*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「7-569」で検索した結果

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  • 7-569
    受をいじめるのが大好きな攻と、同性愛に抵抗もっているけれど攻のことが好きな受? A君はB君を見てるとどうしてもいじめたくて仕方なくなるんです。 B君はちょっと鈍臭くて、他人の言うことをすぐ真に受けてしまうお人よし。 俗に言う「いじられキャラ」というやつです。 そしてその「イジリ担当」が自他共に認めるA君なわけです。 ある日、A君はB君に「ちょっと話がある」と神妙な顔をして呼び出しました。 そこで「お前のことが好きだ」と告白をするのです。 驚いて言葉も出ないB君。 ぽかんと口を開けたまま息をするのも忘れてA君を見ています。 驚くのも無理はありません。 実はB君、最近自分のA君への想いが只ならぬものと気付き、ずっと悩んでいたのです。 意地悪をされても、その意地悪に悪意はなく、むしろ「いじる」ことによって、 人と付き合うのが下手なB君が、うまく周囲に溶...
  • 27-569
    夢見る人 「起きろ!」  頭をぽこんと叩かれて俺は楽しい夢から引きずり戻された。  寝起きの目をしばたたいて見上げれば、仁王立ちの飯島が丸めた教科書を握りしめて俺を睨んでいる。  突っ伏していた机にはヨダレの小さな水たまりが出来ていた。「汚ねえなあ」という罵声を聞き流しながら袖で拭く。さてと。 「おはよ」 「おはよーじゃねえから。お前ずっと寝てたろ午後の授業中。ふざけてんの?」 「ふざけてはいないんだけどさ、夢見があんまりよかったから、つい」 「先生に当てられても起きねえし。怒るの通り越して諦められてたぞ」  顔に似合わず優等生な飯島は、まるでその先生の代理にでもなったかのようにぷりぷり怒っている。  もしかしたら授業中、後ろの席から居眠りをする俺をずーっと睨みながらイライラし続けていたのかと思えば、ちょっと嬉しい。 「そんなに見つめられたら照れるじゃん」 ...
  • 17-569
    ピエロとブランコ乗り ピエロの頬には涙。 ドーランで描いたこの模様だけが、僕が流せる涙なのです。 素敵なブランコ乗り、長いしなやかな体と明るい目を持つ、 次から次へとブランコを飛び渡る彼の芸のように遊び上手なあの男と、 実のない関係を結んでからずっと、僕はちぎれてしまいそう。 笑っていただけるならそれもよし。 綺麗なダンサー達や、艶めかしいライオン使いの娘を横目に、 彼の後ろをおろおろ、ヨロヨロするもんだから、 テーブルから落とした酒瓶とグラスを3つずつ放り投げ、 蹴つまずいてボールに乗っかって、 哀れなピエロは恋しい相手と逆方向へ転がり落ちていくのです。 不実な、とは申しません。これでも僕はピエロです。 捨てられて女のように泣くばかりじゃ、仕込まれた芸が泣くってもんです。 男が男に遊ばれて、尻を抱えて這々の体。 美しい一夜の思い出でございます。 あ...
  • 5-569
    60円のコロッケ 「コロッケ売ってる!」 俺の手を引いたまま突然てくてくと走り出した健一が、小さな店の前で足を止めた。 「俺、匂い嗅いだら腹減っちゃったよ。一個買ってこ」 言われてみれば確かに、店の奥からぷんと揚げ物の香りが漂っている。 先ほどフレンチレストランでフルコースを食わせてやったばかりだというのに、 一体この小さな身体のどこから、これほど無尽蔵な食欲が沸いて出ているのだろうか。 「おばちゃん、コロッケ一つ」 店員にそう告げてから、健一は後ろに居た俺に振り返って尋ねた。 「お前さ、こういうとこで買い食いとかしたことある?」 「当たり前だ。立ち食いだなんて、見っとも無い上に不衛生だ」 「ふーん」 健一が、珍種の生き物でも見るかのように奇異な目つきで俺を見つめた。 その手には、今しがた買ったばかりのコロッケがしっかり握られている。 「つまんないの。こ...
  • 3-569
    作曲家×歌い手 「先生、今回の歌も凄く良い曲ですね。 まだ歌詞もないのに曲を聴いただけで僕、歌い出しそうになっちゃった」 向日葵の様な笑顔をふわりと浮かべて、今までじっと目を瞑って私のピアノに耳を傾けていた彼がそう言った。 「君にそう言って貰えると嬉しいよ。私も作った甲斐がある」 鍵盤から手を離して、私も彼に向かって微笑み返す。 「…ふふ」 すると彼は、綺麗な足取りでこちらに向かって歩いて来ると、 おもむろに私の手に掌を重ねた。 「どうしたんだい?急に」 「…先生の曲って、いつも痛い位誰かの事を想ってるよね。 すごく優しい旋律なのに…歌ってて、時々泣き出しそうになる」 「え…」 透き通る様な瞳が、真っ直ぐに私を見つめる。 何処か哀しそうな、切ない様な…その瞳。 私は、内心の動揺を隠す事が出来なかった。 ―――――――そう、いつからだろうか。 こ...
  • 6-569
    勘違い 会社のレセプションが終わった後、捨てられようとしていた花。 もったいないな、と思っていたら、「もし良かったら、花束にしましょうか」なんて 部下の女の子が言ってくれたため、ついつい貰ってしまった。 もちろん、あげる人間なんて、いやしない。 しょうがないから、家に持って帰るしかない。 もう日付も変わりそうな時間だから、家族は寝ているだろうが…。 バケツにでもつけておいたら、明日の朝には、母親が食卓にでも飾っていてくれるだろう。 そんなことを思いながら家に帰ったら、意外にもダイニングの明かりがついていた。 ダイニングの中心には、食卓でつっぷして寝ている兄貴がいる。 「兄貴、こんなところで寝てると、風邪ひくぞ」 花束を抱えたまま、兄貴を足で蹴り起こす。 兄貴は、むにゃむにゃと、漫画のような声をあげながら目を覚ます。目をこする。 しばらく観察していると、だいぶ...
  • 1-569
    サックス×クラリネット サックスはアメリカンな、どこかクールでカコイイ雰囲気だが クラリネットといわれると、音楽に疎い場合最初に浮かぶのはあの童謡だろう そんなイメージがクラリネットは嫌いで、カコイイサックスに憧れ以上の感情を抱いている 最初弟分としてクラリネットを見ていたサックスも、だんだんとクラリネットの視線の意味に気付いてくる だが、サックスとクラリネットの大きさの差は歴然である クラリネットを愛そうとしても、それはクラリネットを傷つける結果になるのだ、とサックスは考え 一人寂しく致す(音合わせをする)のだ サックスはクラリネットに触れようとするたび、あの曲を吹き自分を戒める 壊れちゃって音(喘ぎ声)が出なーい 落語家×銀行員
  • 4-569
    朝飯はご飯と味噌汁だろ?パンなんか食えるかよ! 仕事を持つ人間にとって、朝は戦争だ。 素早く身支度を終え、朝食の準備を整えてから一度寝室へ戻る。 ダブルベッドを独り占めして、尚も惰眠を貪る恋人を揺すって起こす。 一向に覚醒する気配がない。仕方が無いので蹴りを入れる。 毛布の下からくぐもったうめき声が上がるのを確認してキッチンへ向かう。 チン、絶妙のタイミングでトースターが軽快な音を立て、焼き上がりを知らせた。 「朝飯はご飯と味噌汁だろ?パンなんか食え…」 いつものようにごねるヒロアキの大口にトーストを突っ込み、グレープフルーツジュースの入ったコップを手渡す。 毎日同じことを言っていてよく飽きないものだと少し感心する。 それ程までにあのミソスープが恋しいのか。……それとも、日本が恋しいのだろうか。 「じゃあ、俺はもう行くから。ちゃんと鍵が掛かったか確認し...
  • 2-569
    攻めより体格がいい受けのカップル あれですね。 攻めさんは、受けさんを押し倒したいけれど、 自分より明らかに体格のいい受けさんにコンプレックスとか 覚えちゃって、行動に踏み切れないのですね。 いざ勇気を出してその気になっても、服を脱いだ受けさんの たくましさに、なんだかorzとなっちゃうのですね。 受けさんは、そんな攻めさんの気持ちがわからなくて、 何で抱いてくれないんだろう?とか、嫌いなのかな?とか 悶々としちゃうのですねっ! で、攻めさんがその気満々になっても、受けさんがイヤ!となると、 無理やりガッチュンできなくてまたorz となるわけですね。 なんだか攻めさんを押し倒したいですね(マテ のほほん社員×やる気が空回りバイトの子
  • 8-569
    懐いてる×懐かれてる 「何でここで寝てるんだ」  俺のとなりに転がっているものを蹴り落としたい衝動に駆られながら ベッドを抜け出し、冷えた缶ビールを空ける。  事の始まりは昨日。レイトショーを見た後、独りで楽しく飲んでいた帰り。  ストーカーのように追いかけてくる足音を撒こうとして約三十分。  ひたすら逃げ続けたが根気に負け、奴を連れて帰宅したのは 空が明るみ始めたころだった。 「お前のせいで、終電のがしちまったじゃねーか……」  ビールを少しづのどに流しながら、顔を睨みつける。 「わざわざ寝床を用意してやったのに、どうしてわざわざ潜り込んで来るんだ?」  お前が今寝てるところは俺専用だ。相手に聞こえないとわかっているけれど、 言わずにはいられない。 「答えねぇよなぁ、お前寝てるもんなぁ……。でも答えろよ聞いてるんだから」  返事は無い。とろけ...
  • 9-569
    アニオタ×ゲーオタ 「オイィィィィイイイ!!!俺のNAGATOたんフィギャーに何さらすんじゃこのヲタ男!略してヲタオ!」 「そんな大事なフィギュアなのにテレビの上に置いとくのが悪いんだよ!そのまま死ね!このアニヲタ風情が」 「うっせ!俺の部屋なんだからどうしようが勝手だろうがこのゲーム廃人がっ」 「ちげーだろ!ここは俺の領域だ!お前の領域はあの線の向こうだろ!」 「テレビを買ったのは俺だあああああ!!」 まったく、これだからゲヲタは困る 奴はスコアにしか興味がないのがまったくいかん。 新記録を出すことを目指すより 俺と一緒にト●ロでも見てネコバス乗りてー!ってはしゃぐほうが 絶対楽しいのになあ 「うっし!最短クリア完了」 「…これってすごいのか?」 「多分ファ●通でもまだ出てないタイムだと思う…あ、デジカメデジカメ」 ...
  • 28-569
    目と目で通じ合える 通じ合えるといっても色々パターンがあると思うのです。 ?幼馴染み 共に過ごした時間の分お互い相手の事をよく理解しているでしょう。 ちょっとやんちゃな子達の場合、近所で悪戯をしでかし 「チラッ(おい、逃げんぞ!)」「チラッ(了解!)」みたいなアイコンタクトを行うのも青春ですね。 また「見つめあってお互いの思ってることを当てるゲーム」といったフラグを建築することも可能でしょうか。 ?上司と部下 会社では単なる上司と部下でも、社外に出ればその関係は様変わり。 しかしどうしても周りには大っぴらにできない関係な二人は最初はメモや合図などを使いますが、いつしか 「チラッ(夜、いつもの店で)」「チラッ(分かりました)」と目と目で通じ合えるようになるのです。 ?軍の中で 隊長と部下でも同期同士でも構いません。チームプレイにはお互いの信頼度が非常に大...
  • 11-569
    無口で無愛想な受け とても静かだった。 でも、その場が冷え切っているわけでもないし、別に重苦しくも感じない。 ただ、声が聞きたかった。彼の瞳の色を、真正面から見たかった。 「本、面白いかい?」どう話かけようと迷った結果、情けなくも、出遅れた質問をすることにした。 彼の視線はまだ本のページに落ちたままだ。返事もない。 けれども、一瞬 曲げた眉毛が、今 話しかけてくるな、と訴えているように思えた。 僕は彼がこちらを見ていないことを知りつつも、わざとらしく肩をすくめた。 「僕も何か読もうかな」と、どうでもいい独り言をいってから、棚に並んでる本を適当にとる。 彼の前の席に座り、本を読むふりをしながら彼の顔をちらりと見た。 彼は美しい。 白い肌に、落ち着いた茶色い瞳。睫の影が目元に落ちている。 色素の薄い顔色とはうらはらな黒色の髪も、不自然ではない。むしろ、より魅力的に...
  • 26-569
    今日から両思い 両思いになったら、色々変わるのかと思った。 主に、相手が。 「なあ、お前さっきの授業、ノート取ったか?」 「また寝てたのか、お前」 「てへぺろ☆」 「可愛くねーし、むしろうぜー」 結局、何かいつも通りのバカな会話をしてる。 告白は俺。 キスは向こう。 恥ずかしくて恥ずかしくて、昨日は全然寝れなかった。 なのに、今日学校に来てみれば、俺もアイツも普通に喋っていたりする。 こんなものなのか? 両思いって、ここまで何も変わらないものか? 「圭」 突然名前を呼ばれ、顔を上げると、俺のノートで顔を隠す元友人の姿が。 「何だよ」 軽く手招きされ、顔を寄せれば、軽く触れるだけのキスをされた。 慌てて仰け反ると、アイツは友人から恋人の顔になっていた。 「ヤバい、俺今凄く浮かれてる。なあ圭、もっかいしていいか?」 「ふざけんな...
  • 25-569
    食えない男受け 付き合ってる女、狙ってる女、知り合った女・・・俺に関わった女は右か ら左で村崎に流れていく。 友人からは「あいつとの付き合い考えろ」と言われていた。 俺も村崎もシモ事情は緩い。だから俺は女を取られたなんて全く思わ いし、向こうも寝取ったとは思ってないだろう。 徹底的に嫌われるタイプではないものの、友人の言うこともわからなく はない。村崎は要領のよさが目に付くところがある。 例えば今夜のように、翌日朝イチで講義がある場合、学校に近い俺のア パートに泊まったりするところとか。 「次は男にすっかな。おまえに手ぇ出されないように」 アパート近くの中華屋で晩飯を食いながら、眺めていたナイター中継が CMに切り替わった時、俺は冗談のつもりでそう言ってみた。 村崎がどんな反応をするか見てみたかったという気持ちもあった。 「じゃあ俺でいい...
  • 10-569
    本当は攻がしたい受と、本当は受がしたい攻のカップルの初逆転 グロいかも 「まさか…そんな、お前が?」 驚愕する小柄な壮年の首を容赦なく青年は鎌でなぎ払う。 頚椎に引っかかった鎌を引き抜くと、鮮血をほとばしらせながら、どう、と壮年は倒れた。 鎌を懐紙で拭き清める青年の周囲には、無残に切り裂かれた死体が十、いや、二十は転がっている。 どれもこれも人相はよくないがどことなく人好きのする顔をしていた。 「これでやっと…」 青年はそうつぶやきながら何の感慨もなく死体を踏み散らかして、どこかへ去っていった。 その日の夜半、とある船宿で青年は宴席の中央にいた。 「初単独仕事完了おめっとさん」 「もうちょっと散らかさないで片付けてほしかったなぁ」 熊のような男や鼠のような男が口々に青年をねぎらったり、頭を乱暴になぜたりしている。 ここは、ただの船宿ではなく...
  • 13-569
    ロボットアニメ 「ね、コレ懐かしくない?」 一本のビデオを鞄から出す。 ほぼ毎日、同じ部屋で同じ顔を見ながら同じ発泡酒を飲む慎ましくも至福の一時。 今日もいつもと変わらない、気の知れた相手とのくだらなくも楽しい時間。 「家のビデオデッキがついに壊れて見れなくなったから  俺のビデオ全部送ってきたんだって。俺の部屋もビデオデッキねーのに。」 「おばさんらしいな。」 「二人で一緒によく見たよなー、ゾイダム。」 「あー。懐かしいな…だけど人気無くてすぐ終わったんだよな。」 そうだった。クラスでも人気が無くて、 熱心に見ていたヤツは俺とお前くらいだった。 「何であんなに人気無かったんだろーな。すっげー面白かったのに。」 昔から二人で連んで、ゾイダムのプラモデルを作ってた。 下手だけど捨てられなくて実家の押入にまだ仕舞ってあるはずだ。 やっぱり昔からコイツとだけ...
  • 14-569
    子羊×狼 ぴょこんと突き出た耳、ぺたんと下がった尻尾。花咲く道に、お腹をすかせた狼が一匹。 「うう、腹減ったあ…」 狼がしょぼんと俯くと、前方においしそうなけものの臭い。そう、狼の大好きな…。 「羊だ!それも子供の羊だー!」 狼はささっと様子を窺って、飛びつこうとしました。しかしその子羊は、よく見れば狼のよく知る羊だったのです。 「ああっ、てめえ!」 そう、この子羊、狼と数年前から因縁があったのです。 そしてとうとう狼がその因縁に決着をつけようと、先日子羊に飛びかかったのですが…。 「ん、狼くんじゃないか。調子はどう?」 「サイッッッアクだ、お前のおかげでな!」 狼が顔面蒼白で叫ぶと、子羊はふん、と鼻を鳴らします。 「しょうがないじゃない。僕だって君に食われそうだったんだから、正当防衛だよ」 「何が正当防衛だ、あれから俺は、俺は…」 そこで、狼の顔は真っ...
  • 19-569
    大好きだけどさようなら 珍しく深く眠っている彼の前髪は、先ほどまでの行為の名残か汗で少し湿っていた。 眉間に皺を寄せた難しい顔で眠っている彼の頬を、起こさないよう、そっと撫でる。 僕より十も年上のくせに、子供のように安心しきった顔で眠る彼を見ていると、自然に顔が綻んだ。と同時に、目尻が濡れる。 喉がひくりと震え、慌てて口元を押さえた。泣いたりなんかしたら、彼を起こしてしまう。 ゆっくり静かに深呼吸をして呼吸を落ち着け、のそりと体を起こして枕元に置いてあった眼鏡を掛ける。 鮮明になった彼の顔をじっと見つめ、溜息を吐いた。 僕がこのひとに告白をしたのは、半年前の事だ。 大学の准教授をしていた彼に一目惚れをして、興味なんかなかった彼の授業を受けては質問をしに通った。 十も年下の学生で、しかも男など相手にされないだろう。 そう思っていても、日に日に募る思いを打ち明...
  • 15-569
    数学教師と不良生徒 いや、俺一個人としてはそんなつもりはまったくなく、俺はただのしがない数学教師で、 去年の4月に生徒指導を任されてからというものずっとワタワタしていたわけなのだ。 そして運の悪いことにその年には超ドのつく不良が入学してきて。 えーと、それで俺はその不良に指導しまくって。万引きとかチャチなことばっかりやるもんだから なんだか世話したくなってきて、放課後数学教えてやったり、家に呼んで飯食わせてやったり。 それでその、実はそいつは結構いい奴だとわかって、それで悩みを聞いてやったり。 入学当初は「オメー」だった呼び名が「先生」になって、ついには下の名前になったりして。 俺はそれで喜びを覚えたと同時に、近付きすぎたかもしれないと危機感を覚えた。 俺自身入れ込みすぎていた。生徒にはいつでも平等に。全ての生徒はイコールで結ばれなければならない。こ...
  • 22-569
    彼女持ちクール攻め←ウザ可愛い受け 「あっ先輩! 先輩せんぱいせんぱいうあああ今日も可愛いいぃい!!」 「……わあ、今日も相変わらずキモいねー」 今年ももうぼちぼち終わろうとしている、今日この日。 さすがに四月当初のような不覚は取らなくなった。 踏みとどまってしゃんと立っていられるようになったし、さすがに慣れたもので 冷静な反応が出来るようになったと思う。 自分よりタッパのある後輩に背後から思いっきり抱きつかれるのは、 やはり慣れていないとすぐにバランスを崩してしまうから。 こんな状況に慣れるなんて、甚だ不本意ではあるけれど。 ――我が家を出て高校へ向かう道程、三つ目の曲がり角。 朝この道を通ると、決まって後輩がこうして奇襲をかけてくる。 もはやこれは毎朝の日課と言ってもいい。 「お前さあ、挨拶もなしに『それ』ってどうなん?」 「あー先輩...
  • 16-569
    君が好きだ 「卒業おめでとう」 「…あー、先生。…ありがとうございます。 」 「思い出すね。君とはじめて会ったのも、この桜の樹の下だった。」 「…そうっすね。」 「入学式に遅刻して、自分のクラスさえわからなくて、オロオロしていた。」 「…。」 「初々しくて、かわいらしい新入生だった。」 「…はぁ。」 「あれから君は、なぜか僕になついてしまって、何かにつけ職員室へ通って来ていたね。  学年が上がって、君の背がずいぶん伸びてからもずっと。」 「…あの、先生。  さっきから…何が言いたいんすか?」 「一年前。  君がこの場所で告げてくれた気持ちに、ずっと答えられなくて、すまなかった。」 「!?」 「あの日から、君は僕の元に姿をみせなくなったね。  他の先生方が、ずいぶん不思議がっていたよ。」 「…だって、…」 「大人というのは複雑で厄介なものなんだ。...
  • 20-569
    命令違反 血と汗と、硝煙の混じった臭いが体中に纏わりつく。 抱き抱えた彼の服は真っ赤に染まり、流れ続ける血液は、妙に非現実的な物に見えた。 「ああ、ドジったな」 そう笑う彼は、血塗れでなければいつもと変わらない口調いつもと変わらない会話だった。 腕の中の彼の鼓動に合わせ、傷口から血液が溢れ出る。 この戦いの間に嗅ぎ慣れてしまった鉄の臭いに、全ての感覚が麻痺していく。 「お前は、生きろ」 真っ白な顔色。 「生き残って、結婚して、年とって。骨と皮の爺になって」 細い呼吸。 「俺の、最後の命令だ」 「………はい」 冷たい手。 「ひとつ、頼まれてくれるか」 「…はい」 血まみれの手で、軍服の釦を一つ引き千切る。 「もし、俺の故郷に行くことがあれば…これを女房に渡してくれないか」 子供が、生まれてる筈なんだ。 そう言って...
  • 21-569
    穏やか若隠居受け 若隠居には(個人的に観点で)大きく分けて二通りあると思う。 隠居状態が「最初から(タイプA)」なのか「途中から(タイプB)」なのかである。 更に、タイプBは2つに区分できると考える。 隠居が「自分の意思で(-1)」なのか「やむを得ず(-2)」なのか、である。 ◆タイプA『最初から隠居』 生まれつき病弱などの理由で最初から半ば隠居生活を送っている若者がこれにあたる。 若い内から隠居状態で生活できるのだから、家はそれなりに裕福。 世間の荒波に揉まれていないので、いい意味でも悪い意味でも純粋で人を信じやすい。 病弱ゆえに外にもロクに出たことがなく、世間知らずでもある。 反面、ずっと家にいた所為で本をたくさん読んでいて、物知りだと良い。 (「世間知らずだけど物知り」っていうキャラ、いいと思いませんか) 親に迷惑をかけていることの負い目がある一方...
  • 18-569
    副人格×主人格 私の世界を「モノクローム」と呼ぶのだと教えてくれたのは、歳若い赤毛の青年だった。 古風な形のカメラを携え、写真を撮りながら旅をしているのだと言っていた。 赤ならば知っている。だが、彼の髪も、ホテルのベッドに広げられた夕焼けの写真も 私には白と黒の濃淡でしかなかった。 節くれ立った長い指が、印画紙の淡い灰色を指す。「君の髪はこれだね」 どんな色かと訊ねると、秋の麦畑を思い出すと返された。「故郷の秋を」 忘れられない色だと、いつか名を上げて帰るのだと言っていた。だから、君に声を かけたのだろうか? 今となってはわからない。 彼には気の毒なことをした。事の後で胸が痛んだのは、あの時だけだ。 おそらく私は、彼に少しばかり好意を抱いていたのだと思う。 だが、君ほどではなかったのだ。 思い出したのは、目の前の男が君の髪を指で梳きながら、こう囁いたか...
  • 24-569
    お題 日本の囲碁の基本は石の形の美しさだ たまに小競り合いも起こるが根本は石の形の美しさを競っているのだ 石の形がより美しい側により多くの地がつく そうして平和的に決着がつく それが歴代の本因坊たちが築き上げてきた日本囲碁の真髄だ それなのにアイツの囲碁は全くおかしくて狂ってて下品だ 子供の頃から碁会所のおっさんが打つような喧嘩碁っぽいところがあった アイツの棋風から決定的に品がなくなったのは離日後だ ソウルと北京に1年ずつ武者修行の旅 大陸式の力戦派の殴り合い碁にすっかり染まりやがった アイツの今の棋風は喧嘩碁どころか戦闘狂だ 石の形の美しさは「そんなカビの生えた古いものは捨てた」とばかりに完全無視 「こんにちは! 死ね!!! 」と言わんばかりに序盤から有無を言わさず相手の石に殴りかかる あんなものは囲碁ではない 囲碁に似...
  • 8-569-1
    懐いてる×懐かれてる 幽霊ネタ注意 チリ、チリと、夜風に吹かれて風鈴が鳴いている。ヒビでも入っているのか安っぽい無機質な音しか出さないが、ここのところ、そんなものは問題にならないほどの音害に悩まされる日々が続く。日が暮れるまでは蝉の放吟、月が出たなら蛙の合唱。そうして深夜ともなれば、俺の部屋を支配するのは幽霊のラップ音だ。 「騒いでも昼間は誰もいないからつまんなくってさあ。でも夜はあんたが帰ってくるもんね、頑張っちゃうよ、オレシャウトしちゃうよー」 鬱陶しい事この上ない。 背後からべたりと張りついてくる半透明の男を剥がそうという努力は一週間でやめた。俺の背中を特等席と決めたらしく、てこでも離れないのだ。自分の名前すら忘れてしまったというこのおんぶおばけ、俺が家にいる間は逞しくも色のない腕を肩口に回し、首筋にむしゃぶりついてはバキバキと怪音を立てる。郊外の借家で人家...
  • 6-569-1
    勘違い 佐倉は俺を選んだわけじゃない。 男が切れて寂しかったから。 ルームメイトが俺だったから。 俺が佐倉の性癖を嫌悪しなかったから。 ほら、理由はいくらでもある。 だから、「もしかして佐倉も俺のことを……」なんて勘違いしちゃ駄目だ。 佐倉の好みは年上の渋いパパ。 間違っても俺みたいな青臭い同級生じゃない。 佐倉の基準はお金持ち。 自立もできていない俺なんて問題外だ。 佐倉が俺に目を向けるはずがないんだ。 勘違いしちゃいけない。 いくら俺が佐倉を好きでも、アイツにとって俺はセフレなんだ。 あぁだけど、分かってはいるけれど。 隣で眠る佐倉のあどけない顔を見ながら、思わずにはいられない。 大丈夫。分かってる。 梅宮は、ただ同情してくれてるだけ。 男が切れたなんて嘘。 誰かと付き合ったことすら、一度もない。 年上の...
  • 26-569-1
    今日から両思い 「――今日から、両思いだね」 フ、と唇の端で気障な笑いをして、奴は手の中のグラスを揺らした。氷が涼し気な音を立てる。 窓の外の三日月と同じ形に細められた流し目から、俺は顔を背けた。 「言葉は正確に使え。お前の今の台詞は明らかに間違っている」 「え? ……え? うそ? 違うの!?」 裏返った声と、グラスが乱暴にテーブルに触れる音が絶妙な不調和を生む。騒々しい。 「だって! 俺さっきお前が好きだって言って、お前だって頷いてくれたのに!」 「声の大きさを考えろ。個室とは言えこの店は貸切ではない」 「あ、はい」  大げさに肩を落としてしょぼくれたような顔をしてみせる、その様に少しだけ苛立った。 「……やっと言えたのに」 小さな子供がいじけるように口を尖らせて呟く。声は少し震えているようだった。 「ずっとずっと好きで、やっと両思いだと思ったのに……」...
  • 16-569-1
    君が好きだ 雨がざぁざぁと降っていた。 僕はそれを教室の窓から憂鬱な眼差しで眺めている。 ――傘がない。 今朝は寝坊をして天気予報がチェック出来ていなかった。 朝、家を出るときには晴れていたから、まさか夕方になって急激に天気が悪くなるだなんて思ってもみなかった。 そうして大降りの雨を見ながら溜め息をついていると、後ろで教室のドアの開く音がした。 「どうして、まだ残っているの」 「あぁ、君か」 振り向けばそこにはクラスメートの鈴木がいた。 少し大人しいけれども明るくてとても良い奴だ。 僕はあまりクラスメートのことに興味など持ったりしない、所謂『変わった奴』だ。 そんな僕が何故彼の印象だけは覚えているかといえば、単純な話、彼に好意を持っているからだ。 他のただ馬鹿騒ぎをしているだけの奴らと違って、彼は明るいのに控えめで空気の読めるお人よしだ。 だから僕がクラ...
  • 16-569-2
    君が好きだ 「君が好きだ」 「へえ、俺は白身も好きだけどな」 朝食のサラダをフォークでつつきながら、彼は答えた。 頬杖をつき、かき回すだけで一向に食べる様子はないサラダに視線を据えて。 僕はもう一度繰り返す。 「君が好きだ」 「そんなに好きなら、俺のやるよ」 ぐちゃぐちゃになったサラダから、スライスされたタマゴを探し出し、僕の皿へと移す。 タマゴが形を崩してテーブルにいくつも落ちたが、彼は気に留めはしないようだ。 白い輪になった白身だけが、僕のサラダの上に積まれていく。 「君が」 「ああ、白身ばっかりになっちゃったな」 彼はそう言って、僕の言葉を遮った。 「悪い悪い。白身は嫌いなんだっけ?俺が食ってやろうか」 気怠く笑うその時の目も、僕に向けられはしない。 「ふざけないで聞いてくれ」 「ふざけてんのはお前だろ」 小さく吐き捨てるように彼は呟...
  • 24-569-1
    平和主義と戦闘狂 なるべく命を奪わなくて済むのならそれに越したことはない? よくも言う。 己が生きるためという名目の下、その手をどれほど血に染めてきたというのか。 それなのによくもそんな寝言をのたまうものだ。 誰より赤い光景を作り上げ、血に濡れぬ日々などなかっただろう? いつぞや集団で襲い掛かられた時など、まさに鬼神と称するに相応しい戦いぶりだったぞ。 そして何よりそういう時のお前は、まるでそれが生き甲斐であるかの如く最も活気に満ち溢れていたではないか。 だというのに、実は誰より殺生を好まぬというのか。 ――いいだろう。 その下らぬ理想を貫くというのなら見せてみるがいい。 どちらに転ぶのか最後まで見届けてやろう。 お前と私は一蓮托生。 結果がどうあれお前の選んだ道に付いて行くのみ。 酒と煙草
  • 15-569-1
    数学教師と不良生徒 【3x²+15x+12=0を因数分解しなさい】 「この問題どうやって解くか知ってるか」 俺は、高校生ならば解けてほしい問題を指さす。 北村はうちの進学校一の問題児だ。進学校には相応しくない不逞な行動・授業妨害・成績の悪さから、教師たちは彼をけむたがっていた。 何故か北村は俺だけにはあまり反抗しない。多分俺が一番生徒教育にやる気がないからだろう。そのためか、俺は北村の専属補習教師という肩書きをつけられてしまっていた。 今日も放課後、誰もいない教室に残り数学を教えてやっていた。 「わかんねぇ」 「こうやるんだ。たすき掛けって知ってるか?組み合わせを考えるんだ」 やり方を説明する。しかし北村は俺の手元など見向きもせずに「知るか」と言った。 「知ろうとしろ」 「俺には数学なんて必要ない」 北村は少し前髪にかかる髪をくるくる手でねじりながら言った。 ...
  • 16-569-3
    君が好きだ あまりにも時間の過ぎ去るのが早くて付いていくのが精一杯で、とうとう走るのをやめてみたら周りに誰もいなくなっていた。 そこでようやく、本当は走りきらなければいけなかったのだと、初めて気付いた。 中途半端な場所に止まって息を整えてみても、もう何の意味もない。時間は私を置いてどんどんと前へ進んでしまった。 私は、取り残されたのだ。 「君が好きだ」 そう言ってくれたあの人は、空で火となったと聞いた。 優しかったあの人が敵とは言え誰かを犠牲にしようとするだなんて到底信じられないが、戦争とはそういうものだ。 「お国のためという大義名分を掲げているが、僕はね、ただ君に生きていてもらいたいだけなんだ。君を生かすために僕は行くんだ」 あの人はそう言った。 馬鹿馬鹿しい、女子供じゃあるまいし、私だって男です。戦地に出るんですよ、生きていられる保証は何処にもない。 ...
  • 19-569-1
    大好きだけどさようなら 攻め視点 やけに半身が冷える。 夢うつつの中、隣で眠っている彼が布団を蹴飛ばしでもしたのだろうかと思いながら布団を引き寄せ、随分軽いことに気が付いた。 彼がいない。 はっと体を起こし、隣で眠っていた筈のあの子の姿を探す。 トイレだろうかと考えて、ふと彼が眠っていたところを撫でると既に冷え始めていた。 寝起きの頭が一気に覚める。 慌ててベッドを降りようとして、枕元に彼の物であった筈の携帯電話と鍵がきちんと並べて置かれているのを見つけた。 行為の前、そこには私が外してやったあの子の眼鏡を置いてあった筈だ。 (…………ああ、) ゆるやかに事態を理解する。とうとうこの日が来たのだ。 私は彼に、飽きられてしまった。 いつかこんな日が来るという事は告白されたあの日から分かっていたし、彼の様子がここのところおかしい事にも薄々気付いていた。 必死に...
  • 21-569-1
    穏やか若隠居受け 「あきれたね、本当に隠居しちまうのかい、喜さん」 「いいじゃないか、清さん、これで心おきなく遊べるってもんだ」  喜之助……喜さんは文机の前で泰然としたものだ。 「せっかくだからね、寮のひとつも作ってもらおうと思うんだよ。そこで戯作でもしようか。人情物かな。芝居の台本もいい。  そうだな、寮の名前は喜詩庵、喜文庵、それとも喜雨庵、さて……」  何をのんきな。ぼんやりした人だとは思っていたが。  手前のお店には何の未練もないのか。心配したのがだんだんばからしくなってきた。  喜さんは隠居して、弟にお店を継がせる。  弟と言っても死んだ先代の後添いの子だ。後妻が、後見の伯父に通じてうまいことやりやがった。  もっとも、喜さんも逆らわなかったようだ。  争いは好まない人だし、おもしろく噂にでもなればお店の評判に傷がつくと考えたんだろう。 ...
  • 7-599
    世界を救った勇者×勇者の故郷に住んでいる村人A (※昔のRPG調です) 勇者は 光の呪文を唱えた!10000ダメージ! 闇の大魔王は ばくはつし きえさった! 勇者達は死闘の果てに「闇の大魔王」を倒し、世界を破滅から 守ったのであった。 ** 「勇者さまだ!勇者さまのお帰りだ!!」 村人は歓声をあげ、勇者一行の帰還を喜んだ。宿屋の女将、武器職人、道具屋 の主人、教会の神父、そして多くの人々が村の広場で勇者達を囲んでいる。 僕は輪の一番後ろでその光景を見ていた。 「勇者」と呼ばれる彼。 神の啓示を受けて「勇者」になる前から、僕はずっと彼に憧れていた。 強くて優しくて清廉な心を持つひと。僕みたいな普通の村人とは全然違う。 彼は自分と同じように神に選ばれた仲間達と冒険の旅に出た。 僕がもし剣の達人だったら。強力な魔法が使えたら。祈りで傷が癒せ...
  • 7-519
    駄菓子屋 久々に滞在した田舎は、ひどく懐かしく、そしてひどく空虚だった。 こんな季節外れに帰省したぼくが悪いのだけど、めぼしい幼なじみたちはほとんど不在で、 ぼくは誰と会うでもなく、ただ朝晩母の手料理を味わって過ごした。 それはこの町を出ていく人間がいかに多いか表している。 ぼくもその例に漏れない。 今の学校を卒業したら、そのまま東京に居着くだろう。 だってこんな空虚な町に。 ただ懐かしいだけの、今は空っぽな町に、どうして帰りたいだろうか…。 それは都会の密度に慣れた、ぼくの傲慢さかもしれないが、そう思わずにはいられなかった。 車の通らない路地をとろとろと散歩するぼくを、下校途中の小学生たちが駆けっこしながら追い越して行く。 ねえ君達、知ってるかい。あそこのシャッターが降りている店、あれは昔駄菓子屋だった。 ぼくは小銭を握りしめて、近所...
  • 7-559
    欠乏症 欠乏症ということですので、何か栄養素が足りてないんじゃねという感じで指摘されてみたらよいと思います 個人的にポイント高いと思うのはカルシウム 成長期なら身長が低いのを気にしてる人に言ってもよし 年齢問わずイライラ、カリカリしてる人に言ってもよし 「カルシウム足りてないんじゃね」と指摘されて、さらにムキになったらよいと思います 小柄だけど気の強い受けとかだったら萌え倍率ドン 言われて気にしてこっそり隠れて牛乳とか飲んでたら、それだけで丼飯3杯くらいいけます ぜひとも攻めに「いいから黙ってこれ食え」とか言われて小魚ピーを渡されてほしいと思います 欠乏症
  • 7-549
    美術室×音楽室 「君には自由になる腕も脚もない。私の鈍重なからだも、この場所から  動くことを是としない。だのに何故だ。何故、君はその白皙の肌を削ってまで、  私の元を訪れてくれるのだ」 「会いたいからだよ。愛しのフリューゲル、この想いを理屈などで測ろうとしないでくれ。  君の歌が、フリューゲル(翼)を私に授けてくれたのだから。  さぁ、今宵も聞かせてくれ。君の声を」 「誰だ!誰か、教室に残っているのか!」  突然、誰何の声が割れ鐘のように響き渡った。それは深夜の音楽室を 大きく震わせるに十分な声量だった。ご、と何かの揺れる音がして、 続いて硬いものが地面にぶつかり、砕け散る音がした。  先ほど怒鳴り声を上げた事務員は、不審な物音の続く音楽室に踏み入ると、 まず電灯のスイッチをパチリと押し、教壇の脇に置かれているグランドピアノを、 見た。それから...
  • 7-509
    ツンデレ攻め×ツンデレ受け 「あ…の、こんなとこにずっといると日射病になる……」  夏日の日差し照りつける第二校舎の屋上に、そいつは午前中からずっと一人でいた。 向かいの、第一校舎の生徒会室からはこの屋上の一角が見えて、昼休みの間も「あの男子 生徒はこのくそ暑いのに屋上で何をしてるんだ」と話題になった。 「嶋ノ辺、あいつここに連れてこい。俺一応説教しなきゃならないかも。同じ一年だろ」 村上先輩は、よく横柄な物言いをするけどそれは誰にも媚びないからで、本当は気さくで 後輩にも威張ったりしない人望の厚い生徒会長で、僕はこの人のおかげで生徒会にも学校 にも気後れせずに居場所を作ることができた。……だから、嫌だったけど村上先輩の頼み だから、僕は屋上にいるそいつを呼びにいった。  屋上の扉を開けると、熱気と光線が額を打つように襲ってきて、それだけで立ち眩みが ...
  • 7-539
    本当にそれでいいの? 「へえ、アイツと、ねえ……」 「お前には、言っとかなきゃなんねえかな、と思って」 「何で?」 「……付き合い長いし、アイツの親友はお前だし」 「そっか」 俺がアンタを好きだって知ってたからだろ。諦めろって暗に言ってんだろ。 言い訳みたいな、無理矢理に理屈付けるような、そんな理由は要らないんだよ。 「じゃあ、奪うしかないんだ?」 「……何をだよ?」 アンタは笑って、でも震えるような声でそう言う。 「アンタを」 「馬鹿言ってんなよ」 誤魔化したいんだろ。俺の気持ちも言葉も、なかったことにしてアイツといたいんだろ。させるかよ。 「本当に、アイツでいいの?」 「……いいよ」 言葉に混じる躊躇い。俺を切り棄てたくても棄てられない。俺はアンタの友達で、アイツの親友だから。 仲がいいから知ってる。アンタの弱点。アイツもそこを狙ってアンタを自分...
  • 7-529
    七夕 1年の中で、現実的な距離を顧みず1日だけ逢瀬をする星の伝説がある 俺と和彦はそれよりも、いや誰よりも近いのだけれど こいつの顔を見る度に触れたいとか変な独占欲が湧いてしまう それを言ったら一瞬で何万光年も離れそうな気がするのに 「梅雨なのに星空見れたなぁ」と和彦がやたら嬉しそうに笑うから 愛想笑いで相槌を打ち、行き場のない感情を望遠鏡の中に投げ込む 1日に何度も会っているのに、この距離はあの星たち以上に遠い 願いが本当に届くのなら、1年で1日だけでもいい、 こいつに触れたい 触れさせてほしい …俺だけのものになってくれ。 七夕
  • 7-579
    兄→友→妹 あの人が、町に帰って来ているらしい。  噂好きの姥さんに聞いた話を伝えた途端、兄の顔が引き攣った。  しかし瞬間表情は霧散し、いつもの気難しげな態に戻る。  お手伝いの姥さんは夕には帰り、兄妹だけの食卓は、兄の寡黙もあって常に静かだ。近頃は日に一杯だけの晩酌を煽って、兄は息をついた。 「そうか。なら、いっぺん久方ぶりに呼ばうが、ええかね」 「あにさんの好きにすればええじゃに」 「そうかね」「そうよ」  久しいなと、呟く兄の箸から米粒が零れる。それと気づかず箸先を口に含んでから、ひょっとした風に無骨な手元を見下ろした。  私は知らぬふりで菜っ葉を食みながら、正座で足袋のつま先を身じろがせた。 「──離れに呼ぶがよろしよ」  番茶を飲み下し、息をついでから言うと、うたれたように兄の顔が上がる。 「久方ぶりじゃけえ、積る話もあるやろう。女の前じゃあ...
  • 7-589
    暑苦しい夕方 「どうした、忘れ物か」 ぼくは首を振って、自分の席へと小走りで寄った。 誰も居ない癖に、この教室はグラウンドの野球部員の声とアブラゼミの不協和音がよく聞こえ 思っている以上にやかましい。 そういえば今年はヒグラシを聞かんなあ。 先生の言葉にドキンと心臓がはねた。心を見透かされたと思った。 「あ、あの…ヒグラシ、涼しくないと出ないんですよ」 「ああ、そっか。まだまだ暑いもんな。俺はあいつらのカナカナが好きでね」 先生から見たらぼくは印象の薄い生徒だろうと思う。 発言をする訳じゃないし、他の奴等みたいに先生を囲んで騒いだりもしないし。 それでも、先生はぼくの言葉に何てこと無い、といった感じで返事をくれた。 「オマエは虫に詳しいんだな」 知らなかった。勉強が足らんよ。と先生がぼくを見て笑う。 じっとりとした空気がぼくを...
  • 27-509
    膝枕をする 「朝から膝枕について考えている」 「暇なんですか。暇なら洗濯物たたむの手伝ってくださいよ」 「というのも『膝枕は男のロマンだ』と耳にしたのだ。ロマンと聞いては捨て置けん」 「聞いてないし。まあいいですけど。……で、膝枕がどうしたんですか」 「それが不可解なのだ。まず私は、第一の命題として、枕たりえる膝の高さについて考えたのだが」 「ああ、それで今朝メジャー持ってうろうろしてたんだ」 「床に座ったときに膝の位置というのは、案外と高さがある。正座すると更に高くなる。  椅子に座った場合は、首の長さがいくらあっても足りないほどだ。あの高さを平気で枕にできるのは猫くらいだな」 「猫は膝の上に乗るの好きですからね」 「しかし残念ながら私は猫ではない。ついでにキリンでもない」 「そうですね」 「そこで私は今回の考察の前提として椅子というものを除外した。世...
  • 17-519
    腹痛 しまった、腹がいたい…… きっと朝飲んだフルーツ牛乳がいけなかったんだな。 それとも昨日の夜飲みすぎた酒の残滓が今頃、腹の中で暴れだしたんだろうか…。 そんなことを考える間にも、額に冷や汗が玉になって浮かび上がる。 汗はつぅ、と眉頭を越え、メガネの弦を伝ってポタリと滴り落ちた。 落下する雫を目で追うと、それは臙脂のネクタイに着地し、生地を黒ずんだ色に染めた。 伏し目になってそれを睨みつけた俺は、傍目には硬直しているように見えるだろう。 だが、内なる俺は悶絶している。それはもう、もんどりうって転がりまくっている。 電車は中途半端に混んでいる。 座れないけど、不審な動きをすれば注目されてしまう程度には空いている。 いっそ満員だった方が気が紛れただろうに……。 「――大丈夫?」 「……」 「具合悪りぃの?」 不意に横からかけられた柔ら...
  • 27-519
    一人称「僕」×「私」 大丈夫です。安心して下さい。何があろうと僕はあなたの側から離れませんから。 男は口もとを綻ばせた。私の右手を両手で握り、親指のはらで慈しむようにそっと撫でる。 このまま何も言わなければ、足を折って恭しく手の甲にキスもしかねない雰囲気だった。慌てた私はその手を振り払い距離をとって男を睨んだ。 「睨まないで下さい。あなたを困らせるつもりはないんです」 確かに、この男に困らされたことはなかった。それどころか私がこの男を困らせていたくらいだ。 「おい、お前、俺の側にいろ。命令しやすいからな」 男とは高校からの付き合いだった。友人としてではない。この男はいじめの対象だった。 背だけは昔から高かったが、骨と皮しかない軟弱な身体をしていて、おまけに話すことも苦手だった男は、あの頃やんちゃだった私にとって恰好の餌食だった。 いじるのは楽しかったし、男は...
  • 17-529
    恋人を庇って銃で撃たれる 強盗犯に撃たれた傷口をガーゼで押さえられ、人工呼吸器をつけられ手術室へと運ばれる谷澤は寧ろ穏やかな表情で、ただ眠っているだけの様に見えた。 アレを瀕死の状態と言うのならば、横で座っている津嶋はなんと評すれば良いのだろう。 その顔はまるで死人のように蒼白で、廊下の蛍光灯が、手術中のランプの照り返しが、彼の頬に赤味があるのだと、生きた健全な人なのだと錯覚させる。 だが、その頬は確実に人の色とは言いがたいのだ。 「津嶋。もう帰れ。んで、寝ろ」 「いやだ。例え、それが命令だとしても、帰らない」 「お前、顔も白いし目もどっかいっちまってるぞ。谷澤が起きた時に、お前がそんな状態だったら……――」 「起きないかも知れない……あいつみたいに。だろう?」 「…………」 手術室のランプが赤い光を放っている。 病院の廊下は、外ではもう夜明けを迎...
  • 17-589
    こんなはずじゃなかったのに 今度こそは、綺麗好きで温和で優しくて、割と胸の大きい可愛い子と付き合って 薔薇色の日々を過ごすんだと思っていた。 それなのに――。 平日の夜中に遠慮なくインターホンを鳴らすような相手はあいつしかいない。 口元にへばりついていた唾液をウェットティッシュで拭き取りながら 寝ぼけまなこでドアを開けると、案の定そこにはしまりのない笑顔があった。 「岸さん、なんか喰うもんある?」 「……夜中に人んち来て第一声がそれか」 自分勝手で礼儀知らずでだらしない痩せぎすの男と、俺はつるんでいる。 彼の名は筑波。勤め先の会社でアルバイトしている大学生だ。 「なんか小腹すいちゃってさ。財布も携帯も会社に忘れてきちゃったし」 「はぁ? だったら取りに行けよ」 「それが丁度スイカのチャージ切れちゃったところで」 筑波はスニーカーを脱ぎ捨て、躊躇なく...
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