第58話 超古代編(前編)

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山道を一台のバイクが疾走していた。
それに乗る男の名前は瀬川耕司。かつて、仮面ライダーを名乗り宇宙からの脅威を人知れず倒した男だ。
瀬川には一つ不安なことがあった。彼が今向かう先にその答えがある。
(フォッグマザー……)
各地でかつて自分と同じ力を持つ者たちに倒されたはずの怪物達が蘇っている。
事実、瀬川もすでにその怪物達に襲われ、そしてそれと戦っている。
そして彼は、あのフォッグマザーが、怪人軍団が同じように蘇っているのではないかと思い、その確認に向かっているのだ。
あの日、瀬川が、仮面ライダーJがフォッグマザーと戦った一帯は防衛軍により封鎖区域にされていると聞く。
それならば万が一の場合でも民間人に危害が及ぶことはないだろう。
小高い丘の上に到着した。ここからならあの時の激戦地がよく見える。
「!」
瀬川は目を見張った。そこには恐れていた事態、フォッグマザーの復活という状況はなかった。
しかし、その代わり、巨大な円盤が鎮座していたのである……。

その円盤、改造実験基地ラボーの中では、二人の人物が会話をおこなっていた。
異形の体を持つ女に向かって、杖を持った黒装束の男が話しかける。
「レー・ネフェルよ、お前はそろそろ他の者達を連れて彼の地へと向かうがいい」
「はっ、ですがケフレン様……」
ネフェルと呼ばれた女はケフレンと呼ばれた男に何か言いたげな視線を寄越す。
「心配はいらぬ。あの者達の始末はワンダにまかせてある。しくじることはあるまい」
「ですがあのカード、53枚あると聞いております。しかし今手元にあるのは39枚。奴らがもし持っているのだとしたら……」
「ネフェル様!ラボーの周辺に不審人物が!」
狼のような外見の女がネフェルに不審人物発見の報告を行う。
「何!」
「待てネフェルよ、その者はこやつら使ってみよう。力を見る良い機会だ」
そう言ってケフレンは懐から3枚のカードを取り出した。カードは一見トランプのようだが、怪物の絵が描かれている。
「……分かりました。では私達は行きます。ウルク、ラボー戦闘機の準備はできているな!」
「はっ!」
ネフェルとウルクの二人はそのまま格納庫へと向かっていった。
一人残ったリー・ケフレンは、不敵な笑みを浮かべていた。

街中から少し離れた位置にある白井牧場。ここの屋敷の広間では四人の男達が暗い表情で座っていた。
一人は作業着を着ている。一人は怪我をしているのか頭や腕などに包帯を巻いている。
残る二人はスーツだが、うち一人のは見るからに高級そうなシロモノだ。
「……すまなかったな」
沈黙を破ったのは怪我をしている男だった。
「気にしないでくださいよ、橘さん」
「そうですよ、剣崎さんの言うとおりですよ」
作業着の男と高くないスーツの男が言う。
彼らの名は剣崎一真、橘朔也、上城睦月、白井虎太郎。かつて仮面ライダーとして戦った者、彼らに協力をした者である。
だが彼らは戦いの場からすでに引退をしていた。4年前の戦い、そしてつい最近起こったアルビノジョーカーによる戦い。
その戦いで彼らは大切な人を失った。もう戦わない、戦うことはない、戦いたくない……。それが彼らの望みだった。
だが。
各地で怪物達が蘇り、三度戦いの場に彼らが出て行かざるを得なかったその時、
ラウズカードを管理していた橘が襲われ、39枚のラウズカードが全て奪われてしまったのだった。
橘は命からがら逃げ延び、かつての仲間達の所に事態を伝えるべくやって来た。
だが追っ手がかかり、その結果彼らは人里離れたここまで逃げてきたのである。
彼らにはどうすることもできなかった。今の彼らは、ただの人である。
「ねえ、やっぱり警察、否、軍に助けを求めようよ」
虎太郎が弱気な声を上げる。彼らのケータイはバラノイアのジャミングによってどこへも連絡できなくなっていたのだ。
「……そうだな、行くか」
剣崎がソファから立ち上がりかけたその時、
「何処へ行くつもりだ?」
窓が割れ、そこから翼の生えた異形の怪物がその姿を現した。
「うわわわわ、また出た~!」虎太郎が悲鳴を上げる。
「お前達は誰だ!カードを奪って何をするつもりだ!どうして俺達を付け狙う!」
剣崎が怪人に向かって声を上げる。
「知れたこと。お前達はライダーシステムとやらの適合者なのだろう?我々の障害になりそうなものは今の内に全て排除する!」
翼の怪人、レー・ワンダはそう言うと赤い姿の怪物達、ゾローに指示を出した。
「殺れ!」
剣崎達が覚悟を決めたその時、割れた窓から黒い影がゾロー達に躍りかかった!
「貴様!何者!」
「お、お前は……」
剣崎達の前に現れた影、それは自らの命と引き換えにフォーティーンを封印し、その姿を消した相川始・仮面ライダーカリスであった。
「始、お前どうして……」
「話は後だ剣崎。まずはこいつらを……」
「ううむ、まさか貴様残る14枚のカードの……。この事をケフレン様に報告せねば」
そう言うとワンダはゾロー達を残し、その場から去っていった。
残ったゾロー達はカリスの敵ではなく、あっという間に全て倒されてしまった。
『スピリット』 カリスが相川始の姿へと変わる。それを待っていたかのように剣崎が始に話しかける。
「始!お前どうして。それにあいつらは何なんだ。お前知っているのか?」
「落ち着け。順を追って話す」
始は自分が「大いなる意思」によって再びこの世に呼び戻されたこと、ラウズカードを狙う者達がいること、
その者達、そして剣崎らと会うために一番遭遇できる可能性のあるここ、白井牧場へと向かっていたことを告げた。
「そうだったのか……。でも奴ら何でラウズカードの在り処を……」
「誰かが奴らに教えたとしか思えない。その誰かまでは分からないが……」
その時、
「橘さん、アンデッドサーチャーが……」
橘の持つアンデッドサーチャーがけたたましく音を鳴らし始めた。
「早速出たか。しかもこの感じ、上級がいる」始もまたアンデッドの出現を感じ取ったようだ。
「俺は行く。お前達は……どうする?」
「もちろん行くさ。何が起こっているのか知りたいんだ」
「俺も行きます。また、レンゲルとして戦うのが俺の宿命だとしたら……」
「じゃあ僕も。僕も橘さんもここにいるよりは安全だろうから」
「……そうだな」
こうして5人はアンデッド出現地点へと向かって行った。

その頃、とある洞窟の奥、秘密の隠れ家のような所では一人の少年が妖しい呪文を唱えていた。
「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム……」
その少年、山田真吾こと悪魔くんは、行方不明事件の犯人を捜すべく悪魔メフィストを呼び出そうとしていた。
事件が起きたのは昨日。学校に通う子供達が大量に失踪したのである。そしてついさっき、友人の貧太と情報屋までもが姿を消した。
何かが起こっている。そう悪魔くんは考えたのである。
全ての呪文を唱え終わると同時に、魔方陣の中から煙とともに悪魔メフィスト(弟)が現れた。
「……なんだ、真吾か」
「そんな言い方はないだろう?それよりメフィスト、力を貸しておくれよ。貧太達が行方不明になったんだ」
「こっちは忙しいんだ。今地獄がどんなことになっているのか知らねぇだろ?」
そう言うとメフィストは喋りだした。
「地獄じゃ極悪人どもが何の前触れもなく突然蘇って、おかげで大混乱よ。閻魔大王も頭抱えちまってな。それで俺に原因を調査するよう命令がきたんだ」
まさか地獄がそんな事になっていたなんて。悪魔くんは事の重大さに吃驚してしまった。
「それにだ。……ドクロンの野郎がまた出てきたらしい」
「ドクロン妖怪が!?」
そんな馬鹿な。ドクロンは以前に戦った時宇宙に追放したはずなのに……。
「誰かがあいつを地上に戻しやがったんだ。あいつは長く生きてる分色んな事を知っているしな。使える男には違いない」
「おいメフィスト、ひょっとしたら今起きている行方不明事件は……」
「ドクロンの仕業だってのか?まあドクロンの件も俺に任されているわけだしな……」
そう言うとメフィストは魔法の水鏡に向かって歩き出した。
「おお!見ろ真吾。ドクロンの野郎の姿が映ったぞ!貧太や情報屋も一緒だ」
やっぱり!行方不明はドクロンの仕業だったんだ。
「しかしこいつ、何処に子供達を連れて行く気だ?随分と山奥に行くな。……よし、真吾、行くぞ!」
こうして悪魔くんとメフィストはドクロンを追って飛び出していった。

仮面ライダーJは、突然襲い掛かってきた怪物達と死闘を繰り広げていた。
(何だこいつらは。何かが、違う)
相対する怪物、トリロバイトアンデッドとライオンアンデッドはじりじりとJを追い詰めていた。
「くっ!」
Jは渾身のJパンチをライオンアンデッドに叩き込んだ。パンチはアンデッドの左胸を確実に突き破った。だが……。
ライオンアンデッドは一声吠えるとJを弾き飛ばした。
「馬鹿な……くっ」確実に心臓を貫いたはずなのに。
アンデッドはベルトのバックルが開いただけで、なおもJに攻撃を仕掛けてくる。
「ならば、これで……」
Jキックをトリロバイトアンデッドに叩き込む。キックはアンデッドの頭部を粉砕した。倒れるアンデッド。
「疲れているようだな」
突然声をかけられ、慌ててJが振り返る。そこにはサングラスをかけた男が一人佇んでいた。
「お前は誰だ!」目の前にいるこの男からも異様な気配がする。
「俺か。かつて伊坂と名乗りお前のような奴と戦った者だ」
「貴様達は何者だ!」「不死なる者」「不死だと!?馬鹿な……」
「本当だとも。見たまえ」
そう言って伊坂が指差した方を見る。すると……
「!」
頭を吹き飛ばされたはずのトリロバイトアンデッドが、何事もなかったかのように新しい頭を生やして立っていた。
「これでもまだ信じられないかね……」伊坂が不敵な笑みを見せる。
「くっ!」
一時撤退。その言葉が頭に浮かんだ。それと同時にJクロッサーに跨り駆け出す。
「逃げるか。まあいい。追う必要も無いだろう。あんな奴の一人や二人……」
いつでも殺せる……、そう伊坂は低く、低く呟いた。

剣崎達はアンデッドの出現現場に向かう途中、奇妙な一団に遭遇した。
一人はたくさんの子供達を連れた髑髏の姿をした怪人、一人は少年を後ろに控えさせたシルクハットにタキシード、マントにステッキといった格好の男だ。
「……何だありゃ」
と、突然シルクハットの男の方がステッキから炎を出して髑髏の方を攻撃しだした。
「おい!始!」
「……助けろというのか?どっちを」
「え~と、それは……多分髑髏が悪い奴だ!」
「分かった。……フッ、変わらないな、剣崎。変身」『チェンジ』
始はカリスに変身すると、ドクロンに向かって斬りかかる。
驚いたのはドクロンだ。いきなりメフィストがやって来たかと思ったら、今度は謎の怪人が襲い掛かってきたのである。
もちろん驚いたのはメフィスト、そして悪魔くんも同じである。
「そこの紳士、加勢するぞ」
「お前、味方か?」「メフィスト!今だ!」「お、おう」
「な、なんだお前は。くっ、多勢に無勢か。一旦逃げ……」
逃げようと体勢を変えたドクロンの目に、つい今しがたアンデッドの猛攻から逃げ切ってきたばかりのJの姿が映る。
「な、なんだあいつは。ケフレンの部下どもとは違う。くっ、かくなるうえは……」
ドクロンは大声を張りあげた。「クラーゲーン!」
その途端、巨大な一つ目のクラゲに似た怪物が空に現れた。そして、絶句する一同をよそに、ドクロンに向けてビームを放った……。
クラーゲンのビームを浴び、ドクロンは巨大化、勝ち誇ったかのように笑い出した。
「おいメフィスト!こんな話は聞いてないぞ!」「俺だって聞いてねえよ!」
「貴様ら、踏み潰してやる!」
そう言いながらドクロンが足を高く持ち上げ、地面に叩きつける。
「うわあっ!」
「まずいよ!剣崎君、僕達は子供達を非難させよう」
「ああ。橘さんはここで待っていてください。行くぞ睦月、虎太郎!」
子供達の方へ向かう剣崎達を横目に、カリスは「フロート」のカードをラウズし空中から攻撃を仕掛ける。
「メフィスト!」「分かった。魔力・バズーカ砲」
メフィストは魔力でバズーカ砲を取り出し、地上からカリスを援護する。だが、巨大化したドクロンには効果は薄い。
そしてそれを見ていたJは……
「助けなければ。だが巨大化は自分の意思で簡単に行うことはできない。どうすれば……」
「その心配はない」
「誰だっ!」声のする方に向き直るが姿はない。
「お前に力を与えた。これで自分の意思でその大地の力、Jパワーを自由に使えるようになった……」
「誰だ!姿を見せろ!」「いずれまた会うこともあるだろう。その力、それこそ闇を払う力……」
声は突然聞こえなくなった。
(今のはテレパシーだったのか?しかし本当なのだろうか……)
だが迷っている暇はない。
ドクロンはカリス、メフィストを相手に好き勝手に暴れまわっている。その時!
巨大なジャンボライダーがその姿を現した!
ジャンボライダーの出現に、その場にいた誰もが言葉を失った。もちろんドクロンもである。
「あ、あれも仮面ライダーなのかな……」虎太郎が喉の奥から搾り出すようにそう呟く。
「そんな…」「でも似てますよ、外見」
ジャンボライダーのパンチがドクロンに炸裂する。吹っ飛ぶドクロン。
さらに起き上がった所にキックを叩き込むジャンボライダー。なす術も無く倒れるドクロン。
「……弱い」
「そりゃそうだろう。あいつは魔法は得意だが肉弾戦はからっきしなんだ」
カリスの呟きにメフィストが答える。
パンチとキックを一発ずつ喰らっただけで、ドクロンはそのまま等身大に戻ってしまった。
「よっしゃ。……そういや子供達はどうした?」「メフィスト、あれ」
悪魔くんが指差す方には、子供達、そして剣崎、睦月、虎太郎の姿があった。だが子供達の目には精気が無い。
「ドクロン!てめえ子供達に何しやがった!それにあのタコだかクラゲだかの化けもんは何だ!」
「こいつの事か?」
そう言うカリスの手には、エネルギーを出し尽くして縮んだクラーゲンが掴まれていた。
「ふんっ!」そう言うとカリスは力任せにクラーゲンを握り潰す。
「さあ言ってもらおうか」
詰め寄るメフィストにドクロンがしぶしぶ答える。その脇には等身大に戻ったJも控えている。
「……子供達を攫ったのはケフレンという男に頼まれたからだ」
「そのケフレンっていうのがお前を地上に戻したのか?」「……そうだ」「目的は何だ」
「子供を材料にして不死の兵士を作るとか言っていたな……」
「不死!?」その言葉にカリス、Jが反応する。
「そいつは今何処にいる!」「この先に奴らの円盤がある。そこがアジトだ」
「剣崎!どうやら俺達の行くべき場所が分かったようだぞ!」カリスが剣崎達に向かって叫ぶ。
「隙ありっ!」その瞬間、ドクロンがメフィストに飛び掛った。だが、Jがそれを阻止、さらに
『スピニングドリル』
カリスが2枚のカードをラウズしドクロンを粉砕した。
「ウギャァァァァァァ」爆発四散するドクロン。それと同時に子供達も正気に戻る。
「悪魔くん!」「情報屋、貧太!無事で良かった」
「さて、行くか。子供達も連れて行ったほうが……いいよな?」剣崎が虎太郎に尋ねる。
「これぐらいの人数ならなんとか車に乗せられるしね」虎太郎も同意のようだ。
「メフィスト!そのアジトに攫われた他の人達もいるはずだ。行こう!」「確かに、他に調査の手掛かりは無いしな」
「じゃあ俺が案内しよう。君達のことは道すがら教えてくれ」Jが言う。
こうして一向はラボーへと向かって山道を進んで行った。

一行は敵のアジト、ラボーへとやって来た。そして難なく内部へと侵入することができた。
「あまりにも簡単に進入することができたな。おそらく罠だろう」
カリスの言葉に一同が頷く。
「橘さん達は大丈夫でしょうか……」
「心配するな睦月。あの瀬川って人が残ってくれているんだから」
虎太郎、そして怪我をしている橘は足手纏いになるのを危惧して、子供達とともに外に残っている。瀬川も一緒だ。
「外にアンデッドの気配は無い。大丈夫だろう」カリスが答える。
「じゃあ僕とメフィストは攫われた人達の救出に向かいます」
そう言うと悪魔くんとメフィストは剣崎達から離れていった。後には剣崎、睦月、カリスの三人が残った。
「奥へ進もう。それと剣崎、無茶はするな」カリスが釘を刺す。
「大丈夫だ。心配するな。な、睦月」
ある程度進むと、広い場所に出た。何か装置のようなものが置かれている。
その装置を興味深く眺めていると、突然背後から声がした。
「それが気になるかね」
慌てて振り向く三人。そこにはケフレンが立っていた。
「私は大博士リー・ケフレン。その装置は遺伝子シンセサイザー。
それとこのカードを使って、素材となる子供達を不死の兵士にする。それが私の目的だ」
そう言いながらケフレンは懐からラウズカードの束を取り出した。
「お喋りが過ぎたようだな。お前を倒し、カードを全て返してもらう」
「お前の相手はこいつらだ」
臨戦態勢を取るカリスに向かって、トリロバイトアンデッドとライオンアンデッドが飛び掛った。
(2体?確か上級の気配がしたが……)「この程度の連中で止められると思うな」
その言葉通り、戦況はカリスに圧倒的有利だった。Jとの戦いのダメージがまだ完全に回復していなかったせいもあるだろう。
『スピニングダンス』
3枚のカードをラウズして放つカリスの必殺技で、2体のアンデッドは粉砕された。すかさずカードを投げて封印する。
「いいぞ始!」「まずは2枚。残りも全て返してもらう」
「そこまでだ!」
声とともにレー・ワンダが姿を現した。
「お前はさっきの!」
「ケフレン様、ここは私が。行くぞ!」
絶叫とともにワンダの姿は妖獣士ワンダーラへと変貌していった……。
「何」「あいつ、変身した!?」
「タイムストップ3秒殺し!」
ワンダーラがそう言い終えたと同時に、剣崎達の目の前で全身を切り刻まれたカリスが音を立てて床に倒れた。
「始!」「何が起こったんだ?」
「くっ……」傷付いた体を押さえながらカリスが立ち上がる。
「俺は3秒だけ時間を止めることができる。3秒もあれば貴様は別としても後ろの二人は簡単に始末できる」
「くっ」
「このカードがあれば少しは抵抗できるかもしれんが、それも無駄なようだな。はははは……」
高笑いするケフレン。その時、
「?」
ケフレンの手からラウズカードが、まるで意思を持っているかのように飛び出し、剣崎と睦月の手元に舞い降りる。
「こ、これは一体……」
「間に合ったようだな!」
見るとメフィストと悪魔くんが立っていた。メフィストはステッキをこちらに向けて構えている。
「見たか、このメフィスト様の魔力を!ははあ、さては貴様がドクロンを連れ戻したケフレンとかいう奴だな」
「攫われていた人達はみんな外に逃がしました!」
「馬鹿な、獣戦士を送り込んでいたはず……」
「あんな奴、適当に目くらましをかけておいたわい!」勝ち誇ったようにメフィストが言う。
「剣崎!」
「ああ。睦月、ちゃんと持っているな」「はい!」
二人は懐からベルトを取り出し、「チェンジ」のカードを差し込んだ。それぞれのベルトが二人の腰に巻きついていく。
「「変身!」」『ターンアップ』『オープンアップ』
光の壁に身を通した二人は、仮面ライダーブレイド、仮面ライダーレンゲルへとその姿を変えた。
三人の仮面ライダーを前にし、流石にワンダーラも、そしてケフレンも怯んでいた。
三人がその一瞬を逃すことはなかった。
掛け声とともに三人のライダーがワンダーラへと斬りかかる。
と、その時、攻撃を仕掛けるレンゲルに向かって獣戦士ザ・アルゴスが跳びかかった!
「あいつ、さっきの奴か!」
メフィストが叫ぶ。
ラボー内ではブレイド・カリスvsワンダーラ、レンゲルvsアルゴスの死闘が繰り広げられることとなった。
「こんな奴!」レンゲルが3枚のカードをラウズする。
『ブリザードベノム』
猛吹雪がアルゴスの体を凍らせ、レンゲルラウザーで貫く!爆発!
「おのれ貴様ら!」
「また時間を止めるつもりか…。」
「そうはさせない!」そう言うとブレイドは「タイム」のカードをラウズした。その瞬間、その場の時が止まる。
そしてブレイドはトドメを刺すべく、JとQのカードをアブゾーバーにラウズした。
『フュージョンジャック』
ジャックフォームへと変身したブレイドは、さらにラウザーに「スラッシュ」のカードをラウズする。
「ウェェェェェイ!」
空を舞い、猛スピードで急降下したブレイドJフォームがワンダーラの体を切り裂いた!
時間が戻った時、ケフレンの目の前にはワンダーラの亡骸と、ブレイドJフォームの姿があった

「それがライダーシステムとやらか。噂以上だな……」
リー・ケフレンは悔しそうにそう呟いた。
「残るはお前だけだ!」
ブレイドJフォームがブレイラウザーをケフレンに対して突きつける。
「ふふ、ふははははは」
だが、ケフレンは突然笑い出した。
「何が可笑しい!」
「今回は私の負けだ。だが私にはまだもう一つの計画がある。そしてお前達はここで死ぬのだ!」
「何だって!?」
その途端、円盤内のあちこちが小爆発を始めた。振動が一同を襲う。
「お前、ここはお前の基地だろう!」
「最早必要は無い。私はこれからルルイエに向かう。さらばだ!」
そう言うとケフレンは身を翻し、奥へと去っていった。
「脱出だ!急げ!」
カリスの叫びも、少しずつ大きくなってくる爆発音に掻き消されていった。

一方、外で待っていた瀬川達は突然爆発を始めたラボーから離れ、成り行きを見守っていた。
そんな中、一台の戦闘機が円盤から飛び立っていく。乗っているのはケフレンだ。
そして、激しい爆発が起こりラボーが粉々に吹き飛んだ。
「剣崎~~~!」橘が絶叫する。と、
「呼びましたか、橘さん」声が返ってくる。
炎の中から、ブレイド、レンゲル、カリス、そして悪魔くんとメフィストが歩いてきた。

「ルルイエ、奴は確かにそう言ったんだな」
「知っているんですか橘さん!」
剣崎の問いに橘が答える。「すまない、詳しくは俺も知らないんだ」
「とにかく、そのルルイエって所に行ってみるべきなんじゃないかな」虎太郎が提案する。
「よし、じゃあ俺と始が行く。睦月は橘さん達の傍に付いていてやってくれ」
「分かりました。でも、どうやって行くんです?」
「それは俺にまかせろ」メフィストはそう答えると魔力で小型飛行機を出した。
「メフィスト!」「なんだ真吾。俺らしくないってか?但し俺も行くぜ。……ルルイエってのにちょっと聞き覚えがあってな」
「俺も手伝おう」瀬川が言う。
「ところで剣崎。俺のラウズカードなんだが、一枚足りないんだ。……ダイヤのJが」
橘が顔を顰めながらそう言った。そのカードに封印されているピーコックアンデッドこと伊坂には並々ならぬ因縁が橘にはあった。
「あの男か。ひょっとしたら奴もルルイエとやらに向かっているのかもしれないな」瀬川の言葉に橘が顔色を変える。
「剣崎……」「分かってます。そういう橘さんこそ気をつけてください。伊坂が来るかもしれない」「……ああ」
橘は怪我をし、戦えない己自身が恨めしかった。
「悪魔くん、気をつけてな」「ああ、二人もちゃんと家に送り届けてもらえよ」
「なんだ、やっぱり真吾も来るのか」メフィストが呆れたように言う。
こうして一行はルルイエへと向かって飛び立った。
最終更新:2013年03月05日 17:58
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