*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「25-119」で検索した結果

検索 :
  • 25-119
    離れてしまった幼馴染み 今時、文通なんて流行らない事をやってる奴はそうはいないだろう。しかも男同士で。 チヒロからの手紙は、教科書のような綺麗な文字と丁寧で上品な文体。まるで小説のようだといつも思う。 それに比べて俺は、小学生が夏休みに無理矢理書かされされる日記のようにお粗末だった。 友達と買い物に行っただの、サッカーの試合に勝っただの。 そんな意味のない近況報告のようなやりとりを、もう十年近くも海をまたいで続けているから驚きだ。 そう、彼はずっと日本に住んでいて……俺は今、ドイツで暮らしていた。 『いつか絶対に、君に会いに行くよ。』 チヒロの手紙の最後にはいつもその一文が書いてあったけれど、一年前ほどからソレが無くなっていた。 俺は内心ほっとしていた。チヒロがやっと、俺に会うことを諦めてくれたのだと思っていた。 だが、実際は全くの逆だった。 ...
  • 5-119
    トーテムポール 「見て見て!これトーテムポールみたいじゃね?」 お前、大学生にもなってなにやってんの? 正月早々、暇だからって遊びに来てさぁ。 親戚来るって言っといただろ? 1歳の姪を抱っこして、幼稚園の従弟を頭の上に乗せて、中学生の弟肩車してさ。 しかも酔っ払いの親父が姪の下に参加しやがった。 顔縦に並べてんじゃねぇよ。 俺の血縁関係のツラが縦に並んでる中でお前かなり浮いてるし。 つーかトーテムポールって神様だかご先祖様うんぬんじゃなかったっけ? 酒臭そうなオッサンの顔とぐずりかけてる赤ちゃんと鬱陶しい笑顔と俺と激似の馬鹿面でできたトーテムポールとかありがたみもクソもねえ。 あんまりにもバカバカしかったから、吐き捨てるように言ってやった。 「正月につまんねえ事してんじゃねー」 気色悪いトーテムポールに背を向けて、コップに入った酒を舐める。 ...
  • 15-119
    真面目な後輩×遊び人先輩 「体壊しますよ」 怒った声が降ってきて顔を上げれば逆行の中、後輩の伊藤が怖い顔で立っていた。 タバコを手元の缶に押し付けて消すと最後の煙を肺から吐き出した。風にのった煙は 伊藤へかかることもなく、空気の中へ溶けていく。 「いーんだよ」 へらっと笑って答えてやれば伊藤の眉間に更なるしわが加わる。 俺が練習をサボって帰ろうとするとよくこの顔で校門に立ちはだかったなぁ、既に引退 した部活動の日々を思い出す。 「よくありません」 その声も変わらず、全く一緒。 「ところで、部長が立ち入り禁止の屋上にいていーの?」 「話をそらさないで下さい」 あまりにまっすぐな目がこちらを責め立てる。いたたまれなくなって僅かに視線を逸らした。 「怒るなって。俺、ニコチン星の王子だから、たまに摂取しないと死んじゃうの」 だから、ね...
  • 5-119-1
    トーテムポール 『土産はトーテムポールでいいか?』 電話で何の前触れもなくそう言われたとき、俺は大笑いしながらも確かに断った、はずなのだが。 「なんで本当に送ってくるかなぁ…」 激しく場所をとる得体の知れない物体を眺めながら、俺は小さくため息をついた。 旅に生きる彼は、一年の半分以上を海外で過ごす。語学力も冒険心もない俺はいつも置いてけぼりだ。 ひょっとしたら英語さえも通じないような国から、彼は土産と称して訳のわからないものを送ってくる。 ギョロ目の木の人形。まじないに使うらしい仮面。時代を間違えたような石器。何かの動物の骨。 ちぐはぐなラインナップは単純に彼のセンスが悪いだけだ。理解するのに三年かかったが。 そのコレクションに、やたら背の高い置物が加わった。 あまり大きすぎるものでなくて良かった。庭しか置き場所がなかったりしたら、近所の目が痛い。 縦に...
  • 25-199
    真っ直ぐな人と裏のある人  時折、お前が眩しい。 いつだったかお前が太陽みたいだと例えたことがあったけれど、それは嘘じゃない。 また適当なこと言って、と笑っていたけれど紛れもなく事実だ。 優しくて明るくて格好良くてまっすぐで可愛くて、輝いていて。 俺にとっての太陽はお前なんだよ。  だからこそ、本当に時々。眩しすぎるお前は俺に暗い影を落とす。 何もかもがダメで汚い俺の、濁った感情を全て浮かび上がらせる。 「や、 やだ、 やめ、ろ……」 「嫌だ」 「と、もあ、き」  きっかけは些細なことだ。単なるヤキモチ。それだけ。でも俺の狭い心をぐちゃぐちゃにするには充分なほどで。 赤らんだ頬に綺麗な涙が一滴流れる。 慌てて彼はそれを隠すけれど、その表情をもっと見ていたくて、右手を無理矢理にどけた。 すると恥ずかしそうな表情で、見ないで、とハスキーな声...
  • 25-139
    軽薄色男受けが本気になる瞬間 軽薄色男受けにも種類がありますよね 1:ビッチ受け  今まで快楽のためにとか、金のためにとかで気安く通りすがりの男と関係を結ぶ受け  そんなビッチ受けがある日、真実の愛に目覚めちゃうわけですよ!  その辺の男に対しては気軽に体を開いていたのに、本命攻めに対しては処女のようにウブになってしまう受けはもはや様式美ですよね 2:軟派受け  美男子で賢くて運動神経も良い受け。当然周りの女の子達が放おっておくわけがありませんよね  周りからキャーキャー言われてヘラヘラする受け  女の子をつまみ食いするもよし、ヘラヘラしているけれども誰とも付き合わないってのもいいですよね  で、モブとか当て馬から  「あんなに可愛い子達がいるのに、何で誰とも付き合わないんだよ」  とか言われちゃうわけですよね   可愛い女の子達に本気になれない受けが...
  • 25-169
    大人びた子供×大人気ない大人 「タカノリー!!帰ったぞー!ビール!」 「の前にシャワー浴びて下さい」 「嫌だー!ビール飲みてえ!」 「スーツが皺になるでしょう。じゃあせめて着替えて下さいよ」 あぁめんどくせえ、生意気だなぁとぶつぶつこぼしながら、ちゃんと手洗いうがいはしてくれる。 「営業で疲れてるあんちゃんをもっと労れ~」 「何か言いましたか。はい、これ並べて」 好物のムニエルを見て目を輝かせ、口から出かかった文句を忘れてしまう31歳。 童顔なのを差し引いても、一回り違う大人とは思えない。……可愛い。 「ちぇー、冷てぇ甥っ子だぜ。せっかく月に一度の早帰りデーだってのによお」 「だから晩メシ豪華にしてんだろ」 「……え?」 居間に一人ぼっちの食事の味気なさが分からないのか。あんたの笑い声のない食卓のつまらなさが分からないのか。 自分一人のために、まともな料理...
  • 25-179
    徐々に好きになる  最初はただの共演者だった。 同業者で、いい声をしてるなあ、演技うまいなあ、とその程度の認識。 でも少しずつ、仕事が重なる機会が増えて、彼の中身が見えるようになってきた。 それが俺たちのファーストステップ。 「あれ、それ、健くんも好きなんだ?」 「え、うん」  そういって話しかけられたのがセカンドステップ。 背後からそう言われて驚いたのも、いい思い出。人に引かれてしまうほどにはゲームオタクだった俺にとって、 同様の趣味を持つ同年代の友人は貴重すぎるほどに貴重だった。 それから確か、話すことが増えた気がする。 「今度俺に服選んでよ」 「ええ? なんで」 「健、センスいいじゃん。ね、お願い」  服選びという名目で二人で出かけたのが、サードステップ。 これがきっかけでちょくちょく遊びにいくようになったのを、覚えて...
  • 25-159
    犬好き×猫好き 「お前は犬に似てるよね」  賢哉様は着物の裾を翻し、俺を見上げながら微笑んだ。 大きくて黒い犬。それが俺のイメージらしい。 僅かに首を傾けてそうですか、というと、彼は困ったように笑いながら「そうだよ」と返してくる。  歩を進めると玉砂利の音が響いて、その品のよさすら賢哉様に合っているような気がした。 「賢哉様は、犬はお好きですか?」 「ああ、好きだね。従順で愛らしいじゃないか」 「……俺は愛らしいですか?」 「ああ。俺なんかに仕えるところが愚かで愛らしいよ」  爪先で砂利を弾いて、嘲るようにつぶやいた。 愚かなものか。貴方は仕えるに相応しい人、なのに。 そういいたくて仕方なかったが、口を噤む。何を言ってもこの人は、理解しようとしないから。 光栄です、とだけ呟けば、賢哉さんは黙り込んでしまった。 静かな沈黙が落ちて、広がる...
  • 25-109
    ドン引き、でも好き×好きすぎてド変態 最近あいつが怖い。いや怖いのは以前からなんだけど、なんというか、いつにも増してというか。 少し前だってやけに静かに台所に立っているかと思ったら、 俺のパンツを煮込んでいた。昨日履いていた紺色のボクサー。 洗濯しようと洗濯機の中に突っ込んでいたはずなのに。 「なんでてめえ俺のパンツ煮込んでんだよ!」 「だって食べたかったからさー、お前だって食べたいだろ?俺の手料理」 「いや……まあ、お前の手料理は食べたいけれど、 でもパンツはねえよパンツは! つーか鍋どうすんだよもう使えねえじゃねえか」 俺の罵声にも興奮するのが気持ち悪いを通り越して怖い。 今だってそうだ。フェラするのはいいけれど、必ずと言ってもいいほどチン毛を抜いてくる。 痛い! と叫ぶと肩を大きく揺らして驚いた後、にへらと薄い笑みを浮かべてそのままキスをしてくる。 口の...
  • 25-149
    弟に依存する兄と、依存されていることに気が付かない弟 いつも通りの夕飯を終えて2階へ上がっていく弟の背中に、僕はいつも通りに声をかけた。 「春也、宿題たくさん出たんだって?兄ちゃんが手伝ってやろうか」 じりじりとした気持ちの揺らぎが声へ現れないよう、頭痛がしそうなほど細心の注意を払った。 弟の答えもいつもと同じ。 「なんでだよ。自分でやるからいいよ」 「そうか、わからないところがあったら言えよ」 僕の答えもいつもと同じ。 「ありがと。おやすみ」 「ああ、おやすみ」 カチャリと軽い金属音を残して閉まった部屋の扉を、僕はいつまでも眺めていた。 こんなことを考えている間にそれほどの時間が経ったのだろうか。はっきりとした感覚がない。 自分の立ち位置すら不明瞭に感じる。 それは2年前から徐々に、僕を蝕んでいた。 15歳の誕生日を目前に控えた春也が、深夜に僕の...
  • 25-129
    常連客の紳士×髭のマスター マスターの作るコーヒーは日本一。いやあ、世界一だよ。強面髭親父が作るコーヒーとは思えない! 「はいはい。休日に毎週来るなんて、あんたも暇人だね。ほら、ミルクいるんだろ」 ぱあっと顔を明るくする様子は、まるで5歳の子供。嬉々とミルクを手に取る。紳士服と表情が全く合わない。 どうしたんだい?そんなに見つめて。コーヒーと私の姿が似合って仕方ないのかい?それとも、君が飲んだら髭にミルクが付くなあとか? 「黙って飲め、ばかものが」 溜息を吐いてもにこにこと見つめてくる。ミルクを楽しそうにコーヒーへ入れている。 黙っているじゃないか。そもそもお客様がいない! 「あーはいはい。もう熱くないからさっさと飲め」 そうすると、ずいっとコーヒーを見せてきた。カップの中には白いハート。 僕は紳士的な気の利い...
  • 25-189
    傭兵 やっぱり、傭兵なんてロクなもんじゃねぇや。 腕っ節にはそれなりに自身もあり、運もあった。 気付けば『黒の狂犬』なんて呼ばれて名も知れ渡り、荒稼ぎして、そこらの貴族連中よりずっと賢い生き方をしてるんだと粋がっていた。 それが今となってはザマだ。 掃き溜め以下の場所に死体と一緒に打ち捨てられた俺自身、何で生きてるんだか… こんなことになってまで運の良さを発揮されても困るってもんだ。いっそ、おっ死んだほうが良かったのにな。 血の匂いと腐臭がめちゃくちゃキツくて、生きてた喜びなんて微塵もねぇ。 「あー、血が足んねー…」 意識がだんだん遠のいていく。 クソみたいな人生をクソみたいな場所で終わらす。それもお似合いかもしんねぇな。 最期は一人で静かに死ねるってんだから、上等なもんだ。 「おい、そこのゴミ。………死んだのか?」 一人で静かに死ねる。 その...
  • 3-119
    本当は両思いなんだけどお互いに片思いだと思っている (鈍いから両思いだということに気づいていない) 「なぁ、そういえばお前って好きな奴いんの?」 鈍い鈍いあいつが、酒のグラスを片手にそんな事を聞いてきた。 「あ~、……まぁ一応…。気になってる、っていうか、なんかまァそういうのは」 嘘だ、本当は目の前の相手が好きで好きで溜まらない。 そう言った俺に、あいつは驚いたような顔をして。 「マジでー…?!へぇ…知らなかったな。そっかそっか、…ちなみにどんな奴?」 一瞬驚いた眼をしたアイツが、今度は興味深そうに身を乗り出してきた。 この反応で俺は確信した。こいつ、俺ン事何とも思ってねーわ。 …あー畜生。 「まぁ…詳細は秘密だけど。すっげぇ鈍い奴でなー、どうやってアプローチしたもんか責めあぐねてんだよ」 「うっそ。狙った獲物は逃がさない、女殺しのお...
  • 25-139-1
    軽薄色男受けが本気になる瞬間 トロトロ書いてたら被ったのでこっちで萌え語りさせて下さい 恋愛的な意味や性的な意味で本気になる軽薄受けも萌えますが 個人的には戦闘的な意味で本気になる受けを推したいと思います 軽薄で色男、きっと情報を仕入れたり助っ人にするには重宝するけど 一生背中を預ける相棒としては心もとない微妙な存在なのでしょう そしてそういう性格になったのにも暗い過去やらトラウマやらがあるのでしょう そんなめんどくさい受が本気になる程惚れるまで攻は相当苦労したと思います 「そいつは止めとけ」と周りに反対され、実際に何度か受けに裏切られ それでも受けを信じ背中を支え預ける事の出来る男前な攻めさん そんな攻が瀕死のピンチになり逃げる事も出来ない絶体絶命の時こそ受けが本気を出すのです 明らかに格上の敵に囲まれ、攻めに「僕なんか置いて逃げろ!」と言われ それ...
  • 7-119
    また、明日 ゆっくり歩いて、今日もふたり、並んで自転車を押しながら、帰り道、人気のない河川敷をゆく。 他愛ないくだらない話をしながら、意味もなく笑いあいながら、僕たちはふたり、歩いてゆく。 芹沢が自転車通学だと知ったのは高校に入って一週間が過ぎたころで、 電車通学にあこがれていたはずの僕は、定期が切れるのを三ヶ月待って、その後すぐに 自転車通学に切り替えた。 理由なんて単純だ。ちょっとでもたくさん、こいつと一緒にいる時間が欲しかったから。 そしてこうしてふたりで帰るようになって、もう二年以上が経とうとしていた。 一年生のときにクラスメイトだった僕たちは、何かの縁でもあるんだろうか、二年生のときも、 三年生になった今も、同じ教室で授業を受けている。 それについて僕は「これって運命じゃない?」とことあるごとに茶化し、 芹沢は「んなわけねーよ」とこと...
  • 9-119
    dat落ち 失くしてみて初めてその大切さに気付く。 何とも愚かなことですが、人生はその繰り返しですね。僕は駄目な人間です。 あなたが居なくなって早一週間が経ちました。 あなたの不在を思うと、毎日の生活も色が失せたように味気なく、 僕にとってこれほど大きな存在であったのかと、その都度打ちのめされる思いです。 思えば、半年前にあなたと出逢ったときから、 命尽きるまで僕の傍らに在るものと、露ほどの疑いもなくそう信じていました。 しかしあなたは突然、手の届かないところへいってしまい、 僕はその思い出ばかりを眺めて過ごす日々です。 仕事が忙しくて、あなたのことがおざなりになってしまった時期もありましたね。 こんな別れになるなら、もっともっと構ってあげればよかった。 今更のように、そんなことばかりを思います。 しかし、在りし日のあなたの姿は、僕の中から消...
  • 2-119
    慇懃攻め 「コーチャ。紅茶飲みたい。」 「かしこまりました。」 「ケーキも。」 「かしこまりました。」 「………。」 「如何なさいました?」 「……………なんでもない。」 僕が何か言うとこいつはすぐにそれを叶えてくれる。 当たり前だ。うちの執事だから。それが仕事だから。 ただ、それだけ。 「お前は僕の言うことならなんでも聞くよね」 「それが私の仕事ですから」 「………」 仕事だからなんでも言うこと聞くのなら。 僕を好きになれって言ったらどうするんだろう。 慇懃攻め
  • 6-119
    貴方を愛していた 「…で?」 「え?」 「いや、だからさ。いきなり呼び出されて、大切な話があるっていわれて  それで…そんなこと言われたって、困るだけだし」 「そう、ですよね…」 「………」 「ごめんなさい。貴方のこととか全然考えないで…変なこと言って…」 「……は?」 「あ、あの。忘れてください。このことは、綺麗さっぱり」 「おい、ちょっと待てよ!」 「本当にすみません。もう、忘れてくださ…」 「あ、こら泣くな!」 「手…離して…っ」 「離せるわけないだろ、このバカ!  お前が俺を愛していましたっとか言われたって、お前をまだ好きな俺はどうすればいいんだよ!」 「………え?」 「だーかーらー、告白するときに過去形にするバカがどこにいるんだって!!」 貴方を愛していた
  • 1-119
    下克上 俺様な後輩(不良)×頼りない先輩(真面目くん) 後輩は一応丁寧語を使うんだけど、やっぱりどっか偉そうで。 校則破りまくりんぐな後輩に先輩は注意をしようとするんだけど、 怖くて注意できない。 で、先輩が怖がるのをいいことに後輩は先輩を屋上かなんかで思いっきり 襲っちゃって欲しい。 後輩「俺が怖いの?○○さん」 先輩「そ、そんなこと…」 ここはあえて鬼畜攻で。で、段々愛が芽生えてくという…w ひ、非常にへぼ(ryでスマンカッタ_| ̄|.............○ 引っ越し屋×洗濯機
  • 8-119
    ビール×焼酎 俺よりずっと酒に弱いはずなのに、お前の手には氷の浮かんだ焼酎のグラス 俺はビールの泡を舐めながら、ほんのり色づくお前の横顔を、特等席で鑑賞する。 酒が入ると雄弁になり、涙もろくなり、しまいにはぶつぶつ文句を言いながら寝てしまうお前。 お前の身体に触れることができるのは、お前が酔った時だけだ。 徐々に減るグラスの中身と、酔いで虚ろなお前の瞳。 交互に眺めているうちに、ビールの気が抜けていく。 受けにデレデレドS攻め×ホントはベタ惚れ流し受け
  • 4-119
    むっちゃ元気! 「おい。起きろよ。起ーきーろ。」 良い夢を見ながらレム睡眠を貪っていた攻めはぺちぺちと頭を叩かれる感触に目を覚ました。 「んぁ……?」 「昼休みだぞ。いい加減起きろよ」 目の前には呆れ顔の受け。 そうだ、さっきまで見ていた夢にも受けがいた。そしてあんなことやこんなことや……。 寝ぼけた頭で反芻する。 攻めは入学当初に受けに一目惚れをしたものの嫌われるのが怖くて何も言えずにいる。 ヘタレである。 「メシどうする?食堂行くんなら付き合うぞ」 「あー……。」 寝ぼけ半分で立ち上がりかけた攻めの脳は急速に覚醒した。 高速で再び椅子に腰を下ろす。 「行かねーの?」 「いや……ははは先行っててくれねー?」 立ち上がれない。立ち上がれるわけがない。 何故なら勃ち上がっている。まさにむっちゃ元気!な状...
  • 19-119
    「ん?」  詩人でもないのに、そんな柄じゃないのに、時折、ひどく感傷的になることがおれにはあるのだ。  例えば今夜みたいな、月が半分しか姿を見せていなくて、やけに静かで、呼吸を邪魔するような ものが何も無い帰り道。おれの履き古したサンダルがアスファルトにこすられて、ざり、と立てる音が、 こいつの履いている黒くなめらかに光る革靴の規則正しいリズムが、誰も居ない街外れの道路に 響くから、おれはおれ一人ではどうしようもなくなってしまう位に、ああ、こんな夜のせいで、 涼しい夜風のせいで、寂しいなどと。つい、思ってしまう。  さりげなくちらりと盗み見たこいつの顔は、憎らしいほどいつも通りで、多分、頭の中で 先ほど寄ったコンビニのドアの効果音なんかを流してそれにあわせて歩いていたりするのだろう。  余裕が無いのはいつだっておれのほうだ。コンビニ袋を持った手が軽...
  • 11-119
    寿命の違い 「しょうがねぇだろ」 そう言って伯父は僕の頭をなでた。いつもは子ども扱いを嫌う僕も、その時ばかりはされるがままになっていた。 「寿命が違うもんよ。人間と犬は」 その犬は、動物好きな僕に伯父が買ってくれた犬だった。伯父のことを毛嫌いしていた母から(勿論勝手に犬を買っ てきたことにも腹を立てていた)僕は伯父に会うなと言われていた。しかし、犬の散歩と言う口実で近くに住む伯父の 家に行り浸り、名目通り散歩をし交流を続けていた。伯父と関係を保てたのは犬のおかげだった。ひどい話だが、そ の時僕は犬が死んだことよりも、犬を通して伯父と作った思い出が一緒に消えるのではないかと怯えていたのだと思う。 「俺も明後日行くけど、そん時は泣くなよ?」 怯えた原因は犬が死んだ翌々日が、伯父が海外へ旅立つ日という事もあったと思う。もう少しこの犬が長く生きたら、 その分だけ伯父が一緒...
  • 17-119
    下着の上から 脚の間で、俺を下着一枚に剥いた男が中途半端にエロいことをしてる。 「ん、んっ、ぁう……っトモっ」 草食動物に食まれる草って、きっとこんな気持ちだ。 もにもに、もしゃもしゃ、はむはむ、もしゅもしゅ、生殺し。 何度もいたぶられて、ひと思いにがっついてくれないの。 「と、とも、っ……あっ」 もどかしくてたまらない。 トモの厚ぼったい上唇と下唇が、下着越しに長い時間をかけて猛らせた熱を食む。 もにもに、揉み込むような動き。ときどき、舌でぐいぐい押し戻される。じれったい。 下着の前は俺の先走りとトモの唾液でしとどに濡れて色が変わってる。 もう、全部もどかしいしじれったい。 「トモ、トモぉ、も、無理、……いやだっ」 ついに音を上げると、トモがふっと顔をもたげた。にやりと、笑う。 「ひぁっ、あ!」 布地を押し上げている亀頭を微妙な加減で吸い、それから優...
  • 13-119
    スリーセブンorラッキーセブン のどかな朝のにおい、俗に言う閑静な住宅街沿いの道を、三人の少年が歩いている。 と、そこに新たな少年が一人加わって、三人に挨拶をした。 「あ、スリーセブンだ。おはよう」 「それは俺たちのことか」 「当たり前だろ、本城兄弟」 本城兄弟―通称スリーセブン。長男七海、次男七生、三男七斗。 ―両親はゲンかつぎと博打が大好きな根無し草で、今は三人で暮らしている。 「心外だな。俺たちはそのあだ名を許したわけじゃない」 そう言うのは、長男の七海。 「そうそうっ、スッゲーダセーもん、スリーセブンなんて」 唇を尖らせながら、末っ子の七斗が言う。 次男七生は顎に手を当てて黙っていたかと思うと、長男の頭をがし、と掴んで撫で回した。 「確かにスリーセブン、ってのはちょっとおかしいなー。最初のセブンが こんなに小っちゃかったら、バランスが悪いだろ」 ...
  • 26-119
    いたずら電話 ここ最近、シュウがワン切りを仕掛けてくる。元々悪戯好きで、ターゲットになることは多かった。 多かったけれど、10回連続ワン切りのみという馬鹿みたいなことはしたことはなかった。 もしかしたら何か聞いて欲しいことがあるのか、と尋ねてみたが、「そんなのねーよ死ね」と散々なことを言われてしまった。 「(何もない、わけじゃ、ないと思うんだけど)」 夕食を終えて、食器を洗いながら思う。いつも俺を見かけるたび、くすぐるなり突然大声を近くで発してみたりするのに、それもなし。 講義の途中で隣に来て、何かしかけてくるかと思いきやまじめにノートを取るか眠るだけ。 最初は何をたくらんでいるんだ、と思ったけれど、だんだんとそれが心配に変わってきた。 悪戯されないならされないなりに喜べばいいのに、心配になってしまうあたり、俺がお人よしと呼ばれるゆえんなんだろうか。 次はワン切りを...
  • 21-119
    旅先での再会 空港から外に出ると照りつける陽射しにみまわれた。 「あっつ。これ日傘必要だな。どーする買う?」 「女子か。いらねぇよ」 5月だというのにこの暑さ。 俺と一哉は沖縄にきていた。 最後を迎えるために。 「別れよう」 もう限界だろう、と一哉がいったのは1週間前のことだ。 俺たちは高校の教室で出会った。 ふたりの関係が親友から恋人へと変化をとげてから4年半。 大学生になり、就職も決まった俺たちの間には、気づけば大きな溝が生まれていた。 それは俺たちが半端に大人になってしまったせいだった。 好き、だけでずっと一緒になんていられないのだ。 自分の将来、周りの人間、相手の未来。 昔は見なくてよかった現実を日々思い知る。 そうしていつしか、その好き、ですら本当にあるのかもわからなくなった。 一哉のいうとおりだった。 俺たちもう、限界なんだ。 ...
  • 23-119
    マイクテスト 「あーあー、マイクテストマイクテスト。体育館聞こえてるー?」 テストだと名言しているにも関わらず、体育館の中で文化祭の準備をしている生徒からイェーイ!と歓声が上がった。 文化祭ももう明日、ってこともあって振り切れてるヤツが多いんだろうと思ったけれどそう騒ぐ性格でもない俺は驚くだけ。 隣で暗幕の準備をしていた高橋も、呆れた顔だった。 マイクテストをしていたのはステージの内側にある放送室からだろうから姿は見えない。 けど、その声が知り合いのものだからって事もあるんだと思う。 「…あの声って」 「桜田だろ?あいつ放送担当だったし」 だよな、と高橋が相槌を打って、溜息混じりに視線を手元に置いていた暗幕へ戻した。 その間も桜田は放送室から適当な事を喋り続けている。テストにしては長いだろ、これ。 「マイクテストー、体育館音量大丈夫?愛してるよー!」 「ばっ...
  • 18-119
    今年最後の大告白 一昨年も恋をしていた。去年も恋をしていた。 それから今年も、ずっと。 2年参りである。今年も二人きりで。もはや恒例行事なのである。 「今年も野郎二人でお参りとか、寒いにもほどがあるよな」 「文句言うなら断ればいいだろが」 「だって、一人きりで年越し寂し過ぎるんだもん」 「…また降られたんだってな、ざまあ」 「どうしてもクリスマスから後が続かないんだよね、これが」 「ざまあwww」 恋をしていた。している。今年もずーーっと。叶わない恋を。 「つうかさ、お前もさ、彼女つくればいいのに。つくんないの?」 「……いらね」 いらない。お前がいればいいよ。 「いらねえ。面倒くせえし、ダチとつるんでるほうが楽だし」 「またまたー。そんなこと言って、イベントの度にこいびとほしー、って俺に言ってくんじゃーん」 こい...
  • 22-119
    攻めにだけ甘い受け レモンは孤独だった。 いつも一人ぼっちというわけではなかったが、彼は孤独だった。 元来、彼自身が直接口にされることは稀である。 そのため彼は、砂糖をその身に纏ったり、クリームに身体を沈めたりしていた。 ときには、果汁を搾り出して抜け殻のようになることもあった。 それらはある意味、自分を偽る行為と言えたが、彼は気にしていなかった。 強い酸味は己の宿命であることを、彼は充分に理解していたのだ。 そしてそれ故に、自分のあるがままを受け入れられることは難しいことも。 いくら味を薄められ誤魔化されても、この酸味が必要とされるなら、それで良いとも思っていた。 ただ、自分を見て周囲が眉をしかめ「酸っぱそう」と囁く度に、彼の心は少しだけ痛んでいた。 ところがある日、そんな彼の前に一人の男が現れた。 彼の名はミラクルフルーツ。 彼は笑顔でレモンに言...
  • 10-119
    ピロートーク 「それでさー、その試験の単位必須だから落としたらやばいのに教授が変なやつでね。 『試験の範囲は言いません。まがりなりにも人間心理を学ぶ君たちなのだから私がどこを試験範囲にするのか、授業を聞いていればわかるはずです』 とか言ってんの。意味わかんなくない?なんで俺らがよく知りもしない教授の心理を考えられるんだよ」 あーあと呻きながら彼は枕に突っ伏した。 真剣に付き合うより、時間が合うときに会って快楽を貪りあえるようなそんな相手を求めて入ったゲイバーで彼と会った。 過度に染めすぎていない髪に、一目で気を使っているとわかる服装と男の自分が目線を上げないと目が合わない位置にある頭。 何より笑うとふにゃ、と崩れる顔が可愛くて声をかけられるままホテルへと行ったのが始めだった。 そんな始まりから3ヶ月が経った今もこうやって会っている。もちろんセックスくらいしかすることは...
  • 16-119
    愛してはいけない人 「ご結婚、決まったそうですね。おめでとうございます」 仕事終わりの合図であるコーヒーに砂糖を2杯溶かし、社長室のシンプルな椅子に座るまだ年若い幼馴染に差し出す。 「それ、本気で言ってるのか」 いつもより低い声がかすかに震えているのが分かる。 「ええ、秘書として社長の幸せを喜ばしく思っていますよ」 「そうじゃない!」 縋るような目で見上げられる。 若くして父親の会社を継ぎ、毎日それなりの人数を動かしている男のものとは到底思えない情けない表情。 「好きだって、言っただろう」 「何のことです?」 「俺がずっと、学生の頃からお前が好きだと言ったとき、お前も俺が好きだと言ったはずだ」 「はい、言いましたね」 じゃあなんで、というような表情で僕を見上げる。なんて情けない。 そうか、僕の前では貴方の弱い部分も全部見せてください、なんてくだらない台詞を...
  • 28-119
    着膨れ 冬になった途端、こいつは二回りほど大きくなった。 別に太ったとか身長が伸びたとかそういうことではない。こいつの成長期は既に終わっている。 ようするにこいつは、極度の寒がりなのだ。 「…お前今日何枚?」 「うー…五枚、かなぁ」 「着過ぎだろ女か」 「だって寒いんだからしょーがないじゃん…うぅ、もうちょい着てくればよかった…」 もこもこ、そんな擬音が付きそうな格好でまだ寒いと言うか。完全防備にも程がある。 「高校が私服のとこで良かったな、お前」 「寧ろそれで選んだし」 「アホか」 ゆっくりと歩く通学路に俺達以外の姿はない。毎回着替えるのに時間がかかるこいつに合わせて早めに家を出ているから、皆が登校し始めるにはまだ少し早い。 ふと悪戯したくなった。 数歩前を身体を縮こまらせて進むこいつの、赤くなった頬に手袋をしていない...
  • 14-119
    タイムリミット 「俺はさ、幸せものだったよ。お前といられて」 ちゃんと言葉になっていたか? 泣いてばかりのお前の耳に、俺の言葉は届いていたか? それが聞きたいのに、もう言葉を発する力はなくて。 余命一月と宣告されてから、仕事をやめてお前の家に棲みついてやった。 最初は迷惑がってたお前も、家に帰れば「おかえり」「ただいま」と言える 初めての経験に、少しだけ嬉しそうだった。 夜はただ、お前の心臓に耳を当てて眠るだけで満足だった。 『今日はまだ生きている』それだけで、深く幸せな夢を見られたよ。 お前に飯を作って 二人で笑って食べて 他愛もない会話で盛り上がって 先に寝たお前にそっと毛布を掛けて なぁ、そんな毎日が、俺にはたまらなく幸せだったんだ。 だから泣くな。 それが一年でも一日でも遅いことを願っているけれど、 いつか...
  • 3-119-1
    本当は両思いなんだけどお互いに片思いだと思っている(鈍いから両思いだということに気づいていない) 大好きなヤツがいる。 でも、あいつが俺のことを好きなわけがない。 あいつにとって俺はただの先輩。 ポジションが同じだから、他の後輩よりは少し仲がいい。 でも、それだけ。それだけのはずなのに。 ときどき勘違いしそうになる。 あいつがあんな目で俺を見るから悪い。 きっとあいつにとっては、スタープレイヤーを見る目と変わらないはずなのに。 俺は期待してしまう。 あいつが俺に惚れてるわけがないのに。 大好きな人がいる。 でも、あの人が俺のコトを好きなはずがない。 あの人から見たら、俺なんかただの後輩。 ポジションが同じだから、そばにいる時間が少し長いだけ。 それだけ、ただそれだけのはずなのに。 ときどき勘違いしてしまいそうになる。 だ...
  • 2-119-1
    慇懃攻め 「紅茶を」と言われれば紅茶を。 「ケーキを」と言われればケーキを。 それが私の仕事。 しかし彼の望むことならなんでも叶えてあげたいと思うのは、 それが仕事だからだけではない。 幼い頃からずっとお世話をしてきて、それが今も当たり前の ように続いている。 そしてこれからもそれがずっと続けばいいと、それだけが私の願い。 私の想いを知ったらきっと彼は困るだろうから。 天才×秀才
  • 6-119-1
    貴方を愛していた  養父の葬儀が終わったあと晩餐に顔を出したくなくて、屋根裏部屋にこもってずっと窓から外を見ていた。この家に初めて連れてこられた日の事なんかを思い出しながら。あれからもう15年も経つ。 「電気も付けないで、何やってるんだ。」 声をかけられて振り返ると、扉の傍らに兄が立っていた。 「お疲れ。…もう全部終わった?」 「当たり前だろ、何時だと思ってる。泊まり客もとっくに部屋に引き上げた。」 そう言うと兄は埃のつもった家具の間を通って、窓際の壊れたベッドに座っている俺の隣に腰掛けた。 窓から入る明かりで、兄の顔がよく見える。 「…昔よく二人でここに隠れたな。台所からくすねた菓子持ち込んで。」 「兄貴この箱とか、ふつうに入ってたよな?小ちゃかったなぁ。」 「お前なんか、つい最近までちいさかった。」 大きくなって、とからかうように俺の頭をなでる。子供みたい...
  • 7-119-1
    また、明日 夕日が遠くて、朱すぎて目が痛くなった。 沈む太陽を背に、もう一度奴は投球フォームに入る。スローなその動作の最中、ズバンと音を立ててボールが俺のミットに納まった。 慣れてるとは言え、もう何時間。いい加減手が痛い。 目が痛いのも、見えにくくなったボールのために目を凝らしたせいだと気がついた。 俺の返したボールを受けて、奴がまたフォームに入る。もうちょと、か。 腰を落として構えた俺に、奴は少し妙な顔をした。振り上げた腕を下ろす。 「?どうした?」 「いや、いい。・・・今日はもう止めとこう」 「何言ってんだ。夏のレギュラーの発表までそんなに間はないぞ。 ベンチ、入りたいんだろ?」 「いいんだ、今日は。もう帰ろう」 言いながら、奴は俺の横をすり抜け、フェンスの後ろのバッグを手に取った。 「待てよ」 俺は慌てた。置いていかれるのが嫌だったんじゃない。 「...
  • 9-119-1
    dat落ち 「それじゃ!名無しにもどるよ」 そう書き込んだ君は、それを最後に本当に現れなくなった。 見慣れたトリップはもう使われないんだろう。 『ボロ原付で日本を一周するスレ』 そんなスレがたったのは、一ヶ月くらい前だったか。 「スペック 男 18歳 童貞 原付歴1年半 相棒もうpしとく」 お決まりの文句とともに書き込まれていたURLをクリックすると、 そこにはホントにボロとしか言いようがないカブが どこか頼りない後姿の君とともに写真でうpされていた。 君は左手を細い腰に当てて、右手は人差し指を伸ばしたポーズで立っている。 その指先をたどると『名古屋駅』の文字が見えた。 細い体の君と、ボロボロのカブ。 「無理だってwwwwwもう止めとけwwww」 そう煽られる事もあった。 でも君は気にする様子も無く、旅を続けた。 そしてその...
  • 19-119-1
    「ん?」 「なーなー、聞いてんのかよ」 「ん?」 「だから!明日の最終の夜行列車!発車時刻はわかってるよな?」 「ん」 「なにその適当な返事。ホントにわかってる?」 「最終」 「そうだよ最終列車だよ!でもなんか今の言い方ですげー不安が増した!逆に!」 「ん?」 「今の、耳に入ってきた単語を適当に繰り返しただけだろ?アンタやる気あんの!?」 「ああ」 「その『ああ』はどっちへの『ああ』だよ!」 「後者」 「本から目ぇ離さずに言われても、全然説得力ねーんですけど!?」 「ああ」 「だから『ああ…』じゃねえっつーの!自覚してるんなら改善しようぜ改善!」 「ん」 「心こもってねえ……いいやもう。とにかく!明日の最終の夜行列車だからな!」 「ん」 「発車時刻は二十二時、五十三分!脳髄に刻み込めよ!?」 「ん」 「あーもー…知ってるけどな!アンタの性格...
  • 27-119-1
    攻めが受けを語る 投下しようと思ったのに躊躇してたら寝ちゃってた 攻めが受けの家族長期不在の実家に帰えるところから始まります ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 攻「あれ?お兄さん帰ってたんですか」 受兄「おう!お前さあ…昨日のまんまだったぞ、ベット」 攻「はい?あ!すみません!昨日、その…そのまま寝ちゃって…」 受兄「いやいや弟を(性的に)可愛がってくれてどうも。で、あのツンツン弟ってどんななの?」 攻「そっそんなこといったら怒られます!」 受兄「いいじゃんここだけの話だからさあ~」 攻「言いませんよ!」 受兄「実は俺、彼氏が出来てさ、どんなことしたら喜んでくれるか知りたいんだよね」 攻「え?そうなんですか?…絶対内緒ですよ?」 受兄「うんうん俺のために人肌脱いで!ぁ」 攻「まあ僕が一番嬉しいのは受のおねだりですね。ちょっと焦らしただ...
  • 17-119-1
    下着の上から 酒の後の喉の渇きで目が覚めた。 室内が暑くて、エアコンの設定温度を一気に3度下げる。 すぐ横に横たわる大きな寝姿。同僚の鈴木が飲んだ後で泊まっていったのだ。 着替えたTシャツと、トランクスから伸びる重たそうな足。 鈴木と組んで2年目になる。長くとも1年でチームが代わるうちの職場では異例のことだ。 仕方がないだろうと自他共に認める。 「何しろベストコンビだからね、俺と上川先輩は」 自信満々に鈴木が笑う。何言ってるんだ、去年はあんなに不安そうな顔してたくせに。 無理もない、転属してきて、まったく経験のない部署に来て、 面識もなかった俺と組んで、それが噂になるほどの愛想無しと来ては不安にもなるだろう。 うち解けるのに、さほど時間はかからなかった。 人間、相性というものがある。俺と鈴木はよく合った。 人柄が軽快で愛想の良い鈴木と、堅苦しく押しの強...
  • 14-119-1
    タイムリミット 駅までチャリで15分。 時計は午後6時48分。 <今日午後7時の新幹線。> メールが届いたのが、今朝。 無視するつもりだった。 行かないつもりだった。 『忘れてやるよ、お前のことなんて』 心にもない言葉が、ずっと枷だった。 よりによって最後の日に喧嘩した。 理由は忘れた。たぶん些細なこと。 苛立っていた俺は、酷い言葉ばかり吐いた。 苛立っていたわけは、子供のような独占欲。 …離れたくない。 ただ、それだけ。 『忘れてやる』と言ったくせに、ちっとも忘れられなかった。 嘘。あいつの笑顔やふざけた顔が、全然浮かんでこなかった。 最後に見た泣きそうな顔だけが、脳裏に焼き付いたまま離れなかった。 …俺の記憶の中のあいつは、ずっと泣きそうな顔のままかもしれない。 絶対、嫌だ。 遠くで列車到着のアナウンスが鳴る。 階...
  • 10-119-1
    ピロートーク 睦言に憧れていた。 子供の頃からの夢だった。いつか好きな人が出来て、その人と結ばれることが叶ったら。 情熱的な告白とかじゃなくてもいい、映画に出るような洒落た言葉じゃなくたって。 ただ朝ごはんは何にしようかとか、ドアちゃんと閉めた?とか、そんな他愛のないことを確認し合いながら、 おやすみ、とどちらともなく穏やかに眠りに落ちるのだ。それで十分甘いはずだ、そんな些細なやりとりさえも。 だけどぼくはゲイだったし、だから好きになったのも当然男のひとで、厳しい目をしたそのひとは その上妻子持ちと来た。諦めるべきだと思った。初めての恋も、子供の頃からの夢も。 未だにぼくはあなたが何故ぼくを抱いたのか分からずにいる。 ぼくは自分が思ったより遥かに諦めが悪かった。言ってみればそれだけのことだ。 潔く身を引くことも出来ずぼくはあなたとのことを引...
  • 14-119-3
    タイムリミット 俺の命にはタイムリミットがあった。 小さい頃に心臓疾患が見つかって、俺の両親は『成人式を迎えられたら神様に感謝してください』と言われていた。でも奇跡は起きて、とりあえず俺は成人式を迎えられる。 そしてもうひとつタイムリミットがある。これは自分で自分に決めた時間制限。 「はい、じゃあ胸見せて」 聴診器があたる瞬間はいつも体がこわばる。聴診器が冷たいせいもあるけれど、心臓の音がいつもより早くて緊張するからだ。 「今度、成人式だって? 良かったね。ドーム行くの?」 目の前の人のいつもよりしわくちゃの白衣が気になる。また病院で寝たのかな。 「行かないよ。友達と麻雀大会する」 「何、それ。もったいないな。一生に一度だよ?」 髪もボサボサ。でも暇な先生よりいいけどね。 「一生に一度だから、つまらない話を聞くのに時間を使う方がもったいないじゃん」 「こ...
  • 14-119-2
    タイムリミット 「おい吉井、話は聞いたぞ!何でもっと早く言ってくれなかったんだよ!」 「……は?」 昼休みが始まるや否や、目を輝かせながら僕に寄ってきた坂下の唐突な台詞に、僕は大層間抜けな声を出してしまった。 「そうかそうか、吉井がなあ。うん、あんな奴だけど俺協力するからさ!何でも言ってくれよ!」 「ちょ、ちょっと待って。話が見えない、何のことだよ?」 すると坂下は、またまたー、とぼけるなって!と僕の背中をバシバシ叩いた後、 「お前、俺の妹に惚れてるんだろ?」 実に楽しそうに笑いながらそう言い切るものだから、 「…………へ?」 僕は更に間抜けな声を発しながら、坂下の言葉を脳内リピートしていた。 惚れている?僕が、坂下の妹に? 「待っ…何でそんな話になってるんだよ」 平素を装って尋ねる。坂下の回答は、至極単純な物だった。 「ほら、俺が弁当とか忘れ...
  • 10-119-3
    ピロートーク (…妹はいつもこんな風に抱かれているのだろうか…?)  悠樹は気だるさの残る身体でぼんやり考えた。 その隣で煙草を吹かしている『悠樹の妹の彼氏』、迅は相変わらずの 余裕たっぷりな態度で悠樹にニッと笑いかけた。 「ちゃんとイけたか? ゲイの悠樹君?」  もはや彼に反発する気も起こらない悠樹は、 「…ああ、イった、…良かった。もの凄く…」  と、答えた。 「今日はエラく素直なんだな」  迅はそう言ってククッと笑い、 煙草を灰皿に押し付けて、布団を捲って再び悠樹の隣に寝転がった。 悠樹の瞳を覗き込む様な彼の仕草に、悠樹の心臓の鼓動が高鳴った。 「…俺は素直だよ。あんたがわざわざ怒らせなければ」  悠樹は迅の事が好きで好きで堪らなかった。 妹より自分を愛して欲しいと願う様になっていた。 「…迅…、俺ってキモいだろ?」 「…まぁな。キモいよ」 ...
  • 17-119-2
    下着の上から ──あと7ヶ月もある。本当にうんざりだ。 「木島は夏は嫌いかー」 相変わらずのほほんとした口調で先生が話しかけてくる。 放課後の教室はそれなりに暑い。 先生がおごったって言うのは内緒にしとけよ、と言って先生は 俺の額に冷たい缶ジュースを押し付けてきた。 自分でも缶のお茶を飲みながら、先生は俺の机に腰を下ろす。 礼を言って缶を受け取り、一気に飲み干した。 「夏は別に嫌いじゃないんですけど。早く時間たたないかなーって思って」 「早く時間がたったらやばいんじゃないのかー?お前今年受験生だろう」 「受験とかどうでもいい。早く卒業したい」 俺がそう言うと、先生は飲んでいたお茶から口を離して少し笑った。 俺の好きな笑い方。我慢が出来なくなって、先生の隣に座る。 「せんせー…」 「何ー?」 先生は俺の方を見ずに、窓の方を見てる。 「こっ...
  • 10-119-2
    ピロートーク おかしい。 いわゆるピロートークってもんはもっとうこう、甘いもんじゃないのか。 普段は恥ずかしくて言えないこととか、他愛のないこととか、 とにかく二人で余韻に浸りながらイチャイチャと話をするもんじゃないのか。 なのに、どうしてこいつは俺の隣に寝そべったままノートパソコンのキーボードを叩いてるんだ。 「いける!これでいけるぞ!なんで今まで思いつかなかったんだ俺!」 なんだその生き生きした目は。なんだその溌溂とした表情は。 『いける』じゃねーよアホ。今しがた俺にイカされたばっかだろお前。 「……楽しそうだな」 「楽しいというか嬉しいというか、俺って天才?みたいな」 テンション最高の満面の笑顔でこっちを見るな。 ついさっき涙目で俺を見上げて言った「もう駄目」「もう限界」っつー言葉は嘘か。 まさか「早く」とねだったのは早く終わらせたか...
  • @wiki全体から「25-119」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索