*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「6-489」で検索した結果

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  • 6-489
    今夜もひとり生け贄になる 手足も口も動かぬままに 「さて、今夜は誰に相手をしてもらおうか…ふふふ…  昨夜は、まさお君だったね…  美しいまさお君  昨日の君はいつにもまして素敵だったよ  じゃあ、ひろし君…いや、しんいち君がいいかな  いや、かずお君も…いやいや…  みんな愛しくて、僕は毎晩悩んでしまうよ  …あぁ……  いくぞう君…そんな目で僕を見ちゃぁ駄目だよ  たまらなくなるじゃないか  そうだね、今夜は君にしよう  かわいいかわいい、いくぞう君  怖がることなんか何もないんだよ  ただ僕に身をまかせていればいいのさ  従順な君たちを、僕は何より愛している  じゃあまず、お風呂に入ろうか  君は、お風呂が大好きだよね  他の子はみんな嫌がるのに、君はきれい好きだ  待ってて、今、服を脱がせるからね  ああ...
  • 6-489-2
    今夜もひとり生け贄になる 手足も口も動かぬままに 外はもう日が暮れたのだろうか。この部屋には窓がないので分からない。 夜の訪れと共に父さんがこの部屋にやってくる、その時だけ、廊下の明かりが僕をわずかに照らす。 『あぁ、ジャック。私の愛しい息子よ』 父さんのしわがれた声が聞こえ、父さんのかさついた指が僕の頬に触れる。 僕は動くことも声を出すこともできず、ただじっとこの儀式めいた淫靡な時が過ぎるのを待つ。 『この陶器のようにすべらかな肌、絹のようになめらかなブロンド、サファイヤよりも透き通った瞳。 おぉジャック、お前は私の最高傑作だ!』 父さんは近頃、仕事をしていない。昼間は酒ばかり飲み、夜には僕と淫らな行為をする、その繰り返しだ。 僕は、父さんが生きるための贄なのだ。 『ジャック、ジャック……』 父さんの舌が全身を這い回り、父さんの手が肌をまさぐる。 それらは...
  • 6-489-1
    今夜もひとり生け贄になる 手足も口も動かぬままに 今夜も一人生贄になる。 手足も口も動かぬままに。 今日の男は巨大な長物とぬるぬるしたものを持っていた。 ぬるぬるする物を体中に塗りこめる。 長物を無理やり胎内に挿入する。 もう慣れた、そう思う躰が衝撃に揺れる。 内から外から別の物に変えられていく。 私が我慢すれば良いだけの話だ。もう慣れた。 「…今年の銅像は意外とシンプルっすね」 「単に色を塗り替えて、のぼりを突っ込んでか」 「疾…如く?はやしおかすな?なんて読むんだこれ?」 「はやきことかぜのごとく、しずかなることはやしのごとく。  武田騎馬軍団だな、これ」 「ヤンキーじゃなかったんすね」 今夜もひとり生け贄になる 手足も口も動かぬままに
  • 16-489
    それは僕のペンだよ! 「ペンは剣よりも強しってね」  もう何百回聞いたか知れない。  やっとさっき原稿が上がったといって、三か月連絡一本よこさなかったことを悪びれた様子もなく、恋人は夜中ウイスキーを片手に家にやってきた。  こっちの都合はおかまいなし。  とにもかくにも平日の夜中だ。明日仕事だからといって聞くわけもなく、一人で酒を飲みだした恋人は早々に出来上がっているようだった。 「ああ、福沢諭吉だろ」 「なんだ、知ってるのか」  知ってるもなにも、酔うと毎回言ってるだろ。  文筆家としては確かにちょっと名は知られているかもしれないが、恋人にするにはプライドが高くワガママで疲れる男だ。  奥にある可愛げに気づかなければ、ただの嫌なやつで終わってしまうタイプだ。  眠い目をこすっていると、「ちゃんと話を聞け」と怒られた。 「はいはい、聞いてる聞いてる」 ...
  • 26-489
    あえぎ声がうるさい攻め(notショタ)と声を我慢する受け 隣の部屋のカップルのあえぎ声がうるさくて、というベタな事があって引っ越した。 やった、これで壁殴り代行を呼ばずに済むぜ! と喜んでいたのもつかの間。 初めて俺の部屋に相手を招いたら、むしろそいつの声の方が酷かった。 「あー、あーこれマジヤバいわ、気持ちよすぎ。なあ、なあ、お前はどう?きもちーか?」 通常音量でそのセリフ言われても、返せるわけないだろ。 お前のドヤ顔マジウザい。 ムダにいい声、もっとウザい。 きもちーけど、まだこらえられる。 「なあ、俺…もうイキそうなんだけど。中でいい?なあ、返事しねえとこのまま出すぞ…?」 嫌だけど、中は嫌だけど、まだ声は我慢できる。 「いいのか?なあ、このまま…出すぞ!」 さっきから首を横に振ってるだろ、意思表示はしてるから! なあ、やめてくれよ。 お前...
  • 26-489-1
    あえぎ声がうるさい攻め(notショタ)と声を我慢する受け ドン、と。地鳴りのような音がした。 すぐにわかった、誰かが壁を叩いた音だと。 陶酔していた雰囲気の中から急に日常に引き戻される。俺が真昼間っから男とセックスしている間、隣の誰かがテレビを見ている洗濯をしている友達と電話している。 途端に顔が熱くなる。「恥ずかしがっている」それをこいつ知られるのが殊更に恥ずかしく、耳元がカイロでも押し当てられたみたいに熱い、それが触れなくてもわかった。 2階建ての安アパート、当然のように薄い壁、最初から声は抑えていたつもりだったが、こいつの実家から持ってきたというちゃちなパイプベッドが高い音を立てながら軋んでいるのに気が付いた。 「うぁ、沢原ぁ……、ちょっ、ゆっくり…」 助けを求めるように後ろに首を向けると、俺とベッドを揺らしている男が幸せそうに笑っていた。 「なに?なんでーこ...
  • 9-489
    冬のバーゲン 急がないとバーゲンが終わっちゃう! こういうときにかぎって、電車が遅延するんだろう。僕は不幸だ。 駅から駆けて閉めるぎりぎり、やっと到着した。 そのまま会場内を走って目当ての店に行くと、 もう店じまいを始めていた。 「ごめんねー。かんばいしちゃったわぁ」と うれしそうに店員さんに言われた。 がっくり。 ああ、これが僕の運命なんだろうか。 会場を出ると外は日が落ちていて、寒々としている僕に 冷たい空気が追い討ちをかけてきた。 「あれ?」 聞き覚えのある声がした。 「あ、きてくれたんだ」 「こ、こ、こんばんは!」 店長さんだ!! 「あの、あの、お疲れ様です。  冬のバーゲンは今日でおわりなんですよね?!」 「うん」 店長さんはにっこり笑った。 「さっき行ったら完売してま...
  • 1-489
    カレーパソマソ×ジャモおじさん ジャムおじさん…あんたの気持ちは俺、よく分かってるよ… むしゃぶりつきたいんだろう…?むしゃぶりつきたくて仕方ないんだろう…? ほうらお望み通り口にしなよ…おっと俺のはアンパンマンみたいに甘ちゃんじゃないからな? しっかり口に含むんだ…ほら脇からこぼすんじゃないぞ… ヘタレ攻め×高慢ちきな受け
  • 5-489
    W-ZERO3  彼は同期の中でも、出世頭だった。  金曜日の夜、ピンポーンとチャイムが鳴り、出てみると高木だった。 「こんな時間にどうしたの?」 「別に」  彼は素っ気なく答えた。  ―……あ、そうだ。えっと、ビールでも飲む?  ―いや。まだ、仕事が少し残っている。  そう言って鞄から何かを取り出して仕事を始め、俺は何をしに来たんだろうと思いながら、隣でビールを飲んでいた。  すらりと伸びた指先がカタカタと音を立ててキーボードを叩く。  彼のブラインドタッチはいつも正確で、乱れることがない。  ――さすが高木。  俺は誇らしく思って、口元を緩めた。  同期の高木は入社当初から成績が抜群に良かった。  愛想がないから、近寄りがたい雰囲気もあるけれど、女性社員の人気もまた抜群に良い。  ――お前、かっこいいもんな。  ――別に。  褒めたつもり...
  • 2-489
    エンター×ダミーエンター 最近、無駄に俺が使われている気がする。 彼曰く、『隠したい年頃の集まりなんじゃないの?』とのこと。 でも、実際に俺がやっている仕事は、注意書きも読めない お子様から、彼を守るためにある。 「お疲れ。これで何度目?」 「5回目。このガキ、注意書きも読めないくせに、俺のこと何度も触るんだぜ 嫌になるよ」 ふて腐れる俺の頭を、彼が優しい笑顔でなでる。 ちょっとだけ、癒される瞬間。 「ごめんね、僕のために」 「気にすんな。あんたは、常識ある大人を迎え入れてやればいいんだ」 悲しそうな顔をした彼に、俺はあわてて笑顔を作る。 今度は、俺が彼の頭をなでる側にまわる。 「俺は、あんたを守るためにいるんだ。だから、そんな顔すんな」 「……そうだね。」 やっと、彼の顔にいつもの笑みが戻ると、俺はいつもの位置に戻...
  • 3-489
    優しい嘘 0が逃げたんなら勝手に萌えさせてもらおう。 優しい嘘ってのは、相手を悲しませたくないがために生まれる。 愛情が少しでもそこにあるから、 相手も嘘とたとえわかっても、その愛情がために騙されてやる。 その二人の痛々しさが萌えると思うんですね。 たとえば片方が重大な秘密を抱えている。 明日死ぬとか、遠くへ行くとか、政略結婚するとか、なんとか。 腕の中ですやすや眠る恋人を悲しませたくない。 それで何もなかったように振舞う。 でも恋人は気づいてしまったりするんだな。 秘密と同時に、それと葛藤してきた恋人の痛みも分かってしまう。 「嘘つきめ」と胸の中で苦笑まじりにつぶやきながら、 何もなかったふりしてやるのも萌える。 それからさらに切ないのが当て馬。 一回寝たのに結局、相手の恋の手伝いしちゃったりして、 最後に相手に「本当に好きだったよ」っ...
  • 4-489
    こんびにおでん 「寒くなってきたね~」 学校からの帰り道、ゆっくりと駅まで歩きながら俺の隣で智樹が呟く。 「そりゃあ冬だからな」 「なんだよ~、和哉は冷たいな~」 そんなやりとりすら楽しい、付き合い始めて一月目。 ここ一ヵ月は智樹と一緒に帰るのが日課になっていた。 といっても駅まで徒歩十分の短い道のり。駅につけば家が逆方向なのでサヨナラだ。 駅の手前のコンビニの前で智樹が止まった。 「ちょっとコンビニ寄っていい?」 「別にいいけど」 コンビニに入ると店内の熱で凍えていた体から力が抜ける。 智樹が買い物をしている間、週刊誌をパラパラ捲る。 特に面白そうな記事はなく、レジを見ると智樹が会計をしている最中だった。 買い物を終えた智樹と一緒に店を出る。 「で、何買ったんだよ」 「へへー、これ!」 じゃじゃーんと口で効果音を出し、ビニール袋から買ったば...
  • 8-489
    嘘でもいい あぁ。なんであんなヤツのこと好きなんだろう。 軽いし、嘘つきだし、時間にルーズだ。 今日だって、あいつから誘ってきたくせにもう30分以上、遅刻してる。 遅れるならメールのひとつ位入れやがれ! ありえない。本当に。 今日はおれの誕生日で、いつも通りなら家族で外食のはずだった。 でも、この年にもなって誕生日に家族で外食なんてダサいかなって思ったし、 なによりあいつが、この日に遊ばないかって言ってきたから……。 まぁ、あいつがおれの誕生日なんて知るわけないし。それでも、嬉しかったんだけど。 あーあ。 おれはみじめな気持ちでおろしたてのブーツのつま先を見つめた。 「いやぁ。遅れてマジごめん。」 軽く叩かれた肩。振り返ると、悪びれない笑顔のヤツがいた。 「……」 怒りのあまり、おれはリアクションもできない。 「いやぁ、おばあさんがペットボ...
  • 25-489
    変態年下×ツンデレ年上 老剣士、折口さんの居合刀はおっきい。  普通の、たとえば俺の刀の倍くらい重い。厚くて太い。  こしらえが無骨ですり切れてて、稽古の後は汗でじんわり湿っててムンムン湯気吹いてるのが見えるよう。  稽古中は、努めて無心を心がける。その代わり、終わったら晴れて俺の幸せ妄想タイム!  超高そうな山本師範の刀も、美麗でゴージャスな神田さんの刀も、可愛い少年剣士たちの刀もみんな良い。  んだけど、 最近のお気に入りは断然折口さん! の刀!  あの男臭い魅力にはまったらもうたまらん。  折口さん、六十過ぎてるんだよ。師範代になってもいいんだろうけど、流派が違うからここの道場にはあくまでお客さんで通ってきてる。  うちの師匠に師事してるわけじゃない、純粋に鍛えにきてる人。  俺みたいなぺーぺー、口きいたことないよ。道場でだけ会うから、いうもキンキンに緊張感...
  • 21-489
    さあ踏むがいい! さっきから彰彦が俺を怒らせようとしてるのはわかってた。 とっくにわかってて、それにのってやる振り。 いや、ひっぱたかれたのは割と本気で痛かったけど。あんた、これDVだろ。DV。 でも俺もやり返したからそこの所は引き分けって感じだ。 そんなに強く殴った訳でもないのに、ぼんやりと横向きに倒れっぱなしの彰彦を見下ろすように俺は立ち上がった。 彰彦の肩を蹴り押して仰向かせる、乱れた前髪の奥、俺を見上げる目の内側がとろりと溶けた。興奮してる証拠だ。 何に対してこんな風に火がつくんだか、さっぱりわかりゃしないけどただ一つわかるのは彰彦は本気でどうしようもないって事。 普段は案外良識あるいい大人(ただし頭の方は少し残念だ)の振りしてたまにこうやって、ぐずぐず溶ける砂糖みたいになる。 そのまま鎖骨から腹にかけて、俺は溶けた甘さで鼻先を擽られて酔いかけながら爪先でな...
  • 13-489
    文化部員なんか余裕で押し倒せるぜ!と襲いかかったらあっさり押し倒し返される運動部員 今日こそわからせてやるんだ。サッカー部のエースの俺の、俺様の力ってやつを。 いっつも理科部だとかいうインテリかつネクラな部に引き篭もってるあいつに。 静かな生物室の扉を開ける。隅っこの大きなソファでだらんと寝ているあいつが視界に入った。 ぼろぼろの白衣は、きっとオキシドールとか塩素とか(よくわからないけどそうした危険な液体)まみれなんだろう。 しかし好都合だ。寝ている時の人間は無防備なんだよと教えてくれたのは目の前のこいつである。墓穴を掘ったな!まさかお前からの教訓がこんなところで生かされるなんてよ! 俺はほとんどうつ伏せになっているヤツの肩を掴んで、仰向けにさせて―― 「あれ?」 頭突きまであと少しというところで、ぐるん、と視界が真っ逆さまになって。目の前には先ほどと同じそいつがいた...
  • 19-489
    メタ 「僕らは、なんてちっぽけな存在なんだろうね」 「達観してんじゃねーか。いきなり。暗い顔してどうした?変なモンでも食ったか?」 「ノリがいいのは君の長所だけれど、こればかりは冗談にして笑えない」 「そんなこと聞いてみないとわかんねーだろー。なんだよ、話してみろよ」 「ん…何て説明したらいいか……」 「ざっくりで頼むな。俺バカだからあんま難しいこと言われても困るし」 「いま、僕らのしている会話はシナリオなんだ」 「すまん。あんまりザックリすぎても、それはそれでわかんねぇ」 「ルールが決まっているんだ。僕と君は、予め決められた目的の為だけに存在し、会話をしている」 「意味わかんねーんだけど……えーと。お前、どっかの変な電波でも受信したのか」 「義務なんだ。僕が君に話しかけるのも、君が僕に応えるのも」 「はぁ?」 「単純なこと。僕も君も...
  • 20-489
    ずっと隣にいて欲しい B「お前の相棒C、急遽海外だって。」 A「やり♪ そのまま帰ってくんな…って、相棒違げーです。 目障りなんで清々しますよ。 今日は職場に一番乗り☆と思ったら、既に一仕事終えたヤツが、 山積みした書類の陰からコーヒー飲みながら現れた時の 俺の残念な朝といったら… 正直、やる気無くしますね!」 B「よかったな。明日からお前が一番乗りだ★」 A(なんか腹立つ) ―後日― A「普通、ひと月で帰ってきますよねぇ…」 B「何の話?」 A「っ…  ……… ………。 Cですよ。」 B「ああ! 聞いた話だけど~ そのまま向こうに移動らしいよ。」 A「えっ!!!?」 B「うっそ。」 美人×強面
  • 18-489
    勃起力検定 キーンコーンカーンコーン。 今日の授業が全て終了した。僕は黒板に板書された801妊娠の仕組みを慌てて写し終える。 担任でもある先生は、黒板をざっと消すとそのままHRに突入した。 「えー、明日はいよいよ本番です。攻めの皆も受けの皆も、落ち着いて頑張って下さいね。」 先生は、敬語受けらしい柔らかな笑みを浮かべ、受験前最後のHRをそう締めくくった。 ここ、801国の人間はまず大きく2つの性別に分類される。「攻め」と「受け」である。 (ごく稀に「リバ」という性別も存在するらしいが、僕はまだ見た事がない。) そして攻め、受けは、高校を卒業する際にそれぞれ検定を受験する事が法律で義務付けられている。 この検定によって、〇〇攻め、〇〇受けという細かい分類がなされ、一生をその肩書きで過ごすのだ。 攻めである僕らが明日受けるのが「勃起力検定」、略して「勃検」だ。...
  • 17-489
    黄金時代 部屋の掃除をしていたら、高校時代のアルバムが出てきた。 それは禁断の書のように、本棚の奥に眠っていた。 俺はそっとアルバムを開いた。湧き上がる懐かしさには勝てなかった。 写真は見事に俺とあいつばかりだった。しまった、と一瞬後悔した 女子の数が足りなくて、あいつと踊るはめになったフォークダンス。 二年の林間学習の時、こっそり撮ったあいつの寝顔。 一杯のコーラにストローを二本差して、一緒に飲んでいる俺とあいつ。 一緒にコーラを飲んでるのは、確か三年の修学旅行だっけ。 行き先は遊園地でやけにはしゃいでいた気がする。 この写真は確か、変なノリだった俺たちを他の友達が撮ったやつだ。 お前ら何やってんだよ、って馬鹿にしていた笑顔で。 あの時は恋人っぽく振舞っても茶番劇で済まされていたから楽だった。 あいつと俺は卒業後、別々の道をたどった。 俺は...
  • 28-489
    希望に満ちた朝 朝になって目覚めた。夜明け前の冬の朝、窓の外には真っ暗闇がまだ広がっているであろう時間。 片隅に押しやった一人用テーブルの上には、昨日の夜食べ散らかした弁当ガラとカップ麺の容器、ビールの空き缶なんかが そのまま雑然と影になっている。 寒くてたまらなかったから大智にくっついて寝た。それで間違いが起こった。 大学に入って初めて親友と呼んだ男の部屋へ、初めてのお泊まり。いったいどっちにより多くの下心があったのか。 飲んでるうちに好きな奴の話になって、お互いに試すような言葉を投げて確信を深めて、それでも勇気が無くてそのまま寝た。 『寒いからそっち行っていい?』は絶好の口実だった。肌が触れた途端二人ともが生唾を飲み込んで、 その音を聞いたせいで告白よりも衝動が先走った。 何も言わずに口づけあって、そのあとやっと「朋希が好きだ」と聞き取れ...
  • 10-489
    裏切り者の烙印を押されても 裏切り者、と、倒れ伏した俺の耳元で声がする。 もしこれが血の雨降り注ぐ戦場で、生きて帰ろうと硬く誓った戦友を庇って倒れたとかいうシチュなら格好もつこうというものだが、生憎というか幸いというかここは都会のぼろいアパートの一室であり、俺を瀕死に追い込んだのはおおよそ人なんて殺せない柔らかい物体だったり。 …あーもうそんなにぎゃんぎゃん怒鳴るな馬鹿。お前の重低音の声は好きだが、頭…いや、腹に響くんだ。 残り僅かな体力を振り絞ってトイレへ駆け込む。本日の俺、朝から一人でリバース祭。上から下から出すもん出しまくり。 …だからうるさい。プリンアラモードなら責任もってまた買ってくるって。あんなコンビニのじゃなくて駅前のケーキ屋の旨いやつ。 くってりと便座にもたれて、やっとやっとでそう返す。 …何?そういう問題じゃない?まずは、一緒に喰おうと約束して楽しみに...
  • 27-489
    Q.あなたは人を殺したことがありますか? 当時私は学生でした。何のことはない、どこにでもいるような普通の学生です。 特別学業ができたわけでも、スポーツができたわけでもありません。 友人らとバカをやって、騒いで、笑う、そんな事を繰り返していました。 そんな当時、私とよくつるんでいた友人の中に、夢野、という男がいました。 彼は線が細く、いくらか中性的な顔をしていて、私達がどんなに騒いでいてもいつも穏やかに笑っている、そんな印象の男でした。その割に手が出るのは誰よりも早かった。 彼とはクラスが同じ、家も学校から同方向という事もあって特に仲の良い男でした。 ある時、夢野がとても深刻そうな目で、「相談にのって欲しい」と言ってきました。 別の友人達の相談にのるのはよくあることだったのですが、夢野から、というのは珍しかった。 夢野の顔はとても深刻そうで、クラスの誰それ...
  • 23-489
    受けがヤンデレ 大学3年生と言うのはこんなに忙しいものだったかと、なんだかこめかみが痛い深夜2時。 俺は大学生活どころか人生を左右するであろうレポートに取り組んでいた。 膨大な量だ、一日でも手を休める訳にはいかない。 同居している湯橋がコーヒーをいれてきてくれた。 「どう?門馬、進んでる?」 「あ゙~なんとか…でもダメだちょっと目ぇ疲れた、休憩」 「はい、コーヒー」 「おー、ありがと」 俺は毎日レポートに追われているせいもあってバイトをすることが出来ず、家賃から光熱費から、全て湯橋に世話をして貰っている。同居というより居候だ。 湯橋は穏やかでよく気のつく性格で、たまにブチ切れることもなくはないけど、いいやつだ。 コーヒーカップを持ったまま、湯橋があくびをしていた。 「湯橋、俺に合わせて起きてなくてもいいぞ?」 「平気平気、明日授業ないし、レポート手伝うよ」...
  • 22-489
    くすぐりに弱い受け 「ん…」 キスして抱いて引き寄せて。 扱いはとても丁重に。 「あ…、っ…く……、や…、も……ダメ…かも」 まだシャツを捲って横腹を撫でただけ。 少し涙混じりで赤くなった目元はそれなりにそそるが、そんなに早いのはナシだ。 「我慢して」 釦を外すこちらの指を抑える恋人の手が震えている。 「まだ」 我慢して、と言い慣れてしまった言葉。 ヒクヒクと震える脇腹から手を離し、両手を頬に添える。 痙攣に似た震えが収まるまで、たっぷりキスして触れられない分だけ気分を高め。 胸元へと手を伸ばせば、息を飲む気配。 諦めてその手を下ろしてスキニーの釦に。 チャックを下ろして、下着の中へと指を入れて肌を探る。 既に頑なっているベニスを手の中で扱けば、性急な扱いにご不満だと言わんばかりにドンと背中を叩かれる。 知ってるよ。 ムードも手順もへったくれもない...
  • 14-489
    傍若無人なくせに天然 「へへへ…観念しろよ。こんなとこに誰か来るとでも思ってるのか?」 「っ…く、……ぐぁ…!」 茶髪の男に容赦なく脇腹を蹴り飛ばされ、床に蹲る俺を見下ろして、他の二人が下卑た笑い声をたてた。 …迂濶だった。次に試合で当たるF高は、退部させられた生徒の中に、教師も手を焼く問題児がいると聞く。 「探り入れると『不慮の事故』が起きる」という噂はこういうことか…。気づいた時にはもう遅い。 「お前、二年の諸井だろ?いろいろ聞いてるぜ、K高の期待の星とかって」 「どんな奴かと思ったら、ヒョロっこくて女みてえじゃねえか。こりゃ別なほう期待したくならねえ?」 「だははは、お前最っ低ー!!俺ぁてっきり、腕捻るくらいでいいかと思ってたのによ」 「優しくしてやろうぜー、アッチのほうも脆そうだしな。モロイだけに」 「さぶっ、笑えねー!!」 などと言うくせに嘲笑する声に...
  • 9-489-1
    冬のバーゲン 新年の挨拶でもしてやるかと訪れた古道具屋の店先には、 「冬のバーゲン開催中」と毛筆で書かれた半紙が貼られていた。 店に入ると、店主である男が俺に気づいて片手をあげた。 「おう、あけましておめでとう」 部屋着にどてらを羽織って椅子に座り、ストーブにあたっている。店の中に俺以外の客はいない。 「外のあれは何だ?書初めか?」と聞いたところ、 「見たまま。バーゲンを開催中」と、なぜか自慢げに言われてしまった。 なんでも、有名百貨店の初売りバーゲンの様子をテレビで見たそうだ。それで「ぴーんときた」らしい。 「すげーんだよ。福袋買うための行列ができてたりしてさ。お客さんが大勢押し寄せてんの」 「それで自分の店でもバーゲンやろうって?」 「そうそう。気合い入れて福袋も作った」 見ると、店の隅に風呂敷包みがいくつか並べてある。 そのう...
  • 8-489-1
    嘘でもいい 「ねぇ、愛してるとか言わないの?」 「嘘でもいいなら好きなだけ言ってやるよ。」 「・・・可愛くないね。リップサービスって言葉知ってる?」 「一回千円ね。」 「ちょっと、金取るの?それサービスじゃないよ・・・」 「俺はお前の望むままヤってやったじゃん。  SEXのあと愛してるって言ってほしいなんて聞いてない。」 「・・・あのね、貴方はもう身体売ってるわけじゃないだし、  僕に付いてきたってことはそれなりに好意があると思ってたんだけど・・・」 「もちろん、男娼から足を洗わせてくれたのはお前のおかげだけど、  そこに恋だの愛なんて感情が生まれるなんて俺は思わない。」 「・・・・・・哀しいよ、そんなの・・・」 「お前はあそこから抜け出すキッカケを与えてくれた。それには感謝してる。」 「僕と居て、楽しくない?少しでも僕を考えたことはない?」 「・・・・...
  • 10-489-1
    裏切り者の烙印を押されても 薄暗い牢獄に、靴音と叫び声が入り交じる。 ランタンの光も届かないその片隅で、ひとりの青年を抱き込み庇うようにひとりの男が蹲っていた。 銀色の冴えた光に似つかわしくない鮮血を纏わせる剣が、傍らに投げ捨てられている。 立派なのは文言だけで、民衆の声を聞き入れない王政を覆そうと反乱軍の先鋒を切り城内に侵入したはいいが、 もう何十回目の争いに耐え抜いただけあり内部は要塞の如く複雑に入り組んでいた。 農園のようにベリーの木々が生い茂るこの庭を突っ切るとしても時間の浪費は避けられないなと、 喉元で小さな笑い声を漏らした男は、淡い水色の髪を揺らし空を見上げた。 「…ラグズ?」 苦悩と困惑を色濃く表した声に、反射的に右手に握っていた愛剣を相手の方へ突き出す。 一本の直線を描いた切っ先は彼の金の髪を数本散らし、頬を掠めて一筋の傷痕を残した。 「ん...
  • 12.5-489
    受けを溺愛する攻め 朝起きるとまず、一日の天気よりあいつの体調が気になってしまう。 あいつは昔から妙に風邪をひきやすい。気付くといつも風邪をひいている。 365日のうち風邪ひいてない日の方が少ないんじゃないかってぐらい常に風邪をひきかけている。 子供の頃からずっとそうで、更にそれを今までずっと近くで見てきたことで、 俺の一日はいつの頃からかあいつの体調を気にすることから始まるようになったのだ。 一度それを知り合いに話したらドン引きされたし、俺も自分でちょっとどうかと思うが、 それでも今日も今日とて俺は起きた瞬間からあいつの体調のことを考えてしまっている。 テレビをつけたら新人のお天気お姉さんが今日はとてもあたたかいですよと笑顔で教えてくれていた。 あったかい、か……それなら大丈夫か。でも逆に汗かいて冷えたりしないだろうか。 あいつが風邪をひきやすいのは体質...
  • 24-489-2
    コドモっぽい大人×オトナな子供 ぴーんぽーん。 「こんにちはー。」 どんどん。どんどん。 「こんにちはー。千崎さーん。」 がちゃ 「・・・ふぁい。」 「また寝てたんですか。」 「・・・すいません。」 「寝癖ついてますよ。」 「あ、え、どこに。」 「ここです。」 わしゃ 「・・・どうも。」 「入っていいですか。」 「え、あ、すいません。どうぞ・・・。」 「相変わらずのお部屋ですね。」 「どうも。」 「褒めてません。ごみ出しくらいしてください。」 がさ 「甘いものばかりは太りますよ。」 「すいません。」 「しっかりしてくださいよ。じゃ今から作りますんで。」 「・・・どうも。」 じゃっ とんとんとんとん じゅうぅぅぅぅ かちゃ、とん 「どうぞ。」 「いただきます。」 ふうっ、はふ 「おいしい!」 「何日ぶりの野菜ですか。」 ...
  • 14-489-1
    傍若無人なくせに天然 「傍らに人無きが若し」 「ん?」 「お前のこと。一般的には傍若無人。近くの人にとって迷惑な行動をするって意味」 「俺、迷惑なんかかけてないよ?」 「ほー。よくそんなことが言えるな」 「そりゃ言えるでしょ」 「この間、同じゼミの女の子に何をした?」 「失恋話を聞いてなぐさめた」 「こう言ってな。『あいつ浮気者だよ。この間俺も食われたよ。まだつきあってた時期じゃね?』」 「なんで聞いてるんだよ!」 「聞きたくないのに聞こえたんだよ」 「え? ああ…、いたね。そういえば」 「男に男とられたって、あの後大変だったぞ」 「でも、あれで未練がなくなったはずだ。俺は役にたったと思う」 「そうくるか」 「そうだよ」 「教授たぶらかして、やめさせるし」 「ちょっと待て! 向こうが勝手にやめたんじゃないか!」 「『生徒でいるのがつらい』って言っ...
  • 24-489-1
    コドモっぽい大人×オトナな子供  まだ騒がしい屋敷を出て倉の裏手に回り、雑木林の中。藪をかき分け少し歩いた先にある小さな池のほとり。案の定そこに人影があった。先程の騒ぎの元凶の彼、この家の次期当主は、そこで暢気に鼻歌を歌っていた。こちらが声をかけるより先に、僕に気付いた彼がぱっと笑った。 「怜治、いいところに来た」 「井坂さんがお呼びです。屋敷にお戻り下さい」  無駄と知りつつ言ってみたが、意に介した様子もない。こっちに来いと、猫の子でも呼ぶように手招きをする。 「結構です。僕の役目は坊ちゃまを屋敷に連れ戻すことであって、坊ちゃまと一緒に木陰で涼むことではありませんから」  殊更に「坊ちゃま」を強調して言えば、彼は拗ねたように口をとがらせた。 「いやみったらしくそんな呼び方をするな」 「あんな騒ぎを起こすような方には『坊ちゃま』で十分だと思います」 「見合いだって断...
  • 22-489-1
    くすぐりに弱い受け ―付き合ってください ―…俺のどこがいいの ―そんな、男に告白されても動じないようなクールなところが… ―…ふーん……別にいいよ あの日から今日で3ヶ月。 いつものようにオレの部屋のちゃぶ台で、聡はレポートを書いている。 正直もう限界だった。 いい加減漫画にも飽きたオレは、ベッドに転がったまま聡の背中に手を伸ばした。 「なあ…」 肩に触れるか触れないか、ギリギリのところで聡の手が飛んでくる。 「なに。今忙しいんだけど」 振り向きもしない冷たい態度。 忙しくなくたって振り払うくせに。 弾かれた手がやけに痛い。 「なあ、お前にとってオレってなんなの?」 しまった。 つい口にしてしまった。 この手のアホな台詞は嫌いだと聞いてたのに。 案の定、振り向いた聡はものすごく不機嫌そうな顔をしている。 「だってさ、オレ達付...
  • 6-479
    雨に濡れて 「ど、うしたんだお前っ!」  あまりの衝撃に声が裏返った俺を見て、彼はただいつもどおりに右手を上げて見せた。 「よお」 「よおじゃねえよ! ずぶ濡れじゃねえか!!」 梅雨時とは今日は珍しく晴天で、それはもう見事な夕焼けがあたりを真っ赤に染めつくしている。 そんな中彼だけがずぶ濡れで、途方にくれたように俺の家の前に座り込んでいた。 ガチャガチャと鍵をうるさく鳴らして開けた扉の中へとにもかくにも彼を引っ張り込んだ。 「待ってろ。今タオル持ってくっから!」 けれど彼はそのままずるずると玄関に座り込んで、両腕で顔を覆ってしまった。 「慶介?」 俺の呼びかけにも反応しない。その反応に俺は風呂場に向かいかけていた姿勢を戻した。 「……が」 かすれた低い声が聞き取れない。思わず彼の前にしゃがみこみ、下から見上げるとぼたぼたと 雫がたれてきた。 「ね、こが...
  • 6-469
    甘党 「クリームついてるぞ・・・」 唇の端についていた生クリームを舐めとられた。 「俺のとったな?!」 「・・・一口分も無いのにとったって・・・。」 そう言いながらこいつはうまい事俺を押し倒した。 畳が嫌に冷たく感じた。 濃厚な口付けをされて、体中愛撫されて・・・意識が曖昧になりながら“パフェ食いかけなのに・・・”って馬鹿なこと考えた。 長い口付けが終わると一言「甘い」と言われた。ああ、お前も甘いもん好きだったっけ? コタツの上に置いてあるコンビニの安いパフェが視界にうっすら見えた。でもそれもすぐにこいつとの行為でどうでも良くなるのだろう。 俺にとってお前はそんだけ甘い 雨に濡れて
  • 6-449
    涙も出てこない 黒い服を着て、黒いネクタイを締めて、黒い靴を履いて。全身真っ黒黒介の君が、 今、僕の前で泣いている。 あーあ。馬鹿だな。 誰がって、僕が。なんでバイクにはねられたくらいで死んじゃったんだろう。 君に会いにいくことしか、考えてなかったんだぜ。これから死ぬなんて思いもしてなかったのに。 ほんと、馬鹿だよ。 誰がって、君が。そんなに泣くもんじゃないよ。たかが大学時代の友達がひとり死んだだけなのに。 ……いやさ、一応そういうことになってるんだからさ、そんな、ほら、恋人が死んじゃった みたいな泣きかた、しちゃ駄目だってば。 ごめんね。なぐさめてあげたいんだけど、ほんとは。 いつもみたく、ふざけながら君に抱きついてさあ。「愛してる」なんて笑いながら言って みちゃったりしてさあ。 だけど、ほんとに、本当に、ごめんね。ごめんね。 もう僕には、君...
  • 6-459
    理不尽なわがまま 薄暗い病室のベッドに、叔父さんは横たわっていた。 もう、ろくに身体を起き上げる事も出来ないらしく、 入り口に突っ立ったままの俺を、弱弱しい手つきで何とか手招きする。 「何だよ、幽霊みたいな顔しやがって」 どっちがだ、と言いたくなる。 自分こそ、見てるこっちが辛くなるくらいに顔面青白くしてるくせに。 俺の好きだった綺麗な長髪が無惨に抜け落ちて、頬もげっそりとこけている。 数ヶ月前とはまるで別人みたいで、俺は思わず息を呑んだ。 「叔父、さん……?」 「おう。何だ?そんなに変わっちまったかよ?」 その口調はいつもの軽快なそれと同じで、けれどそれが逆に空しさを漂わせている。 「変わりすぎだよ、ボロボロじゃ、な……」 普段と変わらぬ憎まれ口を叩こうとして、その声が震えているのに気付く。 駄目だ。泣いちゃいけない。叔父さんを心配させちゃいけない。 ...
  • 6-429
    vvvlove(ノ^^)八(^^ )ノlovevvv 「受け、愛してる」 攻めがいきなりそんな事を言うもんだから、俺は思わずタコさんウィンナーを地面に落としてしまった。 ああ、最後の一個だったのに勿体ない。 「……聞いてんのか?」 「えっ?あ、聞いてる!すっげぇ聞きまくってる!」 そうは言うものの、地面に転がっているタコさんが気になって仕方が無い。 恐らく攻めも気付いてるだろう。俺の目が泳ぎまくってることに。 「もう一回言うぞ」 「いやいや!いいって。遠慮しとくよ」 タコさんが気になるのも確かだが、「愛してる」なんてこそばゆい事をリピートされるのもなぁ…。 いきなり何をトチ狂ってるんだろう、攻めは。 「…だってさ。俺たち恋人同士なのに全然それっぽくないじゃん?」 俺の冷たい視線に気付いたのか、気まずそうに攻めが言った。 「まあ、確かにそうだけど…。でもい...
  • 6-419
    催眠術でたぶらかす 隣で寝ている彼。 昨日あんなに乱れて、求めて、溺れた彼。 ベッドシーツは昨晩の情事の余韻に乱れ、空気は甘く気怠く体にまとわりつく。 欲しいから、何もかも欲しいから、どんなことをしても彼が欲しかったから。 卑怯だと知っていたけれど。欺瞞だと分かっていたけれど。 それでも、使わずにはいられなかった。 この眠りから覚めたら、彼はきっと離れていってしまう。 無理矢理彼の心の内を暴き立て、淫靡に、卑猥に、深層意識をかき乱し。 そうやって手に入れたものは後悔と、行き場のないさらなる愛情。 彼が、微かに目を開けた。眩しそうにこちらを見る。 手放すものか。商売道具に手を伸ばし、彼の目をのぞき込む。 「…あなたはだんだん…」 vvvlove(ノ^^)八(^^ )ノlovevvv
  • 6-499
    アメフラシとてるてる坊主 ぼくは きみに こいをしました ・・・おい、お前は何でそんなとこに釣り下がってんだ? 僕はてるてる坊主だからさ。神様に雨が降らないようにお祈りしないと。 じゃあ、俺の敵だな。 そうだね。そういうことになるね。でも安心して?僕はすぐ消えてなくなるから。 何で? だって、他の仲間もそうだったんだけど・・・用がなくなると僕達は捨てられる運命だから・・・。 ・・・。 ごめんね。君のお仕事の邪魔しちゃって。できれば僕も君と同じ種族に生まれたかったなぁ。 おれは こいつに こいをした ・・・なんで?何で同類になりたい?俺たちアメフラシは人に嫌われる妖怪だぜ? うん。でも、ぼくがてるてる坊主じゃなかったら君と二人でいられるでしょ?多分ずっと。 俺と・・・?一緒に・・・? ぼくは・・・君に恋をしてしまったようです。 ・・・・・...
  • 6-409
    βエンドルフィン 「先生、何ですかこの資料」 「ん、さあ、誰かが忘れていったんじゃないか」 「いや、でもこのホチキスの留め方先生のでしょう、ほら、一回折ってから斜め45度」 「・・・ああ、調べたけどいらなくなったんで、そのへんに置いといたんだったかな」 「しっかり私の机の真ん中に置いてありましたが」 「ん、そう?」 「近所のゴルフ場地図、車の写真、βエンドルフィン概要」 「・・・」 「ゴルフ場はこないだ行った所でこの車は私の乗っている車種でβエンドルフィンは脳内麻薬物質ですよね」 「そうだったかな」 「・・・楽しかったんですね?」 「ん、まあ」 「また行きたいんですね?」 「休みが取れて誘われれば行ってもいい」 「誰が先生のスケジュール管理してると思ってるんですか、次の休みは取れても二週間後です」 「そうか」 「この資料、捨ててもいいですか」 「・...
  • 6-439
    ノン気×自称バリタチ 「一応言っとくけど、俺タチだから」 ベッドの上に正座で向かい合ってそう宣言する。 目の前の男は俺の魅力に参ったノンケだ。 まあ俺の美貌に掛かればそう珍しいことでもない。 「タチって何ですか?」 「そーんなことも知らないのかよ?こーれーだーかーら素人はぁ……」 大袈裟に溜息を吐いて見せたものの、人にモノを教えるのは嫌いじゃない。 何故ならば相手の圧倒的優位に立てるチャンスだからだ。だって俺タチだし。 「つまり、俺が上ってこと」 「ああ!成る程~」 何とも間の抜けた返事だ。もっとも、ネコとしてはこれが丁度いいのかもしれない。 ネコのことってあんま詳しくないんだよな…。だって俺タチだし。 「じゃあ早速お願いしますね!」 「おうよ」 その言葉と共に、相手の服を一枚ずつ脱がしていく。 間違っても手間取ってはいけない。 美しく優雅に且つ滑ら...
  • 26-429
    存在を刻む 例えば、携帯の着信に残るお前の名前とか。 例えば、ずぼらな俺に代わってお前が直していったスリッパの並びとか。 例えば、いつの間にか本棚に入ってる俺のじゃない漫画とか。 例えば、洗面所の一角を占めるお前の石鹸類とか。 例えば、前よりも消費が著しくなった調味料とか。 例えば、お前があちこちつけていったキスマークとか。 例えば、お前が泊って行った翌日の身体のだるさとか。 例えば、ベッドに残るお前の整髪剤の香りとか。 日々の生活の中に、お前の存在を刻んでいくのが幸せでしょうがない。 なかなか好きといえない
  • 26-469
    お説教 「お前は、食った食器を水に漬けとけって何度言ったら分かんだよ!」 今日もスミに説教を食らう。 几帳面なスミと、ズボラな俺。しっかりしてるスミと、うっかり者の俺。 同い年なのに。ガキの頃からずっと、何かにつけて俺はスミに説教されてる。 今も、晩飯を食い終わって食器を放置していた俺に、風呂から上がるなりスミが説教を始めた。 「洗えって言ってんじゃないんだぞ。せめて漬けておくくらいしろ!乾いたらどんなに落ちづらいか…」 親に説教された回数よりも、スミに説教された回数の方が確実に多い。 まあこの説教も、母ちゃんによくされたけど… でも今は、スミにばかりされている。狭いアパートで、寝食を共にする今は。 「ごめんなさい」 「態度で示せ!そう言ってちっとも治んねえな!飯抜きにするぞ!」 「わーマジごめんなさいいいい!」 実は、説教を聞くのは好きだ。なんて言ったら本...
  • 16-479
    ジャージ貸して 「なあ貸してったらかーしーてー」 背中の一部を掴みぐいぐい引っ張られる。やめろ、伸びる伸びる。と言いたいがももう伸びてしまっているから諦めて、自分を抱きしめるように腕を回した。今日こそは死守する。絶対に。 「やだ寒い」 「お前デカいんだから我慢しろよ」 なんつー理由だ。オレが身長だけ無駄にあるひょろひょろの痩せっぽっちで「まじでもやしだな」なんて言ってガラスのハートを傷つけたのはお前なのに。こういう時だけデカいからなんて。 「デカいけど…デカけりゃ丈夫ってわけじゃないし」 「いーから!風邪引く!」 あーもう。なんで怒られてんのオレ。このジャージオレのですよね? 仕方なくオレは言われるままにジャージを脱いで差し出した。にんまり笑って羽織ると一番上までジッパーを引き上げた。あったけーとしあわせそうな顔で笑う。 「サンキュー」 「なんか奢...
  • 16-449
    我は海の子 何も考えずただひたすらに車を走らせる。 もうすぐ日付が変わるというのにやけに明るい東京の街に嫌気がさす。 時々自分は何をやっているのだろう、と疑問に思うときがある。 若い頃の漠然としたでっかい夢とやらのために東京の大学に進学した。 気付けば無難な会社に就職し、無難に毎日を送っている。 目標もない。守るものもない。 そんな自分がたまらなくいやになっては、車に乗り込みなにかを探すかのように深夜の東京を走る。 二時間ほど走っただろうか。 うるさい程に明るく賑わっていた辺りは真っ暗になり、目の前には夜の海が広がっていた。 波の音。潮の香り。 ふるさとの小さな家を思い出す。 田舎では遊ぶ場所がなかったのと家が海に近かったせいで、毎日のように海で遊んでいた。 楽しかったことも、悲しかったことも、 子供時代を思い返すといつもそこには海がある。 冷た...
  • 16-409
    上司と部下 「つまりあなたの上司が僕の恋人で、僕の部下があなたの恋人だったというわけですね」 「…待ってややこしい、つまりどういうこと?」 「…だから、あなたと毎晩あんなことやこんなことをやってる榊さんは僕の下で働いていて、 僕が毎晩ベッドの上でいじめてる結城くんはあんたの上司の結城部長だったってことです」 「えー、あー、…えー?本当ですか?マジ?マジもん?榊さんの上司があなた。 それで結城部長は毎晩あなたとちちくりあってると、そういうこと?」 「はい」 「まいったなあ、じゃあ色々とやばくないっすか、これ」 「…まずいかもしれませんね、というか、まずいと思うなら……やめ……っ」 「それはやめられませんよ。だってあんたの体、良すぎ」 「……僕はタチなんですけどね…」 「それがまた不思議で、僕もネコなんですけどねえ」 「…ああ、僕は明日榊くんとどんな顔で仕事す...
  • 26-439
    なかなか好きといえない あと一分しかない。 「あーあ、結局二十歳になるまで恋人も出来なかったよ」 その言葉を聞いた時から、あいつが二十歳になる前に、絶対に伝えると決めたのに。 文面は何度も何度も読み返して、完璧なはずだ。 あとはこの、送信ボタンを押すだけ……それだけが、どうして出来ない。 このまま言えずに明日を迎えるのかーー 指先の震えが大きくなる。いや、違う、着信だ。 「もしもし、慧ちゃん?」 もう時間はない。 なかなか好きといえない
  • 16-419
    わんこ攻めとへたれ受け 後輩の園田はわかりやすい奴だ。 いつも好奇心に瞳を煌めかせ、楽しいこと嬉しいことを見つけるとぱっと顔が輝く。 理不尽なことを見れば真剣に怒る。 他人が困っていれば共ににおろおろし、人の悲しみに一緒になって涙を流す。 何かに落ち込むことがあればショボンと項垂れるが、 前向き思考で立ち直りが早く、すぐにまたにこにこと顔を輝かせる。 俺に何故か懐いていて、先輩先輩とまるで子犬がじゃれつくように俺にまとわりつく。 そんな園田を俺は煩いと思うよりむしろ可愛く感じていた。 楽しげに笑うその姿が傍にいないとなんとなく寂しく感じるようになっていた。 だから、 「萩野先輩、俺、先輩のことが好きなんです!俺の恋人になってください!」 真っ赤な顔で真剣にこちらを見つめる園田に、 「お、おう」 つい、肯いてしまったのだ。 もちろんその言葉に嘘はなかった。...
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