*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「6-809」で検索した結果

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  • 6-809
    セキュリティソフト×ウイルス×OS 俺は信じてるんだ。いつだってお前が俺を守ってくれるって。 いつどこから俺の懐に入ってくるアイツを、懸命に弾き出してくれる。 そりゃ俺自身にも良くないからアイツなんていない方がいい。 ただ、アイツが俺にもぐり込む隙間を与えてるのは、他でもない俺自身なんだ。 平和な壁の中の世界も好きだけど、時々意味不明な熱に中てられて俺がごちゃごちゃになるのも好きなんだ。 俺って変かな。 だから、いつか俺がダメになっても、お前のせいなんかじゃないんだよ。 俺がいる限りアイツは世界中のどこからだって俺以外の誰の元にでも行くし、 アイツがいる限りお前は世界中の俺をどんな形であれ守ろうとしてくれる。 それがいいんだ。 なぁ。きっと、俺たちのことを「切っても切れない関係」って言うんだろうな。 よりによってなぜこの上司 よりによってな...
  • 16-809
    心が別の方向いてるやつがいい…! シュウは本命がいる奴としか付き合わない。 そして付き合う前に言っておく。 『体は好きにしてもいいけど暴力は不可。自分は愛人で体だけの関係。 それが守れなくなったらキレイに別れること。それでもいいならつきあってもいいよ』と。 そんな約束をしていても、ほとんどの奴が本命を捨ててシュウに走る。そんな時に俺の出番が来る。 そいつの前でだけ俺はシュウの『本命』になって、彼がいなくて寂しかったからだの、 彼じゃないとダメだの、シュウが心にもないことをペラペラと訴えて終結させる。 なんで俺なのかと聞いたらば、俺が逆恨みされても自分で自分を守れそうだったからだそうだ。 今日は人気のないビルの屋上で、空が青いなと思いながら聞いていた。 タバコを吸いたくなったが、納得しかかっている相手を怒らせる事になるので我慢した。 何度も続くと、さ...
  • 2-809
    爪楊枝×歯 「あーあ、こんなに汚しちゃって。もう少しきれいに食べろよな きれいにするの大変なんだぞ」 「ごめんね。でも・・・」 「でも・・・なんだよ?」 「食べかすを残さないようにしていたら、君に会えなくなっちゃうでしょ?」 「っ・・・・・・食べかすを残さなかったとしても、 さらにきれいにしに来るから気にすな」 「本当?」 「本当だよ。目に見えないような食べかすも、 ちゃんと取ってやるから」 「うん・・・ありがとう」 telinkoもみもみ もーみもみー telinkoもみもみ もーみもみー そして、姐さん方の心のtelinkoが喜ぶリクどうぞ。↓
  • 3-809
    死んだ攻めAを想うあまり攻めAとの夢の世界に閉じ籠ってしまった受けと、攻めB 夕食の準備をしていたら、ベッドで寝ていたはずのアイツが、笑う声が聞こえた。 いつものことだ、と、頭のすみで思いながら、俺はコンロの火を消し、アイツの部屋に行く。 ドアの向こうでは、ベッドの上で、ギターを横にして、幸せそうに笑うアイツがいる。 「ねえ、おかしいよね。でさ…」 俺にはギターにしか見えないが、アイツの目には、ギターを抱えるAの姿が見えているのか。 楽しそうに、俺には向けない笑顔を見せて、しゃべり続ける。 会話がひとしきり済むまで、俺は戸口で待つ。 しばらくして、アイツがだまりこんだので、俺は歩み寄って、アイツの腕をつかんだ。 「…あれ、B…いたんだ…」 「ずっといたよ。さ、夕飯できたから、台所いこうか」 「でも…A君が…」 指は、ギターにかけたまま、アイツが言う。 ...
  • 5-809
    収録後 楽屋に入ると、彼は、グッタリと部屋の中央で寝転がっていた。 僕が「お疲れ様です」と挨拶して入ってきても、起き上がろうともしない。 まぁしょうがないか。2時間半の長い時間、一人で舞台の端から端まで 走り回って、頑張ったんだ。あんなにたくさんマスコミやお客さんを 集めて、力も入っていたのだろう。DVD収録もしていたから、ミスを してはいけない、と自分に言い聞かせていたのかもしれない。 僕はイスに座って、この後の予定をチェックした。頭に一応入っては いるが、あと何分間、彼を休ませてあげられるか、もう一度確認したい。 しかし、何度も確認した通り、あと15分後に、雑誌のインタビューが 入っていた。このまま5分寝かせて、その後、シャワー浴びて準備させて…。 そう考えた時、後ろでくぐもった声が響いた。 「なぁ…今日、どうやった…?」 畳にうつぶせになったま...
  • 4-809
    携帯電話 携帯電話が嫌いだ。どこへ行っても着信する。ワン切り、スパムメールが鬱陶しい。電源を切っておくと「どうして切ってるんだ」と言われる。つまり自由が奪われる。 携帯電話に電話をかけるのも嫌いだ。電波が悪いとぶつぶつ切れる。切れるたびにお互いにかけ直して、あげく話中音がしたりするとキレそうになる。 さらに。 喫茶店で向かい合って会話してるってのに、半月ぶりに会ったバカヤロ様は、突然携帯電話を取り出してピコピコとメールを打ち始める。 俺は突然会話を切られて、黙ってコーヒーを飲むしかない。 携帯電話なんか、大嫌いだ。 ようやくメールの返信を終えて、バカヤローは俺に視線を戻す。 「何の話だったっけ?」 「知らん」 沈黙。 お前もたまには会話をぶっつり切られる気分を味わってみろ。 ちらりとテーブルの向こう側を見ると、ほくそ笑むという表現がぴったりな...
  • 7-809
    恋が始まる直前 入学してから勉強と部活と大忙しだった俺は、いつも彼の存在を見逃していた。 別に彼の存在が薄いというわけでは、決してない。 ただ彼は、生徒会長であり文化部であり成績優秀なだけで 俺の、飼育委員(といっても名前だけ)でありサッカー部であり勉強なんてまっぴらだというプロフィールと 全く接点が一つもないだけだったのだ。 そんな彼が今、俺と同じ傘に入って、肩を並べて歩いている。 なんでこんなことになったのか…は、分かる。 夏休み、部活帰りの俺と生徒会の仕事帰りの彼がばったり下駄箱の前で会って 外は、突然振り出したどしゃぶりの雨が降っていて 傘を持っているのは俺だけで、彼は傘を電車に忘れて来たそうで、辺りには俺たち以外、誰もいなかったからだ。 「…あ、気つかわなくていいよ」 「え?」 「柊君、肩濡れてる」 「あ、いや。別に…俺だって、部活でよく...
  • 8-809
    月と砂 砂漠の夜は、とても静かです。 行き交う商隊や旅人も、夜は出歩きません。 だからそこにあるのは、空の月と地上の砂粒くらい。 ……けれど、そのどちらも、互いの存在は知りませんでした。 月にとって砂粒は、小さすぎ、また低いところにありすぎましたし、 砂粒にとって月は、大きすぎ、また、高いところにありすぎました。 そんなわけで、彼らはどちらも、長い長い年月をたった一人ぽっちで過ごしておりました。 ある日のことです。砂粒が空を見上げてポツリと呟きました。 「……そういえば、あの丸いやつはいつも僕の上にいるんだな」 それは、砂粒にとって大きな発見でした。 砂粒は、とても小さいのでしょっちゅう風に攫われていろいろな場所に飛ばされてしまいます。 それなのに、彼はいつだって自分の真上にいるのです。これで、驚かないわけがありません。 「何だ何だ、あいつはよ...
  • 1-809
    濃厚なキス くちゅり。くちゅ。 舌と舌が絡む。 間では、冷たいアイスが二人の熱で溶けてゆく。 「……つめて……」 「お前の舌は、全然冷たくねぇけどな」 男が、もう一度スプーンでアイスを掬った。 自分の舌の上に乗せて、もう一人の男の舌へと再び口移しする。 「……お前アホだろ」 「アホでーす」 甘く絡み合う舌と舌。 二人の情欲に、牛乳の味のするアイスはすぐに溶けてしまう。 「なな、俺らも溶け合おうぜぃ」 「………お前トコトンあほだな…」 笑い、そのまま二人はベッドの上で絡み合った。 舌と舌を絡ませ、二人でアイスを食しながら。 そして彼らの傍らには、半分溶けかけた―――― 『濃厚にゅうにゅうアイス』(商品名) が、佇むのみ。 若頭x組長
  • 9-809
    喉仏 「けっこう喉仏あるもんだね」 「男だもの」 「ご立派な喉仏でいらっしゃる…」 「喉仏誉められても嬉しくねぇよ!つうかあんまり触るな!」 「どうして?」 「どうしてって…変だろうが。街中で男が男の喉仏触りまくってるなんて」 「いいじゃない」 「よくねえ!」 「まあまあ」 「セクハラだろう、これ…」 「セクハラかあ…うん、それはそれで良い」 「なに満足してんだよ!」 「だって気持ち良いんだもん、人の喉仏触るの」 「なんだそれ…」 「触り心地良いし」 「……ちょっと気になる……」 「喉仏マニアになりそうー」 「…な、俺も、お前の触っていい?」 「嫌だよ。自分の触れば?」 「理不尽だ…」 喉仏
  • 15-809
    嵐の大麻くん 天地万物に意思は宿るという。 遥か南の海の彼方、いつ生まれたとも分からぬ彼も、先代からの記憶を確かに受け継いでいた。 片目に思い描くは北を統べる一族。彼の勢力を弱め、やがては滅びへと追い込む因縁の存在である。 暖かな海の懐に抱かれ成長した彼も、やがて極寒の地へと向かい、ひとり、旅立つのであった。 それはもう、本能とでも言うべきものなのかもしれなかった。 吹き荒れながら彼は考える。経験なき記憶の中に浮かぶ奴の姿を。それに抗う己の姿を。 奴に力を吸われ、今の姿を保てなくなった同志の姿を。 彼はなおも考える。何故に我は奴へと進むのか。 何か強く導かれる心がある。それは果たして何なのか。 本能のままに突き進むのみであった彼に、初めて思考というものが生まれた瞬間であった。 しかし幼き彼は、まだその心を理解する言葉を持たなかった。 ...
  • 20-809
    同情でもいいから 「痛い」 「ちょっとは我慢しろって」 「だって、痛いもんは痛いの」 「わかったわかった。ていうかな、てめぇなぁ、いいかげん学習しろっつうの」  むくれた頬が赤い。溶けた氷嚢を外すと、すでにうっすらと青く腫れ上がっている 「まったく毎度毎度飽きもしねぇで、もっとロクなやつと付き合えよ」  言いながら、手の甲に絆創膏を貼っていく。  こいつの薬指には刺青が入っている。鎖でできた指輪。  昔はピアスだって嫌だって言ってたくせに。  "お友達"に進められて入れた、って、あっけらかんと言いやがって。頭悪すぎるだろ。 「ほっといてよ」 「ほっとけるか、馬鹿」  顔のすり傷やらに薬を塗っていく。ああ、何でこう手馴れてんだ、俺?マジ勘弁して欲しい。 「もう帰っていいよ」 「自分から呼んどいて、その態度はね...
  • 22-809
    3対3 子供の頃から地味で運動も苦手だった。 もちろん友達なんていない。 そんな僕にとって学校は息苦しい場所でしか無かった。 家に帰って祖父の家庭菜園を手伝ってる時だけが僕のホッとできる時間だった。 だから高校に入って園芸部に入部した。 人付き合いが苦手な僕にとって部活必修という校風は重荷でしか無かったが、 男子校で園芸部に入るヤツなんて、どうせ僕と同じような人種か幽霊部員くらいなものだろうと思っていた。 だが僕は甘かった。 脅威のメガネ率85パーセント、県内でもトップの進学校では こんな場末のクラブ活動すら真面目に参加する。 限られたスペースで野菜を育てるか、花畑にするかなんてどうでもいい事を真面目に討論してしまうくらいに。 僕は野菜を育てたかった。 収穫すれば食べられるし、花なんて見てもつまらない。 第一、男子校で花なんか育ててたらク...
  • 17-809
    はじめてのコンドーム 「自分のチンコの最大サイズ把握してなかったの?」 「それは」 「オナニーとかしてたらさ、何となくわかるじゃん」 「その……ちょっと見栄を」 「薬局の店員相手に?」 「……つい」 「そのせいでゆるいわけだが」 「はい」 「病気とか怖いし、アナルはコンドーム買ってからって言ったよね」 「はい」 「盛り上げておいて今更さあ」 「ごめんなさい」 「むしろ俺にぴったりサイズなんだけど」 「はい」 「俺がお前に挿れていいわけ?」 「やめて裂けちゃう」 「10分」 「え」 「服着てコンビニ。10分」 「いってきます!」 絶叫系男子
  • 27-809
    0.00003%の確率 「実は僕達ってすごいんだよね」 唐突に隣に座る友人が呟いた。 季節は冬、ぬくぬくと炬燵に潜っていた俺を電話で叩き起こしいきなり「星を見に行こう」と誘ってきたこいつとは、もう長い付き合いになる。 家が近所で幼稚園に通っていた頃から一緒に遊ぶことが多く、何かにつけてセットにされたものだ。 そんなこんなでこいつの性格から何からを知り尽くした俺は急な誘いに驚くこともなく、「まあこいつだしな…」と渋々温もりから這い出た。 「で、何がそんなに凄いんだ?」 近所の公園のベンチに二人並んで座りながら星空を見上げる。田舎だけあって空は澄んでいて、今日も星がよく見えた。 「考えてみなよ!僕と君が 地球に、人間として、日本のここに、同じ年に生まれて、出会って、仲良くなって、今一緒にいる。 偶然とか必然とかよく分かんないけどさ、これってすっごい低い確...
  • 18-809
    「馬鹿だなぁ(頭なでなで)」  悠馬、という言葉が聞こえて思わず読んでいた本から目線をそらした。 「彼女?」 「なに、悠馬に? 彼女できたって?」  いやいや、元々から……などという声につられて、そっと斜め前の男女グループを盗み見る。  悠馬と一緒にいるところを何度か見かけたことがある。…「ゆうま」というのは、悠馬、で間違いないだろう。 (失敗した)  講義が終わって、一緒にレポートをやらないかと声をかけられた。いつもなら一も二もなく頷くところだが、聞きつけた悠馬の友人たちが集まってきたので、買ったばかりの本を読みたいからと断った。  一人で家に帰る気にもなれず、大学の近くの喫茶店で本を開いた。バックには心地いいジャズ。  コーヒーの値段は安くはないが、居心地がいいので気に入っている。  でも、胸がざわざわして、ここに来るんじゃなかった…、と後悔した。 ...
  • 10-809
    飛んでいくよ あの日、珍しく里に見知らぬ子供が紛れ込んでいた。乞われるまま、ひらりと麻を飛び越えてみせると、 まるで鳥だと言って、その子供は目を輝かせた。いずれ我らの主君となられる方だと、兄から聞いた。 かれこれ二十余年も昔のことだ。長じて忍となり、兄の言葉通りかの人に仕えることとなる、ずっと前の話。  決して忘れたことはないが、こんな時に思い出されるのが不思議でもあった。こんな時だからこそ、だろうか。 掌で押さえた傷口から、とめどなく血が溢れ続けていた。不覚をとったものだ。 確かめるまでもなく、致命傷だと判っていた。脇腹深く食い込んだ短刀には毒が塗られていた。 参ったな。独りごちた声は掠れ、語尾は囁くようであった。この分では、あと半時ももつまい。 死ぬる覚悟はあった。予感もあった。ただ、帰りを待つ主のことがひたすらに心残りだった。 生きて帰還せよと、主は繰り...
  • 23-809
    関西弁眼鏡 そっと裏口のドアを閉めて振り返ると、そこには、腕を組んだ直人が立っていた。 「おかえり」 こっちの「おかえり」とは少し違うイントネーションで、ゆっくりと言われる。 まったくにこやかでない直人に向けて、俺は愛想笑いを浮かべた。 「たっ、ただいま。まだ起きてたんだな、直人」 「お陰さんで。どっかの誰かさんが黙って居なくなりよって、心配で心配でなあ」 心配だと言う割に、その声はやけにドスが利いている。 「で、どっかの作家先生さんは、こんな時間までどこをほっつき歩いとったんやろか」 「あー…いや、その。ちょっと気分転換の散歩に……」 眼鏡の奥の目がすっと細められる。それを見てとった俺は自然と早口になった。 「いやほら、俺が色々頼んだ所為で直人忙しそうだったから。邪魔しちゃ悪いなーって。  だってあのまま机に向かっててもきっと全然進まないし、それにずっと椅子...
  • 19-809
    戦闘狂 狂→名詞を修飾しそのことに熱中する人の意を表す。 要するに戦闘大好き人間、戦マニア、バーサーカー 一口に「戦闘」といっても色々あるんでしょうが、ここでは命をやりとりするレベルを想定します。戦争とか まあ戦闘好きなんてのは多少の差はあれ、まともな人間じゃありません。 不幸な過去、いびつな精神構造、憑依体質、卓越した身体能力、神算鬼謀、屍山血河、呪われた武器 ―――厨二マインドをくすぐる連想ワードがてんこ盛りです。いい感じに妄想が盛り上がります 様々なタイプの戦闘狂がいますが、共通項は良識派との組み合わせマジお勧めということくらいでしょうか。 以下代表例を3タイプ。 【タイプ1】熱血猪突猛進型 カップリング推奨:冷静沈着参謀タイプ やってる事とは裏腹に、不思議と殺伐とした印象を(読者に)与えないタイプです。 周囲も「本当に人殺しが好き男だな……」と...
  • 13-809
    幼なじみで妹の彼氏である攻めが好きな受けと恋愛<友情な攻め 「なんで最近一緒に帰ってくれねえの?」 幼馴染にして俺の妹の彼氏である佐々木が、唐突に不満顔で俺の教室に現れた。 切ない。寂しいんだけど。などととぶつぶつ愚痴る佐々木は、今日も地味に鬱陶しい。 妹よ、こんなのの何処がいいんだ。兄ちゃんはお前が分からない。 「昨日だって一緒に帰ろうと思って、俺ずっと待ってたのに。先帰っちゃうし」 拗ねたように唇を尖らせる佐々木は、不本意ながら造作が整っている。ムカつくことに、かっこいい。 ついでに言うなら、優しいし、友情に厚いし。なかなかイイ奴だ。ちっと馬鹿だけど。 正直に打ち明けよう、妹よ。お前見る目あるぜ。コイツすげー優良物件。お前は偉いよ。よく見抜いた。 「うぜえよ。つーか、いいからアイツと一緒に帰ってやれよ。」 「妹ちゃんと?なんで?」 なん...
  • 9-809-1
    喉仏 「子供の頃は歌手になりたかったのだよ」 林檎を口に運びながら、彼は言った。 「地元の少年合唱団に所属していてね。クリスマスには教会で賛美歌を歌ったものだ。  周りから天使の歌声だと褒められて、その気になっていた」 「天使か。今じゃ悪魔の癖に」 精一杯の皮肉にも、相手は「その通りだ」と鷹揚に頷くだけだった。 「この林檎は少々酸っぱいな。日の当たりが悪かったか」 「暗闇の中で生きてきたあんたにはお似合いじゃないか」 「上手いことを言う」 怒るどころか、可笑しそうに喉の奥でくつくつと笑う。 そして、酸っぱいと言いながら、また次の一切れを口に運んでいる。 彼はこちらを僅かに見て「私は林檎が一番の好物でね」と言った。 「そういえば、かのアダムも林檎が好きだったか」 唐突に呟いて、彼は手元に視線を落とす。 「彼が林檎を喉に詰まらせなければ、私は天...
  • 4-809-1
    携帯電話 200*/12/06 02 01 【件名】 【内容】 久しぶり、俺のこと覚えてますか? 卒業して5年だっけ?まったく連絡取ってないから、忘れてるかもね。 同窓会にも成人式にも行かなかったし。 お前にこうしてメールをするのは、これで最後になると思う。 ひとつだけ言い忘れていた事を思い出したので、最後っ屁がわりに伝えておきます。 お前のこと、好きでした。友達じゃなくて、うん、そう、好きだった。 好きだったよ。好きでした。いや、今も好きです。 久しぶりのメールがこんなでホントごめん。 どう思うかは、お前次第です。気持ち悪いと思った?思ったかなぁ。 明日の午後、携帯電話を新しくするつもりです。 卑怯なことは十分に分かっています。分かってます。 気持ち悪いと思ったなら、それでいい。 きもいメールが来たって誰かに言いふ...
  • 7-809-1
    恋が始まる直前 ひやりと冷たいものが頬に触れ、目覚める。 閉めたはずのカーテンが開け放たれ、月明かりが部屋をぼんやりと照らし出していた。 夜の虫たちが静かに鳴いている。 生暖かい夜風が微かに俺の身体を掠め、通り抜けていく。 ベッドの端を僅かに傾かせているのが誰なのかは、目を遣らずともわかっていた。 プシュッっと空気が勢いよく抜ける音がして、夜の訪問者たる彼の喉が、液体を流し込まれてゴクリと鳴る。 俺は、頬に押し付けられた缶ビールを手に取り、ゆっくり身を起こすと、その缶はそのままに、彼の手の中から奪い取ったビールを口にした。 俺がそれを一気に飲み干す様を、特に不満気でもなく彼は見ていたのだが、目を合わせると何も言わずに前を向き視線を逸らせた。 肩に手をかけ、少し上身をこちらに向かせて、唇の端に口付ける。 彼は目を閉じる。 触れるか触れないかの距離で唇の上をなぞる...
  • 3-809-1
    死んだ攻めAを想うあまり攻めAとの夢の世界に閉じ籠ってしまった受けと、攻めB お兄ちゃんの様子が最近おかしい。全然ご飯を食べないから、お兄ちゃんが小さい頃から 大好物のハンバーグを一生懸命作ってみたけど、やっぱり食べてくれなかった。初めて 作ったハンバーグだから形が歪んでいたし、見た目が美味しそうじゃなかったから食べて くれなかったのかもしれない。そうだとしたら悲しいな、と考えながら自分で作った 失敗作の焦げたハンバーグを口に運んだけれども、とても食べられたものじゃなかった。 そのままその場に吐き出そうとした時にお兄ちゃんの怒った顔が浮かんだから、きちんと ティッシュに包んでからゴミ箱に捨てた。お兄ちゃん、何か食べないと体に悪いんだよ。 ちゃんとご飯を食べないと、栄養失調っていうのになるって学校で先生が言ってた。僕、 お兄ちゃんが病気になっちゃうのは嫌だな。でも、...
  • 10-809-1
    飛んでいくよ 「もしもーし、繋がってる?  あんたが向こう行っちゃったのっていつだっけ。もう随分会ってないよな。  ……うん。思ってたより、すげー寂しいよ。そりゃちょっとは頑張ろうかとも思ったけどさ、ちょっと無理みてぇ。あんたもさんざん言ってくれたじゃねぇか。俺は甘ったれなんだよ。  好きだとか、幸せだなんて感じたことねーんだけどさ、やっぱあんたといたときの時間て、特別だった。飯食って飲んで、セックスしたりしてさ。  あんたがいなくなってからも誰かと寝てみたけど、バカ、おこんなよ。寝てみたけど気持ちよくなかったよ。やっぱあんたって特別。  だからすげー寂しいの。  なんかさ、飛行機とか飛んでんじゃん、空。あんたのいるとこめちゃくちゃ遠い気してたんだけど、あれ見てたらけっこー近いかなと思って。  だから、あんたは迷惑かもしんないけど、俺、やっぱそっち行くことにするわ。 ...
  • 24-809-1
    武家×軽業師 軽業師とお武家様は本来身分が違う者同士。 出会いは町中。軽業師が綱渡りをしている場にお武家様が出くわす。 軽業師の華麗な技にお武家様は虜になってしまう。 そのうち軽業師の方も武士が気になってきて、ある日声をかける。 そしていつしか軽業師から誘って一夜の関係をもつ。幸せな一夜を過ごす。 だがお武家様はそれ以降、町には来なくなる。傷つく軽業師。 軽業師の技が話題となって、あるお殿様の屋敷で芸を披露することになった。 だがそこは軽業師を馬鹿にするようなゲスな武士ばかりの宴だった。 軽業師は顔に笑みを浮かべつつ武士に対し腹立たしい。特にお殿様は下品な人だった。 綱渡りの最中に武士の中に、関係をもったお武家様を見つける。 動揺して綱から落ちる。見ていた武士たちからは馬鹿にされる。 宴の後、心配したお武家様が軽業師の様子を見にくる。 ...
  • 12.5-809
    同じ顔同士 ばかな話だと思った。自分と同じ顔をしている弟に見惚れるだなんて、ばかな話だ。 好きな人がいるんだ。 双子の弟が、そう私に告げてきたのは、つい先週のことだった。 同じ月日を一緒に過ごしてきた仲だというのに、それまでにそういう話を打ち明けたのは、弟も私も初めてだった。 私にはそれに理由があった。同性愛者だということを知られてしまったら、軽蔑される、そう思っていた。 (今思えばなぜもっと早く気づかなかったのだろう。私と彼は同じ細胞でできているということに) 弟に好きな人がいるというのは、単純な気持ちで嬉しかった。 少しでも力になってやろうと、私は照れながらも、相手の名前を聞いた。 弟が口にしたのは、私が交際している男だった。 唖然としている私に、弟は続けてこう言った。 「あの人と、兄貴が、好き合ってるのは知ってるんだ」 「ごめん」 ...
  • 24-809-2
    武家×軽業師 〈中世〉 高麗や唐土や天竺や波斯よりさらに西の果てから使節団が来朝した 俺は北面武士として、使節団が宿泊する屋敷の警備に当たっていた 端的に言うと一目惚れだ 使節団への歓迎の宴席で警備をしていたときだ 使節団に同行していた軽業師の少年が歌舞を演じ始めた その美しさは言葉に表しようがなかった 髪は見たこともない白金色 瞳は秋晴れの澄んだ空の色 口さがない輩は「鬼のようだ」などと陰口を叩いていた 俺にはまさに極楽で神仏に仕える小姓の如く見えた そして、その日の夜に警備係の職権を悪用して……夜這いした 無理矢理に向こうの獣の毛皮で織られた服を剥がすと下には雪のような肌が広がっていた 俺は夢中でその雪原に手と足と舌で跡を付けた 本当はどう考えているかは分からないが、はっきりと俺を拒んでないのも確かだった それから連夜に渡って俺は体を重ねた しか...
  • 28-809-1
    木×葉っぱ おしべ、というのはみじめなものだと思う。 どんなに素晴らしい種を持っていても、実になれるのはめしべだけだ。 自分の種を受けた相手が実になっていく横で、寂しく枯れていかなければならない。 体が黄色くかさかさになり、落ちるのを一人待つだけ。 土に落ちれば、あとは腐るだけだ。 「・・・それでは」 だから俺は喜ぶべきなのかもしれない。自分が葉であったことを。 「ああ、じゃあな」 木に栄養を与えた後は、用済みになって落とされる。 葉もおしべも、用済みになれば木にとっては同じだ。 一生で幾度も出会うもののたった一つに過ぎない。 それでもまだ。 俺は足元に落ちたあいつとは違う。風に乗って、遠く離れていけるのだ。 木のように、次々と新たな命を生み出すあの人から。 この箱庭のような王宮から。 豆×さや
  • 20-809-1
    同情でもいいから キッチンというほど広くもないけど、それでも部屋とはガラス戸で区切られている。 けどもちろん鍵なんかかかってないから、結局のところ言い訳でしかない。 その証拠に、戸を開け、薄い布団に潜り込んで取り出したものは、さわる前から立ち上がっている。 「甲野君、駄目。来ないで」 固い声が俺をたしなめるけど、構わず握る。 本気で駄目だと思ってるんなら、蹴り飛ばせばいい。 戸川がいたから俺は駄目になった。 失恋というには客観的にだってひどい仕打ちだったから、だから立ち直れないという甘えに身をまかせた。 半ば当てつけだった。ひとりだったらちゃんと何とかしたんだ。 こいつが俺を病院に連れて行ったり、飯を食わせたり、無くした金をくれたりしなければ。 部屋にひとりにならないよう、と布団を持ち込んでこなければ。 馬鹿じゃねぇの、と罵倒すれば、もう何かを無くすのは...
  • 18-809-1
    「馬鹿だなぁ(頭なでなで)」  三日降り続いた雨が漸く止んだ。  久しぶりの太陽は目に眩しく、その光に浅い緑がきらきらと光っている。心地のいい風を受けながら、俺は坂道をゆっくりと上って行く。  海沿いの田舎の街。こんな街は来た事もなかった。あんたが居なけりゃ、これからだって来る事はなかった。  坂を上りきった所で振り向くと、眼下に海が見えた。坂道だらけの小さな街。あんたが以前話してくれた事があった、その通りの光景だ。  覚えのある匂いに教えられて、突き当たりを右に曲がった。人のツテを頼って頼って手に入れたメモを見ながら、目的の場所へとたどり着く。 「---久しぶり」  何を話していいのか分からない。あんたからの返事は無い。 「ここ、すっげ遠いんだな。この間やったバイト代がパァだ」 「場所もさ、あんたの親に聞いても教えてくんねーし。苦労したんだぜ。あんた、俺以...
  • 21-809-1
    近所のお兄さん×近所の悪ガキ 「なあ、あんたさあ。男の人が好きってマジ?」 背中合わせでの真剣ポケモンバトル中にかけられた一言は、ボタンを間違って押すぐらいの衝撃を僕にもたらした。 「…どういうこと、それ」 「言葉通りの意味。隆クンは昔っから男が好きなヘンタイだから近づくなって、裕二んちのおばさんが言ってたからさ」 ほんとかと思って、というあんまり直裁な彼にちょっと頭を抱えそうになる。 「なあなあ、どうなの。どうなの?」 「ちょっと静かにしてなさい。今僕のターンでしょう」 「ちえー」 しばらく、かちかち、かちかち、とボタンを押す音だけが響く。 そらをとぶを無効化するために違うタイプのポケモンに入れ替えるか、というタイミングになって、僕はすこしだけ目を瞑る。 そうして再び開いた視界は、何も変わることがない。 だから、彼の疑問に応えてやることにした。 「…すきだ...
  • 6-859
    人形のような男 何を話しかけても、奴はただ『返事』しかしない。 俺が何をしても、奴はただ『受け入れる』事しかしない。 俺の話す事を『聞く』事もしなければ、俺のすることを『拒絶』することもない。 身体は俺の側にあっても、心は俺の傍にはない。 溜め息をつきながら、彼の髪を手で梳いた。 さらさらと、俺の手から零れ落ちる彼の髪の毛。 まるで今の俺の気持ちのようで、酷くいらいらする。 唇を奪い、―窒息させるかのように―深く口付けた。 奴が苦しんでいるのが分かる。 くぐもった呻き声が、助けを求めるように漏れる。 唇を離してそいつの顔を見ると、目がうつろに宙を見ているのが分かった。 きっと、その瞳は俺を映してなどいないのだろう。 人形のような男
  • 6-869
    40年ぶりの再開 ※人間×エルフ ++++++++++++++ 久しぶりに彼に会った時、僕は何か悪い夢でも見ているのかと思った。 しばらく思考が止まってしまい、考える事が出来るようになってからようやく気が付いた。 彼は、人間だったのだ、と。 知らなかったわけではない。 ずっと一緒にいるうちに、忘れてしまっていただけだった。 僕はおそるおそる彼の手に触れた。 前に僕を力強く抱きしめてくれた手には、もうすでに力などこもってはいない。 僕を魅了した瞳は、もう半ば輝きを失っている。 彼は、呆然とする僕を弱々しい腕で抱きしめてくれた。 彼の腕に抱きとめられた時、僕はなぜか嬉しくなって涙を流してしまった。 あの時の力強さもなければ、抱きしめられるたびに聞かせてもらった甘い言葉を聞かせてもらえたわけでもない。 だけど、彼の腕の...
  • 6-899
    8あいしてる 双子の弟が、さっきから珍しく机に向かって何かやってる。 「アラタ、なにやってんの。」 「んー、ラブレター」 …はぁ? アホか。 「……………誰に。」 「よっし、できた!!」 アラタは興奮した調子で俺の方を向くと、読むからな?と言って咳払いをした。 「*8あいしてる  はじめまして、でも俺はいつも*8のことを考えてます!  *8はもしかして誰かが自分のこと見てるなんて思ってないかもしれないけど  俺はやさしくてしっかりものでいつもみんなを支えてくれる*8が大好きです。  みんな*9や*0のことばっかり褒めるけど、その*9や*0が輝けるのも  *8のおかげだってこと全然わかってないよな!  だから俺がみんなのぶんもお礼を言います。  いつもありがとう!!  これからもずーっと*8のファン 小岩井新 ……どう?!」 …*8っていう...
  • 6-889
    握り返された手 ベッドに横たわりながら、俺は軽く彼の方を見た。 彼はぐっすりと寝入り、一向に目を覚ます気配がない。 無理もない、と思った。 先程、俺は彼に強い疲労を強いる事をしたばかりなのだから。 抱かれる側の疲労がどれほどのものなのかは、俺にはわからない。 だが、終わった後、気が付けばすぐに寝入ってしまっている彼の様子を見るかぎり、相当な疲労なのだろうと思う。 俺は半身を起こし、彼の、軽く汗の残る額にかかる前髪をかき上げ、唇でそこに触れた。 当然の事だが、やはり起きる気配はない。 彼の、力なく投げ出された手に触れて、軽く握ってみる。 その時、眠っていたはずの彼が俺の手を握り返した。 俺は驚いて彼の方を見たが、彼はいまだに間の抜けた寝顔で眠っている。 ふと、彼の唇が何かを呟いているのに気が付いた。 寝言だろうか。 俺は、彼の寝...
  • 6-879
    誰そ彼 彼は誰 「あ…おかえり」 「悪い、起こしたか?」 いいや、と首を振る姿はやはり眠そうだ。 俺は伸びをしてその辺に上着やらシャツやら鞄やらを放り投げる。 「だからシワ増えてアイロンがけ面倒になるんだよ、掛け布団はちゃんと畳むくせに」 「それは俺の物だから俺がしたいようにする。別にいいんだって」 とにかく疲れた、横にならせてくれと呻くように口にしたら、 あいつがゆっくりと上体を起こして枕元に手を伸ばした。 「今日買ってきたんだ、君がゆっくり眠れるように。いつも1時間は唸ってるからね」 小さな灯があいつの顔を浮き立たせる。 「いい香りでしょ?」 あいつの微笑みが、触っちゃいけないほど綺麗なのに何故か惹かれる。 右手で頬に触れ、そのまま輪郭をなぞってから一緒に布団へ倒れ込む。 「…これ、お前がつけてるコロンと似てる」 「へぇ、どうしてわかった...
  • 6-839
    しーずむ ゆうーひにー てーらされてー まーっかーな ほっぺたのー きーみとぼくー 「先輩、そろそろ帰りましょうよ」 「あーちょっと待って。今、日誌書き終わるから」 着替えを済ませた部員達がひとり、またひとりと校庭を後にしていくのに、いつまでもロッカールームから 出てこない先輩を迎えに行くと、彼は机に座って日誌を書いているところだった。俺は入り口付近の 壁に背をあずけ、夕陽に照らされる横顔をぼんやりとながめていた。 最低限のひかりしかないそこでは、顔立ち本来の精悍さだけが強調されていて、シャープな鼻先だとか、 ほっそりした指の動きだとか、男にしては長めの睫毛だとか――そんなところにばかり目がいってしまう。 そのことに多少のやましさを感じたので俺は気をそらすために口を開いた。 「先輩は、もう進路とか決まってるんですか」 「うん?なんで。ずいぶん突然だな」 「いや...
  • 6-829
    金魚すくいにいる亀 ひらひらと目の前を綺麗な赤い色が通り過ぎる。 他の誰とも違う色を、あの子は纏っていた。───それは目を奪われずにはいられないほどの。 傍に行きたくて。せめて、もっと近くでその色のひらめきを見てみたくて。 一生懸命泳いでみるけど、4本もある僕の足はどれもこれも短くて、バタバタとただ不恰好に水を掻くだけだった。 追いつけない、どうしても。 たくさんのひらめき。たくさんの色。 美しく、優雅に泳ぐ彼らの中で、僕だけが異質だ。誰もが僕を避けるように通り過ぎていく。 どうしてだろう。どうして僕だけが、こんなに彼らと違うかたちをしているんだろう。 もしかして今はこんなに異質でも、いつか重い甲羅は脱げて、足は優雅に水を滑る、しなやかな尾ひれに変わるのだろうか。 そうしたら、あの子に追いつけるのかな。 きっときっと、追いつける。 いつか来るその日...
  • 6-849
    ドアをはさんで背中合わせ 聞いてくれよ、とあいつが言う 帰れよ、と言う俺の声は震えていた 「誤解だって…」 勘のいい奴。 俺は何も言っていないのに ただ、暫く顔も見たくない、と言っただけなのに そして 本当は帰って欲しくなんか無いことも 奴には分かっているんだ 大きな溜め息が、ドア越しなのに聞こえて 「俺は、ここにいるから…」 おまえの気が済むまで。 金属のドアは、あいつの体温を伝えてくる 信じていない訳じゃない ただ苦しくて …抱き合って、誤魔化して笑えない痛みがあって それなのにあいつが必要で あとどのくらい、俺達は一緒にいれるのだろう 俺の体温を、おまえはいつまで感じてくれるのだろう おまえを感じる、背中が痛い …この痛みも、伝わるっているのだろうか? ドアをはさんで背中合わせ
  • 6-819
    よりによってなぜこの上司 よりによってなぜこの部下  昔の友人達との集まりの帰り、何となく車に乗る気分にならずに久しぶりに電車で帰る事にした。 終電間際の慌ただしい駅の構内をほろ酔いで呑気に歩いていたら、ふと背後から近寄ってきた人物に肩を組まれた。 顔を見合わせたが、知らない男だ…酔っぱらいか?それともやはり知り合い…などと混乱しているうちに、 いつの間にか後ろにも二人、あっさりと人目に付かない場所に誘導されてしまった。 「…おっさん何やってんの?つかマジ何したらこんないいスーツ着れんの。」 「すっげー、俺らどんなに頑張ってもこんなカード一生持てねぇー」 無精髭をはやし目立つアクセサリーを身に付けて体格もそれなりにいい彼らは、 私の鞄を物色しながら些細な事でいちいち笑い声を上げる。 私は…情けない事にただそれを見ていただけだった。私が呆然としていたのは、 もち...
  • 14-801
    801リク「あなたの好きな場所」 好きな場所「オフィス」 ああ…疲れた…。 伸びをすると、全身が軋みをあげる。 目がかすんで、視界がハッキリしない。 今は決算期で、一年で一番忙しい時期だ。 時計は日付を越えようとするところまで迫っているのに、まだまだ書類の山は減る気配が無い。 …まあ、オレが要領悪いだけなのかもしれないけど… 現に同僚達はとっくに帰ってしまっている。 今このオフィスに残るのはオレと…部長の二人だけ。 部長もオレに合わせて残ってくれているんだろう。いたたまれない気持ちになった。 「部長…」「なんだ」 朝は一番に出社してきて、夜は必ず最後まで残る。部長はそういう人だ。 こんな時間だと言うのに、スリーピースのスーツにも、バックスタイルにした髪形にも一片の乱れも無い。 クールビューティって言葉、部長みたいな人の為にあるんだろうな…それに比べ...
  • 26-859
    暑くても離れたくない 男と男の荒い息づかいが部屋にこもる 「はあ、はあ…んっいくっ」 「んあっ」 果ててすぐベットに倒れ込み俺達は大の字になった 今日三回目だ 夜中帰ってして朝起きてして真っ昼間から… 「もう中ぐちょぐちょだよ」 「…もう一回する?」 そう提案すると智は流石に無理と屈託のない笑顔で答えた 智は腕を回して手を繋いでくる 「暑いね、シャワー浴びる?」 暑い… 湿っぽい部屋で運動したんだ、しょうがない それでも、ベタついた手を繋いでいても、心地よかった 俺が何も答えずにいるとじゃ、お先にと真っ裸で浴室に消えて 腰にタオルを巻いて戻ってきた 「久々だったから濃かったね、またいつでも呼んでね」 ベットの脇に無造作に脱ぎ捨てられた衣服を拾っている 「離れたくない…」 智の手をぐいっと引いてベッ...
  • 16-819
    おしゃべりワンコ系×無口素直クール 「ね、ね、ね。アイス、スイカとメロンがあるんだけどどっちがいい?オレはねースイカがいいかなぁ、いや今日はあえてメロンかな?うーん迷う。どっちにしよう!ね、シュウは?」 「・・・・・・どっちでもいい」 「えええ。あ、じゃあオレはスイカにするから、シュウはメロン食べて。でさ、一口ちょうだい?」 「ん・・・」 シュウの綺麗な瞳が、今はその前髪に邪魔されて見えない。つまらない。 手元の本に夢中なシュウはこっちを見てくれない。つまらない。 ねぇ、つまんないよ、シュウ。 「オレの話聞いてる?シュウ」 「聞いてるよ」 「その本おもしろい?」 「まあまあ・・・」 「オレとその本とどっちの方が好き?」 そう言うと、ようやくシュウが顔を上げてくれた。 黒曜石みたいな瞳には少しだけ驚きの色が浮かんでいる。 いつもほとんど無...
  • 16-869
    なぜかやたら男にモテる攻め 一人目――魚正のご主人 「よう、おにいちゃん!今日は小イワシが安いよ!刺身にどうだい?」 「いいッスね~。でもすいません、今日はすき焼きなんですよ。また今度寄りますから」 「あちゃ~そうかい、じゃあまた来とくれ。でもすき焼きかい、いいねえ。何かいいことあったのかい?」 「ええまあ、お祝いです。それじゃ、失礼します」 「はいよ、またな!」 二人目――池上スポーツ用品店の店長 「お、伊藤君。こないだはお疲れさん」 「こんにちは。お疲れ様です」 「いやー、先週は君に助っ人に入ってもらって助かった。我がチームに正式に加入してほしいくらいだ」 「うーん…そうしたいのは山々なんですけどね。俺、土日に出勤が多いんでご迷惑かけてしまいますし」 「だよなあ……ま、しょうがないな。また時間あって気が向いたら来てくれ。君なら大歓迎だから」 「は...
  • 16-889
    来ないで 君が、光る女性の唇を、かわいいねと褒めたから。 姉の口紅を塗ったのは、ほんの好奇心だったのに。 「―――来ないでッ!」 ドア越しに僕は怒鳴った。 こんな大声は久しく出していなくて、喉がヒリヒリと痛んだ。 「…どうした?」 僕のみっともなく掠れた声を聞いた彼が、心配そうに声を掛けてくる。 「君にだけは…見られたくないんだ…。」 噛み締めたピンクの唇はぬるりとすべって、人工的な味が惨めさと共に喉を流れた。 違うんだ。 僕が本当になりたかったのは。 こんな姿じゃなくて。 ドン!とドアを乱暴に叩く音にびくりとして、一瞬背が浮いた隙に彼はドアを開けた。 「!」 「お前、何――――…ッ?」 僕の顔を見た彼の口許がひきつる。 ああ、だから、君にだけは見られたくなかったのに。 だが彼は踵を返すこともなく、瞬きもでき...
  • 16-879
    たった一つの共通項 俺とあいつは別の生き物だ。 髪の色も目の色も微妙に違う。 好みのタイプも違う。好きな食べ物も好きな色も好きな教科も好きな音楽も。趣味すら被らない。 「ハル、すきだよ。」 相手に意志を伝える言葉選びも違う。 「アキ、あいしてる。」 ただひとつ、俺たちは両親が同じだった。 ああ、報われない。キスをしても何をしても。 なんて不毛な想いだ あいつは「バカバカしい」と笑い飛ばした。同じ思いを分かち合えない。 (いっそひとつになれればいいのに) 奴はそれすら笑い飛ばすだろう。また同じ思いを分かち合えない。 ああ、報われない。 来ないで
  • 16-829
    男の娘受け 「ですから」 楓は、困惑したように眉を寄せた。 「僕は普通の男なんですよ。こんな格好をしていますし、顔も父よりは母似ですが」 「知っている」 そう言うと表情が歪んだ。警戒の色はますます濃くなる。 「知ってるのなら尚更……本気なんですか、僕を『娶る』だなんて」 「分家風情は、本家の命令には逆らえんのさ」 「そんなのおかしいです」 言いながら後ずさろうとするが、その後ろにはもう壁が迫っている。 向こうもそれに気付いたのか、一瞬だけこちらから視線が外れた。 その隙に距離を詰めて、手首を掴む。「痛い」と小さく漏れた声は無視して、その手をじっと眺めた。 「細い腕だ。色も白い。今このときでも、女だと言われたら信じそうになる」 子供の頃に一度だけ、楓を見たことがある。 父に連れられて、旧正月の挨拶をしに本家を訪れたときのことだ。 ――あそこに...
  • 26-889
    義兄弟 姉さんの3回忌に訪れた墓所で、俺と義兄さんは静かに手を合わせる。 親代わりになって歳の離れた俺を世話してくれた姉さん。 それを陰から支え続けてくれた義兄さん。 福祉課の職員と相談に訪れた市民という、色気の欠片もない出会い方をした二人は、バレンタインデーに告白して、ホワイトデーに返事をするという、今時小学生でもやらない幼稚で不器用な恋愛を経て結ばれた。 なのに、たった一年足らずで姉さんは逝ってしまった。 義兄さんは今も変わらず、市民の良き相談相手として働きながら、大学に通う俺の面倒を見てくれている。 まるで困っている人に尽くすことが、人生の生き甲斐みたいな人だ。 「お腹空いただろう? 何か食べて帰ろうか」 「はい」 合掌を解いた義兄さんの、眼鏡の奥にある瞳が少し潤んでいる。 二人に見守られて十代の後半を過ごした俺は、両親がいなくても十分に幸せだった。 本...
  • 26-879
    踏まれにきました ――踏まれにきました。 ああ、そんなに口を大きく開けないでください。みっともない顔が更に締りがなくなりますから。 え? 言い間違い? そんなわけないじゃないですか。あなたのような頭で思ったままのことを考えもせずに口にするとでもお思いですか? もしそうなら心外です。 三歩歩いたら大体のことを忘れてしまうような軽いおつむのあなたには、私の気持ちなんてわからなくて当然ですけれども、私が冗談でこのような頼み事をしにくるとでも? 何困惑したような表情してんですか。全く可愛くありませんよ。 キョロキョロ挙動不審になるんじゃありません。一体いくつなんですかあなたは。全く、これで私よりも年上だというのだから嘆かわしい。 ……仕方がないですね。耳の遠いあなたのためにもう一度だけ言って差し上げます。 私を踏んでください。 その身長に反して大きな足で、私の背中に体重をの...
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