*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「28-259」で検索した結果

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  • 28-259
    帰りたい  好きなんだ、といった親友の言葉に俺はなんと答えることができたのだろう。  テレビの向こうでは着飾った女の子達や、爆笑するお笑い芸人たちが極彩色の世界で光っているのが見えているのに、馬鹿らしい笑いと流行りのポップソングが流れているのに。俺は、一体、何をしているのか。  目の前の親友は真剣な表情で俺を見つめ、舌なめずりするかのように唇を薄く舐める。 「好きだ。俺は、お前が、好きなんだよ」  出会ったのは幼稚園、それからずっと一緒の生粋の幼馴染みでもあり親友でもある奴は、俺にそう伝えた。  嘘だろうと目を瞬かせると、さっきまでのふわふわした年末気分は全て消え去り、一瞬で現実が分からなくなる。  そんな状況だと言うのにテレビはお祭り騒ぎだし、名前しか知らないような演歌歌手がよく分からないような歌を大声で歌っていて、脳内は"?...
  • 8-259
    遠くて近いあのひと 夏の終わりの夕日がアスリート達の肉体を赤く照らしている。 「今日はもう上がれ」というコーチの言葉に頭を下げて彼は 練習を終えた。 コーチがストップウォッチを見ながらクリップボードに 書き込んでいるのが見える。 彼は挨拶を寄越す後輩たちにおざなりに答えながらトラックを離れ、 大股で私に歩み寄る。 「調子はどうです?」 そう尋ねる私に彼は黙って唇を噛んだ。 私はそれ以上彼に返答を促すことなく、自分の仕事を始めた。 今シーズンの彼の成績は決して悪くなかった。 しかし世界のトップアスリートの集まる国際大会で通用する レベルではない。 アスリートの旬は残酷なほどに短い。 彼の年齢を考えればそろそろ第一線で競技していくことが 難しくなってくる頃だ。今シーズンがラストチャンスだと彼も、その周囲も 暗黙のうちに知っている。 そ...
  • 18-259
    早漏改善合宿 なにがなんだかわからない。 俺の部屋に章吉が遊びに来たのが30分前。 見られたら困るものを必死に片付けたのが1時間前。 本棚に並べられた教科書を章吉が開いたのは1分前。 その教科書に挟まれたチラシがヒラリと落ちたのが30秒前。 「へーそうなんだ」 『早漏改善合宿 体験者募集』とバッチリ書かれたそのチラシに目を落とし、章吉が呟いた。 「まあ、これは何て言うか……」 「お前、彼女いないよな?」 「いいだろ別に、いつかは俺だって……」 悪戯っ子の目で覗き込む章吉からチラシを奪い取る。 笑えばいいのか、起こればいいのか、いっそ開き直って打ち明けてしまおうか。 「15万円は高いよなぁ」 「だから別に俺は!」 「試してみようか」 「は?」 「コレ」 俺の手の中でクシャクシャになったチラシを引っ張りながら章吉が満面な...
  • 10-259
    10-259 http //web.archive.org/web/20060219134238/http //www.ismusic.ne.jp/nyoitaph/music/276-400.mp3 この曲のイメージでどうぞ。 微グロ電波注意 +++ いつか、大切な人と、ずっと一緒に暮らせるといい。 僕はずっと一人で旅をして来た。死んだ弟を生き返らせる方法を探して。 旅は十の時から始まり、どこにあるとも分からないその方法を追い求めて、 大陸中を巡ってもう18年も経った。弟は既にあの家で腐り、骨になっている事だろう。 それでも僕は旅をやめる事はできなかった。 旅の途中、色々な人と出会い、別れた。辛くないと言えば嘘になるが、 それでも目的の為には仕方がないのだと諦め続けていた。 だけどひとつだけ、どうしても離れがたいものができてしまったの...
  • 18-259-1
    早漏改善合宿 普段いっしょにメシ食うノリで部屋に押しかけ、昨日の話の合宿だと言うと冗談だと思ったらしく 「そうかー、じゃ気合い入れて特訓しないとな!」 と笑った。その笑顔にむかつく。 入学して一年近く経つのに、昨日までお前の元カノ話なんか知らなかった。 親友とか勝手に思ってた俺馬鹿みたい。 何食わぬ顔でチビチビと、でも動揺をジョッキに隠しながら 上木モテモテだもんなー、今まで何人もスーパーテクでヒィヒィ言わせてんの、なんて露悪的にあてこすったら、 「いやー、なんか俺怒られるんだよね、痛いとか早いとか言われてさ」 と照れられた。なにその余裕。なにマジで複数かよ。 「早いのはいかんよー、上木、訓練、修行。特訓が必要なんだって。俺が教えてやる!」 って混ぜっ返したら、ジッと俺の顔見て「本当に?」とか言いやがった。 本当なわけないだろ、そんな方法知るもんか。腹立つか...
  • 1-259
    英語教師×数学教師 「おまえの巻き舌は気にくわん」 数学教師はそう呟いた。 rとlの発音の違いが数学教師には理解できないのだ。 「本当に気にくわないかどうか、試してみるか?」 英語教師は数学教師の口内に自慢の舌をねじ込む。 「んんっ」 英語教師の長い舌で弄ばれる数学教師の、熱い舌。 「こういう使い道があるんだよ?」 「…馬鹿! 今のは角度がなってない。45度で入れるんだ!」 数学教師は必死に抵抗してみせる。 「じゃあ脱げよ。おまえの汚ねえケツメドに45度の角度で挿れてやる」 「128の255乗貫け……」 二人の粘液が絡み合う教室に始業のベルが響いた。 夜明け前のカポー
  • 4-259
    エルフ受け 僕の不思議な話を聞いてください。 僕が、彼と出会ったのは、家族旅行で行った外国の地ででした。 幼かった僕は、好奇心と冒険心の強い子供だったため、親が目を離したすきに、 ホテルから見える森へ、探検をしに入り込んでしまいました。 もちろん森の中は、高い木の陰で薄暗く、地面は苔むしてぐずぐずとしていて、 日本のアスファルトを踏みしめなれていた僕は、すぐに右も左も分からなくなり、 迷ってしまいました。 どこをどう行けば帰れるのか。 もしかしたら、僕はここで死ぬんじゃないのか。 僕は、声が枯れるまで泣き、助けを求めて叫び、そして疲れて座り込んでしまいました。 そんな時に出会ったのが、彼でした。 僕の記憶では、彼は泣いている僕の目の前に、突然現れました。 植物から直接作ったような、不思議な服を着ていて、この旅行中に見たどの外国人 よりも、ぬけるほど肌が白...
  • 6-259
    スクーター 午前2時に、幼馴染の浩太が、泣きながら、僕の部屋の窓を叩いた。 午前3時に、僕は浩太を、逃がすことを選択した。 そして、荷物をまとめて、僕は浩太のスクーターに乗った。 「お前は、朝になるまで、近くのカラオケボックスで待ってろ。  俺が、バイクで遠くまで行って、お前が遠くに逃げたように見せるから。  朝になったら、通勤ラッシュに紛れて、電車乗って、遠くへ逃げろ。  バイク乗り捨てたら、俺も合流するから」 2時間前に、自分が、泣いている浩太に言った言葉を、頭の中で繰り返す。 髪の色は、浩太と同じ色に変えた。 さっき入ったガソリンスタンドでは、印象に残るようなことをした。 大丈夫。大丈夫。僕はまだ、浩太を守れているはず。 午前5時。あと1時間もしたら、朝になる。 朝になったら、浩太の家の窓についた血が、外から見えて、浩太のやったことを 教...
  • 3-259
    応援団 団長が手を動かしている。手はすいすい動いて針と糸を操っている。糸は太い、ソレ用の、ナントカっていう金色の糸だ。 俺はといえば、白いタスキと白いはちまき(これがまた長い)、それからシャツにアイロンをかけている。ちなみに、ここは部室で、家庭科室とか被服室とかではない。 「団長ぉー。なんか俺らー家庭部みたいじゃないすかー」俺がわざとらしく嘆くと、 「そーねー。なんかおんなのこみたいだよなぁー」団長がやる気ないかんじに答える。団長が縫ってるのは、旗だ。業者に頼む金がないわけではなく、応援団旗はその年の団長が縫うという伝統があるのだ。 つまり来年は俺が縫う。 「団長ぉー、それ男女差別っすよー」 「まーそーだねー」 部室は畳づくりの四畳間である。カタカタと壊れそうな音を立ててちっさい扇風機が回っている。 なんでかひらがなで扇風機に書いてある名前を、団長...
  • 5-259
    幼馴染を初めて意識する瞬間 染谷はふと顔を伏せた。 長く付き合っている、だから判る。 意地っ張りで負けず嫌いの染谷は、幼い頃から俺にすら一度も泣く所を見せたことがない。 けれど今伏せる瞬間に見えた表情は、染谷が泣くのを堪えている表情だ。 プライドが高くて意地っ張りで負けず嫌いで、唯我独尊で他人に厳しく容赦ない染谷。 だけどその染谷が自分自身に一番厳しいってことを俺は知っている。 今まで何度この顔を見ただろう。 肩が震えるのすら堪えようと、拳をきつくきつく握り締めている。 歯を食いしばり地面を踏みしめて、足元を睨みつけながら歩く。 いつだって気丈に顔を上げて真っ直ぐに歩いている染谷が、顔を上げられないでいる。 今まで何度この顔を見ただろう。 けれど初めて、20年一緒にいて初めて、 俺は今、染谷を抱きしめたいと思っている。 ...
  • 2-259
    無職者と新幹線で飛び回る有職者 「あへ……お前でかけんの…?」 朝早くからバタバタと用意をしている恋人に、布団の中から男が声をかけた。 「昨日言っただろうがー。今日から出張!帰るの明々後日な」 「あれま……気ぃつけろやー」 寝癖がついた髪をぼりぼり掻きながら、パジャマのままで玄関まで出迎える。 この男にゃ急ぐ必要は無い。どうせ仕事も何もあったもんじゃないのだから。 「俺が留守ン間の戸締りとか頼むぞ。俺が居ないからってご飯は適当にするなよ?後それから…」 「おーい、時間いいのかぁ?」 「うぎゃああ!やべぇ!んじゃ行って来ますッ」 「あ、ちょっと」 「え?何?マジで俺、新幹線の時間やば……」 きっちり着込んだスーツな姿の相手の、ネクタイをグイっと引っ張る。 ちゅっと軽く口付けてから、男はやんわりと笑んだ。 「行ってらっしゃい。毎回言...
  • 9-259
    年上俺様寂しがり 俺様受宣言 お前を攻にする前に 言っておきたい事がある かなりきびしい話もするが 俺の本音を聴いておけ 俺より先にいってはいけない 俺の中に出してもいけない ゴムは上手くつけろ いつも綺麗にしろ 出来る範囲で構わないから 忘れてくれるな フェラも出来ない攻に ベッドを守れるはずなどないってことを お前にはお前にしか できない事もあるから それ以外は中出しせず 黙って俺を突いてこい お前の息子と俺の息子どちらも 同じだ大切にしろ 前戯後戯かしこくこなせ たやすいはずだ 愛すればいい 人の乳首吸うな舐めるな それからつまらぬ シットはするな 俺は浮気はしない たぶんしないと思う しないんじゃないかな ま、ちょっと覚悟はしておけ 快楽はお前が育てるもので 受が苦労して つくろうものではないはず お前は俺の処...
  • 7-259
    どういたしまして 差し出されたケータイは確かに俺のものだった。 いつの間に落としたのだろう。 「ありがとうございます!あの、これ何処に落ちてたんですか?」 「信号のところで落とされましたよ。」 「これ先週買ったケータイなんです!本当にありがとうございます!」 「どういたしまして。」 そうしてやわらかな笑顔と共に去っていった彼の所に、僕は恋心を落としてしまったのだ。 六月の結婚式
  • 28-299
    堅物と愉快犯 「どうせお前はまた面白がってやってるんだろ」 片霧朔 2-B所属 指導回数 7回目 サラサラと小奇麗な文字がプリントを走る。ついでに溜息も一つ。 「またお前か…ちょっとは大人しく出来んのか」 眼鏡を取って目元を指で揉んでる。そんなに歳食ってない筈なのに親父臭い。 「無理っすね!てかピアスぐらい良いっしょ普通」 「馬鹿モン、没収に決まってるだろ。放課後取りに来い」 「あでっ」 ファインダーで頭を叩かれた。うちの校則厳し過ぎる。校則も厳しいが、ついでに言うとこの生徒指導の金剛はもっと厳しい。 ちょっとでも校則に違反してると一瞬でアウト。見逃してなんてくれない。怒った顔がまた怖い。「鬼の金剛」なんてベタなあだ名が付くぐらい怖い。 40、50代にありがちな熱血体育系でもない28歳優男風の癖に空手有段者だと。 皆は恐ろしが...
  • 25-259
    暗殺者と虐殺師 「俺、昔、虐殺者だったんだ。ア、捕まったことはないよ。だってそんなヘマしてたら今お前とこんなことできない。もしも捕まってたら今頃、あの世だ」 そう言って彼は私の長い髪を一房持ち上げてキスをした。 彼と私の間に愛は無く、惰性が疼くときにのみ共にシーツを汚す。 「貴方の過去なんて興味がありませんよ、バートラム」 「一度くらい愛称で呼んで。ほら、バート、簡単デショ?……ダメ?つれないネェ、俺はお前がこんなに好きなのに、キャス、キスしよう」 裸の肩を押し付け、奴の髭が私の肩口で鈍い痛みを与える。 仕方がなく唇を触れ合わせれば懐かしの虐殺者様は私を抱きしめて舌を絡ませてきた。 厚ぼったい舌を持った醜い男、四十を過ぎて漸く愛を知りかけた矢先の男。 最後には私の息が続かなくて肩を叩いて、体を引き剥がした。 「……夕食にしましょう。用意しますから早く席へつきなさい...
  • 15-259
    パティシエの恋 閉店の片づけを終えた彼は、レジ前の待ち椅子にかけて一息ついていた。 「おつかれさま」 僕は彼の前にイートイン用のカップに淹れたホットチョコレートを差し出した。 「明日からはひな祭りとホワイトデー用のメニューに変えるから、 余り物処分に協力して」 「俺、甘いもの苦手なんですけど」 「なのにケーキ屋でバイトって矛盾してないか?」 「苦手なものなら、バイトしてても食べたくならないでしょ?」 「なるほど。でも、コレは甘いの苦手でもいけると思うから試してみてよ」 「はあ...」 彼はカップを受け取ると、おそるおそるといった様子で口をつけて、ぱっと 顔を上げた。 「これ、美味いです。全然甘くない。砂糖入ってないんですか?」 「砂糖は少しは入ってるけどね。カカオ分が多くてクローブとシナモン を効かせてるから、甘ったるくないで...
  • 21-259
    銭湯に行こうよ 突然何を言い出すかと思ったら、「神田川ごっこ」ですか。 うん知ってる。お前はそういうロマンチックバカだ。 冷静になって考えてみてほしい。 まず俺達は、別の暖簾をくぐる必要もないし、そういうわけだからどっちかがどっちかを 待ちぼうけるようなことにはならない。 赤い手ぬぐいなんてそもそも持ってないし、石鹸じゃなくてボディソープだ。 冬じゃないんだから生乾きの髪が冷えることもない。そもそもこんな短い髪じゃあ冬でも冷えるわけがない。 大体俺はお前に肩を抱かれてどきっとするほど繊細な反応は出来ないし、 お前だって気障ったらしく俺の方を抱けるような男でもないだろう。 あ、そうだ。大事なことを忘れてた。 俺達はあの歌の二人と違って、今が今でとっても幸せで、 これから先、お前と生きていくことに何の不安も感じていないから、 あー…つまり、何が...
  • 14-259
    強引な童貞×流され女たらし 「だから…!」 声と一緒に、俺を掴んだ弟のこぶしは震えている。 逆光で表情は見えない。ただ俺の腕と胸を押さえきっている。 出かけようとしたら、声掛けられた。 今日は夕飯いらねーよ。 そう言おうと思って振り向いたら、思いっきり押された。 その勢いのまま二人とも盛大にこけ、俺は頭と背中をしたたかに打った。 「何しやがんだ。放せよ」 「嫌だ」 「何駄々こねてんだよてめえは!」 いつもは俺のやることに口なんか出さないものだから、 いったいこれはどうしたものなのかと俺は内心眉をひそめた。 その心境の変化を悟らせないように溜息ひとつ吐きながら、弟の顔を睨むように見上げた。 けれどどれだけ眼を飛ばしても、ガッチリ固められたマウントは外れやしない。 「放せよ、待たせちまうだろ。デートに遅れるなんて男の名折れだ」 「もう兄貴行くなよ」 ...
  • 28-209
    サンタクロース 「サンタはおれのとこにはこないよ」 甥である雅浩の言葉に、爽太は目を瞬かせた。 不貞腐れたような表情の雅浩と視線を合わせるようにしゃがみこんで、爽太は改めて彼に問いかけた。 「えっと… 何か悪いことでもしたの?」 「してねーよ!」 そう叫んで、こちらを向いた表情は7歳らしいそれで、爽太はますます首を傾げた。 姉夫婦の子である雅浩は、所謂ガキ大将タイプだ。 爽太にこそ懐いているものの、両親にはえらく反抗的である。 あんたに懐いてんだから欲しいものを聞き出してよ、と姉に言われるがままに 「サンタさんに何をお願いしたの?」 と聞いた返答が冒頭のそれであった。 何分こましゃくれた子供なので「サンタなんていない!」と言うのは想定していたが、何とも斜め上の回答である。 「どうして、来ないと思うの?」 「だって、おれの欲しい...
  • 28-229
    強気年下攻め×地味受け 「んじゃ、しましょうね!今日こそしますよ!」 「え、本当に?しなきゃ駄目?」 「はいします。しなきゃ駄目です。じゃ、シャワー使ってくださいね。綺麗にしてください」 「……ひょっとして、この間言ってたみたいに?」 「当たり前です。なんのために資料と道具まで渡したと思ってるんですか。言ったとおり、ちゃんと家で一回ぐらい練習しましたよね?」 「いや……その、いろいろ抵抗があって」 「えー?困るなぁ、じゃ今日入れられないじゃないですか」 「普通はいきなり……おしりはちょっと拒否反応あって普通っていうか」 「でもゲイといえばアナルです、他にないんですから」 「君、やっぱりゲイなの?」 「んー、そういうわけでもなかったんですが、石川さんのこと好きになったからにはそれでもいいかと」 「前向きだなぁ」 「僕、ネガティブなこと...
  • 13-259
    勇者×ラスボス 「そうだな…この魔王城まで来て、私の退屈を紛らわせてくれたお前に  私は何か礼がしたい。ふむ、世界の半分くらいくれてやるぞ。  お前が治すればなかなか面白い世の中になりそうだ」 「……いや、待て待て待て。すると何か?お前の話をまとめるとこうか?  元々世界の創造主だったのが、塔のてっぺんで何千年も過ごすのに飽きて、  しばらく吟遊詩人として世界中を放浪しまくった挙句それにも飽きて、  今度は魔物を作って自分が魔王になってみましたと?そういうことか?」 「まあ、有り体に言えばそうだな。  ところで勇者よ、お前は葡萄酒は赤と白どちらが好きだ?歓迎の宴の準備が」 「要するに俺は……いや、人間は、お前の暇つぶしに付きあわされただけ?」 「そう言うな。実際、共通の敵を目の前にして人間たちの結束も固まっただろう。  ところで勇者よ、甘味は嫌いか?ちょうど今...
  • 11-259
    据え膳 ああ、ああいう時のジョーはこんな気持ちなのか。 目の前に眠る男、スペックは幼馴染、今年で二十二、新米サラリーマン、彼女なし、別れたばっかで傷心中。 対して俺、幼馴染、今年で二十三、彼氏なし、貧乏院生、目の前の男に片思い中。 引くべきか、いくべきか。両手で広げる四枚のカード。 『押し倒す』『引き倒す』『覆い被さる』『暴走する』 「全部一緒じゃねぇか!」 がっつきすぎです本当に以下略。ヤバイ。理性ヤバイ以下略。 「帰って来い、冷静なほうの俺」 ダメだろう、ここで手を出したらダメだろう、あれ、でも据え膳って手を出さないほうがダメなんだっけ? 東向いて笑うんだっけ? 食ってる間は喋ったらダメなんだっけ? 食うって! 何その性的な意味! 頭ぐらんぐらんです。混乱中です。彼が好きなんです。いやいや、落ち着け、だから帰って来い、クールビューティー俺! 「……...
  • 27-259
    定年退職 「長い間お疲れ様でした」 「ありがとう」 少し奮発したシャンパンのグラスを互いに軽く当てると、孝志さんは気恥ずかしそうに微笑んだ。 テーブルの上にはクリスマス並のごちそうが並び、冷蔵庫にはケーキも入っている。男二人の食卓には似合わない花は、孝志さんが今日会社でもらってきたものだ。 「祝ってもらうのはありがたいが何だか変な感じだな。定年退職なんて別にめでたいものでもないのに」 「何言ってるんですか、めでたいですよ。会社を無事に勤め上げて、これから孝志さんの第二の人生が始まるんですから」 「第二の人生って言うと聞こえがいいが、単に老後の生活が始まるだけなんだがな。……でもまあ、何であれ君に祝ってもらえるのは嬉しいよ」 最後に早口で付け加えると、孝志さんはうつむいて頬を染めた。定年の年になっても、そういう可愛いところは昔から全然変わらない。 「そうそう、お祝い...
  • 19-259
    許させて 毎週末、お前は死んだ恋人の墓に行く その手の中は花束だったり、恋人の好きだった煙草だったり、お菓子だったり。 そうして、朝早くから日が暮れるまで、何をするでもなくぼんやりと墓の前で紫煙を燻らせる。 そろそろ、一年が過ぎる。 彼の死因はなんだったっけ。 そうそう、お前と喧嘩して、マンションから飛び出して、信号無視の車にはねられたんだっけ。 しかも喧嘩の理由ってアレだよな。恋人の誕生日忘れてたって男の癖に女々しい理由。 ほんと、お前も恋人も馬鹿だ。どうしようもない死に方だよなあ。 朝から晩まで、墓の前でめそめそして、何度も何度も同じことを謝って。 なあ、お前の事、ずっと見てる奴がいるんだけど。 恋人が死んでから、ずっと傍でお前の事支えてた奴がいるだろ? もうさ、そろそろ死んだ恋人の事は忘れてみないか? 後ろばっかりみるのはやめて...
  • 28-279
      277  踏まれるのは私だ! 「待ちたまえ、277」 赤いピンヒールが俺の背中を踏みしめようとするのを、苛立った声が遮った。 「君は昨日も踏んでいただいただろう。今日踏まれるのは私のはずだ」 その台詞を口にした人物の表情からは、この空間の中では正当ではあるが世間一般では異常な主張をすることへの羞恥と、 それを凌駕する欲望と、そして嫉妬心がはっきりと読み取れる。 「すみません、274先輩」 立ち上がっていちおうは謝罪の言葉を口にしたものの、俺は口元に笑みが浮かびそうになるのをこらえていた。 男子校の弱小同好会を隠れ蓑にしたこのSM倶楽部の存在を知って入会してみたものの、 Sは『女王様』(男子校だから男だが)1人だけで、残りは全員が通し番号で呼ばれるM奴隷というシステムは俺の嗜好とはかけ離れていた。 それでも俺が退会せずに今日まで奴隷...
  • 28-239
    親友以上になりたい二人 「…退いてくんない?」 「やだね」 酒に酔った勢いか、ユウジが唐突にマウントポジションをとってきた。 ユウジとはお互いを親友と認め合った中学からの付き合いだ。ぐだぐだと歳を取る内に俺達は大学生になり、こうしてどちらかの家で酒盛りをすることも増えた。 今日は珍しくユウジから誘ってきたもんだから、何かあったのかとは思っていたが。どうしてこうなった。 ユウジは俺の上に乗っかったまま動かない。心なしか表情も険しい。 「ユウジ、降りて」 「…やだ」 「重いから…」 嘘。本当は、重いから退いてほしい訳じゃない。その証拠に心臓が破裂しそうなくらいドキドキしてる。 俺はユウジの事が好きだ。勿論、LikeじゃなくてLoveの方で。 でもずっとこうして『親友』同士でやってきたのに、今更関係を崩したくない。 それにきっとユウ...
  • 24-259
    受けに乳首責めされて喘ぐ攻め 『おいちょっと待てよ、お前…っ』 『普段の仕返しだよ』 『仕返しってそんな、っ』 『ふふ、もうガチガチだね…タチなのに、俺にこんなことされて気持ちいいんだ?』 『あっ、やめ…』 『出そう?イッちゃう?乳首でイッちゃうの?』 『ぁ、んんっ』 「…なにこれ」 「≪コスプレBOYに責められて~悶絶!ヒミツのガチムチ乳首開発・文化祭メイド編~≫」 「じゃなくて、なにこれ!」 「これやりたい」 「アホか!なんで俺がメイド服なんか!」 「逆、逆」 「は?」 「これネコがメイド服だから。開発されんのはお前。僕がメイド服」 「はぁ!?」 「あーでもそんなにメイド服着たかったかぁ、しょうがないなぁ」 「ちょ、」 「一応用意してあるから、着てみよっか、二人でおそろ。あっくんガタイいいから気持ち悪いぞ~、萌え!」 「理解不能…」 ...
  • 22-259
    この想いを詩歌に乗せて ぼんやりと窓辺に肘をつき、格子の隙間から朧月を見上げる。 聞こえるのは秋風が草木を揺らす音と、虫の鳴き声。 『お前をそこから連れ出して、色んな物見せてやるからな』 そう言った彼の笑顔が思い浮かぶ。 けれど、そんな夏のあの日から、彼は一度も姿を見せない。 「飽きられましたか…ね」 ぽつりと呟いた声は、たいして大きくも無いのに響いて聞こえた。 彼が現れた切っ掛けはよく覚えていないが、まだ雪のちらつく季節だったのは覚えている。 辺りが寝静まる頃に現れては、外の世界の事をまくしたて、私の話を『変なの』と眉根を寄せては聞いていた。 続けて訪れる日もあれば、暫く顔を出さない時もあったが、ひとつきも空いたことなどはなかった。 そんな彼が現れない日を指折り数えては、ただ、溜め息を漏らすばかりだった。 だがそんな日々も長く続きはしない。 明日、...
  • 20-259
    キレると手がつけられない優等生 「キレる」。 この単語を聞いて真っ先に思い浮かぶ状況といえば、叫びながら暴れるとか、 誰かを殴る蹴るなどするとか、そういったものだろう。ニュースにも出るし。 が、ことこいつにおいてだけは、そのイメージはこれっぽっちも当てはまらない。 「な、なあ……今の、やりすぎじゃねぇ?」 「そう? 僕としては手加減しすぎたと思ってるんだけど」 にこにこと笑っているが、目がちっとも笑ってない。怖ぇ……。 沸点の低さで言えば、評論家いわくの「キレやすい若者」よりも低いんじゃないだろうか。 俺もどっちかといえば短気な方だが、こいつに比べりゃ温厚だ。俺が先にキレたことなんて一度もない。 そして、何よりも怖いのがこいつのキレ方。それは見事な笑顔で近づいて、逃げたり暴れたりしないように 両手を押さえつけて壁とかに拘束したら、怒涛の言葉責めが待っている。 ...
  • 12-259
    夢精 「兄貴兄貴兄貴っ!? ねえ、兄貴ってば!!」 ドタドタと盛大な足音を立てて、一段抜かしに階段を駆け下りてくる我が弟に、俺は小さく吐息した。 「うるさい、黙れ。そして階段は静かに下りろ」 「だ、だってだってだって!!」 そう口にする弟の頬が、いつもと違い林檎のように赤く染まっている。 おまけに目元には、薄っすらと涙まで滲みかけているようだ。 何なんだこいつはと思っていれば、眼前の弟は蚊の鳴くような声でこちらに縋ってぽそりと告げた。 「お、俺、おもらししちゃったみたい……」 「…………は?」 あまりに予想外なその言葉にあっけに取られ、手にしていた新聞を思わず床へ取り落とす。 口をぽかんと開けたまま何も言えずにいる俺に、弟はなおも小声で続けた。 「どうしよう、母さん達昼には帰ってきちゃうよね? ……それまでに、布団乾く? 乾くかな!?」 漸く立ち直ったこちら...
  • 17-259
    従者×従者 「お前があいつに仕えるというのならば、俺はお前と戦わなくてはならない」 お前のあの時の言葉、今でも思い出せるよ いつもは無表情で何を考えているのか分からないお前も、あの時ばかりは辛そうな顔に見えた だけど、仕方のないことがこの世の中にはあるのだ 今の時代じゃお前みたいに、本当に尊敬の念を抱いている主人に忠誠を誓うことなんて稀だ お前みたいに真っ直ぐな信念を持っている奴には分からないだろうけど 飢えや金欲、そしてたとえば家族のために、この身を捧げなくてはいけない場合もあるのだ 相手がどんなに意地汚くて人を人とも思わないような糞野郎でも 家族を人質に取られたら、俺は糞野郎の右手にキスくらいいくらでもしてやるさ そう、たとえお前と対立することになっても 「お前は、本当にあいつの元で…」 だから、頼むからそんな顔をしないでくれ 俺はやらなくちゃいけない...
  • 26-259
    人外×人 それと出会ったのは、三日前。 子供が山座りしている位の大きさの、 何かが詰まった麻袋に、でかでかと「粗大ゴミ」と張り紙があった。 酔っていた俺は、何を思ったのかそれを抱えて、アパートに戻った。 正直、その日の飲み会が、思ったより面白くなく、鬱屈していたんだと思う。 でなければ、こんな怪しいものは拾わない。 それに、抱きしめて眠るなんてアホなこともしない。 ただ、袋越しでも、それの温かさとか程よい柔らかさが伝わってくるから、魔がさしたに違いない。 とはいえ、その何とも言えない感触から、どうやら中身は人ではないと結論はでた。 時折、心音のようなものが聞こえてくるのは気になるが、聞いている内に寝入ってしまうため、まだその正体に迫れていなかった。 そして今日、俺はようやく麻袋の中身を見た。 するとそこには、肌も髪も白い子供が眠っていた。 ...
  • 23-259
    喧嘩ップル 「ふざけんなよお前マジで」 「はあ?ふざけてませんけど全然マジですけど?なに恥ずかしがってんの?ww」 「誰が恥ずかしいとか言ったよ、恥ずかしいのはテメーだよクソが」 「お前だってウジウジしてただろうがよ!なんだよ嫌なら言えよ、いいよ別にお前なんか!」 「だから嫌とか言ってねえだろって!昔っからそうやって人の意見決め付けんのやめろよな!すっげえ気分悪ぃんだけど!」 「お前の気分とか知るかよじゃあ帰れよ!」 「帰れってなんだよテメーが呼んだんだろが!」 「だからどうすんだって聞いてんだろ!結婚すんのかよしねえのかよ!」 「するよ!けど話が飛びすぎだっつってんだよ結婚とかお前アタマおかしいんじゃねえの!?」 「おかしくねえよ馬鹿!びびってんなって!」 「馬鹿って言うな馬鹿!びびってねえよ!」 「結婚すんのかって!!」 「するっつってんだろしつけえな...
  • 16-259
    漢を目指す受とそれを必死で止める攻 「俺さあ、岩城さんのところに弟子入りしようかなあと思って」 「なんで? 今さら大工目指してどーすんの?」 「大工じゃなくてさ、漢になりたいんだよね、俺」 「なんだそりゃ」 「俺、女みたいなんだもん」 「女相手にこんな事しないぞ。俺は生粋のゲイだ」 「知ってるけど」 「じゃあ別にいいじゃん」 「いっつも俺の方が組み敷かれてるしさ」 「上になりたきゃいつでもどうぞ。大歓迎」 「上になったって、いっつもお前にされるがままじゃんか。意味ない」 「俺に入れたいってこと?」 「やめろよ、想像しちゃっただろ!」 「どーしたいのよ、それじゃ」 「岩城さんみたいに筋肉つけて、日焼けして、性格もさっぱりして、決断力つけて、人に頼られて」 「弟子入りしたって意味ないと思うけど」 「なんで」 「岩城さん、あのガタイだけど、家に帰れば乙...
  • 6-259-1
    スクーター 「あーうるせぇ・・・・」 この時間決まって聞こえるエンジン音。 俺の住むアパートの空き部屋が埋まった。 俺の”お隣さん”となった男は髪こそ金髪だが背の低い華奢な奴で、 その上猫背で、一見すると地味な男だった。 いやこの様子は・・・あれか?アキバ系ってやつか?! まぁなんにせよ、それが引越し初日挨拶に来た男の印象だった。 「うるせぇ・・・・」 俺はこの日二回目となる言葉を呟いた。 通称「アキバ系地味男」は引越し初日の深夜にはその被っていた猫を脱いだ。 深夜バイトなのだろう。 男はスクーターに乗って出かける。 それはいい。 だが問題はスクーターだ! 何をどうしたらそんな音が出るんだ!! もともとバイク関係に疎い俺はそれが普通なのか改造なのかさえ判断がつかない。 ただ、う る さ い。 しかも出かけるまで何分も掛けっぱなしなのだ!...
  • 5-259-1
    幼馴染を初めて意識する瞬間 今ここで抱きしめたら、染谷は怒るだろう。 それとも猛烈に突き飛ばされて、罵倒されるだろうか。 口を聞いてくれなくなるだろうか。 自覚した瞬間に思い知る、俺の人生で一番手強い相手。 「染谷…」 「うるさい。」 「染谷」 「うるさいって言ってるだろう」 「だって染谷」 「ついて来んなよ、馬鹿野郎!!」 染谷が二の腕を掴もうとした俺の手を振り払う。顔を伏せたままで、決して見せようとはせずに。 振り払った手は、宙で握り締められ、震えながら下ろされた。 「ほっとけよ…」 横にいる俺にもやっと聞き取れるくらいの声で呟くと、染谷はまた歩き出した。 「あ、…っ」 不器用な染谷。多分甘えることも、弱音を吐くこともできないでいる。 放っておけない。だから、追いかける。だから一緒にいる。 幼い頃からのその図式を、けれど今俺...
  • 25-259-1
    暗殺者と虐殺者 暗殺者は受けた仕事を淡々とこなし感情は込めないし仕事を選ぶこともない。 虐殺者のほうは自分の価値観で仕事を選び、許せないと思った奴だけを残虐な殺しかたで殺す。 全然違う人種なのにお互いを「人殺しは斯くあるべき」と尊重していた。 顔も名前も知らなかった2人が偶然出会い、同業者ならではの鋭さでお互いに正体を知られ、自分を偽ることなく関係を築き上げていき、今までの罪と向き合い2人で足を洗うかと悩みだしたその時、それぞれに対して殺意を向ける復讐者が現れ、暗殺者には虐殺者暗殺の依頼が、虐殺者には暗殺者虐殺の依頼が届く。 …という心中ENDまっしぐらな設定を数分で思いついた。 誰か最後まで完成させてくれたらいいのに。 トリック・アンド・トリート
  • 16-259-2
    漢を目指す受とそれを必死で止める攻 「岩城竜之介さんってこちらですかー? 宅配便です、はんこ下さい」 「いつもご苦労様です。わー、やっときた」 「竜ちゃん。それ、この間頼んでた通販の家具?」 「うん。一目ぼれしちゃって……。うわ~、思ってた以上に可愛い!」 「いつも以上にバラがたくさんついてるねえ」 「さとりん、ごめんね。本当は嫌なんでしょ、こんな部屋……」 「いや、別世界にいるみたいで楽しいよ。携帯の模様替えも面白いし。また変えた?」 「気がついてくれて嬉しい! このチュールフリルとテディベアが可愛いの!」 「可愛いけど、現場で驚かれたりしない?」 「驚かれたから現場用は他に用意したんだ。ほらほら、とにかくご飯食べよ! お腹すいたでしょ?」 「ありがとう。今日は何?」 「炊き込みご飯と、魚の味噌ホイル焼きと、あさりのお吸い物、五目豆」 「くー、いいね。い...
  • 15-259-2
    パティシエの恋 初投下で勝手がわからなかった…まとまりなくて本当にスマソ チリンと鈴の音が鳴って男が入ってきた。 雑誌やテレビを賑わしている様なお洒落なパティスリーではない、「パティシエじゃねえ、菓子職人と言え」という 頑固親父が長らく経営していた寂れかけた製菓店には、貴重な客だ。 店を継いだ二代目パティシエ、もとい菓子職人は、週に一度は必ず買物に来る大事な常連客に 飛び切りのにこやかな笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけた。 男は挨拶に無反応なまま、ショーケースの前で長身を屈めじっくりとケーキを吟味する。 それこそ下段の棚から上段まで、左から右へと隙間なく視線を巡らす。それを何度か繰り返した後に、 おもむろにこちらに視線を向けてきた。 「…この間のケーキは?」 投げかけられた問いに答えられるまで数秒かかる。それが先週まで並んでいた新メニューのケーキの事を...
  • 19-259-2
    許させて 1 兄さん、僕にあの人を許させてください。 僕にはもう、あの人を憎むことは出来そうもないのです。 僕に、あの人を許すことの許可を下さい。 あの人の父親が僕達の父母に何をしたか、忘れたわけではありません。 母の命を奪い、父を絶望の中で死に至らしめたあの男。 僕達は確かに復讐を誓った。あの家を根絶やしにするとの一念で今日までやってきたんです。 既に僕達の復讐は成功しました。だからこそ、兄さんも彼のことをあの男の息子とは知らずにいたんじゃないですか。 あの人は良い青年だ。心の美しい、まっすぐな人です。 それは兄さんも知ってのはず。 僕はこれ以上、彼を陥れることなどできないのです。 あの人は今でさえ苦しんでいるじゃないですか、もう十分です。 僕はもう、あの人をを許したい。それがあの男を許すことになろうとも。 兄さんだって、わかっているんじゃないですか? ...
  • 17-259-1
    従者×従者 ゆっくりと押し込むと、彼のそこはそうあるのが当然のように私を飲み込んだ。 眉根を寄せて体の中に入り込む私という異物の感触に耐える彼を見下ろしながら、 私は励ましの言葉をかけた。 「そう、最初は声を上げてはいけない。でも、体の力は抜かなければいけない。上手だぞ」 「はい...ありがとうございます...」 律儀に返事をするまだ幼さの残る声に、「我らが主には言葉で返事をするなよ?」と 一応釘を刺す。彼はこくりと頷いた。 我が主は従者の好みが五月蠅い。従者といっても実質的には稚児だ。 容姿年頃が好みであることはもちろんだが、舌技に長けている、痛がって 興を削がない、やたらと大声を出さない。無口で従順に命令に従い奉仕する従者が、 最初は声を殺して快感に耐えているのが、次第に耐えられなくなって最後は声を上げて 乱れるというのが良いらしい。 領地を回り...
  • 16-259-1
    漢を目指す受とそれを必死で止める攻 『ボビーになってきます。2週間で帰ってきます。何も言わずにいなくなってゴメン』 いつも通りネギのささった買い物袋を提げ、合いカギを使い、上機嫌で部屋の扉を開けた俺を待っていたのは 誰もいない片づけられた部屋と一枚の簡単な書き置きだった。 「…は?」 俺の頭の中をあらゆるクエスチョンマークが埋め尽くす。 いやいやいやまてまてまてまて待ってくれ ボビーになる?誰が?お前が?お前は生粋の日本人だろう?いやその前に人は他人になれるのか?2週間てなんだ?それって国籍変更の申請期間?というかこの部屋は?てかなんでお前いないの?なんでキレイなの?? しばらく呆然と立ちすくむ。どさりと買い物袋が崩れ落ちる音がした。その音で思考停止だった頭が再びフル回転し始める。そしてやっと、理解した。 「あ…のや、ろーーーーー!!!!!」 魂の限り雄たけびを...
  • 24-259-1
    受けに乳首責めされて喘ぐ攻め 喘ぎ攻めに萌える! ここはひとつ主従関係、主×従でどうだろう。下克上要素が二度美味しい! 例えば攻めは冷えた焔のような王。 自信に溢れた燃える獅子の瞳と牙を隠さず、しかし世の勝利者が必ずそうであったように、 機を窺い獣の息を殺す慎重さは凍えるほどに冷静で、ひとたび燃え上がれば勢いは破竹。 誰もが彼を敬い、恐れ、生きた伝説──怖ろしい神のように周りの人間は魅了された。 そんな君主には、古くから影のように付き従う部下が居た。 一見目立たず、有用な奏上を皆の前で行うわけでもなく、外地で華々しい戦果を挙げるわけでもない。 しかし王は彼を重用し、遠征の時には彼に内地の全権を任せ、第一の者だと言って憚らない。 古株であるだけの腰巾着。王が彼を手放さないのは、使い慣れた道具なだけに『具合が良い』のだろう……、 そのように謗る声...
  • 15-259-1
    パティシエの恋  厨房の向こうでふたりのやりあっている声がする。 「僕がオーナーだ。私の方針に従ってもらう」 「出来ません」 「バレンタインのデザートにはにチョコレートを使え。それだけのことだろ」 「私はパティシエです。ショコラティエではありません」 「だからなんだ。パティシエはチョコレート菓子を作らないとでも?」 「ショコラはデリケートなんです。私はショコラティエの技術を尊敬している。 納得のいかないデザートをお客様には出したくない」 「君の職人精神は素晴らしいと思うが、私はレストランの『経営』をしてるんだ。 自分の作りたいものだけを作って、レストランが運営できるか」 「では、この期間だけショコラティエを雇ってください」 「この時期に暇なショコラティエが役にたつか!」  堂々巡りの話の決着はまだつきそうにない。結果はわかっているので、 俺はメ...
  • 12.5-259
    甘酸っぱい青春 「いいよな、詰襟。俺詰襟着たかった」 「着ればよかったんじゃねーの」 「そういうこと言うなよ」 「私立お前が選んだんじゃん」 「そうだけど」 そうだけどさあ、と唇を尖らせながら黙り込む。 こういう時の顔はガキん時と大して変わらない、こいつは。 ガキと変わらない反応を返すようなこのバカが、 俺じゃあ逆立ちしたって行けないような私立の高校に通っている。 金持ちで頭のいい奴ばっかりの学校を、俺が知らない間に選んでいった。 俺のガッコのずどんとした学ランとは違う、なんかスーツみたいなブレザー着て、 人が見たら変な二人組みだよ、と思う。 「……お前、拗ねた顔ガキのまんまだな」 「はっ?」 言ったのは俺じゃなかった。 なんかどっか嬉しそうな顔で俺を見ながらこのバカが言ったのだ。 「何言ってんの?拗ねてねーし。てか拗ねてん...
  • 19-259-1
    許させて お前が俺のことをどうとも思っていないことなんて、最初からわかってる。 友達とも思ってないって。 ただ同じゼミだったというだけ。 いったいどうしてお前とああなったかなんて、今更考えても仕方がない。 二人とも浴びるほど酒を飲んでいて、お前の方が俺よりも酔っていたと言うだけだ。 そんなことはお前だってわかってると思っていた。 どうしてこっちを見ない。 お前の視線が俺の回りをうろつき、瞬間でそらされる度に、俺の胸は痛くなる。 お前が付けた痕はもう薄くなった。 あちこちに残された色も褪せた。 痛みも案外早くに消えた。 時間が、身体の表面に残された嵐のような行為の痕を薄め、俺にはあの夜の記憶だけが残る。 頼む、俺を見ろ。 このままではなにも終わらず、なにも始まらない。 無かったことにすら出来ないのなら、一度終わらせてくれ。 俺を、友達とも思ってないのなら...
  • 28-159
    お菓子作りの上手い攻め 「今日はね、モンブランにしてみたんよ」 甘い香りを漂わせながら台所から出て来た武士の両手には、皿に乗った美味しそうなケーキが一つずつ。 見た目も綺麗で、店に出してもおかしくない出来に見える。 「おぉー!さっすがたけやん、天才!」 こいつは武士と書いて「たけし」なんて読むいかつい名前を持ち、いかにもスポーツマンですというごっつい風体をしておきながら、趣味はお菓子作りというちょっと変わった奴だ。 友人間のあだ名は「ぶし」。名前と見た目のせいか一部の人間には怖がられえている。 親友の俺は小学生の時から「たけやん」呼びを変えていない。多分今こう呼んでるのは俺一人だろう。 「や、褒めても甘いもん以外何も出んから」 あ、照れてる。何だかこっちもニヤニヤ笑いが止まらない。 この瞬間が一番好きだ。 だってこいつがお菓子を作ってる所を...
  • 28-459
    罰ゲームをきっかけに変わった関係 ※女装注意 「まったく、まいったよ」 友人の柴本にそうこぼしたのは、別に奴に助けてもらおうと思ったわけではない。ただちょっと、愚痴を聞いてもらいたかっただけだ。 「どうしたの?」 「実は罰ゲームで今度のゼミ合宿の時に女装で歌わなきゃいけないことになってさ」 「……それは、大変だね」 そう答えた柴本の様子が少しおかしかったことに、その時の俺はちっとも気付かなかった。 「そうなんだよ。女装自体もあれなんだけど、それよりも服をどうするかが問題なんだよな。  誰かから借りるにしても、俺と変わらないくらいでかい身長の女の子の知り合いなんていないしさ。  着物だったらちょっと小さくてもなんとかなるだろうから、姉ちゃんの振り袖でも借りるかな」 「でも西田のお姉さんって西田の肩くらいまでしか身長ないって言ってなかったっ...
  • 28-959
    にっこり笑顔が二つ あのさ、とか言っているこの人が愛おしかった。 オレの恋人は、高校のころの先輩で今は会社の上司で頼れる人だ。 バリバリ仕事をして、余暇はしっかりと取るし公私混同は絶対にしない。 それにめちゃくちゃ頼りになるし優しい。 たとえば、めちゃくっちゃ困難なことがあってそれで話を振るとする。 そうしたら、この人はどんな相手にだって (どんなにめんどくさい人にだってだ!)手を差し伸べる。 自分の仕事を抱えながらも、そっちの仕事もこなして、さらに周りに気も使える。 女子の同僚からは”高嶺の人”とか言われていて、 上司にしたい人理想の恋人私生活が気になる人ナンバー1。そんな人。 …のはずなんだけど、なぜかオレの前ではそんなそぶりは見せないし、 もっと力が抜けている。Jホラーの予告を見ただけで ぎゃーぎゃー悲鳴を上げるぐらいの怖がりだし、 甘...
  • 28-059
    介抱 おっ、おはよう。あーこらこら待ちなよ。大丈夫。寝てていいからさ。朝はご飯とパンどっちがいい?え、食う気がしない…ごめんごめん。 そうだよね、病み上がりだもんね?しかし丸一日寝ててお腹空かないのかい?はぁ、空いてるけど食べる元気すらない。そいつはいかんね。じゃあまずはおじやからかな? 勝手に決めるなってもなあ。その様子じゃ取り込みやすいものからじゃないと。はいはい大丈夫だから。寝てていいってば。 いやーにしてもびっくりしちゃったよ。うちの目の前の電信柱の根元に転がってたんだから。話しかけてもあー、とかうー、とかしか言わないし。 え、荷物?ああ、それなら、ちょっ、ちょっと、ほらあそこだよ。中身は見てないさ。服?ひどく汚れてたからね。洗濯しておいたよ。いいじゃないか、いくらか大きい見たいだけど男同士だし。 しかし、なんだってあんな風に行き倒れるハメになったんだ...
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