子供たちの歌は終わらない7

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「っ痛て!」 バインダーの角で頭を思いきり叩かれて僕はその場に悶絶する。 目の前に父さんや綾波の姿が見えて、これは走馬燈か?と思えた。 ああ、僕はこれで死ぬのかな?でも死ぬのも悪くないかもな…。 「シンジ君!」  目の前が明るくなってきて、僕はこちら側に戻ってきた。 見上げると血管を浮き上がらせて眉をひきつらせたミサトさんが…。 「だ・か・ら・私の話を聞いていたのかしら?」 語尾に明らかに殺意が含まれている。どうしよう、まるで聞いていなかった。 「ご、ごめんなさい…」 ミサトさんは何も答えずに、僕をはたいたバインダーを投げてよこした。 そこには「エヴァ初号機追跡観測所新設における現地説明会@第2新東京市」 とミサトさんの字で書かれていた。 「一週間、ホテルに缶詰めにされてきなさい♪」 ミサトさんはまだ怒っている。  エヴァ初号機は、地球を飛び出した後、長期周回軌道に乗り、 地球の周りを回る「衛星」になった。 半年以上かけて地球を一周する。 今のネルフの仕事の一番大きなものは、この初号機の監視と管理だ。 リツコさんあたりは、僕に初号機と交信させて なんとか地球に戻す計画を立てているみたいだけど。 多分、この新しい観測所もその計画の一環なんだろう。 とりあえず、僕は第2新東京市に出張に行く、ということになった。 …これは、僕にとって何を意味するんだろう? その夜。 その夜に起きた事を僕は多分一生忘れないだろう。 奇跡が多分、起きたんだから。 ここは、どこ? 自分で夢を見ていることに気づくのに、随分と時間がかかった。 僕は、真っ暗な部屋の中で、独りで膝を抱えて座っていた。 目を開けても閉じても脳には何も認識されない。真の暗闇。 だけど、誰かがいるのがわかった。 そして、その人が近づいてくることも。 不思議と怖くなかった。 なんだろう、この感覚。 ネルフが戦自に襲撃された時に階段の下で縮こまって隠れていたことを思い出す。 あの時とはまた違う感覚。孤独なんだけど、何か暖かい。 匂いとも言ったらいいのだろうか。 ふと、誰かの手が僕の頬に触れた。 その手は柔らかく、しなやかで、暗闇にも関わらず、 僕にはその手が白くて艶やかな爪を持っていることが分かった。 その手は頬に触れ、唇をかすめ、首から鎖骨のあたりまできて、止まった。 と、同時にもう片方の手が背後から伸びてくる。 抱き留められた。 そのまま、その人の体重が自分の背中にかかってくるのを感じた。 はっきりと、感じた。夢なのに。 そして、その次の瞬間、僕は誰かを抱きしめている自分に気づいた。 僕がさっきまで抱き留められていたのと同じ格好で。 あれは、僕?いや、違う。 「…アスカ?」

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