*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「23-869」で検索した結果

検索 :
  • 23-869
    恋人ごっこ 「もし俺に彼女ができたらやってみたい事があるんだけど、やって怒られたら怖いからお前実験台になってくれよ」 どうしてそういうのを俺に振るんだよ?俺がお前のことどう思ってるのか知らないからだろ?! 「初めてのデートは海岸線を通る電車に乗って海に行くんだ。道中海を見ながらロマンティックになれそうだし」 そういって一緒に電車に乗ったはいいが、お前テツだから楽しいだろうが、彼女がテツとは限らんだろ? ま、俺はお前の馬鹿話聞けるだけで楽しいけど。 「海に着いたら、二人で浜辺で小さいピンク色の貝を探すんだ、女の子ってこういうのに弱いだろ?」 どこの昭和時代の少女漫画だよそれ!?男二人でザクザク砂掘っても疑似体験にはならんだろうし 女の子に手を汚させるつもりか?ついでにデート服も砂まみれになるぞ、実際俺が砂まみれだ! 「貝を見つけたら、穴をあけてネックレスにしてあげるん...
  • 3-869
    合唱部顧問←部員 そのひとは音楽の先生で合唱部の顧問だったりする。 家業の魚屋まるだしな表現でアレなんだけど、鱈の身みたいにほわっと色白で 男にしてはちょい頼りない。優しい目でたまに眼鏡たまに寝癖で…… いつも洗いざらしのシャツを着てて、そんでよく笑う。 四季のうち三シーズンはその白シャツだけど秋冬の寒いときだけはジャケット もセーターも着る。うん、要は寒がり。多分。 音大で音楽教育を学んで、あれ? ほんとに? とか言ってる間にちゃんと 教師にはなれたらしい。……いや、なってくれて良かったなあとしみじみ思う。 音楽とかそんなに興味なかったけど、この人の初めての授業には驚いた。 「えー……と。じゃあ、今日は何しよっか。とりあえず教科書は要らないです」 癖のない猫毛を揺らして、にこにこ笑いながら。 先生はしばらく音楽室に集まったみんなを見渡して、 「よし...
  • 9-869
    変態攻×健気受ベースな、変態攻が健気受の浮気相手に強姦されるカオス話 コーヒーを飲んでいたはずなのに、気付いたら自分の体はベッドの上だった。 「気づきましたか?少し薬が多かったようですね」 「なん……なんだよこれ!」 両手は縛られ、身につけているものと言えばワイシャツのみ。 足は折り曲げられ、両足の間には先程までコーヒーを一緒に飲んでいた奴がいた。 「ああ、こういう行為がお好きだと聞きましたので」 「なんの事だよ!いいからさっさとコレをほどけ!」 「嫌です。『嫌って言うのはして欲しいって事』でしたよね?」 「テメ……」 「この言葉を僕が何故知っているのか不思議ですか?」 背筋を嫌な汗が伝う。 「彼がね、話してくれたんですよ。君からどんなに酷い事をされたかね」 「嘘だ。アイツが話せる訳ない」 「どうしてそんな事が言えるんです?」 いつも恥ずかしがってばか...
  • 6-869
    40年ぶりの再開 ※人間×エルフ ++++++++++++++ 久しぶりに彼に会った時、僕は何か悪い夢でも見ているのかと思った。 しばらく思考が止まってしまい、考える事が出来るようになってからようやく気が付いた。 彼は、人間だったのだ、と。 知らなかったわけではない。 ずっと一緒にいるうちに、忘れてしまっていただけだった。 僕はおそるおそる彼の手に触れた。 前に僕を力強く抱きしめてくれた手には、もうすでに力などこもってはいない。 僕を魅了した瞳は、もう半ば輝きを失っている。 彼は、呆然とする僕を弱々しい腕で抱きしめてくれた。 彼の腕に抱きとめられた時、僕はなぜか嬉しくなって涙を流してしまった。 あの時の力強さもなければ、抱きしめられるたびに聞かせてもらった甘い言葉を聞かせてもらえたわけでもない。 だけど、彼の腕の...
  • 1-869
    「俺」×「僕」 「ってかさ……どんだけキメててもさ、いざこうなると弱いよな。 オマエ」 「はっ、ぁ! い、嫌だ……こんな、僕、は……」 「あぁん? 僕は、何だ? 俺の下で喘いでるヘンタイですって?」 「ち、違……ぅぁあっ!」 「お前の此処、俺のを咥え込んでるぜ? しかも思いっきり、な」 「……はっ……あ、ぁ…………」 「ん? 何か言ったか?」 「……ぼ、くを……」 「僕を?」 「…………好きに、して、くれ……」 泡立てネット×洗顔ソープ
  • 5-869
    涙と頭痛 朝から頭痛が治まらない。 「大丈夫…?」 そんな事聞かれても大丈夫じゃないに決まってるだろ。 「ごめん…」 ああもう、なんで謝るんだよ。 「…これ」 薬はあまり好きじゃないって知ってるだろ? 「…」 …? 「…っ…う」 …いい年した男が泣くなよな…。 前にコイツの口から聞いた話が痛む頭をかすめる。 何年も前に兄貴を亡くしたって。 『頭が痛い』と言い残していきなり倒れて そのまま会えなくなったって。 だから泣いてるのかよ。 アンタの目の前にいるのは兄貴じゃないのに。 こんなにイラつくのは頭痛のせいだと自分に言い聞かせて 苦手な薬を無理に飲み下した。 絶対優勝するんだ
  • 8-869
    やさしいライオン 「さっさと食えよ」 「で、でも……」 さっきからこの問答の繰り返し。 「腹減ってるんだろ?」 だから俺を追い詰めてるんだろうが。 「で、でもきっと痛いよ」 「そりゃそうだろ」 肯定してやればさらに泣きそうになる。 勘弁してくれ。 「なら俺はもう行くぞ」 「だだだだダメだよ!そんな足じゃすぐ別の奴に捕まるよ!」 「誰のせいだ!」 今自分の足は真っ赤に染まっている。 逃げようとして岩の隙間に挟んでしまった。 情けない。 目の前でお腹を鳴らしながら涙ぐむライオン程ではないが。 「もういいから、はっきりしろ……」 「その怪我じゃ逃げられないから……」 ザラリとした舌が足をなぞった。 「逃げていいから、少しだけ食べさせて。怪我が治るまで」 そう言いながら、傷を労っていく。 どれだけお人好しなのか。 「そんなんじゃ、腹は膨れな...
  • 2-869
    もしもイソテルが大人のおもちゃに入っていたら やぁやぁ、そこ行くちょっと欲求不満げな兄ちゃん。今夜のお相手でも探してんのかい? いいもんあるんだけどちょっと見ていかない? …アレがだ。もしあの子供をダヴィンチにし、サボテンを気の利く針飛ばしに変えるアレが 大人のおもちゃに入っていたらどうなると思う? 例えば受の一人遊びの時に発動したら。 まぁ縦横不規則に動くのはデフォだろう。しかしそれだけじゃインパクトに欠ける。 リズムで強弱が変わるのはどうだろう?…それじゃ物足りない? なら、記憶するのはどうかな?え、何をって?決まってるじゃないか、受の一番喜ぶところだよ。 そしてそれを使ってるところでも使った形跡でもいい、攻に見つかってみよう。 100パーおもちゃ使って遊びますよね、受で。 そこで活きてくるのが記憶したアレ入りおもちゃ。 たとえそれ...
  • 4-869
    カラオケ 「つぅき~ぃの、ひーかーりにぃ、み~ちびかーれぇ」 いい年した男がアニソンを、それもム○ンライ○伝説を熱唱ってどうなんだ。 とてもいい笑顔で歌いきった彼に、僕はため息を押し殺しておざなりに拍手を送った。 好きでもないカラオケに来るのは、彼が誘うからだ。 「だぁって、お前、すっげーいい声してんだもん」と、彼は毎回のように言う。 歌うのはまぁ、嫌いではないが、人前で披露するのは苦手だ。 それでも誘いを断らないのは、お前だからなんだぞ。解ってるのか? 「うおーすっきりしたぁ。次お前な、これ入れたから」 マイクを離さない奴、というのは聞いたことあるが、彼はいつもリモコンを持ちっぱなしだ。 といっても、こちらに手渡されたところで、入れるべき曲など思い浮かびもしないのだが。 そんなわけで、必然的に彼の選んだ曲を歌うことになる。 「またビートノレズか?」 彼は...
  • 7-869
    結婚するって本当ですか 「結婚するって本当ですか」 尋ねる声が震える。 「ああ。榊の令嬢と三ヵ月後に」 いたって普通の声色で彼は答える。こちらの心情など気に掛けはしない。 「…淋しいか?」 ふっと柔らかな顔で問われる。頭にそのゴツゴツした掌を置かれると、もうたまらない。全てを許してしまいたくなる。 「おめでとうございます。兄さん」それだけ告げてその場を去った。 片思いを続けるか、思いを伝えるか。 俺のなかには新たな葛藤が生まれようとしていた。 彼は案外子供っぽい
  • 20-869
    色気のある男 二重だけどパッチリ系じゃない切れ長の目。 髪は黒髪で、艶があるストレート。仕事では地味な紺のスーツ。中肉中背。 手はきれいかな。細長い白い指をしている。 後ろから耳元で話しかけられるとゾクッとする。なんだっけ、赤い彗星みたいな声っていうの? それが同じ会社の同じフロアにいる三年下のあいつだ。ごく普通のどちらかと言えば地味系に入るやつだが、かなりのくせ者である。 夜の会社のトイレは注意しなければならない。たまにいかがわしい声が聞こえてくるからだ。 夜だからって職場でやるなよ。しかも男子トイレ。AVかよ。 俺は隣の個室で用をすませて、電気を消して出て行った。何かぶつかる音がしたが、多少の嫌がらせは許されてもいいだろう。 そんなことがあった翌日も注意しなければならない。大抵あいつが俺を待ち伏せしているからだ。 「鈴木さん、おは...
  • 24-869
    潔癖症だった攻め 「お前がはじめてなんだよ。家の中まで入った同業者って」  家に招かれて、リビングまでの少しの距離を移動している途中で、ぽつりとそうこぼされた。 何でも前野曰く、他人にトイレを使われたりするのが嫌なんだそうだ。 へえ、と相槌を打って、右手で座るよう促された場所に着席する。 「茶いれてくる」 「あ、いいのに別に」 「うっせー遠慮すんな! 緑茶でいい?」 「なんだよそれ、じゃあお願いします」 妙なツンデレらしき反応に苦笑で返すと、前野は満足げな表情を見せてキッチンに消えていく。 思わず部屋を探ってしまいそうな視線をどうにかおさえ込んで、彼の帰還を待った。 「そういや前野さー」 「なにー?」 「お前、潔癖症なの?」 「あー、ちょっとあるかもねー。ぶっちゃけ他人に自分のもの触られるのあんまり好きじゃない」 あらかじめ用意してあったのか...
  • 15-869
    攻めに尽くしまくるワンコ受と受けの態度に若干引き気味な攻め 「せんぱーい、ご飯できましたよ」 「……」 「今日はおじやにしてみました。昨日のお粥からレベルアップ!」 「……」 「それに今日は指切らなかったっス!すげーと思いません?」 「……」 「ほらほらほら!昨日と絆創膏の数が変ってない!ほら!」 「……凄いな」 「へっへー。…あっ大丈夫っスか?起きれます?手ぇ貸します?」 「一人で起きられる」 「そうだ、背中冷えたら駄目ですから、はいこれ。着て下さい!」 「……」 「俺のどてらです。ばーちゃんが昔作ってくれたヤツだから超暖かいです!はい!」 「……」 「おおー。やっぱ俺と違って、先輩は何を着ても男前っスね」 「……なあ」 「あっ、大丈夫っすよ!昨日コインランドリーで洗って乾かしましたから汚れてないです!」 「そう...
  • 22-869
    滅んだ民 今、この瞬間、一つの民が滅んだ その種族は皆、特殊な力を持ち 一時は、他の種族を弾圧して回っていた 国は栄え、華々しい日々が続いたある年、彼らに虐げられた民が革命を起こした 何年にも渡る戦のなか、王者として君臨していた種族は、一人、また一人と数を減らし、気がつけば、繁栄の民は一人の少年を残し、全滅した 最後の一人の面倒を見るのは、彼を保護した研究所の職員で、まだあどけない顔立ちの新入所員だった 日々、白い壁に囲まれ、大勢の人びとに奇異と増悪の目で見られてきた少年は、青年職員の愛情に戸惑い、避ける事しか出来なかった それでも青年が、根気よく世話を続けると、少しずつ彼らの間に会話が生まれた それから年月は過ぎ、少年が青年となったある日、彼はポツりと呟いた 外に出たい その、何気ない一言の願いを叶える為、所員は上司...
  • 14-869
    王様と私 付き合いで出た合コンの王様ゲームでそれは起こった。 「お、俺、王様ー!」 良い感じに場を盛り上げていた幹事の片山が印つきの割り箸を上げた。 「じゃあ、4番が王様にチューな~!4番誰だ~?」 「げっ...」 僕は手の中の割り箸に書かれた番号に、思わず声を上げた。 「あ、小林君なの?」 「きゃーw」 いい加減酔いが回ってる周囲に王様の方に押しやられながら、僕は 内心ドキドキしていた。 実は片山はちょっと好みなんだけど、それを周囲に悟られたらマズイ。 不自然じゃなくほっぺにチューあたりで誤魔化して...とか考えていたら、 突然、肩に手を回され引き寄せられた。 びっくりして顔を上げると、片山の整った顔が目の前に迫り、いきなり 唇をふさがれた。歯を割って舌まで押し込んでくる。 ほんの数瞬、僕を弄った舌は何も無かったように退却し、女子たちの 嬉し...
  • 16-869
    なぜかやたら男にモテる攻め 一人目――魚正のご主人 「よう、おにいちゃん!今日は小イワシが安いよ!刺身にどうだい?」 「いいッスね~。でもすいません、今日はすき焼きなんですよ。また今度寄りますから」 「あちゃ~そうかい、じゃあまた来とくれ。でもすき焼きかい、いいねえ。何かいいことあったのかい?」 「ええまあ、お祝いです。それじゃ、失礼します」 「はいよ、またな!」 二人目――池上スポーツ用品店の店長 「お、伊藤君。こないだはお疲れさん」 「こんにちは。お疲れ様です」 「いやー、先週は君に助っ人に入ってもらって助かった。我がチームに正式に加入してほしいくらいだ」 「うーん…そうしたいのは山々なんですけどね。俺、土日に出勤が多いんでご迷惑かけてしまいますし」 「だよなあ……ま、しょうがないな。また時間あって気が向いたら来てくれ。君なら大歓迎だから」 「は...
  • 17-869
    逆上がりの練習 《なつ休みの目ひょうを立ててみよう!》 「さか上がりをマスターする!!!!」 3‐2 小いけ よしひろ 7月30日(はれ) クラスで、まださか上がりができないのは、ぼくとかんのくんと大のくんとよし田さんとふくざわさんなので、 ぼくはがんばって、なつ休みにれんしゅうして、さか上がりができるようにがんばりたいです。 7月31日(はれ) 校ていでれんしゅうしたけど、ぼくは60回くらいやったけど、足が上に上がらなかった。 8月1日(はれ) 今日は大のくんとれんしゅうした。そうしたら校ていでサッカーをしていたせきくんがきて、となりの鉄ぼうで グルッとさか上がりをしたりグライダーしたりすごかった。ぼくはいいなあと思って、でもできなかった。 8月3日(くもり) 今日もとなりの鉄ぼうでせきくんがさか上がりをしていて、ぼくは足がバタンと...
  • 18-869
    バカップルコンテスト 「始まりました。第73回八百市学園学園祭名物、フィーリングカップル! ルールは簡単!無造作に選んだ五組の受けと攻め。 古典的なあのテーブルを囲み、告白大会をしようじゃないかという恒例行事です!」 「司会は学園祭実行委員高幡と」 「イベント実行サークル部長の目白でお送りします! さて、今年も多くの期待を背負い五組の片思い、両思い、たまに当て馬の皆さんが参加してくださいました!」 「皆さんから向かいまして左側の皆さん。奥から順に 眼鏡攻め、やんちゃ攻め、包容攻め、チャラ男攻め、当て馬攻めとなっています」 「右はツンデレ受け、不良受け、平凡受け、親衛隊長受け、年上受けですね~ さて、今年はどのような組み合わせが見られるのでしょうか!? フィーリングでボタンをプッシュ!第一印象で愛を語ってください!」 「早速、相思...
  • 10-869
    おもらし あぁ、こいつのこんな情けない顔を見るのは何年ぶりだろうか。 茫然自失、という四文字熟語でしか言い表せない様子の山田を、トイレの 個室に押し込んだ。洋式便器に座っても、山田はまだぼんやりとしている。 「山田。山田? 大丈夫か? …具合は悪くないか?」 気遣いながら声をかけると、山田はゆっくりと俺を見た。その目はいつもの 気の強さは面影もなく、不安に左右に小刻みに揺れている。 「大丈夫? 冷たいなら、脱いだら?」 俺がそう言うと、山田は俺を見たのと同じように、ゆっくりと自分の下半身を 見た。ズボンは裾から雫がたれるほど濡れ、高価な革靴は大雨にあたった ように、グチュグチュと音をたてている。 「…自分で自分が信じられない…」 消え入りそうな弱弱しい声でそう言いながら、山田は頭を抱えた。 「山田、財布貸せって。ジャージか何か買ってきてやるから。  な? ...
  • 21-869
    二人暮し 「おーい」 カンカン、という金属音。 控えめなそれに、明良は唸りながら顔を上げた。 視界に入った、見慣れた相棒の顔が一瞬だけ笑う。 「起きろよ。朝飯、できてる」 そう言うと、フライパンとフライ返しを手にした薫は、すぐに踵を返し寝室から出ていってしまった。 慌ててベッドから跳ね起き、その背中を追う。 広くはない部屋の、すぐ隣のダイニングテーブルには前日明良がリクエストした朝食のメニューが並んでいた。 「フワフワオムレツ!」 「食べたいって言ってただろ」 「うん」 自分と明良の分のコーヒーを淹れてから、薫は席につく。 向かいで明良が楽しそうに『いただきます』の挨拶をするのを確認してから、彼はカップに口を付けた。 ふんわりと盛り上がったオムレツに明良がナイフを入れると、中はとろりとした半熟。 ふと、視線を感じて顔を...
  • 19-869
    好きなものは最初に食べる派×好きなものは最後に食べる派 「俺、実は童貞なんですよ」 目の前の友人の発言を聞いて、俺は里芋の煮っ転がしを落としてしまった。 「え、だって、お前、彼女いたじゃん。リサ?ちゃん?あのことはどうしたの?」 「嫌いじゃなかったけど、あの子のこと好きになれなかったんだよね。昨日別れたよ」 俺は何もない顔して、平静を装って、落とした煮物を口に入れる。味?そんなものはわからない。苦い気がした。 「でさあ、改めてお前に言いたいことあるんだよね」 そいつは俺の作ったたまねぎの味噌汁を飲み干して、真っ直ぐ俺を見据えた。 「お前のこと好きだよ。ずっと、これからも、永遠に。だって幼馴染暦20年だけど、嫌いになるどころか、好きばっかり積もるもん」 鯵の干物が上手にほぐせない。ぼろぼろ、ぼろぼろ、と無意味に身をほじくるだけだ。 「なあ、俺と付き合えよ」 「信...
  • 18-869-1
    バカップルコンテスト さてそれでは第一回、バカップルコンテストを開催しよう! まず一組目。出席番号1番赤間春木と出席番号30番中井幸人である。 関係性は幼馴染。幼い頃から共にいた二人だが、この前めでたく結ばれた。 なぜ分かるかって? それは見ていたら分かる。 べたべたと以上に仲がいい→いきなりお互い目線も合わせなくなる→ある日なにか言い争っていたかと思えば翌日再びいちゃいちゃ。 こんな完璧なコンボ他にない。他にないぞすばらしい。今もこう、ふと手を触れ合わせては手をお互い引き、そしてそっと再び・・・おおなんということだ、80点! 「はいはい、80点ね。小計はまあ…こんな感じか」 二組目は出席番号10番筧雄二と40番丸居達也。 関係性は優等生と不良。ただいま急接近中である。まだ結ばれるまでいたっていないのでバカップルと定義できるかは曖昧だが、日々見るたび...
  • 6-869-1
    40年ぶりの再開 先に見つけたのは奴の方だった。 「有川?有川じゃないか?」 「う、植野?」 少し離れた、取引先からの帰り道。 直帰しようかなぁ、書類を取りに帰ろうか。そんなことをつらつら考えながら上っていた階段の途中。 呼び止められて振り返ると、そこには懐かしげに笑う、旧友の顔があった。 「久しぶりだなぁ」と言いながら俺の横に並ぶ。少しも変わらないその態度に戸惑った。 もう20年も前になるのか。俺と植野は、一人の女性を取り合った。 幼馴染の3人組。仲良く手をつないで歩いていた頃から続いていた争いは、 互いに大人になり、働き出し、それなりの蓄えと責任を持つ立場になって真剣なものとなった。 「みぃちゃん」が選んだのは植野。物静かに笑う、優しい植野を、彼女は望んだ。 転勤が決まっていた俺は、みぃちゃんが妊娠したのを聞いた頃に遠くに移った。 何だかんだと転勤...
  • 4-869-1
    カラオケ ぶっちゃけうんざりだ。 奴がいきなり「カラオケ行きたい。行きたすぎる。行こう!」とか言いだして 俺を強引に引っ張って行くもんだから、ま、いっかーっと来てみれば。 奴はずっとマイクを離さず、バラードばかり永遠歌い続けてる。 しかも微妙に古くてやたらとくさいラブソングばっか。 これは…アレか? 女に聞かせる為の練習ってヤツですか。 最近変に付き合い悪いと思ったらラブソングを歌ってやりたい女ができてたわけだ。 で、一人でカラオケで練習は虚しいから暇そうにしてた俺を引っ張ってきたってことね。 あーあ。 カラオケ久しぶりだな、とか 奴と二人なら音痴な俺でも遠慮なく思いっきり歌えるな、とか …奴と遊ぶの久しぶりでちょっと嬉しいかも、とか。 そうゆう…なんつーの?ワクワク感ってヤツ?ソレが一気に萎んだわ。 そんな俺の気分はそっちのけで奴はまた...
  • 6-869-2
    40年ぶりの再開 定年を期に私は、十六まで過ごした故郷へ帰ることにした。 両親はとうに他界し、独身の私には家族と呼べるものもない。 いざ自由の身となって何がしたいのかを考えたとき、私の中にはひとつの選択肢しか浮かばなかった。 会いたい人がいる…故郷を離れて以来、会いに行くことができなかった、あの人に会いたい。 初恋とは、こうも忘れられずにいるものかと、この歳になって恥ずかしく思う。 今でも自らの内に鮮やかに痕をのこす、情欲の日々。 あの頃、私の世界はまさに彼一色だった。 日がな一日彼のことを考え、時間が許す限り触れ合っていたかった。 まだ年若かった私は、自分の内にある熱を、ただただ彼にぶつけることしかできずにいて、 時に卑怯とも言える手段で陥れることもした。 それが彼をどれだけ苦しめ、追い詰めていたかも気付かずに。 私たちの関係はあまりに危険...
  • 8-869-1
    やさしいライオン 「……お前まで辞めるこたなかった」 「なに、潮時だったさ。あのオーナーの下じゃ、どのみち長くは働けなかった」 「俺はごめんもありがとうも言わないぞ。必要ないのに、勝手にかばったんだ、お前は」 舌打ちして、苛立ち紛れに壁をどんと叩く。 ベッドに腰掛けた男は、視線を軽く下げて、口元には微かに苦笑を浮かべている。 その穏やかな様子からは、さっきオーナーに激しく噛みついていた姿は想像できない。 まとめて首を切られた俺たちは、この店の寮となっているアパートの荷物を早々にまとめなければならなかった。 まあいい。これで、この狭い二人部屋ともお別れだ。奴との生活もここまでだ。 「……必要は、あったさ。お前が怒っていたものな」 焦燥にも似た苛立ちが募って、俺は突然泣き出しそうになった。 奴が味方してくれた時、一瞬嬉しさを感じた自分が嫌でしょうがなかった。 ...
  • 23-809
    関西弁眼鏡 そっと裏口のドアを閉めて振り返ると、そこには、腕を組んだ直人が立っていた。 「おかえり」 こっちの「おかえり」とは少し違うイントネーションで、ゆっくりと言われる。 まったくにこやかでない直人に向けて、俺は愛想笑いを浮かべた。 「たっ、ただいま。まだ起きてたんだな、直人」 「お陰さんで。どっかの誰かさんが黙って居なくなりよって、心配で心配でなあ」 心配だと言う割に、その声はやけにドスが利いている。 「で、どっかの作家先生さんは、こんな時間までどこをほっつき歩いとったんやろか」 「あー…いや、その。ちょっと気分転換の散歩に……」 眼鏡の奥の目がすっと細められる。それを見てとった俺は自然と早口になった。 「いやほら、俺が色々頼んだ所為で直人忙しそうだったから。邪魔しちゃ悪いなーって。  だってあのまま机に向かっててもきっと全然進まないし、それにずっと椅子...
  • 23-839
    片思い中のライバル受 わかってる。 君があいつの事を好きだって事。 僕じゃ、あいつにはかなわないって事。 このまま君の事を諦めて、あいつとの仲を取り持ったら、きっと誰もが幸せになれる。 ……僕以外は。 でも。 でも、ね。 どうしたら、諦められる? 君の目も、指も、足も、肩の線も、声も、髪の毛一筋すら好きで。 笑い顔も、怒った時の熱さも、困った仕草も、泣きそうなのに堪えてる時も、君の 足跡すら愛おしくて。 知り合って、段々好きになって、それが恋愛感情だと気付いた時には、もう諦める事 なんて無理だったんだ。 あいつが君の事を好きだって、最初に気付いたのは、きっと僕だと思う。 あいつに対する君の気持ちも。 本当はわかってる。 何をしたってもう無理だし、汚い事をして妨害すればするだけ、君は僕の事を嫌いに なる。 だって今、この世で一番僕の事を...
  • 23-879
    ずっと友達 「ずっと友達でいようね」 僕は君にそう言った。 僕は君が大好きだから。 でも僕と君は男同士だから結ばれることはきっとない。 友達ならずっとそばにいられるだろ? だから僕は笑いながらそう言った。 君は少し間を置いてから俯き小さな声で「そうだね」と言った。 少し涙声なのは僕の気のせいだろうか? だけど大丈夫だよ、悲しまないで。 ずっと君のそばにいるよ。 僕と君は友達だから。 友達はケンカすることがあっても決して別れることはないから。 だからずっと友達でいよう。 これからもそばにいられるように。 ずっと友達
  • 23-889
    葉桜はきらいだ 「身分違いの者が無理矢理寄り添っているようで、嫌いなんですよね。葉桜」 そんな洒落こいたことを呟きながら、八重樫は放課後ここへ来て二本目の煙草を消した。 三本目に手が伸びたので、我にかえってそれを止めた。 「八重樫、いつも言うけどここは禁煙だよ」 「それ以前に生徒の喫煙を嗜めるのが教師の役目では?」 …もっともだ。普段から見慣れていたせいで注意するのを忘れていた。 「そもそも葉が先で花は後でしょうに。順番がおかしい」 それだけ言うと八重樫はふぅ、と煙を吐いた。 髪の隙間まで燻されていく気がする。思わず眉間に力が入る。 「そんなイヤな顔しないで下さいよ、先生」 「生徒会長なんて名ばかりだな、お前みたいなのが一番危ない」 「だから、息抜き」 「お前の息抜きは私の息が詰まるんだよ」 八重樫は窓際の長椅子に腰掛けると、室内履きのサンダルを脱ぎ捨てて...
  • 28-869-2
    夜の図書館 既に書いてらっしゃる方がいるのに何ですが、時間切れの後にテーマを見て萌えたので。 窓から差す月明かりと非常灯だけが頼りの夜の図書館。入口からも窓からも死角になる棚の間で人を待っていた。 「…吉井先輩」 「仲原…、」 仲原からのキスで言葉が遮られた。止めようとしたが、久々の触れ合いは心地よく、結局しばらく身を任せた。 「、こら、駄目だ」 仲原が舌を入れようとするので、俺はさすがに慌てて仲原を押し退けた。 「…じゃあ、どうして僕らはわざわざこんな夜中に、暗い図書館で逢い引きなんてしているんですか」 「嫌らしい言い方をするなよ。噂になると面倒だからだろう…前に退学させられた生徒の話、聞いたことないか」 背の高い本棚に押し付けた俺の体にしがみつきながら、仲原がぴくりと身じろぎした。 「…確か先輩と後輩が付き合っていて、先輩の方だけ退校処分になった...
  • 24-869-1
    潔癖症だった攻め 自分以外のものが不潔に思えて仕方のない時期があった。 例えば、ジュースの回し飲みなんてありえなかったし、ちょっとした物の貸し借りすら苦痛だった。 携帯用の除菌スプレーがお守り代わりだった。 潔癖症を隠したくて周囲から一歩退いていたら、「気難しい孤高の人」というレッテルを貼られていた。 お前と出会ったのは、その頃だ。 明るくて人懐っこくて、ぎこちない態度の俺にも屈託なく話しかけてきた。 お前は俺の対極にいて、俺の理想だった。うらやましかったし、憧れていた。 興味があると言っていたCDを貸した。「すげー良かった!」と笑顔で言われて、つられて笑った。 寒い冬の日、風邪気味だと言ったら巻いていたマフラーを渡された。ほんのり残った温もりが心地よかった。 お前の部屋で、二人で鍋をつついた。その日以降、誰かと同じ器から物を食べても平気になった。 ...
  • 21-869-1
    二人暮し ただいま、という言葉は酷く馴染みが薄かった。おかえり、という言葉は酷く座りが悪かった。 どこか照れくさくて、続くただいま、の言葉を口にしきれない。そんな時、いつだって目の前で彼はまだ慣れないんだ?と笑ってくれた。 「おかえり、智」 とはいえ、時間が不規則な仕事をしている夏樹が常に智の帰宅する時間に部屋にいる訳ではない。 逆も然りで、だからたまたまタイミングが合う度に智は玄関で彼の靴を見ては少しだけ口端を上げる。無意識の内に。 そしてむずがゆくなる。自分を迎えてくれる人がいる事に、そしてそれが夏樹だという事に。 「あ。……智、また困ってる?」 「いや、驚いただけだって……ただいま」 子供みたいな顔をして楽しそうに近付いてくる夏樹に、智は微笑む。一体この時間を何と呼べばいいのだろう。未だに智にはわからなかった。 幸せ、という一言ではとても足りる気がしな...
  • 28-869-1
    夜の図書館 投下が上手くいかず、ニンジャ規制になりましたorz 図書館はいつも隠微な匂いで満ちている。 紙とインクの匂い。埃の積もった匂い。日向の少し黴びたような匂い。 そこに更に雨と夜ふけが重なると、悪徳と頽廃と秘密の箱庭になるのだ。 「……来ると思ってた」 少し軋むドアを開けると、暗闇から掠れた声が響いた。 田舎の古い図書館には、セキュリティシステムなどという気の利いた物はない。 傘立てに入った濡れた傘で、いるのは判っていた。 「来たく、無かった」 ぶっきらぼうに言うと、細いLED電灯の光が閃いた。くすくすと笑う声。 「でも……来たんだ、ね?」 ひらり懐に飛び込んで来た身体は、腕の中に閉じ込めようとすると、するりと逃げる。 「今日こそ、返してくれ」 「嫌だ」 ぱたぱたと足音が書架の後ろに遠ざかる。 「……今日も、10分。捕まえられ...
  • 22-869-1
    滅んだ民 どんよりと曇った空の下、彼は黙って花を置いた。 栄華を誇った都市の、その面影が静かに風に吹かれて消えていく。 本当に何も残っていない。それを再確認して、彼の頬を涙が伝った。 故郷を捨てた。友を捨てた。愛した恋人すら捨てた。 そんな自分に涙する資格などないのだ思いながらも、落ちる雫を止めることもできなかった。 どれほど時間が経っただろうか。 彼は花に背を向け、歩いてきた道を戻り出した。 『もう帰るのかい?』 耳に響く優しい声。 たまらず振り返ると、そこには捨てたはずの恋人の姿があった。 最後に見た時と同じ、皮肉げな笑みを浮かべていた。 「…俺を、恨んでるだろう?」 やっとのことで絞り出した声は震えている。 『君はいつもそうだ。僕の言葉なんて聞かないんだから』 「そうだ、俺はいつもそうだった。だから、逃げ出したんだ」 すると恋人は、な...
  • 26-869-1
    狸×狐 「あっはは、また騙されてやがる。無様なやつめ。気分が良いなあ。うすのろをからかうのは気分が良い!」 俺の腹の上に跨がって、目尻をきゅ、と細め、口角を吊り上げケラケラ笑う奴の顔を見上げ、溜め息をつく。 襦袢の裾から飛び出た奴の尻尾がぱたぱたと動いて俺の太ももの辺りを着物越しに掠めるのがこそばゆい。 「いい加減どいてくれないか」 「嫌だね」 「なあ、ならせめて、俺の腕を膝で抑えるのはやめてくれよ、痺れてきた」 「ふうん」 そう言うやいなや、ぴしゃりと俺の手の甲を叩く。 指先が痺れる感覚に眉をしかめると、奴は一層ニンマリと笑った。 「な、僕は綺麗だったかい?まったく綺麗な女だったろ?お前はいつも、あんな風に女を口説くの?お前なんかに着いてくる女なんて、いるの?答えてみてよ、さあさあ」 言い淀んでいると、またぴしゃぴしゃと痺れた手を叩いてくるので、仕方なく口を開...
  • 12.5-869
    最後の春休み 「本当の、最後の意味なんてみんな気が付いてないんだよ」 いつだったか、ぽつりと言ったアイツの言葉。 大学四年を迎える春、 俺はアイツと初めてキスをした。 ただ、たった一度。 それ以上、踏み込まなかったのは それ以上に、踏み込めなかったのは 多分、単純に、怖かったからだ 男同士だって事が、本気になるって事が、未来の形を変えてしまうかも知れないって事が。 その位に俺は臆病で、狡かった それ以前に 気の迷いも真実も衝動も、何もかもが混沌としていた。 …覚えているのは夜桜の匂いとビールの泡の味と、 硬くも柔らかくもない、アイツの唇の感触。 「――…?」 営業の合間の一休みに入った喫茶店で、不意に懐かしい響きで名前を呼ばれた。 まさか、というより …ひたすら驚いた。 俺の前に現れたアイツは、 記憶とずいぶん違ってる...
  • 15-869-1
    攻めに尽くしまくるワンコ受と 受けの態度に若干引き気味な攻め 「お前そろそろ捨てられるんじゃねーの」 幼なじみでもある友人の一言に俺は少なからず動揺した。 実際、最近田辺がそっけないのは自覚している。 いや、考えてみれば最初からそうだったのかもしれない。 大学の入学式で一方的に一目惚れした俺が最初に告白したときも、 断られても月一で告白を続けて、十回目にOKを貰ったときも、 なかなか手を出さない田辺に焦れて、泣き落としで抱いて貰ったときも、 いつも田辺は呆れた顔をしていたような気がする。 田辺に捨てられるのだけは嫌だ。 それだけは避けたい。 「どうしたらいいと思う?」 藁をも掴む思いでつめよった俺に、幼なじみは当然の顔をして答えた。 「愛情表現を控えめにしてみるとか」 愛情表現を控えめに。 友人のアドバイスを頭の中で何度も唱えていると田辺が来た。 「...
  • 23-859-1
    お前が受けなの!? 「き、緊張する、よなぁ」 「…………」 コイツは、とてもクールな男だ。 初めて会った、一目見た瞬間から、何故か分かった。 コイツは無愛想で無骨で無表情で無口で、そして、一本気で一途な格好良い男なんだろう、と。 俗に言う、一目惚れ、というやつらしい、と紆余曲折を経て気付き、紆余曲折を経て距離を縮め、 紆余曲折を経て互いに同じ思いを共有していたことに気付き。 そんなこんなでようやく迎えた今夜、今日もコイツはとてもクールだった。 ヘラヘラ笑いつつ変な汗を掻く自分と違って、さほど表情に変化はないし、言葉も少ない。 これだからコイツのくれる想いに長らく気付かなかったのだが、今では多少は分かるようになった。 例えば今、身体はベッドの上で向かい合いつつも、顔はプイと横に向けてしまっている、これは「恥ずかしながらその通り」ということだ。 多分、そういうこと...
  • 23-879-1
    ずっと友達  テレビで、コンビの芸人がわめいている。  相方のことが大好きなんだと、臆面もなくうそぶいて、司会者にも他の出演者にも、そしてくだんの相方にまで手酷くツッコまれている。  藤田が眠っていてよかった。でなければ俺は結構なうろたえを見せただろう。  ──なぜ、友人と仲良くなりすぎてはいけないのか。  今日、俺と藤田は釣りに行った。防波堤から簡単に釣るやり方が面倒でなくていい。  釣果はたくさんの小アジ。昼過ぎには切り上げて、そろいで買った小出刃でふたり、ひいひい言いながらぜいごと頭を落とした。  塩とこしょうで唐揚げにして、半分は砂糖と醤油と酢をかけて南蛮漬け。  汚れたクーラーボックスを洗うついでに風呂に入って、日差しの強かった昼間の乾きをビールで埋めて、アジを際限なく食いながらテレビを見る。  たぶん、今日も藤田は帰らない。  職場でも何か...
  • 23-819-1
    朴訥無口×わかりにくくデレる俺様 「この小説って実体験が元になってんの?」 「あ、いや、違う・・・」 「ふーん。お前も兄貴亡くしてるだろ?この辺のカズヒコの喪失感って自分で感じたことじゃねーんだ」 「違うけど、その時の担当さんも少し私小説ぽいって・・・」 「やっぱ言われたのか。つか私小説でよく賞もらえたな」 「その後の展開、俺と全然違うから…」 「確かに、年齢誤魔化して夜働くタイプじゃないもんな。じゃあそんな見当違い言われてムカつかなかったのか?」 「・・・少し、似せた自覚あったし」 「兄貴のことくらいだろ?今の編集の・・・児島さん?お前の意向とかちゃんと汲めてんの?てかお前そんな言葉ったらずで  よく小説家なんてなれたと思うわ。賞までもらってそこそこ売れて、この度めでたく処女作が映画になって、幸運残ってんの?」 「どうだろう・・・」 「まあ、俺と付き合ってる...
  • 23-169
    連結3P オランダかどこかで9人の男性が連結したというニュースがあったが あれって先頭の入れられてるだけの人と、最後尾の入れてるだけの人がちょっと切ないよね だから連結は3人ぐらいが丁度いい。 先頭の入れられるだけの人は3番目の人が頑張って先っぽ弄ってくれると幸せだし 3番目の人の後孔を、2番目の人が弄ってあげるとこれも幸せだよね 2番目の人は1番目と3番目に挟まれて暖かいし幸せだよね。 一歩間違ったら「どう濡れ物件」じゃないかとか言うな。 勇気を下さい!
  • 23-069
    病弱な弟の治療費を稼ぐために裏の仕事をする兄 少年は男が嫌いだった。 まるで少年の、否、世界の全てを見抜いているとでもいうような、泰然とした、それでいて酷薄な笑みは、不快感しか与えない。 「泣かせる話だねぇ」 一ミリの感慨も含まない、芝居じみたその台詞はただ少年の神経を逆撫でする。 テーブル越しに向かい合った男はゆったりとした動作で頬杖を突いて少年を覗き込んでくる。 その何気ない仕草でさえ、男の洗練された容姿故か、酷く優雅に思えた。 壁も調度品も白で塗り潰したかのようなこの部屋は、どうにも落ち着かない。尤も、白ばかりなのは室内に限ったことではなく、建物全体が白で埋め尽くされている。 漂白されたかのような空間の中、男の衣服はひときわ白さが目につく気がした。 少年が持て余す、不安にも似た焦燥が男への苛立ちに変わるのはいたって容易なことだった。 少年は苛々...
  • 23-699
    お前に愛されたい 2歳で僕がこの町へ引っ越してきてからずっと、雨の日も風の日も顔を付き合わせてきた幼馴染の山縣。 彼にはこの度めでたく彼女が出来た。 色素が薄くてふわふわと清潔そうで虫も殺さぬような森ガール然とした2組の穂波、彼女が告白したらしい。断る理由も無いだろう、僕だって断らないと思う。 僕はといえば昨日の夜に山縣からのメールでそれを知らされて、初めて胸をえぐられるという感覚を知った。 一晩じっくりコトコトこれでもかと考えたけど穂波じゃない、僕は山縣が好きらしかった。 ここまで重苦しい朝も珍しい。ほとんど眠れなかったのになぜか目は冴えている。 学校なんて行ってる場合じゃなかったけれど、そのまま不登校になりそうだったので踏ん張った。 玄関を出ると門のところに山縣が立っていた。 「おす。昨日どうした?メール来なかったけど」 「ああ、うん、寝てた」 「寝て...
  • 23-369
    記憶喪失な攻め 「さて、良く聞いて」 目の前の白衣を着た男が優しげに微笑んだ。 「まず僕の家族構成。両親に兄が一人、姉が一人。ゴールデンレトリバーが一匹、オス。  実家は出て一人暮らしをしている。趣味は読書、というより活字中毒。なんでも読むよ。  本の読みすぎで、このとおり学生の頃から眼鏡を愛用している。コンタクトはどうも苦手でね」 そう言う男の顔には黒縁の眼鏡がかかっている。 俺がそれをじっと見つめると、男は少し眉尻を下げてこちらに笑いかけた。 「やっぱりおかしい?」 「いや。似合っていると思う」 感じたままを伝えると、彼は二、三度まばたきをしてから、嬉しそうな表情になった。 その表情のまま、彼は訥々と語る。 「僕は夜型なんだ。寝る前に本を読み始めると止まらなくてついつい、ね。だから朝は苦手で。  よく遅刻しそうになって飛び起きてバタバタして、寝癖をつけ...
  • 23-269
    冬の海  月のない夜のことだった。 砂浜と海と空の間にある境界は、星達が届かないところへ行ってしまっていた。 空は穏やかなのに、俺の部屋のすぐ下に広がる海は何故か荒れていた。 爺ちゃんはそんな波の様子を見ると、読みかけだった俺の漫画を仕舞い、黒電話の前から離れなくなった。 しばらくして、夕飯に呼んだ春樹が来れなくなったことを告げられた。 がなる黒い飛沫は、どろどろとして生臭そうだった。  いよいよ轟々と打ち寄せる波に集中力をさらわれた俺は、宿題の手を休め、ついでにココアを取りに行こうと席を立った。 その腰を浮かせた一瞬、結露で濡れた窓の向こうに、荒波の中を沖に向かって進む人の姿が見えた。 「……春樹?」  嫌な確信がよぎって、俺は混乱した。 闇の中に春樹だけが見えたことは、全く不思議に思わなかった。  どうしてあんな危ない海に!春樹が死んじゃう!! ...
  • 23-469
    妹が、お前のこと好きだって 「妹が、お前のこと好きだって」 「…………無理だろ」 突然の投げかけに真意を掴みあぐね、ようやっと言葉を返す。 「もし俺とお前が付き合ってます、付き合ってましたって知られてみろよ。 そしたら多分あいつまず泣くじゃん。それはめんどくせえよ」 そう言って様子を窺えば、顔はずっと手元の本に向けられている。 こいつら双子の兄妹は、二卵性だからそんなに似てないよと揃って言うけれど、 俺から見れば二人とも母親ゆずりの顔と、母親ゆずりの真面目さをそっくり持ち合わせていた。 「さすがに、親子丼ならぬ兄妹丼なんて勘弁したいし」 顔は、ずっと手元の本に向けられている。 何でもないように見えるけど、止まった手と対照的に目線がきょろきょろとせわしなく上下していた。 そのいかにも危うげな様を見て、ああまたかよとげんなりする。 自分の中の正道と現実がぶつか...
  • 23-969
    探偵と刑事 ○素人探偵とエリート刑事  ・素人探偵とは、職業探偵じゃないが行く先で事件に遭遇してしまい探偵役をやるタイプの探偵。死神体質。   本人は進んで探偵役をやりたいわけではないが、なぜか行く先で事件が起こってしまう。  ・容疑者扱いされたり殺されかけたり、いろいろ大変。本人もうんざりしている。   うんざりしてはいるが、持ち前の正義感+勘の良さ+お人好しな性格から事件の無視ができない。  ・刑事は本庁の刑事。とある事件で素人探偵と知り合いになり、以来、彼の推理力を高く評価している。   行く先で容疑者扱いされたりなんだりで困ったことになる探偵を保護して、けしかける。   保護してくれることには感謝しているが、何かと自分を担ぎ出そうとすることには文句たらたらの探偵。  ・エリートの刑事に向かってタメ口で話しているのが、他の刑事からすると「あいつは何者だ」状態。...
  • 23-669
    そこにある悪意 ぼくには、お金がある。 お父さんがお金もちだから。 ひとよりも、お金があるから。 「好きだよ、愛してるよ」 それは、ぼくのことじゃなくて、 お金のことを愛してるんでしょう。 せめて平凡にうまれたかった。 だって、なんのとりえもないひとにいう 「愛してる」は そのひとをあいしてくれてるんだもん。 あいしあう貧乏人になりたいよ。 悪意のある愛なんていらないよ。 いつになったら、愛してくれるの? だれか愛してよ、ぼくを。 お金のないぼくでも。 ねえ、 「信じられないなら ずっとぼくのそばにいてよ」 そばにいてもいいの? ずっと、愛してくれるの? 腐れ縁
  • 3-859
    研修のため社員にスーツを借りる準社員(バイト)で制服の職場 じゃあ久々に萌え語りしてみよう。 デフォルトが制服ですね。 男で制服の職場ってのは店舗系かなやっぱり。 コンビニ、量販店、書店。電気屋なんかは男だとシャツにネクタイだけでいいって店も多い。だから除外。 店舗の中ではダントツに萌えるのが書店。個人的見解ですが。 知的に見えて実はかなりの肉体労働ってギャップや、茶髪やピアスが禁止な店も多いなんてストイックなtこがいい。 何より制服がシャツとネクタイの上にエプロン! エ プ ロ ン !エープーローンー! いやエプロンはおいといて。 書店ってのは意外と正社員になるのは難しいわけですよ。労働は社員なみ、でもいつまでたってもバイトなんてザラ。 だから研修受けに行くのも一大イベント。もう必死。瀬戸際だもの。 でも悲しいかな書店ってのはものすご...
  • @wiki全体から「23-869」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索