*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「25-169」で検索した結果

検索 :
  • 25-169
    大人びた子供×大人気ない大人 「タカノリー!!帰ったぞー!ビール!」 「の前にシャワー浴びて下さい」 「嫌だー!ビール飲みてえ!」 「スーツが皺になるでしょう。じゃあせめて着替えて下さいよ」 あぁめんどくせえ、生意気だなぁとぶつぶつこぼしながら、ちゃんと手洗いうがいはしてくれる。 「営業で疲れてるあんちゃんをもっと労れ~」 「何か言いましたか。はい、これ並べて」 好物のムニエルを見て目を輝かせ、口から出かかった文句を忘れてしまう31歳。 童顔なのを差し引いても、一回り違う大人とは思えない。……可愛い。 「ちぇー、冷てぇ甥っ子だぜ。せっかく月に一度の早帰りデーだってのによお」 「だから晩メシ豪華にしてんだろ」 「……え?」 居間に一人ぼっちの食事の味気なさが分からないのか。あんたの笑い声のない食卓のつまらなさが分からないのか。 自分一人のために、まともな料理...
  • 5-169
    あと一歩が踏み出せないヘタレ攻と俺様受 「馬鹿じゃねーの、あんた。またそんなモン手伝ってんのか。どこまで御人好しなんだよ、ほら貸せ」  呆れた顔をした高瀬はレポート用紙の山の半分を引き取って、俺を見上げている。何だかんだと人がいいのは お互い様じゃないかな、と思うのはこんな時だ。 「い、いいって高瀬。お前まだ足の調子悪いんだろう?」  高瀬は先日、怪我をした。図体がでかいがいかんせん運動神経の鈍い俺がけつまづいた時に、巻き込まれた形 でだ。申し訳ないやら、情けないやらで恐縮する俺に、しかし高瀬は自分が気付かなかったのが悪い、と謝罪 すらさせてくれない。意地っ張りなのか、見得張りなのか。多分両方だろう。でも、そんな素直じゃない彼が、 実は随分と前から俺は好きだった。……未だに、告白すら出来ていないけれど。 「~~っ、もう、過保護……」  舌打ちして、高瀬はわざとの...
  • 15-169
    平民×王子様 荒くれ者の集う酒屋の壁際で娼婦に軽くあしらわれている青年を見て、俺はめまいを起こしそうになった。 炭で顔を汚し、簡素な服を着て上手く化けたつもりかもしれないが、 艶のある髪や手入れの行き届いた爪はいつぞや城で見た姿をすぐに思い起こさせた。 面倒なことは避けたい性分なのだが、さすがに今回は見逃せない。 大股で近付き、金髪の女の肩を叩いた。 「あっちでママ・ルアンヌが呼んでたぜ」 「あら残念。今夜はお別れね、ボク」 女は派手なブラウスに覆われている胸の膨らみを見せ付けるようにして席を離れた。 こちらの気も知らず、彼はのんきな顔で手を振っている。 俺は前の席にどっかと腰を下ろし、彼が飲んでいたらしい酒を引き寄せた。 「あんた、何しに来た。こんな安酒がお好みか」 青年の目が一瞬丸くなり、それから微笑みのために細くなった。 「堅苦...
  • 12.5-169
    年の差、一回り以上 2月3日 日よう日 ぼくは、きのう、お母さんといっしょに、おばさんのうちにいきました。 いとこのはるきにいちゃんと、ウィーをしたり、サッカーをしてあそびました。 はるきにいちゃんは、大がくという、小がっこうじゃないがっこうにいっています。 せがたかくて、サッカーがうまくて、かっこいいです。 いっしょにおふろにはいったら、ちんちんが、ぼくのより大きくて、 かたちもちがくて、ぼくはびっくりしました。 「でっけー。」 と、いったら、 「おれのは、ふつうだし。」 といって、かおがまっかになりました。 おしっこするときみたくさわったら、かたくなりました。おもしろかったです。 だから、もっとさわりたかったのに、にいちゃんにおこられたので、やめました。 にいちゃんは、 「おとなになったら、おまえもこうなるよ。」 と、いいました。 ぼくは、...
  • 2-169
    新人バイト×ベテランバイト 「ここ長いんですか?」 「もう3年目になるかな」 「へええ、そうなんですか」 「年いくつ?」 「あ、先月誕生日で21になりました」 「俺も来月誕生日で同い年になるわ」 「そうなんですか?じゃ俺より少しだけ年下なんですね」 「ああ、でも見えないね。ひょっとして童顔って言われる?」 「いやそうでもないですけど」 「じゃ俺が老けてるのかな」 「そんなことないですよ」 「そんな敬語とかいいよ。タメ年なんだし、俺そういうの気にしない性質だから」 「いや、年はちょっとだけ上でも、俺新米ですから」 「あ、じゃこれ説明するな」 敬語からタメ口に切り替えるタイミングって難しいな。 腕白魔法使い×熱血剣士
  • 1-169
    主従カプの主×従 攻はある一国の王。まだ若く、野心に満ちあふれている青年だ。 受はその王がまだ幼いときから仕え続けている、王の一歳下の青年。 幼なじみでいながら主従でもあるこの二人はとても仲が良かったが、 しかし受はずっと攻にかなわぬ恋心を抱き続けていた。 そんなことなどおくびにも出さず、ストイックに主人に仕える受。 攻はそんな受の気持ちにも気付かず、己の領土を広げることに奔走する。 しかし受は、そんな主人だからこそ愛したのだ。 王は妻をめとり、受にはあまり目を向けなくなった。 だが、それでも受は一心に王を愛し続けた。 思いが届かないのは分かっている。けど、せめて一生傍にいようと、そう決めた。 ある日、王国にてクーデターが勃発する。 それに破れ、路頭に迷う受と攻。 攻は言った。 「もう……無理して俺に仕えなくていいん...
  • 9-169
    年賀状を書きながら 年賀状を書きながら、俺は考えていた。 「恋人に年賀状なんて書くもんだろうか?」 出会って10ヶ月。そういう関係になって4ヶ月ぐらい。 まぁ、そんなに深く考えなくてもいいのかもしれない。 そう思って、書くことにした。 手紙なんてそんなもんは一回も送ったことはない。 おそらくヤツは飛び上がって喜ぶはずだ。 ヤバイ。顔がにやけてしまう。 さて、なんて書こうか。 年賀状はいわゆるハガキなわけで。 郵便局での仕分けとか、配達のときに内容を見られてしまう。 危険だ。非常に危険だ。 1時間悩んで、「これからもずっとよろしく」とだけ書いた。 ヤツは激しく拡大解釈するだろうがな。 そして一月一日。 ヤツから届いた年賀状には、 「マジ超愛してるーーーー!!来年は一緒のベッドで年越ししようね(はぁと)」 といった頭の悪そうな言葉が、...
  • 8-169
    花火大会 「花火は真下で見るのが一番きれいなんだぜ」 とお前は笑って言った。音も凄いし、火の粉も飛んできて大変だけど、 それでも真下が一番だと。 渋る俺の袖を引っ張り、火付け職人さんに挨拶し、自分の父親に俺を紹介する。 打ち上げが始まる、と聞いたお前はいきなりシャツを脱いだ。 心臓の音がうるさいのは花火のせいだ。 印半纏のお前がまぶしいのも花火のせいだ。 「なっ、キレーだろ!!」と俺を振り返って笑うお前を見て、 俺は花火大会なんかに来たことを後悔した。 ウォシュレット
  • 3-169
    良く喋る新人×口下手な上司 「…だからぁ、俺思うんですよねあんた結構えろいですよね」 ことの後のバスルームでぼくの髪を洗いながら、エー君は世間話でもするように切り出してきた。 「…ン?」 「…結構スキものですよね、かかりちょー。」 エー君の指は細くて優しい。いつもどおりにぼくの頭を丁寧に洗ってくれている。 スキもの?…あれ、この子、もしかして怒っているのかな、声がいつもと違う気がする。 「俺こないだアサヒドーのシーさんにあったんですよ、したらシーさん言うんすよ、 あなたンとこのビーさんが最近こなくて寂しいって変な目つきで」 …シーさんの目つきが変なのは前からだよ、あの人ああいう人なんだ…じゃなくて、…。 エー君の言いたいことが分からない。ああいつもより今日はシャンプーが長くて丁寧だなあ。ぼくはさっきから一度もなにも答えてない。 早くなにか答...
  • 6-169
    笑わない人 写真の中のあいつは、いつも堅い表情を崩そうとしない。 日常のスナップでも、人生の節目にあたる行事ごとでも、 彼の端整な容貌は、どこか憂いの帯び翳っている。 「……だって、カメラ嫌いなんだもん」 「ばぁか! いまどき魂を抜かれるだなんて信じているほうが可笑しいよ」 「お前は俺のおばあちゃんが嘘つきだって言うのか!」 「や、や、そうじゃないけど」 こいつの笑顔をなんとか写真に収めたい。 悩んだ俺は、ある名案を思いついた。 「なあ、絵を描くからモデルになってくんない?」 「モデル? いいけど全裸とかは御免だぜ」 「そのまんまでいいよ、五分でいいから、そこの椅子になるべく動かないで座ってて」 新緑の街路樹が見下ろせる明るい窓辺に座ったあいつを、俺はスケッチしていった。 「美大じゃ、写真だけじゃなく絵も描くのかよ」 「おっ...
  • 7-169
    どうして自分じゃなくてあの子なんだろう 右の手のひらから、伝わるぬくもり。 僕はそれがとても好きで、宝箱にしまっておきたいほど大切に想っていた。 けれど、小さなその手はやがて大きくなった。 僕の右手も、あいつの左手までとはいかないが大きくなった。 ぬくもりを感じることも少なくなったけど、 それでも背中合わせで本を読んだりくすぐり合ったりしてじゃれていた。 いつかその日が来るのを覚悟しながら、僕らはまだぬくもりを交わしていた。 それは今日の夕立のように唐突なものだとも、わかってはいた。 でも、今の僕の右の手のひらには、木の葉から落ちた雨粒だけが伝う。 「すぐ、戻ってくるから」と言い残したあいつの姿が、 朧気に揺れる影へと向かって行きだんだん見えなくなる。 わかってる。あいつのあの目は真剣だって。見えない背を追う。 空っぽの右の手のひら。雨粒がぬくも...
  • 4-169
    また忘れたの?信じらんない メール・ボックスは忘れられない彼と交した、忘れられた約束の詰まった保管庫。 消去も出来ずに保存してあるだなんて、執念深い自分が嫌になる。 忙しいなら約束なんてしなきゃいいのに、僕の我儘に付き合って無理して交した約束は、いつも仕事に忘殺された。 「また忘れたの?信じらんない。」 あの日、いつもの決まり文句を投げ吐けて、僕は最後に付け足した。 「もう、ダメなのかな?僕たち。」 すると、彼は寂しそうに笑って 「…仕方ないね。」 と、呟いた。 それが最後。 もう約束を交すこともなく、暫くして彼は、あんなに忙しかった仕事すら放り出して、何処かへ消えた。 彼が姿を消してから2年後、彼の主治医に見せられた彼のトランク。 それは、忘れられた筈の僕との約束と、僕との出合いからあらゆる思い出の詰まった備忘録の山だった。 ...
  • 16-169
    サボテン 春の暖かい日差しがいっぱいの、俺が住むボロアパートのベランダ。 ここのアパートのベランダは隣二部屋ずつで繋がっていて、 俺の部屋は、今年から一緒に上京した幼馴染の蒼の部屋の隣だった。 蒼くん、一緒の大学に行くのならお隣に住んでくれないかしら、ってうちの親が蒼を説得したのだ。 なんでかわかんないけど。 そんな共用のベランダに、あるものを置こうとしていた俺の背中に、鋭い声が突き刺さった。 「おいてめえ、共用のベランダに何置いてんだ」 蒼の声はいつもトゲトゲしている。俺と話すときは特に。いつもバカって言うし。 あーあしかもこの声は怒ってるな。 「え、えっとね、サボテンだよ~ジャーン!」 蒼の方を振り返りながら変なポーズでサボテンを掲げる。あ、さらに怒った。 「誰が育てんだよ」 「俺ががんばる」 「無理だろーが!いつも放り出してあとは俺がやってやってんだ...
  • 25-199
    真っ直ぐな人と裏のある人  時折、お前が眩しい。 いつだったかお前が太陽みたいだと例えたことがあったけれど、それは嘘じゃない。 また適当なこと言って、と笑っていたけれど紛れもなく事実だ。 優しくて明るくて格好良くてまっすぐで可愛くて、輝いていて。 俺にとっての太陽はお前なんだよ。  だからこそ、本当に時々。眩しすぎるお前は俺に暗い影を落とす。 何もかもがダメで汚い俺の、濁った感情を全て浮かび上がらせる。 「や、 やだ、 やめ、ろ……」 「嫌だ」 「と、もあ、き」  きっかけは些細なことだ。単なるヤキモチ。それだけ。でも俺の狭い心をぐちゃぐちゃにするには充分なほどで。 赤らんだ頬に綺麗な涙が一滴流れる。 慌てて彼はそれを隠すけれど、その表情をもっと見ていたくて、右手を無理矢理にどけた。 すると恥ずかしそうな表情で、見ないで、とハスキーな声...
  • 25-139
    軽薄色男受けが本気になる瞬間 軽薄色男受けにも種類がありますよね 1:ビッチ受け  今まで快楽のためにとか、金のためにとかで気安く通りすがりの男と関係を結ぶ受け  そんなビッチ受けがある日、真実の愛に目覚めちゃうわけですよ!  その辺の男に対しては気軽に体を開いていたのに、本命攻めに対しては処女のようにウブになってしまう受けはもはや様式美ですよね 2:軟派受け  美男子で賢くて運動神経も良い受け。当然周りの女の子達が放おっておくわけがありませんよね  周りからキャーキャー言われてヘラヘラする受け  女の子をつまみ食いするもよし、ヘラヘラしているけれども誰とも付き合わないってのもいいですよね  で、モブとか当て馬から  「あんなに可愛い子達がいるのに、何で誰とも付き合わないんだよ」  とか言われちゃうわけですよね   可愛い女の子達に本気になれない受けが...
  • 25-119
    離れてしまった幼馴染み 今時、文通なんて流行らない事をやってる奴はそうはいないだろう。しかも男同士で。 チヒロからの手紙は、教科書のような綺麗な文字と丁寧で上品な文体。まるで小説のようだといつも思う。 それに比べて俺は、小学生が夏休みに無理矢理書かされされる日記のようにお粗末だった。 友達と買い物に行っただの、サッカーの試合に勝っただの。 そんな意味のない近況報告のようなやりとりを、もう十年近くも海をまたいで続けているから驚きだ。 そう、彼はずっと日本に住んでいて……俺は今、ドイツで暮らしていた。 『いつか絶対に、君に会いに行くよ。』 チヒロの手紙の最後にはいつもその一文が書いてあったけれど、一年前ほどからソレが無くなっていた。 俺は内心ほっとしていた。チヒロがやっと、俺に会うことを諦めてくれたのだと思っていた。 だが、実際は全くの逆だった。 ...
  • 24-169
    「ほらね」 放課後の教室から、下校していく女子テニス部の白井さんを見送っていたときのこと。 センチに浸っている僕の元へ、さして仲良くもない中高とクラスメイトの上原が来た。 いやなタイミングだ。 「ほらな。須田、やっぱりフラれたろ」 ニヤニヤと笑って、どこか嬉しそうにも見える。 上原の勘はよく当たった。 天気や席替えやどこの野球チームが勝つかとか、僕がフラれるとかフラれるとか。 その度自信満々な顔をしては、強気な態度で僕をからかう。 「懲りないなぁ須田も」 「上原が"絶対フラれる"とか言うからだろ、暗示じゃないかあんなの」 勘だかまぐれだかに責任を求めるつもりもなかったけれど、さすがに中学から3人連続で当てられるとへこむし腹がたつ。 今日も今日とて、僕が白井さんに放課後の約束を取り付けたのを上原曰く"偶然にも"目撃し...
  • 28-169
    この想いは墓まで持っていく たった一度だけ、キスされたことがある。 酔っ払って眠った彼のベッドの上で、それは触れるだけで離れていった。 あの時の事を、あの後一度も聞いたりしなかったことを、無かったことにしたことを、俺は今でも後悔していない。 友人、親友と呼ぶ誰かにそれ以上を望むなんてありえないことだと思っていた。 特に、彼は優しい人だから、俺が望めば大抵のことは叶えてしまう。 喉が渇いたと駄々をこねれば苦笑しながら水を、疲れたと文句を言えば一度休むか、と手を止める。 他の知人に散々甘やかすなと言われていたくせに。 俺のどうしようもないワガママに付き合って、今まで何度となく災難を被ってきたくせに。 俺はそんな彼に、ありがとうの一言だって、上手く伝えられた試しがない。 優しく手を取って「好きだ」と言ったあの顔を覚えている。 いつものよう...
  • 20-169
    バンド内恋愛禁止 「ヘイケイヴ、なんだよこのPVの内容は!だからあんなプロデューサーに任せるのは嫌だったんだ」 「しょうがないさジョー、過激なのが俺達のキャラクターなんだから」 「だからってこの内容はあるか!?これじゃ話題性だけ、僕らの言いたいことがひとつも入らない、それに…」 「そのベッドシーン?」 「そう、この大胆すぎる、ね!なんで僕がこんな…これじゃまるでポルノ映画だ!」 「よく言うよ、舞台の上でいつも暴れて俺を殴ったりキスしてくるのはどこのどいつだ?」 「それはただのパフォーマンスだよ、そうすると皆過激だって喜ぶだろ?意味はないよ、分かってるだろケイヴ」 「だからいいじゃないか。これだって意味なんてない、ただ君の暴力的で淫乱なキャラクターがよく表現されるってこと」 「だからってこんなやり方は反対だ」 「往生際が悪いな、周りは皆もうこの方向で動いてるんだぜ...
  • 25-179
    徐々に好きになる  最初はただの共演者だった。 同業者で、いい声をしてるなあ、演技うまいなあ、とその程度の認識。 でも少しずつ、仕事が重なる機会が増えて、彼の中身が見えるようになってきた。 それが俺たちのファーストステップ。 「あれ、それ、健くんも好きなんだ?」 「え、うん」  そういって話しかけられたのがセカンドステップ。 背後からそう言われて驚いたのも、いい思い出。人に引かれてしまうほどにはゲームオタクだった俺にとって、 同様の趣味を持つ同年代の友人は貴重すぎるほどに貴重だった。 それから確か、話すことが増えた気がする。 「今度俺に服選んでよ」 「ええ? なんで」 「健、センスいいじゃん。ね、お願い」  服選びという名目で二人で出かけたのが、サードステップ。 これがきっかけでちょくちょく遊びにいくようになったのを、覚えて...
  • 25-159
    犬好き×猫好き 「お前は犬に似てるよね」  賢哉様は着物の裾を翻し、俺を見上げながら微笑んだ。 大きくて黒い犬。それが俺のイメージらしい。 僅かに首を傾けてそうですか、というと、彼は困ったように笑いながら「そうだよ」と返してくる。  歩を進めると玉砂利の音が響いて、その品のよさすら賢哉様に合っているような気がした。 「賢哉様は、犬はお好きですか?」 「ああ、好きだね。従順で愛らしいじゃないか」 「……俺は愛らしいですか?」 「ああ。俺なんかに仕えるところが愚かで愛らしいよ」  爪先で砂利を弾いて、嘲るようにつぶやいた。 愚かなものか。貴方は仕えるに相応しい人、なのに。 そういいたくて仕方なかったが、口を噤む。何を言ってもこの人は、理解しようとしないから。 光栄です、とだけ呟けば、賢哉さんは黙り込んでしまった。 静かな沈黙が落ちて、広がる...
  • 25-109
    ドン引き、でも好き×好きすぎてド変態 最近あいつが怖い。いや怖いのは以前からなんだけど、なんというか、いつにも増してというか。 少し前だってやけに静かに台所に立っているかと思ったら、 俺のパンツを煮込んでいた。昨日履いていた紺色のボクサー。 洗濯しようと洗濯機の中に突っ込んでいたはずなのに。 「なんでてめえ俺のパンツ煮込んでんだよ!」 「だって食べたかったからさー、お前だって食べたいだろ?俺の手料理」 「いや……まあ、お前の手料理は食べたいけれど、 でもパンツはねえよパンツは! つーか鍋どうすんだよもう使えねえじゃねえか」 俺の罵声にも興奮するのが気持ち悪いを通り越して怖い。 今だってそうだ。フェラするのはいいけれど、必ずと言ってもいいほどチン毛を抜いてくる。 痛い! と叫ぶと肩を大きく揺らして驚いた後、にへらと薄い笑みを浮かべてそのままキスをしてくる。 口の...
  • 25-149
    弟に依存する兄と、依存されていることに気が付かない弟 いつも通りの夕飯を終えて2階へ上がっていく弟の背中に、僕はいつも通りに声をかけた。 「春也、宿題たくさん出たんだって?兄ちゃんが手伝ってやろうか」 じりじりとした気持ちの揺らぎが声へ現れないよう、頭痛がしそうなほど細心の注意を払った。 弟の答えもいつもと同じ。 「なんでだよ。自分でやるからいいよ」 「そうか、わからないところがあったら言えよ」 僕の答えもいつもと同じ。 「ありがと。おやすみ」 「ああ、おやすみ」 カチャリと軽い金属音を残して閉まった部屋の扉を、僕はいつまでも眺めていた。 こんなことを考えている間にそれほどの時間が経ったのだろうか。はっきりとした感覚がない。 自分の立ち位置すら不明瞭に感じる。 それは2年前から徐々に、僕を蝕んでいた。 15歳の誕生日を目前に控えた春也が、深夜に僕の...
  • 19-169
    あなたの子供が欲しいのに 「だから、別れようか」と言ったら殴られた。 「雄太の言い分だと、子供が出来ないって知りながら結婚した夫婦には未来が無いってことだな」 ズキ、と心臓が痛んだ。そう言う意味じゃない、そう言う意味じゃないんだ。 「…でも、男同士じゃ結婚も出来ないし」 「入籍しないで暮らしてる夫婦なんかいくらでもいる」 「男同士だから、一緒に暮らしたら変な目で見られるよ」 「同棲しないで長年恋人を続けてる関係だって、世の中には山ほどあるよ」 涙が頬を伝って落ちた。 一度落ちると、後から後からぽたぽたと落ちてゆく。 ため息をついて、修介が俺の頬を撫でた。 「…なあ、俺はどんな目で見られてもかまわないよ」 「お、俺は気にするよ。それに、どんなに頑張っても、お前に赤ん坊を抱かせてやれない」 「そりゃ、お前も俺も男だし」 「修介、赤ん...
  • 21-169
    相貌失認症  グリーンとブルーの絵の具を半々に溶かして、ガラス玉の中に閉じ込めたような二つの虹彩。  瞼を動かしてぱちぱちと瞬きする度に、透明度の高い、南国の海を思わせるそれが窓から差す太陽の光を受けて綺麗に輝く。 「これが、俺の目」  促されるまま、ブラウンの睫毛を人差し指で撫でると彼は猫のように瞳を細め、瞼に皺を作った。  くすぐったいと言わんばかりに、ふにゃふにゃと溶ける可愛い眼差しを見つめているとなんだか胸が落ち着かない。  あたたかくて、見ているこちらがくすぐったくなるような、この気持ちはなんだろう。 「んじゃ、次。これが唇、な。ちゃんと覚えて」  飽きもせず、下瞼の縁に生える睫毛を撫でていたら少し強引に手首を掴まれて口元へ導かれた。  指先に当たった柔らかくてあたたかい感触に、やましい事なんて何も無いのに思わず口ごもってしまう。...
  • 18-169
    破滅に向かう友人を止めようとする男 間に合え、間に合え、間に合え!! どうして携帯を買い換えたのがつい2日前なんだろう! マナーモードの故障なんかほっとけばよかった。 なれない機種に、たかが電話をかけるだけなのに妙にもたつく。 いつもよりも2倍くらい時間をかけて、あいつの携帯に電話をした。 間に合え、電話に出てくれ 心臓がバクバクと、音が聞こえそうなくらい激しく脈打つ。 普段、手に汗をかくどころか、体温が低すぎて汗が出なくて困ってるくらいなのに、携帯を握る手が湿っている。 二三度のコールの後、いつもの明るい調子とは打って変わった、重く沈んだあいつの声が聞こえた。 「…何だ、お前か。」 よかった、出た。 まだあいつを止められたわけじゃないのに、少しだけ希望が見えたような、明るい気持ちになった。 「お前何してんだ!馬鹿!やめろ!お前、自分が何をしようとしてるか...
  • 26-169
    ヴァンパイア 萌え語りで失礼します。 ヴァンパイアといえば、退廃系で貴族的なのはファンタジーに欠かせない。 現代に溶け込んで生活してる系で、一般人と絡んでもいい。 モンスターの割に形状は人間に近いし、設定とか弱点の扱いとか結構自由なところがあるから、とても美味しいと思います。 ヴァンパイアもので欠かせないのは何と言っても吸血。 牙を立てて血を吸うのって、その後のされた側の貧血状態とかも含めエロティックで耽美的。 しかも基本的に首からってことは、必然的に胴体とか諸々密着している訳で非常に宜しい。 牙刺されるときにちょっと痛がったり、吸われてる時に喘いだりするのも全部間近で聞こえる訳ですよ。 吸った後の噛み跡を舐めたり、そこから更に色々なことに持ち込んだりするのも良い。 吸われると何か体内に入って気持ちよくなっちゃうのもお約束。 定番としてはヴァン...
  • 14-169
    早漏 「アイツ超早漏! 顔がよかったから付き合ってみたのに、マジありえないんですけど~」 「でも、お前アイツとまだ付き合い始めたばかりじゃ…」 「連れて歩くにはまあまあでしょ? クリスマス近いし、今狙ってる男落とせるまではキープしとくって感じ。 それにさー、早漏だけじゃなくて童貞だったし。なーんか一緒にいてつまんないんだもの」 俺に向けてくれた彼女の優しい微笑みが、たぶんどこかから演技だったと知ったある日の放課後。 下校時間が過ぎた廊下に響き渡る彼女の声は、まぎれもなく俺が好きになった彼女のそれ…… 不幸中の幸いか、廊下にも教室にも、彼女とその話し相手、そして俺の他には誰もいないようだった。 教室のドアをあけることどころか、微動だにできなかった。 ただ、その隙間から漏れる彼女の声と、それを諌めるような誰かの声を黙って聞いていた。 指の先から全身が冷たくなっていく...
  • 13-169
    下着勝負 下着勝負!!全選手入場!! 攻め殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積み人間凶器が甦った!!! メッシュなのか網なのか!! 透け下着だァ――――!!! チラリズムはすでに我々が完成している!! はみチン上等!トランクスだァ――――!!! 吸い付きしだい透けまくってやる!! 架空801下着代表 総レース白パンツだ!!! 素手の触り心地なら我々の歴史がものを言う!! 日本の伝統 白ふんどし!!! 真の萌えを知らしめたい!! ギリギリ勝負 葉っぱ隊だ!!! 快適さは3階級制覇だが卑猥さなら全階級オレのものだ!! むしろなにもいらない ノーパンだ!!! 当て馬対策は完璧だ!! 全受けの味方 貞操帯!!!! 全勝負下着のベスト・ディフェンスは私の中にある!! 温泉街の神様が来たッ 腰巻タオルだ!!! ...
  • 17-169
    神様 横断歩道、突然目の前に現れた車体。なにが起きたのか判断する間もなく目の前が真っ白に染まり数秒の浮遊感。 あ、もしかしてこれやばい? 思った瞬間固い何かに叩きつけられ一瞬呼吸が止まった。 体中がびりびりと痺れ、あたまの中身が揺れる。 目の前にはコンクリート。赤い何かが広がって、あれ、俺死ぬ? 冗談じゃない神様。俺にはこれからやらなきゃならないことがあるんだ。 今日こそは今日こそは、思い続けて一年間。恋愛運は二重丸。おみくじは大吉。やっと踏ん切りがついたんだ。 あいつに言いたい事があるんだよ。 いっつもからかってばっかりだけど、俺はお前が好きなんだ。笑った顔も怒った顔も困った顔もぼーっとしてるときも、全部好きなんだ。 冗談じゃねえよ、これからあいつに伝えに行くところだったんだよ。待ち合わせの時間がもうすぐなのに、約束破るわけにはいかないんだよ。 初詣の時ぐらい...
  • 12-169
    美形顔×平凡顔 「ねえねえ、メアド教えてよ」 といっても俺のじゃない。こう聞かれた時は大抵あいつのだ。俺の聞かれた事なんて一度もねえよ畜生。 「直接聞けばいいだろ」と言うと、 「えー…だってなんか緊張するしさぁ」 「何しゃべっていいか分からなくなっちゃうもんね」 と、その子たちは口を尖らせる。 気持ちはわかる。あいつは無駄にイケメンてやつだ。 新人モデルです、某J事務所にいます、と触れ回っても疑われなさそうなレベルの顔を持ってる野郎だ。 しかもなまじ外ヅラいいから質が悪い。……俺はひとつ溜息をついて切り出す。 「あいつはマジでやめとけ。彼女になったら泣くぞ。例えば」 寝起き悪いまま家中徘徊して、必ず皿やらコップやら割る。 財布を忘れたと家に戻ってきて、代わりに定期入れを忘れていく。 お魚くわえたドラネコ追っかけて帰ってこない。そのうち道に迷ったと涙声で...
  • 23-169
    連結3P オランダかどこかで9人の男性が連結したというニュースがあったが あれって先頭の入れられてるだけの人と、最後尾の入れてるだけの人がちょっと切ないよね だから連結は3人ぐらいが丁度いい。 先頭の入れられるだけの人は3番目の人が頑張って先っぽ弄ってくれると幸せだし 3番目の人の後孔を、2番目の人が弄ってあげるとこれも幸せだよね 2番目の人は1番目と3番目に挟まれて暖かいし幸せだよね。 一歩間違ったら「どう濡れ物件」じゃないかとか言うな。 勇気を下さい!
  • 25-129
    常連客の紳士×髭のマスター マスターの作るコーヒーは日本一。いやあ、世界一だよ。強面髭親父が作るコーヒーとは思えない! 「はいはい。休日に毎週来るなんて、あんたも暇人だね。ほら、ミルクいるんだろ」 ぱあっと顔を明るくする様子は、まるで5歳の子供。嬉々とミルクを手に取る。紳士服と表情が全く合わない。 どうしたんだい?そんなに見つめて。コーヒーと私の姿が似合って仕方ないのかい?それとも、君が飲んだら髭にミルクが付くなあとか? 「黙って飲め、ばかものが」 溜息を吐いてもにこにこと見つめてくる。ミルクを楽しそうにコーヒーへ入れている。 黙っているじゃないか。そもそもお客様がいない! 「あーはいはい。もう熱くないからさっさと飲め」 そうすると、ずいっとコーヒーを見せてきた。カップの中には白いハート。 僕は紳士的な気の利い...
  • 25-189
    傭兵 やっぱり、傭兵なんてロクなもんじゃねぇや。 腕っ節にはそれなりに自身もあり、運もあった。 気付けば『黒の狂犬』なんて呼ばれて名も知れ渡り、荒稼ぎして、そこらの貴族連中よりずっと賢い生き方をしてるんだと粋がっていた。 それが今となってはザマだ。 掃き溜め以下の場所に死体と一緒に打ち捨てられた俺自身、何で生きてるんだか… こんなことになってまで運の良さを発揮されても困るってもんだ。いっそ、おっ死んだほうが良かったのにな。 血の匂いと腐臭がめちゃくちゃキツくて、生きてた喜びなんて微塵もねぇ。 「あー、血が足んねー…」 意識がだんだん遠のいていく。 クソみたいな人生をクソみたいな場所で終わらす。それもお似合いかもしんねぇな。 最期は一人で静かに死ねるってんだから、上等なもんだ。 「おい、そこのゴミ。………死んだのか?」 一人で静かに死ねる。 その...
  • 6-169-1
    笑わない人 「なあ、俺そんっなにつまんないオトコ?」 「…は?」 自分で言うのもナンだけど、今言ったの俺の十八番のギャグ、伝家の宝刀よ?自信無くしちゃうなー。 おどけた口調で言うと、アイツはいつものしかめっ面を更に歪め「馬鹿」と一言で切り捨てた。 最初はただの興味。 校長のヅラが風に舞った時も体育教師のジャージのゴムが切れてズリ落ちたときも クスリともしなかったアイツは何をどうすれば笑うのかって。 顔面の筋肉おかしいんじゃないかと思って顔グリグリしたら殴られたこともあった。 ここ1年とちょっと、少なくとも学校にいる間は一緒に行動するようになって、 色々と知らなかった部分も見た。全く無表情ってわけじゃないんだよ、絶望的にわかり辛いだけで。 怒るし、睨むし、驚くし。悔し泣き寸前の顔も見た。 ―――でも、笑わないんだ。笑わないんだよ。 どんなに自...
  • 7-169-1
    どうして自分じゃなくてあの子なんだろう ずっと、欲しかったんだ。 俺は震える手でそっと彼の頬に触れた。 酒に潤んだ目には普段の鋭い光は宿っていない。 いつもは堅く引き結ばれた口元も、わずかだけど弛んでいる。 頬から瞼、額へと、触れるか触れないのかのタッチで辿っていく。 短く刈り込んだ髪が、触ると意外に柔らかいことを知った。 俺は手をとめて、じっと彼の顔を見た。 酔いに濁った目は俺を映しているのに、何も見ていない。 「……も……」 何か呟いたと思ったら、急に腕をとられて引き寄せられた。 びっくりして固まっている俺の腰を硬くてゴツゴツした指先が掴んで、 服の下に無遠慮な手のひらが潜りこんでくる。 「ちょ…ちょっと滝…!?」 本当に酔ってるのかと疑いたくなるような巧みさだった。 硬い指先に官能を引きずりだされて、あっという間に茹で上がる。 酔った男は、しきり...
  • 9-169-1
    年賀状を書きながら 「明けましておめでとう。今年も・・・よろしく・・・か。」 なんとも短く愛想の無い文面を見つめるが、他の言葉が浮かばない。 何故ならこの手塚智弥と俺は、今まで3回程度しか話した事がない。 同じバンドが好きで、同じクラス、席が斜め前って事くらいしか近しい記憶はない。 話しかけるタイミングだって逃してばっか・・・8ヶ月で話した記憶が3回て・・・ 「年賀状出しても、俺のこと知らないんじゃねぇか?」 最悪の予感がよぎる・・・っていうかあいつ、俺の名前知ってるのか? 俺なんて名前どころか顔すら思い出せない程度の存在なんじゃないかとも思う。 「あああああーーーー冬休み前にもっとアピっとけば良かったああああ・・・」 あのバンド、年明けにアルバム出すんだよな。 2月には武道館でライブもあるし、行けたらいいよなー・・・って、話題...
  • 6-169-2
    笑わない人 君の笑顔が見たい。 それだけが僕の望みだった。 君は何故だか僕にだけ笑顔を向けてくれなかった。 切れ長の瞳に宿る冷ややかな視線。他の人間にならば、よく喋り朗らかに笑う魅惑的な唇も、頑なに閉ざされたまま。 僕が君の目の前に立っても、君は僕から目を逸らし、まるで僕など傍にいないかのようにふるまう。 その冷たさに、どうしてなのだろうと悲しい気持ちを抱えたまま、それでも僕は君になんでもしてあげたかった。 防音の行き届いた広いマンション。寝心地のいい豪華なベッド。 有名レストランのケータリングは間違いなく美味しかったし、君が読みたがっていた洋書もほら、取り寄せたんだ。 退屈しないように揃えたゲームもパソコンも、好きに使っていいんだよ。 この部屋にある物は全部、君のためだけに揃えたんだから。 金任せかと君は言うかもしれないけれど、それでも僕は君に笑ってほし...
  • 25-139-1
    軽薄色男受けが本気になる瞬間 トロトロ書いてたら被ったのでこっちで萌え語りさせて下さい 恋愛的な意味や性的な意味で本気になる軽薄受けも萌えますが 個人的には戦闘的な意味で本気になる受けを推したいと思います 軽薄で色男、きっと情報を仕入れたり助っ人にするには重宝するけど 一生背中を預ける相棒としては心もとない微妙な存在なのでしょう そしてそういう性格になったのにも暗い過去やらトラウマやらがあるのでしょう そんなめんどくさい受が本気になる程惚れるまで攻は相当苦労したと思います 「そいつは止めとけ」と周りに反対され、実際に何度か受けに裏切られ それでも受けを信じ背中を支え預ける事の出来る男前な攻めさん そんな攻が瀕死のピンチになり逃げる事も出来ない絶体絶命の時こそ受けが本気を出すのです 明らかに格上の敵に囲まれ、攻めに「僕なんか置いて逃げろ!」と言われ それ...
  • 10-169-1
    道しるべ …春ニ貴方ヲ想フ あの人を失った、河原の道を歩く。 あの日も、今日と同じように、日差しが柔らかく暖かい春の日だった。 あの人は凛とした瞳で俺を見つめていた。 涙は無かった。 ただ、癖で噛んだ唇が赤く、痛々しかった。 どちらかが悪かったのではなく、多分、どちらもが悪かった。 子供だったと、幼かったと、若さのせいにしたら あの人は怒るだろうか。 それともあの日と同じように、冴え冴えと美しく微笑むだろうか。 俺とあの人は、何もかも危ういバランスの上で存在していた。 キスをして、抱き合って、笑い合っても 俺たち二人はいつも小さな傷を付け合って、いつも怖がっていた。 ――何を? 考えようとして、頭を振る。 今ではもう、思い出せない。 ただ、大切だった。 それぞれ違う道を歩もうとも 憧れで、目標で …本当に、大切な人だった...
  • 19-169-1
    あなたの子供が欲しいのに 「貴仁義兄さん。いきなりですが、今日は折り入って義兄さんにご相談が」 「まあ茶飲めや。しかしお前が俺に相談なんて珍しいなあ」 「あなたのお子さんを俺に下さい」 無情にも彼の率直な願いは、彼の義理の兄によるアッパーフックではね除けられた。 「義雄よ、俺は残念だよ。非常に残念だ」 「クッ……義兄さん、危うく脳震盪起こしかけるほど見事な攻撃でした……」 「誉めんなよ。照れんだろ?」 「誉めて無いですよ!」 「で、なんの話だったっけか」 「だからあなたの子供が欲しいからおくれって話……や、ちょっ構えを取らないで構え」 「ああ、スマンいつもの癖でイラッと来るとつい。……えっと何?お前ってホモだったの?」 「ええ。姉は知ってますよ。ちなみに俺の初恋兼恋人は義兄さんの同僚の義純さんです」 「マジでっ!?あ、あーでも確かにアイツボディ...
  • 27-169-1
    ノリで女装しちゃった攻めと茶化して褒める受け 「白と赤、どっちが似合うと思う?」 「うっへあッ!?」 随分と情けない声を出してしまったが、 目の前の可愛い子ちゃんがいきなり男友達と同じ声で喋ったとしたら みんなこんな感じでかっこ悪くなるんじゃないかなぁ、とオレは思う。 「おっまえッ! マジ何してんの!?」 「女装。今度の文化祭、男子ミスコンやるでしょ。  今日ノリで"優勝目指す"って言っちゃったから」 「文化祭、明後日ですけど!?」 「うん。だから、協力求む」 驚くオレとは正反対に陸人は無表情でコクコクと頷いた。 この進藤陸人と言う男。中性的な可愛らしい見た目と、 物静かで落ち着いた性格とは裏腹に案外ノリが良く 日常的に真顔でボケをかますような天然モノの変人だ。 今みたいにいきなり突拍子もない行動を取り始めるのも珍しくはない。 ...
  • 25-969-1
    お隣さん 「あ」 「……はようございます」 玄関のドアを開けると、ちょうど隣に住む男が部屋の鍵を閉めているところだった。 俺と目が合った瞬間、彼がぺこりと頭を下げた。 寝起きなのか、最初の方があくび交じりだった。 「おはようございます」 挨拶をされたので俺も頭を下げる。 今日の彼はスーツだ。 彼と鉢合わせするときは大体私服だったが、ここ数日スーツ姿の彼と会うことが多い。 ……もしかすると、就活か?なんて推測してみる。 大体仕事に出かける時間に彼と出くわすので顔は知っているけれど 俺は彼がどんな人間なのか、仕事は、趣味は、その他もろもろ何も知らない。 思えば彼が引っ越してきて1年あまり。 今の若者にしては珍しく、タオルを持って引っ越しのあいさつに来た彼。 「隣に越してきた田賀っす。よろしくお願いします」 と、どこか間延...
  • 25-699-1
    あいみての のちのこころに くらぶれば 規制にひっかかってダメでした。700さんじゃありません。 ------------------- 百人一首漫画にのせられて、競技カルタをはじめてみた。 やってみたら面白くなってしまって、俺は才能もあったみたいで トントン拍子に勝てるようになってしまった。 運動神経もいいし、耳もいいし、勘もいい。地元では敵なしだった。 あまりにもちょろかったから俺は天狗になっていたんだろう。先輩から軽く戒められた。 「お前は確かに強い。でも、もっと強い人はたくさんいるぞ」 そりゃあいるのだろうけれど、そうですねと流していた。 ある日、お前の競技スタイルと違うから参考になるだろうと、先輩がDVDを持ってきてくれた。 テレビ出演してる時点で相当うまい人なんだろうとは思っていた。 だが、予想よりも強かった。本当に強かった。 ...
  • 25-369
    無口×饒舌  一応俺だってモテるんだぜ? お前はわかってないかもしれないけど! 時々不安になるわけだよ、俺だって。仁は俺に執着ないんじゃー、ってなるの! いつも何もいわねーし? 言わないとわかんないことだってたくさんあるから! ……なあ、聞いてる?  パフェをスプーンでつつきながら、良哉は俺をにらみつける。 彼の綺麗な顔にはたとえ眉間に皺が寄せられても綺麗だなあ、と思った。 アイスコーヒーをストローで啜りながら縦にうなづくと、ホントかあ? とあからさまに疑ったような声色。 実際聞いていたので、ちょっとムッとしてみたり。唇からストローを離して、小さく聞いてた、と今度は口にする。 「じゃあ俺なんていった?」 少しの間を置いて、深く息をつく。俺が愛情表現下手なこととか、それでも俺は良哉がいないと駄目なことなんて、 こいつはよくわかってると思ってたのに。そんなこ...
  • 25-699
    あいみての のちのこころに くらぶれば 友達がたくさんいてみんなに信頼されて、成績もそこそこ良くてサッカー部のレギュラーで。 一度も話したことはないけど、同じクラスのずっと憧れだった奴。 聞こえてくる会話から好きなバンドを知って、新刊の小説を我慢してその分のおこづかいでCDを買ってみたりした。 好きなサッカーチームの話をしてたから夜中にうとうとしながらテレビで試合を見てみたりもした。 会話を交わしたこともないのに馬鹿馬鹿しい、と思いながらも、どこか奴と近づけた気がして頬が緩んだ。 先日席替えで隣の席になった時は素直に嬉しかったが、なにか変なところを見られていないかと気が気ではない毎日だ。 少しでも話せたら、友達になれたら。 いつも通りそんなことをボーっと考えながら、3時間目の国語の教科書を開く。 「やっべ、ごめん!教科書見せて!」 ガタン、と奴の机が俺の机...
  • 25-769
    ギャル男受け 勉強が好きか?と嗤われながら問われたので、僕は勉強が好きだ、そう答えた。すると、天才は違うなとかガリ勉とか、そんな言葉を掛けてくる。 勉強に勤しんでいる訳でもない。ただ、楽しいだけなのに。 しかし、周囲は嗤う。 そんな中で、1人だけ、周囲とは違う言葉を掛けてきた奴がいた。 奴とは今年から同じクラスになり、教師も手を焼いている。主に校則違反の髪型と、崩した服装、アクセサリー等において。 しかし、愛想が良くリーダーシップもとっていて、憎めない生徒とみなされている。 僕とは反対の奴と思っていた。 「いいんちょーって、勉強好きなんだ」 「ああ」 「オレもさ、服とか髪いじんの超好きなんだ!」 Mの字の前髪を触りながら満面の笑みで告げると、奴は手を差し伸べてきた。かと思えば、ぶんぶんと僕の手を握っては振る。 「おい、佐伯ー...
  • 25-569
    食えない男受け 付き合ってる女、狙ってる女、知り合った女・・・俺に関わった女は右か ら左で村崎に流れていく。 友人からは「あいつとの付き合い考えろ」と言われていた。 俺も村崎もシモ事情は緩い。だから俺は女を取られたなんて全く思わ いし、向こうも寝取ったとは思ってないだろう。 徹底的に嫌われるタイプではないものの、友人の言うこともわからなく はない。村崎は要領のよさが目に付くところがある。 例えば今夜のように、翌日朝イチで講義がある場合、学校に近い俺のア パートに泊まったりするところとか。 「次は男にすっかな。おまえに手ぇ出されないように」 アパート近くの中華屋で晩飯を食いながら、眺めていたナイター中継が CMに切り替わった時、俺は冗談のつもりでそう言ってみた。 村崎がどんな反応をするか見てみたかったという気持ちもあった。 「じゃあ俺でいい...
  • 25-269
    トリック・アンド・トリート 「trick or treat!」 やたら小気味よい発音と共に現れた猫耳野郎を見て、俺はがくりと肩を落とす。 無言のまま部屋に入り、何か菓子がないかと探れば、学校で貰ったチョコを発見した。 包み紙をあけて、ほれ、と呟けば、タクは嬉しそうに口を開くので、そこに放り投げてやる。 「んっ! おいひい」 「何か高いヤツらしいから」 「! 俺が貰っていいの?」 「…口モグモグしながら言われても少し説得力に欠けるっていうか…」 苦笑しながら招き入れれば、にゃんにゃんっ、と自作のにゃんにゃん鼻歌を奏でつつ入室した。 そっか、ハロウィンか、などとのんきに思いつつタクのマグカップを取り出した。 「(…そうだ)」 ふと思いついた悪戯に、頬が緩む。 コーヒーを淹れて彼の前に置いてから、頭につけられたネコミミカチューシャを装着してみた。 タクは目を丸く...
  • 25-969
    お隣さん 隣にミュージシャン志望の大学生が引っ越してきたのは今年の夏のことだった。 エスニック調の派手なルックスで、引っ越しのあいさつに謎の象かと思われる置物を寄越してきた変わり者だ。 夕方になるとギターを携えて駅前に出かけている。 そこで歌っているところも何度か見た。 歌っているのは決まってラブソング。それも失恋か、悲恋もの。 すこし意外だったのは、その声が甘く抑揚をつけて繊細に響くことだった。 土曜の昼下がり、いつもならひっきりなしに聞こえてくるアコギと甘い歌声が今日はどういうわけか全然聞こえなかった。 いぶかしんでいると、俺の部屋のインターホンがなった。 「狭川さーん」 「あ、お隣の……」 「相川っす、名前そろそろ覚えてくださいね」 何故かお隣のミュージシャン――相川さんがいた。 「何か御用ですか?」 「いや、俺迷惑かなーと...
  • @wiki全体から「25-169」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索