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痴漢×古泉 - (2007/09/13 (木) 18:32:40) の1つ前との変更点

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<p align="left">だが、声をあげる前に、その人が俺の腕を掴んだ。<br> 耳元に顔を寄せられたかと思うと、かろうじて聞き取れるほどの小さな声で<br> 「どうか、何も、言わないでください」と言われた。<br> 騒ぎを、起こしたくないんです。うわずった声でそう囁かれる。<br> 男にケツをまさぐられておいて、何をのんきなこと言ってんだこの人は。眉を下げて、今にも泣き出しそうなくせに。俺は呆れてその顔を見返した。<br> 潤んだ目と視線が合って、ふいに、押しつけられた身体の熱さが今更ながら気になった。<br> まだ俺の腕を掴んだままの手は湿っており、そこからじりじりと緊張が伝わる。<br> 後ろの男の腕はしつこく動きを繰り返し、そのうちに、その人の身体を断続的に揺さぶってくるようになった。<br> 俺に密着している胸がそれに合わせてせわしなく動く。白くなるほど噛みしめられている唇が、<br> 時折開いては熱い息を漏らし、俺の頬を熱くした。<br> 調子に乗るんじゃねーぞ、と腹が立った俺は再び抗議しようとしたが、またもその人に腕を引かれて止められた。なんなんだ、もう。始終ひっつかれている俺の身にもなってほしい。こっちまで妙な気分になりはじめているから困ってるんだ。<br> 今やその人の顔は真っ赤になっていた。鼻筋にうっすらと汗が浮かんでいるのが近くで見える。<br> 舐めてみたい、というよこしまな考えが頭をよぎった途端、自分の下半身まで不穏な動きをしそうになって俺は大いに焦った。くそ、なんで俺までこんな目に。<br> 忌々しく男の方を睨むと、そいつの腕が動きを早めたのが見えた。と思うやいなや、俺の足下にどさっと何かが落ちた。<br> それはあの人のカバンだった。もう持っている余裕もなくなったのだろう。そしてそれが落ちたことによって、今まで隠されていたズボン部分が再び露見した。<br> そこは気のせいか、さっき見たときよりも膨らみを増し、さらには濡れたようなシミまでついていた。<br> 痴漢に触られてその人が興奮したのかと思うと、もう、たまらなかった。<br> 俺は衝動のまま、手を伸ばし、そこに触れてぐっと力を込めた。<br> 呼吸が乱れる音がした。腰が小刻みに震える。しばらくしないうちに自分の掌がじっとりと濡れるのを感じた。 すでに限界が迫っていたところに、俺が触ったのがとどめとなったらしかった。<br> 顔を上げると、その人は口で荒い息をつきながら俺をじっと見ていた。<br> 怒るでもなく、泣くでもなく、ただぼんやりした感情のない顔で黙って俺を見ていた。<br> 熱に捕らわれた俺は、まだしばらくその人から手が離せないでいた。</p>
<p align="left">帰りの電車はいつものように混みあっている。<br> クラブでくたくたになった体を吊り革にぶら下げながら、俺はこの混雑に耐えていた。<br> 夏の満員電車というのはまったく苦痛だ。<br> 冷房がついているとはいえ、見も知らぬ他人と、汗でベタつく体で押しあいへしあいしているので、<br> 快適とは程遠い。だがまあ、これも家に着くまでの辛抱である。<br> 帰ったら真っ先にシャワーを浴びて、さっさと寝よう。宿題は明日学校で誰かに<br> 見せてもらえばいいや。俺はそんなことをぼんやり考えながら、疲れた顔した会社員や<br> その他の学生の中に混じって大人しく立っていた。<br> ふいに、電車が強く揺れて、隣に立っていた背の高い学生がバランスを崩し、<br> 俺の方に倒れかかってきた。同時に足を踏まれたので、俺は小さく苦痛の声をあげた。<br> 「すみません」と、学生が振り返った。その顔を見て俺は少し驚いた。<br> そこには、モデルみたいに整った華やかな顔があった。<br> 光の透った茶色い目をしてこちらを覗きこんでいる。<br> 「大丈夫ですか」と言うその唇は薄く色づいて――って、ちょっと待て、<br> なんでこんなに顔を近づけてくるんだこの人は。<br> なんだかいい匂いまでしてくるような気がして、不覚にもドギマギしてしまう。<br> 俺は慌てて、心を落ち着かせるのに十分な距離を取ってから、大丈夫だと返事した。<br> それを聞いたその人は、にっこり笑って、静かに俺から視線を外した。<br> 絵に描いたようなキレイな男っているんだなあ、と俺は物珍しがって、<br> しばらくその横顔を見ていた。<br> 電車が振動する度、その人の制服の袖が右腕に当たるのを意識した。</p> <p align="left">異変に気づいたのはS駅を過ぎてしばらく経った頃だった。<br> それまで隣でずっと静かに立っていたその人の体が、ふと、不自然に震えたのを感じた。<br> ちらっと横目でうかがうと、頬がなにやら赤くなっている。<br> せわしなく瞬きをしたかと思うと、ぎゅっと目をつむり、そして、またわずかに肩を震わせた。<br> どうしたんだろう、と訝しく思ったその時、再び電車が軋んだ音をたてて横に揺れた。<br> 人に押されて、今度は俺がその人の方に倒れこんだ。<br> 腰に、妙な感触のものが、当たった。<br> 俺はハッと息をのんだ。<br> おそるおそる下に視線を向けると、その人のズボンの膨らんだ部分が目に入った。<br> あ、という声がして、すぐにカバンで隠されたが、もう遅かった。<br> 信じられない気持ちで、俺は目の前の赤くなった顔を見た。<br> それからその時はじめて、その人の背後にぴったりくっついている男がいるのに気づいた。<br> 帽子を深くかぶって俯いているために容貌は知れなかったが、<br> そいつが腕を下にのばして動かす度に、その人が唇を噛んで、身じろぎするのが分かった。<br> 一瞬だが、制服の裾を割る手も見えたのに至って、ようやく状況が理解できた。<br> 間違いない。痴漢だ。<br> 頭にカッと血が上る。俺はとっさに口を開いた。</p> <p align="left">だが、声をあげる前に、その人が俺の腕を掴んだ。<br> 耳元に顔を寄せられたかと思うと、かろうじて聞き取れるほどの小さな声で<br> 「どうか、何も、言わないでください」と言われた。<br> 騒ぎを、起こしたくないんです。うわずった声でそう囁かれる。<br> 男にケツをまさぐられておいて、何をのんきなこと言ってんだこの人は。眉を下げて、今にも泣き出しそうなくせに。俺は呆れてその顔を見返した。<br> 潤んだ目と視線が合って、ふいに、押しつけられた身体の熱さが今更ながら気になった。<br> まだ俺の腕を掴んだままの手は湿っており、そこからじりじりと緊張が伝わる。<br> 後ろの男の腕はしつこく動きを繰り返し、そのうちに、その人の身体を断続的に揺さぶってくるようになった。<br> 俺に密着している胸がそれに合わせてせわしなく動く。白くなるほど噛みしめられている唇が、<br> 時折開いては熱い息を漏らし、俺の頬を熱くした。<br> 調子に乗るんじゃねーぞ、と腹が立った俺は再び抗議しようとしたが、またもその人に腕を引かれて止められた。なんなんだ、もう。始終ひっつかれている俺の身にもなってほしい。こっちまで妙な気分になりはじめているから困ってるんだ。<br> 今やその人の顔は真っ赤になっていた。鼻筋にうっすらと汗が浮かんでいるのが近くで見える。<br> 舐めてみたい、というよこしまな考えが頭をよぎった途端、自分の下半身まで不穏な動きをしそうになって俺は大いに焦った。くそ、なんで俺までこんな目に。<br> 忌々しく男の方を睨むと、そいつの腕が動きを早めたのが見えた。と思うやいなや、俺の足下にどさっと何かが落ちた。<br> それはあの人のカバンだった。もう持っている余裕もなくなったのだろう。そしてそれが落ちたことによって、今まで隠されていたズボン部分が再び露見した。<br> そこは気のせいか、さっき見たときよりも膨らみを増し、さらには濡れたようなシミまでついていた。<br> 痴漢に触られてその人が興奮したのかと思うと、もう、たまらなかった。<br> 俺は衝動のまま、手を伸ばし、そこに触れてぐっと力を込めた。<br> 呼吸が乱れる音がした。腰が小刻みに震える。しばらくしないうちに自分の掌がじっとりと濡れるのを感じた。 すでに限界が迫っていたところに、俺が触ったのがとどめとなったらしかった。<br> 顔を上げると、その人は口で荒い息をつきながら俺をじっと見ていた。<br> 怒るでもなく、泣くでもなく、ただぼんやりした感情のない顔で黙って俺を見ていた。<br> 熱に捕らわれた俺は、まだしばらくその人から手が離せないでいた。</p>

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