*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「24-309」で検索した結果

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  • 24-309
    余命半年 こんちわーっす。あ、初めまして。唐突ですがキミ、あと半年の命でーす。…はん?俺? あー俺ね、死神。 ………ダウトってなに! うっわぁ、んな無表情で俺の存在完全否定したのはキミが初めてだよ。部屋にいきなり現れたんだからちょっとはさ……ちょ、おいどこ行くの。えっ…………… …………ああはいこりゃわざわざどーも……じゃねーよ。死神っつったらリンゴだと思ったら大間違いだからな。やれやれみたいな顔すんな腹立つ。 つかお前、あと半年だよ?なんかリアクション無いの? ………んえ、知ってた? えー…最近の医者は有能だねぇ……… まあ逝く時はサクっとヤッたげるから安心してよ。 え?何言ってんの?人間は一人じゃ勝手に死ねないよ? だから俺らがいるんじゃん、さくっと介錯するためにさ。だいじょーぶ痛くない事に定評あるから、俺。 そんじゃま、どーでも...
  • 4-309
    異世界とリップした三十路サラリーマン ほんの気まぐれだったんだ。 会社に戻るのに近道かな、と思ったからいつもの道から1本それた小道に入った。それだけ。 ほんとそれだけだったんだけど、なんか道を抜けた先が微妙に違和感。 とりあえず僕の30年の人生の中でピンクの葉っぱがついた樹なんて見たことないわけだな、うん。 建物とか微妙に変だし。どこが変とか説明できないけど。 道行く人は一応僕と同じような人間っぽいけど油断は出来ない。 ああ、本当に僕はどうしちゃったんだろう。 もしかして営業サボって入った漫画喫茶で居眠りの最中なんじゃないかな? 目が覚めたら全部夢でしたって落ちじゃないかな? そうは思っているものの手の甲つねったら痛いし。 会社に帰れないな。 たまにはサボったりしてたけど一生懸命勤めてたんだけどな。 このまま失踪者扱いにされちゃうの...
  • 14-309
    一匹狼←ヘタレ受 「いちまーい…にまーい…」 「うわああああっ!!」 …もう何回目だ、隣で腰を抜かしかけているこいつに手を貸すのは。 真っ暗な体育館に響き渡る残響を聞きながら、俺はため息をついた。 「あ…ありがとう…」 暗がりなのであまり顔は見えないが、半泣きなのは声で分かる。 「お前、そんなに怖いの苦手ならお化け屋敷なんて誘わない方がいいんじゃねーの」 もたもたして一向に立ち上がれないようなので、腕を掴んで一気に引き上げながら言うと イケメンで、クラスでは割りと人気もあるが実は怖がりだったらしい大野は 「いや…だってジンクスがあるから…どうしても来たくて…」ともごもご言った。 うちの高校の文化祭は、毎年体育館にできる巨大お化け屋敷がかなり怖いことで有名だ。 男女で来て仲良く二人でゴールし、その後告白すれば必ず成功すると言われている位だ。 俺も怖いといえば...
  • 10-309
    10-309 あなたを置いていくけれど。 拝啓 K様 いきなり手紙だなんて、びっくりしたことと思います。 数日前から、俺の体調はすごく悪く、もしかしたらやばいかな、と 思って、これを書いています。 今、あなたがこれを読んでいるということは、万一のことが俺に起こった ということです。とりあえず、謝っておきます。ごめんなさい。 思えば、俺の人生で一番長い時間を一緒に過ごしたのは、あなたでした。 俺の青春の思い出には、悲しいことに、全てあなたが隣にいます。 あなたのおかげで、俺は灰色の青春時代を過ごしました。 あなたは、俺が欲しくて欲しくてたまらないものを、軽々と手に入れて、 平気でドブに捨てるような人でした。 俺が大事に思ってるものを、靴底で踏みにじって、笑っているような人でした。 どれだけ腹を立て、どれだけ嫉妬したか、分かりません。 ただ、あな...
  • 4-309-1
    異世界とリップした三十路サラリーマン 前場の引ける寸前だった。俺はモニター画面を信じられない思いで見つめていた。自分が仕掛けた空売り銘柄がどんどん上がってゆく。数字が止まらない。馬鹿なとっくにストップ高の筈ーーーー 気が付くと、俺は淡いピンクや水色や黄色のクレーの絵の様な色調に彩られた荒野に倒れていた。 誰もいない。 もう、どのくらい経ったろう。夜も昼も分からないこの世界で、とっくに時間の感覚もなくしていたが、幾日も過ぎた様な気がする。 俺は、世界の終わりにたった独り取り残された様な絶望感に襲われながら、何処かに居るかもしれない人影を求めて、ずっと歩き続けていた。 何処迄行っても砂丘ばかりが続く。 本当にここにはもう誰もいないのか。 幾度も頭をよぎった絶望感に何度目か座り込み、また歩き出そうとしたその時、吹きすさぶ風に砂が舞い上がり、何かが見えた...
  • 24-359
    オラネコ 僭越ながら萌え語らせてください。 行為に及ぶ時に積極的な受けということで。 いわゆるオラオラ系のオラネコではないかもしれないけど、見た目に反して性に貪欲な受けに萌える。 普段は無口でおとなしめ、周りからは自慰すらしないんじゃないかと思われてるけど、実は快楽に従順で 「好きな人には気持ちよくなって欲しいし気持ちよくして欲しい。そう思うことのどこがおかしい?」 みたいな考えの持ち主だといい。ある種の素直クールというべきか。 昔男娼みたいなことやってた影響で、という設定もありかもしれないが、素の状態でそれというのも捨てがたい。 できるだけ優しく紳士的にリードしようと思ってた攻めは、いきなり噛んだり舐めたり咥えたりをしてくる受けに驚くんだけど、 上記のようなことを言われて「なるほどある意味受けらしいや」と納得して、好きにさせてしまえばいい。 ...
  • 24-349
    墓まで持ってくつもりでしたが お前に話しておきたいことがある。 今しか言えない事だから、そんな嫌そうな顔すんなよ。 お前はただの友達だと思ってただろうけど、お前が俺に気付くずっと前から俺はお前の事が好きだった。 初めてお前と話をした時、緊張でうまく息が出来なかった。 お前が初めて俺を名前で呼んでくれたとき、その日は嬉しくて眠れなかった。 友達になれた日はこのまま死んでもいいと思ったし、 初めて手を繋いだ時も、それから好きだって言ってくれた瞬間は…っうわっ!!ちょ、やめろ!こっちは病人だぞ! …うん。何が言いたいかって言うと、お前が思ってる以上に俺はお前が好きなんだ。 お前の隠し撮り写真も持ってるし、食べ終わったアイスの棒も…っだから殴りかかるな! 告白したら、絶対お前嫌がるから、俺だってこの溢れんばかりの愛は、墓まで隠して持っていくつもりだったんだよ。...
  • 24-369
    背中合わせ 背中合わせの何があれって、「命預けた」感と、「俺はお前を信頼してるぜ」感だよね。 ライバルや親友、特に、クールな受と熱血漢な攻が背中合わせで戦うとか、まじでご褒美です。 ツンデレ上司が、わんこ部下に「俺の背中は、お前にしか預けられないな」とか言われたら、見てるこっちも、一生その上司について行きたくなる。 背中合わせは燃えるし萌える。 あと、別れとか背徳的な関係もいい。 背中合わせになった瞬間、互いの気持ちを吐き出すんだ。 それも結婚前夜にだぜ。 もしくは、身分違いで両片想いの二人が、襖や扉越しに背中合わせになって告白。 これは、王様逃がしたい家臣でも、恋人逃がしたい王様でもいい。 つまり、背中合わせの可能性は無限だってこと。 背中合わせ
  • 5-309
    気持ちいい? 「気持ちいい?」 俺の体の上に乗って上下運動を繰り返す青年は先程からこの言葉しか発さない。その口が垂れ流すのは、後は堪えきれずに漏れる短い悲鳴だけだ。 「気持ちいい?」 散髪に行き忘れたような長さの金髪が揺れてきらきらと光る。蛍光灯の光を、陽光に変えているのだろうか。太陽の粒を振り撒いて、青空のような瞳をしているのに、お前の口はなぜ馬鹿になっているのだ。 「気持ちいい?」 彼がこうなってしまった原因は知っている。俺は彼の主治医だ。だが、彼を治療するには時間がかかる。その時間に、俺は流されてしまっている。 「気持ちいい?」 「…ああ」 そんなに嬉しそうな顔をするんじゃあない。俺はお前の父親じゃあないんだから。こんなことは、しなくて良いんだから。 「気持ちいい?」 「…ああ」 それでも俺は頭の奥の破壊衝動を止められない。ごめんな、一生治療で...
  • 2-309
    元ヤンキーな家庭教師×優等生な17歳 「では先生、宜しくお願いします」  上品な微笑みを浮かべ、茶菓子を置きに来たらしい奥様は去っていく。年齢より若い イメージなのはやっぱエステとか通ってるのかね。うちのババアと比べものにならん。  まあそれはどうでもいいが。  で、その奥様からお生まれになったお坊ちゃんもこれがまた俺みたいな下々と比べ ちゃいかんくらい、箱入りというかなんつーか、お上品な感じで。俺みたいな元ヤン が務められたのは最早奇跡だね。  ……いや嘘。単に派遣会社の割り振りなんだけどさ。大学だけはそれなりのとこ入った もんで、まあまあそれなりにいいお家を紹介して貰えたようで。  いやさ、流石に先の事考えるとバカやってるのもどうかと思うっしょ? 中高で散々 やったからまあ、それなりに落ち着いてもいいかなと思うし。学歴はあって損ないし。...
  • 1-309
    万能後輩×ヘタレ先輩 in high school まず高校生と言う多感な時期がいいね。 先輩はへたれだけどへたれなりに頑張って色々やるんだけど後輩は簡単にやっちゃう。 しかも後輩は全然悪気が無くて手伝っているつもり。 先輩もわかってるから強く言えないジレンマ。 さらに後輩は万能故にモテモテ(死語)なわけですよ。 手伝ってもらったりするとお取り巻きのやつらにちくちくやられる先輩。 ある日尊敬してる先生に頼まれた事をがんばってやり遂げた先輩。 要領が悪くてかなり時間が掛かったけど完成したそれに満足。 しかし偶然後輩がそれを壊してしまう。 今まで温厚でいい先輩だったが普段の鬱屈もありマジギレ、後輩を怒鳴りつける。 後輩は恐縮し慌ててそれを直す。先輩が苦労してやった事をいとも簡単に。 それを見てお取り巻き「ほら~全然騒ぐ事じゃないじゃん...
  • 9-309
    変人でサイコな攻と、それにおびえつつも離れられず、ついついチョッカイを出すツンデレ 俺の考えが甘かった。 ……だって大学のオープンテラスだったし、 昼どきは過ぎたけど、外はいい天気でたくさん人もいたし。 二人きりになったりしなければ大丈夫だと、どこかでたかをくくっていた。 テーブルの上にはたった今勝負のついたままのチェス盤と、剥がされた俺の手袋。 奴は剥き出しになった俺の左手を、両手で弄んでいる。 「……さて。どうしようか……」 他人の大きな手で無造作にいじり回されるなんてことに、俺の左手は免疫がない。 幼少期の怪我のトラウマから左手だけはいつも手袋をして過保護に扱ってきたのだ。 こいつは、そのことを知ってから、異様に俺の左手に興味を示すようになった。 将来を嘱望される才能あふれる若き助教授、というのはあくまで研究面だけの話で、 学内では有名な変人、触...
  • 3-309
    耳かきと反対側の綿毛 俺とアイツはまるで正反対だ くすんだ色に削ぎ落とした木っ端のような俺の体 白くてやわらかくてまるで汚れをしらないようなアイツ 視界にアイツがよぎるたび堪えようのない衝動にかられる そして思うのだ 俺が暗い穴の中へ潜り汗と垢まみれになりながら働いているのにアイツは外の明るい光と澄んだ空気を味わっているのだろうと そのたびに憎らしさを感じた 悔しいと思った でも気がついたんだ 俺が感じていたのはアイツに対する嫉妬ではなく羨望だと あの清らかそうな姿を見るたび焦がれてやまなかったのだと でもこんなに近くにいるのに触れ合え無い いや、触れ合えたとしてもアイツか゛俺に興味を抱くはずが無いだろう 穴ぐらに篭り薄汚れた作業に日をやつす俺なんかに かなわないと知っている それでも俺はアイツを求めてしまうのだ ...
  • 24-379
    キャリアとノンキャリア 「近田の絵はいいな」 そう言った森村の言葉を素直に受け取れないのは、僕が美大も専門も出ておらず、彼の磨かれた技術と深い知識とついでにいうなら生い立ちや家柄に憧れているからに過ぎなかった。強烈に。 幼い頃から美しく価値の高いものに囲まれてきたであろう森村の作品は、感情をぶつけるだけの僕の抽象画もどきとは一線を画すものだった。 彼のような絵が描けたら、そんなことばかりを考えていた。 「森村。君には、この絵が何に見える」 そう問いかけてきた近田に対し口を噤んでしまったのは、僕がその溢れ出る芸術性を上辺でしか理解できないからに過ぎなかった。どうしても。 近田の描く絵には禍々しさと清々しさとが同居して、それは見るものの心によってその時々に姿を変えた。 箱庭や温室の中で育ってきた自分には持ち得ない、壮絶な個性と魅力だった。 今も目の前で描きあげられ...
  • 7-309
    理想郷 水滴が残る緑の葉。水溜りに流れる青空。ふうわりと明るくなる視界。    …お前は知ってるか?いや、その顔は知らないな。    雲の切れ間から陽の光がカーテンみたいに地上へ差す現象を、    「天使の梯子」って言うそうだ。    俺は見ての通り宗教とか神なんか信じない性質だが、    こんな時ばかりは天国とやらが存在しているんじゃないかと思う。    ああそうだ、ユートピアとは別の意味らしいぞ?    あれは「どこにもない場所」や「理想的な場所」という意味だそうだ。    まぁそういう意味では天国とそう違わないのだろうけどな― 小中高と同じ学校の奴が言っていた、夢のような国。 俺にとっては、お前が教えてくれたそのすべてが夢幻じゃないかと思うくらい輝いていた。 大嫌いな梅雨や気象現象を初めとする赤点理科だって、 一瞬にしてお前が魔法をかけて色...
  • 24-389
    モブキャラ×当て馬 「こんにちは」 「誰だっけ、あんた。……ってああ、思い出した。ごめんごめん」 「慣れてます。俺、誰だっけってよく言われますから」 「だからごめんって」 「名前、あるんですけどね。呼ばれないから。あなたが羨ましいです、名乗り呼ばれる名前があって」 「そうかあ?登場しただけで邪魔者扱いで嫌われ者なんて、うんざりするけどな」 「俺はそういう感情すら向けられませんから。あなたが羨ましい」 「僕からしたら、あんたの方が羨ましいよ」 「なぜ」 「そういう感情を向けられないから。憎まれるとか目の敵にされるとか拒絶されるのってしんどいよ?  片方は、一応でも好きになった相手なんだからさ。振られるとわかってても」 「あなたはそれでも、あの人を好きなのをやめなかった」 「そりゃあね。僕は最初からアイツに振られるために、アイツとあの野郎の絆を深めるために、 ...
  • 24-329
    低身長×高身長 俺の彼氏は可愛くてかっこいい。 しかも頭もよくて女の子にも評判がいいんだ。 反対に俺は無駄に高い身長と赤っぽくなってる地毛のせいで怖がられる上に頭も悪い。 なんで俺なんかと付き合ってくれてるのかいつも不思議に思う。 「俺なんかアキトに釣り合わないよな」 溜め息と共に何となく出た言葉にアキトはほっぺたをプクッと膨らませた。 「何言ってんの?こーちゃんは可愛いよ!」 こんなでかぶつのどこが可愛いんだ。アキトの方が数倍も数十倍も可愛いのに。 そう言うとアキトは俺の腕を引っ張り少し背伸びをした。 「こーちゃんの可愛いとこは僕だけが知ってるんだよ、誰にも見せたくないよ」 背伸びをしているため少しだけアキトの顔が近く見えて鼓動が高鳴った。 なんか恥ずかしくなり顔が熱い。 たぶん耳まで赤くなってるだろう。 アキトはちょっとだけ笑うと俺の頬を撫でた。 「...
  • 24-339
    ぱっと見A×Bと見せ掛けて実はB×Aなのかと思ったらやっぱりA×B おい、明日遊びに行くぞ。空いてるだろ。 うん!俊と遊びにいくの久々だよね!すっごく嬉しい! 「うわあ、相変わらず俊は自由だな…」 「対して、信也くんは健気だよね」 「俊の友達…つうより寧ろ忠犬?」 「確かに…あ、でも」 じゃ、あの服屋な。 俺が行きたいって言ったこと覚えててくれたの!? くっつくな。 嬉しい! 離れろ阿呆が! 「何だかんだで、俊くんは信也くんの行きたいところとか把握してるよね」 「まあな。そういや今日の信也の弁当、俊が作ったんだろ?俊は信也の彼女かっつうの」 「本当に!?……僕も啓介くんのお弁当欲しいな」 「あ?龍太何か言った?」 「な、何でもないよ!」 久々のデート。信也は常に笑顔だった。そりゃ、俺は信也の行きたいところも好きな食べ物も、信也...
  • 24-319
    フェラにまつわるエトセトラ エトセトラですねー。 まあ、先ずはごっくん。 無理矢理飲ませるのは、鬼畜攻めは勿論、ピュアなヤンデレにも任せてみましょう。「僕の命たちが君の全身に廻ってるって考えるだけで嬉しい…」受けはこの辺から攻めの異常に気付いてる、けど離れたくない…ヤンデレ×ヤンデルいいよね。 次は、顔射。 エロばか×ツンデレ。 「やべーエロい!一度したかったんだよね!」「ふざけんな!」こんなやり取りは素敵だ。あと、この時の受けは色黒であってほしい。何でかって?分かるだろ。 最後に、受けが無理矢理。小悪魔→←真面目。 「ヤっていいんだよ?ほら、おっきくなった。だから、体だけでいいから…」って泣きそうに迫りなよ。幸せになれよ、すれ違いハッピーエンド万歳。 あと番外編では、バカップルのいちゃつきで読みたいな。ないんだよね、抜きっこはあっても、ふぇ...
  • 24-399
    死ぬまで愛してると、死ぬほど愛してる お前は俺をなんだとおもってやがるんだ。 夕日に照らされて真っ白い壁がオレンジに染まる部屋で俺はお前に言った。 段々と暗くなる空は赤と青のグラデーションが綺麗すぎて泣きそうになった。 お前は少し困った顔で笑いながら俺の頭を撫でている。 「ヒロ、泣かないで?」 「泣いてねぇ」 俺を撫でる腕は細く青白かった。 「ちゃんと食ってんのかよ。また痩せたんじゃね?」 「大丈夫、最近は調子いいんだ」 そう言ってお前は笑ったけどそんな嘘すぐにわかるほどユキトは痩せこけていた。 「ねぇヒロ。さっきの話だけど…」 「うるせぇ、病人は早く寝ろ」 「ヒロ…」 止めろ。聞きたくない。 空はあっという間に青に染まりうっすらと月がみえる。 「今年の花火大会は諦めてやるから来年こそは行くぞ」 「ヒロちゃんと聞いて」 いやだ。聞きたくないんだ。 ...
  • 6-309
    浴衣でグチョグチョ GWにうちの田舎の祭りを見ないか?とあいつから誘われた。 かなりの田舎町だし、余り面白い祭りじゃねーけどなーと言われたが 画一的な団地育ちの俺には、田舎の祭そのものが未知の領域だ。 今の時期だと、田植えの祈願祭で、地元の乙女があぜ道で 豊作祈願を謳うのだろうか、それとも神社で祈願祭だろうか。 夜には屋台が出て、わたあめとかイカヤキを食べながら祭り見物だろうか。 やっぱりここは、浴衣がいるよなあ。 ワクワクして浴衣を着用して見に行った祭りはすごかった。 田んぼの泥ぶつけ祭りだとは思わなかった。 おろしたての浴衣は、泥にそまってしまった。 いや、それよりも。 村の外からのいけにえとやらは、普通女がなるものじゃないか? 浴衣は泥だらけだが、浴衣の下はもっとどろどろにされた。 田舎町は恐ろしいところだった。 浴衣でグ...
  • 8-309
    両思い未満純情エロス 目が覚めて、横を向くとこいつの顔がある。 そんな日常にも慣れてきた。 大学の入学式の日、散る桜を見つめているお前に一目ぼれしてから2年。 『暇な時に呼べば来る。フットワークの軽いダチ』そんなポジションにおさまってから1年半。 ずっとそれでいいと思ってた。卒業までこんな関係が続くんだと思ってた。 でも、あの瞬間、友達という関係は崩れた。 最初は酔った勢い。今は惰性。 きっとお前はそう思っているに違いない。 でも、俺は・・・・・・ 揺れるのは俺の心だけでいい。お前は何も考えず、このまま。惰性でいいから。 気持ちが溢れ出して、お前のきれいな寝顔にキスをした。 両思い未満純情エロス
  • 21-309
    ノンケ×ノンケ なんでもよくできる人の良いノンケAと、努力してもAに追いつけない嫉妬屋のノンケB ノンケAが好きな女の子に、告白されたノンケB ノンケAに初めて勝った気がして、ノンケBはそのまま女の子と付き合う事に その事をAに報告すると A「そうか、良かったな!俺はきっぱり諦めるから、彼女を幸せにしろよ!」 と言って無理に笑って去って行くA やっとAに勝てたのに、少しも嬉しくないB 彼女との時間を邪魔しないようにと、だんだんBを避けるようになるA 何故か解らないけど、それがとても悲しくてしかたないB Bが実はAに惚れていたと気がつくのはずっとずっと先 他の人には優しさを振り撒くけど、あの人だけは嫌がる顔が見たい
  • 15-309
    忘れないで 故郷の街を離れて、もう4年になる。そしてあの日からも。 突然の異動命令だった。空路を利用しなければ半日はかかるような、遠い地への。確かに入社時の面接で独身であることを強調したように思うが、それでも大切な人がいないわけではなかったのに。 彼とは高校以来の付き合いだった。男子校の特殊な雰囲気に呑まれたのかどうかは今となっては定かではない。けれど大学の4年間も共に過ごして、一度も後悔はしなかったところを見ると、自分も彼もそういった素質があったのかもしれない。 「…行くのか」 何年もの時を彼と過ごしたマンションの部屋、その玄関に立つ自分を見て彼は言った。ああ、と短く答える。 「連絡は、くれなくていい。お前の生活を壊したくはない」 彼がそこで言葉を切ると、僅かな沈黙が二人の間に降りた。耐えきれなくなって、もう行かなくてはと言った主旨のことを告...
  • 27-309
    絶望×希望 目覚めると、光の無い場所に私はいた。 自分の存在すら危うくなりそうな漆黒の闇に、私は包まれていた。 不安ではなかった。闇は、ずっとここにいたいと思うような心地よさで私をあたためた。 時折聞こえる囁きは、寂しさを拭ってくれた。言葉はわからずとも、その存在を感じていられた。それだけで充分だった。 永遠に思える時を共に過ごしてくれたのは、その漆黒の闇だけだった。 ある時、真上から光が射し込んだ。 その瞬間、闇は大きくうねりながら光の方へと消えた。 行かないでくれ――と叫ぶ暇もなかった。 光は私を照らしたが、その刺すような眩しさは私にとって苦痛でしかなかった。 人は私を、箱の中に最後に残った希望と呼んだ。 闇は、絶望を招く災厄と呼ばれた。 あの闇が、どれだけの時を私と共にし、私を慰め続けたかを知らずに。 私にとって...
  • 25-309
    おかん気質攻め×素直に甘えられない受け 「だから、ネクタイ曲がってるって」 朝に弱い俺は、こいつが毎朝起こしに来ても『寝坊』に近い。 そんな忙しない時間だというのに、こいつは悠長なことばかり言っている。 「これぐらい普通だろ。だれも気にしねぇよ」 「誰も気にしなくても俺が気になるんだから。ほら」 「いいって!」 「よくない」 このやりとりを繰り返しながら他の準備を終え、鞄を持って廊下へと出る。 これ以上続ければ、こいつも仕事に遅れることになる。引き際はそろそろ。 ならば強行突破だと、玄関へ向かおうと足を踏み出したとき。 左腕をひかれ、そのままこいつと対面した瞬間、 首元にかかる強い圧力と、唇に当たるやわらかい温度。 俺が状況を把握しようとし始めた絶妙なタイミングで離れたそれとは反対に、 俺の首元が引っ張られている原因であるネクタイは握られ...
  • 11-309
    夏休み クーラーの効く部屋。テレビの音。それ以外は虫の声も聞こえない。 はじめて、一人で過ごす夏休み。 去年までは当たり前のようにお前が隣に居て「宿題教えてー」とか言いながら笑ってたのに。 あの頃は、ほんとにいつでもそばにいたのに。 はずみでキスしてみたり、……もっと凄いことしてみたり、些細な事が何一つ今では当たり前じゃなくなってしまった。 いつも、邪魔だとかうざいとか疲れたとか、今思えばひどいこと言ったかもしれない。 でも一度も、本当に嫌だった事なんてないってお前は知ってた? 知らないだろ。毎回捨て犬みたいな目ぇして。……ま、いつも折れてた俺も俺だけど。 でもあの頃は、人の気配のない部屋がこんなに寂しいなんて思わなかったんだ……。 正直、あの日常がずっと毎日続くと思ってた。 おかしいよな。たった2年しか一緒にいなかったのに。 でも、2年も一緒に居...
  • 20-309
    男前が恋に落ちる瞬間 まさか、自分がこんなことになるとは思わなかった。 「先輩、大丈夫ですか? これ飲んでください」 心配そうな表情の後輩が、ストローのささったスポーツドリンクのペットボトルを持ってきてくれた。 「悪い……」 普段は一気飲みすることもあるそれを、ストローでちびちびと飲む。 正直辛いが、一刻も早く熱中症を改善するには水分とミネラルの補給が不可欠だ。 中学の頃からずっとやっているんだから、暑さには慣れているはずなのだが。 油断大敵、といったところだろうか。 今や防具のかわりに冷たいタオルにくるまれて道場の片隅に寝かされ、後輩に世話をやかれている。 ああ、何たる失態。 「おい、タクシー来たから、今からちょっと動かすぞ」 「タクシー、ですか?」 「ああ。もうすぐ大会だからな、体を大事にしてもらわないと。念のため病院で見てもらえ」 熱中症ごときで病...
  • 13-309
    二卵性 久々に語ってみる。 二卵性と言えば双子だよね! 例えば男同士で、まったく似てない双子の場合。 弟が身長が高くて兄が低い(兄は拗ね気味)、兄が体育会系で弟が文系。 趣味も得意分野も顔も好みも、全く違うと良い。 全然似てないのに親の趣味で色違いでお揃いの洋服着せられたりして、端から見るとただのペアルック。 双子なら学年が同じなのもおいしい。学校行事は全て押さえられる。 小さな頃から、家でも学校でもいつも一緒だった弟が、別の高校(偏差値高い)にいっちゃったりして、兄は少し寂しく感じたりするといい。 弟は脳天気な兄の寝顔を見ながら、「せめて同じ顔だった、こんな思いを抱かずにすんだのでは…」とか葛藤すると良い。 でも二卵性なら男女の双子もまた捨てがたい。 例えば顔がそっくりだった場合。 攻めに一目惚れした受けが妹のふりして攻めに近づいたり、何らかの事...
  • 23-309
    先生 先生萌えって何よ? 教師萌えだよ派.┬─ 生徒とのカップリングがいいよ派         │    ├─ 先生が攻めだよ派         │    │   ├─ 性的な意味でも生徒指導しちゃうよ派(性職者派)         │    │   ├─ こっそり付き合ってるよ派(多重禁断愛派)         │    │   └─ 卒業まで待つよ派(倫理重視派)         │    ├─ 先生は受けだよ派         │    │   ├─ 夜の保健体育は俺が教えてやんよ派(下克上万歳派)         │    │   └─ 先生は恋する気持ちも教えてくれました派(年下健気攻め派)         │    ├─ 生徒の片思いこそ至高だよ派(初恋は実らない派)         │    └─ むしろ恋愛感情なくていいよ派(師弟愛推奨派...
  • 19-309
    あいつなんかより俺を選べよ 体育くらいしか取り得の無い俺でもこの時期は辛い。 昼飯前の空腹と蒸し暑さで頭がフラつく。 だけど俺の顔色が冴えないのはそのせいばかりでもない。 「二人組みで柔軟してそのままパスの練習」 いつも通りの教師の言葉で俺の視線は勇樹を探すが、彼の視線は他の所に向いている。 「佐々木、組もうぜ」 クラスでも目立たない、口数も少ない佐々木がどこか居心地悪そうに頷いている。 勇樹は子供の頃から正義感が強くて人が良い。 一人で孤立している奴がいると放っておけないくらいに。 そろそろ授業が終わる頃、 運動音痴の佐々木がボールを取り損ねて派手に転んでいた。 俺は心の中でざまあみろと呟いた。 吐き気がする。 そんな自分にも、誰にでも優しい勇樹にも、ボールを取り損ねた佐々木にも。 「お前、熱...
  • 18-309
    手袋 「寒い、さむい、サームーイー!」  横でギャーギャー言っている相手を一瞥して、俺は深いため息をつく。 「うるせぇ、喚くな、みっともねえ」 「だ、だってよ、寒いもんは寒いんだよ!それともナニか?お前寒くないのかよ?」 「ああ。どっかの誰かと違ってちゃーんと準備してきたからな」  呆れの混じった声で返すと、ぐっと言葉を詰まらせる。  季節は冬、そして時間は夕暮れ近く。  いくら日中は暖かかったからとはいえ、映画の終了時間から計算すれば帰る頃には気温が下がるとバカでも判るはずじゃないか。  なのにこいつはコートも着ないで待ち合わせ場所に現れた。  帽子かマフラーか手袋くらいは持っているかと思ってたけど、そんなの全然用意してないと、日も既にとっぷり暮れた帰りの電車の車中で言ってきやがった。  ――お前、本気でバカ以下だな。 「……仕方ねえな。手袋でよけりゃ貸し...
  • 22-309
    噛み合いっこ 噛み合いっこ派     │     ├─ 近すぎて殴るよりこっちのほうが早かったんだもん派(小学生のケンカ派)     │     ├─ キスマークだけじゃ足りないんだよ派(好き好き大好き超愛してる派)     │     ├─ いっそ食べてしまいたいぐらいなんだよ派(ヤンデレ同士派)     │     ├─ お互いの血が一番美味しいんだよ派(吸血鬼同士派)     │   └─ お前は血、俺は肉でちょうどいいじゃん派(ギブアンドテイク派)     │     ├─ 噛み合う事で痛みを知るんだよ派(子犬のじゃれあい派)     │   └─ 噛み癖を治すため噛まれる痛みを教えるんだ!派(飼い主とペットが同レベル派)     │     └─ 歯を立てられるのがたまらないんです派(ドM同士派)          └─ お前が先に噛んだん...
  • 24-399-1
    死ぬまで愛してると、死ぬほど愛してる 「死ぬまで愛してる」 そういった草野は死んだ、トラックとキスして。 馬鹿な奴。相手のドライバー居眠りじゃないかってまぁそいつも死んじゃったワケだけど。 ああもう俺は誰を恨めばいいのかとか。 誰も恨まないで良いように草野が運転手まで連れてっちゃったのかとか。 もう8年も、瞼の裏には横断歩道の黒と白、それに本来加わるはずの無いお前の赤。 フラッシュバックがなんだお前に会えるなら安いもんだ。 トラウマがなんだ、俺はまだこんなにもお前を愛してる。 「死ぬまで愛してる」 そう言った草野。 難しいことを考えるのが嫌いだった草野。 なぁおい死ぬまでって、誰がだよ。俺かよお前かよ。 お前だったらもう8年も経っちゃってさ、乾パンだって期限切れるっつうの。 それとも俺が死ぬまでかよ、なんとか言えよ草野。 お前知らねえの?俺まだあ...
  • 24-329-1
    低身長×高身長 君に関する僕の特権。 一つ。抱きつくと君の心臓の音が聞けること。 触れるたび君が生きてる証拠を聞けるなんて最高だ。 君は僕らが抱きしめあうと僕がコアラ状態になることを気にしてるみたいだけど、僕は君に抱きしめられ るのが好きだから、全く問題ないんだよ。 二つ。キスするときに背伸びできること。 男の身に生まれながら、彼氏にキスするときのオンナノコゴコロを味わえるなんて、なかなかお得な人生 じゃないか? 少なくとも僕はそう思っているよ。 散々恥じらってから僕のために屈んでくれる君のキスを待つのも大好きだ。 三つ。セックスのときに君のやさしさを全身で感じられること。 重いから、っていつも下になって、でも無反応はいけないって、いつも一生懸命応えてくれる君が、僕は いとおしくてたまらない。とても、とても恥ずかしがりやの君なのに。 不慣れ...
  • 24-369-2
    背中合わせ 扉をぶち破った俺の目に飛び込んできたのは、剥き出しの背中に焼印を押し付けられている彼の姿だった。 「他人の背中というものは、こんなにも温かかったのですね」 彼はそう言って、こちらに身体を傾けてきた。 俺は少しだけ前のめりになったが、ぐっと腹に力を入れて押し留まる。 すると彼はくすくす笑いながら、更に体重をかけてくる。まるで子供がふざけているようだ。 「おい」 軽く諌めると、背中から「すみません」と苦笑交じりの声が返って来た。 「こういう事は初めてなものですから、とても新鮮で」 「俺だってこんな状況ねえよ」 男二人、後ろ手に縛られてまとめて鎖でぐるぐる巻きに拘束される状況など。 目の前にある鉄の扉に思い切り蹴りを入れた。当たり前だがびくともせず、足に痺れがはしる。 全身に力を込めてみたが、鎖の戒めが緩むこともなかった。人の身ではどうすることも...
  • 24-339-1
    ぱっと見A×Bと見せ掛けて実はB×Aなのかと思ったらやっぱりA×B 「なあ、俺、お前のことすきだよ」 二人で宅飲みをした夜、話のついでにひょいと言ってみたときの、奴のポカン顔ときたら最高だった。 「……………、………は、?」 次の発言までたっぷり40秒。パズーなら鳩逃がして家を出るレベル。 あーそのジワッジワ赤くなる顔とかすばらしいね、連写モードで撮影したい。 そんでコマ撮り動画にしてやりたい。 俺が表情を真顔から一ミリも崩さず、だまってじっと見つめていたら、 奴の顔はとうとう鎖骨のあたりから額まで真っ赤になってしまった。 「なん、なに、……いきなり、……」 ようやく何やら突っ込もうとしているようだけど、焦りすぎて言葉がわやわやだ。 かわいー奴め。 ほんとうに、こいつは言葉で感情を表現するのが不得手だ。 口に出す前にやたら考え込むし、 考えす...
  • 24-369-1
    背中合わせ 「あらら、見事に囲まれてんな、俺ら」 「ざっと20頭はいますね。しかもみんな尻尾が赤いですよ。  レッドテイルキメラ、キメラの中でも一番どう猛な種類ですね」 「この辺りにはツノツノネズミしかいないって情報、やっぱりガセだったか。  どうもうさんくさいと思ったんだよな、あの商人…」 「まんまとはめられてしまいましたね。貴方は喧嘩っ早くて  すぐ手が出るからあちこちで恨みを買っていますものね」 「恨みを買ってるのはあちこちで毒舌吐きまくってるお前の方じゃねーの?」 「僕は正しいと思うことを正しい表現で伝えているだけですよ……って、  その話は後にした方が良さそうですね。 「だな。んじゃ、俺の右手の方向が若干手薄っぽいからあそこを突破しようぜ。  合図したら突っ込むから魔法で援護頼むわ」 「それはいいですけど、えーと、その…腰の方は大丈夫ですか?  ...
  • 3-309-1
    耳かきと反対側の綿毛 俺は硬くて長くって、太さはそんなにないけど、奥を良い感じに責めることができると自認してる。 近年は綿棒なんて輩が幅を利かしているが、穴攻めの伝統は俺が担っているようなもんだ。 俺の反対側にいる奴、あいつ名前梵天って言うんだけどよ、ふわふわのぽやぽやで頼りない。 奥にしがみついてるブツを剥がすことなんてできやしねえ、力仕事に汚れ仕事ができないひ弱な奴だ。 おっと仕事か。さあどうぞご主人様。おっ、これまた大物がいたな、こいつを始末して、っと。 おお喜んでもらえてるぜ、大物だったしな。こちらも汗水垂らした甲斐があったってもんだ。 「おつかれさま、じゃ次僕が行くね」 背後でふわふわのぽやぽやの声がする。ご主人様もお喜びのようだ。ちぇっ、後から来たくせに自分も手柄顔かよ。こいついっつもこんな調子だ。 「今日もいっぱい仕事し...
  • 6-309-2
    浴衣でグチョグチョ  彼が私の秘書になって約三年、私達は共に数多くの非常に有益な事業を、着実に成し遂げてきた。それもひとえに彼の優秀さと鋭敏な感性と、真摯な人柄のおかげである。彼の仕事を一言で表すならまさに「かゆいところに手が届く」であり、まったく彼と出会えた事は私の人生の中でも最も大きな収穫の一つであると思う。  だから今日、彼の多少困った一面を見ることになったくらいで、私の彼に対する信頼が揺らぐわけは、もちろんない。 「ほら…白河君、そんなところにいたら危ないだろう。こっちにおいで。」 「…専務…っふ、くっくくっ……お、お父さんみたい……」 「ははは…。」 浴衣姿の優秀な部下に、温泉旅館の庭園にある松の木の上から見下ろされるというのはなかなかシュールな情景だが、いくら細身とはいえ男の体重をいつまで松の枝が支えられるかわからない。 「…部屋に戻ろう、白河君。ほら...
  • 5-309-1
    気持ちいい? せっかくの晴れた日曜だというのに、僕たちはワンルームの部屋の陽だまりで、ごろごろ 寝転がっている。 結局はこういう時間が一番幸せなんだと気づいたのは、高校生だった僕らがすっかりオトナに なってからだった。 特にすることもないし、話なんかしなくても気まずくなったりしない。 ぼーっと寝転がっていた彼の頭の白髪なんかを探して、それだけで時間はのんびりと流れていく。 「あ、見っけ」 「また? そんなある?」 「あるある。これで、えーと……十四本?」 「数えんなよ、そんなの」 「えい」 「あだっ! ……だから抜くなよ、増えるじゃん」 抜いた白い毛をこたつの上に乗せるのを見て、彼は口をぷうと膨らませた。そこには既に十三本の 毛が待機している。 「おしゃれ染めすれば良いじゃん」 「まだ若いっつの」 白髪染めどころかブリーチもしたことの無い髪の毛は、...
  • 8-309-1
    両思い未満純情エロス (流血注意) 夜勤明けで目をしばたかせながらフラフラ歩いていると、後方からガンっと派手な音がした。 振り返れば高校生のガキが何やら蹲っている。電柱にでもぶつかったのだろう、鼻を覆った手の指の間から赤い血が見えたので、持ち合わせの脱脂綿を詰めてやった。 ついでに自販機からポカリを買って、鼻の頭に押し付けて冷やす。詰襟から覗いている首筋に垂れ落ちたものが多少付着してはいたが、後で洗えばよろしい。 ガキは学校に行け。俺は寝る。 日暮れに公園の脇を通りかかると、見覚えのあるガキがいた。 先日は有難うございました、と、思ったより折り目正しく頭を下げてくる。 並んで立つと俺より図体がでかい。腹の立つ奴だ。公園のベンチに腰掛けて、奴がお礼です、と差し出した缶コーヒーを受け取った。奴はそのまま横に並んで座ったが、何故か何も喋らない。構わず、温かか...
  • 6-309-1
    浴衣でグチョグチョ  彼が私の秘書になって約三年、私達は共に数多くの非常に有益な事業を、着実に成し遂げてきた。それもひとえに彼の優秀さと鋭敏な感性と、真摯な人柄のおかげである。彼の仕事を一言で表すならまさに「かゆいところに手が届く」であり、まったく彼と出会えた事は私の人生の中でも最も大きな収穫の一つであると思う。  だから今日、彼の多少困った一面を見ることになったくらいで、私の彼に対する信頼が揺らぐわけは、もちろんない。 「ほら…白河君、そんなところにいたら危ないだろう。こっちにおいで。」 「…専務…っふ、くっくくっ……お、お父さんみたい……」 「ははは…。」 浴衣姿の優秀な部下に、温泉旅館の庭園にある松の木の上から見下ろされるというのはなかなかシュールな情景だが、いくら細身とはいえ男の体重をいつまで松の枝が支えられるかわからない。 「…部屋に戻ろう、白河君。ほら...
  • チラシの裏(仮)
    チラシテスト投稿 - 2010-04-23 13 57 40 返信テスト - 2010-04-23 13 58 00 テスト便乗 削除はできるんでしょうか・・・ - 2010-04-23 14 24 13 返信テストも便乗 - 2010-04-23 14 25 00 ツリーテスト。削除はどうなんだろ… - 2010-04-23 14 40 40 削除は出来ないよ。ログの方の削除は編集者権限でできるけど。 - 2010-04-23 15 18 12 ログの方を削除したら、こっちのページにも即時反映されるみたいだ。 - 2010-04-30 17 05 42 携帯からテスト - 2010-04-24 02 37 48 700の場合お題と違ってるから、収録しない方がいいのかな? - 2010-04-25 20 19 24 テンプレ違反扱いになる? -...
  • tiralog
    チラシテスト投稿 - 2010-04-23 13 57 40 返信テスト - 2010-04-23 13 58 00 テスト便乗 削除はできるんでしょうか・・・ - 2010-04-23 14 24 13 返信テストも便乗 - 2010-04-23 14 25 00 ツリーテスト。削除はどうなんだろ… - 2010-04-23 14 40 40 削除は出来ないよ。ログの方の削除は編集者権限でできるけど。 - 2010-04-23 15 18 12 ログの方を削除したら、こっちのページにも即時反映されるみたいだ。 - 2010-04-30 17 05 42 携帯からテスト - 2010-04-24 02 37 48 700の場合お題と違ってるから、収録しない方がいいのかな? - 2010-04-25 20 19 24 テンプレ違反扱いになる? ...
  • 18-309-1
    手袋 「なあ、頼むよ。この通り」 「頼むよってったってなあ……」 俺は困り果てた。 目の前には、フローリングに頭をこすり付けんばかりに懇願してくる男やもめがいる。 美人だった奥さんに先立たれて5年、当時産まれたばかりだった息子を抱えて こいつは今まで本当に良くやってきたと思う。奴とは学生時代からの親友で、 そんな事になってから俺も出来ることがあれば今まで協力はしてきたし、 これからも望まれるならいつだって力になってやるつもりだ。 しかしこれは。 「頼む。俺、編み物できる知り合いなんかお前しかいないんだ」 「出来るって言ったって、俺も素人に毛が生えたようなもんだぞ……  それに、そんなやり方でいいのかよ」 事の発端はこうだった。 奴が目の中に入れても痛くないほど可愛がっている一粒種が、 幼稚園で手編みの手袋を友達から自慢されたのだそうだ...
  • 22-309-1
    噛み合いっこ 「痛いって!やめろ!」 いつものことだから後ろに回られた途端すぐに避けたつもりだったのに、俺の肩にはくっきりと赤い歯型が残ってしまった。 「あーあ…」 長袖の季節ならまだしも、夏だから肩をだすこともあるのになぁと毎度のことながらうんざりした。 そんな俺の表情に、森下はニヤニヤと底意地悪そうな笑顔を浮かべて「ごめんごめん」と言った。反省の色なんかこれっぽっちも見えない態度である。 「反省してるならやめろっていつも言ってんだろ馬鹿野郎」 「愛情表現だって。つーか、お前だってノースリ着なきゃいいじゃん」 「何で俺がお前に合わせて服選ばなきゃならねぇんだよ。ふざけんな」 もう別の部屋に行こう、と思い、読んでいた雑誌と飲みかけのコーラを手に立ち上がった。 そうして森下に背を向けると、背後から「どこ行くんだよ」と聞こえた。 「別に」 「答えになってねぇし」 ...
  • 12.5-309
    パパがライバル 一番の味方は一番身近に居るという。 しかし、一番の敵も一番身近に居るという。 俺の場合、後者だけははっきりしていて。それは母親でも妹でも姉でもなく。 「てめぇぇぇ!人のデータで勝手にクリアすんなって何度言ったらわかんだコノヤロウ!!」 「うるせぇなお前こそ父親を『てめぇ』呼ばわりしてんじゃねぇクソガキ」 「お前なんか父親だなんて思ったこともねぇよ!!…母さんと姉貴が居たらぶん殴られるからいわねぇけどな!」 「胸はって言うな」 目の前にいるこの男は、戸籍上では俺の父親ということになる。 五年前、俺の本当の父親だった刑事が死んだ。逃げた強盗を取り押さえる際の怪我に因る殉職というやつだけど今は割愛しておく。 その父親の後輩がこの男だった。 父親の葬式に現れて、精神的にぼろぼろだった母さんを支えたりしているうちに仲良くな...
  • 24-409
    非の打ち所のない人間×底辺であがく男 「頼む!雇ってくれ…!」 目の前で土下座をしているのは、かつて僕を苛めていた元同級生だ。お洒落かどうか分からない派手だった服は、今やボロボロの布を纏うだけ。髪の質は傷みに傷みまくり、手も傷だらけで荒れまくっている。 …何だっけ。澄ました顔がムカつくだっけか。教師に媚び売ってる優等生ちゃんとも言われたか。女はべらかすな…あ、これは別の人に言われたのか。 「…なあ、同級生のよしみじゃねえか。昔は水に流そうぜ、な」 黙っている様子に、怒っているのかと思ったようだ。だが、僕は怒っていない。いや、寧ろいい機会だった。 父親の後を継ぐ為にはエグいことをされるだろうし、するであろう、そういう未来を確信していたから。まさに客観的に辛い苛めという機会は、いい機会だったのだ。 「……お前、何も変わってねえな」 「はい?」 「...
  • 24-609
    鬱な夏休み ともだちに会えないから夏休みは嫌い。 高校生になってまでそんな思いをするなんて。 「なあ、お前いつ戻ってくんの?」 夏休みの間、寮から実家へ帰省するルームメイトにそう声をかけた。 荷造り真っ最中。でっかいボストンバックがみるみるうちに膨れ上がる。 「そりゃギリギリまであっちにいるっしょ」 「デスヨネー」 「なに、俺に会えなくて寂しい?」 「うっぜ。マジうっぜ。早く帰ってくるならそれだけ課題写す余裕ができるだろ」 「馬鹿かオメー、絶対写させねえからな!」 げらげら笑いながら悪態を付き合う、こんな他愛もないやり取りも、1カ月半はお預け。 会いに行くには近すぎる。遊びに行くには遠すぎる。そんな距離。 「でもさー、俺は寂しいよ」 「――は?」 「地元帰っても超アウェイだからなー、去年帰って身に...
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