*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「27-059」で検索した結果

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  • 27-059
    いつまで経ってもお互い敬語のカップル 「あ、お疲れ様です。今日は残業ですか?」 「お疲れ様です。そうなんですよ……残業って言うか徹夜でして」 そう愚痴ると、あぁー、と同情的な声をくれる。 良かったら今から食事なんですがご一緒にいかがですか?と聞くと (俺の希望的観測かもしれないが)嬉しそうに頷いたので、社を出てすぐの 早くて安くて美味いうどん屋に連れ立つ事にした。 「いいんですか?今から徹夜ならもっときちんとお腹に溜まるもののほうが」 「いやいやー、もう年ですんでね。食べ込むと消化できなくて」 「またそんな、年とか……」 「年ですよー、もう35ですよ、おっさんです」 そういいながら一味に一瞬目をやるとすかさず手渡してくる。 阿と言えば吽、ツーと言えばカー。……この連想もおっさんだなと我ながら思う。 「そんなことより斉藤さん、そろそろ敬語止めて頂き...
  • 11-059
    11-059 あなたの願いをどうぞ  言って下さい。  誰かの為に自分を抑えてしまう貴方の、本当の思いを知りたいから。  寡黙で勤勉でゆがみのない貴方は、どこまでも透徹した空気をまとう。それゆえに、貴方が僕達と同じ年の、まだ大人とは言えない時代を生きる者である事を忘れがちだけれど。  僕は知っている。優しくて、優しすぎるせいでどこか救われない貴方を。  わがままだなんて思わないで。負担になんて思わなくていいから。  ただ、ひとつの、貴方の譲れないものを、どうか。  言葉にして下さい。  その時僕も願いを言います。 『どうか離さないで』  言葉にしなくてもそばに居てくれる貴方へ。  大切な、かけがえのない貴方へと、僕もわがままを言わせて下さい。  言葉にしなくては、大事なことは分からないから。  二人の、これからの為に……僕達は願う。  ...
  • 7-059
    マフィア A『ねぇ、801板って何?』 B『ちょ…おまっ、どこでそんな単語知ったんだよ!?』 A『Googleで検索した掲示板見てたら出てきてたんだけど、何の事かわからなくて』 B『えー…と、だな。とある板を801枚集めて好きな人にプレゼントすると 両想いになれるおまじないだとか何だとか…(汗)』 A『ふぅん…。じゃあ俺がんばって集めるからもらってくれる?』 B『ちょっ…おまwそんなモンもらわなくても俺は…っ』 A『え?マジ?…ところでとある板って何?』 B『聞くなよ…』 幸せな二択
  • 9-059
    お題 「あたしにはフローラがいるから構わないわ、なんて強がってたけど、 嘘よ。フローラは可愛いけど、身につけて楽しむための道具じゃ ないもの」 大きな図体をしながら鼻を鳴らして甘えている犬の頭を、玄武岩の ような指が優しく撫でている。得意技はリンゴジュースであるという その指の持ち主が、実際はひどく穏やかな人物であることを知る 者は少ない。寂しくもあるが、それは同時に、深く内面を知るのは 俺だけだというプライドを大いにくすぐりもしていた。 「ほんとは羨ましかったわ、トナカイの毛皮のブーツ。あの子、わざ わざお店に履いてきて見せびらかすんですもの。皆、羨望の眼差し で眺めてた。その前に着てきたミンクのコートも、ビーバーの帽子も、 タヌキのしっぽの筆も、とっても素敵だった。あれがあたしの物だった らって考えただけで動悸が収まらなくなって、ぼうっとしちゃうほど」...
  • 6-059
    地平線 そこは、世界の果てと呼ぶのに差し支えのない場所だった。 人どころか一切の生き物の気配のない、近隣の国からも見放された荒涼の土地。 砂埃と風のほかは何人たりとも足を踏み入れぬ其処に、だがこの瞬間だけは佇む者があった。 自然のままに長く伸びた燃えるような赤毛が特徴的な、一人の青年。 外見の若さに反して落ち着いた雰囲気を纏うその男は、 先ほどここに到達してから依然、じっと動かぬままどこかを見据えていた。 「旅人さんはどこから来たの?」 「さあ、もう忘れたよ」 感傷ぶるでもなくさらりとそう答えられた少年は、納得のいかないといった顔で再び尋ねる。 「じゃあ、どこに行くの?」 幼心ゆえの単純な問いに、しかし当の旅人は一瞬口を噤む。 僅かに遠い目をして空を見つめた旅人は、彼の目を真正面に見据えて短く答えた。 「そうだな。……地平線の果てに」 ――...
  • 4-059
    虹が見える歩道橋  雨が止んだ。夕立の上がった町並みをぼんやりと見つめながら、僕は住みなれた アパートへ帰る。  ――何をしに、この街へ来たんだろう。  それを考えるたび、繊細さのかけらもないはずの僕の心はちくりと痛んだ。  答えは一つ。彼を探しに。  兄弟でもなく、親友でもなく、だけど誰よりもそばにいて、誰よりも愛しく想っ ていたあの人を探しに。それだけで、たったそれだけの理由で、僕はこの街を住む 場所に選んだ。  最後に交わした言葉は、「じゃあ」と「またね」だった。その言葉に嘘は無いと、 僕はただ信じたかったのだ。  僕たちが付き合っていたのは、随分とむかしのことだ。「子どもで、愛のことな んか何も分かっていない」高校生だったころのこと。抱き合うことも、キスをする ことも、手を繋ぐことさえ自由には出来なかった。  偶然にそれが知れてしまったのは、確か...
  • 1-059
    マウス×ペンタブ いつも人の手中で転がされ、意のままになっているマウス。 それが一度絵描きの手に渡るとあっさりあぼーんされ、ペンタブマンセー。 日頃の鬱憤を晴らすべく、マウスはペンタブを犯しちゃうぞ計画を施行。 底に付いた玉でペンタブの全身を撫であげるマウス。 マ「ほら…イイもんだろぉ…?」 ひたすら愛撫され、硬直して動けないペンタブ。 ぺ「ぁ……マ……ウス、さん………」 んで絶頂を迎えると、双方の玉がカランコロン… 揃ってあぼーん。 車×高速道路
  • 8-059
    一人暮らし ひろい部屋。ひとりの部屋。ぐったりベッドに沈む俺。 とんでも無く眠いけど課題も洗濯も終ってない。一人暮らしってめんどい。昼飯どうしようとか思った途端。 りぃんりりぃん…電話の鳴る音。今俺の部屋に唯一響く音。 ぐったりした体を起こす。ふらふらしながらそれをとって、んー…と力なく返事したら『先輩っ!』って凄く晴れやかな声が聞こえた。 「ラーメン食べに行きませんか?今日給料日だったんですよ!俺オゴりますから、だから…」 仕方ねーなぁ。俺はくすくす笑いながら、電話はまだ切らずに用意を始めた。 ヒント 縦読み 死んだはずの君を見る
  • 2-059
    幼稚園×高校 にいちゃんは ほんとうのにいちゃんじゃなくて、 おかあさんの ねえさんの こども。 こうこうせいの さんねんせいに なった。 にいちゃんは いつも あそんでくれる。 にいちゃんは ものしり。にいちゃんは せがたかくて たまにめがねをしていて やさしくて かわいい。 にこにこするとき いちばん かわいいので ぼくは こいをしている。 こいというのは むねが ぎゅうと くるしいものなのだ。 ようちえんでは「OOくんとXXちゃんがキスした」とか 「はたちになったら けっこんするらしい」なんてゆって おおさわぎしてるけど、 ぼくにいわせれば、そんなの おままごとれべるだね。わらっちゃうね。 にいちゃんは しょうらい ぼくのおむこさんになると きめてるので、 にいちゃんは おとうさんみたいに むこよーしになって、...
  • 3-059
    クレーマー×店員 「笑えよ」  ああ、また来た。  いつもの客。  少し目を細めるような、しかめた表情で俺を見る。  もう、やめてくれ。 「いらっしゃいませ……」 「違うだろ」  もう、やめてくれ。  あんたがそうやって俺を見るたびに、俺のどこかが、ズキリと痛む。  胸の深いところが。  俺が嫌いなのは分かっているけれど。  それなら、もうこの店に来なくていいから。  俺の胸をどうか……騒がせないでくれ。 「マックでさえ笑顔くらい0円だってのに、ンなしけたツラ見せてんじゃねえよ」  ぐい、とつかまれる腕。  嗚呼。  殴られるのか。と思った。 「ごめ……な、さ……」 「泣き声なんて」  乱暴に腕を引かれ、身体が傾ぐ。  傾いだ身体を、カウンター越しに抱きと...
  • 5-059
    牡牛座×山羊座 牡牛座  忍耐強い、嫉妬深い、依怙地、暴君的、粗野、貪婪(どんらん)、執拗、利己的、 急に凶暴になったり残酷になったりする。 山羊座  極端な場合や切迫した場合、摩羯宮の性質を述べるには、心の底で安定を求めている形で現れる。 隠す、怖がる、吝嗇(りんしょく)、非同情的、厳しい、疑い深い、利己的、物質的、考え込んで自己本位 「俺を、殺すか」 咽喉元に差し出された一振りの剣を前に、彼は不遜な態度を崩さずに低い声で尋ねた。 その落ち着いた姿を眼前にして、私は剣を握る掌から溢れ伝う汗を止めることが出来ない。 「貴方は最早、王ではありません。ただ馬鹿で我侭なだけの、一人の男です」 窓から差し込む月明かりに照らされ、抜き身の刃がぎろりと不穏当に輝きを増した。 この手に握られた長剣も、この胸に付けられた騎士団の徽章も、全ては貴方に頂いた物。 ...
  • 27-079
    オナニー目撃(するされる)シチュ 信じられないが、今、先輩がオナニーをしている。 薄暗い旅館の風呂に、こんな時間に誰も来ないとたぶん思って、こっそりひとりでしている。 合宿最終日、懇親会と称しての打ち上げはエンドレスだ。部屋ではまだ飲んでる奴、疲労困憊で寝てる奴が入り交じって、ひどい有様だ。 理性があるうちにせめて風呂に、と思って俺は抜けてきた。 学生の合宿に使うような融通の利く宿だから、使用時間はとっくに過ぎていてもなんとなく使える風呂なのだ。 五日間の合宿は地獄だった。 早朝、朝、午後に夜の稽古まであって、俺を含む下級生は分刻みでやつれていった。 夜は寝る。っていうか死ぬ。朝になると無理矢理生き返らされてまたしごかれる。 先輩たちは鬼だった。なかでも安藤先輩は悪鬼だった。一対一の稽古であたれば皆、床板に血反吐を吐いた、おおげさじゃなく。 「ひでえ」「死ん...
  • 27-099
    死神×予知能力者 死神がゆらりと立ち上がった。 眠る男に大鎌を振り下ろし、その魂を手に入れた。 初めて男が死神を見たのは、学校で腹痛を起こして倒れ入院したとき。 目を覚ますと、ベッドの足もとに黒い塊がうずくまっていた。最初はゴミ袋が置いてあるのかと思った。 よく見ると骨ともつかぬ手が生えていて、棒を握っている。目を上にやると、先端に大きな鎌がついていた。 男は思った。なるほど、このままだと俺は死ぬんだ。 ナースコールを押した男は、暢気そうにやってきた看護師に詳しい検査をいますぐやってくれと必死で頼んだ。 男が夢で見たのは、腹の中の大きな血管が破裂して死ぬビジョン。 バタバタと緊急手術が行われ、男は奇跡として一命をとりとめた。 いつのまにか死神は消えていた。 それから、男の身には幾度かの災難が訪れた。 横断中に車が突っ込んでくる。 高速道路で目...
  • 27-069
    屋上 「屋上」。ただのシチュ場所の1つと諸兄は思われるかもしれない。 しかし実際、一口の「屋上」と言っても奥深いのである。シチュとして屋上大好きなので語る。 屋上とはそもそも、行動範囲が限定される「建物」においての自由特区のようなものである。 その開放感、頭上に広がる空。対して、階下の建物では他の人間が活動しているこの対比。 階下の活動時間から逃げ出して静かな屋上を楽しむもよし、 休み時間休憩時間空き時間に、皆でわいわいがやがやする屋上を楽しむもよし。 呼び出し場所にも最適。告白、決闘、脅し、密会、なんでもござれ。 パッと見より奥深い「屋上」という舞台設定を、今回はかなり簡略したいくつかの要素別に語りたいと思う。 1.どこの屋上か その建物が一体何かで、屋上といってもガラッと風情が変わるのである。 まず学校。超スタンダード。 不良に限らず、授...
  • 27-049
    役者と裏方 ん?ああ、おはよ。 つーかお前さ、見に来いって言ったろ。うちのサークルの公演。 忘れてたって……まぁいいけど。 ああ、まぁ、成功した。そこそこウケてたし。 でもさ、部長がアドリブ入れまくってさあ。いやアドリブ自体はいいんだよ。面白いし。 でも照明のキッカケになるセリフとか動きまで変えてくるんだよ。 まぁなんとか合わせたけど。 あと時々動きが大きすぎてスポットからはみ出てたし。 しょうがないから他のライトも使ってフォローしたけど。 あ?役者の動き追っかけたり動かせるスポットなんて上等なもんはうちには無い! ん?いや……注意はしたよそりゃ。ていうかあとで部長のほうから謝ってきたし。 でもなぁ……いや、照明としてはすげぇ困るよ? でもさ、俺あの人のアドリブ好きなんだよ。 ていうかあの人の演技が好き。 人ってあんな面白い動きできるんだなーって。感...
  • 27-089
    死に際に告白しようとするが結局出来ないで死ぬ 死に際に最後の力を振り絞ったらしい小っこい悪魔が憎たらしい笑顔で放った氷柱 それが自分の腹を突き破った時、一瞬本当に何が起きたか分からなかった。 オレは悪魔を倒したジンに向けていた笑顔のまま、ガクンと膝から崩れ落ちる。 尻餅をついた衝撃で視線を下ろした先に見えるのは 体に深く突き刺さる氷柱とそれに纏わり付くように滲む血。 氷柱が刺さっている部分から根を張るように体が凍っていくのが分かる これから自分は死ぬのだ、と本能が泣き叫んでいる気までしてきた。 「ソロ!!」 「……かはッ! ……ッ! ……!!」 血相を変えてオレを抱きかかえるジンに何か言ってやりたかったが さっき悪魔に掛けられた沈黙の効果がまだ残っているせいで悲鳴すら出せない。 抱えたオレを見下ろすジンの顔は、普段の無表情っぷりが嘘のように歪んでいて ...
  • 27-039
    社長 外資系の社長が過密なスケジュールから開放されて社長室でネクタイを緩めるとか スーパーの社長が支店の売り上げに叱咤激励するとか 鉄工所の社長が昼休みの社員食堂で部下に話しかけすぎてうざいとか お菓子会社の社長が就任したとたん新商品の試食(毎日)でプクプク太ったり いろんな会社の社長がバイトのシフト組むのに悩んでたり 取引先の人と難しい話をしていたり 部下の失敗で頭を下げたり 社長もいろいろ大変だなって思うと同時に萌える 役者と裏方
  • 25-059
    俺のこと好きなんだろ?  なあ、俺のこと好きなんだろ。loveの意味で。 「何言ってんの馬鹿じゃないの」  ……。  でも実は好きなんだろ? 「そんなこと、万に一つもあるわけないじゃないか」  ……。  なあ、でもちょっと俺のこと気になるんだろ。 「何でそう思うのさ」  じゃあ逆に聞くけど、何でいつも一緒にいるようなことになるんだよ。  帰りはいつも同じ電車の同じ車両になるし、部活も何か一緒に入ってくるし、部活ない日は図書館でよく会うし。 「偶々だよ」  そのうち俺ん家呼んだら来るし、入り浸るし、テスト勉強も一緒にしたし。今日だって駄弁ってるし。 「一応友達だからね」  俺のあげたネズミ王国のキーホルダーずっと鞄につけてるし、俺が似合うって言ってから髪型変わんないし。 「……僕も気に入ったから」  そういえばこないだ見えたけど、待ち受け俺に...
  • 13-059
    放蕩男×堅物男 「何時だと思ってるんだ」 「えーと、8時?9時?くらい」 「午前2時だ」 「あはは、ごめん時差ボケ」 「今度はどこまで行っていた」 「西の方。あー、やっぱ日本は涼しくていいわ。向こうはずっと空気がカラカラでさ」 「へえ」 「元気だった?」 「ああ」 「そっか、そりゃ良かった」 「…………」 「…………」 「…………。で」 「あのアパート、家賃滞納で追い出されました。泊めてください」 「そういう事情なら仕方ない。あがれ」 「あれ。あっさりだな」 「不満か?」 「いやいやいや、そんなことないけどさ。ただお前のことだからすげえ説教を」 「いつまでも玄関先で話していると近所迷惑になる。それに」 「それに?」 「今更だろう」 「あー……今更、かー…」 「ああ」 「……うん。ごめん。でもってマジ恩に着ます。感謝感激雨あられ」 「い...
  • 19-059
    ひぎぃぃぃぃぃらめぇええええこわれちゃうぅぅぅぅぅぅっつ 「『ひぎぃぃぃぃぃらめぇええええこわれちゃうぅぅぅぅぅぅっつ』ってどうやって発音するのかな」 「なんですか?」 「エロマンガのセリフです」 「今読んだ通りに発音するんじゃないんですか?」 「最後の『っつ』はやっぱりちゃんと『つ』も言うんですよね、きっと」 「知りません」 「試してみませんか」 「誰が」 「あなたが」 「誰と」 「私が」 「嫌です」 「どうしてですか」 「どうしてもです」 「試してみないとわからないじゃないですか」 「僕はわからなくても困りません」 「私はわからないとこの好奇心が収まりません」 「収まらなくてもいいじゃないですか」 「いいですけど、納得するまであなたで妄想しますがいいですか」 「それは嫌です」 「あなたの顔を見る度に、どんな声を出すのかなとか、妄想で頭が...
  • 20-059
    待ち望んでいた瞬間にたどりついた カズヒコはにっこりと笑って僕の右手を取った。 「ずっと想っていたよ。夢に見るほどに。ずっと、ずーっとね」 カズヒコは僕の右手に頬ずりしてから軽く接吻する。 「貴方は気付いてくれていた?俺が貴方を想っていたことに」 僕は首を振る。驚きが首の隙間からこぼれて行く。 「俺は貴方を心の底から想っていた。だから貴方を全て肯定する」 僕は首を振る。首の隙間からは空虚な音しかしなかった。 「貴方が誰を想おうと、俺をどう思おうと、そのままで良かった」 カズヒコは僕の左手も取って両手をぎゅうっと握り締めた。 「貴方が幸せに笑っているのなら、俺は良かったんだ。でも」 カズヒコは一瞬だけ泣きそうな顔になる。 「でも、最近の貴方は泣いてばかり、あいつの所為で貴方は泣いてばかりだから」 僕は思い返す。 「泣かされているのに、貴方はあいつの傍を離れ...
  • 28-059
    介抱 おっ、おはよう。あーこらこら待ちなよ。大丈夫。寝てていいからさ。朝はご飯とパンどっちがいい?え、食う気がしない…ごめんごめん。 そうだよね、病み上がりだもんね?しかし丸一日寝ててお腹空かないのかい?はぁ、空いてるけど食べる元気すらない。そいつはいかんね。じゃあまずはおじやからかな? 勝手に決めるなってもなあ。その様子じゃ取り込みやすいものからじゃないと。はいはい大丈夫だから。寝てていいってば。 いやーにしてもびっくりしちゃったよ。うちの目の前の電信柱の根元に転がってたんだから。話しかけてもあー、とかうー、とかしか言わないし。 え、荷物?ああ、それなら、ちょっ、ちょっと、ほらあそこだよ。中身は見てないさ。服?ひどく汚れてたからね。洗濯しておいたよ。いいじゃないか、いくらか大きい見たいだけど男同士だし。 しかし、なんだってあんな風に行き倒れるハメになったんだ...
  • 23-059
    行き止まりでの出会い 行き止まった。 戻れない。戻りたくない。 ここで終わりか。 つまらない旅によく似合う、つまらない終わりだ。 ガタ 「あれ?こんにちわー」 …目の前の壁が開いた…なんだ?家なのか? 「うちにご用、なわけないですよねー。もしかして道に迷われてます?」 「あ、は、はあ、まあそんなもんで 「そうですかー。この辺分かりづらいんですよね。良かったら、道教えましょうか。」 「あ、いえ、特に行くところがあるわけではないの 「へえ?散歩ですか?」 「は、はあ、まあそんなもんで 「じゃあ、ちょっと上がってお茶でも飲んでいきませんか?今日は特に冷えますし」 えらく食い気味の男だ。 「いえ、そんな悪いですから」 「そう言わずに!誰も訪ねて来ないし、暇なんですよ!話相手になると思って!」 そりゃ、こんな入り口じゃ誰も来ないだろ...
  • 14-059
    堅物×泣き虫 「堅物だって言われねえ?」 「言われますね」 「生徒会長とかやってただろ」 「生徒会長は人気のある奴がやってました。俺は副会長です」 「ははは(笑えない)」 「悪口とか噂話も嫌いそう」 「時間の無駄ですよね」 「痴漢とか万引きとか絶対しなさそう」 「犯罪じゃないですか」 「エッチ話とかしたことある?」 「話をしてどうするんですか?」 こいつはどういうセックスをするんだろうと興味を持ってしまった。 酒によってたし。誘ったらついてくるし。 それが間違いだったんだけど。 「お前だましたな!」 「何をですか?」 「堅物のふりなんかして汚ねえぞ!」 「ふりなんてしてませんけど」 「エッチ話なんて興味ないって言ってたくせに!」 「話なんてしたって意味ないでしょう。やらないと」 「ちょ……直球で言うな!」 「それにしても意外で...
  • 26-059
    最期を看取る約束 「俺、アメリカ行くから」 「へぇ。がんばれー」 「何言ってんだお前も行くんだよ」 なにそれどういうこと。疑問符を飛ばしているとニヤリと笑う顔。 「俺の最期、看取ってくれるって約束しただろ」 じゃあ一緒にいないとな、なんてどんな理論だ。 いやいやあんな小さい頃の約束で俺の進路決められるの?! てか英語話せないし!ちょっと人の話聞けって。 「あー…、やばい死ぬかも」 強引にあいつを連れてきたくせに、路地裏に転がっている状況。 事故はしょうがない。予測なんて出来ない。 せめて最期に声だけでも聞きたいと、携帯を鳴らす。 『何言ってんのお前バカなの』 約束忘れてもいいわ、と告げると電話越しに笑い声が返ってきた。 あれここ泣く場面じゃね?俺死にかけてんのに笑われるっておかしくね? 『俺が看取れないとこで死ぬほど、お前って根性無しだっけ』 ...
  • 12-059
    毎日決まった時間に会う二人 「「おはようございます」」 挨拶を交わすくらいの仲。 とはいっても、友達でもなんでもない新聞屋さんな訳だが。 毎朝早起きして新聞を外で待って、 わざわざ手渡しでもらってる奴なんて俺か老人位だろうからさぞ珍しがってるだろう。 若いお兄さんで、名前はもちろん知らない。おはようございますしか言った事もないし。 ただなんだか良い笑顔を持っているのが妙に気になっているくらいで。 よし!今日もあの微笑みを見守った。元気に仕事仕事。 ・・・・ああせめて他の会話をしたいな。夕刊もとってみるか。そしたら「こんばんは」が言えるぞ。 「・・・ってか、朝刊と夕刊が同じ人な訳ねえな」 何考えてんだ俺は。まあいいや、 お兄さん、しばらくは今までどおり目覚まし代わりに観賞させていただきます ...
  • 21-059
    怪人801面相からの予告状 「八百人ですよ八百人!!」 新米刑事の沢木は声をあらげた。手に持っているのは今追っている事件の資料―のほんの一部だ。 何せこの事件が発生してから約五年、実に八百件の被害が起きているのだ。 「そんなことは俺が一番よく知っている。」 ベテラン刑事の武藤は煙草に火を着けながら返した。武藤はこの事件を5年前から担当している。 最初は、誰も真剣ではなかった。警察署と被害者宅に送られた予告状。 『今夜、貞操をいただきに参ります。-怪盗801面相-』 ご丁寧にターゲットの名前と時間まで書いてあるそれを誰が信じるだろうか。 しかし、被害は確実に予告どうりに行われた。 被害を把握して警察が動くようになってからも予告状のとおり貞操は奪われ続けた。 それも男ばかり。 どんなに厳しく警護しようともターゲットは煙のように消えた。 発見された時には皆貞操を...
  • 16-059
    高気圧×低気圧  昼食時、今日もまた今井君がひやむぎ定食を半分以上残して、 無言で空になった俺の皿と自分の皿を交換してくる。さりげなく。 俺も、もう特に何も言うこともなく、当然のように、残りの0.5人前をたいらげる。 前に今井君が、俺にだけ聞こえるか聞こえないかの一人言みたいに、言った。 すごいね、吸い込まれるみたいだね。なんで、そんな食えんの。 え、なんでって、まぁ…全然いけますよ。 「吸い込まれるみたいだ」って言葉にやけに、ヒヤリとした。 そんな気持ちで今井君の横顔を見ている自分に、 気付いたばかりの時だったから。 自分も気圧の知識がなかったwでも文章とかの雰囲気は好き!お次どうぞ
  • 24-059
    わんこ攻め×天然受け 攻め「好きなの!?受け、好きなの!?ねぇ!俺!俺のこと好き!?」 受け「うん、好きだよ」 攻め「本当!?大丈夫なの!?気持ち悪くない!?」 受け「うん、攻めは気持ち悪くなんかないよ」 攻め「そうかぁ!俺バカだから!バカだから自分の気持ち抑えらんないから!」 受け「そうだね。攻めらしいね」 攻め「うん!でも好きなんだ!そうなんだぁ!じゃぁ付き合ってくれるんだよね!」 受け「そうだよ。付き合うよ」 攻め「よかったぁ!じゃぁ付きあおうね!俺と付きあおう!」 受け「うん、付き合おうね」 攻め「あぁ!俺たち好き合ってるから付き合えるね!ね、受け!」 受け「うん。ところで付き合うってどこに?」 攻め「あぁー受けと俺は今壮絶にすれ違っているよー!気をつけようねぇー!」 皆の人気者×一匹狼
  • 15-059
    魔王×勇者 人間も魔物も共存している世界。 祖父が偉大な勇者である少年は自分も勇者になることを夢見ていた。 平和な今の世の中に勇者は必要なく、 叶わぬ夢という事も成長するに従って理解していく。 小さな頃は口を開けば「勇者になる」と言っていたがそれもなくなった。 その頃少年に親友ができる。それは人間ではなく魔物の子どもだった。 どんな種類の魔物かはわからなかったが少年は気にしなかった。 頭が良くて魔法も使え剣の腕も立つ。何より一緒にいて楽しい。 少年はそんな魔物の子どもが大好きだった。 いつも2人で森や洞窟を探索しては、いつか2人で冒険に出たいと話していた。 新しく出来た夢によって少年は勇者になるという夢も諦める。 もし少年が勇者になればそれは人間と魔物が対立する世界になるということだから。 「俺、小さい頃は勇者になりたかっ...
  • 9-059-1
    ×綺麗なニューハーフ ○ごっついオネエ 高校時代の同級生に久米川という男がいて、俺はそいつとバンドを組んでいた。 ヴォーカルだったのだが、頭の出来と反比例に顔が良かったから女にモテて、 根拠もなく自信家で自己中、金持ちの坊な上考えるより先に手が出る単細胞。 空気が読めない(読む気もない)から友達らしい友達もいないくせに 本人はそんなことは全く気にしない。結局奴がずっとそんな調子だったために 徐々にメンバーの足並みも揃わなくなり、バンドは卒業前に自然消滅した。 正直俺は久米川のことを友達だと思ってなかったのだが、向こうは違ったらしく 卒業してからも突然連絡があったり毎年手書きの年賀状が来たりしていた。 その久米川から昨日、結婚式の招待状が届いた。 『おお、元気かよ!小平オマエ、どうよ最近!?』 「…どうよじゃねぇよ。招待状見たよ、おめでとう。けどこれ...
  • 9-059-2
    ×綺麗なニューハーフ ○ごっついオネエ 超遅ればせながら…でも萌えたので語る カマ萌えでポイントになるのはギャップ。そして、ギャップを重ねていくことにより、様々な萌え方が見えてくるのだ! 1 まず基本のギャップ「男なのに女言葉」「ごっつい男なのに乙女」 2 明らかに男にしか見えないわけである。欲求を突き詰めて体を作り替えたわけではない。 そこには、「どうせ自分はあんな綺麗にはなれないし…」という羨望や、自分の男性性への諦めや葛藤、また誇りがあるかもしれない。 3 カマキャラってとかくギャグに使われがちだ。だが普段陽気なほど、シリアスが映えるというのはお約束。 かっこいい活躍に萌えてもいいし、 ひたすら笑いや倒錯を重ねることで到達するカタルシスだってある。 4 外からは世慣れているように見えても、内心で初恋の人など一人を想い続けているとかだ...
  • 27-029-1
    甥っ子×叔父さん 「おじさん結婚しないの」 19歳下の甥っ子に突然尋ねられた。ついに兄貴が婚期を心配しだしたのだろうか。 「もしかして今日、見合いの話持ってきた?」 「違うって。親父からは別に何も言われてないよ。ただ俺が聞きたいだけ」 「なんだよ焦った。まったく予定ない。残念なことに彼女もなし。  それよりお前はどうなんだよ。コレ、できたか?」 小指を立てて聞いてみる。 「それおっさんくせえからやめたほうがいいよ。彼女なんていない」 「20過ぎたら30まであっという間だぞー。ちなみにその先の30代はもっと早い。  今のうちにいい子つかまえとけよ」 「……んん」 アラフォーからのありがたい忠告だというのに、テーブルに頬杖をつきながら適当な相槌を打たれた。 しょっちゅうお馬さんごっこやヒーローごっこをして遊んでやったこいつも、あと10日で成人だ。 時の流れは恐...
  • 27-049-2
    役者と裏方 本番初日の前夜だった。 劇場から出て駅までぞろぞろと歩く中で、偶然吉井さんと歩調が合い、どちらからともなく「お疲れ様です」の決まり文句とともに会話を始めていた。 吉井さんは他の劇団から参加している役者の一人で、おそらく年上のはずだったが、礼儀正しい人らしく丁寧な言葉遣いで話してくれた。 今回の舞台もかっこいいですね、と褒められたことにどぎまぎしてしまって、思わず「いや、実はまだ二度目で」と縮こまった。 彼はこの劇団の過去の舞台を思い起こしているのだろうが、おそらくそれは別のベテランが担当したときの公演だろう。 ところが吉井さんは目を丸くしてこんなことを言った。 「じゃああれが初めてだったんですか」 驚いたのはこちらの方だった。あれを観に来ていて、しかもそのときの舞台美術担当の名前まで記憶しているとは。 「あの舞台、すごいなと思って。シンプルなのに幻想的で...
  • 27-049-1
    役者と裏方 本スレ49ですが、あの後の部長視点も書いてみたので投下 あっははっ。いやいや何も聞いてないよー俺は。 そんな聞いたからって真っ赤になって怒られるようなこと聞いてないよー。 うんごめんごめん。ごめんねー。いやこの前はほんと迷惑かけたね。それは悪いと思ってるよ。 いや裏方に迷惑かけちゃうようなアドリブしちゃうあたりは俺の技量不足だよ単純に。 でもさ、ちょっとくらい無茶しても君がどうにかフォローしてくれちゃうんだよね。 だからつい甘えちゃうんだよ。信頼できるのはいいけど信頼できすぎちゃうのも考えもんだねー。 嘘じゃない嘘じゃない。 ニヤニヤしてるのは君がかわいいから。 お?どしたどした?ほらこんなとこでうずくまんないで。顔上げてごらん?ほら! いたいいたいいたい。褒めたのにぃ。 ていうか、友達ほっといていいの? ねー。俺こんなはたかれるようなこ...
  • 27-079-1
    オナニー目撃(するされる)シチュ 暑くてだるいからオナニーすることにした。 ひとり暮らしになってから、何の気兼ねもなく昼間から好きにできる。大学生万歳。 携帯でお気に入りのエロサイト見ながら開始する。 眠たかったので股間は最初から半起ちだった。ズボンの上から軽くなでると、すでにじんわりいい感じだ。 固い布越しに数回こすってから、さっさとボタンを外して尻まで下げる。 トランクス越しの感じも好きだから、そこでもちょっとしごくと微妙な感じがまたよくて、完全にスタンバった。 今日はノリノリだ。気持ちのいい一発になりそうな予感がひしひしとする。 エロサイトも、新着が好みど真ん中のマッサージもので、握る手にも力が入る。 もちろんこの場合、力っていっても実際の力じゃない。他人は知らないが、俺はゆっくりやんわりやりたい方だ。 早漏というわけじゃないが、今日みたいにノッてる場...
  • 25-059-1
    俺のこと好きなんだろ? 私は常識を逸脱したものが著しく嫌いだ。 2年C組の原田は、私の理解の範疇から一歩、いや何歩も踏み外している。 何度注意しても直さないボサボサの金髪。 ゴムで縛った前髪が、教壇から一番遠い最後列とは言え、非常に目障りだ。 そして何より座り方がおかしい。 椅子の上で、ある時は体育座り、ある時は胡座、またある時は正座。 数学の授業なのにこいつが腐心しているのは間違いなく、難しい解を求めることよりも、難度の高い座り方に挑戦することだ。 今は坐禅を組もうとして、必死に右足の上に左足を乗せようとしている。 おい、落ちるぞ。 気づくと、教室のあちこちから含み笑いが聞こえる。 「先生、板書間違ってます」 「え?…」 黒板に目をやると、『原田からの距離』という、紛れもない自分の文字が飛びこんできて、息が止まりかけた。 「あ、あぁ…すまん」 慌...
  • 23-059-1
    行き止まりでの出会い 足が疲れて絡まりそうになる。走る。逃げる。走る。 路地裏に逃げ込んで、俺は先に進めなくなった。 追っ手の声がして、俺は今来た方向を振り返った。すると背中からドアの開く音がした。 「あ……」 ドアから出てきたのはゴミ袋を持った若いバーテンダーだった。 とまどっている男を問答無用で押し込み、俺は扉を閉め鍵をかける。 「え?ちょっと……」 「助かった。ありがとよ」 「てめえ!ふざけんじゃねえぞ!逃げ切れると思ってんのか!」 ドアを叩く音と蹴る音、罵詈雑言が聞こえたが無視する。 「出口はどっちだ?」 「……勝手に裏口から店に入って、注文もせずに出口をきくなんて横柄なお客様ですね」 「ああ、すまん。今はこれしか手持ちがないんで勘弁してくれ」 俺は財布から札束を取り出して男の胸元に押し付けた。だか男は受け取らない。 「もらう理由がありません」...
  • 19-059-1
    ひぎぃぃぃぃぃらめぇええええこわれちゃうぅぅぅぅぅぅっつ 「…暇だぁー」 「銀也、お前今朝からそれしか言ってないぞ」 「いや、そう言われてもね。マジ暇なんだって」 「いい加減、聞き飽きた。そんなに暇なら勉強でもしたらどうだ?次の試験、赤点だと単位ヤバいんだろう?」 「嫌だ。つまんねーもん」 「嫌って…お前な…。春休みに補習したいのか?」 「いや…そういうワケじゃ…ってか、そっちのが嫌だ。そーだ、お前勉強みてくれよ。どーせ、もうお前はカンペキだろ、首席サマ?」 「来週までにお前のそのポンコツ頭に知識詰めこむ自信はないな」 「眼鏡のくせにエラソーに。ポンコツって何だよ、殴るぞ?」 「偉そうって何さ。というか、眼鏡関係ないだろっ。まったく…そもそも、それが勉強教えてもらう奴の態度か?まあ、教えなくて良いなら…」 「えーっ」 「えー、じゃない」 「…。…。…。え...
  • 28-059-01
    介抱  昼に怪我をした。落ちて、足首をひねったのだ。労災になるとかで怒られた。  病院に行ってレントゲン撮って、骨には異常なし。ただのねんざ。  医者の言葉に、上司の新谷さんがあからさまにホッとしたので、むかついた。そんなに労災が怖いか。もっと大ケガすりゃよかった。  もともと、新谷さんとはあまり仲がよくない。ガタイばかりでかくて、やたら細かい。うざい存在だった。  夜になって、痛み出すまでは余裕だったのだ。  ずきん、ずきんと痛めた箇所が脈打ちはじめて、あわてて痛み止めを飲んだが遅かったらしい。  そういや氷で冷やせって言われたっけ、と思い出すが、あいにく冷凍庫は空っぽ。  しかたなくビールで冷やすが、飲めない温度のビールばかり増えてちっとも治まらない。  どんどん痛みが増し、気がつくと唸っていた。  足が、おおげさじゃなく倍に腫れてる。心拍と一緒に、ズ...
  • 27-459
    実体の無いものが人間に恋い焦がれる 夢を見た。三年前は老人で、その前の七年くらい前は男児だった気がする。何度目の出会いかわからない。でも、確かに同じ彼。 最近の仕事の話、好きな食べ物、心地よい沈黙。何度目だろうか?彼と過ごすのは。 今日の彼は青年。今の俺にとっては年下で。 きみは、おぼえてるかい? 何を? はじめまして、のすがたを。 ああ、確か今の姿だった。俺より少し年上のお兄さんだ。 おぼえてくれていたんだ。 何時の間にか、白の部屋は黒に変わる。彼だけが薄く光る。 ほんとに、おとなになった。 すっかり草臥れたおっさんだ きみは、もうないてない? ああ。大丈夫だ。 ねえ、 うん? きみは、しあわせになれた? …ああ。少なくとも今は幸せだ。生きる選択してよかったと。 よかった。きみにはしあわせ...
  • 27-159
    どこか狂ってる人とその彼をうまく扱える人 語りたくなったので、パターン分けしつつ萌えてみる 1.戦闘狂と知能派 とにかく戦闘一辺倒、他の事はよく知らないみたいな奴と、 補佐して暴れられるように作戦組んだり、指示したりする奴の組み合わせ バトル大好きヒャッハー系でも、戦うことしか知らなかったみたいな無感情系でもいいよね! 知能派は常識人で戦闘狂に頭痛めててもいいし、冷徹に扱うタイプでもいい 主従関係があってもいいと思う 性欲の発露みたいな、ちょっと殺伐とした恋愛でもいいし、信頼関係が高じてらぶらぶに至っても美味しい ヒャッハー系なら戦闘狂が押し倒すのが定番だけど、襲い受けとかもありだと思う 戦うことしか頭になかったのに、いつの間にか…みたいなのもいい。萌える 2.科学者と理解者 マッドサイエンティストとか、学者とかのタイプと、その理解者だった...
  • 27-959
    真面目×真面目 無遅刻無欠席、校則遵守。何が楽しいのかって? 何も楽しくなんかない、ただ楽なだけだ。 昔から、「高木くんは真面目だよね」とよく言われた。 褒め言葉じゃないって気づいたのは、割と最近。 いつまで経っても友だちができない理由に気づいたのも、同じ頃。 「高木くん」 金曜日の帰り道、俺を呼び止めたのは遠山。こいつも無遅刻無欠席のぼっちだ。 授業で二人組を作る時は余り物同士で組むことが多いが、友人と言えるほどの会話はない。 遠山は休み時間、いつも背筋を伸ばして分厚い本を読んでいる。 周りがどんなに騒いでいようが、たまにつつかれようがお構いなしに。 寝たふりしか出来ない俺とは、大違いだ。 その遠山が、俺に何の用だろう。 「な、なに?」 今日初めて誰かに話しかけられたな、と思いながら振り返ると、 「単刀直入に言う。僕は君に好意を抱いている」 真...
  • 27-759
    朝にはいなくなる人 あの人はいつも朝にはいない。まるで幽霊みたいだ。 日曜の夜に何処からかふらりとやって来て、俺に愛の言葉を囁いて二人で一緒のベッドで寝る。 俺が起きる頃にはテーブルの上に朝食が作ってあって皿の下にはいつものメモ。 “また来週  S” あの人らしい綺麗で流れるような筆跡。メモを眺めコーヒーを飲みつつ出社の準備をした。 また憂鬱な一週間の始まり。早くも次の日曜が待ち遠しい。 一週間に一度の逢瀬。俺はそれで満足はしていない。 毎週メモを見る度に寂しいような悲しいような訳の分からない気分になる。 幽霊でないのなら、目が覚めた後もいてくれたっていいんだけど。 朝に消える理由はこれが誰にも知られてはいけない秘密だから? 歳の差に性別、確かに壁は多いけど。 待ち遠しい日曜の夜。来てほしくない月曜の朝。 太陽が昇らないことを何度願...
  • 27-559
    水と油 「水と油」というものは決して一つになれないという悲しい運命の元に生まれた二人を的確に表す言葉だと思われる。 包容力のある水と飄々とした油でのcpなら、水→油の悲恋がいい。 水がどんなに大きな心で油を抱擁しようとしても油はするりとすり抜けてしまうのだ。 また、油は水の上に浮かぶことから身分違いの悲恋としても妄想が成り立つ。 底辺にいる水がどれ程手を伸ばそうとも、油は遙か高みに君臨する高嶺の花なのである。 そして「交じり合わない」を「互いの心が分からない」と捉えても美味しい。 どうしても相手の事が理解出来ない二人は対立することしか出来ない。 それでも「自分をいつか殺すならきっと奴なんだろうな…」とそれぞれ相手の事はある意味での「特別」として認めている。 それぞれが泥沼に嵌まって抜け出せない最後の最後まで喉元に刃を突き付け続けるしかない二人。 生まれ変わ...
  • 27-359
    気弱な攻め クラスメイトであり恋人でもある秦野の姿が目に入った。 声をかけながら走り寄ろうとしたとき、数人の明らかに不良だと思われる男達が秦野を取り囲んで、 神社の裏手へと連れて行った。 中の一人が辺りを見回し、立ちすくむ俺と視線が合うと「さっさと消え失せろ」というように睨みつけてから 神社の裏手へと姿を消した。 そういえば、秦野は最近、以前揉めたことのある相手から因縁をつけられていると言っていた。 それがあいつらなのか――。 今は真面目に勉学に励んでいるが、秦野は元は不良だった。 「俺もけっこう無茶したから、いろんな奴から恨みを買ってるんだよな」と 他人事みたいに呟いた秦野は、俺の心配そうな顔に気づくと 「今はもう無茶なことはしないから」と安心させるように微笑んでくれた。 だけど、それは秦野の事情で、秦野に恨みを持ってる連中の知ったことではない...
  • 27-259
    定年退職 「長い間お疲れ様でした」 「ありがとう」 少し奮発したシャンパンのグラスを互いに軽く当てると、孝志さんは気恥ずかしそうに微笑んだ。 テーブルの上にはクリスマス並のごちそうが並び、冷蔵庫にはケーキも入っている。男二人の食卓には似合わない花は、孝志さんが今日会社でもらってきたものだ。 「祝ってもらうのはありがたいが何だか変な感じだな。定年退職なんて別にめでたいものでもないのに」 「何言ってるんですか、めでたいですよ。会社を無事に勤め上げて、これから孝志さんの第二の人生が始まるんですから」 「第二の人生って言うと聞こえがいいが、単に老後の生活が始まるだけなんだがな。……でもまあ、何であれ君に祝ってもらえるのは嬉しいよ」 最後に早口で付け加えると、孝志さんはうつむいて頬を染めた。定年の年になっても、そういう可愛いところは昔から全然変わらない。 「そうそう、お祝い...
  • 27-859
    寂しがりや 暗い部屋の中、何気なく目を覚ました。 白くぼんやりした塊を見つけ、俺はそっと手を伸ばす。温かい温もりにほっとして、塊にすり寄った。 「くすぐったい」 塊が声を上げる。 起き抜けだからか、酷く声が荒れていて他人のもののように思えた。 「寒い」 「知らねえよ、離れろ」 「いやだ」 面倒臭そうに、俺を突き放そうとする塊に、ワザとくっついてみた。 心音が心地よく、また目蓋がトロトロと落ちてくる。髪を撫でる感触がこれまた絶妙で、すがりついた腕に力がこもった。 「寒いんだよ」 「そうか」 呆れたようなため息なのに、背に回った腕がしっかりと抱きしめ返してくれたことに、俺は安堵した。 どうせ、明日には離れるんだ、今くらいは甘やかして欲しい。 「本州の端と端は、遠いんだよ」 「電子機器は距離を縮めるだろ」 「俺は直に触りたい派なんだよ」 「そこは、声聞...
  • 27-599
    顔も名前も知らないあの人 俺は小さな頃から祖父に懐いていた 一緒に本を読んだことや眼鏡を掛けたら若い頃の祖父に瓜二つだといわれて嬉しかったことを今でも覚えている 祖父が亡くなったのは先週のことだ 事故だった とはいってもそれなりに長く生きていたし突然のことに驚きはしたものの案外冷静に受け止められた 葬儀も終わり落ち着いて実家から帰った次の日 俺の簡素な1Kに大量の段ボールが送られてきた 「お父さんの部屋にたくさんあってさ~中ぜーんぶ本みたいだから、おまえ好きだろ?棚にあったのも詰めといたぞ!」 急に狭苦しくなった部屋でとりあえず一箱開けてみる 一番上の古古しい本に手を伸ばす 発行日を見ようと本を開くと一通の手紙が滑り落ちた 「僕は貴方を振ったけど今でも貴方を愛しています」 「お互い妻に先立たれた今貴方と共に余生を送りたい」 …これ...
  • 27-159-1
    どこか狂ってる人とその彼をうまく扱える人  リュウヤが白衣のまま玄関に倒れこんできた。  疲労困憊、顔面蒼白。まさにそんな感じで。俺は慌てて駆け寄った。 「た、だいま」 「おい!リュウヤ!」  蹲ったまま息を荒げているリュウヤの顔を覗き込むと、リュウヤは思いの外強い眼光でこちらを見た。  そしてもう一度、言い聞かせるように言う。 「ただいま」  やれやれ。言いたいことはわかった。 「……おかえり。大丈夫なのか」  そう言うと、リュウヤは満足そうにニヤッと笑った。  こいつは俺が「おかえり」と言うのを聞くのが好きらしい。  たまに言い忘れると、「おかえり」と言うまでこっちの話を聞いてくれない。 「大丈夫。根を詰めすぎただけ」  そう言って立ち上がろうとするのを押しとどめる。 「待て。肩貸すから、よっかかれ」  よほど辛いのか、素直に肩に手を...
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