*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「3-219」で検索した結果

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  • 3-219
    30cmの身長差 「A、なに立ってるんだよ。座れば?」 部屋でくつろいでいる様子のBがそう告げてくる。 …こいつ、また身長伸びたんじゃないか? 「お前、ちょっと立て」 ………ああくそ、また伸びてやがる。 同級生なのに、この差はなんなんだ。 「A?」 Bと俺が立って並ぶほど滑稽なものはない。 機嫌なまま、にらみつけるとBは少ししゅんとしたようだった。 バスケ部で身長高く女にもてる癖に気弱なBがうつ向くと、 身長が低いが威張りんぼの俺と視線が合う。 今は視線があった瞬間、俺はBの胸ぐらを掴んで引き寄せて、キスをしていた。 この体勢も、たぶんBにはきつい。 けど構わず舌を絡めると、Bのまつげが震えた。 かくんと、Bの体が落ちてくる。 「なに…?」 ほんのり目元を潤ませて見つめてくるBは、キスで膝立ちになったせいか俺より少し...
  • 13-219
    夏祭り 「揃いの浴衣で神社までの道を歩く。恥ずかしがる君の手を引きながら。 途中の屋台でリッチなたこ焼きを買う。足が半分飛び出ているやつだ。 少し顔が赤い。君も、俺も。 鳥居の手前で足を止める。繋いでいた手に重さが掛かるから。 金魚すくい。水槽の前には小学生が二人。 終わるのを待って、ポイと小銭の交換。 君は不器用だから取れないんだ。腰を屈めて、おじさんに人差し指を立ててみせる。 君の肩越しにポイを受け取り、隣に座る。華麗な技を見せてあげるよ。 他のより大きい、客寄せのを狙うよ。 おわんの中には、赤と黒を一匹ずつ。君のと俺ので一匹ずつだ。 ビニール袋は二つにしてもらおうか。それとも家に寄っていく理由にするかい?」 「なあ、今夜ヒマ?」 「俺を乙女にした妄想を口にする癖は直した方がいい」 「え?お、俺?!言ってた?言って...
  • 5-219
    遠く離れた人 【おはよう。そちらは晴れていますか? 木星がよく見えるようになりました。縞が肉眼で確認できます。】 【おはよう。こちらは残念ながら雨です。望遠鏡で君の船が見えなくなってずいぶん経ちました。少し寂しいです。】 【おはよう。そちらは今日も雨ですか? こちらはいたって平穏です。映画を見てオフを過ごしました。】 【おはよう。こちらは曇りです。明日は晴れるでしょう。僕も映画を見ようと思います。】 【おはよう。太陽のプロミネンスのせいで、通信エラーが出やすくなっています。このメッセージは5回目の送信です。今度は届くといいな。】 【おはよう。これからどんどん通信エラーがひどくなるでしょうね。木星はどうですか?】 【おはよう。今日で出発から地球時間でちょうど1年です。木星まであと3年ちょっとです。宇宙は広い。】 【おはよう。今日もひどいエラーでした。...
  • 4-219
    すごい受っぽい×すごい攻っぽい 半年前まで恋人いない暦二十三年。それが、つまりイコール年齢、って状態でした。 中高と寮制の男子校で過ごし、大学は男だらけの理系学部隔離キャンパスで寂しく過ごしましたから。 そんな俺に初めて出来た恋人は男。付き合うきっかけは省きますが、そう、とにかく男なんです。 ……まぁ、それは別にいい。相手が身長180以上ある長身だろうが、やっと入れた会社の上司だろうが。 とにかく、そんなことはどうでもいいんです。 問題なのは、今のこのベッド上での状況ただそれだけなわけで。 「だ、駄目だってっ……やっぱこんなの入るわけねぇよ……」 トイレや銭湯で見て、薄々気づいてはいたんです。俺のモノって、結構でかいんじゃねぇの……?ってことは。 でも、使う機会がなかったから、別段どうとも思っていなかった。……今の今までは。 「もう十分解したんだろ? 大丈夫。出...
  • 8-219
    一日違いの誕生日 『なんかさぁ、プレゼントとかってめんどくさいからいらなくねぇ? 』 そんな事を言って彼が笑ったのは1ヵ月前の今日。 『どうせ貰った翌日には返すんだからさ』なんて、 笑ってみても自分に遠慮しているのは分かっている。 去年まではやり取りしていたのに、急にいらないなんて言い出したのは、 最近仕事に忙殺されて、帰宅さえままならない自分を気遣っての言葉だった。 日付も変わって、周囲は寝静まった深夜。 手ぶらで彼の待つマンションのドアを開ける。 せっかくの誕生日を1人ですごす羽目になった彼は、 だらけた猫のように、しなやかな体をソファに伸ばして、1人ビールを飲んでいた。 「おぉ、お帰りぃ~」 手にした缶ビールをテーブルに置いて、彼の視線は自分の空の両手を確認する。 自分でいらないと言っておいて、あからさまにがっかりするガキっぽさ...
  • 1-219
    森×くまさん  彩り鮮やかににぎわせてくれた実りの季節もとうに終わり、色とりどりの枝葉は褪せて大地に染みる。  ひっそりと息吹を低める枝に雪が積もり始める頃、いつものようにのそりとあいつがやってきた。 「よーす。今年もお世話んなるよ」 「今年もって……てめえな、今年がいつ始まったか知ってるか?」 「ああ。なんか、気づいたら居眠りしてて、そのまんま寝入ったみたいでさ。さっき起きた。 いや、さっきおまえが顔に雪落としてくんなかったら、あのまま死んでたなあ」  これ、必死にかき集めて来たんだぜえー。  大らかに笑う顔に、あきれ返る。凍死直前の顔か、それが。  でかい図体で両手に食料をいっぱい抱え込みながら、きょろきょろと辺りを見回して、  しばらくしてちょうどいい穴を見つけたのか、のそのそと入り込んで膝を抱えこんだ。  そのまま寝入りそうな相手に...
  • 2-219
    執事×旦那様 執事はあれだ、個人的には年上で、旦那様が坊ちゃまだった時代からお仕えしてるといいね。 旦那様は天使のようにかわいらしい子供時代を経て、かなりお腹の黒いお方にご成長なさった んだけど、執事的には未だに清らかで守ってあげたいお坊ちゃまなわけですよ。 僭越ながら弟のように思ってるわけですよ。 そんな坊ちゃまは今では立派な妖艶誘い受け旦那様だけどな。 旦那様が色んな紳士と浮名を流してる片棒を担いでおきながら、今いち事態を把握してない 執事。いやね、執事も大人だし、心当たりがないでもないよ。 だけどそんな疑惑が胸に浮かぶたびに打ち消してるわけ。傍から見たら無理がありすぎな 必死さで打ち消してるわけ。そんなことあるはずない、うちの旦那様に限ってと。 旦那様の方でも執事は兄っつうか、空気? そう、空気のような存在。恋愛対象外。 だっておしめ...
  • 7-219
    信じて待ってる 「んじゃ、行ってきます」 「待て待て! ネクタイゆがんでる、いいか、しっかり答えるんだぞ。  いつもみたいに、アホみたいな受け答えすんじゃないぞ。  うわお前納豆臭いんじゃね? 朝飯臭するぞ。ちゃんと歯磨いたのか、お口くちゅくちゅもしてけ。  あ、ワキシューもしろよ、汗かくしな。あ、匂い無いやつな! あと…」 俺以上にドキドキしているらしい同居人に 玄関へと進めていた足を止められた。 「あ、あのね、もう面接終わってるから。  今日は顔合わせみたいなもんだって言ってたし、審査は無い同然なの。  それに、あんまりそっちに緊張されると俺もしちゃうよ」 高校を卒業し、大学で出会った先輩とすぐ恋に落ちて同棲を始めた。 4年の間に少しだけだけど先輩の背も追い越し、内面的にも大人になったにも関わらず、 先輩――同居人は4つ下の俺をいまでも...
  • 6-219
    公園 仕事で忙しそうにしてる瀬戸を誘ったのは良いが、 特に行く場所も思い当たらずに仕方なく公園のベンチに腰かけていた。 カップルが並んで座るように置かれているベンチの一つに 男二人で座ってるんだから、かなり異様な光景だろうな。 まあ今は人がいないから良いけど。 春だと言うのに涼しい風が吹いていて、隣の瀬戸は少し身震いしている。 まだ、コンビニには豚まんが置いてある。 さっき買ったそれを袋から取り出して、ぱく付いた。 少し熱くて、火傷しそうになるのをふうふう冷ましながら食べる。 「お前も買えば良かったのに。うまいぞ」 俺は瀬戸が何かを食べるところをほとんど見た事がない。 ちゃんと食事を摂っているのだろうかと心配になるほど、青白くて細い身体。 「いらん」 瀬戸は長い脚を組んで、ふいと横を向いた。 俺は溜め息をついて、豚まんを指先...
  • 19-219
    キスから始まるミステリー 「なあ高橋、起きろって」 週末に、俺の住む汚い6畳1間(風呂トイレ付き)で、同じゼミの友人はごろりと仰向けに転がっていた。 すやすやと、規則正しく吐き出される息は、随分と酒臭い。テレビは、今流行りの海外ドラマ6話目を流しいて、繋いだPS2が、DVDを回しながらウィンウィンと音を立てている。 「一人で観てもつまんねーよ」 観たいって言い出したのお前じゃん。 俺はアルコールでふらつきながら、四つん這いで高橋の顔を覗き込んだ。 わりと普通の、でもちょっとだけイケメンの高橋。茶色かった髪を就活で黒く染めたからか、前よりも子供っぽくなった。 そんな高橋をじーっと見つめていた俺は、なんとなく。本当に、なんとなく。 高橋に顔を近付けて、酒臭い唇に、自分の唇をくっつけた。 「………!!!」 瞬間、自分の行動に驚い...
  • 21-219
    精神的欲求不満 なんかむずむずする。 腹減ってんだな。メシ食おうメシ。 腹いっぱい。 でもまだなんか、そうかタバコだ。 食後の一服だ。 あーニコチンが体に染み渡る。 ……足りねぇ。いや、ニコチンじゃなくて。 なんっか足りねぇ。なんだこれなにが足りねぇんだ。 イライライライラ貧乏ゆすりが止まらない。 あーいらいらする! ――ピルルルルルル 「ああ゛っ?!」 『おお、どーしたおまえなにイラついてんの』 「あ、いや」 なんか、いま治まった。 『しばらく連絡できなくてごめんな。いま大丈夫?』「大丈夫じゃねぇ」 大丈夫じゃない。大丈夫しゃないから。 「いますぐ会いにこい」 声だけじゃ、まだ足りねぇから。 ほしいのは憐れみだけ
  • 18-219
    コンビニ コンビニにはBLが満ちている、と俺は思う。 一、常連の高校生二人。朝練のためか朝早く来てパンを引っつかんで金払って咥えて、 走り去って行く。うふふあははと微笑み合いながら。 朝シフト、眠いのを我慢した甲斐があったとガッツポーズをしていると、同じく朝シフ トの上野から「この腐男子め」とばかりにぽかりと頭を叩かれた。 殴った後にチュッパチャップスくれても許さないんだからな! ………あ、プリン味って美味いんだ。 俺がオレンジが好きだな!と言うと上野は律儀に試食して感想をくれた。 二、常連のサラリーマン。二週間ほど前から同伴者が増えた。 サラリーマンより年下であろう長身の青年。どでかプリンを買うか買わないかで揉めて いる姿が微笑ましい。 夜シフト、増やした甲斐があったと肉まん詰め替えながらにやにやしていると、同じく ...
  • 10-219
    全身タイツ 「……何してるんだお前は」 馬鹿だ。 こいつは本当に馬鹿だ。 開いた口が塞がらない、というのはこのことを言うのだろう。 彼のその姿に、頭の中を必死に整理しようと努力したが、 言葉らしい言葉は紡げずに、ただただあ然と玄関に立ち尽くすだけだった。 「これ、可愛いでしょ? 飲み会のビンゴで当たっちゃった」 そう言って彼は、純粋無垢な笑顔を浮かべた。 ……やっぱりこいつは本当に馬鹿だ。 眩暈で倒れそうになる身体を壁に手をつくことで何とか耐え、やっとのことで声を絞り出した。 「……何で、今ここで着ているんだ」 「えー、だって会社の皆も、この格好可愛いって言ってくれたんすよ?」 「……」 全身真っ黒のタイツを身に纏っている奴のどこが「可愛い」というのか。 しかも、身体のラインが強調された妙に生々しい格好は、“変態”以外の何者でもない。 「だからあんたに...
  • 11-219
    一風変わった三角関係 「もう、仕方ないですね、この辺りで取って置きを出しますわ!」 「とっておき?」 「じゃん!議会厳選美女秘密ファイルです!」 「……お見合い写真みたいだけど」 まあ、ええ、どうです?この方なんて。 と言いながら彼がいかにも適当に選らんで一枚寄越す。 彼の顔を見ながら、素直に受け取る。なにしろ厳選ですのよ!と しなを作って見せる彼の真意は知れない。 「殿下がいつまでたっても乗り気にならないものですから」 「ああ」 「もう、ご老人方がとってもハラハラされていますのよ」 「ああ」 「いつくたばるか分からないっておっしゃってて」 「へえ」 「殿下、この方もとっても愛らしいカンジですわ!さ、見て下さいまし」 「うん」 また一枚、寄越される。彼は目をふせて口に片手をあてた。 睫毛は長く、手も肌の色も白く、唇には紅が綺麗にひいてあり ついで...
  • 14-219
    コンビニ店員 俺とあなたは店員と客。 近くにいられるのはコンビニのレジを打ってる間だけ。 袋を渡すときに「ありがとう」って言ってくれるあなたに、その一言がどれだけ嬉しいか伝えたい。 お釣りの小銭を募金したあなたに「ありがとうございます」って言ったときの、照れたような笑みが忘れられません。 あなたが来るのが待ち遠しくて、あなたがいつも見ている棚を綺麗に整理しています。 綺麗に並んでいる棚を見て、あなたが嬉しそうに微笑むから。 あなたが深夜によく来るから、シフトも変えてもらいました。 少しでも話すチャンスが欲しいから。 「あの、すみません」 「はい、なんですか?」 「お釣りまだ貰ってないんですけど…」 「あっ!すみません!」 少しでも話したくてわざとミスをするのも、何回目かわかりません。 何回もミスをするのに、いつも俺のいる...
  • 17-219
    無抵抗余裕受け 「いきなり人の上にのしかかってくるとは、良い趣味をしているな。いつの間にゲイになったんだ? ……驚かないのか、だって?驚いているさ。まさかお前がこんな姑息な手段を使ってくるとは思ってもみなかったからな。 しかもただ俺に対して優越感に浸りたいが為に、本来用いるべき手段とはまるで掛け離れたことをしようとしているんだからな? 俺に敵わないと思ったんなら、潔く負けを認めるなり往生際が悪くてもがむしゃらに努力するなり、他にいくらでもあっただろうに、よりにもよってこんな一番くだらないことをしようとしているんだからな。 呆れたよ、失望した。……お前はもっと骨のある奴だと思っていたのにな。……小声で何を言ってるんだって?お前には関係のないことだよ、だから気にする必要なんてない。 だいたいこれから犯そうという奴をこんなにべらべら喋らせてどうするんだ?もしも俺がこの隙に大声...
  • 22-219
    身長・体格が受け>攻め、ちんこのサイズも受け>攻め 週末雑居ビルのバー。 戸川がサッカー中継を見ながら奥の席で一杯飲んでいるとすぐ隣に男が座った。 一瞥してしめっぽいちっこいおっさんでとても自分がどうこうするタイプじゃなかったのでよそあたって、 と言うと今にも消えそうな声で男が言った言葉があまりにも衝撃過ぎたので戸川は飲んでたものを吹きそうになって思わずおもしれーと言ってしまった。 それを聞いて相手は?マーク浮かべながら笑ってちょっとこのおっさんかわいいなと戸川は思った。 サッカーはスポーツニュースで結果を見ることにして店を出た。 本当に世の中には色々な出会いがある。 狭いエレベーターの中で並ぶと相手は戸川の胸あたりまでしか身長がなかった。 白髪のちょいちょい目立つ頭を見ながら品定めする。 年は30半ば40いかないくらい。地味な色のスーツ。 「俺でいいんで...
  • 26-219
    映画監督と俳優 彼を見た瞬間、「撮りたい」と思った。 容姿のよさだけじゃない。 カメラを通しても伝わる華やかさ、それが彼にはあった。 何度も彼と話し、しつこく口説き続け、 他の仲間に笑われながら、ようやく彼に許可を取る。 自分でカメラを回し、演技に慣れぬ彼を追い、 日を重ねるごとに魅力を増す、彼の良さを全て閉じ込めた。 意気揚々と学祭で流したそれは、思わぬ反響を得た。 月日が流れ、その映像が切欠で、彼は俳優に、自分は映画の監督になった。 とはいえ、泣かず飛ばずの作品しか作れない自分には、ドル箱俳優となっていた彼を出演させるほどのお金が出せない。 かといって、他の人が撮った彼を、スクリーンで見るのも嫌だった。 自分なら、彼をもっと魅力的に撮れる。 悪役だろうと、正義の味方だろうと、 主役だろうと、脇役どころか端役だろうと、 彼の良さを引き出せる...
  • 15-219
    友情です 「中島は親友だからさ」 絶対頼みたいと思ってたんだ。いいかな? 屈託の無い黒澤の笑顔に俺は何も言えなくなって、必死の自制力をもって笑みを浮かべることしかできなかった。 残された猶予が一週間になって、ようやく俺は行動を開始した。 しかしペンを走らせては紙をぐしゃぐしゃに丸め、机の前でぼんやりと物思いにふけるという繰り返しばかり。 初めて顔を見たのは入学式だ。美形ではないが妙に目を引く顔。涼しげな目尻と薄い唇。神経質そうな線の細さ。クラス分けの後教室でその顔に遠目ながらも再会して、嬉しくなった。 入学直後の健康診断。さりげなくお前に近いところにいて、自然に話しかけて話題を繋ぐことに腐心した。 今まで書道の授業なんて落書きの時間でしかなかったけれど、真似をして書道部に入部した。王羲之を書くお前の横顔が綺麗だった。意味はてんで分からなかったけど、...
  • 16-219
    手を差し伸べる君 「先輩」 「………ん」 「先輩」 「…うん」 「先輩」 「……」 「先輩」 「さっきからうっさいなお前!! いいからほっとけよ!一人にさせろ!」 「いやです」 「……なんでだよ」 「だって、俺が居なかったら先輩一人で泣くじゃないですか」 「…一人で泣きたいんだけど」 「ダメです」 「なんでだよ…」 「先輩いじめて泣かしていいのは俺だけだからです」 「ドSめが」 「Sでいいから、ほら」 「…なんだその両腕は」 「俺の胸で泣いてみませんか?」 「…」 「一人で泣くと余計しんどいですよ? 心配なんです、先輩が」 「あーもう! 制服鼻水でべたべたにしてやるからな」 「クリーニング代は後で請求しますよ」 「………」 「………」 「……ありがとうな…」 「どういたしましてー」 最後の手紙
  • 25-219
    役職呼び 「あ、課長おかえり~、今日も残業お疲れ様」 「……うちに帰ってまで課長って呼ぶの止めない?」 「え、あ……、でも俺にとって課長はずっと課長で」 「今は違うだろ」 「えっと、じゃあ、佐野さん?」 「さん付けかあ……」 「さ、佐野?」 「ていうか出来れば名前で」 「ゆうじ」 「何で黙るんだよ!え、怒った?!駄目?名前呼び捨ては図々しすぎた??」 「いや……何でもない」 「こっち向けって!課長~ごめんってば~」 言葉責め
  • 20-219
    裏切り者 裏切り者→裏切り者に裏切られた過去がある攻め×攻めの過去を知らない受けに萌えてみようじゃない というか現在進行形で萌えている。たまらん 以下裏切り者の事を裏と呼ぶ事にする 攻めが裏切られた理由は何でも良いし、二人の関係がどんな形でも構わない 会社の同僚、先輩後輩、幼馴染み、元恋人でもいい ただしいずれにしろ共通項目として欲しいのは 攻めの心に深く傷をつけるくらいの裏切り行為をしてもらいたい それが原因でしばらくの間相手を信じる事が出来なくなって その最中に受けに出会って、ようやく心を開けるようになって 受けとの幸せな日々を暮らしている最中に裏が再び攻めの前に現れる 裏は元々攻めの事が大好きで大好きで 言ってしまえば裏切り行為はハメをはずしたヤンデレ行為と言ってもいい でも攻めはそんなこと知らないから過去のトラウマが蘇って震えると良...
  • 8-219-1
    一日違いの誕生日 どうして俺はもう1日早く生まれなかったんだろう。 いや、せめてもう数時間早く生まれてくればこんなに苦しむこともなかったのに。 俺は、春が嫌いだ。 自分の誕生日が大嫌いだ。 4月2日、この日が1年で1番嫌いだ。 生まれてきたことには何の不満も持ってないし、生んでもらったことも感謝する。 でも、何でよりによってこの日だったんだろう。 もう少し遅く生まれてきたのなら、きっと諦めもついたのに。 1日しか誕生日は違わないのに、俺はあいつといっしょにいることができない。 進学する年が違う。 当然、校内行事もバラバラで。 年を重ねるごとに、どんどんすれ違いが増えていく。 少しでも傍にいたくて同じ部活を選んだのに、それが逆に悩みの種を増やす。 あいつは『先輩』で、俺は『後輩』だから。 あの頃のように「ナオ」って呼べないことが、1番辛かった...
  • 24-219-1
    インテリ×インテリ  高畑は試薬の調合中なので逃げられない。いかにもうんざりといった顔で肩をすくめてみせた。 「君は変わり者だな」  お前に言われたくない、と俺は思う。 「どうしてそういう結論に至ったのか、過程を聞こうか」  その固い言い方に吹き出しそうになる。おそらくこいつは他の言語を知らない。  実験の毎日、読むのは論文ばかり、真理の探究に捧げる人生。  こいつにわかる言葉で、俺は相手をしてやる。 「検証するつもりか? 瑕疵を見つけたい?」 「錯誤があるだろう、まず前提条件がおかしい」 「前提条件はポテンシャルの範囲内です」 「……この場合、対象における適合事例ではない」 「そこは実験してみないとわからなかった、そうだろ?」  高畑の苦い顔に、俺は思わず笑い出す。 「結果はなかなか良い成績だったと思ったけど」 「それは客観的な考察じゃない!」  高...
  • 12.5-219
    いつか終わる愛情に乾杯 「…えっ…えっうっうぅううう…ひっく、うぇええええええ」 「ごめん、もうちょっと静かに泣いてもらっていい」 「だ、だって…ぇだって…うぅわぁあ」 久しぶりの休日の夜、いきなり俺の部屋に押しかけてきて、夕食もとらずに 泣き通しのこいつの背中をさすりながら、俺はそっとため息をついた。 「あの女はやめとけっつったじゃん」 「…う…ひっく、でも、俺のこと…うぅえ…好き、だって…え」 「10近くも年下の男まともに相手する教師なんていねーって」 「うわあああああ」 耳を塞ぎたくなったが、あいにく俺の両手はこいつの背中にまわっててできなかった。 床にはさっきまで二人で飲んでたビールの缶が転がってる。 俺のシャツは涙と鼻水でぐしゃぐしゃ。でもきっとこいつが泣きつかれて眠るまで 相手してやるんだろう。いつもそうしてきたから。 中学のとき、初恋の相手に...
  • 3-299
    愛弟子 私の元で修行をしている彼は非常に出来が悪い。 小説家になりたいと、私の元に押しかけてすでに一年以上たつが、 いまだにろくな文章がかけないのだ。 私が何度文章の書き方を指導しても一向に改善される兆候が見られない。 てにをはの使用がおかしいだけでなく、いまだに役不足と力不足の区別さえついていない。 しかし、構想だけはなぜか非常に出来がいい。 彼の頭の中に展開されている物語が素直に相手に伝わることができるのは、 その彼自身の口から吐露されるときだけなのである。 ゆえに、彼によって作られる素晴らしい物語を実際に知ることができるのは 他の誰でもない私だけなのだ。 しかし、一方で、いつか彼が小説の文章を書く際に恵まれたときを 恐れている自分も存在している。 今はまだ手に余るほどの才能を知っているのは私だけであるが、 それ...
  • 3-279
    このシュートを決めればチームが優勝するFW×決められたら二部落ちケテーイなGK、二人は幼馴染 あれだけ耳に届いていたゴール裏の歓声が、消える。 聞こえるのはただ、心臓の鼓動と数十メートル先のお前の吐息だけ。 (互いに大一番だって時に何やってんだ俺は…) 不意に自嘲的な笑みが口に浮かび、懐かしい記憶が甦る。 「いっけー、タイガーショットォ!!」 子供独特の稚拙な蹴り方ながらも、弧を描きネットを揺らすボール。 また止められなかった。悔しさで噛み締める唇が痛い。 「なぁに泣きそうな顔してんだよ! 次行くぞ次~!」 「今度は絶対止めてやるんだからな!!」 いつだって、お前の姿だけを見てきた。 選手権大会も、勿論このチームに入ってからも。 ―なぁ、もし違う場所でプレイすることになっても 俺らは変わらないよな? 真剣な瞳に尋...
  • 3-209
    アイス 冷たくて、甘いモンが食べたいからアイスなんだろ? なのに何で「甘い!」とか文句言うんだよ! かち割りが無くて、しょうがなく? あー、はいはい、そーですかー。 ふん。ムカつく。 けど、おまえらだって大概じゃねぇ? 温度が上がれば、甘くもなるっつーの! 元々俺らアイスは、 暑っ苦しい通り越して、 熱烈に、口ん中で舌で混ぜ合わされる食べ物じゃねーんだよ! いつまでベロチューしてんだよ! おまえらのチューのが、俺より百倍甘いって! …おかげで俺、カップの中でてろてろになってるよ。 熱くて結構、よかですな。 はぁ? 羨ましくなんかねーよ! …羨ましくなんか。 勝手に楽しんでろ。 ばぁーか。 アイス
  • 3-259
    応援団 団長が手を動かしている。手はすいすい動いて針と糸を操っている。糸は太い、ソレ用の、ナントカっていう金色の糸だ。 俺はといえば、白いタスキと白いはちまき(これがまた長い)、それからシャツにアイロンをかけている。ちなみに、ここは部室で、家庭科室とか被服室とかではない。 「団長ぉー。なんか俺らー家庭部みたいじゃないすかー」俺がわざとらしく嘆くと、 「そーねー。なんかおんなのこみたいだよなぁー」団長がやる気ないかんじに答える。団長が縫ってるのは、旗だ。業者に頼む金がないわけではなく、応援団旗はその年の団長が縫うという伝統があるのだ。 つまり来年は俺が縫う。 「団長ぉー、それ男女差別っすよー」 「まーそーだねー」 部室は畳づくりの四畳間である。カタカタと壊れそうな音を立ててちっさい扇風機が回っている。 なんでかひらがなで扇風機に書いてある名前を、団長...
  • 3-239
    突然の雨×外に干された洗濯物 空が暗く、翳りだす。立ち込め始める、雨の匂い。 「しまった、このままじゃ…」 身体が、身体が、動かない。 「早く、屋内に、行かないと…」 「無駄だぜ。お前を守ってくれる優しいご主人様は不在だしな」 誰だ、遠い空から届く、熱く湿った声は。 「誰か、俺を」 「無駄だと言ったろう。まあそのままの格好で悪足掻きさせておくのも悪くない眺めだ」 せめてご近所の人が、いや確かそちらも一昨日から不在だったな。 「おや、随分と大人しくなったな。そんなことでは張り合いがないというものだが、では存分に濡らさせていただくとしよう」 雨の匂いが強く立ち込める。頬を濡らすのは雨か、涙か。 「部活内恋愛禁止」という張り紙の貼られた男子校の部室にて(部活問わず)
  • 3-289
    自分を最高に格好いいと思ってるのに不本意ながら受け 就業後、一息付く。 「・・・やっと、無くなった・・・。」 佐藤が疲労と幾らかの満足感を込めた声で 決済済みの書類の山を見やった。 そうして、何時間前かに 「これで帰るけれど」の後、労いの言葉を続け コーヒーを差し出して来た女子社員の顔を ちら、と目蓋に思い出しながら目先の紙コップに手を伸ばす。 「おー!終わった?」 コーヒーに手を掛けようとしていた佐藤の背が途端強張る。 背後に立っているであろう人物の顔はわざと見ない。 返事もしなかった。 「丁度良かったなー!俺も今終わってちょと様子見に来たとこ!」 しかし鈴木はそんな事はお構いなしといった呈で 椅子に座る佐藤の背後から自身の上半身を これでもか、と押し付け体重を掛けていく。 「・・・重い・・・。」 今や佐藤...
  • 3-269
    自分を最高に可愛いと思ってる男 ねえ、僕可愛いでしょ? みんな言うよ。僕に「君は可愛い」って。自分だって可愛いって思ってるよ。 色々な人に可愛がられるし、ちょっと甘えたら優しくしてもらえる。 だから…… …本当のこと言うよ。 僕、いろいろな人に「可愛い」って言われるのはそんなに嬉しくない。 だけど、ただ一人、大好きで大切な人に「可愛い」って言われるのは凄く嬉しい。 だから努力してるんだよ。その人に可愛いって、言って貰いたいの。可愛がってほしいの。 大好きな人ただ一人に「可愛い」って言ってもらえる。可愛がってもらえる。 それだけで、僕は嬉しいの。 だからね、可愛いって、言って。 このシュートを決めればチームが優勝するFW×決められたら二部落ちケテーイなGK、二人は幼馴染
  • 3-229
    水×乾燥剤 「共依存って知ってるかい?」 ゆっくり侵入していく俺の背を、なでながら、まっしろい乾燥剤は言った。全くコイツはどんなときでも上品ぶる。 きょういぞん? 「ニンゲンの言葉だろ。知るかよ」 ゆっくり、ゆっくり、俺は乾燥剤の、しろくてかわいた粒ひとつひとつにしみこんでいく。乾燥剤は、たまにふるっと震える。 おいおい、もっと派手に反応してくれないとつまらねぇんだけど。 「そう、ニンゲンの言葉だよ。自分と相手の区別がつかないっていう病気なんだけどね、」 まさか今この状況を例えてでもいんのかね? 気持ち強く押し込むとああっ…!とやっとやらしい声を出した。 「ん…で、自分と相手の…あっ…! く、べつが、はっきりしないと、ニンゲンは… うまく…っいかないらしいよ…」 はいはい、と俺は乾燥剤を揺さぶった。アンタ、なにが言いたいのか分かんな...
  • 3-249
    「部活内恋愛禁止」という張り紙の貼られた男子校の部室にて(部活問わず) 「んっ、あ、何す……!」 数人分の足音と雑談が、廊下の向こうに消えていった。 「大丈夫だって。誰も来ないさ」 背中から抱きついて動きを封じ、うなじを舐め上げる。 滑らかな舌触りだ。 部長は施錠した扉から目を離せない。 「スリルあるねぇ?」 「なんで、こんな……」 弱々しく呟いた声はもう甘い掠れを帯びていた。 ショートパンツを下着ごと膝上までずり下ろす。 身悶える引き締まった体。 部長には必要最低限の露出のほうが恥ずかしいらしいと、はじめて知った。 「なんだ、もうこんな……?痛くない?先に一回抜こうか?」 耳の付け根に低音で囁くのは、それに弱いと知っているから。 ガチャ、ガチン! 「え……」 突如響いた開錠の音は、間違いなく目の前の扉からで。...
  • 13-259
    勇者×ラスボス 「そうだな…この魔王城まで来て、私の退屈を紛らわせてくれたお前に  私は何か礼がしたい。ふむ、世界の半分くらいくれてやるぞ。  お前が治すればなかなか面白い世の中になりそうだ」 「……いや、待て待て待て。すると何か?お前の話をまとめるとこうか?  元々世界の創造主だったのが、塔のてっぺんで何千年も過ごすのに飽きて、  しばらく吟遊詩人として世界中を放浪しまくった挙句それにも飽きて、  今度は魔物を作って自分が魔王になってみましたと?そういうことか?」 「まあ、有り体に言えばそうだな。  ところで勇者よ、お前は葡萄酒は赤と白どちらが好きだ?歓迎の宴の準備が」 「要するに俺は……いや、人間は、お前の暇つぶしに付きあわされただけ?」 「そう言うな。実際、共通の敵を目の前にして人間たちの結束も固まっただろう。  ところで勇者よ、甘味は嫌いか?ちょうど今...
  • 13-249
    ヘタレ攻め×女王様受け 「何やってんだよ…」 「いや、だってほら、…本当にいいのか?」 「良いっつってんだよ、据え膳だぞ?さっさとしろよ」 「だってさ~ほら、準備っつーの?色々大変らしいじゃん?」 「だーから、さっき教えてやっただろ?ったく面倒くせーなお前」 「面倒くせぇじゃねぇって!俺はいいよ?でもお前が辛いといけないだろ!?」 「大丈夫だからさっさとしろよ、ほら~御開帳~」 「御開帳じゃなくて…俺一応勉強はしたよ?したけどさ、もし途中飛んで出来なかったらどうする? 血出るって書いてあったぞ!?」 「うっせぇな!!どうでもいいから早く襲って来いよ!!」 「いやいや…物事には準備がな…」 気がついたら太陽が昇っていました。 勇者×ラスボス
  • 23-229
    自転車通学の君 時刻は午前6時50分。朝陽に水面がゆらりきらめく河原道。 ランニングシューズのひもをきゅっと締めて、屈めた膝をぐっと伸ばす。 光を背負ってやってくるあの人に向かって、走り出した。 「おはようございます!今日もいい朝ですね!」 「おまえのおかげで俺は今日もいやな朝だ」 こちらには目もくれず、機械的にペダルを漕ぐその横顔を、見逃してしまわないように必死で走る。 体力をつけようと始めた毎朝の日課も今日でもう3カ月。あなたを初めて見つけてからは1カ月。名前も知らない、年も知らないあなた。 唯一わかっているのは、その制服が県内有数の進学校のものであること。その高校は、ここから電車で1時間かかる先にあるというのに、あなたは毎朝1分と遅れることなく自転車に乗ってこの道を行く。 頭がいいのに運動も怠らないなんて、きっと勤勉な人なのだろう。部活もなにかやっているのか...
  • 13-289
    ら、らめえ~ がーごがーごがーごがーご シャリシャリシャリシャリ がーごがーごがーごがーご シャリシャリシャリシャリ 「ああもう!」 俺はクマさんの形のカキ氷器をまわす手を止め、思わず叫んだ。 「……ん、あに?」 そう言って目をあげたカズキの舌は、真っ青に染まっている。 昨日の夏祭りで余ったので町内会からばーちゃんがもらってきた シロップの色だ、もちろん。 「俺が作る片っ端から全部食うなよ!俺の分は?!」 「あ……おめん」 片時もスプーンを口に運ぶ手を休めずにシャリシャリ言ってたカズキは 口いっぱいにかき氷を頬張ったままそう言って笑った。 「あわりにも、うあくて」 「お前、もう舌回ってないじゃん。やっぱ食いすぎだって!」 『あまりにくも旨くて』さっきから間違いなく三杯分くらいは 食べ続けてるカズキは、舌が冷たくなりすぎたのかロレツが回らなく ...
  • 13-279
    台風 ああ……もう台風の時期か…。 朝起きると外は凄まじいまでの豪雨と風で、思わず俺はそうつぶやいた。 昨夜寝るときは静かなものだったから大分足の速い台風だ。 …そして、台風が来る頃になると決まって俺はあいつの事を思い出す。 雷が鳴るたびに怖がって俺に泣きついてきたイトコの優太…… 兄弟同然に育った俺たちは、いつもいつも一緒だったのに。 「……どこに行っちゃったんだよ、優太………  俺、もうお前に会えないのかな……ぐすっ…」 「…あのさあ、コウ兄ちゃん。そうやってわざとらしく言うのやめてくれる?  別に背が伸びたのは俺の責任じゃないんだし」 「うるさいバーカ。お前なんか優太じゃない。  いっつも半べそで兄ちゃん兄ちゃんって言いながら俺の後付いてきたくせに  急に図体ばっかりデカくなりやがって。俺の可愛かった優太を返せ!  つーか何でおんなじモン食って...
  • 23-239
    愛は痛み ここは北関東の田舎町。東京まで電車で2時間の距離だけどちょっとありえないくらい農村だ オレの家は養蜂をやっていた。都内の一等地のビルの中にあるオサレな蜂蜜専門店にも卸したりしている高級品だ そんな田舎の呑気な男子高校生のオレがどうしようもない劣情にまみれている・・・ オレには前から好きな人がいる。同じ高校に通う一年先輩だ。家は確かゴボウ農家だ 音楽室でピアノを弾いているのを見かけてその気品あふれる姿に心臓が口から飛び出しそうになった ピアノは中学校入学までで止めてしまったそうだが一時は本気でピアニストを目指していたらしい アニソンからジャニーズの曲まで大して練習しなくても簡単に弾いて再現してしまうくらいの腕は今でもあるそうだ その一方でバレー部のキャプテンだったりもして、練習時や試合時の姿は凛々しくて素敵だ オレはバスケ部なんで体育館の隣のスペースでよく...
  • 23-289
    ドSの懇願 息苦しい。なんとか酸素を取り込もうと息を吸うたびに、傷口に激痛が走る。 浅い呼吸を繰り返して、思わず上がりそうになる声を噛み殺した。 平静を繕おうとする自分の姿は、きっと無様なことだろう。 瞬間、夜ごと繰り広げられる己の痴態が脳裏を掠め、こんな状況なのに無性に笑い出したくなった。 もっとも、抱かれたときに噛み殺すのは苦痛の声だけではないのだけれど。 それに、お前ももっと余裕のある表情をしているだろう? 俺を支えるようにして止血を行っている男の顔は、今やそちらの方が死んでしまいそうなほど蒼白だ。 ピンチになった俺の下に駆け付けたのが、散々俺をいたぶってきたこの男だとはなんという皮肉だろう。 「……いかないでください」 唐突に、男の唇からひどく似つかわしくない言葉が漏れた。 驚いて顔を見上げると、男自身も途方に暮れたような表情を浮かべていた。 男が再...
  • 23-299
    ツンデレ×クーデレ 「誕生日、おめでとう」 「あ?」 きれいに包装された酒を睨み、恋人は若干不機嫌そうに俺を見た。 「だから、誕生日おめでとう。これは俺からの選別」 「お前、一昨日自分が言ったこと覚えてないのか?」 「何だっけ」 しばらく考えたが、さっぱり思い出せず、首を傾げた。 すると恋人は、苛立たしげに一度、テーブルを殴りつけた。 「俺の誕生日なんか、覚えてねーって言っただろ 」 「あ、うん。だって今日思い出したから」 「今日かよ!また今年もサプライズかと期待した俺のドキドキ返せ!」 確かに去年は、無駄に派手に祝ってみた。 でも、彼は結局不満しか言わなかったから、サプライズ嫌いかと思ったんだけど。 「猫耳メイドはそんなに良かったか?」 「あれは確かによ、か…ねーよ!にゃんとか語尾につけたってな、本物の猫にはかなわんからな!」 「だから、今年はシン...
  • 13-209
    え、オレが受けなの? 弟はいつも兄をバカにしていた。そして同時に兄を溺愛していた。 「ばーか、お前みたいな奴はなー、オレが抱いてやる。 なんてったって、オレはお前が好きだからなー!」 なんとも矛盾する物言いだが、これが弟の口癖だった。 それは半分冗談というか、権威を示すための口上のようなもので。 だからまさかあんなことになるなんて、弟には思ってもみないことだった。 「…なぁ」 兄が小さく呟いた声は、熱でとけそうなくらいに熱かった。また兄の視線も同じだった。 「俺もお前のこと、好き。抱かせてよ」 「は」 弟が目をまんまるにしている間にも、兄はどんどん弟の服を脱がせていって。 「…っちょっと待てよ」 派手な柄のパンツ一丁になったところで、弟が兄の手を止めた。 「え、オレが受けなの?いつも言ってるじゃん、 お前はばかだから、オレがお前に入れてやるんだって」 ...
  • 23-269
    冬の海  月のない夜のことだった。 砂浜と海と空の間にある境界は、星達が届かないところへ行ってしまっていた。 空は穏やかなのに、俺の部屋のすぐ下に広がる海は何故か荒れていた。 爺ちゃんはそんな波の様子を見ると、読みかけだった俺の漫画を仕舞い、黒電話の前から離れなくなった。 しばらくして、夕飯に呼んだ春樹が来れなくなったことを告げられた。 がなる黒い飛沫は、どろどろとして生臭そうだった。  いよいよ轟々と打ち寄せる波に集中力をさらわれた俺は、宿題の手を休め、ついでにココアを取りに行こうと席を立った。 その腰を浮かせた一瞬、結露で濡れた窓の向こうに、荒波の中を沖に向かって進む人の姿が見えた。 「……春樹?」  嫌な確信がよぎって、俺は混乱した。 闇の中に春樹だけが見えたことは、全く不思議に思わなかった。  どうしてあんな危ない海に!春樹が死んじゃう!! ...
  • 23-259
    喧嘩ップル 「ふざけんなよお前マジで」 「はあ?ふざけてませんけど全然マジですけど?なに恥ずかしがってんの?ww」 「誰が恥ずかしいとか言ったよ、恥ずかしいのはテメーだよクソが」 「お前だってウジウジしてただろうがよ!なんだよ嫌なら言えよ、いいよ別にお前なんか!」 「だから嫌とか言ってねえだろって!昔っからそうやって人の意見決め付けんのやめろよな!すっげえ気分悪ぃんだけど!」 「お前の気分とか知るかよじゃあ帰れよ!」 「帰れってなんだよテメーが呼んだんだろが!」 「だからどうすんだって聞いてんだろ!結婚すんのかよしねえのかよ!」 「するよ!けど話が飛びすぎだっつってんだよ結婚とかお前アタマおかしいんじゃねえの!?」 「おかしくねえよ馬鹿!びびってんなって!」 「馬鹿って言うな馬鹿!びびってねえよ!」 「結婚すんのかって!!」 「するっつってんだろしつけえな...
  • 23-209
    花束をもった人造人間 かたちは有機物を模している しかし一からヒトが造ったモノだから、内面はいたって無機質である 多少複雑な思考は処理できても、繊細な心の機微までは理解しがたい 心とはある意味最も有機的なパーツといえる とても曖昧で、共通の体験や暗黙の約束や、規則化しにくい要素で出来ている 具体的にどんなものかといえば、たとえば花だ 特別な日に、大切な相手へ花束を贈る。受け取った相手が喜ぶ このやりとりを、人造人間は不可解だと考える 生花は金銭的にさほど高価なものではないし、すぐに朽ちてゴミになる 半永久的な使用に耐えないモノは無価値に等しい。歓迎する要素はない なのになぜと問われば、哲学の類に素養のない博士は対応に困る しかしそこは生みの親の責任として、苦手なりに真剣に考え、答えを出した 確かに花の盛りは短いが、それゆえに尊い ...
  • 13-229
    今日から夏休み 「先輩、今日から夏休みですねっ!」 アイスを買いにスーパーに行ったら大好きな先輩を見つけて、駆け寄って抱きつく。 返ってきたのは、不機嫌そうな顔。 「…そうだな。もっとも俺には今日しか夏休みはない。明日からバイトにセミナーと予定づくめだからな」 「えー!!せっかくの夏休み、先輩と夏祭り行ったりしたかったのに!」 俺がぶーぶーと不満をたれると、先輩はどこかイヤミっぽく笑った。 「…そんなに遊びたいなら、暴走族仲間とヨロシクやればいい」 「はぁ!?俺もうやめましたよ。それに暴走族じゃなくてチームですー」 「でもあいつとはまだ連絡取り合ってるんだろ」 「あいつ?えーあー、うー…まあ、ダチだし」 俺が目線を右往左往させながら言うと、先輩はますます陰険な笑みを深くする。 「とにかく、俺に暇はない」 そう言って出口に向かう先輩。先輩はいじわるだ。俺は目に...
  • 13-299
    orz 憎しみで人が殺せたら 「は~い、次の方どうぞ~」 『憎しみで人が殺せたら』 「え!何!今の何!?」 「屁だ」 「へぇ?あ!先輩久しぶりです!  あれ?次の患者さんって先輩?じゃあさっきのも先輩が言ったの?」 「落ち着け後輩。さっきのは俺の屁の音だ。」 「屁?おなら?」 「そうだ。数日前からおかしいんだ。だから恥を忍んで黄門科を受診しに来た。」 「はぁ…。先輩のお尻は、なんでまたあんな恐ろしい文句を吐くようになったんすか…」 「さっぱりわからん。だが屁を出す度に周囲の者が怯えてしまって困っている。 そこで思い出したのがお前のことだ。 お前は老若男女問わず、とにかく肛門を見、触ることに並々ならぬ情熱を傾けていたな、と。」 「仕事だから!代々続いた家業だから! 肛門マニアのど変態みたいな思い出し方やめて!」 「さあ後輩!肛門を見、そして触るがいい!...
  • 23-279
    旧正月 オレの実家は西日本の田舎の旧家で、とりあえず家の敷地だけはやたらと広い 両親はオレが大学生のときに相次いで他界して、今では長男のオレが当主なんかしている でも愛する恋人がそばに居るから、両親が旅立ってしまったのは悲しいけど、孤独は全くなかった また遺産をたっぷり相続してしまったので極端な贅沢をしなければ働かなくても余裕で生活できた でも無職じゃなくて町立図書館なんかでまったりと働いて生活している オレの恋人は今では数少ない旧正月を祝う風習が残る沖縄の離島の出身者だ だから新暦の正月には全く思い入れがないらしい ということでオレたち二人は新暦の正月とは別に旧正月にもご馳走を食べるのがお約束になった ぶっちゃけると恋人とイチャつけるイベントなら何でもいいんだけどさw 一つ下の弟は東京で貿易会社に就職して、その後に北京に赴任した 二つ下の弟はJリーグのサッカ...
  • 13-269
    花火の音が聞こえたら 「いいか、下を向くんだ」 皆が空に見惚れるその隙なら、 あんたの唇くらいは奪えそうだと思った。 この瞬間くらい、奪わせて欲しいんだよ。 ぶつけた唇が、微かな熱をちらつかせたまま 大袈裟な溜め息を地面に落とした。 台風
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