*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「4-179」で検索した結果

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  • 4-179
    背中合わせ 先輩の額には、去年に他校の奴らとやりあった時のナイフの傷痕。 前歯は上と下が一本ずつが差し歯で。 学ランで見えない服の下も、傷痕や、打撃を受けて変色した痣、生傷だらけ。 「先輩…痛くないスか?」 「ん?いてーよそりゃ。」 「喧嘩するななんて俺が言えたクチじゃねーっスけど…ナイフやバット持った奴相手の素手ゴロはやめねっスか?」 今も左腕はギプスで固めて肩から吊られてる。黒い学ランに浮き上がる白が痛々しい。 先輩は相手がバットを持っていようが、ナイフを持っていようが素手で立ち向かう。 相手が一人でも複数でもそれは変わらない…先輩のポリシー。 「あん?やめねーよ。 お前いんじゃん。下手な武器よりお前がいい、俺。」 俺の頬っぺたには先輩と同じナイフの傷跡。毛で隠れた頭には鉄パイプで殴られた跡。学ランの下もやっぱり傷だらけ。 喧嘩の傷痕だらけの俺た...
  • 24-179
    真面目×ちゃらいの 「なーなー、本当に行くわけ?」 「行くも何も、この道しか残っていないだろう」 「そうだけどさあ。本当にいいの?」 「さっきからそう言っている」 「だってこの道、街灯はあるにはあるけど」 「ああ、一つも点いてないな」 「俺たちの暗ーい未来を暗示してるみたい。お先まっくらーってカンジ」 「暗示?明示の間違いだろう?」 「頷くどころかそういう訂正までしないでよ。余計へこむんだけど」 「すまない」 「どうせ行くなら道の先までずっと明るい道がいいよなぁ」 「そうだな」 「あ、この道も明かりが点れば、俺たちの未来も明るくなるんじゃね?」 「かもな」 「でしょー?名案めーあん。お、明暗を分ける名案、なんちゃって」 「面白いな」 「へっへー。さてさて、街灯のスイッチはどこにあるのかなーっと」 「俺の左手とお前の右手の隙間」 「え?」 「スイ...
  • 14-179
    ワンコ攻め×ニャンコ受け 「なあ、お前3連休どうする?」 寒いからずっとコタツ入ってる。 「えー、せっかくだから一緒に遊ぼうぜ!」 寒いからやだ、買い物も行きたくない。 「外遊びじゃなくてもいいからさ… 温泉行ってみるとか! どう?」 行き帰りが寒いからやだ。 「なんでもいいから! 一緒に遊ぼうよー!」 ……おまえがウチに来ればいいだろ。 「いいのっ!?」 俺はずっとコタツから出ないけどな。 「それじゃいっぱい食いモノ買ってくよ!  楽しみにしてるからな、じゃーなー!  あ、フロと布団にぐらい移動しろよー!」 ……しょうがねえな、お前と一緒にだったら入ってやるよ。
  • 18-179-1
    冗談っぽく「好きなやついる?」と聞いたら真顔でうなずかれたorz 179 名前:相談したい名無しさん[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01 51 55 ID QSlQ0VRmO 冗談っぽく「好きなやついる?」と聞いたら真顔でうなずかれたorz 180 名前:相談したい名無しさん[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01 55 04 ID Gtr5sd23O kwsk 181 名前:相談したい名無しさん[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01 57 13 ID QSlQ0VRmO こんな時間にごめんな、飲み会の帰りなんだけど、その飲み会の席で言われた 真顔だぜ真顔、俺も真顔で「うん…、上手くいったら紹介しろよ」とかどもっちゃったよ スペックは当方フツメン、向こうイケメン。 182 名前:相談したい名無...
  • 9-179
    38歳 飲み会の帰り、家が近いからと言う理由で後輩の沢村とタクシーに同乗して帰った。お互い今夜は 相当飲んでいたから酔い覚ましをしようと、家から少し離れた所でタクシーから降りた。元来人懐 っこい性格の沢村は、酔っているからか更に多弁で、俺達の会話が途切れる事はない。月明かりの 下、大の大人二人でふらふらと、ぶつかったり離れたりしながら歩く。ふと、年齢の話になった。 「俺、もうすぐ30歳っすよぉー」 「ばぁか。だったら俺は40だっつーの」 「あれ?あ、そっか。岩田さん俺の10上ですもんね。38。俺はー、28ぃ!」 「んだよ、年食ってて悪かったなぁ!」 「いやいや、でも俺、岩田さんみたいに年とりたいっす。かっこいいもん」 「…おだてても何もでねぇぞ」 軽口で返しながら、肩に置かれている手と「かっこいい」と言われた事にどきりとする。酒で隠して いた10歳下のこの後...
  • 8-179
    ウォシュレット ウォシュレット付きトイレ。 「…おぉ…コレが噂のッ…!!」 たかが便器如きで思わず膝をつき観察する俺。 貧乏人な俺とはえらい違いだ。 「いまどき珍しくないっつーに」 「いーやッ、珍しいね! 一般家庭でこんなんがあるだなんて、ましてやお前、学生一人暮らしだろ!?」 お前は呆れながら無視。だけど俺はなんだか用を足してしまうのが勿体無くて、 便座くらい自分で上げろっつのなんて思いながら、便座をリモコンで上下させつつ遊んでいた。 「お、ウォシュレットボタンだ。押してみよ…」 俺は遂に床に座り込み、リモコンのボタンを押す。 ピッと機械音がして、便器の奥から細長い棒が出てきた。 なんだかこの時点で軽く感動。たかがケツ洗う道具に。 そして次の瞬間、先っぽから水が びしゃーッ! 「ぬおおおおおおッ!?」 水が、真上に飛び散りだした。...
  • 3-179
    ハードゲイ まずあの衣装だよ衣装。 見て下さいと言わんばかりのあの格好で、しかもさんざっぱら破廉恥なポーズとりやがって。 ハードゲイって自称しながら歩いてんのだって意訳すれば「いつでも突っ込んでください」だよ。 とんでもねー淫乱だよ。 そんな淫乱ッぷりをゴールデンタイムのお茶の間に垂れ流すなんて淫乱通り越して変態だよ。 そんなド変態のくせに世の中の役に立ちたいとかさ、言っちゃってるんだよ。すげえギャップだよ。 うるせえ股間でも立てとけよお前とか思いつつも「結構いい奴じゃん」とかほろりとさせられるんだよ。 しかも素顔は普通の兄ちゃんだしさ。 なんかあの素顔見ちゃうとあの乱れっぷりが借金のカタにやらされてるんじゃとかへぼんな事まで 考えちゃうんだよ。 畜生これじゃ奴の思う壺じゃねーか。 非ちゃねら×ちゃねら
  • 2-179
    腕白魔法使い×熱血剣士 剣技場で初めて会ったそいつは、俺よりも頭一つ小さく、そして幼かった。 剣技が盛んなこの国じゃ珍しいことじゃないが、その小さい身体をいっぱいに動かしたその剣に目を惹かれたのだ。 そしてなにより、その真剣な 瞳に。 少年が、視線に気付いたのかこちらを向く。 剣を交えたい。 あの視線を間近に見据え、文字通り“真剣勝負”をしたい。 ―――さあ、なんと声をかけようか 腕白魔法使い×熱血剣士
  • 7-179
    きまじめボディーガード×わがまま社長? 「お願いですから、勝手に抜け出すのだけはやめてください。」 今日も懲りずに警備の目をかいくぐって抜け出そうとした社長を何とか捕まえて、いつものお願いを繰り返す。 「お前も本当に真面目だよね。ちょっとぐらい平気だって。」 頭が痛くなってきた。この方はいつもこうなのだ。 ご自分がどれだけ大きなものを背負っておられるのか、それがわかっていないわけではないのだろう。 ただ、警戒心が足りないのだ。有り体に言えば、お人好しで鈍感。 背負っておられるものの重さはわかっていても、ご自分の価値をわかっておられないのだ。 そうして奔放に生きておられるあの方を、人はわがままだと言う。 だが、実はそうではないと私は思う。そう見えるだけだ。 あの方が求めていることは、欲しているものは、同年代の青年なら普通に持っているもの。 ただ一般的な若者が...
  • 6-179
    殺して? つまらない事を言われた。 ただ、綺麗に綺麗に、いつもどおりの微笑で。 たとえば、キスする前に悪戯っぽく笑いながら『目、つぶって』と言うように。 たとえば、俺を抱きしめたとき、『あなたも俺を抱きしめて?』と言うように。 「ね、俺のこと殺して?」 なんでそんな事を言うのか、分からなかった。 分からないから余計に、腹が立つ。 理由なんて聞きたくない。俺からおまえを奪う理由なんて、聞いたって納得できないから。 だから、俺も笑顔で言ってやった。 「誰が殺してなんかやるもんか」 べ、と舌を出す。 ずっと傍に置いておくんだ。 そう言ったら、おまえは、さっきよりも綺麗に笑う。 満足そうに、それでも、少しだけ寂しそうに。 俺はおまえが寂しそうに笑うことに気付かない振りをして、笑ってやった。 両手を広げて、早く抱きしめろよ、って笑ってやっ...
  • 5-179
    ……なーんて、な! 「俺、死ぬんだ。あと半年持たないだろうって」 担ぎ込まれた病院のベッドにだらしなく寝転がったまま、俺はぽつりと呟いた。 不貞腐れたような、それでも無理に感情を押し殺したような低いその声が、室内を占領する。 ベッド脇に立ち呆ける奴の顔が、青ざめているだろう事が手に取るようにわかる。 「は? な、何言っちゃってんの。つまんないよ、その冗談……」 「冗談じゃねぇよ」 何とか平静を装うとする奴の声は、それでもやはり震えている。 あの意地っ張りは必死で泣くのを我慢しているのか、ぐすぐすっと鼻を啜る音が聞こえた。 「嘘、つくなよ。だって、お前みたいな馬鹿野郎は……殺しても死なないんだよ!」 その言葉に、俺は鉛みたいに重い体を持ち上げて上半身を起こした。 見上げる奴の顔は、予想通り鼻水と涙でべたべたで、普段の端正な顔立ちが噴出してしまうくらいに崩れていた...
  • 1-179
    ブレザー×学ラン 珍しいかもしれないが、俺の男子校の隣にはもう一つ男子校がある。 まあ、偏差値も一緒のヘタレ校とヘタレ校が並んでるってだけなんだけど。 生徒は、仲いいとは言えない。野郎がベタベタするのもまあヘンだけど、 あまり打ち解けない理由の1つは、制服が違うことじゃないかと勝手に思ってる。 俺等が学ランで、奴らがブレザー。 ブレザーって、なんかスカしてるじゃないか?坊ちゃんって感じ。クラい詰め襟には、ルサンチマンがあるのよ。 そんなブレザー野郎の1人と、俺は、1年のはじめから因縁がある。 なにって、いや、通学路が途中から一緒で、毎朝同じ道で会うだけなんだけど。 なぜか定刻、いつも一緒だ。学校にまっすぐ続く大通りで俺たちは出会い、 通りの端と端を並んで学校まで歩く。もう2年目になる、何だか面白くない朝の行事だ。 時々通りの向こうに目を...
  • 17-179
    敬語×敬語 「長野先生、その……どうしましょう、とりあえず脱ぎますか?」 「待ってください、池田先生、そんないっぺんに」 「脱ぎすぎですか?じゃ、下着だけ着ておけばいいですかね?パンツだけはいておけば」 「そんなに急がなくてもいいんですよ、僕が少しずつ脱がせ」 「あー!先にお風呂入らないと!長野先生、わかります?  聞いたんですけど、いろいろ準備が必要なんじゃなかったですか?  僕は趣味じゃなかったんで不勉強なんですが、その、浣腸が必要とか」 「今日はそこまでは考えてませんので、大丈夫です」 「そうなんですか?あーすみません!僕なんだか先走ってますね?  なんだか恥ずかしいなあ!照れますよね、こういうの。  大人の雰囲気っていうの、女の子相手にも苦手ですよ。すぐパニクっちゃって。  だから僕、生徒にもすぐ『彼女いるのー?』とか『昨日エッチしたのー?』とか ...
  • 23-179
    勇気を下さい! 「でも、やっぱり、俺、自信無い……」 小さい身体をさらに小さく縮こまらせて、狭山はモゴモゴと口ごもった。 「だーかーら、大丈夫だって!絶対成功する!」 事の発端は数時間前。 もうすぐ試験期間という事もあり、最近は午後の授業の終わりが早い。各自家や塾で勉強しろという事なのだろう。いつもはゲーセンに寄ったり中々家に直帰しない俺も、そろそろ勉強しないとまずいな、今日は早く帰ろうと思った矢先の出来事だった。 「俺、好きな人がいるんだ。でも、告白する勇気がなくて……」 きっと鈍器で殴られたらこんな感じになるんだと思う。まさか自分の想い人からこんな事を言われるなんて夢にも思わなかった。 一瞬にして真っ白になった頭をなんとか持ち直して、なんだよ!お前好きなやつなんていたのか!?なんて茶化しながら心で号泣しながら狭山の相談にのってはや数時間。告っちまえ!いや、でも…...
  • 19-179
    弟バカ 先輩の髪を撫でながら首に顔を埋めると、洗髪剤の香りがした。 それがカビ臭い大学の書庫には不釣り合いで、尚のことイケナイ事をしている気持ちになる。 「先輩…このままいいですよね?」 「ば…バカ…お前、ここを何処だと思って…」 机に押し倒された先輩はすっかり真っ赤になっている。2歳も年上なのに、本当に可愛くて仕方が無い 「大丈夫ですよ、こんなところ誰も来ませんから…それより…」 だが、俺の言葉は無機質な電子音で中断された。無粋な音を不審に思う間もなく、先輩が覆いかぶさって いた俺を勢いよく跳ねのける。 「…知樹を保育園に迎えに行く時間だ!!」 どうやら携帯のアラームだったらしい。 俺は突然のお預けに閉口しつつも、半ば諦めを覚えていた。 先輩は年の離れた弟のことを言葉では言い尽くせぬほど大事にしている。 なんでも弟さんが産まれて間も...
  • 10-179
    一番嬉しかったこと 「あー、マジ寝れねー!!うひょー!!」 「ちょっとは落ち着け。」 「だってあんなゴール決めちゃったんだぜ俺、すごくね?」 「はいはい、すごいすごい。」 まあこいつが興奮するのもわかる。いい選手がたくさんいて 若手はなかなか出られないこのチームでようやく巡ってきたチャンスを きっちり物にした、しかもそれが首位を倒す一撃だったんだから。 というわけで寮に帰ってきた後もいつにも増してマシンガントークな訳で。 で、もちろん嬉しいわけだけど、自分は結局ベンチを暖めただけで終わった、 だから、できれば次は… 「でもさ、次はさ…。」 「なんだよ。」 「…お前のパスから決められたらいいなって。」 そういって少し照れたように笑った。こういう顔を見られるのはきっと俺だけだ。 だから胸の奥に少しあった嫉妬や焦りが消えた。 「...
  • 11-179
    バカルロワイヤル 俺が借りてきたちょっと前の映画を二人で見たときのこと。 「もしこんな殺し合いになったらどうする?」 「絶対誰にも見つからない場所で、お前と二人隠れてる」 「そしたら首輪につけられた爆弾で死ぬんだよ。ピッピッピ…って。怖いじゃん」 「じゃあさ、怖くないようにエッチしてればいいよ」 ばかじゃねーの、ってそのときは思った。でもさあ。 「ねえ、カズキ、好きだよ」 そうやって耳に囁かれて、俺の体がびくんと跳ねる。思わず出そうになった声を抑えるために 手の甲を噛んで耐えてると、そっとその手を外された。 「また血が出ちゃう」 俺は自分の喘ぐ声が嫌いなのに、お前は好きだって言う。大好きだって。 借金を返すために外で身体を売ってるお前。何も出来ない俺は知らないふりをして、 でも本当は知ってる。俺が知ってることを、きっとお前も知ってる。でも俺たちは 知...
  • 27-179
    水×ふえるわかめ このお題で、どう萌えるんだろう?と思って妄想したら、思った以上に萌えてきたので投下。語りになります。 水系攻として、純粋透明な素直系アタック攻。そこに、初めは縮こまってて自信がなくても、水を与えられることで段々大きくなる=成長するワカメ系受。 謙遜通り越して卑屈気味だった受が、裏表ない攻の言葉を吸収して、最後には攻と同じくらいまで成長するんだ。 自分もなくてはならない存在なんだって、自分があることで役に立つことが周りにはたくさんあるんだって気づいてくんだ。ワカメサラダまじ美味いよね。 個人的に年上×年下を希望する。家庭教師と生徒でも、上司と部下でも。 「どうせ、僕なんて」「あんなあ、俺は、つまんない嘘はつかないよ。若芽、お前には才能がある」 んで、「僕。水島さんを助けます。いえ、水島さんを超えるくらいに成長してみせます!」「(若芽ならきっと…)お...
  • 16-179
    昨日 昨日はたった一度きり そしてそれは取り返しがつかない1日だったり 何もなかったように忘れさられる1日だったり 昨日が終われば今日になり 今日は明日には昨日になる もう戻れない、もう戻らない昨日 けれど忘れてはいけない 昨日があるから今があり そしてそれは未来へと続いて行く それは、 ささやかな光 ささやかな幸福 ささやかな記憶 ささやかな痛み そんな昨日を、僕は愛する 昨日
  • 20-179
    好きなところが3つある 「タケってさー、俺のこと本当に好きなの?」 「あぁ…うん。」 「俺のどこが具体的に好きなの?」 このテのウザい質問が大嫌いな俺は、アイツからそう聞かれた時、嫌々ながら答えたのを今も覚えてる。 「…あー、体の相性いいからな俺ら。お前のフェラ、マジ最高だし。」 「ふーん。…それだけ?」 「えー、あとは…、…えー、メシだな!」 「料理うまいだけの奴なんて今時腐るほどいると思うけど。…てかさ、他にないわけ?その二つだけなの?」 あーうぜー。 こいつは何を言わせたいんだよ。この俺に。 好きだとか愛してるだとかそういう暑苦しい言葉が嫌いだって知ってんだろうが。 そこらへんの偏差値低そうなバカップルどもの同類になってたまるかよ。 イラついて虐めてやりたくなったのは至極自然な成り行きだったと思う。 「いいや、三つだ。あと一...
  • 12-179
    狐と狸の化かし合い 電車の、目の前の席に座ったやつの頭の上に葉っぱが乗ってた。 二十歳前後でちょっとダサいけど珍しい色のファー付フードのコートを着て、 大きなスポーツバッグを足元に置いて、降りる駅を間違えないようにか 黒目がちな目をしっかり開けている。その頭の上に、小さな茶色い落ち葉が。 「なにか、ついてますよ」 自分の頭を指差して払う仕草をすると、びっくりしたように目を丸くして、 それから慌てて頭を振る。葉っぱはひらひらと落ちていき、電車の床に着く前に…… 消えた。 「……」 思わず相手の顔を見ると、小さな声で 「どうも」 と頭を下げ、それから少し恥ずかしそうに目線を外した。 (ふうん) 僕は、相手に気づかれないように読んでいた本で口元を隠して笑った。 (狸だ) 山の狸が、久しぶりに町に下りてきたらしい。もしかしたら、人間に化けるの初めてなのかも。...
  • 15-179
    きっと昼と夜は立場がまるっと逆転するって事さ! さあ踏んで踏んで! 「んじゃ行きます」 「おう」 よっ、と掛け声をかけて、不安定な飾り椅子を二つ重ねたその上に俺は倒立をした。 足の裏がきちんと水平になるように姿勢を整えると、間髪いれずに先輩が その上へジャグリングをしながら乗ってくる。 ぐん、と腕への負担が増すのが分かるが、先輩はまだ他の団員と比べて軽い方だ。 むしろ男衆の中で一番軽いんじゃないかとすら思う。 おまけにバランスの取り方も上手いので、こういう型を組む場合には 先輩が一番上に乗って見得を切る役になることが多い。 一番多くのスポットライトと歓声を浴びるそのポジションを、 本人はあまり喜ばしく思っていないようだったが。 「うーん、やっぱり椅子だと高さが足りないな。ステージ栄えしない。梯子で行くか」 まるで命が宿ったように生き生...
  • 25-179
    徐々に好きになる  最初はただの共演者だった。 同業者で、いい声をしてるなあ、演技うまいなあ、とその程度の認識。 でも少しずつ、仕事が重なる機会が増えて、彼の中身が見えるようになってきた。 それが俺たちのファーストステップ。 「あれ、それ、健くんも好きなんだ?」 「え、うん」  そういって話しかけられたのがセカンドステップ。 背後からそう言われて驚いたのも、いい思い出。人に引かれてしまうほどにはゲームオタクだった俺にとって、 同様の趣味を持つ同年代の友人は貴重すぎるほどに貴重だった。 それから確か、話すことが増えた気がする。 「今度俺に服選んでよ」 「ええ? なんで」 「健、センスいいじゃん。ね、お願い」  服選びという名目で二人で出かけたのが、サードステップ。 これがきっかけでちょくちょく遊びにいくようになったのを、覚えて...
  • 18-179
    冗談っぽく「好きなやついる?」と聞いたら真顔でうなずかれたorz 学校終わって、予備校行って、夕飯代わりに駅前のマ.ッ.クに寄る、いつもの帰り道。 あたりはすっかり暗くなって、まあ別に女じゃないから襲われる心配なんかないんだけど、 ここらへんはチンピラやら、将来DQNヤクザ確定の糞ガキどもがうろついているから、早足で駆け抜ける。 隣にいるのが屈強な男で、俺自身もエ.ル・ヒ.ガ.ン.テみたいな体格のいい男…ならいいんだけど、実際はひょろい高校生二人組。 連日連夜、予備校ばかりで、肉体を鍛えるどころか太陽にすらあたってませーんと体に書いてあるような俺たちだ。 「昼でもごろつきみてーな奴らが集まってるくらいだから、夜なんか最悪だな。」 俺が言うと、隣の眼鏡(同じ部活の後輩で二年生。家が近所なのと、天然な性格が面白いせいか、結構仲がいい。)は頷いた。 「早く行きましょう。」...
  • 5-179-1
    ……なーんて、な! 「好きだ」 言った瞬間、後悔した。 竹村はひどく驚いた、そして少し途方にくれた顔をしていた。 「せ…ん、ぱい」 「お前が、好きだ」 もう一度言いながら、改めて向き直ろうと足を踏みかえる。 途端、竹村の身体がびくんと跳ねた。 あぁ、やっぱり。 そうだよな。同じ男から告白されたって、気持ち悪いだけだよな。 想定どおり、俺は唇の両端を持ち上げた。 「なーんて、な!」 「…え?」 「嘘だよ、う・そ」 言われた意味がうまく理解できないのだろう、竹村は目をしばたたいてこちらを凝視した。 「今日でお前とはお別れだろ。せっかくだから、お前のビビり顔でも土産にしようと思ってさ」 やー面白かった、と背を向ける。 これで大丈夫。竹村だって、こんなこと、じきに忘れるだろう。 後ろ向きのまま、俺はおざなりに手を振った。 「じゃーな。俺、これからクラス...
  • 6-179-1
    殺して? 「やっぱりどうやって死ぬかってのはさー、人生の中で一番重要な事項だと思うんだよ」 酒が入ると彼は饒舌になる。 一緒に飲むのは久々だが、それは変わっていなかった。 今日のテーマは『死に方』。 俺が提案したテーマだ。 昔から、彼とは酒の席で「他人に言っても絶対引かれるような独自の理想」を良く話した。 まあ、彼の講釈を頷きながら聞いていられるのは、俺だけだったからかもしれないが。 「俺は病院のベッドの上で死ぬなんて御免だね!美しくない!」 今日は特に舌が回っている。 酒量も多目みたいだから仕方が無いかな。 こうなると彼は止まらない。 今の彼になにか意見をしても、翌日には忘れているはずだ。 「俺はさぁ、余命宣告とかされたら愛する人に殺してもらいたいねぇ」 「それだと相手に迷惑掛かるじゃないか」 「いやいやいや、あくまで理想!理想だか...
  • 2-179-1
    腕白魔法使い×熱血剣士 最近、冒険者仲間の戦士は、様子がおかしい。 特に冒険の終わった日は、何だかそわそわしてて、ふといなくなることがある。 そんな長時間いなくなる訳じゃないけれど、何をしていたのか聞いても答えてくれない。 なんつか、怪しすぎ。 そんなある日。 ある依頼の後、彼は宿で、僕と別の部屋を取った。 「報酬多かったから、贅沢」と笑っていたけれど、僕は納得がいかなかった。 だから、もう一度聞いてみた。いつも何してるんだ、どうして僕を避けるんだ。って。 そんなに問い詰めるつもりじゃなかったのに、戦士がはぐらかすような答えしか 返さないから、僕も引けなくなって、つい問い詰めてしまった。 そうしたら、あいつ、 「子供には関係ない」だって! キレたね。確かに僕は戦士より年下だし、まだ世間的には子供だよ。 でも、自慢じゃないけど僕は、何十年に一度の天才...
  • 6-179-3
    殺して? 「虫だ。ねえ、虫が入り込んでいるよ」 本のページをめくる手を止め、浩太の指差す方を見ると 一寸ほどのコガネムシが、机上に積んだ本の上にとまっていた。 「あぁ、もう暖かくなってきているしね。灯りにひかれて来たんだろうよ」 「こっちに飛んでくるかも、兄さん紙にくるんで殺してしまってよ」 3歳下のこの弟は、虫を過剰に嫌う。 蝶や蝉のぷっくりと膨らんだ腹部や、甲虫のテラテラと光る外骨格が耐えられないのだと。 彼にとって春は一番苦手な季節らしい。 「刺すような虫でもないし、放っておけばいいさ。朝にはどこかへ行ってしまっているよ」 読書を邪魔されたこともあり、少し投げやりに答えてやると、泣きそうな目をして私の持っている本をひったくる。 「やだ!ねえ殺して?眠っている間に行方が分からなくなるなんて気持ちが悪いよ」 自分の小指ほどもない生き物に怯え、当たり前のように...
  • 16-179-1
    昨日 昨日のことを思い出した。 村上と、夕方まで一緒にいた。 駅で別れる時間まで、駅ビルのでっかい本屋で心ゆくまで新刊漁ったり、専門書パラ見したりした。 本屋に入る前に公園で飲んだ暖かい缶コーヒーのおかげで、実にゆったりした気分で過ごした。 公園の桜はすっかり散ってしまっていたが、枝変わりなのか、 一枝だけ、もうまばらな花を残している木があって、 それが風に吹かれて最後の花びらを散らすのを、ベンチで見ながら飲んだ缶コーヒーだった。 村上が、 「まるで祝福の」 言ったと同時に、自分でも無意識の正拳突きが奴の腹に決まったっけ。 「さっき食べた天津飯がぁ……」 悶えた村上。これ見よがしに大盛りなんか食べたからだ、馬鹿。 あいつのアパート近くの中華料理屋は天津飯が美味いんだ。ラーメンは不味いけど。 俺の方は少々食欲不振だったから、嬉しそうに注文する村上にちょっとむ...
  • 6-179-2
    殺して? じり、と背後から近づく音がする。 今振り向いたら、お前はどんな表情をするだろうか。 また少しお前との距離が縮まった。 胸が高鳴る、死を意識したからか、お前の吐息を感じるからか。 さあ、その剣を振り下ろせ。 抵抗などしないよ、狙いが逸れては困るだろうから。 目を閉じて誰にも聞こえないように囁くのは、お前の幸せを願う言葉。 じり、と背後から近づく。 お前を殺せば、俺は世界から英雄と称えられるのだろう。 また少しお前との距離を縮める。 胸が高鳴る、この手で命を奪うからか、お前に初めて触れるからか。 ゆっくり剣を構えると、俺はそれを渾身の力を込め振り下ろす。 あっけなく、何の抵抗もなくお前は地に倒れた。 俺は震える手で、魔王と呼ばれた愛しい人の亡骸を抱き寄せた。 殺して?
  • 23-179-1
    勇気を下さい! 「お父さん!勇気くんを僕に下さい!絶対幸せにします、お願いします!」 目の前で必死に頭を下げる青年を、私は複雑な気持ちで見ていた。 それなりに真っ当に育ててきたつもりだった次男が、幼馴染である一也くんにもらわれていく。 二人を興奮気味に見守る妻と、ふすまの向こうにいるであろう長男。 男女男男男。本日はお日柄も良くお父さん息子さんを僕に下さい系土下座。 自分のいる空間の奇妙さに軽いめまいを覚えながら、一緒になって頭を下げている次男を見る。 いつの間にこんなに大きくなったのか。 小さい頃から泣き虫で、長男にけしかけられては色々と危ないことをさせられていた。 妻に似た切れ長の目元は、笑うたび綺麗に下がる。 二人が一緒にいるところは、昔から良く見かけた。 勇気の目尻は幸せそうに下がり、一也くんもまた、彼の家族皆がそうであるように口を大きくあけて笑...
  • 10-179-1
    一番嬉しかったこと 「一番嬉しかったこと」 「そう。ただのアンケートなんだけどどーにも、思いつかなくてさ。参考くれ」 「俺の意見が参考になるとは思えねーな」 「それでも! 一般論でいいから何かない?」 「……強いて言えば」 「言えば?」 「お前に蹴り倒されてそのまま踏まれたことだな」 「……は?」 「そうなんだよ。俺はきっと、お前に踏まれる為に生まれたんだと思う」 「え?」 「さあ。踏めよ。ていうか踏んでくださいお願いします!」 「てめぇみてーな変態M男に聞いた俺が馬鹿だった」 「ううううさっきみたいな容赦無いビンタも今みたいなシカトも結構クるけど やっぱり踏まれるのが一番嬉しいよ受けー」 「攻め、お前は死ね。お前を殺して俺は生きる」 「そんなどっかのラノベみたいなこと言わないでもう一回踏んでくれよ 受けーあいらびゅーあいにーじゅうぅー」 ...
  • 16-179-2
    昨日 実は僕は超能力者でしてね、妙な時間に俺を呼び出したそいつは素っ頓狂な事を言い出した。 「といっても気づいたのは最近で、どうやらある『1日』を何度もループさせる力があるんみたいなんです」 じゃあお前は『今日』を何度も体験してたりするのか? 「その通り。かれこれ1週間は今日…というか僕にとっては、昨日であり一昨日でもありそのまた前の日でもあるというややこしい状態なんですが、4月20日が続いています」 ずっと同じことをやり続けているのか? 「仮説ですが、僕が今日という日にやり残した事を悔やむ思いから、こんな力が芽生えたのかと思いまして」 起きる時間、通る道、食事のメニュー、話相手などなど、とにかく片っ端から違う『今日』を試してみたのだと言う。 「試行錯誤した結果、やはりあなたしかいない、と思いまして」 確かに俺は明日から結構な期間海外研修に出る身だが、なんか俺に恨み...
  • 4-129
    カリスマの恋 その時はまだ小学生で、無理やりスタジアムに連れて行かれただけだったから、 最初は興味なくて退屈だったけど、貴方がゴールを決めたとき 僕は引き寄せられてしまったんだ。 『なんであんなすごいシュートできるんだろう!!』 それからずっと貴方だけを見ていた。来る日も来る日も ボールと貴方だけを追いかけた。貴方のようにスタジアムを沸かせたい、 貴方のような素晴らしい選手になりたい、その思いが俺を走らせた。 だから俺が、 『華麗なテクニックでサポーターを魅了』 『日本足就玉求界のカリスマ』 なんて言われるようになったのも、みんな貴方のおかげなんだ。 できれば同じピッチに立ちたかったけど、その思いは叶えられなかった。 貴方の引退会見を見て、一人で泣いた。どうして俺は貴方と同じ時代に 生まれることが出来なかったんだろう?...
  • 4-189
    刀と鞘の関係 「お主も難儀な男だな」 周りの人間はあいつについて俺によくそう言う。 「幼馴染とはいえ、あのような付き合い難い男も珍しいだろう」 時代遅れの剣の道しか知らぬ、そう、まるで抜き身の刃のような俺の幼馴染。 出世にも何も興味がないから上のご機嫌取りなどすることもなく、口から出る言葉身振り態度の全てが白刃の切っ先の如き男。 周囲と関係が拗れたり対立するのはしょっちゅうで、その仲裁に駆り出されるのは幼馴染の俺であって。 ――いつもすまんな ――すまんと思うのならどうして同じようなことを繰返す ――分かってはいるつもりなんだが、どうしても駄目なんだ 抜き身の刃のような鋭さが内に煌く眼差し。ああそうだ、俺は、こいつの―― 「俺はあいつの鞘のようなものですから」 そんな時俺は決まって周りの人間にこう答える。 「鋭すぎる刀にはそれを収め...
  • 4-139
    カードゲーム カードゲームというとポーカーがまず思い浮かぶね。 ババ抜きとか七並べしか知らないが萌えてみる。 ポーカーといえばギャンブル。そしてポーカーフェイス。 ヌッポンでは非合法ゆえにちょいと場末の秘密カジノあたりに設定。入り浸っている身を持ち崩したギャンブラー。 いつものように一人で遊んでいると、初顔の兄ちゃんがやってくるわけだ。 これが、どこの素人が間違ってきたんだというド下手。いい手悪い手モロ顔出し。賭けるお金も最低ランク。 くるカードごとにニコニコしたり顔に斜線を入れてみたり。 でもビギナーズラックかディーラーが情けをかけているのか、そう悪い成績ではない。 それに気を良くしたのか、ギャンブラーの座る高額台に来る。当然隣に。 おいおい身の程を知れよと内心思うギャンブラーを尻目に、素人は当然のように負け続ける。 見かねて安い台に移れと忠告...
  • 4-159
    短気だけど優しい先輩と腹黒でツンデレな後輩 お前あの先輩と付き合ってられるなんてスゲェな、ってよく言われる。 アイツは短気だからな。常に機嫌悪い印象しかないから、取っつきにくいのかもしれない。 でも俺にはそっちの方が好都合。アイツの本心を知ってられるのは俺だけで十分。 そんな事考えながら廊下歩いてたら、後ろからいきなり腕引っ掴まれた 「おい!!なんで無視してんだよ」 「え、あ、気づかなかった」 「は?そんなに真剣に何考えてたんだよ…?」 「…さあ?」 今まで真横でお喋りをしていた女子たちが俺たちに目を合わせない様にして足早に過ぎ去って行く。 教室の中からは、また絡まれてて可哀想…とばかりに憐れみの視線を送るヤツもいる。 でも俺はコイツのこの大げさな反応が嫌どころか、むしろ心地いいと思ってしまう。絶対に言わないけど。 「おい俺がが話してるときはこ...
  • 4-119
    むっちゃ元気! 「おい。起きろよ。起ーきーろ。」 良い夢を見ながらレム睡眠を貪っていた攻めはぺちぺちと頭を叩かれる感触に目を覚ました。 「んぁ……?」 「昼休みだぞ。いい加減起きろよ」 目の前には呆れ顔の受け。 そうだ、さっきまで見ていた夢にも受けがいた。そしてあんなことやこんなことや……。 寝ぼけた頭で反芻する。 攻めは入学当初に受けに一目惚れをしたものの嫌われるのが怖くて何も言えずにいる。 ヘタレである。 「メシどうする?食堂行くんなら付き合うぞ」 「あー……。」 寝ぼけ半分で立ち上がりかけた攻めの脳は急速に覚醒した。 高速で再び椅子に腰を下ろす。 「行かねーの?」 「いや……ははは先行っててくれねー?」 立ち上がれない。立ち上がれるわけがない。 何故なら勃ち上がっている。まさにむっちゃ元気!な状...
  • 4-149
    俺ダメなんだよな~。 「俺だめなんだよな~……、こういうの」 情けない顔で俺は呟いた。目と鼻から塩辛い物体が零れおちる。 視線の先はTVアニメ。丁度いま、幼い少年が教会で息を引き取った所だった。 【パララッシュ……もうボクは疲れたよ……】 そうして天使が少年を連れてゆく。愛猫と共に、幸せそうに――― 「ううっ、もう駄目。目ェ開けて見てらんねぇ~~」 「………」 オレがチーンと鼻水を咬む様子を、悪友の男はじーっと見ていた。 無表情なのが怖ぇ。でもこいつはいつもこんな感じだ。 「なんだよ、お前なんでそんな冷静で見てられんだよ~これ見て泣かない男は居ねぇぜ?」 うわ なんかチョー鼻声。なさけねーなー。 ってか眺めてねーで何か言えよ。一人泣いてる俺が非常に気まずいだろ…… 「……俺、だめなんだよな……」 ぽつり、とそいつが俺の口真似をして言った。 ...
  • 4-169
    また忘れたの?信じらんない メール・ボックスは忘れられない彼と交した、忘れられた約束の詰まった保管庫。 消去も出来ずに保存してあるだなんて、執念深い自分が嫌になる。 忙しいなら約束なんてしなきゃいいのに、僕の我儘に付き合って無理して交した約束は、いつも仕事に忘殺された。 「また忘れたの?信じらんない。」 あの日、いつもの決まり文句を投げ吐けて、僕は最後に付け足した。 「もう、ダメなのかな?僕たち。」 すると、彼は寂しそうに笑って 「…仕方ないね。」 と、呟いた。 それが最後。 もう約束を交すこともなく、暫くして彼は、あんなに忙しかった仕事すら放り出して、何処かへ消えた。 彼が姿を消してから2年後、彼の主治医に見せられた彼のトランク。 それは、忘れられた筈の僕との約束と、僕との出合いからあらゆる思い出の詰まった備忘録の山だった。 ...
  • 4-109
    あ、あの、どうぞ踏んでください……>○r2” あ、あの、どうぞ踏んでください… え?いや、いいんです…どうぞ遠慮しないで! ぼくが…あなたのその白くて柔らかそうなそれで踏まれたい、 ただ、それだけなんです。 あっ…うそっ…そんな早いリズムで…っ! だめ、だめです!そんなにしたら…あなたの肌が…! ああ、ほんとに…いいんですか、肌真っ赤ですよ? そんなところにもぼくの跡が、真っ赤に…恥ずかしい。 もっとつよく?え、いや、ぼくはかまわなっ…あっ 今度はそんな先の方で?…だめです、そこは刺激が強すっ…ぎ…! もっとリラックスして、ゆっくり…ゆっくり… 「んうっ!」 「はまってるね最近」 「うんっ…健康にっねっ…って、痛っ!」 「足ツボマットね、しっかしすごいイボイボだなこれ」 「…攻めがマッサージしてくれるんなら使わなくてもいいんだけ...
  • 4-129-1
    カリスマの恋 カリスマは孤独だった。皆に愛され崇拝されていても、本気で恋する相手は今だかつていない。 実はその事自体は、彼にあまり意識されていないのだが、本気で恋する相手に出会った時、初めて彼は今までの孤独に気付き、耐えられない烈しい想いを抱くようになる。 それは、今まで彼の周りには居なかった、側近でも、平伏す崇拝者達でも、敵でもない相手。 その青年は、彼をカリスマとして意識せず、崇拝するのでも、敵対するのでもなく、同じ人間として自然に対峙する。 そんな青年に初めて出会った時、カリスマは、澄んだ瞳でただ自分を真っ直ぐに見返してくる相手を疑かしく不思議に思い、次には相手を振り向かせようと夢中になる。 そうして本気の恋に堕ち入っていくのだが…。 本気の恋はいけない。 カリスマとは地上の存在であり、且つ、形而上の存在でなくてはならない。 だが、本気の恋は、...
  • 4-189-1
    刀と鞘の関係 「……また、仕事か?」  何気ないそぶりでそう尋ねる鞘に、刀は弱弱しく微笑んで掠れた声で答える。 「すぐ、戻ってきますから」  自分の腕からいなくなっている間に刀が何をしているのか、鞘だって知らないわけではなかった。  全身雨に降られたように血塗れで戻ってくる刀。それでも、戻るとすぐ自分ににこりと笑いかける刀。 『仕事』の後のその姿を見るたびに、鞘は己の無力さに唇を噛み締めていた。  ――こんなことを、させたくはなかった。  彼の滑らかな肌に似合うのは薄絹で織った着物か何かで、あんな醜いやつらの血液ではない。  たとえどんなに非道な相手だとしても、あの細腕で誰かの命を奪うなど、してほしくはなかった。 「鞘さん、済みません」 「……何が」  振り返りざまにそう頭を下げた刀に、鞘は不審そうに一言呟く。  その問に心苦しそうな声で、刀は口を開いた。...
  • 4-149-1
    俺ダメなんだよな~。 付き合って、もう半年になる。 けれど指一本触れてくれないあの人に、僕はいつもの仏頂面で何度目か分からない質問をする。 「どうして? 僕、……そんなに魅力ないですか?」 「別に、そんなわけじゃねぇっての」 そう言って困ったように笑う咥え煙草の彼が苛立つくらいかっこよくて、僕はまた泣きそうになる。 いつもこうだ。年上だからって兄貴ぶって、僕の心をちくちくと痛ませる。 抱いてくれないのだって、どうせ僕がまだガキだからなんだろう。 「煙草」「ん?」 「一本、頂戴」 シャツの胸ポケットに入った箱を無理やり取り出そうとして、その手を押し留められる。 僕とは百八十度違う大人の力に押さえ込まれて、身動きできなくなってしまう。 「だーめ。まだ十八なんだから、身体大切にしろ」 代わりにこれ、と手渡された小袋に入ったキャンデーを、僕はつい床に投げ捨ててしま...
  • 4-109-1
    あ、あの、どうぞ踏んでください……>○r2” 降り止まぬ雪で、町が埋もれ始めていた。 小さな民宿では、帰り損ねた30前半の男性客がたった一人、聞き慣れぬ雪の軋む幽幻の様な密やかな音に、四方八方を取り囲まれて、眠れぬ夜を過ごしていた。 酒を呑んでもいっこうに酔いは回らず、暖房を強くしても冷気が部屋に染み込んでくる。 どこか窓でも開いてるのかと、部屋を出て戸締まりを確認すると、はたして二階にある玄関のドアが僅かに開いて風が吹き込んでいた。 主人が締め忘れたのかと、忌々しく思いながらドアを閉めようとすると、 隙間から、するりと白い手が入って来て、冷たい細い指が男の頬を撫でた。 びっくりして、数歩飛びさがると、ドアが表から大きく開け放たれ、その手の主が入って来た。 ぬけるような白い肌に端正な顔立ち、後ろで一つに束ねられた長い黒髪、均整のとれた...
  • 14-159
    陸上部のエース×超絶運動音痴  会場は人々の熱気で溢れていた。テープが切れてしまいそうなほど密集し、色とりどりの旗を振り声を張り上げて 贔屓の選手の名を叫ぶ老若男女。例年通り気合の入った大学は応援団も用意している。そんな喧騒も、一旦ファインダーを 覗いてしまえば嘘のように掻き消える。もうすぐアンカーが走ってくるのだ。今年は特に、集中しないわけにはいかない。 「先輩、もうすぐですよ、先輩!」隣では後輩の高橋が興奮してぴょんぴょん跳ねている。口数が多くうるさいが、よく気のきく奴である。  「まだ二位か、うちは?抜かされてないよな?」俺の言葉に反応し、高橋が携帯の画面を覗き込む。 「はい!k大とうちで一位二位ぶっちぎりです!速いっすよ今年のアンカー。下りで二人も抜くなんて半端ねえっす」 高橋は嬉しげに叫ぶと、持参した鞄からデジカメを取り出した。弱小の写真部とはいえ、新入生に一...
  • 14-149
    食事当番 「おまえ食事当番やる気ないの?」 酢豚とカレーと水菜サラダと豚汁が並んだテーブルを見ながら恋人が言う。 「今日だって一日家にいたんだろ?」 俺は売れない役者をしている。 同じ劇団で知り合った恋人は早々に自分に見切りつけてサラリーマンになった。 金がない俺を見かねて、同棲を提案してくれたのは三ヶ月前。 最初の一ヶ月は新婚生活、二ヶ月目はお互いの粗が見えてきて、今は譲歩ラインをさぐっている状態だ。 「百歩譲ってカレーと水菜と豚汁はいいけど、なんでそこに酢豚なの」 「酢豚が好きだって言ってたじゃん」 「好きだからってコレはないだろ」 「じゃあいいよ。酢豚は食べなくて。そしたら百歩譲ってくれるんだろ」 今キレてテーブルをひっくりかえしたら気持ちいいだろうななどと思いながら、 文句をなんとか押さえ込む。 好きだって言ってたから作ったのに。出来たてじゃない...
  • 14-109
    女王様受 萩本さんと付き合うようになって、そろそろ三ヶ月。 今まで付き合った女の子達とは、大体三ヶ月で最後まで致してきた。 男同士の相場なんて知らないけど、いい加減手を出してもいい頃合だと思う。多分。きっと。 などと決意して、甘い妄想とともに枕を抱えてごろごろしていたら萩本さんから電話が来た。 「もしもし、里中です」 「あ、オサム?ちょっとさー、今からウチ来ない?つーか来い。五分で」 「へ、あの……え!ちょ、萩本さ……あ、分かりました!」 俺がそう答えるなり唐突に切られた通話は、如何にも萩本さんらしい傍若無人ぶりだった。 いつもなら眉を寄せてしまうような困った行為だが、今の俺にとってはもう「そういう」お誘いにしか受け取れない。 ついついにやけてしまう顔を引き締めつつ、俺は急いで部屋から駆け出した。 萩本さんの部屋は広い。ついでに綺麗だし、センスもいい...
  • 24-109
    背中から抱き締める 風が強く吹いて、飛ばされた木の葉がはらはらと舞い落ちる。 その向こうに見えるのは広い背中だった。対して僕の、なんて小さい事だろう。 だというのに、消えてしまいそうだ、そう思った瞬間身体が動いて、彼を背中から抱きしめる形になった。 わ、と驚いたように声を上げ、びっくりしたじゃないですかと、笑いながら彼は言う。 ごめんなさい。僕は謝罪の言葉を口にして、それでも離れる事ができずにいた。 僕を守るために彼は戦って、その度に傷だらけになって帰ってくる。 本当は戦いなど好きではない事は、彼よりももはや僕の方が良く知っている。 優しい彼は、それを僕に悟らせまいと平気な振りをして、そしてとうとう自分自身を騙してしまった。 痛みはないのだという。怖くはないのだという。 けれど最初は違っていた。 彼が痛みに隠れて泣き、殺めた命に魘されては眠れない夜を過ごしていた...
  • 24-139
    ライバル同士 あーイライラする。なんなんだお前。 今日は俺が一人で所長から褒められるはずだったんだ。 半年前からずっと頑張って売上一位を独占して来て ようやくご褒美にって所長が飲みに誘ってくれたんだぞ。 それをお前……。ずっと最下位うろうろしてて 報奨が出るって分かったら同率一位とか。 あぁ知ってたさ。絶対お前の方が実力は上だって知ってた。 『目立ちたくないし』とかスカしたこと言って手を抜いてただろ。 昼行燈とか言って侮ってる奴らも居るが、お前がすげぇのは俺、知ってるんだ。 セールストークも上手いし服装は洗練されてるし 第一笑顔が爽やかすぎるじゃねーか。どこの映画俳優だよ。 ニヤニヤしてんじゃねーよ。 そうだよ。俺が営業成績上げるのは金の為じゃねぇよ。 所長を喜ばせたいからだよ。 俺は幼稚園の時に親父を亡くしたから、想い出ってそんな無いんだよ。 ...
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