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投票トーク運営の秘密 〜受け継がれるサイトの裏側〜
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aishosetsu
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ここは東雲(しののめ)中学校のパソコン室。放課後のこの時間、部活動のために数人の生徒が集まっていた。彼らが所属しているのは「ウェブデザイン部」――といっても、その活動の中心は、たったひとつのサイトの運営にほぼすべての時間を費やしている。
そのサイトの名は「投票トーク」。
今から遡ること10年前、当時の3年生たちが「中学生向けの交流サイトをつくる」という課題で立ち上げたのが始まりだった。当初は、好きなアニメや芸能人の人気投票を行うシンプルなサイトだったが、その使いやすさと気軽さから利用者が少しずつ増えていった。
「これ、続けたら面白いんじゃない?」
「せっかくだし、後輩にも引き継ごうよ」
そんなノリで、投票トークは代々部活の伝統として引き継がれ、毎年、部員たちは「運営のバトン」を受け取ってきた。現在のウェブデザイン部は、1年生2人、2年生3人、3年生3人の計8人。パソコン室のすみにあるホワイトボードには、今月の運営スケジュールと、新しい投票テーマ案がぎっしりと書き込まれている。
「えーっと、今週のアクセス数は……あっ、またちょっと増えてる」
2年の紗季(さき)が画面を見ながら声を上げる。
「最近、呟き機能が受けてるみたいだね。DMも使われ始めてるし、SNSっぽくなってきたな」
3年の陽太(ようた)が頷いた。
「でもさ…最近、コメント欄の下ネタちょっと多くない?」
1年の美羽(みう)が困った顔でつぶやいた。
「うん、見てると微妙な気分になるやつもあるよね」
紗季も眉をひそめる。
「顧問の先生に相談してみる?」と、美羽が言った。
「いや、いいよ。先生もサイトの存在は知ってるけど、中身までは細かく見てないし」
陽太はあっけらかんと答える。
「放っておくとそのうち炎上とかしない?」
「まあ、あんまりひどかったらこっちで消すし」
3年の優衣(ゆい)が冷静に言いながら、問題のある投稿をいくつかチェックし始めた。
「でもこれって、学校の部活でやってるってバレたら問題になりそうだよね」
「そのときはそのときで、対応するしかないでしょ」
陽太は肩をすくめた。
「てか、いっそもっとSNSっぽくして、“投トークSNS”とかに名前変えるのもありじゃない?」
1年の海翔(かいと)が目を輝かせる。
「やめとけって、調子に乗ると変なとこから目をつけられるから」
紗季が笑いながらたしなめる。
そんなふうにして、「投票トーク」は今日も中学生たちの手によって、ひっそりと、だけど確かに運営されている。
パソコン室の窓の外には、夕焼けが静かに広がっていた――。