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ラグオルの風 第6話 - (2006/08/19 (土) 16:15:45) の1つ前との変更点
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白い世界にひとりの少女がぼんやりと座っていた。ひざを抱えうつむいたまま。<br>
一面を押せば沈むあやふやな雪で覆われ、白い空から白い雪が舞い降り視界を遮る。</p>
<p>
雪のようなそれは冷たくなどは無かったがその世界はその雪達で閉ざされていた。<br>
その音の無い世界に先ほどから騒がしいオトが聞こえてくる。少女は外からの</p>
<p>
オトに反応しオトを送り返す。凍りついた思考でただ反射的にオトを返す。<br>
外からのオトは不満げな不協和音をたてながらもどんどんと近づいて来てくる、<br>
オトはだんだんコエになり、空にはいつのまにか黄金に輝く太陽がどどん、と浮んでいた<br>
どこかいたずらっぽいその輝きで舞い降りてた雪を次々と消してゆく。<br>
雪のカーテンで遮られていた世界が黄金色の太陽によって侵食され、もとい解き放たれて<br>
なにもかもモノクロにしか見えてなかった目が色鮮やかな森を、美しく陽光を反射する川を、<br>
そしてすぐ真横でいたずらっぽく笑う金髪少女の顔を映し出した。「反応アリ、うひひ」<br>
足元がいや下半身が冷たい、どうやら川の中にいるようだ。体を洗ってくれていたのか返り血<br>
まみれの肌は白い輝きを取り戻していた。しかし冷たい川の中、躰の芯はなぜか火照っていた<br>
なんだか痺れてむず痒い「ナ、ニャッ?」「やっぱ覚醒させるならこれだねぃ、うふふ」<br>
ぺっとりとネコ娘背後からくっついてその右手は川の中のぽんぽこりんな下腹部に伸びている<br>
「ちっさくてもやっぱ感じるんだー」左手は上半身の数少ないふくらみを這い回っていた<br>
「なっ」ネコ娘の目に生気が完全に戻り即座に2歩前進して離れ「お、やっと気がつい・・・」<br>
「にゃにすんねん!」すぱこーんと即座に虎尾脚で打ち上げられ哀れメルは人工衛星と化した。<br>
*<br>
どぶん。<br>
派手に水しぶきが上がった人工衛星なりそこねのメルがぷかぷか流れていくのを無視しながら<br>
ネコ娘は改めて周りを見回した。やわらかい日差しの太陽、風で葉を揺らしながらざわざわと<br>
心地よい音を奏でる森「これがソトの世界、きれい・・・」滅び行く星の自然はどこか儚げで<br>
それでも美しく輝いていた。<br>
(!)足元を魚がきらきらと光りながらぬけていった(うまそー!)<br>
脱出以降心を閉ざしていた時に見えていたモノクロの世界では、動いていた生物はただの記号<br>
にしか見えてなかった。生き抜くためにひたすら記号を食べ飢えを満たした。<br>
「ま、まてー」<br>
ざぶざぶと走って魚を追いかける、無論そんな方法では魚を捕まえることはできず走り回るうち<br>
「にゃっ」どぼん、と深みにはまってしまった。(い、きが、ごぼがぼぶべ)調整水とは違う<br>
初めての水をいつもの感覚で飲んでしまい、ネコ娘の早くも人生は幕を閉じようとしていた。<br>
いままで味わったことの無い苦しみの中なにか大きな魚が近づいてくるのを感じながら<br>
ネコ娘の意識は遠のいていった。<br>
気がつくとメルの顔がどアップだった、<br>
すかさず繰り出したパンチをかわしながら命の恩人は口を尖がらせながら言った<br>
「アンタねー、人が死んだフリしてぷかぷか流れて言ってるのにつっこみいれないどころか<br>
アンタが本当に溺れてどうするよ!?」まったくボケ損だわ、とぶつぶつ文句いっているが<br>
表情は安堵に満ちていた。かなりやばかったらしい<br>
「あ、ありがと・・」「んまあ、いいや。私はめるていうの、アンタなまえは?」<br>
「める。」「いや、それはめるのものなのであげられません」困り顔で目をそむけるネコ娘に<br>
「なまえないの?うーん、めるがきめてもなー。自分できめちゃいなよ」「で、でもー」<br>
「ほら、アンタって猫っぽいじゃん、なんとかネコとかネコなんとかとかてきとーでひとつ」<br>
ネコ娘はう~んっと頭を抱えであたりを見回す、それにつられ(カンペでもあるんかいな)と<br>
メルも同じ方向に顔を動かす。そんなお馬鹿な空気が流れる中うつむいた状態でぴたりと<br>
動きが止まった。<br>
「あかねこ」「は?」「うち、あかねこにする」「んっいいんじゃない?響きかわいいし」<br>
うつむいていたのでメルにはわからなかったがネコ娘の口元は自虐的に笑っていた。<br>
あの月の晩自分の体に染み付いていた返り血の、赤。戒めの意味を込めて名前に刻む。<br>
(もう戦わない。もうコロさない。)じっとちいさな手を見つめ、あかねこは心に誓った。</p>
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白い世界にひとりの少女がぼんやりと座っていた。ひざを抱えうつむいたまま。<br>
一面を押せば沈むあやふやな雪で覆われ、白い空から白い雪が舞い降り視界を遮る。</p>
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雪のようなそれは冷たくなどは無かったがその世界はその雪達で閉ざされていた。<br>
その音の無い世界に先ほどから騒がしいオトが聞こえてくる。少女は外からの</p>
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オトに反応しオトを送り返す。凍りついた思考でただ反射的にオトを返す。<br>
外からのオトは不満げな不協和音をたてながらもどんどんと近づいて来てくる、<br>
オトはだんだんコエになり、空にはいつのまにか黄金に輝く太陽がどどん、と浮んでいた<br>
どこかいたずらっぽいその輝きで舞い降りてた雪を次々と消してゆく。<br>
雪のカーテンで遮られていた世界が黄金色の太陽によって侵食、もとい解き放たれて<br>
なにもかもモノクロにしか見えてなかった目が色鮮やかな森を、美しく陽光を反射する川を、<br>
そしてすぐ真横でいたずらっぽく笑う金髪少女の顔を映し出した。「反応アリ、うひひ」<br>
足元がいや下半身が冷たい、どうやら川の中にいるようだ。体を洗ってくれていたのか返り血<br>
まみれの肌は白い輝きを取り戻していた。しかし冷たい川の中、躰の芯はなぜか火照っていた<br>
なんだか痺れてむず痒い「ナ、ニャッ?」「やっぱ覚醒させるならこれだねぃ、うふふ」<br>
ぺっとりとネコ娘背後からくっついてその右手は川の中のぽんぽこりんな下腹部に伸びている<br>
「ちっさくてもやっぱ感じるんだー」左手は上半身の数少ないふくらみを這い回っていた<br>
「なっ」ネコ娘の目に生気が完全に戻り即座に2歩前進して離れ「お、やっと気がつい・・・」<br>
「にゃにすんねん!」すぱこーんと即座に虎尾脚で打ち上げられ哀れメルは人工衛星と化した。<br>
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どぶん。<br>
派手に水しぶきが上がった人工衛星なりそこねのメルがぷかぷか流れていくのを無視しながら<br>
ネコ娘は改めて周りを見回した。やわらかい日差しの太陽、風で葉を揺らしながらざわざわと<br>
心地よい音を奏でる森「これがソトの世界、きれい・・・」滅び行く星の自然はどこか儚げで<br>
それでも美しく輝いていた。<br>
(!)足元を魚がきらきらと光りながらぬけていった(うまそー!)<br>
脱出以降心を閉ざしていた時に見えていたモノクロの世界では、動いていた生物はただの記号<br>
にしか見えてなかった。生き抜くためにひたすら記号を食べ飢えを満たした。<br>
「ま、まてー」<br>
ざぶざぶと走って魚を追いかける、無論そんな方法では魚を捕まえることはできず走り回るうち<br>
「にゃっ」どぼん、と深みにはまってしまった。(い、きが、ごぼがぼぶべ)調整水とは違う<br>
初めての水をいつもの感覚で飲んでしまい、ネコ娘の早くも人生は幕を閉じようとしていた。<br>
いままで味わったことの無い苦しみの中なにか大きな魚が近づいてくるのを感じながら<br>
ネコ娘の意識は遠のいていった。<br>
気がつくとメルの顔がどアップだった、<br>
すかさず繰り出したパンチをかわしながら命の恩人は口を尖がらせながら言った<br>
「アンタねー、人が死んだフリしてぷかぷか流れて言ってるのにつっこみいれないどころか<br>
アンタが本当に溺れてどうするよ!?」まったくボケ損だわ、とぶつぶつ文句いっているが<br>
表情は安堵に満ちていた。かなりやばかったらしい<br>
「あ、ありがと・・」「んまあ、いいや。私はめるていうの、アンタなまえは?」<br>
「める。」「いや、それはめるのものなのであげられません」困り顔で目をそむけるネコ娘に<br>
「なまえないの?うーん、めるがきめてもなー。自分できめちゃいなよ」「で、でもー」<br>
「ほら、アンタって猫っぽいじゃん、なんとかネコとかネコなんとかとかてきとーでひとつ」<br>
ネコ娘はう~んっと頭を抱えであたりを見回す、それにつられ(カンペでもあるんかいな)と<br>
メルも同じ方向に顔を動かす。そんなお馬鹿な空気が流れる中うつむいた状態でぴたりと<br>
動きが止まった。<br>
「あかねこ」「は?」「うち、あかねこにする」「んっいいんじゃない?響きかわいいし」<br>
うつむいていたのでメルにはわからなかったがネコ娘の口元は自虐的に笑っていた。<br>
あの月の晩自分の体に染み付いていた返り血の、赤。戒めの意味を込めて名前に刻む。<br>
(もう戦わない。もうコロさない。)じっとちいさな手を見つめ、あかねこは心に誓った。</p>