*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「6-769-1」で検索した結果

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  • 6-769-1
    思い出になった恋 別れを告げたあの日がよみがえる。 彼と、それまでの総てを思い出に変えてしまったあの日。 彼はいつもどこか線を引いていて、 俺がそれを踏み越えることを許してはくれなかった。 でも向こうが線を越えたときは、俺に思う存分甘えてきたりして。 そんな風に付いたり離れたりしながら俺達は過ごしていた。 出会って別れがくるまで、 俺が彼について知っていることが減ることは無く、また増えることも無かった。 彼は自分のことをあまり話さなかった。 それが表面化したとき俺達は衝突した。 彼は俺だけの彼ではなかった。 「俺以外の奴と…」 彼を責めたが彼は潔白を主張した。 その目に涙が浮かんで、静かに落ちた。 俺は彼が泣くのを初めて見た。 あのときの俺は経験も浅くて、若くて、子供だった。 ただ…許せなかった。 独占欲や未熟さを抱えながら...
  • 4-769-1
    コスモスなど優しく吹けば死ねないよ 「君はコスモスのような人だ」 会うたび彼は俺に言う。 厳つい男だ。堅気とは思えないような顔をしているくせに、武骨なその手で花を愛でる。 そして同じ手で、まるで大切な宝であるかのように、俺の頬に触れるのだ。 「僕のかわいいコスモス」 「やめろよ」 そのたび俺はいたたまれない。 だって、男娼の俺にコスモスだなんて似合わない。 知らないと思ったのか。あんたが花屋だと聞いた時に、コスモスの花言葉なんてすぐ調べたさ。 「俺はコスモスじゃない」 「君はきれいだよ」 「どこが」 彼の言葉はまるで本心のような声音で、だからこそ泣きたいくらい信じられない。 ばかげている。 金で縁取られた時間と空間の内側で、吐き出されるのは熱だけでいい。 「あぁ、いっそ手折ってしまおうか。僕だけのものにならないのなら...
  • 8-769-1
    冷たい手 大きな手が汗ばんだ頬を撫でる。 ゆっくり、ゆっくりとあやされるような赤ん坊の気分になったので、どういうつもりだと熱にかすんだ目で問いかけたら、大きな手の持ち主の、黒く澄みきった夜の葡萄みたいな瞳が、こちらの様子を案じて見守っているのが滲んだ視界にぼやけて見えた。 「僕の手は冷えているので、あなたの頬を撫でています」 その通りだ。確かにそうだ。男の手は大抵いつも冷えている。 そうして俺は、そのことを知っている。 「あなたが言ったんです。お前の手の冷たさには意味があると。手が冷たい奴は、その分心が温かいんだ、心配するなと」 確かにそうだ。その通りだ。いつかの日に、何かの拍子に俺が言った。どっかのドラマで使い捨てのセリフだったが。 「僕のことを。僕自身を、そんな風に肯定的に捉えてくれた人は、いなかったから」 だからこうして、あなたの頬を撫でていますと、大きな手で...
  • 7-769-1
    受で夫・攻で妻 「お前…アレだな、パ○パタ○マ。」 ガーガー掃除機を掛けていた僕は思わず手を止めた。 「は?」 何?なんか言った?と、問い返すと少し大きな声で、 「お前、パ○パタ○マみたいだな。」 と言った。 僕は掃除機を掛けるポーズのままフリーズし、 ベランダで喫煙中の彼を目を丸くしてまじまじと見つめた。 そのときの僕の頭には昔よく見聞きしたあの歌と映像がこれでもかと流れていて… (パー○パタ○マー パー○パタ○マー) 「…ぅ、ウソだっ!!な、なんでっ?!」 ガシャッと掃除機から手を放して、動揺しまくりカミまくりで彼を問い詰めた。 肩を掴まれた彼ときたら、大げさな…という顔で片眉を上げ、服に灰が落ちないよう 煙草を遠ざける。 「ね…なん、なんで?」 もう一度聞いた。 「なんかねえ…今お前見ててふと思ったの。」 「…………」 そりゃ僕は元々...
  • 3-769-1
    またもう一本煙草に火をつけるのは、忘れることを習う為 唐突に目覚めたばかりのような奇妙な感覚のまま呆然と立ち尽くしていた僕は、今 何をしようとしていたのだろうかという疑問からとりあえず片付けることに決めた。 ぼんやり立っている周辺を眺めてみるが、どうも見覚えがない。生活感がないを通り越して 廃墟のような多分部屋らしき場所に僕は今いる。どうしてこのような場所に立っているのか。 一歩足を踏み出してみると、剥き出しになった配線やパイプやらに躓きそうになったので 必死に体勢を立て直す。床とはもう呼べない地面に鋭い硝子の破片が無数に散らばっており、 それが薄汚いこの部屋で妙に煌いていた。その硝子の一つが光を反射するのを目撃した瞬間、 僕の首から吊り下げられた、今にも擦り切れそうな太いロープの先に紙の束が通されていることに ようやく気が付いた。目を通してみると表には見知らぬ人...
  • 17-769-1
    思われニキビ 「あー、思われニキビ!」 「はあ?何言ってやがる」 頬杖をつく右顎にポツリとできた吹き出物を指差して言えば、彼は面倒臭そうに視線だけをこちらへ寄越した。 朝日が射す教室でキラキラと照らされた彼の顔に、不似合いな赤い印。 プクリと腫れたそれはいやに性的で、硬派な彼の整った顔を、自分の劣情が汚しているんじゃないかなんて、自惚れた幻想がちらりと頭を過る。 自分のことながら朝っぱらからおめでたい頭だ。 思い思われ、振り振られってね、顔にできたニキビの場所で占いができるんだって そう説明すれば、一段と呆れたような顔をして、ナンパなテメーが女相手に話すネタだな、なんて嫌味を吐かれた。 「もー、こんなの女の子じゃなくたって誰でも知ってるでしょーよ」 「俺はそういう占い事にも、色恋沙汰にも興味ねえよ」 第一こんなの、テメエに言われるまで気...
  • 20-769-1
    空振りだけどそこがいい 彼の姿勢はあまりよくない。 後ろから見るとその背には緩やかな山ができている。肩を起点にして肩甲骨が峰。 肩をつかみ、その峰を両手の親指で押してやる。分厚い肩だがあっさり動き、山は谷になる。 でも手を離せばぐにゃりと元通り。くらげのようだ。 「何だ、どうした」 彼が微笑む。雑誌からは目を離さず、顔を俯けて。 眉の上、短い前髪がぱさりぱさりと揺れる。低い笑い声が耳に心地好い。 俺は答えず、もう一度彼の肩を開いた。 どうせなら肩を揉んでくれよ、と彼は身をよじったが、やがて気にしないことに決めたらしい。また黙々とページを繰りはじめた。 彼の部屋に来たときは大体いつもこんな感じだ。ふらっと立ち寄る俺に、気にせず自分の時間を過ごす彼。 大学の講義さえなければこうして二人で過ごすのは最早習慣になっていた。 だが、毎回俺が行こうか行くまいか散々悩み、彼...
  • 10-769-1
    オカマ受け 「な?一度だけだから。本当にこれっきりって約束するから」 懇願するヤツの右手にあるゴムが、生々しいほどのリアルを見せている。 スカートの裾を押し上げようとするヤツの左手から、どうにか逃げられないだろうか。 「止めてください!ココはそういう店じゃないんですよっ!」 小さく叫んでもヤツの手は止まらない。 片手で押さえているが、体格の違いは力の違いを見せ付ける。 「イイじゃん。どうせ誰かにヤられちゃうんでしょ?ヤられたいんでしょ?」 口調はふざけているように聞こえるのに、ヤツの目は笑っていない。 手に入った力が強くて、すごく怒っているのだとわかる。 好きでこんなカッコしたり、店に出たりしているわけじゃない。 何の資格も持っていないオレにとっては、コレが一番金になっただけだ。 おまえと離れたくないから、どうしても金が欲し...
  • 6-769
    思い出になった恋 「よう」  と肩を叩かれた。会社帰りにバス停でバスを待っているときのことだ。  振り返ると中学校の同級生だった川辺が立っていた。勤め帰りらしきスーツ姿で、あのころよりずっと背も高く大人っぽくなってはいたけれど、笑ったとき片頬に浮かぶえくぼがあのころのままだった。 「びっくりした。久しぶり」 「おまえ、変わってないな。通りの向こうからでもすぐ分かった」  走ってきたのだろうか、少し息を弾ませている。 「おまえも、変わらないよ」  肩に置かれたままの手がくすぐったい。  時間があるなら飲みにでも行こうという話になって、二人並んで歩き出す。  俺はふと思う。あのころ、こいつのことをずいぶんと好きだったな。  今はもう、声を聴くだけで胸が弾むことも肘がぶつかっただけで動悸が激しくなることもない。  寂しいような面映いような気持ちだ。 思い出...
  • 16-769
    教会の息子と寺の息子が付き合ってる 「ちはー、三河屋でーす」 「またあなたですか!まったく毎日毎日!なにが三河屋なもんですか!」 「おう、お前も毎日こんなとこでお仕事ご苦労さん。 ところでお布施くれよ、腹へってんだよ」 「あげませんよ!毎日言ってるでしょう! 私の父なる神はイエスキリストだけなんです、 異教徒の台所事情なんて知りません」 「なんだよー、今日も駄目か。 じゃあワインとパン頂戴、あとできたらナッツとかも」 「昼間っから何言ってるんですか!まったくあなたは! 本当にしょうがない!あなたみたいな人が跡取りになれるようじゃあ、 日本の仏教に未来はありませんね」 「なんだよ、怒ってんなよ。お前、そんなに寺嫌いかよ?」 「嫌いですよ!」 「そっか。残念だな」 「え、な、何がです」 「できたらさ、今日あたりうち案内してえなーと思ってたんだ。 兄ち...
  • 3-769-2
    またもう一本煙草に火をつけるのは、忘れることを習う為 酒の呑み方を教えてくれたのはあなたでしたね。 ビール、日本酒、焼酎に限らず、いろんな国の酒とともに、 それに合うつまみや料理の選び方。 それらは仕事の接待の席でとても役立っていますよ。 あなたがときどき買ってきてくれた白ワイン、 この間酒屋で見かけましたがあんなに高いものだとは思いませんでした。 一人暮らしで必要な生活術を教えてくれたのもあなたでした。 上京して間もない僕に、光熱費の節約方法から 効率が良い掃除や洗濯のやり方、果てはゴミの出し方に至るまで。 アパートに引っ越してきたその日にあなたが 「部屋の中に1つぐらい植物を置くと気持ちが落ち着くから」と プレゼントしてくれたサボテン、昨日1輪だけ花が開きましたよ。 ──雲の隙間から時々顔を出す太陽の光が、部屋の中をちらちらと照らす。 眩...
  • 10-769-2
    オカマ受け 僕が『彼女』と出会ったのは、南へ向かう汽車の中だ。 僕は出発間際のデッキ、煙草をふかす彼女の足元に転がりこんだのだった。 目の周りに痣をこさえ、ちゃちな鞄ひとつを抱えたぼろぼろの僕を、 彼女は暫くぽかんと眺め下ろしてから 「こんにちは、家出少年」と言った。 汽車が南端の街に着くまでは、二日かかった。 その間僕は暇をもてあます彼女と、とりとめもなく話をしたり、 呆れるほどヒールの尖ったブーツを磨いて駄賃を貰ったりした。 「どうせ行く宛なんかないんでしょう」 「とりあえず南だ。友達がいる」 「そんなもん、あてにしない方が身のためよ」 「そういうあんたはどうなのさ」 「私はね、生まれ変わりに行くのよ」 「生まれ変わり?」 「医者がいるのよ、そういう…。体を思う通りにしてくれるの。性別だってね」 馬鹿な!そんなことってあるだろうか。担が...
  • 9-769
    昼行灯 気持ちばっかり先行して、うまく言葉にできない……だが語る 昼行灯萌えは、奥が深いというより根が深い。 いったん嵌ってしまうとずぶずぶいっちゃって、なかなか抜けられない感がある。 やはり基本は熱血や生真面目さんとの組み合わせだろうか。 普段は「この人、大丈夫かな?」「頼りないなー」と思わせておいて、いざという時のみ本気をみせる。 マジ役立たず系なら、勇気を振り絞って火事場の馬鹿力にすがり、 能ある鷹は爪を隠す系なら、ここぞとばかりに活躍。定番だが、間違いのないカタルシス。 あくまで、いざというとき、だ。 飄々としていても、力をひけらかしたり、有能さを発散させていてはいけない。 爪は周到に隠していただきたい。 爪や感情の棘を隠すということは、周りを威圧したり不用意に傷つけないための 配慮であったり、単なる照れであったり、 過去に出る杭...
  • 19-769
    犬と猫  いつも彼の接触は唐突で、そして気紛れだ。  例えば昼休憩、手洗い場にでも行こうかと席を立ったその時。突然がしっと背後から右肩に腕を回される。  そして左の耳元に響く、囁くような恋人の笑い声。 「どうした、辛気臭い顔して」  君のことを考えてたんだ。そう言えたらどれだけいいか。 「……この分だと今日も残業になりそうで。今夜こそ早く帰れると思ってたのにな」 「え、お前残業なのかよ。なんだ、今夜は飲みに誘うつもりだったのに」  意外にも、とっさに取り繕った別の理由に大きな反応が返ってきた。  頸を曲げて見上げた彼の表情は心から残念そうにしゅんと沈んでいて、まるで散歩に連れて行ってもらえないと 知ってしょげる犬のよう。  可愛い。  どくんと心臓が跳ねた瞬間、密着した彼の体温と匂いを一層強く意識する。こんなのいつものことなのに。 「今から昼食なんだ...
  • 8-769
    冷たい手 「ぎゃあっ!」 「うわ、色気ねー」  急に俺に触れた手の冷たいことといったらない。何つーの? 女なら確実にああコイツは雪女なんだなぁとか思っちゃう 冷たさ。……男は何だろう。雪男……だとただのオッサンだし。  まあなんだ、そういった冷たい手が急に、しかも首筋に押し 当てられた俺の気持ちになってください。寿命縮むから。 「当てるんなら自分の首にしやがれこの野郎」 「やだよ。寒いじゃん」  俺の体温は奪っても構わねーっていうのかこの外道。 「そんだけ冷たいんだもんな。心の底から冷たいんじゃないの お前」 「そんな今更なこと言うなよ。黙って体温奪われてなさい」 「文字通りヒトデナシだなお前……」  けれどその後俺をすっぽり包んだ身体は、まんべんなく 温かかった。  そういえば雪女が迷い込んだ男に出す料理は温かかった っけと思いながら、俺は...
  • 7-769
    受で夫・攻で妻 剣道2段、弓道5段、柔道3段、合気道免許皆伝のこの俺は、 ずっと怖いものなんてないと思っていた。 そりゃ苦手なものはあったさ。 香水くさい女だのちゃらちゃらした男だの、 それでも怖いと思ったことはない。 あいつに出会うまでは。 「あっなったァ~!お帰りなさーい!」 寮に帰ると野太い声で色めいた声をあげ エプロン姿のガタイのいい男が突進してきた。 それをさっと交わし、首根っこに一撃を与える。 「いったぁい!なにすんのよダーリン!」 ダーリンという単語に不快感を覚え、 眉間に皺を寄せて睨みつける。 そんなことは全く気にしてない様子で腕を組んできた。 「ご飯にする?お風呂にする?それとも」 「風呂」 最後まで言わせるものか、と遮った。 たまたま不運にも同じ寮の部屋になったこいつは女装癖の持ち主で、 それを俺が偶然、女にしてはずいぶ...
  • 1-769
    シンガーとピアニスト あなたは自分を未熟者だと言います。 私はその弱さを叱ります。 そしてあなたの声を褒めるのです。 あなたのその声。甘く低く、よく響く声は素晴らしい。 あなたからそれを引き出す道具が、私の手元にある、このピアノです。 古いイタリア歌曲。意味も知らぬまま、あなたは歌います。    私の想いを縛り付けた    いとしい絆、やさしい結び目よ、    私は、自分が苦しみながらも楽しんでおり、    捕われの身に満足していることを知っている。 あなたは歌うたびに私に告白し、私は歓喜しつつキーを叩く。 ふだんの生活では許されぬ想いですが。 しかし舞台の上で、稽古場で、音の世界でだけならば、相思相愛でいられます。 そのくらい良いでしょう?  もうすぐ最後の小節を弾き終えれば、それで恋歌はおしまいですから。 卵とさいばしとフ...
  • 3-769
    またもう一本煙草に火をつけるのは、忘れることを習う為 暗闇の中にあってなお浮き上がるような黒髪。 淡い茶色の瞳。薄い唇。 「愛してるよ…」 耳朶に唇を寄せて囁くと、受はふと息を呑み、俺の肩に手を這わせた。 やがて訪れる開放感。 呼吸を整える暇さえ惜しんで深い口付けを交わす。 「僕もあいしてるよ…」 離れた唇がその言葉を紡いだ瞬間、俺の世界が壊れる音がした。 闇に慣れた目に映るのは、褐色の髪。 淡い緑の瞳。淫乱さをかもし出す小さく厚めの唇だ。 「…ひどいや。殴ることないのに」 恨みがましい、癇に障る声。 「あいつはそんな事言わねえんだよ。そんな目はしねえんだよ。 おまえは違いすぎんだよ!!」 もう一発殴って、ベッドから転がり落ちた淫売の腹を蹴る。 ベッドに腰掛けた体勢からとはいえ、腹に入ったその蹴りは相当効いたろうに 淫売野郎はゲタゲタと狂った...
  • 4-769
    コスモスなど優しく吹けば死ねないよ その場所で、その子は花を持って立っていた。 僕はかける言葉も無く、ただ後ろに立っている。 この場所で、彼は死んだ。ある朝、複数の人間に殴られ、裸にむかれ、冷え込む秋の朝、 この裏路地に放置されて、暴行と凍死で死んだ。犯人は、捕まっていない。 この前まで、僕と仲良く喋っていた、自分で自分のことを「チンピラ」と呼んでいた彼に、 花をたむけるのは、その子がはじめてだった。 僕は情報屋だった。 この前、刑事に、僕はある情報を流した。それは、麻薬取引について。 チンピラが漏らした情報だった。 その情報の結果、ある麻薬ルートが消滅した。 僕は、その情報を流す時、それでチンピラがどうなるかなんて、考えもしていなかった。 ただ無邪気に、この大きな情報を、お金に変えた。 だから…、目の前の子は、こんなに悲しんでいる。 目の前の...
  • 2-769
    レッカー車と、引っ張られてった車 広い通りを繋がったままの二つの車が走る。いかついレッカー車に引かれながら後ろから連行される車は言う。 「お前、俺をどこに連れて行く気なんだ!」 「ぎゃんぎゃん喚くなようるせえなあ」 「ご主人が、ご主人を俺は待たなきゃいけないんだ!」 「そのご主人様が戻ってこないから俺が今お前を連行してるんだが」 「俺たちがいったい何をしたってんだ!」 「さあな。お前のご主人様はそこんとこ、分かってるんじゃないかな」 「……まさか俺、捨てられたってことなのか」 赤信号を前に繋がったままの二つの車は止まる。 「もう俺は、要らない身なのかな」 目の前のバイパスに多くの車両が激しく行き交う。 「俺もう新車じゃないし、傷だって随分ついてるし」 横切る通りの信号が黄色に変わる。 「それでも今まで仲良くやってきたけど、もうおし...
  • 5-769
    政治家と役人 「さぁ、これで話はおしまいだ。いいね?」 「……」 「こんな報告書は存在しなかった。なぁに、簡単なことだろう。  君はただ私の言うとおりにしていればいいんだ…これからもな。」 「…そんなの……です…」 「何?」 「そんなの、でも…裏切りです」 「裏切り…」 「国民の、信頼に対する…裏切りです…」 「…かわいいことを言うね。」 そう言うと、男は目の前の青年の額に指を触れた。 青年は少し顔を伏せただけで、振り払おうとはしない。 「しかしね、そんな甘いことを言っていては…勝ち残れないんだよ?」 「…甘い…こと……」 「…ん…?」 弱々しくつぶやかれた言葉を確かめようと、男は青年の顔に、自分の顔を近づけた。 そのとき、男の耳は青年がこう言ったのをはっきりと聴き取った。 「でも、貴方のほうが、ずっと甘くておいしそうですよね」 「...
  • 6-169-1
    笑わない人 「なあ、俺そんっなにつまんないオトコ?」 「…は?」 自分で言うのもナンだけど、今言ったの俺の十八番のギャグ、伝家の宝刀よ?自信無くしちゃうなー。 おどけた口調で言うと、アイツはいつものしかめっ面を更に歪め「馬鹿」と一言で切り捨てた。 最初はただの興味。 校長のヅラが風に舞った時も体育教師のジャージのゴムが切れてズリ落ちたときも クスリともしなかったアイツは何をどうすれば笑うのかって。 顔面の筋肉おかしいんじゃないかと思って顔グリグリしたら殴られたこともあった。 ここ1年とちょっと、少なくとも学校にいる間は一緒に行動するようになって、 色々と知らなかった部分も見た。全く無表情ってわけじゃないんだよ、絶望的にわかり辛いだけで。 怒るし、睨むし、驚くし。悔し泣き寸前の顔も見た。 ―――でも、笑わないんだ。笑わないんだよ。 どんなに自...
  • 13-769
    地球×冥王星 貴方の中でエリスの存在が大きすぎる。 そう言って君は、僕との関係性を断ち切った。 今はただ、カロンと踊る君を遠くから眺めるだけ。 最も遠い君。最も愛おしい存在。 (でも知っている、本当は君が太陽に惹かれていたってことを) (どうしてどうしてあの人ばかり) (ああでも僕も あの人からは逃げられない) 包容力のある28歳×背伸びしたい盛りの18歳
  • 27-769
    もう会えないと思っていた 岐路に立つ看板の前にて。ある男たちの会話。 「何年ぶりかな」 「何年ぶりだろうね。君は変わらないな」 「そっちこそ」 「面白くない冗談だ。もうよぼよぼの爺さんだよ」 「外見じゃない。中身が変わらないんだ。僕を守ってくれようとしたあの時からずっと、君は変わらない」 「あれから何年経ったかな」 「何年だろう。君を待ってる間、10数えてやめちゃったんだ。ここは風景が変わらない場所だからね」 「そうか。俺もよくわからないな。何しろ必死だったからな」 「エヌ…」 「お前が理不尽な理由で命を奪われて」 「エヌ」 「多くの仲間やたった一人の愛する人、愛する星を失って、正気を保つのなんか無理だったよ」 「もういいんだ」 「だから俺は俺と同じ思いがする奴が出ないようにすべてを壊したんだ。草の根ひとつ残らなかったはずさ」 「エヌ、泣かないで」 ...
  • 17-769
    思われニキビ 昔の相方をなくした芸人は、どれぐらいかわいそうなんだろうか。 親兄弟をなくすぐらいなんだろうか。それとも、親友ぐらい? 「つらいでしょ?」とか、「しんどいだろうね」とか、訳知り顔で言ってくる人間や、 俺を痛々しそうに見てくる人間は、どれぐらいだと思っているんだろうか。 というか、何を理解しているんだろうか。 俺とアイツが、どんな関係だったかなんて、知らないくせに。 語るつもりもなければ、分かってもらうつもりもないけど。 それを口に出すと仕事がなくなるから、あいつに関しての質問は、全て曖昧な 笑みでかわしている。 新幹線でため息をつくと、今の相方が俺を見た。 「ため息ついたら、幸せが逃げますよ」 俺は彼の言うことを、無視する。しかし、それでへこむことはない。 「もー、新堂さんは、いつもそうですよ。ひどい」 ふてくされたように言う相...
  • 25-769
    ギャル男受け 勉強が好きか?と嗤われながら問われたので、僕は勉強が好きだ、そう答えた。すると、天才は違うなとかガリ勉とか、そんな言葉を掛けてくる。 勉強に勤しんでいる訳でもない。ただ、楽しいだけなのに。 しかし、周囲は嗤う。 そんな中で、1人だけ、周囲とは違う言葉を掛けてきた奴がいた。 奴とは今年から同じクラスになり、教師も手を焼いている。主に校則違反の髪型と、崩した服装、アクセサリー等において。 しかし、愛想が良くリーダーシップもとっていて、憎めない生徒とみなされている。 僕とは反対の奴と思っていた。 「いいんちょーって、勉強好きなんだ」 「ああ」 「オレもさ、服とか髪いじんの超好きなんだ!」 Mの字の前髪を触りながら満面の笑みで告げると、奴は手を差し伸べてきた。かと思えば、ぶんぶんと僕の手を握っては振る。 「おい、佐伯ー...
  • 18-769
    言いなりわんこ×女王様  これが今回の報酬、との言葉と共にテーブルに置かれた布袋は重たい音をたてた。 「いつもありがとうございます」  袋の中身を確認し、懐に納める。  一連の動作を眺めていた青年は、ほう、と優雅に溜め息をついてグラスに口をつけた。 「それで」  今彼が飲むトカイワインのように甘ったるい声に呼ばれ、男は身を固くした。 「…もう、必要ないんじゃありませんか?」 「だめだ」  即座に返される否定に身をすくめる。 「だってあなた…もう充分に楽しまれたでしょう…それに私だって…」 「君だって?」  射すくめるような視線に言葉がつまる。 「…あんまり危ない橋は渡りたくありませんし」  からからと彼が声をあげる。 「君とても楽しんでいたではないか。ずいぶんといい思いをしたのだろう?」  ぐ、と言い淀むのを、楽しげに見遣ってグラスを煽った。 「です...
  • 22-769
    泥酔者とお巡りさん 「すらすらすいすいすいーっと♪」 「きみきみ!ちょっと!」 「ええ?はあ、はい」 「どこ行くの?家は?危ないよこんな夜中に」 「なんです?いきなり、子供じゃないんですけど」 「顔真っ赤にして、酔っ払いか?」 「酔ってる?俺が?酔ってなんかいませんよー、寒いだけです」 「いいからこっちきて、派出所で保護しますから」 「はーなーせ!」 「コンビニ袋にスウェットに、この寒いのにサンダル…風邪ひきたくなかったらお巡りさんと一緒にきて、ほらほら」 「お巡りさんはこっちだっつーの、へべれけリーマンめ」 「はいぃ?」 「ああもうせっかくの非番前夜なのに!こっちこい!」 「うひ、ほんものwwおつとめ、ご苦労さんでありまし!」 「黙ってろ酔っ払い!」 「おまわりしゃんそれスーパードゥラァイ?」 「発音うぜぇ!」 「おじさんはプレモリ派でしww」 ...
  • 24-769
    片想いの連鎖 【鉛筆】  これまで鉛筆削りしか知らなかったが、あるときカッターナイフにその身を削られてからというもの  その鋭さに心を奪われてしまった。削り終わったらさっさと離れていった冷たささえも鉛筆の心をかき乱す。  しかし一方で鉛筆削りへの後ろめたさもある。不安定な心を反映してか、最近は仕事中に芯がよく折れている。  「あんなにされたの初めてで……痛かったけど、でも……また彼に会えたら僕はどうなるんだろう」 【カッターナイフ】  最近はよく組んで仕事をしているプラスチック定規のことが気にかかってしかたない。  なぜなら、自分のミスで彼の身を僅かに削ってしまうことがあるのだが、  その自分のつけた傷を見ながら、定規が微かに笑っているところを目撃してしまったから。  上記の理由から他の仕事は若干上の空だが、刃のキレは衰えていない。  ...
  • 14-769
    野 『野』(や)という言葉には「官職につかないこと、民間」という意味があります。 対義語は『朝』(ちょう)。朝廷の『朝』です。 『朝』と『野』は、光と影のような存在です。 『朝』があるからこそ『野』という言葉が意味を持ちます。 反対に『野』が存在せず『朝』のみがあったとしたら その『朝』の存在はとてつもなく無意味なものとなるでしょう。 多くの場合、『朝』は大変に支配欲が旺盛です。 そのため常に『野』を支配したいと思っています。 『野』はただ自分に奉仕するために存在すればいい とすら考えているかもしれません。 『野』は『朝』にどれだけ虐げられても、最後まで『朝』に寄り添おうとします。 たとえ重税を課せられても、理不尽な法令がしかれても 文句を言いつつ結局は『朝』に従ってしまいます。 それは罰則に対する恐怖ゆえではありますが 自分には『朝』...
  • 6-369-1
    最後のメール いつもどおり、今日も日が暮れる。おれはそれを、ぼろアパートの二階からぼんやり眺めている。 こんな暇な時間を過ごせるほど経済的余裕はないけれど、でも、この時間は仕方ない。 だってあいつが来るから。 頼んでもいないのに、いつもいつもコンビニ袋に二人分の食料を詰め込んで。 へらへら笑って、ドアからひょっこり現れるのだ。 やかましいし、うっとうしいし、酒癖も悪いし、ちょっとうざいやつ。 だけどあの顔を見るたび、一日の鬱々とした気持ちが嘘みたいに晴れていく。 そしてそれが、とても、とても嬉しい。……若干餌付けされてる気もしないでもないけど。 かれが会いに来てくれることが、おれの一日の中で一番の楽しみだった。 ところが、その男が来るのが、今日はどうも遅い。 来ないなら来ないでいつもはうっとうしいくらいがっかりメールをくれるはずだけど、 それを忘れ...
  • 6-269-1
    グラサン×眼鏡 東京の川は汚いけれど、大きな橋の上から見れば大して気にならない。橋の真ん中で、欄干に寄り掛かってホットドッグを食べていた。そうしたら、黒いスーツにサングラスの長身の男に突然肩をつかまれた。鬼気迫る様子で僕の顔を覗き込んだあと、男は声を震わせてこう言った。 「…口の周りに、血が付いていますよ」 僕は…唖然とした。男の容姿は日本人と言われても通用するものだったが、言葉は明らかに外国人のアクセントだった。ごくん、と唾を飲み込んで、こう答えた。 「これは、血ではなくて…ケチャップです。このホットドッグの。でも、心配していただいたようで、ありがとうございます。」 僕は英語には自信があったので、できる限り正確な発音で、ゆっくりそう言った。 すると男は僕の腕を乱暴に引っぱって止めてあった車に押し込むと、僕が何かを言う間もなくすごい勢いで発進した。 「あの…!止め...
  • 6-759-1
    ヤクザとその幼なじみの堅気 扉を開けたら、目前に薔薇、薔薇、真っ赤な薔薇。 薔薇の隙間から、声が聞こえて、男が見える。 白いスーツに柄物のシャツ、夜なのに色の入ったグラスをかけ、 一目で素人のそれではないとわかる雰囲気… 「よ!久しぶり」 その声に覚えがなければ、思わず扉を閉め戻しているところだ。 けれど、そう言って顔を綻ばせた男の頬には、見覚えのある懐かしい笑窪。 つられて笑ってしまうくらい不似合いだった。 笑ったら、懐かしさが込み上げてきて少し喉が詰まった気がした。 「なんつー…格好だ、おまえ」 とにかく早く部屋に入れ、近所に見つかったら俺の品格が疑われそうだ。 その風体に加えて、片手で抱えきれないほどの薔薇の花束を持っている。 どこのホストがやってきたのかと思うじゃないか。 「お前、全然変わってないなぁ」 何をそんなにうれしそう...
  • 6-569-1
    勘違い 佐倉は俺を選んだわけじゃない。 男が切れて寂しかったから。 ルームメイトが俺だったから。 俺が佐倉の性癖を嫌悪しなかったから。 ほら、理由はいくらでもある。 だから、「もしかして佐倉も俺のことを……」なんて勘違いしちゃ駄目だ。 佐倉の好みは年上の渋いパパ。 間違っても俺みたいな青臭い同級生じゃない。 佐倉の基準はお金持ち。 自立もできていない俺なんて問題外だ。 佐倉が俺に目を向けるはずがないんだ。 勘違いしちゃいけない。 いくら俺が佐倉を好きでも、アイツにとって俺はセフレなんだ。 あぁだけど、分かってはいるけれど。 隣で眠る佐倉のあどけない顔を見ながら、思わずにはいられない。 大丈夫。分かってる。 梅宮は、ただ同情してくれてるだけ。 男が切れたなんて嘘。 誰かと付き合ったことすら、一度もない。 年上の...
  • 6-869-1
    40年ぶりの再開 先に見つけたのは奴の方だった。 「有川?有川じゃないか?」 「う、植野?」 少し離れた、取引先からの帰り道。 直帰しようかなぁ、書類を取りに帰ろうか。そんなことをつらつら考えながら上っていた階段の途中。 呼び止められて振り返ると、そこには懐かしげに笑う、旧友の顔があった。 「久しぶりだなぁ」と言いながら俺の横に並ぶ。少しも変わらないその態度に戸惑った。 もう20年も前になるのか。俺と植野は、一人の女性を取り合った。 幼馴染の3人組。仲良く手をつないで歩いていた頃から続いていた争いは、 互いに大人になり、働き出し、それなりの蓄えと責任を持つ立場になって真剣なものとなった。 「みぃちゃん」が選んだのは植野。物静かに笑う、優しい植野を、彼女は望んだ。 転勤が決まっていた俺は、みぃちゃんが妊娠したのを聞いた頃に遠くに移った。 何だかんだと転勤...
  • 6-669-1
    福岡 デリヘル ヴィーナス に元アイドルが・・・? 「やあ。久しぶり」 待っていたよ、と彼は微笑んだ あなたを忘れられず、流れ流れて結局此処まで戻って来たよと 笑った目尻に時の流れを感じた。 世間体や不釣り合いだなんて言って、つまりあなたは逃げたんだよね、という言葉に、俺は何も言えず俯く 「会いたくなかった?」 落ちぶれたと思う? けどあの世界もこの世界も、似たようなもんだよ。 セックスも人の体温も、同じように気持ちいいもんだよ。 皮肉な声に、俺は彼の横に腰を下ろした 路上に座り込む俺達は、通り過ぎていく人の波にあの日を探した 彼と出会ったこの道 初めて唇を重ねたのもこの道 別れたのも、この道だった 今はもう無い、親不孝通りで 俺は彼を探し続けていた …俺達はまた親不孝を続けていくのだろうか あの頃よりずっと狡くなって、無力になったのに。 ...
  • 21-769
    二人きりの同窓会 二拝二拍手一拝。 形式通りのそれを行って次の参拝者に譲ろうとしたらふいに肩を叩かれた。 「やあ、山本」 「え? ……おまえ、武内?」 無遠慮にまじまじと眺めると、声をかけてきた男の顔はおよそ一年前まで寝起きを共にしていた友人のものだった。 驚く俺に、奴は泣き笑いのような笑みを浮かべている。 きっといまは俺も似たような顔をしているはずだ。 そうして俺たちは、どちらともなく抱擁を交わした。 積もる話はたくさんあった。 だが互いに近況を二三言報告しあった後は、ただ静寂だけが続いていた。 「もう、部隊の生き残りは僕らだけになってしまったね」 唐突に沈黙を破ってぽつりと呟かれた言葉は、まだ痛みを伴っていた。 いまでも克明に思い出せる。火薬のはぜる音、血と硝煙の臭い。 「まさか、死んでないのに靖国で会うとは思わなかったけど」 「……そりゃ、仲...
  • 6-729-1
    交番勤務の警官×本庁の刑事 「売り切れだぁ?」 ほかのコーヒーはあと20円入れないと買えない。 「あーあ、うまくいかねえな」 「これでうまくいきますよ!」 突然、スーツの腕が俺の脇から伸びて、自販機に20円を投入れた。 振り返ると、背は低いが利発そうな若い男が、俺を見て笑顔をうかべていた。 「とっても機嫌が悪いみたいですね」 なんだこいつ。慣れなれしい。 「何でもないですから」と言い財布を出そうとしたら「あ、いいです、ぼくのおごりです」 こいつ人を馬鹿にしてるのか? 「君、あのね。警察を馬鹿にすると」 「それより早く交番にもどりましょう。聞きたいことがいっぱいあるんです」 な、何だって? 「ぼく、広域指名手配犯某号捜査本部の××です」と名乗った男からは、 さっきの笑顔は消え、ひきしまった表情があらわれていた。 こいつが本庁の? でも...
  • 6-779-1
    コーヒー牛乳ふいた とりあえず放課後、俺たちは図書館に行ってみた。 「アナルセックスのやり方」を調べるためだ。 調べ物といえば図書館、俺の中でごく当たり前の図式だった。 結構広い私立図書館は3階まであって、フロアごとにジャンル分けされてるわけだが、 俺は入り口の館内地図の前でフリーズ。 ジャンルですか…分類ですか…どんな本をお前は探してるんだよと、早くも関門登場ですね。 そもそも、どんな本に記載されているものなのか? ええっと…性の指南書とかそんな感じか?正しい性生活?ん?正しくないかも? あれか、子供の作り方が載ってそうな…いや、子供はできないから違う! なんて、グルグル考えているうちに、あああああああ… 俺の後ろにおとなしく控えているかと思ってた俺が間違っていました。 「すいませーん」 パタパタと小走りで、貸し出し口のおばさんに向かっていくあいつ。 ち...
  • 6-709-1
    レイヴ じいにあす英和辞典(第3版)片手に、萌え語りいきまーす。 うわごとを言う…受けが熱を出して寝込んでいて、それを看病する 攻めが一瞬で浮かびます。熱で火照った顔を攻めの方に向け、 愛しい人の名前を掠れた声で呼ぶ受け。ところが何故かそれが 攻めの名前ではなく、受けの幼馴染の名前だったり。 鬼畜攻めならその場で襲いつつ問いただします。 ヘタレ攻めならショックのあまり家に帰ってしまいます。 オチは、ベタに幼い頃の夢を見ていたでも良し、 悲恋で行くなら幼馴染に叶わぬ恋をしているでも良し。 どなりちらす…独占欲の強いワガママ攻めの定番ですね。 受けがクラスメイトと話していた。→「俺以外の奴と話すなrftgyふじこ」 受けが用事があるからとデートを断った。→「俺の事大事じゃないんだろえdrftぎゅhじこ」 そして、断られなければデートの予定だった土曜、受...
  • 9-169-1
    年賀状を書きながら 「明けましておめでとう。今年も・・・よろしく・・・か。」 なんとも短く愛想の無い文面を見つめるが、他の言葉が浮かばない。 何故ならこの手塚智弥と俺は、今まで3回程度しか話した事がない。 同じバンドが好きで、同じクラス、席が斜め前って事くらいしか近しい記憶はない。 話しかけるタイミングだって逃してばっか・・・8ヶ月で話した記憶が3回て・・・ 「年賀状出しても、俺のこと知らないんじゃねぇか?」 最悪の予感がよぎる・・・っていうかあいつ、俺の名前知ってるのか? 俺なんて名前どころか顔すら思い出せない程度の存在なんじゃないかとも思う。 「あああああーーーー冬休み前にもっとアピっとけば良かったああああ・・・」 あのバンド、年明けにアルバム出すんだよな。 2月には武道館でライブもあるし、行けたらいいよなー・・・って、話題...
  • 16-369-1
    盲目の正義 なんだかファンタジーな萌え語りここに置いてきますね 盲目の正義、ときめく響きです。 ヒーローでも革命の士でもむしろ悪役側でもとてもおいしくいただけます。 正義の名を借りて、自分のやっていることに何の疑いも持つことなく突き進む。 良く言えばとても素直でまっすぐな、悪く言えばとても愚かで意固地な人物だと思います。 私はそうして今まで信じてきたものが揺り動かされる瞬間というものがとても好きです。 敵役に自分の矛盾や見てこなかったものを指摘されて必死になって否定するのもいい。 (その際にお前らとは違う!などと、むしろ正義であるはずの彼のほうが酷い言葉を投げかけるのは多分お約束です) 彼を憎む人物がその坊ちゃんっぷりや偽善をせせら笑うのでもいい。 悪魔の誘惑のように感じられるそれらの台詞で、自分の基盤がぐらぐらになって、 荒れすさんだり、思い悩ん...
  • 26-569-1
    今日から両思い 「――今日から、両思いだね」 フ、と唇の端で気障な笑いをして、奴は手の中のグラスを揺らした。氷が涼し気な音を立てる。 窓の外の三日月と同じ形に細められた流し目から、俺は顔を背けた。 「言葉は正確に使え。お前の今の台詞は明らかに間違っている」 「え? ……え? うそ? 違うの!?」 裏返った声と、グラスが乱暴にテーブルに触れる音が絶妙な不調和を生む。騒々しい。 「だって! 俺さっきお前が好きだって言って、お前だって頷いてくれたのに!」 「声の大きさを考えろ。個室とは言えこの店は貸切ではない」 「あ、はい」  大げさに肩を落としてしょぼくれたような顔をしてみせる、その様に少しだけ苛立った。 「……やっと言えたのに」 小さな子供がいじけるように口を尖らせて呟く。声は少し震えているようだった。 「ずっとずっと好きで、やっと両思いだと思ったのに……」...
  • 16-569-1
    君が好きだ 雨がざぁざぁと降っていた。 僕はそれを教室の窓から憂鬱な眼差しで眺めている。 ――傘がない。 今朝は寝坊をして天気予報がチェック出来ていなかった。 朝、家を出るときには晴れていたから、まさか夕方になって急激に天気が悪くなるだなんて思ってもみなかった。 そうして大降りの雨を見ながら溜め息をついていると、後ろで教室のドアの開く音がした。 「どうして、まだ残っているの」 「あぁ、君か」 振り向けばそこにはクラスメートの鈴木がいた。 少し大人しいけれども明るくてとても良い奴だ。 僕はあまりクラスメートのことに興味など持ったりしない、所謂『変わった奴』だ。 そんな僕が何故彼の印象だけは覚えているかといえば、単純な話、彼に好意を持っているからだ。 他のただ馬鹿騒ぎをしているだけの奴らと違って、彼は明るいのに控えめで空気の読めるお人よしだ。 だから僕がクラ...
  • 16-069-1
    自分も気圧の知識がなかったwでも文章とかの雰囲気は好き!お次どうぞ 「お前、気象予報士にでもなんの?」 うるさい奴が来た。どう考えても人種が違うのに しつこく絡んでくるこいつとは、入学式で隣だったというだけの関係だ。 「考え中」 短く言って、僕は奴を視界から追い出し、 『石原良純のこんなに楽しい気象予報士 (小学館文庫)』に視線を戻す。 「はっ、おまえ、良純って」 「うるさい」 「――前は『小説家になる方法』読んでなかったか」 そうなのだ、こいつはことごとく嫌なタイミングで現われる。 その時は、本を開きながら書いていた散文を読まれたのだった。 「あれは……いいんだ、もう」 ため息をつきながら言うと、 「なんだ、お前の書く文章の雰囲気、好きだったのに」と奴は言った。 思わず奴を見る。目が合って、しまった、と思った。 畜生、不意打ちだ、こいつはことご...
  • 26-869-1
    狸×狐 「あっはは、また騙されてやがる。無様なやつめ。気分が良いなあ。うすのろをからかうのは気分が良い!」 俺の腹の上に跨がって、目尻をきゅ、と細め、口角を吊り上げケラケラ笑う奴の顔を見上げ、溜め息をつく。 襦袢の裾から飛び出た奴の尻尾がぱたぱたと動いて俺の太ももの辺りを着物越しに掠めるのがこそばゆい。 「いい加減どいてくれないか」 「嫌だね」 「なあ、ならせめて、俺の腕を膝で抑えるのはやめてくれよ、痺れてきた」 「ふうん」 そう言うやいなや、ぴしゃりと俺の手の甲を叩く。 指先が痺れる感覚に眉をしかめると、奴は一層ニンマリと笑った。 「な、僕は綺麗だったかい?まったく綺麗な女だったろ?お前はいつも、あんな風に女を口説くの?お前なんかに着いてくる女なんて、いるの?答えてみてよ、さあさあ」 言い淀んでいると、またぴしゃぴしゃと痺れた手を叩いてくるので、仕方なく口を開...
  • 19-169-1
    あなたの子供が欲しいのに 「貴仁義兄さん。いきなりですが、今日は折り入って義兄さんにご相談が」 「まあ茶飲めや。しかしお前が俺に相談なんて珍しいなあ」 「あなたのお子さんを俺に下さい」 無情にも彼の率直な願いは、彼の義理の兄によるアッパーフックではね除けられた。 「義雄よ、俺は残念だよ。非常に残念だ」 「クッ……義兄さん、危うく脳震盪起こしかけるほど見事な攻撃でした……」 「誉めんなよ。照れんだろ?」 「誉めて無いですよ!」 「で、なんの話だったっけか」 「だからあなたの子供が欲しいからおくれって話……や、ちょっ構えを取らないで構え」 「ああ、スマンいつもの癖でイラッと来るとつい。……えっと何?お前ってホモだったの?」 「ええ。姉は知ってますよ。ちなみに俺の初恋兼恋人は義兄さんの同僚の義純さんです」 「マジでっ!?あ、あーでも確かにアイツボディ...
  • 26-759-1
    書生同士  茫として、天井の染みを見上げていた。熱に浮かされた頭が重い。  枕元に置かれた湯冷ましは、先に空にしてしまった。  喉が渇いた、と思うが、立って家人に求める気力も無かった。申し訳程度の手伝いで居候している身であれば、尚更世話になることの済まなさもある。  だから廊下をきしきしと歩む音を聞き、襖が静かに開けられて、その向こうに同じ書生の男を見て取った時、照一は内心安堵した。 「テルさん、御加減は如何です」  問われた声に返事を返すのも億劫で、うん、とだけ喉の奥で唸る。柔和な顔を笑ますのは、隣室に住まいを間借りし、同じ大學に籍を置く斎藤だった。  同じ書生と云えど、法律を学ぶ斎藤と、生物学に傾倒した照一では、まるで畑が違う。  また地方の農家の出である照一に対して、斎藤は上京してきた身とはいえ、中々の名家の出と聞く。  論じることの出来る事物など...
  • 26-739-1
    美男と野獣 森へ入ってはいけないと言われていた。 森には怖い魔女が住んでいて、捕まると魔女の棲家にある大鍋に入れられて毒薬の材料にされてしまうと。 けれど今自分の目の前にいるのは魔女ではなく、全身毛むくじゃらの化け物だった。 村一番の大男など遥かに凌ぐ大きな体、口元には牙が覗き、鋭い爪も見える。 まるで山狗か狼のような姿なのにそれでも化け物だと思ったのは、それが両の脚二本で立っていたからだ。 人間のように立つ獣なんて、絵本でしか読んだことがない。まさか本当に居るなんて。 (きっと、僕のことなんか一口で食べてしまうんだ) 逃げ出そうにも右足は痛みを増すばかりで言う事をきいてくれそうにない。 走る以前に、腰が抜けて立ち上がることもできない。 荒い呼吸で肩を上下させながら、化け物がこちらへ一歩踏み出してくる。 僕は反射的に朝のお祈りのときのように両手を組んで、眼を閉じ...
  • 26-749-1
    難聴(ラノベ主人公的意味で)攻め すきだ、って南が言った時聴き間違いだと思った。「酢来た」とか「鍬だ」とかの。 日常生活でまぁ仮に今と同じ月9に出てきそうなこじゃれた夜景の見えるバーかなんかでなんで男2人でいるかっていうともちろんナンパなんだけど、例えば食事と一緒に酢が来て「酢来たよ」とか言うシチュエーションは日本中どこかにもしかしたらあるかもしんないけど「鍬だ」っていつ言うかな。 中学生が日本史の資料集開いて先生が日本の稲作の歴史を紐解きながらこれが「鍬だ」とかはあるだろうけど、鍬かついだ農民がバーになだれこんできたり、 実は今食ってる野菜スティックはバーテンダーが家庭農園で精魂こめて作ったもので、俺がバーテンダーにこの野菜スティツクうまいっすねって言ったらカウンターの下から鍬を出してこれで週末耕してるんですよーって言って南が「鍬だ!」って言っていや俺は何考えてるんだろう...
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