※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

この藩国には犬族と人族が仲良く通う学園(幼稚園から大学院まで)がある。
国から多額の予算が投入され、誰でも気軽に通える学園である。
当然この国で暮らす戦災孤児たちも例外なく、お金の心配をせずノビノビと過ごしている。



そしてそこには多くの学生犬士が通っている。
「路屋 かの子」もその一人である。
教師のだみ声が響きわたるそんな放課後のことである。


「路屋、ちゃんと勉強してるか?。」
「ちゃんと頑張りましたよ♪」胸を張る
「ほら見てください。前回より5点も高い。」誇らしげである。尻尾もふりふり可愛く揺れている。
「そんな点数でどうするんだ。先生は心配だぞ。
お前の夢はバトルメイドだったよな?」
「ギクッ」
「知能も知識も抜群のあのバトルメイドだったよな?」
「ギクギクッ」
「路屋?」
「ガンバリマス・・・・それではお先に失礼します!!」



かの子はくるっと後ろを向くと急加速。
あっという間に走っていった。

かの子の心は早く帰ることに集中している。
階段をトップスピードのまま駆け下り
踊り場は手すりを使った強引なターンで駆け抜け。あっという間に昇降口へ。
流れるように靴を履き替え学校の外へ向かって飛び出した。


夕焼け時、鼻の効く犬士にとって家路は空腹との戦いであった。
(この家はカレー、あ、秋刀魚焼いてる。こっちは餃子のにおい♪ココはトン汁だね。)
きゅうるぅぅ~~
少し顔を赤く染め、孤児院へのラストスパートをかける。
そして到着。

家に入る前に深呼吸。
服の乱れをチェックして、気合を入れなおした後には
「学生」の顔ではなく「お姉ちゃん」の顔になっていた。



「ただいま」
「はい、おかえり」



まかないをしてくれている朱鷺さんに挨拶をして、
しっかりとした足取りで自分の部屋へ。
そこで待っているのは大切な弟の雄太。戦争で家を失ったかの子の唯一の肉親である。



姉の姿を見て笑顔になる雄太。
そしてそれを見て決意を新たにするかの子



(私はこの孤児院で大事に育ててもらって、学校まで通わせてもらっている。
 この恩はいつか他の誰かに返せといわれているけど・・・今確かにいえるのは
 この雄太の笑顔を守るのはこの私なんだ。まずは雄太の笑顔だけでも守れるようになってやる!)




この国の学生は、犬族も人族も孤児が多い。
国主導で大規模に孤児院を運営し、
多くの戦災孤児たちを引き取っているからである。



彼らは幸運である。
親と生き別れたことを不幸と言うならば
その倍も三倍も幸せになれるよう手厚い加護が与えられる。



しかし彼らはその加護に甘えていない。
一度は死の寸前まで追い詰められたようなものたちも多く、
またそんな不幸がテラ全土に広がっていることを嘆いている。



国全体に見守られつつ志高く学び続けている者たち。
それがこの愛鳴藩国の学生犬士たちである。

(文章:くぎゃ~と鳴く犬)
最終更新:2007年01月30日 22:44