*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「7-309」で検索した結果

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  • 7-309
    理想郷 水滴が残る緑の葉。水溜りに流れる青空。ふうわりと明るくなる視界。    …お前は知ってるか?いや、その顔は知らないな。    雲の切れ間から陽の光がカーテンみたいに地上へ差す現象を、    「天使の梯子」って言うそうだ。    俺は見ての通り宗教とか神なんか信じない性質だが、    こんな時ばかりは天国とやらが存在しているんじゃないかと思う。    ああそうだ、ユートピアとは別の意味らしいぞ?    あれは「どこにもない場所」や「理想的な場所」という意味だそうだ。    まぁそういう意味では天国とそう違わないのだろうけどな― 小中高と同じ学校の奴が言っていた、夢のような国。 俺にとっては、お前が教えてくれたそのすべてが夢幻じゃないかと思うくらい輝いていた。 大嫌いな梅雨や気象現象を初めとする赤点理科だって、 一瞬にしてお前が魔法をかけて色...
  • 27-309
    絶望×希望 目覚めると、光の無い場所に私はいた。 自分の存在すら危うくなりそうな漆黒の闇に、私は包まれていた。 不安ではなかった。闇は、ずっとここにいたいと思うような心地よさで私をあたためた。 時折聞こえる囁きは、寂しさを拭ってくれた。言葉はわからずとも、その存在を感じていられた。それだけで充分だった。 永遠に思える時を共に過ごしてくれたのは、その漆黒の闇だけだった。 ある時、真上から光が射し込んだ。 その瞬間、闇は大きくうねりながら光の方へと消えた。 行かないでくれ――と叫ぶ暇もなかった。 光は私を照らしたが、その刺すような眩しさは私にとって苦痛でしかなかった。 人は私を、箱の中に最後に残った希望と呼んだ。 闇は、絶望を招く災厄と呼ばれた。 あの闇が、どれだけの時を私と共にし、私を慰め続けたかを知らずに。 私にとって...
  • 10-309
    10-309 あなたを置いていくけれど。 拝啓 K様 いきなり手紙だなんて、びっくりしたことと思います。 数日前から、俺の体調はすごく悪く、もしかしたらやばいかな、と 思って、これを書いています。 今、あなたがこれを読んでいるということは、万一のことが俺に起こった ということです。とりあえず、謝っておきます。ごめんなさい。 思えば、俺の人生で一番長い時間を一緒に過ごしたのは、あなたでした。 俺の青春の思い出には、悲しいことに、全てあなたが隣にいます。 あなたのおかげで、俺は灰色の青春時代を過ごしました。 あなたは、俺が欲しくて欲しくてたまらないものを、軽々と手に入れて、 平気でドブに捨てるような人でした。 俺が大事に思ってるものを、靴底で踏みにじって、笑っているような人でした。 どれだけ腹を立て、どれだけ嫉妬したか、分かりません。 ただ、あな...
  • 4-309
    異世界とリップした三十路サラリーマン ほんの気まぐれだったんだ。 会社に戻るのに近道かな、と思ったからいつもの道から1本それた小道に入った。それだけ。 ほんとそれだけだったんだけど、なんか道を抜けた先が微妙に違和感。 とりあえず僕の30年の人生の中でピンクの葉っぱがついた樹なんて見たことないわけだな、うん。 建物とか微妙に変だし。どこが変とか説明できないけど。 道行く人は一応僕と同じような人間っぽいけど油断は出来ない。 ああ、本当に僕はどうしちゃったんだろう。 もしかして営業サボって入った漫画喫茶で居眠りの最中なんじゃないかな? 目が覚めたら全部夢でしたって落ちじゃないかな? そうは思っているものの手の甲つねったら痛いし。 会社に帰れないな。 たまにはサボったりしてたけど一生懸命勤めてたんだけどな。 このまま失踪者扱いにされちゃうの...
  • 5-309
    気持ちいい? 「気持ちいい?」 俺の体の上に乗って上下運動を繰り返す青年は先程からこの言葉しか発さない。その口が垂れ流すのは、後は堪えきれずに漏れる短い悲鳴だけだ。 「気持ちいい?」 散髪に行き忘れたような長さの金髪が揺れてきらきらと光る。蛍光灯の光を、陽光に変えているのだろうか。太陽の粒を振り撒いて、青空のような瞳をしているのに、お前の口はなぜ馬鹿になっているのだ。 「気持ちいい?」 彼がこうなってしまった原因は知っている。俺は彼の主治医だ。だが、彼を治療するには時間がかかる。その時間に、俺は流されてしまっている。 「気持ちいい?」 「…ああ」 そんなに嬉しそうな顔をするんじゃあない。俺はお前の父親じゃあないんだから。こんなことは、しなくて良いんだから。 「気持ちいい?」 「…ああ」 それでも俺は頭の奥の破壊衝動を止められない。ごめんな、一生治療で...
  • 2-309
    元ヤンキーな家庭教師×優等生な17歳 「では先生、宜しくお願いします」  上品な微笑みを浮かべ、茶菓子を置きに来たらしい奥様は去っていく。年齢より若い イメージなのはやっぱエステとか通ってるのかね。うちのババアと比べものにならん。  まあそれはどうでもいいが。  で、その奥様からお生まれになったお坊ちゃんもこれがまた俺みたいな下々と比べ ちゃいかんくらい、箱入りというかなんつーか、お上品な感じで。俺みたいな元ヤン が務められたのは最早奇跡だね。  ……いや嘘。単に派遣会社の割り振りなんだけどさ。大学だけはそれなりのとこ入った もんで、まあまあそれなりにいいお家を紹介して貰えたようで。  いやさ、流石に先の事考えるとバカやってるのもどうかと思うっしょ? 中高で散々 やったからまあ、それなりに落ち着いてもいいかなと思うし。学歴はあって損ないし。...
  • 1-309
    万能後輩×ヘタレ先輩 in high school まず高校生と言う多感な時期がいいね。 先輩はへたれだけどへたれなりに頑張って色々やるんだけど後輩は簡単にやっちゃう。 しかも後輩は全然悪気が無くて手伝っているつもり。 先輩もわかってるから強く言えないジレンマ。 さらに後輩は万能故にモテモテ(死語)なわけですよ。 手伝ってもらったりするとお取り巻きのやつらにちくちくやられる先輩。 ある日尊敬してる先生に頼まれた事をがんばってやり遂げた先輩。 要領が悪くてかなり時間が掛かったけど完成したそれに満足。 しかし偶然後輩がそれを壊してしまう。 今まで温厚でいい先輩だったが普段の鬱屈もありマジギレ、後輩を怒鳴りつける。 後輩は恐縮し慌ててそれを直す。先輩が苦労してやった事をいとも簡単に。 それを見てお取り巻き「ほら~全然騒ぐ事じゃないじゃん...
  • 9-309
    変人でサイコな攻と、それにおびえつつも離れられず、ついついチョッカイを出すツンデレ 俺の考えが甘かった。 ……だって大学のオープンテラスだったし、 昼どきは過ぎたけど、外はいい天気でたくさん人もいたし。 二人きりになったりしなければ大丈夫だと、どこかでたかをくくっていた。 テーブルの上にはたった今勝負のついたままのチェス盤と、剥がされた俺の手袋。 奴は剥き出しになった俺の左手を、両手で弄んでいる。 「……さて。どうしようか……」 他人の大きな手で無造作にいじり回されるなんてことに、俺の左手は免疫がない。 幼少期の怪我のトラウマから左手だけはいつも手袋をして過保護に扱ってきたのだ。 こいつは、そのことを知ってから、異様に俺の左手に興味を示すようになった。 将来を嘱望される才能あふれる若き助教授、というのはあくまで研究面だけの話で、 学内では有名な変人、触...
  • 3-309
    耳かきと反対側の綿毛 俺とアイツはまるで正反対だ くすんだ色に削ぎ落とした木っ端のような俺の体 白くてやわらかくてまるで汚れをしらないようなアイツ 視界にアイツがよぎるたび堪えようのない衝動にかられる そして思うのだ 俺が暗い穴の中へ潜り汗と垢まみれになりながら働いているのにアイツは外の明るい光と澄んだ空気を味わっているのだろうと そのたびに憎らしさを感じた 悔しいと思った でも気がついたんだ 俺が感じていたのはアイツに対する嫉妬ではなく羨望だと あの清らかそうな姿を見るたび焦がれてやまなかったのだと でもこんなに近くにいるのに触れ合え無い いや、触れ合えたとしてもアイツか゛俺に興味を抱くはずが無いだろう 穴ぐらに篭り薄汚れた作業に日をやつす俺なんかに かなわないと知っている それでも俺はアイツを求めてしまうのだ ...
  • 6-309
    浴衣でグチョグチョ GWにうちの田舎の祭りを見ないか?とあいつから誘われた。 かなりの田舎町だし、余り面白い祭りじゃねーけどなーと言われたが 画一的な団地育ちの俺には、田舎の祭そのものが未知の領域だ。 今の時期だと、田植えの祈願祭で、地元の乙女があぜ道で 豊作祈願を謳うのだろうか、それとも神社で祈願祭だろうか。 夜には屋台が出て、わたあめとかイカヤキを食べながら祭り見物だろうか。 やっぱりここは、浴衣がいるよなあ。 ワクワクして浴衣を着用して見に行った祭りはすごかった。 田んぼの泥ぶつけ祭りだとは思わなかった。 おろしたての浴衣は、泥にそまってしまった。 いや、それよりも。 村の外からのいけにえとやらは、普通女がなるものじゃないか? 浴衣は泥だらけだが、浴衣の下はもっとどろどろにされた。 田舎町は恐ろしいところだった。 浴衣でグ...
  • 8-309
    両思い未満純情エロス 目が覚めて、横を向くとこいつの顔がある。 そんな日常にも慣れてきた。 大学の入学式の日、散る桜を見つめているお前に一目ぼれしてから2年。 『暇な時に呼べば来る。フットワークの軽いダチ』そんなポジションにおさまってから1年半。 ずっとそれでいいと思ってた。卒業までこんな関係が続くんだと思ってた。 でも、あの瞬間、友達という関係は崩れた。 最初は酔った勢い。今は惰性。 きっとお前はそう思っているに違いない。 でも、俺は・・・・・・ 揺れるのは俺の心だけでいい。お前は何も考えず、このまま。惰性でいいから。 気持ちが溢れ出して、お前のきれいな寝顔にキスをした。 両思い未満純情エロス
  • 13-309
    二卵性 久々に語ってみる。 二卵性と言えば双子だよね! 例えば男同士で、まったく似てない双子の場合。 弟が身長が高くて兄が低い(兄は拗ね気味)、兄が体育会系で弟が文系。 趣味も得意分野も顔も好みも、全く違うと良い。 全然似てないのに親の趣味で色違いでお揃いの洋服着せられたりして、端から見るとただのペアルック。 双子なら学年が同じなのもおいしい。学校行事は全て押さえられる。 小さな頃から、家でも学校でもいつも一緒だった弟が、別の高校(偏差値高い)にいっちゃったりして、兄は少し寂しく感じたりするといい。 弟は脳天気な兄の寝顔を見ながら、「せめて同じ顔だった、こんな思いを抱かずにすんだのでは…」とか葛藤すると良い。 でも二卵性なら男女の双子もまた捨てがたい。 例えば顔がそっくりだった場合。 攻めに一目惚れした受けが妹のふりして攻めに近づいたり、何らかの事...
  • 21-309
    ノンケ×ノンケ なんでもよくできる人の良いノンケAと、努力してもAに追いつけない嫉妬屋のノンケB ノンケAが好きな女の子に、告白されたノンケB ノンケAに初めて勝った気がして、ノンケBはそのまま女の子と付き合う事に その事をAに報告すると A「そうか、良かったな!俺はきっぱり諦めるから、彼女を幸せにしろよ!」 と言って無理に笑って去って行くA やっとAに勝てたのに、少しも嬉しくないB 彼女との時間を邪魔しないようにと、だんだんBを避けるようになるA 何故か解らないけど、それがとても悲しくてしかたないB Bが実はAに惚れていたと気がつくのはずっとずっと先 他の人には優しさを振り撒くけど、あの人だけは嫌がる顔が見たい
  • 15-309
    忘れないで 故郷の街を離れて、もう4年になる。そしてあの日からも。 突然の異動命令だった。空路を利用しなければ半日はかかるような、遠い地への。確かに入社時の面接で独身であることを強調したように思うが、それでも大切な人がいないわけではなかったのに。 彼とは高校以来の付き合いだった。男子校の特殊な雰囲気に呑まれたのかどうかは今となっては定かではない。けれど大学の4年間も共に過ごして、一度も後悔はしなかったところを見ると、自分も彼もそういった素質があったのかもしれない。 「…行くのか」 何年もの時を彼と過ごしたマンションの部屋、その玄関に立つ自分を見て彼は言った。ああ、と短く答える。 「連絡は、くれなくていい。お前の生活を壊したくはない」 彼がそこで言葉を切ると、僅かな沈黙が二人の間に降りた。耐えきれなくなって、もう行かなくてはと言った主旨のことを告...
  • 25-309
    おかん気質攻め×素直に甘えられない受け 「だから、ネクタイ曲がってるって」 朝に弱い俺は、こいつが毎朝起こしに来ても『寝坊』に近い。 そんな忙しない時間だというのに、こいつは悠長なことばかり言っている。 「これぐらい普通だろ。だれも気にしねぇよ」 「誰も気にしなくても俺が気になるんだから。ほら」 「いいって!」 「よくない」 このやりとりを繰り返しながら他の準備を終え、鞄を持って廊下へと出る。 これ以上続ければ、こいつも仕事に遅れることになる。引き際はそろそろ。 ならば強行突破だと、玄関へ向かおうと足を踏み出したとき。 左腕をひかれ、そのままこいつと対面した瞬間、 首元にかかる強い圧力と、唇に当たるやわらかい温度。 俺が状況を把握しようとし始めた絶妙なタイミングで離れたそれとは反対に、 俺の首元が引っ張られている原因であるネクタイは握られ...
  • 11-309
    夏休み クーラーの効く部屋。テレビの音。それ以外は虫の声も聞こえない。 はじめて、一人で過ごす夏休み。 去年までは当たり前のようにお前が隣に居て「宿題教えてー」とか言いながら笑ってたのに。 あの頃は、ほんとにいつでもそばにいたのに。 はずみでキスしてみたり、……もっと凄いことしてみたり、些細な事が何一つ今では当たり前じゃなくなってしまった。 いつも、邪魔だとかうざいとか疲れたとか、今思えばひどいこと言ったかもしれない。 でも一度も、本当に嫌だった事なんてないってお前は知ってた? 知らないだろ。毎回捨て犬みたいな目ぇして。……ま、いつも折れてた俺も俺だけど。 でもあの頃は、人の気配のない部屋がこんなに寂しいなんて思わなかったんだ……。 正直、あの日常がずっと毎日続くと思ってた。 おかしいよな。たった2年しか一緒にいなかったのに。 でも、2年も一緒に居...
  • 20-309
    男前が恋に落ちる瞬間 まさか、自分がこんなことになるとは思わなかった。 「先輩、大丈夫ですか? これ飲んでください」 心配そうな表情の後輩が、ストローのささったスポーツドリンクのペットボトルを持ってきてくれた。 「悪い……」 普段は一気飲みすることもあるそれを、ストローでちびちびと飲む。 正直辛いが、一刻も早く熱中症を改善するには水分とミネラルの補給が不可欠だ。 中学の頃からずっとやっているんだから、暑さには慣れているはずなのだが。 油断大敵、といったところだろうか。 今や防具のかわりに冷たいタオルにくるまれて道場の片隅に寝かされ、後輩に世話をやかれている。 ああ、何たる失態。 「おい、タクシー来たから、今からちょっと動かすぞ」 「タクシー、ですか?」 「ああ。もうすぐ大会だからな、体を大事にしてもらわないと。念のため病院で見てもらえ」 熱中症ごときで病...
  • 23-309
    先生 先生萌えって何よ? 教師萌えだよ派.┬─ 生徒とのカップリングがいいよ派         │    ├─ 先生が攻めだよ派         │    │   ├─ 性的な意味でも生徒指導しちゃうよ派(性職者派)         │    │   ├─ こっそり付き合ってるよ派(多重禁断愛派)         │    │   └─ 卒業まで待つよ派(倫理重視派)         │    ├─ 先生は受けだよ派         │    │   ├─ 夜の保健体育は俺が教えてやんよ派(下克上万歳派)         │    │   └─ 先生は恋する気持ちも教えてくれました派(年下健気攻め派)         │    ├─ 生徒の片思いこそ至高だよ派(初恋は実らない派)         │    └─ むしろ恋愛感情なくていいよ派(師弟愛推奨派...
  • 14-309
    一匹狼←ヘタレ受 「いちまーい…にまーい…」 「うわああああっ!!」 …もう何回目だ、隣で腰を抜かしかけているこいつに手を貸すのは。 真っ暗な体育館に響き渡る残響を聞きながら、俺はため息をついた。 「あ…ありがとう…」 暗がりなのであまり顔は見えないが、半泣きなのは声で分かる。 「お前、そんなに怖いの苦手ならお化け屋敷なんて誘わない方がいいんじゃねーの」 もたもたして一向に立ち上がれないようなので、腕を掴んで一気に引き上げながら言うと イケメンで、クラスでは割りと人気もあるが実は怖がりだったらしい大野は 「いや…だってジンクスがあるから…どうしても来たくて…」ともごもご言った。 うちの高校の文化祭は、毎年体育館にできる巨大お化け屋敷がかなり怖いことで有名だ。 男女で来て仲良く二人でゴールし、その後告白すれば必ず成功すると言われている位だ。 俺も怖いといえば...
  • 19-309
    あいつなんかより俺を選べよ 体育くらいしか取り得の無い俺でもこの時期は辛い。 昼飯前の空腹と蒸し暑さで頭がフラつく。 だけど俺の顔色が冴えないのはそのせいばかりでもない。 「二人組みで柔軟してそのままパスの練習」 いつも通りの教師の言葉で俺の視線は勇樹を探すが、彼の視線は他の所に向いている。 「佐々木、組もうぜ」 クラスでも目立たない、口数も少ない佐々木がどこか居心地悪そうに頷いている。 勇樹は子供の頃から正義感が強くて人が良い。 一人で孤立している奴がいると放っておけないくらいに。 そろそろ授業が終わる頃、 運動音痴の佐々木がボールを取り損ねて派手に転んでいた。 俺は心の中でざまあみろと呟いた。 吐き気がする。 そんな自分にも、誰にでも優しい勇樹にも、ボールを取り損ねた佐々木にも。 「お前、熱...
  • 18-309
    手袋 「寒い、さむい、サームーイー!」  横でギャーギャー言っている相手を一瞥して、俺は深いため息をつく。 「うるせぇ、喚くな、みっともねえ」 「だ、だってよ、寒いもんは寒いんだよ!それともナニか?お前寒くないのかよ?」 「ああ。どっかの誰かと違ってちゃーんと準備してきたからな」  呆れの混じった声で返すと、ぐっと言葉を詰まらせる。  季節は冬、そして時間は夕暮れ近く。  いくら日中は暖かかったからとはいえ、映画の終了時間から計算すれば帰る頃には気温が下がるとバカでも判るはずじゃないか。  なのにこいつはコートも着ないで待ち合わせ場所に現れた。  帽子かマフラーか手袋くらいは持っているかと思ってたけど、そんなの全然用意してないと、日も既にとっぷり暮れた帰りの電車の車中で言ってきやがった。  ――お前、本気でバカ以下だな。 「……仕方ねえな。手袋でよけりゃ貸し...
  • 24-309
    余命半年 こんちわーっす。あ、初めまして。唐突ですがキミ、あと半年の命でーす。…はん?俺? あー俺ね、死神。 ………ダウトってなに! うっわぁ、んな無表情で俺の存在完全否定したのはキミが初めてだよ。部屋にいきなり現れたんだからちょっとはさ……ちょ、おいどこ行くの。えっ…………… …………ああはいこりゃわざわざどーも……じゃねーよ。死神っつったらリンゴだと思ったら大間違いだからな。やれやれみたいな顔すんな腹立つ。 つかお前、あと半年だよ?なんかリアクション無いの? ………んえ、知ってた? えー…最近の医者は有能だねぇ……… まあ逝く時はサクっとヤッたげるから安心してよ。 え?何言ってんの?人間は一人じゃ勝手に死ねないよ? だから俺らがいるんじゃん、さくっと介錯するためにさ。だいじょーぶ痛くない事に定評あるから、俺。 そんじゃま、どーでも...
  • 22-309
    噛み合いっこ 噛み合いっこ派     │     ├─ 近すぎて殴るよりこっちのほうが早かったんだもん派(小学生のケンカ派)     │     ├─ キスマークだけじゃ足りないんだよ派(好き好き大好き超愛してる派)     │     ├─ いっそ食べてしまいたいぐらいなんだよ派(ヤンデレ同士派)     │     ├─ お互いの血が一番美味しいんだよ派(吸血鬼同士派)     │   └─ お前は血、俺は肉でちょうどいいじゃん派(ギブアンドテイク派)     │     ├─ 噛み合う事で痛みを知るんだよ派(子犬のじゃれあい派)     │   └─ 噛み癖を治すため噛まれる痛みを教えるんだ!派(飼い主とペットが同レベル派)     │     └─ 歯を立てられるのがたまらないんです派(ドM同士派)          └─ お前が先に噛んだん...
  • 3-309-1
    耳かきと反対側の綿毛 俺は硬くて長くって、太さはそんなにないけど、奥を良い感じに責めることができると自認してる。 近年は綿棒なんて輩が幅を利かしているが、穴攻めの伝統は俺が担っているようなもんだ。 俺の反対側にいる奴、あいつ名前梵天って言うんだけどよ、ふわふわのぽやぽやで頼りない。 奥にしがみついてるブツを剥がすことなんてできやしねえ、力仕事に汚れ仕事ができないひ弱な奴だ。 おっと仕事か。さあどうぞご主人様。おっ、これまた大物がいたな、こいつを始末して、っと。 おお喜んでもらえてるぜ、大物だったしな。こちらも汗水垂らした甲斐があったってもんだ。 「おつかれさま、じゃ次僕が行くね」 背後でふわふわのぽやぽやの声がする。ご主人様もお喜びのようだ。ちぇっ、後から来たくせに自分も手柄顔かよ。こいついっつもこんな調子だ。 「今日もいっぱい仕事し...
  • 6-309-2
    浴衣でグチョグチョ  彼が私の秘書になって約三年、私達は共に数多くの非常に有益な事業を、着実に成し遂げてきた。それもひとえに彼の優秀さと鋭敏な感性と、真摯な人柄のおかげである。彼の仕事を一言で表すならまさに「かゆいところに手が届く」であり、まったく彼と出会えた事は私の人生の中でも最も大きな収穫の一つであると思う。  だから今日、彼の多少困った一面を見ることになったくらいで、私の彼に対する信頼が揺らぐわけは、もちろんない。 「ほら…白河君、そんなところにいたら危ないだろう。こっちにおいで。」 「…専務…っふ、くっくくっ……お、お父さんみたい……」 「ははは…。」 浴衣姿の優秀な部下に、温泉旅館の庭園にある松の木の上から見下ろされるというのはなかなかシュールな情景だが、いくら細身とはいえ男の体重をいつまで松の枝が支えられるかわからない。 「…部屋に戻ろう、白河君。ほら...
  • 5-309-1
    気持ちいい? せっかくの晴れた日曜だというのに、僕たちはワンルームの部屋の陽だまりで、ごろごろ 寝転がっている。 結局はこういう時間が一番幸せなんだと気づいたのは、高校生だった僕らがすっかりオトナに なってからだった。 特にすることもないし、話なんかしなくても気まずくなったりしない。 ぼーっと寝転がっていた彼の頭の白髪なんかを探して、それだけで時間はのんびりと流れていく。 「あ、見っけ」 「また? そんなある?」 「あるある。これで、えーと……十四本?」 「数えんなよ、そんなの」 「えい」 「あだっ! ……だから抜くなよ、増えるじゃん」 抜いた白い毛をこたつの上に乗せるのを見て、彼は口をぷうと膨らませた。そこには既に十三本の 毛が待機している。 「おしゃれ染めすれば良いじゃん」 「まだ若いっつの」 白髪染めどころかブリーチもしたことの無い髪の毛は、...
  • 4-309-1
    異世界とリップした三十路サラリーマン 前場の引ける寸前だった。俺はモニター画面を信じられない思いで見つめていた。自分が仕掛けた空売り銘柄がどんどん上がってゆく。数字が止まらない。馬鹿なとっくにストップ高の筈ーーーー 気が付くと、俺は淡いピンクや水色や黄色のクレーの絵の様な色調に彩られた荒野に倒れていた。 誰もいない。 もう、どのくらい経ったろう。夜も昼も分からないこの世界で、とっくに時間の感覚もなくしていたが、幾日も過ぎた様な気がする。 俺は、世界の終わりにたった独り取り残された様な絶望感に襲われながら、何処かに居るかもしれない人影を求めて、ずっと歩き続けていた。 何処迄行っても砂丘ばかりが続く。 本当にここにはもう誰もいないのか。 幾度も頭をよぎった絶望感に何度目か座り込み、また歩き出そうとしたその時、吹きすさぶ風に砂が舞い上がり、何かが見えた...
  • 8-309-1
    両思い未満純情エロス (流血注意) 夜勤明けで目をしばたかせながらフラフラ歩いていると、後方からガンっと派手な音がした。 振り返れば高校生のガキが何やら蹲っている。電柱にでもぶつかったのだろう、鼻を覆った手の指の間から赤い血が見えたので、持ち合わせの脱脂綿を詰めてやった。 ついでに自販機からポカリを買って、鼻の頭に押し付けて冷やす。詰襟から覗いている首筋に垂れ落ちたものが多少付着してはいたが、後で洗えばよろしい。 ガキは学校に行け。俺は寝る。 日暮れに公園の脇を通りかかると、見覚えのあるガキがいた。 先日は有難うございました、と、思ったより折り目正しく頭を下げてくる。 並んで立つと俺より図体がでかい。腹の立つ奴だ。公園のベンチに腰掛けて、奴がお礼です、と差し出した缶コーヒーを受け取った。奴はそのまま横に並んで座ったが、何故か何も喋らない。構わず、温かか...
  • 6-309-1
    浴衣でグチョグチョ  彼が私の秘書になって約三年、私達は共に数多くの非常に有益な事業を、着実に成し遂げてきた。それもひとえに彼の優秀さと鋭敏な感性と、真摯な人柄のおかげである。彼の仕事を一言で表すならまさに「かゆいところに手が届く」であり、まったく彼と出会えた事は私の人生の中でも最も大きな収穫の一つであると思う。  だから今日、彼の多少困った一面を見ることになったくらいで、私の彼に対する信頼が揺らぐわけは、もちろんない。 「ほら…白河君、そんなところにいたら危ないだろう。こっちにおいで。」 「…専務…っふ、くっくくっ……お、お父さんみたい……」 「ははは…。」 浴衣姿の優秀な部下に、温泉旅館の庭園にある松の木の上から見下ろされるというのはなかなかシュールな情景だが、いくら細身とはいえ男の体重をいつまで松の枝が支えられるかわからない。 「…部屋に戻ろう、白河君。ほら...
  • 18-309-1
    手袋 「なあ、頼むよ。この通り」 「頼むよってったってなあ……」 俺は困り果てた。 目の前には、フローリングに頭をこすり付けんばかりに懇願してくる男やもめがいる。 美人だった奥さんに先立たれて5年、当時産まれたばかりだった息子を抱えて こいつは今まで本当に良くやってきたと思う。奴とは学生時代からの親友で、 そんな事になってから俺も出来ることがあれば今まで協力はしてきたし、 これからも望まれるならいつだって力になってやるつもりだ。 しかしこれは。 「頼む。俺、編み物できる知り合いなんかお前しかいないんだ」 「出来るって言ったって、俺も素人に毛が生えたようなもんだぞ……  それに、そんなやり方でいいのかよ」 事の発端はこうだった。 奴が目の中に入れても痛くないほど可愛がっている一粒種が、 幼稚園で手編みの手袋を友達から自慢されたのだそうだ...
  • 22-309-1
    噛み合いっこ 「痛いって!やめろ!」 いつものことだから後ろに回られた途端すぐに避けたつもりだったのに、俺の肩にはくっきりと赤い歯型が残ってしまった。 「あーあ…」 長袖の季節ならまだしも、夏だから肩をだすこともあるのになぁと毎度のことながらうんざりした。 そんな俺の表情に、森下はニヤニヤと底意地悪そうな笑顔を浮かべて「ごめんごめん」と言った。反省の色なんかこれっぽっちも見えない態度である。 「反省してるならやめろっていつも言ってんだろ馬鹿野郎」 「愛情表現だって。つーか、お前だってノースリ着なきゃいいじゃん」 「何で俺がお前に合わせて服選ばなきゃならねぇんだよ。ふざけんな」 もう別の部屋に行こう、と思い、読んでいた雑誌と飲みかけのコーラを手に立ち上がった。 そうして森下に背を向けると、背後から「どこ行くんだよ」と聞こえた。 「別に」 「答えになってねぇし」 ...
  • 12.5-309
    パパがライバル 一番の味方は一番身近に居るという。 しかし、一番の敵も一番身近に居るという。 俺の場合、後者だけははっきりしていて。それは母親でも妹でも姉でもなく。 「てめぇぇぇ!人のデータで勝手にクリアすんなって何度言ったらわかんだコノヤロウ!!」 「うるせぇなお前こそ父親を『てめぇ』呼ばわりしてんじゃねぇクソガキ」 「お前なんか父親だなんて思ったこともねぇよ!!…母さんと姉貴が居たらぶん殴られるからいわねぇけどな!」 「胸はって言うな」 目の前にいるこの男は、戸籍上では俺の父親ということになる。 五年前、俺の本当の父親だった刑事が死んだ。逃げた強盗を取り押さえる際の怪我に因る殉職というやつだけど今は割愛しておく。 その父親の後輩がこの男だった。 父親の葬式に現れて、精神的にぼろぼろだった母さんを支えたりしているうちに仲良くな...
  • 7-339
    タンデム 「・・・・・・・・」 「どうしたの?乗らないの?」 財布を落として不本意に1文無しになり ポケットに残っていた10円で、迎えに来てくれとこ奴を呼んだら 自転車で迎えに来やがった。自転車も普通のなら良い 立ち棒が付いていて、ここ奴の背中に手を置き 与太話をしながら岐路に付くああ言った普通の自転車ならば!! けど、こ奴の乗ってきた自転車は マウンテンバイクを2台くっ付けた様な長さで こ奴が後部でハンドルを操作し、俺がその前でペダルを漕がなきゃならない そんな馬鹿馬鹿しい自転車だ。これも、サイクルスポーツをしている時なら良いが 俺は現状仕事帰りの スーツだ!なのに何故 コレに乗って来たのか、そのセンスが伺い知れない 奴は本当に嬉しそうな笑顔で「リムジンだよ」 そう、ほざくのでこいつの中では 最高の自転車で、俺を迎えに来...
  • 7-399
    魚座A型×牡牛座O型 「なんかこの番組の占い、いっつも魚座が最下位の気がする」 ソファの上で膝を抱え、太一はリモコンをいじっている。 「そんなことはないだろ。一昨日は二位だった」 「えー、俺それ知らない!」 「寝坊するお前が悪い」 「うぅ~」 だって久し振りのオフだったし、このごろ睡眠不足だったし、と太一の愚痴が続く。 浩二はかちりとコンロの火を止め、半熟の目玉焼きを皿に盛った。 「げっ」 「どうした?」 「A型も最下位だー。なんだよ俺に恨みでもあるのかよー」 占いの神様に見放されたらしい魚座A型の太一は、しくしくと泣きながらクッションを抱き締めた。 「占いくらいでいちいちわめくな」 「おーおー、いーよなーどっちも一位の牡牛座O型さんはよー」 「知るか」 「あっ、ラッキーアイテム!」 唐突に黙り込んでテレビに集中していた太一の顔が、みるみる暗く沈んで...
  • 7-319
    連弾  僕はきどって燕尾服の襟をひき、フルコンサートのスタインウェイに向かい合った。 拍手が鳴りやみ、椅子を直すと、僕はすべてを予感させる最初のDを弾く。 雷のようなD。続いて異国的なアルペジオ。ああ、ハンガリア狂詩曲第二番! その神秘的な旋律にはやくも酔いながら、僕は独り、うっとりと指を動かしていた。  ──彼が現れるまでは。  彼はそのつぶらな瞳に満面の好奇心を湛えながら、実に嬉しそうに現れた。 音楽のことなんか何も分かっちゃいないのに、しかし彼は音楽が好きなのだ。 実に屈託のない無邪気な笑顔で、ムラヴィンスキーにでもなったつもりで、 彼は小憎らしく僕の後ろで指揮をとる。ああ、鬱陶しい。 僕が一瞥すると、彼も睨みかえした。 すっと横に移動し、驚く隙も与えずにひとのスケールを横取りして弾いてみせる。 半ば感嘆し、半ばイライラしながらも曲を続けていると...
  • 7-329
    唇ではなく 唇ではなく心に接吻して欲しいのに 貴方はそれしかしてくれない 心まで接吻しているつもりなのに その想いは伝わらない ”どうすれば分かって貰えるのだろう” そんな二人の行き違いは、同じ想いなのに お互い気付かない様で・・・・・・ 口に出して言えば伝わる事も在るのだという事を この二人は知らないらしい 唇ではなく
  • 7-389
    愛するが故に別れる 金曜の夜、待ち合わせをして食事に行った。近くの映画館でレイトショーを見て、缶ビールを 買って奴の部屋に二人で帰った。こんなデートらしい事をしたのは何ヶ月ぶりだろう。 玄関に足を踏み入れるなり、背後から羽交締めにされた。俺は、こいつに腕力では敵わない。 「…とりあえずビール、冷蔵庫に入れたいから、ちょっと離して。…な?」 奴は俺の首筋に顔を押し当てたまま返事をしない。息を押し殺して、ただしがみついている。 こうなってしまうともう話しかけても無駄なので、俺にできるのはせめて変なところで押し倒 されて怪我などしないように、うまくベッドまで誘導する事くらいだ。 「浮気、してないよな?」 所々壁にぶつかりながらもつれるように寝室に傾れ込むと、噛み付くようなキスの後に 奴のかすれた声がそう言った。ようやくしゃべった言葉がそれか。 「…ごめん、俺お前...
  • 7-379
    天使×悪魔 じゃあ久しぶりに萌え語りでも。 悪魔ってさ、人間に呼び出されたらしっかり奉仕しなきゃいけないわけじゃん。 ノルマ達成のために奔走する営業マンのごとく、どうにか人間から魂貰おうと一生懸命奉仕する。 でも時々頭回る人間とか、神様の気紛れで天国にいっちゃう人間とかがいて、 契約取れてたはずなのに横からかっ攫われちゃうわけ。もうそういうときの悪魔は茫然自失状態。 特に下っ端の悪魔なんかは、元々少ない力を人間に奉仕するために使っちゃって、心身共に疲れきってるの。 で、そこに悪魔のものだったはずの人間の魂を回収しに来た天使が来る。 「お前等ごときが地べたでどれだけ足掻こうと、天の摂理には勝てぬ。  その証に、お前は人間の欲望の捌け口となり身を費やしたにも関わらず  魂も取れぬままいま無様に私に見下ろされてる。汚れた存在であるお前には全く似合いだ」 とか罵...
  • 7-369
    ああっ…中に出てるぅ… とても気持ちよくまどろんでいたのに、大きな物音で目が覚めた。 「………なに、いまの音」 ソファから身を起こして辺りを見渡すと、カウンターの脇でマスターが スツールの下敷きになって倒れていた。 「うわ、大丈夫…?」 「お、おお…ってててて……悪ぃな、おこしちゃってな。」 「うん…ううん、いいよ。それよりなんか、すっごくよく眠れた…。」 「そうか?つったって二時間も寝てないぞ。まだ開店まで時間あるし、いいから  もうちょっと寝とけや。」 マスターの言葉に甘えて、僕はもう一度寝転がる。 僕が最近眠れないことを話したら、マスターが店のソファを貸してくれた。 前に僕が、一度このソファを独り占めして昼寝したいって言ったのを 覚えていてくれたのだ。 「それにしてもロクちゃん…何の夢見てたの?」 「夢…ああ、なんか見てたけど、思...
  • 7-359
    扇風機  もう夏なのかな。  梅雨の終わりの蒸し暑い晴れた日、僕は扇風機を出そうと思った。 押し入れに頭を突っこんで、箱を探す。 ああ、あった。たった一年で、すっかり埃をかぶっているじゃないか。 僕はベランダで埃を払いながら、彼のことを考える。  夏とともにはじまり、夏とともに終わった関係。 アイスキャンディ、ビアガーデン、ナイター、夏祭り、花火。 脳を茹でられるような、体温とおなじ熱さの空気に支配された季節だからこそ存在した、 半ば朦朧とした、蠱惑的でいきぎれのするような思い出。  まとわりつくような湿度をもった部屋と情動には大した役にも立たなかったが、 それでも敢然として扇風機は空気を攪拌し、また、夕立のあとのひとときには ゆっくりと首をふって、僕らはそっと冷えてゆく汗に、つかの間の平穏を感じてた。  最後の台風が過ぎて夏が終わると、どちらが言うと...
  • 7-349
    タンデム 「・・・・・・・・」 「どうしたの?乗らないの?」 財布を落として不本意に1文無しになり ポケットに残っていた10円で、迎えに来てくれとこ奴を呼んだら 自転車で迎えに来やがった。自転車も普通のなら良い 立ち棒が付いていて、ここ奴の背中に手を置き 与太話をしながら岐路に付くああ言った普通の自転車ならば!! けど、こ奴の乗ってきた自転車は マウンテンバイクを2台くっ付けた様な長さで こ奴が後部でハンドルを操作し、俺がその前でペダルを漕がなきゃならない そんな馬鹿馬鹿しい自転車だ。これも、サイクルスポーツをしている時なら良いが 俺は現状仕事帰りの スーツだ!なのに何故 コレに乗って来たのか、そのセンスが伺い知れない 奴は本当に嬉しそうな笑顔で「リムジンだよ」 そう、ほざくのでこいつの中では 最高の自転車で、俺を迎えに来...
  • 27-369
    ヤンデレを病ませない方法 語らせてください。 ヤンデレというのは、相手が好きだから 相手のために行動をすることで「相手に自分を好きになってほしい」んです。 行動は暗く思われがちですが、結局は相手への愛に基づいた行動・感情なのです。 相手あってこそのヤンデレ! だから、ヤンデレの思いを相手がどう受け止めるかによって ヤンデレが病んでしまうかが変わってくると思います。 ヤンデレが病まない相手で、私が思い浮かぶのは3タイプでした。 【①純愛系】 純愛系はヤンデレを一途に愛することで、ヤンデレの心を満たす 包容タイプですね。 (例) ヤンデレ「なんだよあいつ…なんで純愛君に近づくんだよ…純愛君は俺のものなのに…」 純愛「ヤンデレ君、僕が好きなのは君だけだよ?君以外目に入らないから安心して」 ヤンデレ「純愛君…」 ...
  • 17-359
    誘いマゾむしろ襲いマゾ 立花さんはいつも俺に優しくしてくれる。 抱きしめて、いっぱいキスして、俺が怖くないように、痛くないように。 まるで壊れ物を扱うように、そっとそっと触れてくれる。 俺は、それが嫌でたまらない。 「優。降りろ」 「嫌です。ねえいいからこのまま慣らさずに挿れてください。大丈夫手足を縛って猿轡でもかませれば暴れたり叫んだりしても邪魔になりません」 「優」 「無理矢理滅茶苦茶にして痛くしてもいいんですよ?立花さんだっていつも面倒だって思ってるんじゃないんですか?」 「降りなさい」 「じゃあ、せめて道具だけでも使ってください。大丈夫、俺痛いのは慣れ…」 「嫌だ。何故お前はいつも自分から傷付きたがるんだ」 だって、母さんは俺が大事だから好きだから叱るんだっていつも俺に手をあげた。 だって、無理矢理俺を犯した叔父さんは俺が可愛いからこう...
  • 27-389
    プレゼントは首輪がいいな 私が犬を飼い始めたのは3年前。犬といっても四足歩行する毛がふさふさの犬じゃない。 ――プレゼントは首輪がいいな 首輪の色は銀色がいい。彼の黒い肌が首輪で映えるだろう。 そんなことを考えながら地下に向かう。ご主人様の顔を見れて喜んでくれるかな。 「料理、運んできたよ」 「要らない」 「ダメだよ。ちゃんと食べないと、健康に悪いじゃないか」 ガリガリにやせ細った体、抜け落ちていく髪の毛。3年前に比べて美貌は衰えている。 それでもあの頃と変わらない綺麗な琥珀色の瞳。とても手放す気にはなれない。 「それに君は若いんだから。私みたいに、食べれなくなってから後悔しても遅いんだよ」 初めて彼を見たときはびっくりした。あまりにも美しい青年だったからだ。頭の回転も早く、話す内容は機知に富んでいる。 その時年頃だった娘と結婚して欲し...
  • 27-359
    気弱な攻め クラスメイトであり恋人でもある秦野の姿が目に入った。 声をかけながら走り寄ろうとしたとき、数人の明らかに不良だと思われる男達が秦野を取り囲んで、 神社の裏手へと連れて行った。 中の一人が辺りを見回し、立ちすくむ俺と視線が合うと「さっさと消え失せろ」というように睨みつけてから 神社の裏手へと姿を消した。 そういえば、秦野は最近、以前揉めたことのある相手から因縁をつけられていると言っていた。 それがあいつらなのか――。 今は真面目に勉学に励んでいるが、秦野は元は不良だった。 「俺もけっこう無茶したから、いろんな奴から恨みを買ってるんだよな」と 他人事みたいに呟いた秦野は、俺の心配そうな顔に気づくと 「今はもう無茶なことはしないから」と安心させるように微笑んでくれた。 だけど、それは秦野の事情で、秦野に恨みを持ってる連中の知ったことではない...
  • 17-379
    高すぎる腕枕 「なーいいじゃん、してくれよー腕枕」 「は? 何で男のオマエなんかにしてやんなくちゃいけない訳? つか、体格からして逆じゃね?」 「だって、お前の腕で眠りたいんだもん。うーん、何ていうのかなぁ、 『母性』っていうの? そういうの感じてみたいんだ。 そんで、子守唄歌ってもらえたらサイコーなんだけど」 「それだったら、自分のカーチャンにでもしてもらえ!」 「えーと……うちお袋いねーんだわ」 「あ」 「何つー顔してんだよ。もう昔のことだって」 「そっか。あの、悪かったな……」 「悪いと思うならさー、やってよ腕枕」 「わ、わかったよ! ……ほら」 「やったー!! いやー言ってみるもんだなー。 んー何か落ち着く、お前の腕……」 「い、言っとくけど、俺の腕枕は高いぞ! 某無免許医の手術より高い。 10億だ!! 子守唄はプラス5億で歌ってやってもい...
  • 17-319
    兄貴に彼女ができました 兄貴に彼女ができた。 さすがに血は争えなかった。実に俺好みの女でくやしかった。 あの奥手が一体どうやって口説いたんだろうと不思議に思っていたある日、 メイド服でチラシを配っている彼女に出会った。 なんだ、そういう店で知り合ったのかと兄貴を多少軽蔑したが、 興味があったので、店に行きたいと言ったら喜んで案内してくれた。 そこには「女装男子バー」と書いてあった。 俺は即座にそいつの性別を確認し、自分の身元を暴露した。 ********* 「水越くんは、女装に慣れて外に出た時に、酔っ払いに絡まれたのを助けてくれて…。 私が女だって思ってるから…」 「そりゃ疑わないよ。声も高いし完璧だもん。でもいつまでも通用しないでしょ。 エッチしたくない男なんていないんだからさ」 「そんなことない! 水越くんは私が嫌だって言ったら何もしないもの」...
  • 27-329
    一緒に暮らそう 「一緒に暮らそう。この単語は萌える。 まず一緒って時点で萌える。萌え萌えだ。いっときでも離れていたくないという強い感情が伺える。 次に暮らそう、つまり生活を共にしたいという言葉だ。萌える。圧倒的萌え。 いっときでも離れず生活していきたい、なんて情熱的な言葉が見え隠れしている言葉だ萌える」 「いや、俺の言葉への感想はいいんで返事ください」 「萌えると言っただろう。受け入れるに決まってんだろ」 一緒に暮らそう
  • 17-339
    無機物萌え 扇風機の場合 「僕なんかでいいのかな…今年は猛暑だし、クーラーくんの方がいいんじゃ…本当に?  はい、頑張ります!精一杯、風を送りますね!…え、僕ですか?僕は熱くても全然平気です!  ……。でもあの…一つだけ、お願いしてもいいですか?……あの…えーとですね……  その、あなたが、僕に向かってよく言う言葉の、その、続き……て、もしかしたらって…  …や、やっぱりいいです、僕の勘違いです。本当になんでもないです!すみません」 (僕に向かってあの人がよくやる「あーーーーー」は、愛してるの「あ」……そんなわけ、ないよなぁ…) 恋愛経験豊富な先輩×何もかも初めての後輩
  • 17-329
    触手×生贄の青年 左前の白装束を着て、薄闇へと変わり行く森の中に一人座る。 村の神木を削って作った間に合わせの祭壇は、まだ木屑が粉を吹いている。 一昨年前に、崖から落ちた。 幸い命は助かったものの、左足をひどく痛めて、未だに歩くことは出来ない。 以後は棒を片手でなくては歩けない、農作業は出来ない体になってしまった。 それでも村長の息子だからと、村人たちは何も言わずに、供物のように作物を分け与えてくれた。 しかし、私は知っている、村人達の影での囁きを。 私への嘲りを私は知っている。 将来村を背負う者として生きてきた私に、それは身を刺さされるような現実だった。 どれだけ歩こうとしても、他に貢献できることがないか探そうとしても、全ては徒労に終わった。 村にとって私は、役立たずだった。 それでも私を立てようとする父の傲慢な権力がよりもなお、私を苛んでいた。 ...
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