「第321話~第330話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

第321話~第330話」(2010/02/03 (水) 10:51:21) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

431 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/16(土) 23:31:23.09 0 &color(blue){>>430 } 第321回 「ごめんって、謝るのはこっち。好きなんでしょ?熊井さんのこと。 ケンカさせちゃったよね、ごめん。あたしのせいで」 「・・・・・・・」 愛理は何も言わず、首を横に振った。 ポタポタと流れる涙は愛理の手を濡らしてく。 「でも、かばって・・・?くれてありがと、嬉しかった。だけど、やっぱり・・・」 「私は・・・私は・・・・!ズズッ・・・・・ただ、村上さんは優しいから、だから、・・・」 「なに?」 「・・・ケンカのことも、きっとなにか事情でもあるんじゃないかって・・・・」 「ないよ。そんなのない。」 「でも!」 「ほんとにない。ただ、人を殴りたくなっただけ。」 「・・・・めぐ、それは」 「みやは黙ってて。・・・私って入学したときから問題児なんだよ。 優しいって感じるだけ、ほんとはそんなことない。ほんとのあたしを知らないだけ。 …だから、仲直りしておいで。・・・あたしはもう愛理ちゃんには会わないから」 めぐはそんなやつじゃない。それは違うって愛理に言いたかった。 でも、黙っててとか言われたら黙るしかないし・・・。 なんだか胸が苦しいよ、めぐ・・・。 432 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/16(土) 23:34:55.09 0 &color(blue){>>431 } 第322回 愛理は黙ったまま、目を真っ赤にしたまま、お弁当を片付けて立ち上がった。 「愛理?」 「・・・・」 うちの問いかけにも答えず、愛理は屋上を出て行った。うちは思わず大きなため息をついてしまった。 「・・・・なんであんなこと?」 「だって、可哀相じゃん」 「誰が?」 「んー・・・・どっちも」 「でも」 「あたしが会わなきゃいいんでしょ?それで収まるならそれでいいじゃん。 ヒールには慣れてるから。別になんてことないよ。ちょっと寂しいけどさ。」 めぐはそう言って空を見上げた。・・・なんでかなぁ、うちが泣きそうだ・・・。 「みやがなんで悲しそうな顔なの」 「・・・・・だって・・・」 「もう、みや変わりすぎ」 「え?」 「あたしのことにあんまり興味ないとか言ってたくせに」 「そ、そうだっけ?」 「そうだよ。何でそんな変わったの?」 「・・・・さぁ、でも、愛理のおかげかなぁ」 「え、愛理ちゃん?」 「たぶん、たぶんだけどね」 「ふーん・・・・・ま、今度じっくり聞かせてもらう、その話」 「気が向いたらね」 なんて言い合って、お昼休みは過ぎていく・・・。 597 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/25(月) 00:11:12.07 0 &color(blue){>>432 } 第323回 「すぐ怒るの、よくないよ?」 「・・・・・・・うるさい」 「まったくもう。愛理が可哀相」 「・・・うちだって可哀相じゃん」 「そうかなぁ。くまいちょーは確かに誤解してるんだよ。めぐちゃんのこと知らないから」 「だけど、だけどさ、・・・愛理は知ってるの?」 「うーん、それはわからないけど・・・」 部室にくまいちょーを引っ張ってきて、気持ちを鎮めさせなきゃ。 この二人、確か舞美が転校してたときもなんか揉めてなかったっけ・・・。 愛理に気が多いのかな、いや、くまいちょーが心配しすぎなのか。 「やっぱり村上にいいイメージはないよ・・・よく廊下で先生と言い合いしてるのとか 屋上でサボってるのとか・・・いっぱい知ってるし、あの事件だって」 「あの事件もさ、くまいちょーはウワサとかいろいろ聞いただけでしょ?」 「・・・うん」 「でも、実際何があったかは本人にしかわからないんだよ。」 「じゃあももちは真相を知ってるの?」 「・・・・さぁ、わかんない」 「なにそれ・・・」 愛理は、めぐちゃんの何に惹かれているのかな? 大好きなはずのくまいちょーとケンカしてまで・・・・わかんないなぁ。 でも、怒っちゃったとこはちょっと可愛かったな。愛理って怒らない子だし。 598 :&color(green){&bold{名無し募集中。。。}}:2010/01/25(月) 00:12:07.26 0 &color(blue){>>597 } 第324回 「ま、とにかく冷静になってよ?くまいちょー、愛理のこと好きでしょ?」 「・・・・わかんない」 「なにそれ?」 「ももちのマネ」 「好きじゃないの?」 「好きだよ・・・好きだから困ってるんだってば・・・」 くまいちょーは腕を組んで、イスにふんぞり返っている。 天井なんか見つめちゃったりしてさ。 「・・・はぁ。なんかもう、難しい・・・」 小さく呟いた後、くまいちょーは目を閉じてしまった。 ももはそれ以上何も言わず、隣でじっとお昼休みが終わるのを待っていた。 ◆ 「・・・グスッ」 だめ、涙が全然止まらない。お昼休みの、人ごみの中を駆け抜けていく。 どこへ行こう?誰もいないところ・・・どこか、空いている教室・・・・ を探して私は走っていた。 「あれ、愛理?」   よく知った声に、呼び止められるまでは。 「・・・舞美ちゃん、グズ」 「え、ちょ、なんで泣いて・・・」 「舞美ちゃぁん・・・!!」 舞美ちゃんの困惑も戸惑いもその表情から十分すぎるくらい伝わっていたけど でも、私はそれを無視して舞美ちゃんの胸に飛び込んだ。 599 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/25(月) 00:13:36.76 0 &color(blue){>>598 } 第325回 「あ、愛理?どうしたの?」 優しく、ゆっくり、背中を撫でてくれる。ほっとするような、そんな心地。 「・・・・・・・」 「そっかそっか、うん、泣いていいよ。その前に、こっち」 ぐっと引っ張られてどこかの教室へ入った。人がいない、静かな場所。 「我慢しなくていいよ、愛理」 舞美ちゃんの優しい声が胸を打つ。 先輩とケンカして、村上さんにもう会わないって言われて とても辛かった。上手く言葉にできないんだけど、でも、辛かった。 それが癒されていくような、・・・・不思議な感覚。 舞美ちゃんってすごい・・・。 ◆ 「ところでさ、みや、1年生・・・で『ゆうか』って名前の子、知らない?」 「え?ゆうか?・・・・えーっと・・・?」 ゆうか、ゆうか・・・・あぁ! 「知ってるよ。前田憂佳ちゃん、文芸部の1年生」 「・・・・え、文芸部なんだ?」 「そうだけど、なんで?めぐの知り合い?」 「いや・・・なんでもない」 「そう?ならいいけど・・・・」 めぐのこの問いかけをもう少し深く考えてもよかったのかもしれない。 でもこのとき、うちは何にも気付くことはできず・・・。 666 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 00:11:33.41 0 第326回 「愛理?平気?」 「・・・うん」 舞美ちゃんのやさしい顔が目の前にある。・・・相変わらずの美人だ。 涙はゆっくりと止まって、心は落ち着いていく。 「・・・目の前で泣かれちゃうと、その、」 「え、なに?ズズッ」 「ま、また、その好き・・・・になっちゃうなって」 ・・・舞美ちゃんの顔がちょっと赤い。 そうだ、すっかり忘れてた。この人は私に会うためにワザワザ転校してきた人なんだった。 「ご、ごめん・・・・」 「謝らないでよ・・・別にいいよ」 でも最近はずっと梅田先輩と一緒だから私のことは・・・って思ってたんだけどな。 「あのさ、別に・・・・聞かないから」 「うん・・・」 「でも、聞いて欲しかったら話していいよ。そのときは何でも聞く」 「ありがとう・・・優しいね、舞美ちゃん」 「まぁ、それが取り柄みたいなもんだから・・・え、えへへ」 ニコっと笑う舞美ちゃんは美人だけどでも、もっともっと可愛くて。 お姉さんなのにそんな気があんまりしなくて、・・・。 結局、私と舞美ちゃんはお昼休みの次の時間の授業をサボった。 目が真っ赤だし、教室に帰りたくないというのも理由の1つだけど 私はずっと舞美ちゃんに先輩とのこと、村上さんのことを話していた。 舞美ちゃんは嫌な顔一つせずに話を聞いてくれる。 比べると・・・・友理奈先輩は子どもっぽい・・・・そんな風にさえ思ってしまうのだった。 667 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 00:12:14.05 0 第327回 「あれ、今帰り?」 図書室で勉強をしていて帰りが遅くなって、もう太陽は沈み始めた頃 下足室で嗣永に出会った。 別に話しかけてくれなくてもいいのに、おっせかいにも、声をかけれてしまって。 「そうだけど?」 「つれないなぁ。一緒に帰ろ?」 「いや」 「えぇーいいじゃん」 「・・・・勝手にすれば」 結局突っぱねられなくて、嗣永は私の少し後ろをトコトコと付いて来る。 ・・・か、可愛いなんて思ってないんだからね!? 「ねぇねぇ、会長さんテストはやっぱり余裕なの?」 「まぁ、・・・でも、努力は怠らない」 「ふーん、マジメ」 「・・・あのさ」 「んー?なにー?あ、たこ焼きでも食べて帰る?」 「いや、いらないけど。・・・村上のことなんだけど」 「めぐちゃん?」 「あんたのとこの1年生と一緒に歩いてるの見たんだけど」 「え?1年生?愛理かな?でも、違うと思う・・・」 「鈴木愛理じゃなくて、なんだっけ、嗣永にちょっと似てる子」 「あ、前田ちゃんかな?」 「名前は知らないけど、・・・・問題とか揉め事だけは起こさないでって伝えといて」 「めぐちゃんはそんなことしないよ」 「あいにく、私には村上に対してあんたみたいな信頼感はゼロなんで」 「冷たーい・・・まぁ、わかった」 668 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 00:13:02.73 0 第328回 なんでこんなに普通に喋っているんだろう。 1年以上ずっと目も会わせて来なかったのに。 ・・・・調子狂うなぁ。 でも、それも悪くないと思い始めてる自分が怖い。 つい昨日勉強に専念するって決めたはずなのに。 なのにそれが揺らいでいくのがわかる。 なんでこんなに意識しなくちゃいけないんだ。 ・・・ねぇ、茉麻、・・・私ってこいつのこと・・・・すき・・・なわけないか。 ブンブンと頭を振って振り払う。・・・・はぁ。 でも、結局、 「おいひーれしょ?」 「・・・なに言ってるかわかんない」 アツアツのたこ焼きを口いっぱいに入れてまともに喋れていない嗣永が目の前にいる。 私の手にはたこ焼き。 ・・・・どうしてこうなった・・・・。 691 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 22:32:28.15 0 第329回 放課後、教室に残って熊井ちゃんと2人で勉強。 でも、熊井ちゃんはお昼のことを引きずっているのか、手が動いていない。 なんだかとっても落ち込んでいるみたい。 愛理ちゃんが自分に反抗したこと、あの問題児を選んだこと、もも先輩に説教されたこと まぁいろいろ折り重なって、ずっとこうして上の空。 ・・・・チャンスって一瞬思うけど、でも、そんなのフェアじゃない。うれしくない。 「メソメソしすぎだって、熊井ちゃん」 「・・・だってさぁ、茉麻」 「もう、手を動かさなきゃダメじゃん。来週テストだよ?」 「うん・・・」 「まぁ、熊井ちゃんは勉強なんてしなくても平気なのかもしれないけど」 「そ、そんなことないよ・・・今回文芸部のこともあったし、やばいかなぁって・・・」 「じゃあ、勉強しようよ」 「うん・・・」 「はぁ・・・もう」 こりゃダメだ。 うん、しばらく放っておこう。私だって勧誘やらなんやらで勉強してなかったし、 今回のテストで成績落ちたら親に怒られる・・・。 「・・・・・・・・茉麻、愛理・・・怒ってるかな?」 「いや、むしろ熊井ちゃんが怒ってんじゃないの ?」 「・・・まぁ、怒ってる、けど・・・」 「あぁ、もう。勉強しないなら黙るか帰るかしてよ」 「ご、ごめん・・・・勉強する・・・」 と、シャーペンを手にしたはいいけれど・・・結局手を動かす気配はない。 ・・・ダメだダメ。集中しなきゃ・・・・。 692 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 22:33:23.98 0 第330回 結局、熊井ちゃんは勉強をほとんどすることなく、ずっとぼーっとしてた。 私はまぁ、少しは出来たけど気になってそれどころではなくて。 ・・・あぁ、やっぱり好きなんだなぁ、なんて再確認しちゃって。 「ほんとごめん・・・」 と謝られて、許さないとは言えなかった。 ◆ 「・・・・・・よっ。久しぶり」 聞き覚えのある声。最近謹慎から戻ってきた人。みんなの恐れる人。 ・・・でも、本当はそんな人じゃない人。私の、・・・・好きな人。 放課後、カバンを持って教室を出て部室へ向かう途中、その人は現れた。 軽い雰囲気も優しい笑顔もクールな目も、・・・すべてが懐かしい。 紛れもなく、それは村上さんで。 ・・・あんなウワサも、本人を目の前にすれば霞んでいくほどの存在感。 いやまぁ、・・・あれはある意味では事実で、お姉ちゃんたちは血だらけだったわけだけど・・・
431 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/16(土) 23:31:23.09 0 &color(blue){>>430 } 第321回 「ごめんって、謝るのはこっち。好きなんでしょ?熊井さんのこと。 ケンカさせちゃったよね、ごめん。あたしのせいで」 「・・・・・・・」 愛理は何も言わず、首を横に振った。 ポタポタと流れる涙は愛理の手を濡らしてく。 「でも、かばって・・・?くれてありがと、嬉しかった。だけど、やっぱり・・・」 「私は・・・私は・・・・!ズズッ・・・・・ただ、村上さんは優しいから、だから、・・・」 「なに?」 「・・・ケンカのことも、きっとなにか事情でもあるんじゃないかって・・・・」 「ないよ。そんなのない。」 「でも!」 「ほんとにない。ただ、人を殴りたくなっただけ。」 「・・・・めぐ、それは」 「みやは黙ってて。・・・私って入学したときから問題児なんだよ。 優しいって感じるだけ、ほんとはそんなことない。ほんとのあたしを知らないだけ。 …だから、仲直りしておいで。・・・あたしはもう愛理ちゃんには会わないから」 めぐはそんなやつじゃない。それは違うって愛理に言いたかった。 でも、黙っててとか言われたら黙るしかないし・・・。 なんだか胸が苦しいよ、めぐ・・・。 432 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/16(土) 23:34:55.09 0 &color(blue){>>431 } 第322回 愛理は黙ったまま、目を真っ赤にしたまま、お弁当を片付けて立ち上がった。 「愛理?」 「・・・・」 うちの問いかけにも答えず、愛理は屋上を出て行った。うちは思わず大きなため息をついてしまった。 「・・・・なんであんなこと?」 「だって、可哀相じゃん」 「誰が?」 「んー・・・・どっちも」 「でも」 「あたしが会わなきゃいいんでしょ?それで収まるならそれでいいじゃん。 ヒールには慣れてるから。別になんてことないよ。ちょっと寂しいけどさ。」 めぐはそう言って空を見上げた。・・・なんでかなぁ、うちが泣きそうだ・・・。 「みやがなんで悲しそうな顔なの」 「・・・・・だって・・・」 「もう、みや変わりすぎ」 「え?」 「あたしのことにあんまり興味ないとか言ってたくせに」 「そ、そうだっけ?」 「そうだよ。何でそんな変わったの?」 「・・・・さぁ、でも、愛理のおかげかなぁ」 「え、愛理ちゃん?」 「たぶん、たぶんだけどね」 「ふーん・・・・・ま、今度じっくり聞かせてもらう、その話」 「気が向いたらね」 なんて言い合って、お昼休みは過ぎていく・・・。 597 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/25(月) 00:11:12.07 0 &color(blue){>>432 } 第323回 「すぐ怒るの、よくないよ?」 「・・・・・・・うるさい」 「まったくもう。愛理が可哀相」 「・・・うちだって可哀相じゃん」 「そうかなぁ。くまいちょーは確かに誤解してるんだよ。めぐちゃんのこと知らないから」 「だけど、だけどさ、・・・愛理は知ってるの?」 「うーん、それはわからないけど・・・」 部室にくまいちょーを引っ張ってきて、気持ちを鎮めさせなきゃ。 この二人、確か舞美が転校してたときもなんか揉めてなかったっけ・・・。 愛理に気が多いのかな、いや、くまいちょーが心配しすぎなのか。 「やっぱり村上にいいイメージはないよ・・・よく廊下で先生と言い合いしてるのとか 屋上でサボってるのとか・・・いっぱい知ってるし、あの事件だって」 「あの事件もさ、くまいちょーはウワサとかいろいろ聞いただけでしょ?」 「・・・うん」 「でも、実際何があったかは本人にしかわからないんだよ。」 「じゃあももちは真相を知ってるの?」 「・・・・さぁ、わかんない」 「なにそれ・・・」 愛理は、めぐちゃんの何に惹かれているのかな? 大好きなはずのくまいちょーとケンカしてまで・・・・わかんないなぁ。 でも、怒っちゃったとこはちょっと可愛かったな。愛理って怒らない子だし。 598 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/25(月) 00:12:07.26 0 &color(blue){>>597 } 第324回 「ま、とにかく冷静になってよ?くまいちょー、愛理のこと好きでしょ?」 「・・・・わかんない」 「なにそれ?」 「ももちのマネ」 「好きじゃないの?」 「好きだよ・・・好きだから困ってるんだってば・・・」 くまいちょーは腕を組んで、イスにふんぞり返っている。 天井なんか見つめちゃったりしてさ。 「・・・はぁ。なんかもう、難しい・・・」 小さく呟いた後、くまいちょーは目を閉じてしまった。 ももはそれ以上何も言わず、隣でじっとお昼休みが終わるのを待っていた。 ◆ 「・・・グスッ」 だめ、涙が全然止まらない。お昼休みの、人ごみの中を駆け抜けていく。 どこへ行こう?誰もいないところ・・・どこか、空いている教室・・・・ を探して私は走っていた。 「あれ、愛理?」   よく知った声に、呼び止められるまでは。 「・・・舞美ちゃん、グズ」 「え、ちょ、なんで泣いて・・・」 「舞美ちゃぁん・・・!!」 舞美ちゃんの困惑も戸惑いもその表情から十分すぎるくらい伝わっていたけど でも、私はそれを無視して舞美ちゃんの胸に飛び込んだ。 599 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/25(月) 00:13:36.76 0 &color(blue){>>598 } 第325回 「あ、愛理?どうしたの?」 優しく、ゆっくり、背中を撫でてくれる。ほっとするような、そんな心地。 「・・・・・・・」 「そっかそっか、うん、泣いていいよ。その前に、こっち」 ぐっと引っ張られてどこかの教室へ入った。人がいない、静かな場所。 「我慢しなくていいよ、愛理」 舞美ちゃんの優しい声が胸を打つ。 先輩とケンカして、村上さんにもう会わないって言われて とても辛かった。上手く言葉にできないんだけど、でも、辛かった。 それが癒されていくような、・・・・不思議な感覚。 舞美ちゃんってすごい・・・。 ◆ 「ところでさ、みや、1年生・・・で『ゆうか』って名前の子、知らない?」 「え?ゆうか?・・・・えーっと・・・?」 ゆうか、ゆうか・・・・あぁ! 「知ってるよ。前田憂佳ちゃん、文芸部の1年生」 「・・・・え、文芸部なんだ?」 「そうだけど、なんで?めぐの知り合い?」 「いや・・・なんでもない」 「そう?ならいいけど・・・・」 めぐのこの問いかけをもう少し深く考えてもよかったのかもしれない。 でもこのとき、うちは何にも気付くことはできず・・・。 666 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 00:11:33.41 0 第326回 「愛理?平気?」 「・・・うん」 舞美ちゃんのやさしい顔が目の前にある。・・・相変わらずの美人だ。 涙はゆっくりと止まって、心は落ち着いていく。 「・・・目の前で泣かれちゃうと、その、」 「え、なに?ズズッ」 「ま、また、その好き・・・・になっちゃうなって」 ・・・舞美ちゃんの顔がちょっと赤い。 そうだ、すっかり忘れてた。この人は私に会うためにワザワザ転校してきた人なんだった。 「ご、ごめん・・・・」 「謝らないでよ・・・別にいいよ」 でも最近はずっと梅田先輩と一緒だから私のことは・・・って思ってたんだけどな。 「あのさ、別に・・・・聞かないから」 「うん・・・」 「でも、聞いて欲しかったら話していいよ。そのときは何でも聞く」 「ありがとう・・・優しいね、舞美ちゃん」 「まぁ、それが取り柄みたいなもんだから・・・え、えへへ」 ニコっと笑う舞美ちゃんは美人だけどでも、もっともっと可愛くて。 お姉さんなのにそんな気があんまりしなくて、・・・。 結局、私と舞美ちゃんはお昼休みの次の時間の授業をサボった。 目が真っ赤だし、教室に帰りたくないというのも理由の1つだけど 私はずっと舞美ちゃんに先輩とのこと、村上さんのことを話していた。 舞美ちゃんは嫌な顔一つせずに話を聞いてくれる。 比べると・・・・友理奈先輩は子どもっぽい・・・・そんな風にさえ思ってしまうのだった。 667 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 00:12:14.05 0 第327回 「あれ、今帰り?」 図書室で勉強をしていて帰りが遅くなって、もう太陽は沈み始めた頃 下足室で嗣永に出会った。 別に話しかけてくれなくてもいいのに、おっせかいにも、声をかけれてしまって。 「そうだけど?」 「つれないなぁ。一緒に帰ろ?」 「いや」 「えぇーいいじゃん」 「・・・・勝手にすれば」 結局突っぱねられなくて、嗣永は私の少し後ろをトコトコと付いて来る。 ・・・か、可愛いなんて思ってないんだからね!? 「ねぇねぇ、会長さんテストはやっぱり余裕なの?」 「まぁ、・・・でも、努力は怠らない」 「ふーん、マジメ」 「・・・あのさ」 「んー?なにー?あ、たこ焼きでも食べて帰る?」 「いや、いらないけど。・・・村上のことなんだけど」 「めぐちゃん?」 「あんたのとこの1年生と一緒に歩いてるの見たんだけど」 「え?1年生?愛理かな?でも、違うと思う・・・」 「鈴木愛理じゃなくて、なんだっけ、嗣永にちょっと似てる子」 「あ、前田ちゃんかな?」 「名前は知らないけど、・・・・問題とか揉め事だけは起こさないでって伝えといて」 「めぐちゃんはそんなことしないよ」 「あいにく、私には村上に対してあんたみたいな信頼感はゼロなんで」 「冷たーい・・・まぁ、わかった」 668 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 00:13:02.73 0 第328回 なんでこんなに普通に喋っているんだろう。 1年以上ずっと目も会わせて来なかったのに。 ・・・・調子狂うなぁ。 でも、それも悪くないと思い始めてる自分が怖い。 つい昨日勉強に専念するって決めたはずなのに。 なのにそれが揺らいでいくのがわかる。 なんでこんなに意識しなくちゃいけないんだ。 ・・・ねぇ、茉麻、・・・私ってこいつのこと・・・・すき・・・なわけないか。 ブンブンと頭を振って振り払う。・・・・はぁ。 でも、結局、 「おいひーれしょ?」 「・・・なに言ってるかわかんない」 アツアツのたこ焼きを口いっぱいに入れてまともに喋れていない嗣永が目の前にいる。 私の手にはたこ焼き。 ・・・・どうしてこうなった・・・・。 691 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 22:32:28.15 0 第329回 放課後、教室に残って熊井ちゃんと2人で勉強。 でも、熊井ちゃんはお昼のことを引きずっているのか、手が動いていない。 なんだかとっても落ち込んでいるみたい。 愛理ちゃんが自分に反抗したこと、あの問題児を選んだこと、もも先輩に説教されたこと まぁいろいろ折り重なって、ずっとこうして上の空。 ・・・・チャンスって一瞬思うけど、でも、そんなのフェアじゃない。うれしくない。 「メソメソしすぎだって、熊井ちゃん」 「・・・だってさぁ、茉麻」 「もう、手を動かさなきゃダメじゃん。来週テストだよ?」 「うん・・・」 「まぁ、熊井ちゃんは勉強なんてしなくても平気なのかもしれないけど」 「そ、そんなことないよ・・・今回文芸部のこともあったし、やばいかなぁって・・・」 「じゃあ、勉強しようよ」 「うん・・・」 「はぁ・・・もう」 こりゃダメだ。 うん、しばらく放っておこう。私だって勧誘やらなんやらで勉強してなかったし、 今回のテストで成績落ちたら親に怒られる・・・。 「・・・・・・・・茉麻、愛理・・・怒ってるかな?」 「いや、むしろ熊井ちゃんが怒ってんじゃないの ?」 「・・・まぁ、怒ってる、けど・・・」 「あぁ、もう。勉強しないなら黙るか帰るかしてよ」 「ご、ごめん・・・・勉強する・・・」 と、シャーペンを手にしたはいいけれど・・・結局手を動かす気配はない。 ・・・ダメだダメ。集中しなきゃ・・・・。 692 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2010/01/28(木) 22:33:23.98 0 第330回 結局、熊井ちゃんは勉強をほとんどすることなく、ずっとぼーっとしてた。 私はまぁ、少しは出来たけど気になってそれどころではなくて。 ・・・あぁ、やっぱり好きなんだなぁ、なんて再確認しちゃって。 「ほんとごめん・・・」 と謝られて、許さないとは言えなかった。 ◆ 「・・・・・・よっ。久しぶり」 聞き覚えのある声。最近謹慎から戻ってきた人。みんなの恐れる人。 ・・・でも、本当はそんな人じゃない人。私の、・・・・好きな人。 放課後、カバンを持って教室を出て部室へ向かう途中、その人は現れた。 軽い雰囲気も優しい笑顔もクールな目も、・・・すべてが懐かしい。 紛れもなく、それは村上さんで。 ・・・あんなウワサも、本人を目の前にすれば霞んでいくほどの存在感。 いやまぁ、・・・あれはある意味では事実で、お姉ちゃんたちは血だらけだったわけだけど・・・

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー