*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「8-669」で検索した結果

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  • 8-669
    スタイリー それはスペースシップの格納庫にあった。 格納庫と言っても過去の遺物、何に使ったのか誰も知らないものさえ置いてある。 人類が地球を離れてすでに2000年、いやまだ2000年か。 現代では生命の誕生も政府の管理の元、最適な組み合わせの精子と卵子を抽出して試験管の中で行われ、胎児は羊水ドームの中で育つ。 当然のごとく結婚という紙面上の届け出制度も崩壊した。 いつしかSEXも堕落した精神の土壌となるという風潮が大勢を占めるようになり、愛の営みなど知らない者が殆どだ。 必要な運動もカプセルの中で寝ているだけで事足りる。 「なんだ、こんなところにいたのか。探したぞ」 星間の物資運搬の仕事をする仲間、いや俺の恋人が顔を出す。 「あっ悪い。なんかここ好きなんだよ。訳わかんないものばっかりだけどさ。 なぁ、これ何に使ったんだろうな?」 俺は二つ折りに畳...
  • 28-669
    大型犬と小型犬 一匹のドーベルマンの元にチワワが駆け寄る。両の目に涙を浮かべたチワワはドーベルマンに縋り付いた。 『行くなよ…俺の傍にいろよ!』 『お前、まさか抜け出してきたのか?!』 『バカっ、ずっと一緒って言ったじゃないか!嘘つき…っ』 『…俺は必ず帰って来る。立派な警察犬になって、な』 『必ず…?』 『ああ、約束だ。だから大人しく待ってろ』 チワワに優しく鼻先を擦り付け、ドーベルマンはゆっくりと去って行った。 ーーーっていう夢を見た」 「はぁ?」 眼鏡を直しながら至極胡散臭そうな顔でこっちを見てくる長身の男は、明後日から長い海外出張に出かける。 「それがさー不思議なのがその声?がドーベルマンの方がお前で、チワワの方が俺なのよ」 「何それww体格的には合ってるけどwwww」 「るせー、どうせ俺はチビですよ」 不貞腐れてソファで丸まる俺を彼は背...
  • 18-669
    愛させて 「は?なんですって?」 「だから、たまには私に愛させて欲しい、と言ったのだ」 「…まーた変な事思いついたんですか」 「気付いてしまったのだ……そう、私は、君に愛され、与えられてばかりいると……  このままでは私は君の愛に溺れてしまうだろう……そう、愛の飽和だ!飽和は停滞だ!倦怠期だ!」 「はあ」 「だから私は、君から貰った愛と、私の中で育んでいる君への愛を、君へ還元したいのだ!」 「……もう少し具体的にお願いします」 「まず、私は日々の料理を君に作らせてばかりだったな。だから今日は私に任せ給え」 「けどアンタ、前にゆで卵作ろうとして、大惨事引き起こしたじゃないですか」 「スーパーへの買出しも私一人で行く。店内の配置も覚えたから完璧だ」 「カートで暴走してジャガイモの山に突っ込んだこと、もう忘れました?」 「洗濯も私がやろう。なに案ずるな、最近の洗...
  • 4-669
    逆レイプ 反射神経とか頭の回転とかそういうの、自分は結構速いと思ってた。 なのになんだよ。なんだよこれ。全然頭が回んねぇ。 起きろよ俺の頭。思考しろ頭脳。この状況を分かりやすく俺に解説しろ。 なんで、あいつが。あいつが。 俺の上に乗ってんの・・・・・・? 半ばショートしかけの頭で必死こいて考えた結果。 親友に乗られてて、俺のまぁ・・・ナニが?そのあいつの中に入ってて、しかもご丁寧に俺もあいつも勃ってて、あいつはすっげー赤い顔しててふぅふぅ言ってるし、ほんでもってきっと俺も今までに無いくらい赤い顔してんだろうなって事は分かった。 段々とはっきりしてきた思考。 「お前!な、に・・してんだよ!!」 「・・・んっ・・!」 いやいや「ん!」じゃないし。 とにかく意思の疎通を図りたいので、物凄く苦しいけど(入れてるあいつも苦しそうだけど)会話を紡いでみようと...
  • 3-669
    テトリス 「すぐに呼び出され消える運命なのさ。俺たちは」 ━そう。全てはマスターの為。 たった一人、指先で自分を操り消してゆく冷酷な主人。 美しいまでに冷酷な彼なのにどうしても惹かれてやまない。 目の前に引き出され、彼の手で消してもらう。 それだけでを目的に自分は生きている それが自分の存在意義。 彼の戯れで、消されるのは至上の快楽。 「━出番だ」 機械仕掛けの音が響く。 それは容赦ない死へのカウントダウン。 「さよなら」 同じ運命を辿るであろう仲間たちに別れを告げ、テトリスは背を向けた。 ヤリチン×童貞(高校生/従兄弟同士)
  • 7-669
    かっこいいナンパ いつからかナンパ通りと呼ばれるようになったこの道を通る女の子は大抵ナンパされに来ている。 そしてあいつはそんな女の子に片端から声をかけまくっている。 「待ってろよー今俺様必殺のかっこいいナンパ術でかっわいー女の子を連れてきてやるからな。」 「その台詞はもう聞き飽きた。」 「ひでぇ。そんな事言うならお前もたまには声かけろよなー。」 「休みのたびに付き合ってやってるだけでもありがたいと思え。」 腕時計は午後2時を指している。 そろそろ頃合いだろう。 「もう今日は止めようぜ、マジで腹減ってきたし。」 実際は少しも減っていない腹をさすりながらあいつを見る。 「じゃー次で最後にすっからよ、そこの彼女ー今暇してるー?」 あいつは通りかかった二人組みに笑顔で声をかける。 俺はあいつの後ろから女の子を睨みつつ断れと心の中で念じる。 その視線に気づいた女の...
  • 2-669
    兄×弟 「おい!アニキ起きろ!!」 朝から大きな声で叫んでる、うるさい。 「まだ7時だっつーの。せっかくの休みくらいゆっくり寝させてくれって」 眠い。なんなんだよ、ふざけんな。 「早く起きろって!駅まで送ってくれるって言ったのアニキだろ!?」 そうだった…忘れてた。 部活の試合でどっか行くから駅まで送れって言ってたっけ。 仕方ない、かわいい弟の為だ起きてやるか。 「はーやーくー!時間ない時間ない!!」 「うるせーよ。駅まで10分もあれば余裕で着くだろーが」 何か良い夢見てた気がするから、ちょっと意地悪してやった。 俺より10cmもでかいくせに、気は小さいんだよなぁ。 すっげー焦ってる。時計気にしすぎ。 だから間に合うから、てか間に合わせるから。 かわいいかわいい弟の為におにいちゃんはがんばるから、心配すんな。 でもねお兄...
  • 5-669
    別れたいわけじゃなかった 同級生同士、いつも一緒にいて、仲のいい友達で、 そういう関係になってからも友達同士の延長みたいな、 同性ってことで人から連想されがちなドロドロしたことなんて おれたちにはほとんどなかった。 学校行って、卒業してからは仕事に行って、アパートに帰って、 テレビ見て、たまには夕飯作って食ったり。 そんで風呂入って、盛り上がればエッチして、寝る。 その繰り返し。平凡で幸福なぬるま湯生活。 なにも言わなくてもお互いの気持ちがわかったし、 わかってることもお互いわかってた。 一生愛し続けるだの浮気したら殺すだの まわりまで巻き込んで大騒ぎしてるカップルよりも おれたちの方が幸せだって信じてた。実際その通りだったかもしれないのに。 あいつの帰りが遅くなったり 休日に一緒にいられないことが多くなったり。 おれはすぐに気づいた。 部...
  • 6-669
    福岡 デリヘル ヴィーナス に元アイドルが・・・? 俺は元アイドルだ。 今日は福岡デリヘルヴィーナスに行くことになった。 そこで一人の男とであう 「あなたアイドルですね!サイン下さい」 「もうやめたんだ…アイドルは。俺は落ちこぼれだよ」 「なら…俺だけのアイドルになってよ」 花開く世界。輝きと哀愁が音色を奏でる。 ずっとお前のアイドルでいたい…俺はそうねがッた 福岡 デリヘル ヴィーナス に元アイドルが・・・?
  • 1-669
    スーパーマ○オ×クッ○大王 狂ったようにレンガに頭突きをしたり。 股を開いたまま土管に沈んだり。 明らかに毒々しいキノコでハイになったり。 電波なわけですよマリ尾は。 大王は伝統的な、子供たち用のわかりやすい悪党で、つまり真面目なんす。 マリ尾の意味不明さを我慢しつつ、待って待って待ち続ける。 城の中でね。姫のように。じりじりと待つ。 大王自身は、その気持ちを悪意だと信じているが、実は違うのだ。 そしてついに現れた電波男は、猛烈なダッシュをかましてきて、 大王の胸に飛び込んでくる――と思いきや、 女王のごとく踏みまくる。火を噴くほどの羞恥プレイ。 城の鎖や、大王のトゲファッションなど、ハードSMを連想させるんですよ。 やがて大王はころりと「堕ちる」 画面の外まで堕ちきったそこが、マリ尾との愛の地下室に違いない。 桃姫? 大丈夫。やつは腐女子で...
  • 9-669
    色鉛筆 こうして一緒に歩くことが減ったけれど、たまにある機会が凄く大切で。とてもあたたかい時間。 「なぁ、カズ…」 歩くことは減ったのだけれど、絆というか…要するに愛というものは深みを増していく。 幼稚園に通っていたころ、小学校に通っていたころ、楽しげに描いた絵。勿論、その時だって君と一緒だったのだ。 何度も何度も、重ねた色は深みを増して。 時間と共に、君との愛は濃く鮮やかになる。 そう。まさにあの時幾重にも重ねた色鉛筆の絵のように。 「ん、浩司?どうかした?」 こちらに視線を寄越した君は、俺と同じ背丈で俺とほとんど変わらないような顔をしているはずなのに。 どうしてだろう、こんなにも自分と違って見える。 「…好きじゃけ、離れんといて?」 「…ん、」 「ずっとずっと、一緒じゃけ、な?」 きっと甘えたで、仕方の...
  • 27-669
    不思議ちゃん受け 「俺、三崎先輩の事が好きかも知れません」 「そうか、ありがとう」 「はい」 夕日が眩しい部活の帰り道、隣を歩いていた後輩の司がぼそりと呟いたので視線を隣に向けたが、 司は前を見たまま、こちらを見ることもなくいつもと変わらない無表情で歩いていた。 口数の少ない彼は他人との会話を億劫と感じているのか、普段の会話からして自分の意思を一言伝えただけで会話を終わらせる癖がある。 その所為でチームメイトに誤解されている点は多いのだが、本人がそれを苦に思っていないのだから たかだか部活の先輩である自分にはそれ以上何も出来ない。 せいぜい、こっそりと彼の言動にフォローを入れるので精一杯だ。 「……」 「……」 「……ん?もしかして、今のは告白か?」 「はい」 不自然なニュアンスに疑問に感じ、思わず足を止めると同じように足を止めて、変わらず前を見たまま頷...
  • 24-669
    盲目愛が崩れる時 「なぜだ……?」 掠れた声で目の前の彼が僕に問うたので、僕は彼を真っ直ぐ見返す。 銃口も真っ直ぐ向けたまま、彼の疑問に答えた。 「お父さんが、あなたのことが邪魔だと。排除しなさいと」 言いながら、僕はあのとき頭を撫でてくれたお父さんの手の温もりを思い出していた。 この仕事が終わったら、また撫でてくれるだろうかと考える。 帰ったらまずシャワーを浴びて綺麗になってから、お父さんのところへ行こう。 そんなことを考えていると、 「……自分は孤児だと話していたのは、嘘か」 低い声が耳に入って、僕は意識を目の前の彼に戻した。 彼は泣き出しそうな怒ったような変な表情をしていて、それを見た僕は頭の片隅で首を傾げる。 「俺に話したお前の身の上は、全部、嘘だったのか」 ああ。 そういえば、彼があまりに親身な風にいろいろ聞いてくるから...
  • 26-669
    病弱と不死身 「珍しいのが来た。」 自分の席に腰を下ろした瞬間聞こえた透き通る声を、僕は無視した。 「久しぶりに来た。」 続けて聞こえた声はさっきより少し高く弾んでいる 僕の口は返事を放ちたくてムズムズしていたが頑張って我慢した。 あと二時間ほどさらに我慢しなければいけない、僕の口はまだムズムズしている。 「芥川、居るかい?」 二時間と少し後、夕焼けに染まる屋上で僕は自分にしては大きな声を出した。 「居るよ。」 その声と同時に僕の隣へ生ぬるい風が強く吹き込む。 思わず閉じた瞳を開けるとそこには、古めかしい制服に真ん中分けの黒い髪 猫みたいな目を細めて笑う淡く透けた少年、さっき僕が呼んだ"芥川"が立っていた。 「君に会うために、久しぶりに珍しいのが来たよ。」 ずっと返したくてムズムズしていた言葉を言えて僕の口はようやく大人しくなっ...
  • 14-669
    「若」と呼ばれるキャラ 「斉木、馬を出せ」 「先の週も外にお出でになった様ですが」 「こんな屋敷にいると息が詰まって仕方ない」 「詩学はどう為されたのです」 「あれは好かん」 「殿がお嘆きになりますぞ」 「構わぬ。歌ばかり詠んで政を蔑ろにするお方だ」 「若!」 「独りではない、椎名を付けてゆく」 「ですが……」 「退け、これは命だ」 「……お気をつけて往ってらっしゃいませ」 「まったく、斉木は煩くて敵わぬ」 「若がお可愛いのですよ」 「もう童ではない」 「この椎名がお供するのも、若がいっとう大切だからです」 「よせ、気が重くなる」 「失礼致しました」 「椎名、例の物は持って来たか」 「此処に入っております」 「見られてはおらぬだろうな」 「城の者の目を盗んで参りました」 「さすが椎名だ。腕が立つ」 「勿体のうお言葉で御座います」...
  • 25-669
    ハッピーエンドが怖い 冬の文芸部の部室はとても静かだ。 他の部員はとっくに帰って、向かいの席に座る菊池がシャーペンで原稿用紙を叩く、とんとんという音だけが聴こえる。 我が文芸部では、毎年冬に出す部誌での企画として、クジを引いて同じ番号だった相手と合作小説を書く。 そして俺は全く話したことのない菊池と合作を書いているのだが… 合作を書いている間も、俺は菊池と話さない。ただ原稿用紙の空白に「ここの展開どう思う?」とか「ここ伏線?」とか「食事シーン書くと腹減るよね」とか。 原稿用紙の隅に書かれた筆圧の薄い綺麗な字を見るたびに俺は。 部室を漁って読み耽った菊池の作品はどれもハッピーエンドだった。 今菊池が書いている最終章もきっと、ハッピーエンドなのだろう。 でも俺は、原稿用紙のあの字を、向かいの席に座って原稿用紙をじっと見つめる伏せた目にかかる前髪を...
  • 17-669
    親友が再会したら敵同士 「この国を護るのは僕達しかいないんだ!」 キミはいつもそう言っていた。そう言わないと、プレッシャーに押し潰されてしまいそうだったからだと、今の俺なら解る でも、当時の俺は今以上に鈍感で馬鹿でどうしようもなくて。キミがそう言って皆を勇気付ける姿に、只々見惚れているしか出来なかった。 だから、偶々キミが泣いてる場面に出くわした時。泣き顔を見られたキミよりも、僕の方が慌てふためいてしまった 見なかったフリをして立ち去ろうとして失敗し、盛大に転んだ俺を見て吹き出したキミ。 誰とでも仲がよく、しかしだからこそ孤独なカリスマだったキミと俺が、いつも連むようになったのはこの日からだったね あの【学校】で、ESP値の低い俺は劣等生だった。政府の特別兵はおろか、使い捨ての特攻兵にすらなれなかった そんな者の末路は、【見せしめ】として公開処刑されると決まっていて。...
  • 15-669
    読み返すごとに味わいが増すよ、この会話 ほんとGJ 「俺さ、今度出す本はこんな感じにしようと思うんだ。」 「へー、男二人の旅ねえ。テーマは?」 「和風ファンタジー。何回も読み返せるスルメみたいな味のある話を目指してるんだ。今やっと起承転結の転まで来たところさ」 「ほう」 「特に会話。会話はキャラクター達の自己主張の場だからね。何回も読み返して、読み返すごとに味わいが増していくようなものを目指してる」 「こだわってるんだな」 「まあね。実はさ、この本が完成したら、真っ先にそれをもって好きな人のところに告白しにいこうと思ってるんだ。だからものすごく面白くないと」 「お前好きな人なんていたのか!?」 「…うん。ずっと好きだったんだ。」 「誰だ?俺の知ってる人?」 「…うん、ものすごく身近にいるよ」 「そっか…なあ、最初のほうだけで良いから...
  • 20-669
    哀愁漂う背中 「娘さんご結婚、おめでとうございます」 「ああ…」 「寂しくなりますね」 「ああ…」 晴れやかな式のはずなのに、貴方の顔色は優れない。 まあ、死んだ奥さんの忘れ形見を、何処の馬の骨とも知れない男にもってかれちゃぁな。 丸まった背中が、貴方の姿を実年齢よりより老けたように見せる。 寂しい…そんな言葉が背中から聞こえてきた。 「君みたいな好青年だったら、娘を安心して嫁に出せたんだがな…」 「そうですか?案外ああいうチャラけた奴のほうが、純粋で真面目だったりするんですよ?」 「あはは…」 力なく笑った目じりの皺が、愛らしい。 「第二の人生スタートですね」 「もう、そんな気力ないよ」 「何言ってんですか、今時のアラフィフなんて俺たちの世代より元気じゃないですか」 「そうかい?」 「ええ、だから」 骨ばっ...
  • 22-669
    国際会議 『○○大学学園祭 提携校親善試合』 本学サッカー部-韓国・××大学サッカー部 本日10 00~ 於:メイングラウンド 本学バスケ部-中国・△△大学バスケ部 本日13 00~ 於:第一体育館 本学バレー部-ロシア・□□□□大学バレー部 本日15 00~ 於:第二体育館 オレたち○○大学サッカー部は韓国の××大学に2-1で勝った いつも学園祭でやる記念の親善試合だ。ラフプレーもなく乱闘もなく実にまったりと終わった 去年は向こうで試合して2-1で負けた。あの日は悔しくて仕方なかった 終わった後の食事会でマッコリをがぶ飲みした。とにかく雪辱を果たせてよかったわ 夕方から両軍関係者が集まっての飲み会がある。オレ的には本当の試合はそれからなんだけどな 私たち○○大学バスケ部は中国の△△大学に89-91で勝利しました 20回目の開催にして記念すべき初勝...
  • 13-669
    歩行者信号の 止まれのシルエットの人×進めのシルエットの人 あか。 力強く自分の足で立ち続ける貴方。 貴方に包まれたいと思うのは間違いですか? あお。 穏やかに笑いながら前に進み続ける君。 綺麗な君に触れれば私達は壊れてしまうのだろうな。 こんなにも近いのに あか、とあお、は交わる事はない。 今日もまた日が落ちる。 二人を包む空は薄く紫を示していた。 資本主義×社会主義
  • 23-669
    そこにある悪意 ぼくには、お金がある。 お父さんがお金もちだから。 ひとよりも、お金があるから。 「好きだよ、愛してるよ」 それは、ぼくのことじゃなくて、 お金のことを愛してるんでしょう。 せめて平凡にうまれたかった。 だって、なんのとりえもないひとにいう 「愛してる」は そのひとをあいしてくれてるんだもん。 あいしあう貧乏人になりたいよ。 悪意のある愛なんていらないよ。 いつになったら、愛してくれるの? だれか愛してよ、ぼくを。 お金のないぼくでも。 ねえ、 「信じられないなら ずっとぼくのそばにいてよ」 そばにいてもいいの? ずっと、愛してくれるの? 腐れ縁
  • 16-669
    水中キス 午前零時の校庭に、パシャンと水音が響き渡る。 「また今年もやっちまったなあ」 はは、と笑ってそいつは服を着たまま25mプールを泳ぎ始める。 十年ほど前まで俺たちは同じ中学校に通っており、同じ水泳部だった。 あいつはクロールが得意で、俺は一度も勝てたことがない。 悔しかったが、あいつは鼻にかけるわけでもないので そういうものなのだと思えるようになった。 いつもあっさりとノルマをこなし、練習が終わった後も飄々とした風な 何を考えているのかさっぱり分からない奴で、仲良しだったとは言い難い気がする。 しかし、十年経った今でも夏になるとあいつは連絡を寄越してくる。 最初に夜の中学校のプールで泳がないか、と突然かかってきた電話で言われた時は驚いた。 真意は全く分からなかったが、なんだか行かないといけない気がして 電話で言われた日の零時に中学校のプールに行くと...
  • 6-669-2
    福岡 デリヘル ヴィーナス に元アイドルが・・・? 「なー福岡、『デリヘル ヴィーナス』に元アイドルが働いてるって知ってた?」 仕事帰りの居酒屋で同僚の長崎にそう訪ねられ、俺は飲んでいたビールを吹き出した。 「デ、デリヘル?」 「何こんな話くらいで慌てんの?お前は乙女か」 長崎は普段の爽やかさからは想像できない意地悪な顔でニヤリと笑った。 「い、いや、急に『デリヘル』とか言うからさ……で、アイドルが居るって?」 そう答えて笑ったものの、俺は正直女の子には興味はなかった。 目の前のこいつにも内緒にしているが、俺は同性愛者だった。 自分の性癖に気付いたのは大学生の時。だからといって出会いを求める勇気も無く…… 「福岡ってさ、もしかして女に興味ナシとか?」 「なッ、何でだよ!?」 「あんまりこの話に食い付いてこねーし」 「そんな事は--」 「つーか普通興味ある...
  • 9-669-1
    色鉛筆 「おい、何とろとろしてんだよ。置いてくぞ」 「待ってよぉ。みんな慌てて走ってくから僕にぶつかっていくんだもん。転んじゃうんだもん」 「だぁーからおまえと遊びに行くのヤダったんだよ。トロいし鈍いし運動神経ないし」 「それ全部同じじゃん。そんなに怒らなくてもいいでしょ。」 「だいたいなぁ、おまえは八方美人なんだよ。言い寄ってくるやつみんなにイイ顔してよ、 ちったぁ自己主張ってもんしろ。あぁまったくイライラする」 「酷い。そんな顔真っ赤にして怒らないでよ。激情型なんだから」 「煩せぇ!顔が赤いのは生まれつきだ。悪いか。嫌なら一緒に遊ぼうなんて誘うな」 「だって、いつもみんなの中心で人気者の君に、なかなか声かけられなかったんだもん。 昨日、マリコちゃんが初めて隣同士にしてくれて…嬉しかったんだ。 せっかく…勇気出して、、誘ったのに、怒らなくても…」 「おまっ...
  • 1-669-1
    スーパーマ○オ×クッ○大王 「もし彼が来なかったら、どうするの?」 「来るさ。ヤツが来なかったことなど無いだろう」 玉座と呼ぶに相応しい豪奢な椅子に大きな体躯を沈め、ク/ッ/パは鷹揚に言い放った。 闇と雷光のほかに見るべきものなどない窓の外をぼんやりと眺めている。 広過ぎる城の最上階で、彼はひたすら待っている。 寂しいひとだとピ/ー/チは思う。 富も権力も、七人の子どもたちでさえ、彼の孤独を癒すことは叶わなかった。 必要以上に傲慢な振舞いは、周りの者を試さずにはいられないその臆病さ故か。 底抜けに陽気なあのラテン男は、そういったことに拘らない。 ただまっすぐク/ッ/パに向かってくる。 年齢に見合わぬ屈託の無さを誰もが愛した。情熱、機知、無謀とも言える大胆さ。 命を削るような道のりを経て必ずク/ッ/パのもとへやって来るのは、 本当はわたしの為...
  • 7-669-1
    かっこいいナンパ 曰く、雑誌にだまされたのだそうだ。 彼曰く、これが礼儀なのだと雑誌に書かれていたそうなのだ。 つまり彼はホモで、目覚めたてのホモで、衆道の礼儀として、 初心者なりに、カタギと間違われないための礼儀として、 聞いたままにアロハシャツを着、サングラスをかけ、 出来れば髪も染めたいがちょっと照れるのでせめて刈り上げ、 万全を期して初夏のナンパに臨んだのだそうだ。 ところがいざフタを開けてみれば、万全どころか、シーズンを 外してキャンプ地はガラガラ、ヤブ蚊はブンブン。 虫を払いつつ川面に出てきたものの、わずかに存在した、 哀愁漂う釣り客に「ひぃっヤクザ!」と怯えた声を出され、 (この時点で雑誌にだまされたと気付いたそうだ) やむなく彼は、今度は人気のない上流へと向かったのだ。 途中で別に好みの男を見つけたものの、さすがにパパママボクの...
  • 6-669-1
    福岡 デリヘル ヴィーナス に元アイドルが・・・? 「やあ。久しぶり」 待っていたよ、と彼は微笑んだ あなたを忘れられず、流れ流れて結局此処まで戻って来たよと 笑った目尻に時の流れを感じた。 世間体や不釣り合いだなんて言って、つまりあなたは逃げたんだよね、という言葉に、俺は何も言えず俯く 「会いたくなかった?」 落ちぶれたと思う? けどあの世界もこの世界も、似たようなもんだよ。 セックスも人の体温も、同じように気持ちいいもんだよ。 皮肉な声に、俺は彼の横に腰を下ろした 路上に座り込む俺達は、通り過ぎていく人の波にあの日を探した 彼と出会ったこの道 初めて唇を重ねたのもこの道 別れたのも、この道だった 今はもう無い、親不孝通りで 俺は彼を探し続けていた …俺達はまた親不孝を続けていくのだろうか あの頃よりずっと狡くなって、無力になったのに。 ...
  • 22-669-1
    国際会議 金髪碧眼アメリカ人×黒髪黒目日本人は良く見かける。 留学して右も左もわからない身長160cm未満の日本人を、ルームメートになったアメリカ人が美味しく頂く…有り得る。 日本人×アメリカ人の場合はどうだろう? アメリカ人=ガタイが良いという日本人の発想から、なかなか王道となり難い。 ならば走るべきはショタか。 近所に住んでいる天使のような少年をパクリ。…いける。 生まれも育ちも日本、英語はからっきし。外国人相手に戸惑うアメリカ人と、知っててからかう日本留学中のイギリス人。 イギリス人×アメリカ人も素敵だろ? アラブ人が攻めなのは何故か。金髪褐色肌はなかなかいないが、黒髪褐色肌の受けがいてもいいじゃないか。 海外出張でアラブに来た東洋人に一目惚れされる石油王受け萌え! チャイニーズマフィア×ロシアンマフィア禿萌エス。 ジャパニーズ“...
  • 10-669-1
    腐兄 やっぱり基本はショタかガチムチなんかな?少数派の中の少数派じゃ厳しいよなぁ。 みんな見る目がねぇよ。 萌えキャラはキャ○バル兄様筆頭に兄キャラ!コレ世界のジョーシキNE! 萌えカプはド●ル×キャ○バル筆頭にゴツ男×兄キャラ!コレ宇宙のホーソクYO! あーあ、アイツ、なんでわかんねぇのかな。数少ないオフのオタ友なのに。 この頃イっちゃってるしなぁ。アイドルの何とかっつー男追っかけてるっていうし。 さすがにナマはさ、そのうちホモと間違えられるぞって言ったんだけど。 やっぱりダメなのかなぁ。ジョーシキもホーソクも通じねぇし。 ううっ……きもち入れ替えてサイトの日記でも更新しよ。 『今週のサ○デーはつまんなーい!お兄様にふさわしいガタイのイイ男出ないかなぁ(メソメソ』 あ、ココは大きい人のがカワイっぽいかな?えーと、顔文字コピっといたのドコいった? ん?チャイム...
  • 21-669-1
    達観してる人×往生際の悪い人 「受け君、どうやら僕は君を愛してしまっているようだ」 いや、俺ももうずっとそんな感じではあるんだがな。 「もしかするとこの想いは秘めたるべきものであるかもしれない。  しかしそれゆえに秘めるべきではないのだ、受け君。  なぜなら君が僕の心を知る術など一欠けらほども存在しないのだから」 うん、まあ、告ってくれたことには素直にありがたいと思うんだよ。 「そして愛するものに触れ抱き締め悦ばせたいと思うことは真理であるのだよ、受け君」 そりゃそうだ、俺だってそうだよ。 「受け君、僕らが男同士であることに君が戸惑っているのならば、そこに根拠は何もない。  なぜなら僕らは男同士である前に人間同士であるのだから。雌雄の区別などない肉の器なのだ。  愛すると共に愛さないということは不可能なのだよ、受け君」 ...
  • 19-669-1
    半人半獣 我輩はケンタウロスである。名前は佐藤。 都立高校に通うごく普通の男子高校生だ。 太古の昔は神と呼ばれ信仰や畏怖の対象であったが 現代日本においては「絡みづらい」と見て見ぬフリをされる。そんな存在だ。 そんな我輩にも心を許した友がいる。同級生の鈴木君。 我輩は毎朝、朝寝坊の鈴木君を家まで迎えに行き、背中に乗せて登校する。 「佐藤君、おまたせー」 「鈴木君、急がないと遅刻だよ」 「ごめん昨日遅くまでゲームしてて、あ、今度一緒にやろうよ」 「うん、とにかく急ごう」 遅刻ギリギリでものんびりとしてる彼を乗せて走り始める。 数分もしない内に背中に彼の体温と寝息を感じながら、 我輩は彼との出会いを思い出していた。 入学式から数日、クラスメイトが目を合わそうとしない中、我輩に話しかけてきたのは彼一人だった。 「佐藤君チンコ丸出しだよ...
  • 12.5-669
    声変わり 「中野はさ」 屋上で弁当食って残り時間はいつも通りの昼寝タイム。 声のするほうにごろりと寝返りを打つと小金井がぽっかり浮かんだ雲を眺めながら続けた。 「まだ安定しないよな。体質とかかね?」 「あー。そうかもしんない」 適当に相槌を打ちながら小金井の喉仏を見つめた。 俺の声はちょっと変だ。だからあんまり喋りたくない。 顔に似合わないね、といわれる重い声とはしゃぐような子供の声が時々入れ替わる。 こんなのがもう1年も2年も続いている。 皆のように「大人の男の声」になったらこの気持ちはなくなるんだろうか。 逆か。変なキモチがあるから、子供っぽい独占欲ばっかだから、こんな声のままだとか。 ・・・俺の声が俺を責める。 「ずっとこうだったらヤだな」 いつまでもガキみてぇじゃん、と言ってるそばからもう声が裏返ってしまう。 「ソレはそれで味があっていい...
  • 17-669-1
    親友が再会したら敵同士 「君とは違う形で会いたかった」 私は鉄格子の向こうにいる彼にそっと語りかける。 「それはこっちの台詞だよ。ビックリしたぜ。皮肉な再会だな。感動も何もあったもんじゃない」 彼は昔と変らない不敵な笑みを浮かべ言った。 長く長く続く戦争。だが、つい先日戦局を決める大一番の戦が起こった。制したのは己が所属する軍。これにより、敵の軍はほぼ壊滅し、我々の勝利がほぼ確実となった。 数の上ではこちらの方が有意だったのにも関わらず、戦いが長引いたのは相手方に敵、味方問わず、伝説となった騎士がいたからだった。颯爽と戦場を駆け抜け、敵をなぎ倒す姿はまさに鬼そのものだと噂だった。 しかし、その鬼にもとうとう年貢の納め時が来た。負けが濃厚の中で最後の最後まで戦ったが、とうとう捕らえられてしまったのだった。 私はその男とは違う前線にいたため、彼を見たことはなかっ...
  • 8-699
    恥ずかしいけど手を繋ぐ 肩で荒く息を吐く。脳内が倦怠感とその吐息で埋められる。 正直、身体を重ねることに対しては何も不満はなかった。 それで一時でもお前を俺のものに出来るのならば。 一瞬でも、お前の目の中に俺が映っているのならば。 その場所にお前の愛情などなくても、お前が提案してきてくれたんだから良いと思った。 だけど、どうしてだろう。 10回目の逢瀬から、何かもやもやしたものが心に突っ掛かっている。 20回目の夜を越すと、それは喉元から出そうなほど内心を満たしてきていた。 俺はお前で満たされればそれで良いのに。一瞬でもいいから。 そう何度も言い聞かせて迎えた30日目の夜。 はぁっと大きな甘い吐息を吐き出して、虚ろな表情のお前が笑った。 その瞳には俺が映り込んで揺れていた。 緩慢な動作で繋がりを解いても、お前の目は俺に纏わりついて離れない。 甘...
  • 28-699
    卒業する先輩×入学してくる後輩 「昔はよかったよなー、一緒に少年野球やってた頃はお前もちっちゃくて可愛げあったってのに」 「そんなにちびでしたっけ俺」 「小学校の低学年なんてみんなそんなもんだろ」 「あんまり覚えてないっすよそんな昔のこと…ああでも先輩に初めて会ったときのことは覚えてますよ。年の差もまああるんすけど、それ以上になんか、背中が大きく見えて」 「そーいうしんみりする事言うなって!空気が重くなる!」 「先輩どうせ大学遠いじゃないすか、ちょっとぐらいしんみりさせてくださいよ!」 「あーわかったわかった、そんなに大声出さんでも聞こえるって…あれ、そういえばおまえは高校決まったのか?」 「先輩がこないだまで行ってたとこですよ」 「そうだったのか、おまえがいるんなら野球部も安泰かな?にしても偶然だな」 「…偶然じゃないです」 「え?」 「……どうしても追い...
  • 8-699-1
    恥ずかしいけど手を繋ぐ 自宅のアパートまであと100メートルというところで、突然彼は俺の手を掴んだ。 なんの前触れも無かったから、それが初めて彼からの積極的な行動だったことに気づくのは 家に帰って二人で冷たい布団に潜ってからだった。 ただ今は、氷のように冷えきった彼の手に驚きながら、俺は数歩先を歩く彼の様子をうかがっていた。 まるでこれじゃ、スーパーで駄々をこねた子供とそのお母さんみたいだ。 「…いや、でも俺の方が身長高いからな。やっぱり、子供というわけにもいかないなぁ」 「はぁ? お前、何一人でブツブツつぶやいてんの?」 「ん、俺のことはあまり気にするな。……っていうかさぁ」 「……何だよ」 夜の10時を過ぎると、一日の仕事を終えて点滅を繰り返す信号の交差点。 車が走っている気配などまったくしないのに、赤信号の点滅に、彼は足を止めた。 その交差点を渡れば、ア...
  • 28-699-01
    卒業する先輩×入学してくる後輩 僕の荷物はまだ届いてないようで、まずは一つクリアと胸をなで下ろした。 この春から大学に入る僕の初めての独り暮らし。引っ越し荷物を積んだトラックよりも早くついて待っておくのだと親に言い含められていた。 新生活の舞台となるアパートは古くて狭い学生用の安い物件。実家が遠方の僕は電話とネットだけでここを決めたから、僕の部屋である二〇四号室を見るのは初めてだ。 期待とともに階段をあがると、なぜかドアは開け放たれていて、覗き込むと雑然とした荷造り、場所をずらした家具、バタバタと動き回る知らない人。 聞いてない、前の住民がまだいるなんて。これ、引っ越し途中ってことじゃないか! 部屋の表示を見直すとやっぱり二〇四号。どうしたらいいのかわからず立ちつくしていると、中から背の高い眼鏡の男がゴミ袋片手に顔を出した。 余裕なく、 「ごめん、新しい人でしょ、ご...
  • 8-649
    オルゴール たまたま遠出をしたら俺の好きな造りのアンティークショップが見つかったので、 こりゃいい拾い物だなーとか思いながら、表のショーケースを覗いてみた。 一番目立つところに置いてあるやけに古ぼけた箱が目に留まった。 宝石箱? にしてはちょっと小さいか? 薬箱? にしちゃ大きいか? 俺の好きな細工だ。ちょっと不細工だけれど、花象嵌はやっぱり良い。 っていうかメチャクチャ見覚えがあるような? と言うかこれ、は…… 次の瞬間、扉を蹴破った。 「てーめえコレ俺の作った箱じゃねーか! なに売り物にしてんだよ!」 「やあ、お帰り。君いつ修行から帰って来ていたの?」 「ただいま! ついこの間だよ! お前こそ職人になったんじゃなかったのかよ! なにアンティークショップ開いてんだよ! 象嵌職人になった俺の立場は何処よ!」 「これは単なる親戚の店番だよ。君が出て行く前か...
  • 8-639
    新しい髪型 手のひらで自分の頭部を包み込むように撫で上げてみる。 額から遡ってうなじまで。 つるりとした感触がどこまでも両手に届くので、先程まで当たり前にそこを 覆っていた自分の頭髪はもう無いのだと、改めてそのことを実感する。 唐突に思い至ってイメチェンだとか、俗世に絶望して仏道に帰依するだとか そういうつもりは全く無い。 寧ろ事態はもっと切実なだけにアホらしくもあるのだ。 さて、奴はこの頭を見てどんな顔をするだろう。 「ただいま」 玄関の扉を開けると同時にキッチンからは食欲をそそる匂い、 ついで気の抜けた「おかえり」という返事が返ってくる。 帰還を告げても鍋の中を覗き込んだまま、振り返りもしない背中が 心なし萎れて見えるのは、おそらくも何も今朝の喧嘩を未だに引き摺っているからだ。 居間とキッチンを仕切る壁に凭れ掛かりながらご機嫌を伺うように 今...
  • 8-679
    遠足帰り ここに一人の父親がおります。 息子は可愛い盛りの小学2年生。 理由あって母親は不在です。 (注・デリケートな問題なのであまり追求はしないで下さい) 毎晩風呂場にて九九の練習に励む仲のよい父子でありますが、 今日と言う日、一ヶ月も前から息子が大変楽しみにしていた遠足の、 天気も気持ちのいい秋晴れだというのに、父は風邪をこじらせ高熱のため、 朝になっても寝床から起きることができませんでした。 料理自慢の腕を振るってお弁当を作ることも叶わず、 しかし、しっかり者の息子は、早々にお隣に住むおばあちゃんにSOSを出し、 自らのお弁当とさらには父用のお粥まで手配して、身支度も完璧にして、 元気に「いってきます!」と出かけて行ったのでした。 何とか身を起こし、息子を送り出しながら父は 「本当に、できた息子を持ったものだ。誰に似たんだろう?  俺じゃない...
  • 8-689
    接触過多な変態×常識人なツンデレ 爽やかな朝なのに、俺の気分はどんよりと重い。 校門を目前に、嫌な予感は的中する。 「おはよう」 声が聞こえると同時に、頬に生暖かい吐息がかかり背後から伸びてきた腕が体を 拘束する。 「朝からやめんか気色悪い!」 振り払おうと身を捩るも、べったりとまとわりついた体はびくともしない。 首筋に顔を埋めるな、ブレザーのボタンを外すな、息がかかるんだよ、あぁもう だから気色悪いんだっつってんだろ。 「朝から幸せだなぁ」 俺の平穏を犠牲にして幸せを感じるな。 心底嬉しそうなのが、また腹が立つ。 大体この男には、節操というものがない。 ところ構わず絡み付いてくる。 不幸なことに同じクラスなおかげで、休み時間のたびにニヤけた面をしたこいつから逃げなければいけない。 「いい加減離せ。歩けんだろーが」 「無理」 即答するな...
  • 8-609
    「話して、尊いその未来のことを」 握った手は冷たかった。刻一刻と熱が失われてゆくその手を握り締め、俺は号泣していた。 絶望と後悔に胸は裂けそうなほど凍えているのに、頬を伝う涙は焼けるように熱かった。 俺は握り締めた手を自分の頬に押し当てた。 この涙の熱さが、お前にうつればいいのに。 お前の中に流れ込み、消えそうな熱を留めてくれればいいのに。 それが、絶対に不可能なことだと判っていても、願わずにはいられなかった。 「泣か、ないで下さい、マ、スター」 途切れ途切れの声で無理を言う。涙を止めることは出来なかった。 「無理だ…」 「マス、ター。私は、マスター、が生きて、おられるだけで、嬉、しい…のです」 「馬鹿言え…俺は、嬉しくない」 「嬉しい、のです。マ、スター、貴方の、み、らい…守れ…こと。 貴方が、話し…下さった…尊い、ゆめ…」 嗚咽が喉を突き上...
  • 8-659
    立場の変化に伴う人称変化 「……なあ」 「あ?」 「お前の好きな食べ物ってなんだっけ?」 「俺か?好き嫌いはないが……肉料理が好きだな」 「そうか。……あれ?」  煙草に火をつけ、うまそうに吸う正樹を見ていて、俺はあること に気がついた。 「どした、アキラ?」 「お前、前まで自分のこと『僕』って言ってたよな?」  俺と正樹が付き合いだしたのは1年ほど前だ。出会ったのは2年前。 桜が綺麗に咲いていたあの日、正樹はキャンパスでノートを抱えて道 に迷っていた。  女の子のように小さくて細い体、そして整った顔立ちに惹かれて、俺が 道案内をしてやったのが始まりだった。 『先輩、ありがとうございます。僕、昔っから方向音痴で……』  そう言ってはにかんで笑うお前は、とても可愛かったのに……。 「……なんでこんなにごつくなっちまったのかなあ……」 「こ...
  • 8-629
    ちょいワルおやじ/薔薇 「Tさんってちょいワルおやじって感じっすよね」 あぁん?冗談じゃねぇ! 不良中年を自認する俺だが、ちょいワルおやじだぁ? 誰がズローラモだ!一緒にすんな。 「誕生日には薔薇の花束なんかさりげに抱えちゃって。 きっと似合うだろうなぁ。いいっすよねぇ、俺ももらいたいなぁ」 何無邪気に言ってんだか。 だいたい薔薇なんて買ったこともねぇぜ。花を買うのは墓参りと決まってら。 「でもさぁちょいワルって紳士なんでしょ?Tさんの彼女は幸せだなー」 何がでもだ!誰が紳士だ!? はじめて商談をまとめた部下を労う上司のふりで 下心ありありでマンションに誘った俺がか? 「今回だってTさんのアドバイスがなけりゃまとまるもんもまとまらなかったし。ほんと感謝してるんすよー。」 東奔西走するおまえをただほっとけなかっただけさ。 「仕事はで...
  • 18-659
    片思い同盟 空気が乾燥しているのか喉が少し痛い。 誰もいない教室。静まり返った空気に咳払いが響く。 並んで座っている級友が照れ臭そうに笑う。 視線の先は俺じゃない。とても穏やかな眼差しだった。 「望はこれっぽっちも無いけどな」 放課後、いつもの雑談は教室から人がいなくなるにつれ、思わぬ方向に転がった。 彼が長い間、一人の女性に片思いをしていると打ち明けられた瞬間、 俺はどんな顔をしていたのだろう。 どんな顔だって構わない彼の視線の先に俺はいない。 「でも望は無いんだ。兄貴の彼女だし」 そう吐き捨てた彼に、どんな言葉も届かないような気がして 掠れた声で「そうか」と呟くのが精一杯だった。 「お前はいないの?好きな人」 「いるよ」 「誰?」 「言わない」 「そっか」 「お前と同じだよ。完全な片思い」 「そうか、なら振られた時に...
  • 18-639
    顔が唯一のとりえだろ? 「顔なんかなんの意味も持たない。そんなものに誇りをもつなんて馬鹿馬鹿しい」  その瞬間、ロックグラスに入った氷が、がカランと音を立てた。酒をもつ手が僅かに震える。 「その言い方は彼に失礼だろう」  夢野の友人だという相島が窘める。それに構わずアルコールで饒舌になった夢野は続けた。 「どうして? そもそも顔が唯一の取り柄という時点で何か間違っていると思わないか相島?」  恋人が自分の存在を否定するような言葉に耐えられなくて、席を立った。 「今日はもう帰ります」  札を置くと、そのまま店のドアを開けた。相島の焦った声が聞こえたが、これ以上言葉を聞いていると、胸がはりさけそうだった。  言語学者である夢野とモデルの自分とでは、そもそも頭の出来も違うし、人間的な重みも違う。  そもそも20を過ぎた大人が、「王子様のようなさわやかさ」というキ...
  • 28-689
    拘束プレイ 「すみません、これは一体どういう状況なのでしょうか」 目覚めた先輩の第一声はいつも通り冷静だった。いつも通りすぎて涙が出てくる。 「もう少し怯えるとか怒るとか混乱するとかしてくださいよ、盛り上がらないなぁ」 「以降気を付けます。それで、これは一体どういう状況なのでしょうか」 ……全然改善されてない。 「熟睡していたようなので、ちょっとベッドに拘束してみました」 「馬鹿なことを言っていないでほどいてください」 先輩の真似をしてみたが、あっさり流された。 「いやいやいや。というか、これ仕返しなんで」 「仕返し。恨まれるようなことをした覚えはありませんが」 うそつけっ! 「毎度毎度こっちの話も聞かないで好き放題やってくれて! これレイプだよレイプ!」 「大丈夫です。男同士ではただの暴行罪にしかなりません」 「そういう問題じゃないよね!? とにかく、...
  • 28-619
    10年以上の片想い 二度目の高校の同窓会で、懐かしい奴に逢った。 二次会に盛り上がる連中を尻目に抜け出して居酒屋に入る。日本酒をちびちびと飲みながら話を聞いた。 あの先生まだ生きてたんだな、二組のあいつ結婚してたんだな、○○は老けたよな、親御さんは元気か… 「しかしもう三十手前か…早いねぇ」 二杯を空にした辺りでどちらからともなく溜息を吐く。 「でも皆元気みたいで安心したわ」 その笑顔と言葉に、泣きたくなった。 変わっていない、“変われない”俺の親友。 今でも忘れられない二年の夏。あの日からこいつの時は止まったままだ。 「部屋、来いよ」 アパートへの道をゆるゆる歩きながら考える。傍には親友がゆらゆら漂っている。 果たして、俺はこいつに言えるだろうか。 あの時からずっと胸に押し込んでいた想いを。あの時言えなかった言葉の続きを。 果たして、俺は聞けるだ...
  • 18-609
    グーチョキパーの三角関係 「あんたは彼に抱きしめられるばっかり。あたしなんか、いっつも彼を傷つけるだけで、嫌われていくだけよ。 あんたみたいに、一度でいいからあの手に包まれてみたいわあ」 すらりとした長く美しい二本の指はたばこを挟んで遊んでいた。 「ねえ、彼はどんな風にあんたを包むの?やっぱりふんわり優しい感じ? はあ・・・、いいわよねえ、優しい男。はたから見てても、あんたのこと好きなんだなあってわかるものね。 あー、想像だけでどきどきしちゃう」 普段はつんと澄まして偉そうにしているくせに、俺の前ではいやに饒舌になる。 あいつの前では、なよなよしたこんな女言葉では絶対に話さない。 まっすぐに、ぎらりと鋏のような鋭い目で威嚇して、有無を言わせず、あいつをこてんぱんに打ち負かしている。 「あたしみたいに切り刻むんじゃなくて、包み込める彼は私の憧れなのよねえ」 「あ...
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