*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「28-509-01」で検索した結果

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  • 28-509-01
    バレンタインデー 唐突だが、俺には恋人がいる。 幼馴染かつクラスメイトである俺たちの腐れ縁は発酵して、爛れて、どうしてか恋愛感情として落ち着いた。そいつも俺も男だが、俺達は立派な恋人である。今日も一緒に下校するため、校門でそいつの部活が終わるまで待っている。 話は変わるが、本日世間はバレンタインデー。店先には様々な種類のチョコレート製品が並び、おめかしをした女子たちがそれをきらきらと輝く瞳で見つめてはしゃいでいる。彼女らが各々の想い人に渡すのであろうチョコレートを購入している姿をなんとはなしに見ていると、隣から大きなため息が聞こえた。 「啓、」 いつの間にか部活は終わっていたらしい。女子たちを眺めている恋人の名前を呼ぶと、彼はこちらに目を向けた。 「華やかだよなあ、おい」 無視して歩きだすと、まてよ、と啓の足音が追いかけてくる。 「あーあ、今年は誰かさんのせいでチョ...
  • 28-509
    バレンタインデー バレンタインデーだった。 もちろん、俺もチョコをもらった。 マンガみたく、「紙袋いっぱい」ではないが、有志一同みたいなものをいくつか。 親兄弟からまとめてひとつ。 時折、本命チョコがいくつか。 断りの口上は毎年変わらず、だけど今年から本音が混じる。 「悪いけど、付き合ってる人、いるから」 ほんのり浮かべた涙に、少しの罪悪感が沸きつつ、それでもあの人に義理立てしたくて振り切った。 なのにあの人は、渡されるチョコ全部、告白ごと受け入れた。 よりにもよって、俺の目の前で、2つ返事で。 だから、今日の酒のつまみにする予定だった魚肉ソーセージとチーカマ、鮭とばにジャーキー入った袋を あの人に分投げた上で、ぶん殴って帰ってきた。 着信もメールも無視してやった、ざまーみろ! と、ふて寝した所で俺の記憶は途切れている。 今目の前には...
  • 28-549-01
    優等生弟×空回り兄 「一彦、悪いんだけど、今日は嗣史の保育園の送り迎えお願い出来ないかしら?」 いつもの起床時間よりも早めに体を揺すられ、母さんに起こされたのは、体調が悪いという母さんからピンチヒッターを頼まれたからだった。 嗣史は、母さんと再婚した義父との間に出来た弟で、高校生の俺とは10歳以上離れている。嗣史の保育園は、俺の通う高校を少し過ぎたところにあるため、普段はパート前に母が保育園へと送る。義父は刑事で、事件があれば昼夜関係なく出ていってしまうので、基本的に母さんがどうしても迎えに間に合わない日などは、俺が迎えに行くこともあった。しかし、朝を頼まれるのは初めてだった。 「じゃあ、母さんの自転車借りるね。嗣の迎えも俺が行くから、今日はゆっくり休んで。パートも休ませてもらいなよ?」 今日は、母の代わりに兄として俺がしっかりしなければ! ...
  • 8-509
    馬と騎手 「よう、来ると思ってたぜ」 古めかしい厩舎の入り口に立つと、中で男がウィスキーを持った片手を上げて俺に振り向いた。 奥のほうで蛍光灯が小さく唸りながらチカチカと寿命を主張していたが、 男のいる場所を照らしているのは、ほとんどが窓から入る冴え冴えしい秋の月明かりだ。 白い光が男の向こうに横たわる黒く滑らかな毛にそそがれている。 俺は黙って、男の背後へと近付いた。 ここで過ごした日々よりも、離れていた時間のほうがずいぶん長くなったはずなのに、 目をつぶっても歩いていけそうなほど、俺の身体はこの場所を覚えていた。 同じくらい、男の後姿も。 「今日のレース見たぞ。さすが、中央競馬会のホープ」 背を向けたまま、男が言った。 俺はやはり黙ったまま、柵を潜り男の側に腰を下ろす。 そして、横たわる大きな黒い美しい毛に、手をあてた。 ひんやりと、それは静かに冷たく...
  • 18-509
    女装男子高生×ツンツン化学教師 「見て、先生!」 突然の訪問者に肩がびくりと跳ねた。 扉を開く時はノックをしてからにしろ、と毎回毎回言っているのになぜ聞かないんだ。 心の中で文句を言いながら後ろを振り返ると、そこにいた人物の姿に驚いて、俺は持っていたビーカーを落としかけた。 「なんだ、その格好は」 「かわいいっしょ?」 毎日嫌がらせの様にこの部屋に訪れ、ろくでもないいたずらを俺にかます茶髪のひょろ長い男は、 なぜか黒と白を基調としたメイドの服を着て誇らしげにそこに立っていた。 俺は思わずめがねをかけ直してしまった。 アホだアホだとは思っていたが、なんだってコイツは……。 「文化祭で女装喫茶すんの。ねえ、かわいい?」 「へえー。それはご苦労さん。帰れ」 しっしっと右手で追い払う仕草をしていると、その手を掴まれて俺は黒革のソファに座らされた。 顔は化粧でもし...
  • 9-509-3
    日曜大工 降り止む気配は一向に無く、どうやら長雨になりそうだった。 軒の下ではおっさんが紫煙をくゆらす。今にも無精ヒゲに燃え移り そうな赤い火は、そぼ降る雨の狭間にちろちろと揺れ、昼なお薄暗い 庭先に頼りない灯りを燈している。 煙草の量、増えたんじゃないかな。ぼんやりとあてどのないおっさん の顔を気にしながら、俺は濡れそぼった前髪から飛沫を散らして金槌を 振り上げ、ガンゲンと不揃いな音を立てて板に釘を打ち付けた。 三ヶ月前、勤めていた警察庁を辞し、おっさんは警察官ではなく なった。ちょうどその日、署を去り行く長い長いその廊下で、俺は おっさんに体当たり気味の愛の告白をした。以前に起きた事件で知り 合い、関り合いになった頃から既におっさんは疲れ切った気怠げな目を していたが、この時もやはり、俺は邪険に追っ払われかけていた。同僚 にも、職場にも愛想を尽か...
  • 9-509-2
    日曜大工 電動ドリル: 強気攻め。日曜大工道具の中でもお高いお坊ちゃま。        これと決めると目標に向かって一直線。行動が早く、すぐ相手を落とす。        彼に開けられない穴はない。 プラスドライバー: プラスネジだけを回す一途な男。プラスネジのことしか頭にない。           しかし彼は知らない。           マイナスドライバーが強引にプラスネジを回していることを… ノコギリ: 見た目がトゲトゲしていて「うかつに触ると怪我をする」と恐れられているが、       本人は寡黙で地道にコツコツ鋸引く真面目な男。引いては押し、引いては押し。 トンカチ: 彼の一撃は重い。が、本人はそれほど激しくしている自覚がないのが難点。       鉄製である釘は、彼のせいで一本気な生き方を曲げざるを得なくなってしまった。 紙や...
  • 9-509-1
    日曜大工 ぎこぎこぎこぎこ 「…あれ??」 がんがんがんがん 「…あれ???」 時間経過に比例して徐々に増えていく疑問符。 だから止めておけと言ったんだ。 「材料は揃ってるんだから作ってみる!」なんて言っても、カレーと本棚とじゃ訳が違う、と。 おまけに設計図も無し。 あいつは頭の中に本棚を描き、それっぽいパーツの形に板を切り出し、それっぽく適当な釘を打って組み立てる。 『緻密な計算』『綿密な計画』なんて言葉はあいつの辞書にはきっと載っていない。だってバカだから。 「……~~!!!」 どすっ、と鈍い音がして、あいつが突然カナズチを放りだしてうずくまる。また指を叩いたらしい。 「…もう止めたら?」 「止めないっ!」 がばっ、と身を起こして作業続行。そしてやっぱり「あれ?」と首を傾げる。 心なしか先程より渋い顔。事態は深刻化しているらしい...
  • 4-509-1
    そろそろコタツ出さない? ずっと捜し求めていたぬくもりを手に入れた日。それはもうふたつきも前のことだ。 大切な人と、同じ町で同じように暮らしていること。一番会いたい人に、会いたい ときに、いつでも会えること。 それがこの上もなく幸せなことを、僕は知っている。 夕方を過ぎる頃、芹沢は僕のアパートを訪れる。 手に缶ビールとカップ酒の袋を下げて、くたびれた上着を羽織った彼を僕が迎える。 二ヶ月の間に、季節は夏の終わりから冬の始まりに変わっていった。芹沢はほとん ど毎日、僕の部屋にやってきた。 夜遅くまでふたりで酒を飲み交わしながら、じゃれあったり、世間話をしたり、テ レビ番組にけちをつけたりしながら過ごす。 それが今の僕たちの当たり前になりつつあった。 初めて木枯らしが吹いた日曜日だった。 その日彼は珍しく昼間から入り浸っていて、昼食を待ちながら黄ば...
  • 28-049-01
    許されない二人 「慶一…もう、ここに来るのはやめるんだ」 薄い布団の中、優(まさる)は自分を抱きかかえている慶一に言い聞かせた。 激しい情事に耐えた体はまだ重い。普段はどちらかと言えば物静かな少年である慶一は、 情事の時だけ、抑えていた何かを発散するかのように優を翻弄する。 十八歳の優とちょうど一歳差の十七歳で今年高校三年生になる慶一は、まだ優より 少し背が低かったけれど、このところまた背が伸びたようだから近々優を追い越すかもしれない。 「どうして…どうしてそんなことを言うの、優…」 慶一が身じろぎし、真冬であるにも関わらず汗にしっとりと湿った二人の素肌がこすれた。 窓の外にはしんしんと雪が積もっている。心なしか色素の薄い慶一の髪を優が撫でた。 「男同士だから? 僕がこの家の跡取りで君が使用人の子供だから? 僕が受験生になるから?」 その全部だよ、と優が...
  • 28-059-01
    介抱  昼に怪我をした。落ちて、足首をひねったのだ。労災になるとかで怒られた。  病院に行ってレントゲン撮って、骨には異常なし。ただのねんざ。  医者の言葉に、上司の新谷さんがあからさまにホッとしたので、むかついた。そんなに労災が怖いか。もっと大ケガすりゃよかった。  もともと、新谷さんとはあまり仲がよくない。ガタイばかりでかくて、やたら細かい。うざい存在だった。  夜になって、痛み出すまでは余裕だったのだ。  ずきん、ずきんと痛めた箇所が脈打ちはじめて、あわてて痛み止めを飲んだが遅かったらしい。  そういや氷で冷やせって言われたっけ、と思い出すが、あいにく冷凍庫は空っぽ。  しかたなくビールで冷やすが、飲めない温度のビールばかり増えてちっとも治まらない。  どんどん痛みが増し、気がつくと唸っていた。  足が、おおげさじゃなく倍に腫れてる。心拍と一緒に、ズ...
  • 9-509
    日曜大工 バイトの夜勤明けでロクに寝ていない。 頭も身体も、深い水底に沈み込んだような重さを湛えたままの日曜日、朝8時。 根っから朝型、こんな時間からハイテンションなあいつが、カナヅチとノコギリ、そして大小様々数枚の板を抱えてやってきた。 「あれ、ゴメン。寝てた?」 あたりまえだろ馬鹿野郎! 俺の生活パターンも夜型体質も熟知しているはずのあいつは、そんなことはたった今知りました、みたいな顔をして、 へらっと玄関先で笑って見せた。 「…何しに来た」 「うん、あのさ。急に思い立っちゃって。ほら、俺、手先器用だろ?特技は日曜大工ってくらい。実家のトイレの棚も庭にあるゴンゾーの小屋も、俺がまだ中学生の頃に作ったヤツなんだよね」 「…それで?」 「うん、それでさ。さっき起きて、外見たらやけに天気がいいからさ。もうこれは日曜大工日和だなぁと思って。なんだか天気の上に カ...
  • 22-509-1
    天然同士のバカップル 天然同士のバカップルって、お互いのことしか見えてないしそれが当たり前ってイメージです。 例えば、 受けが友達と立ち寄ったコンビニで食べた新作の食べ物が美味しかったら 「ウマッ! これ絶対今度Aと食べよーっ」と語尾にハートマークつきで笑顔で話す。 攻めが友達と食事に行ったら、 「友は本当に美味いもの知ってるな」と言いつつ、一口食べただけで無理にテイクアウト。 「腹へってるのにどうした?」と聞かれると、 「確かに空腹だけど、美味い物を受けと一緒に食べたらもっと美味しくなるんだ。だから、持って帰って食べる」 と平然と言って、友達残して帰ってしまう。 食べ物だけでなく、生活全てがこの調子。 何をしていても誰と居ても、攻めは受けの、受けは攻めの、話題や行動になってしまう。 最初はポカーンな友達もすぐになれて、「あー、はいはい」「ったくバカップルが...
  • 26-509-1
    運動部対文化部 「貴様、そんなつもりで学園祭がどうにかできるとでも思っているのか!軟弱者が!」 ハヤトが怒鳴るので、僕はびくりと肩を震わせた。 「そんなこと言ったって……ぼくはハヤトみたいにかっこよくないし、みんなをまとめるなんて……」 「何を言うか!阿呆!俺にできて龍介にできない訳があるか!根性を出せ、根性を!」 その後ハヤトは30分にわたるお説教を繰り広げ、スポ根漫画の主人公のようなセリフを何度も繰り返した。 二か月後に迫った学園祭、そこで繰り広げられる運動部と文化部に分かれて行うレクリエーションの指揮を任された僕は早くも胃が痛い。 人前に立って誰かをまとめるのは僕にはどだい無理な話なのだ。 「僕もハヤトみたいにかっこよければな……」 「な、なんだいきなり!」 「僕もハヤトみたいにかっこよくなりたいよ」 「~~~っ!阿呆か貴様!龍介だってかっこいいわ!阿呆...
  • 21-509-1
    人恋しい夜 疲れた体でベッドに寝転がる。今すぐ眠りに落ちたいんだけど、一人きりのベッドが酷く寂しかった。 いつもの事なのにたまにあるんだよなあ、こーゆーの。 寂しいっていうのもセックスしたいとかじゃなくてただ単純に寂しい。 ベッドにもぐりこんだ時にシーツが冷たいとか、帰ってきた時に部屋の電気が真っ暗だとか、 そんなのもうずっと前からの事なのになあ。 年食うと涙もろくなるっていうけど、これもその一種類なんかなあー。俺、寂しいなあー。 枕に埋めた顔をのろのろと上げながら、一度だけ迷って携帯を手に取った。 ……真夜中だ。まあ、何回か鳴らして、出なければそれで。そしたらまあ諦めもつくってもんでしょ。 寂しい気持ちが、以前だったら耐えられなかったけれどそこに諦めがつくようになったのも年取ったって事なんかなあ。 履歴に残りっぱなしの番号を探し当てて、発信ボタンを押した。...
  • 28-449-01
    リアリスト×オカルト好き 「くだらねえよなあ」 出来上がった見本誌を興味なさそうにぺらぺら捲りつつ編集長がぼやいた。 読んでいるのは我が出版社の唯一にして看板の雑誌、その最新号である。 オカルト雑誌なんてくだらない、というのがうちの編集長の口癖だ。 この口癖を聞き続けてそろそろ一年になるが、そのときの俺はその言いようが聞き流せなかった。 「それじゃあ聞きますけど。なんで編集長は編集長なんですか」 「なんだその質問。哲学か?」 「違います。どうして編集長はオカルト雑誌の編集長やってるんですかってことです」 言い直すと、編集長は皮肉っぽく笑ってから答える。 「そんなもんお前、日々の生活の為だよ」 「生活の為に、くだらない雑誌作って世間にバラまいてるんですか」 先月いっぱい取材して二徹までして完成させた記事(『死の世界へ繋がる公衆電話』現地レポート)を 軽んじら...
  • 15-509-1
    お互いに妻子ありの幼なじみ 「久方ぶりに時丸をみたが、ありゃあ本にお前さんの生き写しじゃなあ、なあ」 「阿呆、もうあやつはとうに時丸ではないわ」 もうろくじじいが、領主の名も忘れたのかと、同じく白髪のまじる年寄りが何やら皮肉を言っているが、もうろくと一緒に耳も遠くなったわと茶化してやれば、あの頃と変わらぬ血気盛んな剣幕で拳を振りあげてくる。 若い時分は、顔を合わせれば喧嘩ばかりしていた。元服して髷を結い、戦陣を駈けるようになっても、共に妻を娶り、子を持つようになっても、二人の関係は変わらず年ばかりを重ねたように思う。 齢17にして家督を継いだ男の、頭主としての双肩にのし掛かったその重圧や、己なぞが測り得るものではなかった。 だか、こやつを取り巻く周りが、目まぐるしく渦巻いては黒々と追いつめるようにこの男をせき立てていたことだけは、20に足りぬ若造にも嫌と言うほど感じるこ...
  • 15-509-2
    お互いに妻子ありの幼なじみ 「美咲さん今何ヶ月だっけ?」 「えーっと……8、かな。来週実家帰るって。あ、智子さん何度も飯お裾分けしてもらってありがとな。美咲より旨いから助かるよ」 たまたま帰りが一緒になって、駅から家までの10分を共に歩く。俺が住んでいたマンションにこいつが越してきて以来、よくある光景だった。 「あいつなんかの飯でよければ何度でも。そうか、もう8ヶ月か。じゃあウチんとこの圭介と一緒に学校通えるのか」 「だな。男の子らしいから、俺たちみたいに仲良くやっていけたらいいな」 「まったくだ」 そういってあいつは笑った。俺たちみたいに仲良くか。自分にしちゃ皮肉が効いているな、と内心自嘲した。こいつも笑って流せるくらいになったんだな。 俺とこいつは物心が付く前からのつき合いで、気づけば側にこいつがいた。喧嘩もしたし、親に言えないような悩みをいくつも相談しあった仲...
  • 28-469-01
    プリクラ 「男同士でプリクラってのは恥ずかしくないか?」 「堂々としてれば、そう気にする人はいませんよ」 「しかし…こんなおじさんとで大丈夫か?」 「まだ三十半ばでしょう。まだまだですよ」 彼と知り合ったのは、ゲイコミュニティの掲示板だった。 ヤリ目的でタチネコスリーサイズが踊る中、ただ「誰かと話がしたいです」というメッセージだけが残されていた。 場所も近かったので好奇心で待ち合わせてみると、やってきたのは疲れた顔をしたサラリーマンだった。 誰かと話したいというわりには彼はひどく無口で、佐山さん、という名前を聞き出すのさえ1時間くらいかかった。 それでも、ぽつぽつとたわいない話を続けているうちに、少しずつ自分のことを教えてくれた。 昔、とても大切な幼馴染がいたこと。 その人に友情というだけでは片付けられないほどの想いをもっていたこと。 それ以上好きにな...
  • 28-699-01
    卒業する先輩×入学してくる後輩 僕の荷物はまだ届いてないようで、まずは一つクリアと胸をなで下ろした。 この春から大学に入る僕の初めての独り暮らし。引っ越し荷物を積んだトラックよりも早くついて待っておくのだと親に言い含められていた。 新生活の舞台となるアパートは古くて狭い学生用の安い物件。実家が遠方の僕は電話とネットだけでここを決めたから、僕の部屋である二〇四号室を見るのは初めてだ。 期待とともに階段をあがると、なぜかドアは開け放たれていて、覗き込むと雑然とした荷造り、場所をずらした家具、バタバタと動き回る知らない人。 聞いてない、前の住民がまだいるなんて。これ、引っ越し途中ってことじゃないか! 部屋の表示を見直すとやっぱり二〇四号。どうしたらいいのかわからず立ちつくしていると、中から背の高い眼鏡の男がゴミ袋片手に顔を出した。 余裕なく、 「ごめん、新しい人でしょ、ご...
  • 28-639-01
    美形で甘えたで淫乱で喘ぎすぎ、な攻。 「ぁ、あ…っ、…ショウちゃんの中、…気持ちイッ…」 熱い吐息とともに零れる甘い声。 白い肌を赤く上気させ、快感に蕩けた瞳が俺を見下ろす。 「ショウちゃんも、…気持ちイ…?」 「っ、…ああ、…俺も…気持ちイイよ…っ…」 頷いて返した言葉を裏づけるように己の内部を締めつける。 「ああっ、…そんなに締めたら、…俺、もう…っ…あ、あん、…イッちゃう、…イっちゃうよ、…ショウちゃんっっ…」 タクミはぎゅっとしがみついて夢中で腰を振り、すぐに身体を震わせて俺の中で果てた。 「…っ…はぁ~、…気持ちヨカッタ~」 クリームを舐めた猫のように満足げに目を細めるタクミだったが、つとその眉が寄せられた。 「ごめんね、ショウちゃん、また俺だけ先にイっちゃって…」 申し訳なさそうな表情に思わず口元が緩む。 ――コイツって本当に可愛いよな。  ...
  • 19-509
    一夜だけ 『真夏に一夜だけ咲くサボテンの花があるんだけど、うちに見に来ない?』 そういわれて、そいつの家で食われて男に目覚めたのが三年前。 結局、そのサボテンはその為だけに購入されたもので、 そいつにとっては俺を食えたら用なしになっていた。 花に魅入られた俺は、ゴミ箱に捨てられていたサボテンが自分のように思えて、 不憫になったのか、拾って家にもって帰ってきた。 決していい思い出ではないので、ろくに世話もしなかったけれど、さすが砂漠の植物で、 今年もちゃんと蕾をつけた。 「月下美人?」 携帯の待ち受けにしていたサボテンの蕾をみていたら、 隣の席の男が声をかけてきた。ここは相手がいない同性愛者が集まるバーで、 男がほしくなった時に来ては、俺は適当な相手を持ち帰り、 一夜だけの関係を持つのが習慣になっていた。 遊ばれてヤケになったことがきっかけだっ...
  • 28-549
    優等生弟×空回り兄 「制服のシャツ出せ、俺ワイシャツ洗うから一緒に洗濯してやる」 「は?もう自分でやったし」 「そ、そうか…」 「腹減ったよな? 晩飯何がいい?」 「カレー作っといた」 「そ、そうか…」 「勉強どうだ? 受験も近いし、 久振りにみてやろうか?」 「いらね。社会人4年目のやつが受験勉強教えられるかよ、忘れてんだろ」 「そ、そうかもな…」 「模試こないだA判定だった」 「そうか。夏までテニス部部長に生徒会長やってたのに、ちゃんと勉強してて偉いな」 「別に、ふつー」 「そ、そうか………」 しょんぼりするなよ。 勉強も部活も全部完璧にして、俺のことでお前を煩わせるようなマネはしない。 それが、学生の俺が大人のおまえのためにしてやれる精一杯のことだからやってんだ。 普段社畜で全然家にいないんだから、たまの定時上がりの日くらい、弟の...
  • 28-569
    目と目で通じ合える 通じ合えるといっても色々パターンがあると思うのです。 ?幼馴染み 共に過ごした時間の分お互い相手の事をよく理解しているでしょう。 ちょっとやんちゃな子達の場合、近所で悪戯をしでかし 「チラッ(おい、逃げんぞ!)」「チラッ(了解!)」みたいなアイコンタクトを行うのも青春ですね。 また「見つめあってお互いの思ってることを当てるゲーム」といったフラグを建築することも可能でしょうか。 ?上司と部下 会社では単なる上司と部下でも、社外に出ればその関係は様変わり。 しかしどうしても周りには大っぴらにできない関係な二人は最初はメモや合図などを使いますが、いつしか 「チラッ(夜、いつもの店で)」「チラッ(分かりました)」と目と目で通じ合えるようになるのです。 ?軍の中で 隊長と部下でも同期同士でも構いません。チームプレイにはお互いの信頼度が非常に大...
  • 28-539
    二人で深夜のオリンピック観戦! 「うおおー!すげえ、ちょ、見ろよ!スケート!男子!金だって!!」 テレビの前ではしゃぐ竜輝を布団の中からチラと見て、俺はあくびを漏らした。 「はいはい…すげーな、よかったな」 「何そのうっすい反応…!日本人初なんだよ?!」 「分かってるからちょっと静かにね。今何時か知ってる?俺はそろそろちゃんと寝たいんだけど」 電気も消せないし竜輝が五月蠅いせいで、いつもなら既に夢の中にいる時間なのに逆に微妙に目が冴えてきてしまう。 仕方なしに布団の中からテレビを見ているが、まだ微かに残る眠気の方が勝っていた。 「あー、うん。ごめん、もう終わったから消すわ」 「よろしく」 暫くしてテレビが消され部屋の照明もカチリという音と共に消える。 「もうちょっとそっち行っていい?」 二人用キングサイズのベッドは俺達二人が横になったってまだ余裕があるという...
  • 28-589
    ひまわり×月見草 神様はなんであいつの隣に僕を置いたんだろう。 ハルヒコと僕の間には何の共通点もない。 それなのに、家が隣同士というだけで、生まれてこの方13年、僕らはしばしばひとまとめで見られる。 ハルヒコはスポーツ万能だけど、僕は完全なインドア派。 ハルヒコは友だちが多いけど、僕は人と話すのが苦手。 ハルヒコはいつも「楽しそうだね」と言われるけど、僕はいつも「怒ってる?」と聞かれる。 ハルヒコは僕といたがるけど、僕はハルヒコと離れていたい。 「イツキー、絵描きに行こうぜ! 美術の宿題のやつ!」 「……一人で行けよ」 蝉よりもけたたましく上がり込んできたハルヒコを、僕は冷ややかな声で追い払おうとする。 「だって一人じゃつまんねーし。こういうのってパパっと終わらせたいじゃん」 「僕は僕で宿題計画立ててんだよ。こっちの都合ってもんが――」 イラッ...
  • 4-509
    そろそろコタツ出さない? 「そろそろコタツ出さない?」 そう、あいつが俺に対して言ってくる いつものように、俺の部屋で2人、テレビをなんとはなしに見ていた時のことだった。 確かに、そろそろ寒くなってきた。広くはないが、一人で住むには十分な広さに、 二人きりで体を寄せ合っていても、震えてしまう。 暖房器具が欲しくなるのも頷ける。 でも 「出さない。」 断固として俺が断ると、あいつは子供のようにふくれっ面になって 「寒いよー出そうよーケチー。」 しばらく文句を言っていたが、俺の意思が変わらないことがわかると、拗ねたように 黙ってしまった。 それでも、時々俺の横顔を盗み見ては怒ったような顔をしているようで、 まだまだ諦めていないようだ。 「なんと言ったって、まだ出さない。」 止めの一言を言うと、あいつはそれきり黙ってしまった。 完全に拗ねたようだ。...
  • 3-509
    ttp //users.skynet.be/tinformatica/waha.wmv この試合が終了した後の2人 坂事情には明るくないけれど。 まず、チンポロリ、略してポロリの表情を見逃してはいけない。 心底あきれた様な「お前なにすんねん」みたいな。でも冷静。 それにひきかえ、プチスキンの人はもう大慌て。 アテレコをするとしたら「うわヤッベ、いや、え、ヤッベ! ちょ、見ない振りしとこ!」。 これを踏まえて、数式にするために整えるとすると、 冷静ポロリとヘタレスキン 試合後の光景はかなりオイシイものになるのではないでしょうか。 パターン1 ポロリ×スキン ポロリの語尾に思わず(妖笑)などとつけたくなるような 鬼畜ガチュンがおすすめ。言葉攻めの際は「今度はお前のモノを群集に晒しに行こうか…」 パターン2 スキン×ポロ...
  • 1-509
    赤いきつね×緑のたぬき お肌は色白、お口に含むとお汁がいっぱい溢れ出すきつね。 ちょっと田舎っ子な雰囲気を醸し出しつつ、最初はサクっと軽いけど そんなお汁で身体が満たされる内にどんどんフニャフニャと 腰砕け状態になるたぬき。(ちなみに喘ぎ声はみさくら系キボン) お湯をカップ一杯まで注いで汁だくプレイ開始。 身体に悪いかもと思いつつ、いつも最後の一滴までお汁を搾り取られる たぬきたち(時にはきつねも同じ目に) …萌と同時に腹がへってきました。 ぶっかけ
  • 6-509
    大人と呼ぶにはまだ早い 「愛してるよ、伊藤」 「はいはい」 「大好き」 「俺もですよ」 軽く流すことに勤める俺に、奴は頬を膨らませた。いくつだよお前。 「真面目に聞いてよ」 「真面目に聞いてますよ。で、何だって?」 やっと俺が弁当から顔を上げたら、奴はぷいと顔を背けた。 いちいち子供っぽい怒り方に笑いそうになるが、そこは抑える。 2人しかいない昼の放送室。誰も見てない空間。 まぁ、こんな場でならタワゴトを聞いてやらんでもない。 俺が弁当を食い終わって、小さくゴチソウサマを呟くと、奴はやっとこっちを向いた。 「俺はさ、伊藤とずっと一緒にいたいわけよ」 「アリガト」 子供じみた言葉。笑える反応を期待していたが、その顔は意外に真剣なままだった。 口周りに一杯弁当つけてさ?決まらない奴だねどうも。 「伊藤は俺のこと、どう思ってる?ただの友達?」 「坂内は坂...
  • 7-509
    ツンデレ攻め×ツンデレ受け 「あ…の、こんなとこにずっといると日射病になる……」  夏日の日差し照りつける第二校舎の屋上に、そいつは午前中からずっと一人でいた。 向かいの、第一校舎の生徒会室からはこの屋上の一角が見えて、昼休みの間も「あの男子 生徒はこのくそ暑いのに屋上で何をしてるんだ」と話題になった。 「嶋ノ辺、あいつここに連れてこい。俺一応説教しなきゃならないかも。同じ一年だろ」 村上先輩は、よく横柄な物言いをするけどそれは誰にも媚びないからで、本当は気さくで 後輩にも威張ったりしない人望の厚い生徒会長で、僕はこの人のおかげで生徒会にも学校 にも気後れせずに居場所を作ることができた。……だから、嫌だったけど村上先輩の頼み だから、僕は屋上にいるそいつを呼びにいった。  屋上の扉を開けると、熱気と光線が額を打つように襲ってきて、それだけで立ち眩みが ...
  • 5-509
    お人好し お人好し。 お前ほんとにどうしようもないな。 なに弱っちぃくせに喧嘩の仲裁とかしてんだ。 猫の睨み合いにまで首つっこむな。手当てするのは俺なんだぞ。 おばあちゃんが道に迷ってたからって、わざわざ送り届けて自分が遅刻してどうするんだ。 そうやって譲ってばかりだから、いつも自分が損をするんじゃないか。 告白する前に、弟に好きな女取られるなよ。 血のつながらない水子が何人いるんだ。 もうちょっと自分を大事にしろよ。やさしいお前は好きだけど、お前ばっかり不幸せなのはいやだ。 お人好し。 そんなんだから、好きでもない男に抱かれる羽目になるんだよ。 さっさと振れよ。でなきゃ、俺も踏ん切りがつかないよ。 俺強情だから、はっきり拒否されなきゃ謝れないんだよ。知ってるだろ。 なぁ、頼むよ。好きなんだ。不幸せにしたくないんだ。だから。 ツンデリズ...
  • 2-509
    軽薄人気者窓×堅物マニア受けな林檎 「ってーかさ、お前の存在意義ってなによ?」 「なにって言われても」 「正直さァ、昨今マウスに押しの一手しかないなんてどうよ?」 「いいじゃん別に」 「俺を見てみ?スクロールに左右クリックに、最近あと二つ機能追加したぜ」 「そんなにあったって使わないから」 「だいたい発色だって負けてねーぞ?」 「でも動画の処理なら負ける気はしないよ」 「俺なんてメールにネットにテレビにエトセトラ、もち写真屋も絵描きも対応済」 「そう………」 大きなオフィスの中で、仲間はたったの2,3機。 CMや新聞の広告ででかでかと威張る大勢から『マニア向け』と罵られても、 それでも彼らは挫けはしない。 昔もいまもこれからも、確かに心から彼らを愛し、いとおしむ人たちがいてくれるから。 ポジ×ネガ
  • 28-019
    三角関係 拝啓、先生。お元気でしょうか。 こちらはすこぶる元気であります。 唯一文句を言うのであれば、この現代社会には楽な死に方なんぞ言うものが存在し得らないことだけでしょうか。 きっと先生がこの手紙を読む頃には、ぼくはさんざん苦しさを耐えて物言わぬ姿になった後なのです。 誉めろとは言いませんが、痛みは苦手なぼくがここまで頑張ったと言うことだけは覚えていてほしいのです。 ああ、でもぼくが何の考えも無しに消えたのだとは思わないでくださいね。 ぼくは生まれ変わったら星になりたいのです。 アルタイルでもベガでもデネブでもなく、名のない小さな小さな星。それでいいのです。 ぼくはあの天の空の中で小さく光っていたいのです。 なぜそんなことを、と先生はきっと笑うのでしょうね。無意識のうちに握る癖のせいでしわになった白衣の裾を、痕を付けるように、ぎゅう...
  • 28-809-1
    木×葉っぱ おしべ、というのはみじめなものだと思う。 どんなに素晴らしい種を持っていても、実になれるのはめしべだけだ。 自分の種を受けた相手が実になっていく横で、寂しく枯れていかなければならない。 体が黄色くかさかさになり、落ちるのを一人待つだけ。 土に落ちれば、あとは腐るだけだ。 「・・・それでは」 だから俺は喜ぶべきなのかもしれない。自分が葉であったことを。 「ああ、じゃあな」 木に栄養を与えた後は、用済みになって落とされる。 葉もおしべも、用済みになれば木にとっては同じだ。 一生で幾度も出会うもののたった一つに過ぎない。 それでもまだ。 俺は足元に落ちたあいつとは違う。風に乗って、遠く離れていけるのだ。 木のように、次々と新たな命を生み出すあの人から。 この箱庭のような王宮から。 豆×さや
  • 20-509
    美人×強面 俺は甘いものが苦手だ。 食べられないほど嫌だというわけじゃないが好き好んで口にしようとは思わない。 だからこの日だけはチョコの一つも貰えない自分を誤魔化すことができる。 「完全に負け惜しみじゃないか」 「いや……本当に甘いものは苦手でな」 「でも貰ったら食べるんだろう?」 貰えるんだったら女の子の愛は欲しい。仮に貰ったとしたら喜んで食べる。 こんなことを言うと「そんな厳つい顔した男がよく言うよー」なんて茶化されるが顔は関係ないと思いたい。 「貰ったらな」 それにしても毎年のことながらこの日のこいつはすごい。美人で優しいのが女心くすぐるそうで市販のチョコや手作りチョコ。 本命に義理に友チョコなんでもあれだ。 一切貰えない――どころか目が合っただけで女性に怯えられる――俺を尻目に紙袋いっぱいになるほど貰う。 朝の時点で2袋、仕...
  • 10-509
    義理の兄弟な大学生×小学生 小2の終わりに、父と母は離婚した。しかしこの上なく円満に。 ドラマや小説で取り上げられるような愁嘆場はまず以って演じられることがなく、 離婚に纏わる問題の中でも特に重大なものとして扱われる子供の親権問題、つまり 一人息子である僕自身の身の処し方の事なのだが、やはりそれも問題になる前に 綺麗さっぱり片付けられてしまった。 いや、片付けられたと言うのは語弊がある。なんせそれだと僕が受け身だから。 正確には父と母は僕に十分な猶予と選択肢を与え、僕は自ら選択した。母と一緒に行くと。 理由は非常に明確で、それだけに俗っぽかった。 その理由を説明するには、僕の両親の離婚の原因をぶっちゃけてしまうのが手っ取り早いように思われる。 父と母は結婚9年目にして互いに別の女と別の男に惹かれてしまったのだ。 毎朝男の戦闘服である鋼鉄のスーツを身にまとい...
  • 27-509
    膝枕をする 「朝から膝枕について考えている」 「暇なんですか。暇なら洗濯物たたむの手伝ってくださいよ」 「というのも『膝枕は男のロマンだ』と耳にしたのだ。ロマンと聞いては捨て置けん」 「聞いてないし。まあいいですけど。……で、膝枕がどうしたんですか」 「それが不可解なのだ。まず私は、第一の命題として、枕たりえる膝の高さについて考えたのだが」 「ああ、それで今朝メジャー持ってうろうろしてたんだ」 「床に座ったときに膝の位置というのは、案外と高さがある。正座すると更に高くなる。  椅子に座った場合は、首の長さがいくらあっても足りないほどだ。あの高さを平気で枕にできるのは猫くらいだな」 「猫は膝の上に乗るの好きですからね」 「しかし残念ながら私は猫ではない。ついでにキリンでもない」 「そうですね」 「そこで私は今回の考察の前提として椅子というものを除外した。世...
  • 24-509
    暑いから 「お前なんで毎日俺んち来んだよ」 言いながら内藤は麦茶の注がれたコップを差し出してきた。 「暑いから。俺の家クーラー壊れてんだもん」 「ああそう、つーか邪魔なんだけど」 少しウザったそうにしながらも、繋ぎっぱなしのゲーム機を立ち上げてコントローラーを寄越す。 「負けたら帰れよ」 「いいよ。俺景品かかると強いんだ」 「クーラーごときでよー、もーコンビニ行けよ」 「ははは」 今のとこ全勝、だって内藤がかかってんだもん。 「江田、電気代払え。つーかクーラー直せ」 「お前が勝ったらね。明日バイト休み?」 「休み。あっ、お前今のハメだろ!」 楽しい楽しい夏休み。 お前の隣で「せっかく涼しいんだし、もっと暑いことしちゃう?」なんてエロ漫画真っ青のサムいこと考えてるのは内緒。 「はー天国!」 「そのまま召されろよ」 ...
  • 13-509
    (相手の手で)ゆるく結ばれたネクタイを 「どうせほどくんなら結ばないで下さいよ」 「ロマンだよ、ロマン、お前にはわからないだろう。ネクタイをほどくロマンが」 「わからないしわかりたくもないですけど」 「あーあーお前はそういう男だよ。まあいいや、ベッド行くか。ホレ」 「…何ですか、その顔は」 「こういう時はお前が俺を姫だっこで連れて行くんだろー」 「それを言うならネクタイだってあんたが結んで俺がほどくんでしょーが」 「ほんとわかってねーな、お前。ギャップかつロマンだよ」 「…わかりましたよ、ほら。…軽っ」 「うるせーゴチャゴチャ言ってないでチャキチャキ運べ!」 「はいはい」 「…、いって、お前もう少し慎重に下ろせよ。痛いよ」 「はいはい。それで?俺のネクタイほどくんでしょ」 「そうそう。えーと…ネクタイってどうやってほどくんだっけ?えーとこうやって…」 「...
  • 17-509
    クリーチャーの恋 「あいつ、……らしいぜ」 「マジかよ、さすが……だな」 「…んとだよ。あーあーゼッタイ俺かなわねー。でも俺たかが任務で死にたくねーし…じゃなくて良かった」 「シッ…聞こえるぜ」  ガヤガヤと雑音が鳴る。  人間じゃないと言われることにはもう慣れた。自分はほんの少し、身体能力が高かっただけだ。  ほんの少し、人よりも、生きている意味が見つからなかっただけだ。  三回ノックして、執務室のドアを開ける。ここだけ息が楽だ。空気が柔らかい。 「ボス。ただ今、任務から戻りました」 「お帰り」 「ご報告を」 「うん。それより――こっちへおいで。血が出てる。誰の血?」  手を取られて俯く。視線を落とすと、胸のあたりから下肢にかけて、べったりと血がついていた。  ほとんどはかえり血だが、自分のものもあるかもしれなかった。 「痛かった?」 「いえ...
  • 15-509
    お互いに妻子ありの幼なじみ 「お前と飲むのも久しぶりだな」 「……1週間前に飲んだばかりじゃん」 「そうだったか?」 「アンタ飲み潰れてたよ」 「覚えてねーわ」 「俺が優しく介抱してやったのに」 「マジかよ?うわ、勿体ねーな」 「ばーか」 「はぁ…お前ももう父親かよ」 「アンタは俺の親父かよ」 「お前みたいなガキは手間がかかる」 「酷いな」 「酷くねーし」 「女だったか?」 「そうだけど」 「ふーん…俺のは男だ」 「それで?」 「俺らみたいにずっと一緒だったら面白いなとか思っただけだ」 「ぶはっ、何その少女漫画的な流れ」 「悪いか」 「いいや?面白いんでないの」 「将来、結婚したりしてな」 「させたいの?」 「まーな」 「俺らは出来なかったしねー」 ...
  • 21-509
    人恋しい夜 寂しくて苦しくて、どうしようもない気持ちになる時がある。 煙草を吸っても酒を開けてもそれだけはどうしようもなくて、オレは雨の中携帯も財布も傘すら持たずに家を出た。 止みそうな気配すら見せない夏の雨は陰鬱な気分を助長させるに十分で、じんわりと足下から上がって来る寒さは孤独そのものだった。 さみしい。携帯のボタン一つで誰とでも繋がれるはずなのに、どうしてこんなにも。 簡易的な繋がりより、薄っぺらな言葉より、彼の熱が欲しかった。 人恋しくて堪らないのにそれは彼にしか満たせない。 他の誰でも良いのなら、どんなに楽だったろう。 ためらう事なくインターフォンを押すと、数秒の後に機械音と混ざった眠た気な声が聞こえてきた。 「はぁい、どなたですか?」 「オレ、です。」 緊張か、それとも期待か。冷えた喉から出た声は、少しだけ震えていた。 通話が切れ...
  • 16-509
    頭のいいへたれ テスト週間明け初の授業。 俺の手には返ってきた数学のテスト用紙が収まっていた。 (58点・・・まあまあか。) 黒板にでかでかと書き示されているクラス平均点は67点、学年平均点は60点。 特に悔しがるほどの点差でもないだろう、とテスト用紙を机の中へと押し込んだ。 見直しもする気になれず、ぼんやりと周りを見ていると赤点をネタにしている奴や人の点数を聞きまわる奴がいる中、 ある一人の人物に俺の目線はぴたりと留まった。 そいつは不機嫌そうに眉を顰め、口をへの字に結んでいた。目線の先にはテスト用紙。 せっかく俺好みな綺麗な顔してるのに勿体無い。 他の奴ならああ、点数が悪かったんだろう。ドンマイ。程度にしか思わなかっただろうがこいつの場合そうは思えない。 何故ならそいつは定期テストのたびに発表される成績上位者のトップに居座り続けていて、 ありがたく...
  • 26-509
    運動部対文化部 「申し上げます!」 「どうした副キャプテン」 「野球部が、陥落しました!」 「なん…だと…?」 「スタンドの応援席で短調の曲ばかりを演奏されたとのことです!」 「おのれ、吹奏楽部め…!小ざかしい真似を」 「いかがしましょう」 「卓球部の様子はどうだ。出撃はできそうなのか」 「それが……手品同好会にピンポン玉を奪われ、今は素振りしか出来ないと…」 「何?奴らは同好会まで参加させているのか」 「はっ。どうやらそのようで」 「サッカー部はどうした。我が連合のエースは」 「そ、それが……その」 「どうした副キャプテン。何かあるなら報告しろ」 「実は、サッカー部も、戦意を喪失してしまい…」 「なんだと!?」 「サッカーボールの白い部分を全て黒く塗られたそうで……おそらく、書道部の仕業です」 「なんということを……奴らに道具を愛する心は無いの...
  • 25-509
    移り気 小学校何年生だっただろうか。 当時高校生だか大学生だった叔父に、自由研究の手伝いを頼んだことがあった。 紫陽花の花で土質がわかると何かの本で見て、花に詳しい叔父を頼ったのだ。答えはノーだった。 「紫陽花の花はあれじゃない。あれはただのガク」 そう言ってあしらわれた。 かじかんだ指先に凍える息を吐きかけながらふと、そんなことを思い出した。 あれから何年経っただろう、恒例と化した年末年始のアルバイトで僕は、叔父の経営する花屋にいた。接客の合間、延々と花束や鉢植えにつけるためのリースを作る。柊がささくれた指にチクチクと痛い。 「おじさーん、おじさんも手伝ってよ、一人じゃ終わんないよ」 お客が切れたので声をかけると、外から花屋に似つかわしくない男がずかずかと店内へ入ってきた。 「弘平くん、お店で大きい声を出さないでくれるかなー?」 貼り付けたような笑顔に向かって...
  • 14-509
    双子の弟と間違えて兄に告白  大事な話があると凛の携帯にメールしたのは昨日のことだ。  眠れなくて、俺はベッドの中でシミュレーションをしていた。 『嬉しいよ』と頬を染める凛。 『ゴメン』とうつむく凛。  妄想なのに、凛がどんな表情をしていても悶えてしまう俺は変態かもしれない。  凛には双子で同じ顔の廉という兄がいる。でも何故か俺が悶えるのは凛の方なのだ。  30分前に来た俺よりも先に、凛は待ち合わせ場所の公園にきていた。  これは脈アリなのかもしれない。俺は話を切り出した。 「す…好きなんだ!」 「好き?」 「き、気持ち悪いよな。でも、もし可能性があるなら考えて欲しくて…」 「恋愛って意味で?」 「恋愛って意味で」 「俺のどういうところが好き?」 「どういうって……」 「顔? 顔なら俺、同じ顔のやつがいるよ?」 「確かに君の顔は、俺の好...
  • 28-099
    お風呂あがり 「君にコーヒー牛乳をご馳走したいのだがどうかな?」 それが彼が俺に言った、初めての言葉だった。 何とも不運な一日だった。寝過ごすわ電車は乗り遅れるわ財布を忘れたせいで昼飯もなし、提出しなければならなかった書類は忘れる。 帰りは帰りで再び電車を乗り過ごし、疲れ果てて帰宅。やれやれ風呂にでも入るかと溜息を吐けば、止めとばかりに給湯器が故障していた。 お湯が、出ない。 「…信じらんねぇ」 がくりと項垂れるが仕方ない。水風呂に入る訳にもいかないので、近所にある銭湯に行くことにした。 「―っはぁああ」 風呂上りにはコーヒー牛乳。これは俺のマイルール。 髪を適当にタオルで掻き混ぜつつの一気飲みが最高なのだ。親父臭い声が出るのもご愛嬌ってやつ。 紙パックも美味いが瓶も美味い。この時の俺は随分と幸せそうな顔をしていたことだ...
  • 28-009
    年上の幼馴染  三十五才を過ぎると急に、結婚、結婚と言われなくなった。もう洒落にならないんだぞ、という事実を突きつけられるようで怖い。  だって仕方がない、派遣なんてやってるようじゃ結婚できない。彼女だってできない。  いいんだ、そういう時代だから、と開き直る。  妹も結婚して子供作ってるし、母ちゃん的にも、もう俺はいいんじゃないかと思う。  泰成にいちゃんの方がやばい。兄ちゃんはフリーターで、一人っ子で、俺より二つも年上で、おまけにおじさんもおばさんももういない天涯孤独の身だ。  二軒はさんでのご近所さんだから、うちの母ちゃんとしてはもうひとりの息子みたいな気持ちで 「豊井家は絶えちゃうねぇ」 と心配してるけど、いやー、無理でしょ。  俺以上に、兄ちゃんはどうにもなりそうにない。それよかうちも名字絶えますけど。 「泰成にいちゃーん、コロッケだよー」  ...
  • 12.5-509
    真夜中に届いた、たった1行だけのメール。 朝起きてメールを確認すると、受信メールが二件あった。 どっちも親友。なんだろうと思ってメールを開く。 『好きだ』 件名、無題。本文、三文字。 送信時間は深夜一時。 『ごめん』 件名、無題。本文、三文字。 送信時間は深夜二時。 たった一時間の間に何180度回転したメール送ってんだよ! 自己完結?!俺の返事は待たんのか?!そりゃねーよ!! 剣豪×ごろつき集団
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