っぱで民家がなく、雨をしのげる家までついている。 これで秘密基地にならないはずがない。 僕とあいつも毎日ここで遊んだ。道で拾ったエロ本や捨て犬を持ち込んだりしたな。 そしてなんともありがちな話だが、煙突には足場...
  • 16-889-1
    来ないで だめだよ、と言って彼は笑った。 「どうして」 「まだ根を上げるには早すぎるんじゃない?もうちょっと頑張りなよ」 「俺は十分頑張った」 「まだ、まだだよ。君にはまだ、与えられた分が残っているだろう?」 そう軽い口調で俺を窘める目の前のこいつを、少しだけ睨みつける。 俺は今まで、精一杯この世の中で頑張ってきたはずだ。 俺の頑張りを俺の傍で見ていなかった奴に、何が分かる。 「あ、今ちょっと失礼なこと考えたでしょ」 「人の思考を読むな!」 「見てたに決まってるじゃない、そこら辺の草の陰から」 「な、うわ、お前そんな悪趣味な奴だったのか」 「別に、誰も彼もを覗き見してるわけじゃないって」 君だからだよ、 少しだけ目の前の男から身を離した俺との距離を詰めるように、 一歩こちらへと近づいたそいつは、俺の耳元でそう囁いた。 ...
  • 1-889
    クールなインテリメガネ×ちょっとお馬鹿な熱血君 カリカリ、とシャーペンの音だけが響く室内。 「…なぁ」 「…」 「なぁってば!」 耳元で大声を出してやると、やっとあいつは俺の方を向いた。 銀のフレームの奥の瞳に、鬱陶しそうな色が浮かんでいる。 「…何だ。」 「何だじゃねーよ!いっつもいっつも家で勉強ばっかで飽きねーのかよ!」 俺達は一応今現在、男同士だけど恋人関係にある筈だ。 それなのに、お互いの家に行く度に甘い会話をするでもなく、試験勉強だの物理のレポートだの、 と何かと理由を付けてこいつは勉強を始めてしまう。 それなのに 「…飽きない。」 きっぱりはっきりとそう言われては、もう言い返す事もできない。 俺はすっかり脱力して、またペンを動かし始めた男をじっと見つめる事に徹した。 男の俺でもドキッとしてしまう、シャープな輪郭のラインに、通った鼻筋。 切...
  • 7-889-2
    もうちょっとだったのに パチ まるで漫画のような擬音が聞こえそうな勢いで、アイツが綺麗に目を明けた。 「あーあ、もうちょっとだったのに。」 もうすでに起き上がりながら、アイツが俺に聞き返す。 「え、何が?俺何かした?」 「あー、いいから。こっちの話。気にするな。」 そう、今はまだ知らなくてもいい。 俺がお前のことを好きだとか、 寝ているお前にこっそりキスしようとしてたとか、そんなことは。 そのうち、このもうちょっとの距離を埋めてやるから。 素麺×ひやむぎ
  • 9-889
    受が攻を下克上(性的な意味で) 変だ、絶対。 背中には冷たいフローリングの感触がするし、しかも、あいつが俺に馬乗りになってる。 「ちょっと待って…どういうことだ?」 「俺だってやられっぱなしは嫌だ。お前も俺の気持ちを味わえ」 あいつの言葉に、頭の中がぐちゃぐちゃになる。 「え、どういうことだ?」 「こういうことだ」 いきなりのキス。 絶対におかしい。どうして俺がこんな事されなきゃいけないんだ。 どうして俺がこいつなんかに服を脱がされなきゃいけないんだ。 「ちょ…ぁ、待て…ッ」 どうして、俺がこんな声出さなきゃいけないんだ。 「どうですかぁ?下克上されてる気分は?」 黒い笑顔。 「さいあく、だよっ…ぁ、ンっ…」 「最悪?こんな事で最悪なんて言ってられないでしょ。まだこれからだから…」 冷たい笑顔に鳥肌が...
  • 21-389-1
    元正義の味方×現正義の味方 ツウカイダーこと本城隆二は、ヤンナルナー総帥クーゲル・シュライバーに捕えられた。 「ふははは!にっくきツウカイダーめ。お前の命もあとわずか…」 逆さまに吊られた隆二は、屈辱に顔を歪め目を閉じる。 次の瞬間、派手な爆発音と共に秘密基地の壁が吹き飛んだ。 「時空刑事 ゴウカイダー!」 ポーズと台詞を決めたゴウカイダーの後ろに七色の煙が舞う。 「げえっ、ゴウカイダー!!なぜここに…っ!」 シュタイナーは青い顔で後ずさった。 その言葉に、ゴウカイダーは顔の前で人差し指を振る。 「チッチッチ…神が見逃す悪い奴、ゴウカイダーは見逃さない!お主らの真っ黒な悪事は、俺が真っ白に染めてやるぜ!」 3方向からのカメラワークで片足を高く上げ、ジャンプ一発。ゴウカイダーは華麗に着地した。 流石初代、決まったぜ。液晶テレビの向こうにいるちびっこた...
  • 21-839-1
    「ずっと一緒にいようね」なんて もう何年が経ったんだろうなあ、なんて思う。 隣で眠ってるこいつに、初めて会った時はこっち見るのか俯くのか迷っているような目で 割と面倒くさそうによろしくお願いします、なんて。 それが面倒だったんじゃなくて人見知りだったってわかるのに大した時間はかかんなかったけど。 愛しい恋人の寝顔を見ながら一服なんて悪くない気分だ。 充博の寝顔はあどけなくて、それが余計に昔の事を思い出させる。 「お前さあ、すっごい緊張してたよなあ」 本当は緊張してたんです、なんて言ったのは三度目くらいに会ったときだっけ? 俺のがお兄ちゃんだからしっかりしなくちゃ、なんて普段は割と年上に可愛がられる事が多い俺をそう思わせた充博が 俺は可愛くてしょうがなくて、何でもしてやりたくて。 「今でも結構そう思ってんだよー?俺はー」 寝顔を覗き込む。...
  • 21-809-1
    近所のお兄さん×近所の悪ガキ 「なあ、あんたさあ。男の人が好きってマジ?」 背中合わせでの真剣ポケモンバトル中にかけられた一言は、ボタンを間違って押すぐらいの衝撃を僕にもたらした。 「…どういうこと、それ」 「言葉通りの意味。隆クンは昔っから男が好きなヘンタイだから近づくなって、裕二んちのおばさんが言ってたからさ」 ほんとかと思って、というあんまり直裁な彼にちょっと頭を抱えそうになる。 「なあなあ、どうなの。どうなの?」 「ちょっと静かにしてなさい。今僕のターンでしょう」 「ちえー」 しばらく、かちかち、かちかち、とボタンを押す音だけが響く。 そらをとぶを無効化するために違うタイプのポケモンに入れ替えるか、というタイミングになって、僕はすこしだけ目を瞑る。 そうして再び開いた視界は、何も変わることがない。 だから、彼の疑問に応えてやることにした。 「…すきだ...
  • 21-869-1
    二人暮し ただいま、という言葉は酷く馴染みが薄かった。おかえり、という言葉は酷く座りが悪かった。 どこか照れくさくて、続くただいま、の言葉を口にしきれない。そんな時、いつだって目の前で彼はまだ慣れないんだ?と笑ってくれた。 「おかえり、智」 とはいえ、時間が不規則な仕事をしている夏樹が常に智の帰宅する時間に部屋にいる訳ではない。 逆も然りで、だからたまたまタイミングが合う度に智は玄関で彼の靴を見ては少しだけ口端を上げる。無意識の内に。 そしてむずがゆくなる。自分を迎えてくれる人がいる事に、そしてそれが夏樹だという事に。 「あ。……智、また困ってる?」 「いや、驚いただけだって……ただいま」 子供みたいな顔をして楽しそうに近付いてくる夏樹に、智は微笑む。一体この時間を何と呼べばいいのだろう。未だに智にはわからなかった。 幸せ、という一言ではとても足りる気がしな...
  • 1-899-1
    強気メイド×弱気ご主人 「邪魔ですよ!ご主人様!」 仕事に没頭していた私の耳に響くひときわ大きな声。 驚いて振り返るとメイドさんが不機嫌な顔で腕組して立っていた。 「掃除の邪魔です、ご主人様。仕事も結構ですが僕の仕事を邪魔しないで下さい。」 「……あの…雇い主は一応私なんですから…」 弱々しく反論を試みるもじろりと一瞥されて黙り込んでしまう。 いつもこの調子だ。 「いーからさっさと退く!それともなんですか?足腰立たなくされたいんですか?」 高飛車に言い放ちながらひょい、と顔を覗き込まれた。 昨夜のことを思い出して知らず知らず顔が火照る。 「あ、赤くなった。昨日激しかったもんね。」 更に動揺する私の腕を引いて立たせるとそのまま背中を押して部屋の外に放り出す。 掃除終わったらまたエッチしよーね、と無邪気に笑ってそのままド...
  • 6-889
    握り返された手 ベッドに横たわりながら、俺は軽く彼の方を見た。 彼はぐっすりと寝入り、一向に目を覚ます気配がない。 無理もない、と思った。 先程、俺は彼に強い疲労を強いる事をしたばかりなのだから。 抱かれる側の疲労がどれほどのものなのかは、俺にはわからない。 だが、終わった後、気が付けばすぐに寝入ってしまっている彼の様子を見るかぎり、相当な疲労なのだろうと思う。 俺は半身を起こし、彼の、軽く汗の残る額にかかる前髪をかき上げ、唇でそこに触れた。 当然の事だが、やはり起きる気配はない。 彼の、力なく投げ出された手に触れて、軽く握ってみる。 その時、眠っていたはずの彼が俺の手を握り返した。 俺は驚いて彼の方を見たが、彼はいまだに間の抜けた寝顔で眠っている。 ふと、彼の唇が何かを呟いているのに気が付いた。 寝言だろうか。 俺は、彼の寝...
  • 5-889
    誰もがそれを笑ったとしても 「笑えよ」 そう言って、向かい合う俺の幼馴染氏は、ぶすくれた顔でそっぽを向いた。 「そんなに笑って欲しいかよ」 「当たり前だろ! こんなカッコしてまでウケ取ってんだよ! 笑えよ!  終いにゃくすぐり倒すぞ!」 アイツ笑わないよな。気味悪ィ。だの何だのと俺が噂されてるのは知って た。こいつがムキになってそれを否定してたのも。 『ちげーよ! あいつは気ィ許した奴にしか笑わねぇだけだよ!』 って。お前、それフォローになってないのに気付かないのはおかしいぞ。 俺が手酷い振られ方をして以降、誰の前でも笑わないの、随分気にして くれるんだな。ありがとう。でも、よせよ。そんなことされたら、笑うどころか 泣いちまいそうだから。だから、もういいよ。 俺の目の前で、真っ赤な顔をしたセーラー服のお前。 うん。すごく変だ。ていうか誰...
  • 3-889
    年下攻患者×医者 高校二年の夏休み、俺は交通事故が原因で入院した。 事故さえなければ、今頃気の合う仲間達と夏休みを謳歌しているはずだった。 海でナンパしたり、花火大会でナンパしたり、夏祭りでナンパしたり……そんな予定が全てパア。 来年はもう三年だ。大学受験を控えた高校最後の夏休みは気楽に遊んでいられない。 つまり、素晴らしき青春といえる時間を俺は失ったのだ。 「A君、調子はどうかな~?」 担当の先生が決まった時間にやって来る。俺の担当の先生はまだ若いらしい。母親が「担当の先生が若くてかっこよくて嬉しいわ。なんでもまだ30前らしいわよ」と弾んだ声で話していた。息子が入院事故で入院したっていうのに、なんて不謹慎な。 俺が先生と直接会うのは三回目。一回目は全身麻酔が効いていいたためあまり覚えていない。二回目に会ったとき、この先生の口調にげんなりした。まるで子ど...
  • 2-889
    どうしようもないタラシだけど包容力のある兄×誠実な優等生だけど恋愛に不器用な弟 兄「弟ちゃぁん、暗いよ~どしたん?」 弟「顔合わすたびに抱きつくな。いま悩んでんだから」 兄「恋の悩みだったら相談のるよ~? 体位についてとか?」 弟「鯛とかじゃなくて…。俺、告白されちゃったんだ……クラスの女の子から」 兄「うん、うん」 弟「でも、俺、好きとかよく分からないから、付き合うのもよくわからない」 兄「うん」 弟「付き合うってどれくらい好きになったら、付き合うべきなの?   兄ちゃん、いっつもいろんな人と付き合うけど、どれくらい好きってこと?」 兄「いやー頭で考えちゃ駄目っしょ、そういうのは」 弟「でもこういうのはちゃんと考えないと、相手が傷つくから……」 兄「そんなん恐れてたら恋愛なんてできないぞー。ほら、ちょいこっち向け」 弟「そういうも...
  • 8-889
    さよならも出来ない 八つ年上の大好きな隣のお兄ちゃん。 僕がものごごろついたときには、いつも膝に抱っこして絵本を読んでくれたり、 お仕事で忙しいママを待つ間、お風呂に入れて綺麗に身体洗ってくれてご飯食べさせてくれたり、 優しい大好きなお兄ちゃん。 なのになのに、ある日学校から帰ってお兄ちゃんちに行ったら… 鍵開いてるのにお兄ちゃんいなくて、おばちゃんもおじちゃんもいなくて、 玄関に沢山出しっぱなしだった靴は半分くらいになってて、 お部屋の中はいつも通りみたいなのによく見るといつもあったものが無くなってたり、 なんか1日しか経ってないのに何年も経っちゃったみたいな違和感があって。。 お兄ちゃん何処にいるの? なんか不安になって、僕は狂ったようにお兄ちゃんの部屋もベッドの下もお風呂もトイレも押入も探したんだ。 だけど、いない。 何日も何日も待ってたのにお兄ちゃん...
  • 21-899
    先輩わんこ×後輩クーデレ 「カワムラー!」 背後から、のしっ、と覆いかぶさる重さに、俺はため息をついた。 「先輩、邪魔。」 「お前あいかわらずいい匂いだな~」 髪の毛に顔を埋めたまま、ふんふんと鼻をならしている。 俺の抗議に耳を貸す気はないらしい。 しかたなく読書の続きを諦め、読みかけの小説を机に伏せた。 「汗臭いでしょう。今日、ラスト体育の授業でしたから。」 「そんなことないぞ?スゲーいい匂い。」 あー落ち着く、などと言いながら、人の頭に顎をのせて深呼吸を繰り返す。 重い。 「…先輩って、昔飼ってた犬に似てます」 「え?お前犬飼ってたの?」 「ええ、拾ってきた雑種の大型犬を。」 「へぇ。何々?どんなとこが似てる??」 やたら嬉しそうに頭上で跳ねる声。 「すぐテンションがMAXになって周りが見えなくなるところとか」 「うん」 「すぐ俺の頭に顎のっ...
  • 18-889
    先輩に対して信仰に近い尊敬を抱いてる後輩 先輩と俺が出会ったのは、高校二年のときだった。 廊下ですれ違ったその時、先輩はふと振り向いて、どうしてだか俺に声をかけてきてくれたのだ。 その時先輩は髪の毛を丁度黒く戻していた頃で、夕日にその黒髪は酷く優しく映えていたのを覚えている。 すっと切れ長に通った紅茶色の瞳を細めて、確かお前は崎塚っていったっけ、と呼びかけてくれたあの声を俺は今でも忘れていない。 その後の高校時代を、俺は先輩の後ろに付き従うようにして過ごした。 髪もぼさぼさで図体のでかいだけの自分が、いくら許容してくれるからと言って先輩のお傍にいてはならない。 それは分かっていたけれど、全くもって俺の体はそれを許さなかったので、せめて先輩のお役に立てるように努力したつもりだが、果たしてそれはきちんと功を奏していたのか分からない。 先輩が殴られそうならかわって殴られた...
  • 23-889
    葉桜はきらいだ 「身分違いの者が無理矢理寄り添っているようで、嫌いなんですよね。葉桜」 そんな洒落こいたことを呟きながら、八重樫は放課後ここへ来て二本目の煙草を消した。 三本目に手が伸びたので、我にかえってそれを止めた。 「八重樫、いつも言うけどここは禁煙だよ」 「それ以前に生徒の喫煙を嗜めるのが教師の役目では?」 …もっともだ。普段から見慣れていたせいで注意するのを忘れていた。 「そもそも葉が先で花は後でしょうに。順番がおかしい」 それだけ言うと八重樫はふぅ、と煙を吐いた。 髪の隙間まで燻されていく気がする。思わず眉間に力が入る。 「そんなイヤな顔しないで下さいよ、先生」 「生徒会長なんて名ばかりだな、お前みたいなのが一番危ない」 「だから、息抜き」 「お前の息抜きは私の息が詰まるんだよ」 八重樫は窓際の長椅子に腰掛けると、室内履きのサンダルを脱ぎ捨てて...
  • 14-889
    あいつじゃなきゃ駄目なんだ 「いいかげんにしろよ!」 俺は隆の腕を捕まえた。 「あいつはお前のことを都合の良いときに好きなように扱える玩具だと 思ってるんだよ。社長令嬢と結婚して、子供も生まれて、それでも 男遊びはやめられないから、口の堅いお前をキープしてるだけなんだ! こんな関係で、お前はいいのか?お前は幸せなのか?!」 隆は笑った。とても、とても寂しそうに。その笑顔を正視し続けることが できなくなって、俺は隆を抱きしめた。 「俺なら、お前だけを大事にする。贅沢なマンションは与えてやれないけど、 ずっとお前の側にいてやる。俺なら....っ!」 俺の腕の中で、隆はそっと、でも確かな意志を込めた手で俺の胸を押した。 うつむいたまま体を離し、隆は言った。 「ありがとう......でもごめん。あいつのことも、君の真剣な気持ちもわかって るんだ。でも、理屈じゃな...
  • 16-889
    来ないで 君が、光る女性の唇を、かわいいねと褒めたから。 姉の口紅を塗ったのは、ほんの好奇心だったのに。 「―――来ないでッ!」 ドア越しに僕は怒鳴った。 こんな大声は久しく出していなくて、喉がヒリヒリと痛んだ。 「…どうした?」 僕のみっともなく掠れた声を聞いた彼が、心配そうに声を掛けてくる。 「君にだけは…見られたくないんだ…。」 噛み締めたピンクの唇はぬるりとすべって、人工的な味が惨めさと共に喉を流れた。 違うんだ。 僕が本当になりたかったのは。 こんな姿じゃなくて。 ドン!とドアを乱暴に叩く音にびくりとして、一瞬背が浮いた隙に彼はドアを開けた。 「!」 「お前、何――――…ッ?」 僕の顔を見た彼の口許がひきつる。 ああ、だから、君にだけは見られたくなかったのに。 だが彼は踵を返すこともなく、瞬きもでき...
  • 26-889
    義兄弟 姉さんの3回忌に訪れた墓所で、俺と義兄さんは静かに手を合わせる。 親代わりになって歳の離れた俺を世話してくれた姉さん。 それを陰から支え続けてくれた義兄さん。 福祉課の職員と相談に訪れた市民という、色気の欠片もない出会い方をした二人は、バレンタインデーに告白して、ホワイトデーに返事をするという、今時小学生でもやらない幼稚で不器用な恋愛を経て結ばれた。 なのに、たった一年足らずで姉さんは逝ってしまった。 義兄さんは今も変わらず、市民の良き相談相手として働きながら、大学に通う俺の面倒を見てくれている。 まるで困っている人に尽くすことが、人生の生き甲斐みたいな人だ。 「お腹空いただろう? 何か食べて帰ろうか」 「はい」 合掌を解いた義兄さんの、眼鏡の奥にある瞳が少し潤んでいる。 二人に見守られて十代の後半を過ごした俺は、両親がいなくても十分に幸せだった。 本...
  • 25-889
    本当の顔を知らない 財布を拾ってくれた君は、小さな顔には不似合いな大きなマスクをしていたね。 昔からの気性なのか、不信感を抱かない素直で優しい君は、お礼をしたいと言っても全く受け取ろうとしなかった。 …今思えば、ご飯でもなんてなったらマスクを取らなきゃならないもんね。うん。 それから、連絡先を半ば強引に交換して、根気よく友人関係を紡ぎ続けた。 そんなある日、ポツポツとマスクのお話をしてくれた。 10年前に受けた酷いイジメ。大きな火傷を負わされたという。 「貴方には話したかった。初めて信頼できた貴方には。マスクを取った本当の顔を知ったら、きっと貴方は気味悪がるよ?」 僕は黙って君のマスクを取り、ゆっくりと口付けた。火傷の跡をなぞりながら、それはもう、丁寧に。大切に。 キレイだよ、君の本当の顔は。 そう言うと、君はキレイな涙を流して僕を抱...
  • 15-889
    パートナーに望むこと 「こっち持って」 そう言って制服のポケットから差し出されたのは、一本の赤い毛糸。 その、三十センチほどの紐の一端をこちらに向けて、諒はにこりと笑う。 「…なんだこれ」 夕暮れの帰り道、天下の公道。 燃えるように赤い光の中にあってなお浮き立つ毛糸を摘み上げ、俺は不信感たっぷりに言った。 「まぁいいじゃん。ちょっとしたお遊びだと思ってさ」 「なんの遊びだよ」 いいからいいから、とのらりくらりとかわされて、腑に落ちないながらも俺は渋々それを握る。 右の掌に馴れない手触りを確かめていると、反対側の端を諒が左手で握った。 「…なんなんだよ」 「まーまー」 何がまーまーだ、と苦々しく思ったけれど、一度握ってしまった毛糸は何となく離しがたくて、仕方なくそのままで歩き出す。 二人並んで、さりげなく歩幅を合わせて、ただ黙々と...
  • 17-889
    バカップルのシリアス大喧嘩 「何で逃げた」 「逃げただと?貴様、この我輩が逃げたとぬかしたか」 「ああそうだ。お前は逃げたんだ」 「…ふん、いいだろう。では、我輩が何から逃げたと?」 「俺からだ」 「貴様ごときに我輩が逃げる価値があったとでもいうつもりか。 大した自信だな」 「ああ。あの時のお前にとって、俺は唯一絶対の存在だった」 「……」 「あの小さな辺境の村に似合わない程、お前は優秀だったな。 学問、人望、剣の腕…全てにおいて村の奴らより遥か高みに立っていた。 …俺の次にな」 「貴様…」 「あの時のお前にとって俺は絶対だった。最高に苛立つ敵で、どうしても 届かない羨望の先で、そして、共に力を磨きあう友人だった。 一人で見つからないものも二人でなら発見できたし、いつ追い抜かされるかと 気...
  • 24-889
    平凡攻×変人受 僕には変わった友人がいる。 彼は周囲の人が興味を持つことに一切関心を持たないで、周囲の人がどうでもいいと思っていることにのめりこんでいるんだ。 3年前には本と睨めっこしながら僕と自分のマフラーを編んでくれた。 ついでに手袋と耳あてと帽子も作ってくれた。 それは別にいいんだ。温かかったし嬉しかったし。 けれども彼はそれを全部犬で作ったんだ! まあ、犬と言っても皮を剥いだわけじゃないんだけどね。 ブラッシングして溜まった犬の毛を集めていた彼はネットで偶然見つけた犬の毛でセーターを編んだ人を見てコレだ! と思ったらしい。 毛を洗って、梳いて、紡ぎ車をドイツから輸入し――この異様な熱意はなんなんだ!!――毛糸にしてから編んだらしい。 普通に買えばいいじゃん。 マフラーとか手袋とか耳あてとか帽子を合計した金額より紡ぎ車1台のほうが絶対高いよ? ...
  • 22-889
    ギャップ萌え 僕の兄正直いつも仏頂面なんだけど この前兄の部屋が深夜になっても電気が消えない 僕よりも先に風呂に入ってたし、もう寝てると思ったのに… ひょっとしたら電気消え忘れて寝てるのかもしれない たまにこれがあるから困る ノックすると返事がないので開けてみる すると 兄がおばさんの土産で貰ったぬいぐるみを抱えて寝てる あんなに渋々もらってたのに… 顔は眉間にしわが寄ってるのに… そんなに大事そうに両手で包むようにして寝るなよ とりあえず僕はそっと電気を消して部屋から出た 雪の降る町降らない町
  • 9-289-1
    物凄い受けの俺 「ありがとう、変態仮面! 今まで男同士で悩んでいたのが嘘みたいだ」 20歳前と思しき内気そうな青年が満面の笑顔でそう言った。 青年の前に立つのは奇妙な格好の男。 スレンダーな肢体に黒いズボンしかつけておらず、惜し気もなく晒された 胸板は白く滑らかだ。顔を覆う白い仮面が妖しい魅力を醸し出していた。 「悩めるゲイを救うのが我が使命! どんな激しいプレイもいとわない! 体に漲る『物凄い受けパワー』! その名は 変 態 仮 面 !!!」 ヒーローさながらにポーズを決め、男はそう言い放つ。 「何かあればまた呼んでくれ!ではさらばだ!」 男は不敵に微笑むと素早く身を翻し、闇の中に消えた。 「はぁ…疲れたー」 自宅に戻ると、俺は仮面を外してソファへぐったりと座り込んだ。 俺は瀬崎真・21歳。昼間は大学生、夜は素顔を隠し裏稼業に精を出している。 ...
  • 21-389-2
    元正義の味方×現正義の味方 どうも僕の住むこの星は、よその星から侵略されやすいようで、定期的に異性人がやってくる。 空から攻撃される事も、地上で異性人が大暴れしても、僕らにはヒーローがいて必ず守ってくれた。 ピンチになった時に、必ず現れて敵を倒していくヒーロー。 僕たちの住む星は、その一人のヒーローによって守られている。 僕は、そんな強くて無敵でかっこいいヒーローに憧れていた。 でもヒーローは、完璧人間なんかじゃなかった。 「起きてーー!遅刻しますよ!」 剥ぎ取った布団を投げ、耳元でそう叫ぶと彼はようやくもそもそと起き上がった。 髪はボサボサ、よれよれのTシャツをめくり腹をポリポリ掻きながら、 顎外れるんじゃないかというくらいの大あくびをかましているこの彼が、 ひと昔前まで、この星を守るヒーローだったなんて誰が想像するだろう。 「もう!遅刻...
  • 11-589-1
    どうでもよくない 「実は俺、お前の事好きだったんだ」 突然の告白に、頭が真っ白になる。 今の今まで、そんなの全く臭わせなかったくせに。 おまけに、なんでこんなタイミングで言い出すんだ。お前、明日転校すんだろ? HRの最後にクラスの皆にも、涼しい顔で「お世話になりました」って挨拶してたじゃないか。 今だってそれは変わらなくて、こっちは動揺しまくりで背中やら掌やら汗かきまくりだってのに お前はいつものように飄々としてて、無様な俺を面白がって観察してる。 そうだよ、こーいう奴だったよ。 いつだってひとり平然として、周りの心配をよそに無茶も平気でやらかす。 実力と同じくらいプライドも高くて、手持ちのカードは絶対誰にも見せない。 自分と他人の間にきっちりラインを引いて、一歩も立ち入れさせない、それがお前だったのに。 なんで、今になってそんな事を言うんだ。 ...
  • 21-729-1
    ずっと好きだった幼馴染の結婚式 ※幼馴染みは男の子で 家が隣同士で、親同士も中がよかったため、小中高校、一緒に通う仲だった。 幼馴染みは優しくて、おっとりした質なので、自然と彼の兄貴分のようにふるまうようになり、幼馴染みにも、「頼りにしてる」と言われる程だった。 そんなある時、幼馴染みから、女の子に告白されたと相談される。 何故か必要以上に動揺しながらも、笑って幼馴染みの背中を押すが、何となく心に穴が空いてしまう。 その理由がさっぱり分からないまま、何人かと付き合っては別れてを繰り返した。 大抵は、「何で幼馴染みの話しかしないの?」と問い詰められ、曖昧に答えているうちに振られるのだ。 次第に、なぜか幼馴染みの顔を見れなくなっていき、衝動的に違う土地に引っ越した。 時が流れ、幼馴染みから母親経由で結婚式の招待状が届く。 懐かしい名前に顔を綻ば...
  • 12.5-889
    戦士対魔法使い  戦いの終わった証として、そしてもう二度と繰り返さないという誓いとして、二つの国はあるものを取り替えた。  それは旗でも王冠でもなく、同じ頃に生まれた二人の王子だった。その儀式の場で二人は出会った。 「こちらの国では王子がお生まれになる前から、どの家の者が騎士として仕えるのかが決まっている。俺はずっと心待ちにしていた。その方のために命を捧げて生きるのだと、それしか考えずに今までを過ごしてきた」  大人ばかりの場で緊張した顔をややゆるませて、彼は話した。口ではそうと言わないが寂しげな顔をしていた。  少年は、言うことは大人びても話す調子は年相応の印象だった。ノスアは思わず気安くなり笑ってこたえた。 「争いごとは終わったんだ。平和が続けばいつでも会えるさ」  相手の少年もつり込まれたように笑顔を見せた。  宮廷魔術師であるノスアが自分の立場を告げると、少年...
  • 9-089-1
    てぶくろ 眼鏡はすぐ曇るし雨混じりの雪は降るし、だから冬は嫌いだ。 校舎の入り口で眼鏡を拭いていると後ろから背中を叩かれた。 「純、今日一緒帰ろうぜ!」 振り返ると勇太が立っている。 傘が目当てだなと思いながら僕は勇太との間に傘を差して歩き出した。 天気や授業の話をしながら帰り道を歩く。 言わないようにしているけれど、一緒にいると心が温かくなる気がして、やっぱり僕は勇太が好きだなと再認識する。 雨混じりの雪はすっかり雪なった。 冷たい手をさすって暖めていると、勇太が手袋を片方押し付けてきた。 「片方貸してやる。」 「いいよ、借りたら君が寒いだろう。」 手袋を返そうとするが勇太は受け取らない。 仕方なく手袋を右手にはめると、左手を掴まれて勇太のコートのポケットへ押し込まれた。 人のコートの中で手を握られて歩くのはなかなか歩きにくいな、と考えなが...
  • 9-389-1
    ライナス症候群 阿鼻叫喚の地獄もかくや、逃げ惑いながら、絞められる寸前の雄鶏の ように憐れな奇声を放つ友人を居間の隅に追い詰め、容赦なく襟首を 引っつかみ、その着物を剥いで、剥いで、剥いで、剥ぐ、私の様は正に 悪鬼、三途の川の奪衣婆の如くである。光のどけし埃の舞う中、頭を 抑えず尻を抑えて果敢に抵抗する友人の頭を素足で踏みつけ、漆の 色に黒光りする越中褌を掴んでぐいぐいと引きずり下ろし、奪い取った 布を首級の如く、高々と頭上に掲げた。垂れ下がった褌には斑の紋様が 点々と浮かび、得体の知れぬ異臭を澱のように纏うていたが、周囲の 大気を汚染する前に友人の紺木綿の着物で手早く包み、手でこねるよう に玉にすると、長屋の戸口で仁王立ちし、逆光を浴びながら踏ん張って いた大家のおかみに向けて一直線に投げ渡した。どっしりとした 鏡餅型のおかみは着物の玉を片脇に抱えると、何...
  • 9-489-1
    冬のバーゲン 新年の挨拶でもしてやるかと訪れた古道具屋の店先には、 「冬のバーゲン開催中」と毛筆で書かれた半紙が貼られていた。 店に入ると、店主である男が俺に気づいて片手をあげた。 「おう、あけましておめでとう」 部屋着にどてらを羽織って椅子に座り、ストーブにあたっている。店の中に俺以外の客はいない。 「外のあれは何だ?書初めか?」と聞いたところ、 「見たまま。バーゲンを開催中」と、なぜか自慢げに言われてしまった。 なんでも、有名百貨店の初売りバーゲンの様子をテレビで見たそうだ。それで「ぴーんときた」らしい。 「すげーんだよ。福袋買うための行列ができてたりしてさ。お客さんが大勢押し寄せてんの」 「それで自分の店でもバーゲンやろうって?」 「そうそう。気合い入れて福袋も作った」 見ると、店の隅に風呂敷包みがいくつか並べてある。 そのう...
  • 9-989-1
    ふたりだけにしか分からない 市民公園の大きなケヤキ、それをぐるっと取り囲むベンチに座る人影ふたつ。ケヤキを挟んで背中合わせのふたり。 つまらん昔話でもしようか、と、片方が呟く。昔を語るにはあまりに幼すぎる声。 「…昔々、黒い妖(あやかし)がいてな。ここらの村人は皆、夜になると家に閉じこもって震えておった」 背中合わせに座った人影が続ける。 「妖は家畜を襲い、作物を荒らし、井戸の水を濁らせた。  挑みかかった剛の者は皆、翌朝には骨になり転がっていた」 「…訂正しろ。骨なら食えんが、あれはまだ食えた」 「細かいところにこだわるな、お前」 「犬畜生と一緒くたにされるのが不快なだけだ」 明らかに機嫌を損ねる幼い声に思わず苦笑を漏らす、その声も決して年経ているとは言い難い。 「…まぁよい、続けるぞ。  ある日、村に武者修行なんぞという名目で旅をする若造がふらりと現れた...
  • 9-689-1
    人間と人外 その青白い男は、やはり雨の日に現れた。 庭先に浮かぶぼんやりとした陽炎が、徐々に確りと姿形を成していき、 地面に落ちていくはずの雨が、いつの間にか男の肩で撥ねている。 足を地につけているのに泥濘に足跡が残らないのは何故だろう、と ぼんやり考えているうちに、男は軒先の三歩ほど先で立ち止まった。 雨に打たれるその男の肌は異様に白く、瞳の色は水底の泥を思わせる暗い色をしている。 その場に佇んだまま視線を彷徨わせる男に、俺は自分から視線を合わせてやる。 男の目があまり利かないことに気づいたのは、二月ほど前だ。 「そろそろ来る頃だと思っていた」 「決心は、ついたか」 俺の言葉を無視した唐突な問いかけにも、いい加減慣れていた。 雨に打たれながら、男は繰り返す。 「決心は、ついたか」 「いいや」 俺が首を振るのも、半ばお決まりの...
  • 6-189-1
    何度繰り返しても。  誰もいない、いや、正確には俺と先輩しかいない放課後の図書室。 俺は机の上に座って足をぶらつかせながら、本の整理をしている先輩を見つめていた。 「先輩、キスしていいですか?」 そう言って机から降りて先輩に近づく。  先輩は見事なまでに固まり、ギギッと言う効果音が付きそうな動作で俺から顔を背ける。 「キス、していいですよね?」 いつも顔を背けるだけで抵抗しないから、返事は聞かずに抱き寄せる。 短いキスをいくつもすると、強ばっていた体から徐々に力が抜けていくのを感じる。 何度繰り返してもキスに慣れない先輩が可愛くて、俺は抱きしめる腕に力を込めた。 何度繰り返しても。
  • 5-189-1
    敬語眼鏡×アホの子 「俺、お前が殺されたら真っ先に疑われるかも」 「…何てこと言うんですか貴方は」 おとなしくテレビを見ているかと思えば彼は急にそんな脈略のないことを言ってきた。 「えー!だって火サス見てると考えない?自分が殺されたらーとか誰かが殺されたらーとかさ」 どうやら彼の中ではきちんと繋がっているらしいがこちらにはさっぱりだ。 「考えませんよ、そんな物騒なこと」 「マジで?俺なんか月のない夜に背後から襲われたときの為に、ダイイングメッセージまで考えてあるのに。」 この都会のド真ん中に住んでいて月のあるなしが襲われやすさに関係があるとは思えないのだが。 とはいえ、そんなことを言えば拗ねられるのは目に見えている。 だからと言って聞き流しても確実に拗ねる。ということで無難なところ。 「そんなものを考えるより、身...
  • 4-189-1
    刀と鞘の関係 「……また、仕事か?」  何気ないそぶりでそう尋ねる鞘に、刀は弱弱しく微笑んで掠れた声で答える。 「すぐ、戻ってきますから」  自分の腕からいなくなっている間に刀が何をしているのか、鞘だって知らないわけではなかった。  全身雨に降られたように血塗れで戻ってくる刀。それでも、戻るとすぐ自分ににこりと笑いかける刀。 『仕事』の後のその姿を見るたびに、鞘は己の無力さに唇を噛み締めていた。  ――こんなことを、させたくはなかった。  彼の滑らかな肌に似合うのは薄絹で織った着物か何かで、あんな醜いやつらの血液ではない。  たとえどんなに非道な相手だとしても、あの細腕で誰かの命を奪うなど、してほしくはなかった。 「鞘さん、済みません」 「……何が」  振り返りざまにそう頭を下げた刀に、鞘は不審そうに一言呟く。  その問に心苦しそうな声で、刀は口を開いた。...
  • 2-189-1
    追われる者×追う者 深夜の呼び出しに応じてふらりと自宅に現れた彼は、 ソファに組み敷かれ、諦めたように目を閉じた。 その強張った表情が甘くとろけるまでの短い時間、男は決まって考え事をする。 今はまだ到底認められないが、大雑把に括るならライバルであるはずの自分に、 彼はいったいどんな気持ちで抱かれているのか。 プライベートでは驚くほど無口な彼の本心は、掴みどころのない雲のようだった。 知りたい、と思う気持ちを容赦なくねじ伏せる。 そんなことはどうでもいい。知って、どうしようというのか。 彼に出会った瞬間、男はある予感を抱いた。 将来、自分からトップの座を奪い取るのは間違いなくこいつだと、直感的に悟った。 実力は折り紙つきだし、野心もある。努力も惜しまない。 しかし、頂点に上り詰めるにはそれだけでは足りない。 王者の素質とでもいうべき何かを、彼は備...
  • 4-289-1
    高校生にしかみえないけど実は中学生×どうみても中学生だけど本当は高校生 先輩と初めて会ったのは夏祭りだった。金魚掬いが上手な奴がいるなって興味を持って、のぞき込むと、ちょっと可愛い顔立ちで、しゃがみ込んだ浴衣の裾から白くて華奢な足がのぞいてた。 なんか一目惚れって感じで、側に行って一緒にしゃがみ込んで話し掛け、すぐに親しくなって帰り道、神社の裏手の木陰の暗闇で無理矢理キスしてた。あんまり抵抗もなかったから、そのまま押し倒して、それから何度か関係を持ってから、初めて気が付いた。 相手は高校生だったって。向こうも、背の高い俺のことを同じ高校生だと思ってたみたいで、ちょっとショック受けてたみたい。押し倒された相手が中学生だったなんて。 しかも、最初に「何年?」って聞いたら、ただ「2年。」って、それ以上、学校の話しは出なかったから後輩だと思ってたぐらいで。 でも、ホント華奢で可愛...
  • 21-139-1
    ヤンキー君とメガネ君 屋上に来たのは初めてだった。 「げっ風紀??、何で」 多分彼、沢良(さわら)が壁際の死角にでも座り込んでいて、そういう事をしてるだろうと 今まで殆ど接触も無かった僕にすら想像出来る形で、やっぱり彼はそれをしていた。 「未成年の煙草は厳禁+校則違反レベル10因って」 「消す消す消す!ってか、何で品行方正なお前がこんな所いる訳?」 「今のは見なかった事にする・・・今そんな気分じゃないから」 溜息を吐きながら当初の目的だった彼に近づいた。 彼女のあんな告白を聞きさえしなければ、僕はこうして正反対のタイプの彼に会いに来る事なんて無かっただろう。 初めての屋上で感じる風はかなり冷たく、頭を冷やすには丁度良い場所だった。 「ふうん、じゃあまあ美味い空気でも吸っていけよ」 どこが美味い空気なんだか。沢良の周りは咽返るような煙草の匂いで充満している。 ...
  • 21-149-1
     *9×*8 「君はどうしていつも僕に尽くしてくれるんだい?何の得もないのに」 「か、勘違いすんなよな!俺は別にお前の為にしてるんじゃない。単にMなだけだ!」 「でも、初めてだったり、ちょっと不安そうにしてたりするじゃないか」 「プレイの一環だ。ちゃんと女王様キャラの時もある」 「僕の為にいつも踏み台になってくれる君を見るたびに、僕は…」 「やめろ!お前は自分の欲望を晒け出しながら、俺を踏めばいいんだ!」 「君はルールの中でしか自分を解放出来ないんだね…わかったよ」 「ふん、わかればいいんだ。さあ、さっさと踏め。いつものように欲望をぶちまけろ」 「*9×*8」 「なっ…」 「これならいいんだろう?」 「お前…何考えて…」 「今度こそ、君は僕のものだ」 最後の約束
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