*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「6-719」で検索した結果

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  • 6-719
    冒険家仲間 「昔誰かの対談で読んだんだけど…あ、片方はシーナマコトだったはず」 「え?なに?」 「冒険家って、単に想像力が乏しい人種なんじゃないかって…自分達が困っている状況が  想像できないだけなんじゃないかって」  その顔は笑っているけれど、声はすこし強張っている。自分達は明日から冬山に 登る。付き合いだしてから、関係が仲間から恋人に変化して初めて。 準備は遺漏なく整えているはずだが、いつだって万一はある。 …そしてその可能性がなければ登山なんてしない。 「ああ、俺には想像力がないな、確かに。だからお前と付き合うのも想像だけじゃ  我慢できなかったんだ」  そして彼を組み伏せる。湯を贅沢に使った入浴直後の彼の身体を抱きしめるのは しばらくお預けとなるだろう。  玉砕を覚悟したあの告白の時に比べたら、正直なところどんな冒険もスリルに欠ける。 ...
  • 16-719
    女好きのノーマルが男にハマる瞬間 女の子はかわいい。 ふわふわしてて、まるくって柔らかくて、なのに細くて ぎゅってしたら壊れそうで、それなのに芯は強い。 理想の女の子ならたくさんいる。 茶髪のくるくるパーマの子も好きだし、黒髪ストレートの子も好きだ。 一重の切れ長な目も、二重のくりっとした目も好きだ。 キツイ性格の子も、甘えんぼの子も好きだ。 どの子にも共通して抱く感情は、「守ってあげたい」。 それに尽きる。 「それってなんか、不純だよな」 そう言って日本酒を一気に呷る、嫌味なほどにオトコマエな、俺の幼馴染。 こいつの家には大量の酒と大量の本しかない。 この安アパートの狭い一室が図書館になる日も遠くないんじゃないだろうか。 「どこが」 「女の子を守ってあげたい、ってエゴじゃん」 「悪いか?」 ぐっと俺が飲み干すのは、アルコール度数の低い缶チュ...
  • 1-719
    夏ミケ×冬ミケ 「さむい」 「・・・・俺はあつい」 「温めろ」 「これ以上あつくなりたくない・・臭いだろうし」 「僕は君の匂いも好きだ」 「やめろ、これ以上あつくなったら死ぬ。」 「僕は今日という日に結構なウェイトを割いているんだ。温めろ」 「肉体労働で熱射病になってこの世とオサラバか。悪くないかもな」 「僕は冷え切っている。逆に君が涼しくなるだろう」 「温めるんじゃなかったのか?あつくなりたいんだろ?」 「どうかな。君の頑張り次第だ」 「肉体的に?金銭的に?それとも、精神的に?」 「三択というのはいけない。何事もバランスが肝要だ」 「へぇ、じゃぁ今日のバランスはどうなの?」 「決まっている。どれも95%ずつだ。」 「残りの5%は?」 「君の頑張り次第だと言っている」 「仕方ねぇな。何事も積み重ねだしな。よし、死ぬ気で温めてやる」 ………ま...
  • 9-719
    移籍 最後の練習を終えた後、ひとり残って荷物の整理をしていたら、もうとっくに帰って行ったはずのあいつが、足音も荒く ロッカールームへと戻ってきた。肩で激しく息をして、シャワーを浴びた髪もまだ生乾きのまま。 「今、フロントから聞かされて───本当なのか。あんた、移籍の件了承したって」 「早耳だな」 ロッカーにそんなに荷物を溜め込んでいたつもりはなかったのだが、足許に置いたスポーツバッグは許容量いっぱいだ。 このチームに在籍して3年、物理的な荷物の他にも色んな思いが交差して、俺は持ち上げたバッグを殊の外重く感じた。 「随分あっさりしてるんですね。チームに愛着がないわけじゃないでしょう?───あんたがいなくなったら、誰が俺に シュートを決めさせてくれるんですか。あんな鮮やかなパスを、一体他の誰が俺に寄越すって言うんだよ」 「…上が決めたことだろう。チー...
  • 5-719
    記憶喪失 怪我「自体」は大した事はないと言われ、急いで向かった入院先。怪我以外の問題を告げられた診察室。 そっと入った薄暗い個室。眠っているのを確認して触れた髪の毛の柔らかさ。静かに、起こさないよう にと、声を押し殺して泣いた。彼のぼんやりとした瞳に俺が呆然とした朝を過ごした後、初めて会った 日の感覚を懸命に思い出して、やり直そうと誓った。見てろよ運命、と神に喧嘩を売って自分に発破をかけた。 そして、退院日。 病院を後にして桜の咲き始めた帰り道を歩きながら、肩のスポーツバッグをかけ直して彼が喋りだした。 「お前さ…俺が入院した日の夜、隣で泣いてただろ」 「え…」 ばれてたのかと、うろたえる俺を彼は鼻で笑った。 「アレだけ泣かれりゃ起きるって。ヒックヒックうるさかったし」 「ゔ」 「でも、まぁ…」 久し振りに直接肌に注ぐ太陽が眩しいのかすっと目...
  • 4-719
    ノンケに告り罵倒される攻め (携帯電話で告るシチュで) 『もしもーし。誰ー?』 「おれおれ! 俺だよ!」 『…俺には事故る息子はいないから詐欺なら他当たってくれ』 「ちょ、まっ…! さ、詐欺じゃないって! 俺。攻男」 『ああ、攻男? わっり、登録してなかったからわかんなかった。で?』 「唐突ですが…俺、お前が好きなんです!」 『………はあ? 何そのバツゲーム』 「罰ゲームじゃなくて…ま、まじで」 『ちょ、ヤバいってお前。ホモとかデラキモいって』 「…」 『お前俺のことそんな目で見てたの?』 「…ええ、まあ」 『きんもー!! つか電話で告とかどうなのお前! いや、これバラしてい!?  マジさあ、「攻男注意報」とか出そうよ! やばいって!  皆ケツの穴にガムテしてくるって! やっべマジうける!!』 「…あ、あの、俺別にだれかれ構わずケツ狙ってる訳じゃなく...
  • 3-719
    一晩限りの関係 彼のことを、何も知らない。名前すらも。 いつもと同じ、行きずりの関係となるはずだった。 誘い、誘われ、駆け引きを楽しんでから肌を重ねる。 いつもと違ったのは、別れる時。 連絡先を訊こうとし、何度もためらい、結局何も訊かなかった。 その気になれば探し出せると思っていたから。 あの時は、まだわからなかった。 どれほど彼に心を奪われているのかなど。 そのことに気付いた時、全ては遅かった。 名前すら知らず、手がかりもなく、写真もなく。 そのバーの常連だと思っていた彼は、実はその日限りの客で。 彼の声も、彼の匂いも、彼の仕草も、鮮やかに思い出せるのに、 まるで存在しない、彼の痕跡。 二度と会えない彼を想い、何度も記憶を再生する。 一夜限りの関係だった。 想いは千夜続くだろう。 光源氏計画
  • 8-719
    あぁ勘違い 俺、初めて気づいたんだけど 「え、ちょっと何?え、待って?!」 「?どしたの?」 「え、だってさ…」 彼と付き合い始めて約3ヶ月。 お互い男と付き合うのは初めてだったせいか、 部屋に行き来するのに一線を越えさせてくれない彼。 もともとエッチ大好きの俺としては有り得ないほど待ちに待ったこの時が今日来たのだ。 彼を部屋に呼んで、酒を飲ませていい雰囲気に持ち込んだ。 そのまま勢いでキスしたら彼も満更でもない顔。 酒で赤くなった肌、ちょっと潤んだ目。 やばいよな。 狭い部屋は少し移動すれば、すぐベッドだ。 お互いキスしながら、服を脱ぎながらベッドに腰を下ろす。 彼は脱ぐと意外に華奢だった。 その薄い肩口に唇を落とす。 彼の手が俺の後頭部に廻って、その指で髪を梳いてくる。 そのまま唇を胸の方へ下ろしていく。 と、彼が声を上げた。 ...
  • 7-719
    今夜すべてがパーに 「オーケー、俺深呼吸。俺今夜超頑張っちゃう。」 そういいながら彼は愛しい彼のために 今まで培ってきた全てをぶち壊しても構わないと決意を決め 身を乗り出しベランダからその隣のベランダへ まるで羽ばたく鷹のように飛ぼうとしたが しかしそれはペンギンのごとく落下し べりゃりという間抜けな音と共に落下したのであった。 事の発端は三日前。 愛しい彼と落下した彼は無二の親友であり 古き我が家を隣り合わせにした幼馴染であり、 なんでも話せてしまう兄弟のようなものであり、 ということを、お互いに自覚し認めあっていたのであったが 落下し今にも泣きそうな彼の持っている一物は どうしても学校のどんな才色兼備の乙女達を見ても反応せず こともあろうに親友で幼馴染で兄弟のような彼の夢を見た瞬間に 初めて自分が男になったという事件からだった。 今にも泣...
  • 2-719
    THE・修羅場☆ワロス でも萌えあがったよ…坊ちゃん 「お前、ちゃんとリロードしたのか?」 「大丈夫、分かってるって」 「お前はいつもそうだ、大丈夫大丈夫って、いっつもリロードし忘れるじゃないか」 「そんなにカリカリしなさんなって。ほんと神経質なんだからお前は」 「俺が神経質なんじゃない、お前がのんびりで構わなすぎるんだ」 「そうかぁ?まあ気にすんなよ。大したことじゃねえじゃん」 「これでいったい何回目だ。何回繰り返せば気が済むんだ」 「なんだ?牛乳でも飲んでカルシウム摂れよ。ちっとは落ち着くぞ」 「お前がそんなだから皆困るんだよ」 「皆って誰だよ」 「誰って……誰でもいいだろ」 「おい、教えろよ」 「お前には教えねえ」 「なんだと?俺以外の誰のことを考えてんだ?」 「お前には関係ないだろ」 「いいや、この口割ってそい...
  • 19-719
    でかいチワワ フウ…と溜め息を付きながら 体育祭の喧噪を逃れオレはひと気のない校舎裏へ来た。 原因はさっきの仮装リレー。 受け狙いの競技のくせに、以外と得点が高いこの競技。 秘密兵器のアンカーとして送り込まれたアイツは凄かった。 なにせ可愛らしいぶかぶかのチワワの着ぐるみが 他のクラスの特撮ヒーローやら忍者やら海賊やらをごぼう抜きにして ぶっちぎりの1位でゴールしたんだから。 そのあと、着ぐるみの頭の部分をハズして「やったぜっ!」って手を振ったアイツの笑顔。 クラスの皆でそれを喜びながらも、オレは複雑だった。 そんな笑顔を、他の奴らに見せてほしくない。 これ以上、注目されてほしくない。 なんだかいたたまれなくなったオレは、逃げるように校舎裏へとやってきた。 ようやく少し落ち着いたとき、いきなり後ろからどつかれた。 「…ってぇ、何だよっ!」 ...
  • 23-719
    異端審問官 「違うんです!抵抗したのに彼が力ずくで唇を重ねて!」 「それで?」 「そしたら舌が入ってきて……」 「ディープキスをしたと」 「でも僕は『こんなの駄目だ』って逃げようとしたんです……そうしたら彼が僕の……その……」 「んん~僕の何?言ってごらん」 「僕の、アソコをですね……」 「アソコってどこ?ちゃんと言わないとわからないなぁ」 「ですから僕のおちんちんを……」 「んんん~君のおちんちん?それはどんなおちんちん?ハァハァ」 「それは関係あるんですか!」 「あるかどうかは私が決める事だ、さあ恥ずかしがらないで言ってごらん、君のどんなおちんちん?ハァハァ」 「普通のおちんちんを」 「普通?普通って何だろうね、こりゃもう実際に見ないとわからないね?」 「はあ?」 「さあ!おちんちんを見せて!」 「嫌です」 「君に断る権利なんて無いんだよ?さあ...
  • 27-719
    何でも屋 近所に何でも屋ができた。 「何でも屋ですか」 「ああ」 店にいるのは髪の短い店主のみ、普段の仕事は何をしているんだろう? 何でも屋って言うからにはなんでもするんだろうし……エロイこともしてもらえるんだろうか。ちょっとだけ想像してのどをごくりと鳴らした。 「気になったんで普段どんな仕事してるのか教えてください」 店主に声をかけた。すると店主は掌を上にして軽く揺らした。 「小依頼1つで5000円だ。うちは前払いオンリーなもので」 金の要求……ちょっとした質問ですら金が必要なのか。 「はい、5000円」 しかし知的好奇心は収まらなかった。財布の紐の硬さよりも、好奇心は大きい。 「ん、たしかに」 「基本的になんでもする。多いのは小依頼で一つ5000円。その次に多いのが中依頼で30000円、それ以上の大依頼はものによる。 そうだな、今やってるような小依頼...
  • 15-719
    元ヤン はじめて担当を任されたタレントは、信じられないくらい綺麗で、信じられないほど俺様な元ヤンのアイドルだった。 「野村あ、タバコ切れんぞタバコ」 「あ、またそんな…!一応平成生まれの未成年アイドルなんですから、喫煙してるとこなんか撮られたら…」 「とっくに成人した昭和生まれだっつーの。ガタガタぬかしてねーで、火」 クイッと上向きにくわえられた最後の一本に、胸がドキリと高鳴る。 白いフィルターのすぐ先には、薄く色づいた唇と陶磁のような白い肌。 見上げているのに高見から見下されてるような威圧感をもった鋭い視線。 この目に睨みつけられて、逆らえる人間がいるのだろうかと、思ってしまうくらい俺は目の前の彼に骨抜きにされてしまっている。 「しゃ、社長がご覧になったらなんて仰るか…」 「その社長命令。お前と2人の時は羽伸ばしていーってよ」 喫煙者でもな...
  • 14-719
    追い掛けられる悪夢 義也はいつも困ったような顔をして笑う。 「夜ね、よく眠れないんだ」 授業中、豪快に舟をこいでいた彼を起こしてやった時も そんな顔をしていた。 それがきっかけでよく話すようになり 彼はちょくちょく俺の部屋に遊びに来るようになった。 俺は一人暮らしだったし、自宅にいるより気楽だったのだと思う。 彼の家が複雑な事情の下、父子家庭であり しかも父親と折り合いが悪いらしいのは会話の端々から読み取れた。 眠れない、というのは本当のようだった。 初めて泊まりに来た夜、義也は酷くうなされた。 肩をゆすって起すと、息が荒く、体が激しく震えていた。 昔母親がしてくれたように、 やさしく腕を叩いて「大丈夫、夢だよ」と言うとわずかに震えが収まった。 「起きるにはまだ早いから、もう一回寝な」 すがるような瞳が揺れる。 「怖い夢見てたらまた起し...
  • 25-719
    雨の日の告白 仕事で知り合ったアイツは、整った外見だけでなくクールになんでも隙なくこなすいかにもデキる奴だった。 そんなアイツが幼馴染にだけは甘く、仕事中だろうと会食中だろうと電話一本で呼び出されていく。 どんな相手なのか気になって、一度後を付けて見にいったことがある。 幼馴染は、身なりに気を使わないガキみたいな冴えないドンクサそうな奴だった。 歩いているだけで何かへましてアイツは怒っているのに、その表情は俺が見たことのない優しい色を浮かべていた。 敵わない。 絶対にオレの想いは報われないと気付かされた。 このまま知らなかったフリで仕事仲間として側にいる事は出来るが、それじゃオレは先に進めない。 アイツに告白して、キッパリ振られる覚悟を決める。 思い立ったら即実行だとばかりに、雨が降っているのに傘も差さず奴の住まいに向かいながら「話したいことがある」とメールをする...
  • 18-719
    少しだけカニバリズム 俺の好きな男は痛覚が鈍い。 先週は電柱にぶつかって額から血を流しながら平然と歩いていた。 先月は車に轢かれ腕を骨折したのに一日気付かず仕事を続けていた。 「考えてみれば、痛覚だけが鈍いというより、全体的に鈍いんですね。  それでよく怪我をするから少しくらいでは気にも留めない」 「そうとも言えるかもな」 俺は男の上にまたがり、シャツのボタンを一つずつ外していく。古い傷跡を少しずつ露出させながら笑うと、男は蛇のようだと揶揄した。 「好きなんですよ」 「俺が?俺の体が?俺の体についた傷が?」 「さて…難しいですね」 すべてのボタンをはずし終えた後で胸にそっと唇を寄せる。 そして、心臓の上のあたりの皮膚を、噛んだ。犬歯を食いこませ、引っ張りあげるようにして噛みついていると、やがて皮膚がぷつりと切れて口の中に血の味がしみ込んでくる。 そっと口を...
  • 17-719
    詐欺師 その人が亡くなったと知ったのは、バイトを終えて帰宅した夜の十一時頃だった。 首都圏から大きく離れた山間にある俺の町では、日に一度の新聞も大きな娯楽のひとつであるから、日中はそれはもう大騒ぎだったらしい。 母に投げつけられた地方紙の一面には「凶悪詐欺事件多発」の文字。右下に目を向けると小さな枠に、地元の権力者の名前と通夜の場所が簡潔に書かれていた。 (…アドレス、消さなきゃな) 住所は三軒先の大きな家だった。 *************** 町外れの工場で火葬をした。このあたりでは、土に埋めるのが当たり前だったけれど、故人の意思を尊重して、とのことらしい。 列席はしていない。 というのも、俺のバイトというのは、お金の余ってそうなおじさんに甘えて、カードの番号やらブラックな資産を聞き出すちょっと後ろめたいものだったから。 そのささやかな詐欺の、3番...
  • 24-719
    負けるわけにはいかない勝負 幼なじみのあいつと再会したのは、なんの変哲もない、家具もない、監視カメラが四方にあるだけの、のっぺらぼうみたいな部屋の中だった。 一瞬で息が止まる。そんな再会。 負けるわけにはいかない勝負だった。負けた方には死が、生き延びた方には生が与えられる。それもまた、次の勝負へと送り込まれるだけの 生なのだけれども。だがそこでまた勝利を得られれば、その命は生き延びる。果ての無い次の勝負の時へと。 俺はもう、その繰り返しに疲れていた。気が狂いそうだった。涙だけはどうしても流れなかったけれど。 監視カメラの向こうには、この勝負の行く末に金を賭け、上質の酒を飲みながら愉しんでいる奴らがいる。 反吐が出そうだ。 わざと負けたなんて、ばれるわけにはいかない勝負だった。俺はうまくこなしたと思う。 床に膝を折った俺を見降ろして、...
  • 28-719
    桜の木の下で泥酔した二人。 「だからよぉ、俺はこのままじゃダメなんだよぉ」 「んなこと言ったって、お前元々ダメ人間じゃねーかァ」 見えるのは、提灯に照らされて暗闇に浮かぶ春の花だけ。 聞こえるのは、酒に呑まれたバカ二人、つまりオレとあいつの管巻く声だけ。 いつの間にか他の奴らはどこかに行ってしまって、オレたちだけが地面に寝そべっている。 「なぁ、桜の木の下には死体が埋まってんだってよ」 それまで自分がいかにダメかを熱弁していたあいつが、ふと声を落とした。 「何だよォそれ、どの漫画に出てきたネタだ?」 あいつはオタクだから、時々変なことを言う。茶化すつもりであいつの方に顔を向けると、 「……俺さぁ、お前と一緒に埋まりてぇや」 目が合った、と思ったら、手首を掴まれていた。 「このまま桜が散ってよぉ、花吹雪がどんどん積もってよぉ、なぁんにも見えなくなんだよ。...
  • 10-719
    チャリで2ケツ 背中に感じる相手の体温とか 肩から胴へとおずおずと回した腕とか いつもより重たいペダルが、幸せの重みなのだとか 横座りなんか女の子みたいで嫌だとか けど股関節が痛いとか からかったらぶつけられた、華奢だけど逞しい拳の固さとか 腰やらあらぬ辺りの鈍いだるさとか 仲良いなぁ、と冷やかされたり 普段、思っているより広く感じる背中とか ふざけてて、チャリごと河原へと滑り転がっていった事とか パンクしたチャリを、 ジャンケンで交代でひいて歩いた事とか コラ!二人乗り止めなさい!とお巡りさんに怒られた事とか 喧嘩して無言で、それでも二人乗りの帰り道とか 声が聞こえなくても、触れ合った場所の振動で 笑った事が分かったり。 向き合って、お互いの顔が見れない事はもどかしかった でも二人、頬にうける風は気持ち良かった 見つめ合わなくても、心が通...
  • 13-719
    比べっこ(性的な意味で) 「比べっこしよう」 「だが断る」 「えーいいじゃんほらほら柱~のき~ず~はおとと~し~の~しようぜー」 「最近急激に頭と首と背中が大きくなってきた野郎と背の比べっこなんぞ したくはない。おととい来やがって下さい」 「何で足を抜かすんだよ!ちゃんと足も伸びてるよ!」 「でもこの間身長が8cm伸びたけど座高も8cm伸びたって聞いたよ」 「うっせー座高が伸びたのは6cmだ!」 「あんまり変わりはありません本当にありがとうございました」 「ちくしょー!こうなったら意地でも比べっこしてやる!」 「うおっとおいこら重いぞ手前自分の縦幅と共に増えた横幅を自覚しろ!」 「何でそう頑なに背が伸びたって言わないんだよ!そーれ大人しくせんかい!」 「あーれーお代官様おやめくださいー」 「よいではないかよいではないか~」 ...
  • 21-719
    慣れていく自分が怖い なぁ、どうすりゃいいと思う?お、俺…こんなになっちまって 分かってんだよ、これは…こんなのは絶対ヤバイって なのに、今だって頭ん中はあいつで…あいつがやったことで一杯だ 俺が埋め尽くされてく…全部…ああ畜生、ぜんぶだ あいつの手管に…あいつのすべてに慣れていく自分が、怖い 慣れていく自分が怖い
  • 8-719-1
    あぁ勘違い 「目が覚めたか?」 耳元から聞こえる声に覚醒しきらぬ頭は事態を把握できない。 「あぁ悪いな、客布団ねぇんだよ。狭苦しかったか」 …えっと…そうだ、昨日は商談成立させた祝杯をってTさんのマンションで飲んだんだっけ。 「スーツ皺になるから掛けといたぞ」 あぁどうも。。 …って俺いつパジャマに着替えたんだ!? つーか客布団ないからってなんで一緒に寝てるんだよ! うぁああぁぁ~!ヤバいよ、ヤバい!どうしよう。 「くくっ…覚えてないのか?気持ちよさそうに寝てたもんなぁ。 着替えさせんのも大変だったぞ。」 ぇえーっ!じゃあ、あんなとこやこんなとこも見られちゃたわけ? 慌てる俺を見て事もなげに笑ってくれちゃってさ。 いつもと変わらぬ大人な余裕で…いつもと変わらぬちょっと悪ぶった態度で…。 マンションにまで誘ってくれて嬉しくて嬉しく...
  • 1-719-1
    夏ミケ×冬ミケ 「ちょっと君、寄らないでくれなよ。汗臭いじゃないか。汚いなあ」 「オマエが寒そうだから暖めてやろうと思ってたんだよ」 「大きなお世話だ。ホッカイロも持ってるし野外ストーブも持ち込んである。  いくら薄着で来ても暑さに勝てない君とは違うんだ。おかげで会場は快適だよ」 「おい、そういうのは負け犬の遠吠えっていうんだぞ?  結局のところ俺の方が入場者数多いんだからな。日数も多いし」 「し、仕方が無いじゃないか!年末だから皆忙しいんだよ!  最近じゃm-1グランプリなんてのまで近くでやるし…そもそも君が夏にやるから僕が冬になったんじゃないか!」 「オイオイ逆ギレかよ……しかも泣いてるし。ま、そういうとこが可愛いんだけどな」 「ちょ、なんでそうな……やめっ…は、半ソデの腕が張り付いて気持ち悪い……っ!」 「オマエの胸が汗ばんでるから張り付くんだよ。寒いから...
  • 7-719-2
    今夜すべてがパーに 外は嵐だった。 実を言うと、中も嵐だった。分厚い唇が唇にあたる。 湿り気を帯びた大胸筋同士を、肌と肌とで擦り 合わせる。ぐしゃぐしゃになったシーツの上で、 ずぶ濡れになったスラックスの足を絡めれば、 革のベルトが軋んで鳴いた。 こいつはこんなに鼻息の荒い奴だったんだろうか。 オレの頬やら首筋やらにキスの雨を降らせながら、 葛西は喉から声を絞り出した。 「三年だ。三年間黙ってた。ずっと目を閉じて、おまえの 側で、一日一日をやり過ごしてきたんだ」 雨に打たれて脱ぎ捨てられたワイシャツが雑巾のようだ。 二人分、まとめてベッドの下に丸まっている。 「なのに、今夜、全部パーになっちまった。どうしてくれる」 葛西の腕がオレをまさぐる。 どうしてだと、そいつはおまえだけのセリフではない。 そうだ、今日という日がなければ、一生気付かぬ ...
  • 7-719-1
    今夜すべてがパーに もともと酔った勢いで体から始まった関係だし。 しかもそれを脅しにして、半ば強引に続けてきた関係だし。 もともとノーマルなあんたにゃ、荷が重かったのもわかってたし。 「ま、今夜は盛大に飲むか」 わざと明るい声を出して、煙草を灰皿に押し付ける。 改札口からあふれ出す人波。 みんな似たようなスーツ姿だってのに、なんであんただけすぐに見つけられるんだか。 「早かったね、待たせちゃったかな」 「おー、遅かったじゃねーか。残業?」 「うん。ごめんね」 そんな顔して笑うなよ。こっちまでしんどくなっちまう。 「ハラ減った。今日はあんたの奢りな」 「はいはい」 不毛な関係は今夜で終わり。 優しいあんたに甘えてきた関係も、 それ以前に数年かけて築いた友情さえこれでパーだ。 別れてやりましょ。 可愛い奥さんと産まれてくる子供の為に。 ...
  • 12.5-719
    青春真っ只中な二人 手を握れ。 そのまま家まで送れ。 方向間逆?だったら最初に言え。 離れたくないなら抱き締めろ。 そんな目で見るな。 だからそんな目で見るな。 なんでお前が泣きそうなんだバカ。 顔が赤いのはトマト食べ過ぎたんだ。 ミニトマト一個でも食べすぎなんだ。 お前少しかがめ。 何もしないから早くかがめ。 いいから早く。 ――バカ、早く目を瞑れ。 空気よめ。 早く帰れ。 いつまでそうしてんだ。 俺は帰る。 またな。 ……5メートル離れてないのに、メール送んな。アホ。 青春真っ只中な二人
  • 23-719-1
    異端審問官 個人的萌えワードだったので妄想を語る。 (※注意:宗教的な知識は殆どありません。非常に偏った・間違ったイメージです) 「教会」「信仰」「司教」「異教徒」「異端」「狂信者」が出てくるような世界観が好きだ。 また「諮問機関」「懲罰委員会」などの集団が出てきた日には単語だけでwktkする。 だから、「異端審問官」はそのどっちも兼ね備えている存在であると言える。 もうその響きからしてかっこいいよ!(※個人的に) 「異端審問」とは、異端者(異教徒)の疑いのある者と裁判にかけるシステムらしい。(wikiより) よって、それを執り行う「異端審問官」をキャラクターとして考えると次のようなポイントがある。  ---------- 1.信仰心  信仰の代理人として異端を取り締まる職に就いているのだから、勿論、自身の信仰は疑うべくも無い。  よく言えば「信心...
  • 21-719-2
    慣れていく自分が怖い シラフでも酔ってても欲情しててもとにかく祥吾さんは俺の体に触りたがる。 伸ばされた細い指先が俺の顎を。 「伸びたねえ、髭。」 手のひらで、肩を。 「お前、分厚いよこれ、どうすんの?格闘家にでもなんの?」 腕が体ごと俺を引き寄せて。 「お前可愛いねえ、ちっさいねえ。でもなんかすごいでかくなった?」 ……どっちだよ、と。 いくら俺が髭を伸ばそうが筋肉つけようが、祥吾さんにとって俺は可愛い存在らしい。 どんなに仏頂面して払いのけてみても、というか逆にそうすると祥吾さんは何だよお前つれないなあとか何とか言って余計に手を伸ばしてくるのだった。 俺は自分のテリトリーに人が入るのも、俺自身に触れてくるのもあまり好きではないから正直な所初めはかなり閉口したんだこの人には。 祥吾さんは、するりと人の懐に入ろうとする...
  • 21-719-1
    慣れていく自分が怖い 「面白いものを撮りに行く」 とかバカなことを言って、お前が日本を発ってから5年。 「友達できた!」 って現地の子供達とお前の、すごい笑顔の写真が届いてから3年。 何の連絡もないってのは、どういう了見だ? 「待ってて欲しい」 出発の日にお前はそう言って俺に土下座したよな? 勝手なこと言うなって怒り狂う俺に、 「絶対に帰ってくるから」 って約束したよな。 遠いどっかの国で紛争が始まってから3年。 お前の携帯が、ずっと圏外になってから3年。 連絡がない腹いせに、お前の置いていった歯ブラシ、トイレ掃除に使って捨ててやった。 帰ってきたら一緒に買いに行こうと思ってたのに、俺の歯ブラシの隣は今も空いたまま。 ベッドももう右半分空けずに、ど真ん中に寝てるからな。 帰ってきたら、俺に蹴落とされるのは覚悟しとけよ。 ...
  • 12.5-719-1
    青春真っ只中な二人 青春18きっぷって年齢制限無いのは有名だけど、乗車期間限定なの知ってた? 新宿から山形まで8時間かかるなんて事聞いてない。しかも全部各駅停車と来たもんだ。 反対側の座席の窓からは、梅雨真っ只中のどんよりした暗い空しか見えない。今どの辺だろう。 今年の夏切符は7月から使えるんだけど、さくらんぼ食べれるの10日くらいまでなんだよね。 さくらんぼと聞くとドキッとする俺は変なんだろうか。 一年でこの時期しか味わえない果実。とろけるほど甘くて酸っぱくて、すぐに傷ついて膿んで腐って。 茎を結べるとキスが上手。2個くっついて描かれる。どう考えてもレモンより青春ぽくて恥ずかしい。 よりによってそんな物、今じゃないと駄目だから一緒に腹いっぱい食おうぜなんて熱心に誘うなんてさ。 冬は毛蟹となまこ、あと明石焼きを食べにいったんだ。うまかったよ~と思い...
  • 6-769
    思い出になった恋 「よう」  と肩を叩かれた。会社帰りにバス停でバスを待っているときのことだ。  振り返ると中学校の同級生だった川辺が立っていた。勤め帰りらしきスーツ姿で、あのころよりずっと背も高く大人っぽくなってはいたけれど、笑ったとき片頬に浮かぶえくぼがあのころのままだった。 「びっくりした。久しぶり」 「おまえ、変わってないな。通りの向こうからでもすぐ分かった」  走ってきたのだろうか、少し息を弾ませている。 「おまえも、変わらないよ」  肩に置かれたままの手がくすぐったい。  時間があるなら飲みにでも行こうという話になって、二人並んで歩き出す。  俺はふと思う。あのころ、こいつのことをずいぶんと好きだったな。  今はもう、声を聴くだけで胸が弾むことも肘がぶつかっただけで動悸が激しくなることもない。  寂しいような面映いような気持ちだ。 思い出...
  • 6-749
    山手線 金もない学生だった頃 似た者同士の俺達は、良く山手線に乗った お互い狭い実家から学校通いで、今時珍しい四人兄弟 俺は兄貴と妹二人 あいつは姉貴と弟と年の離れた妹 家は寝食に帰るだけの場所だった。 『どっか行きたいけど金ねぇな』 バイトの休みがかち合うと、どちらからともなく言い出して、決まって俺達は山手線に乗った 取り立ててあれこれ喋る訳でもなく ひたすら、ただ隣りに並んで有効時間いっぱい環状線の電車に揺られていた 俺が眠っていたり、あいつは本を読んでいたり 時には逆だったり、駅名を暗記してみたり、ぼんやりしていたり 今考えてみると、何て時間の使い方をしていたんだろうな ある日 卒業を間近にした俺達は 最後だからと耐久山手線乗車チャレンジなんてした わざわざ始発駅まで行って、始発からスタートして 約四年間の事を思い出して、初めてそれまで...
  • 6-759
    ヤクザとその幼なじみの堅気  「もう、こうして会うのは終わりにしようじゃないか」  シャワーを浴びて戻った彼は、ベッドに座り、 がっしりとした手で器用に切った葉巻に火をつけながら、ゆっくりと言った。  未だ乱れたシーツのうえでぼんやりとしていた僕は、 その言葉をはじめは夢のように反芻し、そして意味を悟った瞬間に飛びおきていた。  「いきなり何を言いだすんだ!?」  彼はくすり、と苦笑してから、寝室と続きのダイニングをくすぶっている火先で指した。 そこには、今日の昇進を祝って上司や同僚がくれた花束や菓子類が、 華やかなリボンを解かれて乱雑に放置されている。 そして、彼の持ってきてくれた上等な酒瓶も。  「そんな、僕が何になったって、あんたへの想いが変わるものか!」  叫んだ僕の頭を彼はやさしく抱え、ゆっくりと撫でた。  「あんたはもう俺と関わってちゃいけない...
  • 6-779
    コーヒー牛乳ふいた 「ブハッ!!」と、まさに漫画に出てくるような見本的な吹き出し方だったと思う。 思わず吹き出した…というのは嘘だ。 俺は確実に、目の前にいるそいつの顔目がけてコーヒー牛乳を吹いた。 「きったね~な~、何すんだよ」と俺のシャツの裾で顔を拭っているお前さん。 お前さんですよ、お前さん。 今なんて言ったんですか? もう一度言って……いや、いい。言わなくていいや。 俺は何も聞かなかった。そういうことにする。 なのにこいつは、コーヒー牛乳臭を振りまきながら無邪気な笑顔で繰り返しちゃったんですよ。 「なーなー委員チョ、アナルセックスってどうやんの?」 今度は、俺の口内に、こいつの顔にぶちまけて黙らせるものは何もなかった。 「なあ、おしえてよ、委員チョ」 俺の机の端っこに、ぶら下がるように顔を乗せて、上目遣いで見ないでくれ。 落ち着け、俺。まずはポーカ...
  • 6-799
    明日なんてこなくてもいい。 何度夢見ただろう あの日消えたあいつが戻って来ることを ごめん、と ちょっとした喧嘩の後のような態度で あいつは笑うんだ 思い出すのはいつも笑顔 けれど。 そろそろ区切りをつけなきゃいけないよな ずるずるともうじき二年。 明日になったら、思い出にしよう もういいじゃないか あいつは怒らない 俺が怒りたいくらいだ 約束、破りやがって。 明日になったら …明日になったら。 明日なんて、こなくてもいい セキュリティソフト×ウイルス×OS
  • 6-789
    眠れない夜の話 …眠れない。 ごろり、寝返りを打つ。 熱くて寝苦しくて俺はこんなにも苦しんでいるのに、隣の馬鹿はすやすやと安らかな寝息を立てている。 なんだか妙にむかついて、もぞもぞとうつぶせになって、顔を覗き込む。 汗ひとつ掻いてない顔。手を伸ばして前髪を掻きあげると、整った顔が良く見える。 「…このやろう。疲れてるのは分かるけど、もっと構えよ」 ぎゅう、と鼻をつまむ。八つ当たりなのは分かってるけど。 息が止まって苦しそうに、微かに眉が寄って行く。ソレを見て俺は手を離した。 馬鹿らしい。こんな事で起こしたらまた迷惑かけちまう。 疲れてんだからそんな事はしたくない。 「…しょうがねぇなぁ」 ふー…と溜め息をひとつ。 それから俺は手を伸ばして抱きついた。 嫌がらせと甘えを含めて、力いっぱい密着する。 汗を掻こうが暑くて目が覚めようが、知った事か。 抱きつ...
  • 6-739
    パチ屋の主任×店長 その日、間違いなく、俺は疲れていた。 この前、家で寝たのは、いつだっけ。というか、家に帰ったのは、いつだっけ。 もうそろそろ、ロッカーに置いてあるシャツも、洗濯済のヤツが無くなるはずだ。 今日こそ帰らなきゃ。洗濯しなきゃ。 …って思ってたはずなのに、今日も深夜4時。 今更家に帰っても、明日の朝10時の開店に間に合うように、店に来る自信がなくて、 俺は店の上にある休憩室へ、ふらふらと入っていった。 体が鉛のように重いのは、ここ3日ほど、まともに寝ていないからだ。 真っ暗な休憩室の真ん中には、ソファが置いてあって、仮眠がとれるようになっている。 こんな部屋があること自体、パチンコ店が異常な労働を強いられる、ということを 表している気がするんだが…、と思いながら、俺はネクタイをゆるめた。 シャツはシワになるが、もうしょうがない。 俺は、電気もつ...
  • 16-709
    裏切り者の憂鬱 とある組織に潜入する、ありていに言えばスパイだ。 物好きな幹部クラスの奴を適当にたらしこんで、適当にいい思いをさせてやりながら、 がっつかずに情報を仕入れる。そして欲しい情報が揃ったらハイサヨウナラ。 上手くやるコツは、仕事熱心だと思わせること、機密情報を聞いても興味のないフリをして 他愛もない話へすぐスライドすること、自分が相手に惚れてしまっていると勘違いさせること、 あとはベッドの中で数分でもいいから相手を忘我状態にすること。 男相手ということに免疫がない奴ほど、上手くいきやすかった。特殊な状況に冷静な判断ができなくなるらしい。 「お前も物好きなヤツだ」 こちらに背を向けてシャツの袖に腕を通しながら、今回の『お相手』がぽつりと言った。 「俺なんかに近づいても何も出ないぞ。俺は地位も力も何もない、ただの落ちこぼれだ」 「ヤることヤッとい...
  • 16-799
    ほめろ 色々なタイプに褒めて頂きました。注:それぞれのシチュはバラバラ+適当 ○穏やかに賞賛タイプ 「そんなことはない。誰にでも出来ることじゃない。お前が毎日毎日、少しずつ積み重ねてきた成果だ。  お前はもっと胸を張ってもいい……いや、張るべきだ。もっと自分を誇れ。……よく、頑張ったな」 ○テンション高く素直に賞賛(肝心なところで鈍感)タイプ 「え。これお前が作ったの!?超うめーんだけど。うわーなにお前、嫁いらずじゃん。だからモテないんじゃねーの?  こんな美味いもん毎日食えたら幸せだろうなー…なあなあ、もう俺と結婚しようぜ!……なに焦ってんだよ。ジョーダンだって!」 ○最初から出来るとわかってたよタイプ(Ver.素直クール) 「うん。これくらい、君なら朝飯前だったよね。必ず成功するって、僕にはわかっていたよ。  だって君は僕が見込んだ人だから...
  • 26-789
    ヤクザと公務員 「う、嘘吐きィィィィッ」  大の男がボロリ、と涙を零した。序でに言うなら鼻水だって垂らした。 「あのね、ショウちゃん、俺は嘘なんてひとっつも吐いてないよ?」 「だ、だってお前!!!公務員だって言ったじゃねぇかッ!!」 「うん、だから公務員だって」 「じゃあこれは何なんだよッ!!!」  ビシッと効果音が鳴りそうなくらい勢いよく眼前に突き出されたのは、ついうっかりコートのポケットから落してしまったものだ。 それを目敏く、いや、見た目と職業を裏切って存外繊細で気配りのできる心優しい彼は拾ってくれたのだ。 その瞬間、凍ったように動かなくなった彼の表情は傑作だった。思わず携帯で撮った画像はしばらく待受けに設定しようと思う。  彼が涙ながらに突きつけるそれは一見黒いパスケースに見えなくもない。ただ表にも中にも燦々と煌めく文字が記されている。 「け、け、警察だ...
  • 26-799
    ナメクジとカエル ぺたり、ぺたり、と近づいてくる足音に、ナメクジさんはあえて知らん顔を続けていました。 「やあ、ナメクジさん。今日はいいお天気ですね。」 「ああ、カエルくん。いいお天気だね。」 元気な声に初めて気付いたふりをしたナメクジさんに、カエルくんはにっこりと笑いかけます。 あじさいの葉の下で、ふたりは並んで雨の音に耳をすませ、大きな雨つぶを見つめました。 「もうすぐ夏ですね、ナメクジさん。」 「ああ、そうだね。この雨がやんだら、もうすぐ夏だ。」 「ねえ、ナメクジさん。夏になったら、」 カエルくんが言いかけた時、まっくらな空から、とつぜん大きな音と光がふってきて、あたりを明るく照らします。 「わっ。」 「なんだ、きみはまだかみなりがこわいのか。」 ナメクジさんは少しあきれたように言って、ほんの少しだけカエルくんのそばへ行ってやりました。 子どものころの...
  • 16-769
    教会の息子と寺の息子が付き合ってる 「ちはー、三河屋でーす」 「またあなたですか!まったく毎日毎日!なにが三河屋なもんですか!」 「おう、お前も毎日こんなとこでお仕事ご苦労さん。 ところでお布施くれよ、腹へってんだよ」 「あげませんよ!毎日言ってるでしょう! 私の父なる神はイエスキリストだけなんです、 異教徒の台所事情なんて知りません」 「なんだよー、今日も駄目か。 じゃあワインとパン頂戴、あとできたらナッツとかも」 「昼間っから何言ってるんですか!まったくあなたは! 本当にしょうがない!あなたみたいな人が跡取りになれるようじゃあ、 日本の仏教に未来はありませんね」 「なんだよ、怒ってんなよ。お前、そんなに寺嫌いかよ?」 「嫌いですよ!」 「そっか。残念だな」 「え、な、何がです」 「できたらさ、今日あたりうち案内してえなーと思ってたんだ。 兄ち...
  • 16-779
    攻めが美声すぎて照れる受け 「なぁ聞いてる?」 聞いてるよ。耳が気持ちいいくらい 「なんか浮の空じゃない?」 気のせいだって。 「真面目に聞いてる?」勿論。もっと話せよ。 「………」 ちゃんと聞いてるのに。「バカにしてる気がする…」 んなことないよ。多分。ただ、さ 「ん?」 お前の声、いいな。なんでかな。別に歌ってるわけじゃないのに、もっと聞きたくなる。 だからちょっと聞きほれちゃった。 「……ふーん」 なんだよ。せっかく褒めてんのに。 「なら、こんなのどう?」 耳元に、吐息がかかる。 『好き。多分もう、ずっと前から』 耳朶を熱が舐める。 くすぐったさに身を捩った。 「バカやろー……それはずるい…」 ちくしょう。顔あげられないじゃねぇか。 与える男
  • 16-759
    教師×教師 水曜日は遅め、木曜日は早め、他の曜日は定時帰り 彼の帰る時間はいつもきっちり決まっていた 規則正しく教科書やら参考書やら、大学の資料までもが美しく整頓された棚に 山から崩れてページがぐしゃぐしゃに折れた教科書が凭れていた その教科書を不安定な山にのせて一言「お疲れ様」と素っ気ない言葉をかける彼に、 ただ一言同じ言葉を返せばいいだけなのに 結局今日も何も言えないまま軽く頭を下げるだけの挨拶をして、 数歩で辿り着くはずの扉の閉まる音を待っていた こんな状態じゃ、いくら俯いてマーカーの引かれた箇所を読んでも、 下に敷いたままの残り僅かの採点の済んでいない答案の答えもまったく頭に入らない 教科書体の文字が絵のように感情も持たずにその場にある それでも何とか目で追って、一つ不器用な丸を付けた 「まだ帰らないんですか」 いつもの素っ気ない声。感情の...
  • 16-749
    踏んで欲しい 「あ、あ、あ、…、ふ」 引っ切りなしに声が上がる。 西日の差し込む放課後、下校時刻はとっくに過ぎている。 もう教室には俺達しかいなかった。 「んっ…」 頼むからそんな顔をするな。いつもの優等生面はどうした。 こんな関係になりたかったわけじゃない。 ちょっと虐めてからかってやろうとしただけなんだ。 それなのに、ああ、奴が色っぽい眼でこっちを見ている。 くせになりそうだ。 もとから気に食わなかったんだ。 優等生って時点で、昔から馬鹿やってる俺達からすりゃ目障りだ。 その上、真面目で頼まれ事を断れないタイプとなれば、格好の餌食だった。 パシリにしたり、一人でいるのを見つければ集団で囲んで小突いてみたり。 でも、 「や、」 コイツに対してこんな欲望を抱いたことはなかったはずだ。 今日も奴は余計な雑事を引き受けたのか、こんな時間まで残っ...
  • 26-709
    飲兵衛と下戸 酒が一滴も呑めないというのは、今の世の中だとなかなかに試練であるらしい。 「業後の付き合いつったら、大抵は居酒屋だろ?最近はソフトドリンクをいろいろ置いてる店も増えてきたけど  やっぱり注ぐとか注がれるとか、そういうのがあるわけよ。話をするきっかけにもなるしな。  そこで『すいません、一滴も駄目なんです』で蓋するのはやっぱなんかこう、悪いなあとか思っちまうわけよ」 「ジュースのペットボトルで注いでまわればいいのにね」 そう言ったら、お前面白いこと言うなあと言って、健さんは笑う。 テーブルには小アジの刺身やら酢ダコやら豚の角煮やらアスパラと海老の合わせ揚げやらがずらりと並んでいる。 俺は箸を取って少し離れた場所に置いてあった春巻きを取ろうと手を伸ばした。 健さんがそれに気付いて皿を俺の方に寄せてくれる。 「でも飲めない人に無理に飲ませるのは良くないでし...
  • 26-739
    美男と野獣  夢を見た。  綺麗な薔薇園の片隅に、醜い姿を恥じるかのように蹲って、今にも息絶えそうな獣の夢を。 「……!」  地上に這い出る木の根に躓き、少年の体は転がった。  野獣に贈られた綺麗な服を土が汚す。それでも立ち上がり、土を払う間も惜しんで、また駆ける。 「……どうか」  どうか間に合ってくれ、と呼気を荒くし願う。  彼と同じ姿が欲しい、と唇を噛んだ。  そうしたらきっと、今よりもっと速く走れる。彼の重い体を助け起こすことだってできる。  端麗なだけの見目は要らない、あの赤い目に映らないなら。  街の娘達の歓声も要らない、ただずっとあの低く静かな声を聞いていたい。 「俺は馬鹿だ」  七日も時を貰っていながら、どうして刻限までに戻れなかったのだろう。  どんなに惜しんで引き止める声も、彼の死に行く姿に比べれば、胸を引き裂きはしないのに。 ...
  • 16-729
    また流される 浮気した。すぐバレた。 「怒ってないから」 恋人はいつもの優しい顔をして、話し始めた。けれど伏せた目の中に悲しそうな影が落ちている。 「だた俺は、お前がそんなことするなんて思ってもみなかった。自分のしたこと、もう一回ちゃんと考えてくれ」 そういう弱弱しい表情を見たことがなかったので、胸が痛くなった。 「もうしないよな」 呟くように言われたのに、頷いた。その日の夜にまた、浮気した相手に会った。 もう会うのはよそうと話した。 「嘘とか隠し事して付き合うのは、やっぱりだめだ。よくない」 きっぱり言うと、相手が笑った。 「嘘ついてるじゃないですか」 意外な言葉を返された。唖然としていると、なおも笑いながら言う。 「先輩、嘘つきじゃないですか。引け目で、無理してるじゃないですか」 体が凍った。 完璧な、誰からも好かれる、そんな人の恋人に選ばれて、嬉...
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