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時を越えて、再び - (2011/08/07 (日) 15:44:52) の1つ前との変更点

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「……え?」 気付いた時には、俺はもうすでにここに居たんだぞ。 目の前にあるのは、お茶の入ったペットボトル。 向かい合う位置に座っているのは、ずいぶん久しぶりのセリア。こっちも戸惑っている。 そして、俺達を囲む壁は、白くて綺麗な壁紙が貼られた部屋。 一人ほど面子が足りない気がしたが、今度は代わりにノエルが座っていた。 ……とてもよく似た状況に、ずうっと昔に出くわした覚えがあるんだぞ。 「……セリア?」 『はい』 「……これは、デジャブか?」 『はい、と言いたいところです、とても』 言いたい、ということはきっと違う。 確かこの後、目の前のドアから筋骨隆々のヒレーが出てきて(放送禁止)されまくった覚えがあるんだぞ。 セリアが迷い無く、旧世代のオーパーツであるオートマチック銃に弾丸を込める。 ノエルもそれを見て、懐から投げナイフ数本を取り出す。 俺はいつも持っている帽子からステッキを取り出し、構える。 ぺた、ぺた、ぺた。 ドアの向こうから響くのは、素足の足音。 靴を履いていない、ということは、つまり。 「……」 足音が、止む。 『奴』が今、ドアの向こうに居る。 がちゃり、とドアが開くと同時にセリアが発砲。 すかさずノエルがナイフを真っ直ぐに投げつける。 俺はステッキを真っ直ぐに投げつけた。 ……そして、絶句。 そこに居たは、確かにヒレー。相変わらず無意味に筋骨隆々で、パンツ一丁。 だがその後ろに陣取るのは、弟のホレーに兄のハレーにブライアン・オールドリッジ、 挙句にジェラルド・バスカヴィルにジョッシュ・ノックバック。 揃いも揃ってバイなガチムチだらけ、それぞれ違うポーズで筋肉を見せ付けていた。 オマケにオイルまで塗っていて、よく日焼けした膚がテカテカ。 セリアとノエルが放った弾丸とナイフはジェラルドとジョッシュが歯と指で受け止め、 俺の投げたステッキは、ヒレーの太い手のひらに握られ、折られた。 もはや万事休す。 「オーケェェィ、レッツパアアアァァリィィィイイ!!」 ヒレーの腹の底から響いた声と同時に、 他の五人が恐るべき跳躍力でカエルの如く飛び掛ってきた。 同時にセリアのオートマチックが全弾発射されるも、やつらはそれを全て避けた。 空中でどうやって避けられたのかは俺も知らないんだぞ。 咄嗟に横に転がり、ジェラルドのダイビングハグを回避。 後ろから響くのは、セリアとノエルの悲鳴。おそらく回避できずに取り付かれたのだろう。 「待て!私はチビでデブだし、趣味じゃないだろう!?」 『いいや、君は男前だし十分に魅力的だ。もっと自信を持て』 ノエルの叫びとブライアンの無意味に優しい口調が響いてくる。 セリアの声がしないので振り返ると、もう諦めたようで虚ろな微笑みを浮かべていた。 眼は虚空を見つめたまま光がない。本気で大丈夫なのかアレ。 首を戻し、前を向いた瞬間に体が浮いた。 抱っこの要領で、いつの間にか目の前にいたヒレーに持ち上げられていたんだぞ。 「ヒレー」 『何かな?ムスタング君』 「……降ろしてほしんだぞ?」 『俺のハイスペック♂の上にだな、了解した!』 その言葉は、もう考えることを放棄した俺の耳に、残響した。 ---- 「ひいいいいっ!!」 俺は、やっと起きたんだぞ。 ヒレーが元未来の特異点で、夢を通して行動できるのは知っている。 だが死んでから数万年経っているのに、あいつは何をしてくれるんだぞ。 「今頃は、セリアとノエルも跳ね起きてる頃か……」 ついでに後から知ったが、 その日の夜、とあるホテルの一室と誰も住んでいないはずの空き家から、 それぞれ女性と男性の恐ろしく悲痛な悲鳴が聞こえたらしいんだぞ。
「……え?」 気付いた時には、俺はもうすでにここに居たんだぞ。 目の前にあるのは、お茶の入ったペットボトル。 向かい合う位置に座っているのは、ずいぶん久しぶりのセリア。こっちも戸惑っている。 そして、俺達を囲む壁は、白くて綺麗な壁紙が貼られた部屋。 一人ほど面子が足りない気がしたが、今度は代わりにノエルが座っていた。 ……とてもよく似た状況に、ずうっと昔に出くわした覚えがあるんだぞ。 「……セリア?」 『はい』 「……これは、デジャブか?」 『はい、と言いたいところです、とても』 言いたい、ということはきっと違う。 確かこの後、目の前のドアから筋骨隆々のヒレーが出てきて(放送禁止)されまくった覚えがあるんだぞ。 セリアが迷い無く、旧世代のオーパーツであるオートマチック銃に弾丸を込める。 ノエルもそれを見て、懐から投げナイフ数本を取り出す。 俺はいつも持っている帽子からステッキを取り出し、構える。 ぺた、ぺた、ぺた。 ドアの向こうから響くのは、素足の足音。 靴を履いていない、ということは、つまり。 「……」 足音が、止む。 『奴』が今、ドアの向こうに居る。 がちゃり、とドアが開くと同時にセリアが発砲。 すかさずノエルがナイフを真っ直ぐに投げつける。 俺はステッキを真っ直ぐに投げつけた。 ……そして、絶句。 そこに居たは、確かにヒレー。相変わらず無意味に筋骨隆々で、パンツ一丁。 だがその後ろに陣取るのは、弟のホレーに兄のハレーにブライアン・オールドリッジ、 挙句にジェラルド・バスカヴィルにジョッシュ・ノックバック。 揃いも揃ってバイなガチムチだらけ、それぞれ違うポーズで筋肉を見せ付けていた。 オマケにオイルまで塗っていて、よく日焼けした膚がテカテカ。 セリアとノエルが放った弾丸とナイフはジェラルドとジョッシュが歯と指で受け止め、 俺の投げたステッキは、ヒレーの太い手のひらに握られ、折られた。 もはや万事休す。 「オーケェェィ、レッツパアアアァァリィィィイイ!!」 ヒレーの腹の底から響いた声と同時に、 他の五人が恐るべき跳躍力でカエルの如く飛び掛ってきた。 同時にセリアのオートマチックが全弾発射されるも、やつらはそれを全て避けた。 空中でどうやって避けられたのかは俺も知らないんだぞ。 咄嗟に横に転がり、ジェラルドのダイビングハグを回避。 後ろから響くのは、セリアとノエルの悲鳴。おそらく回避できずに取り付かれたのだろう。 「待て!私はチビでデブだし、趣味じゃないだろう!?」 『いいや、君は男前だし十分に魅力的だ。もっと自信を持て』 ノエルの叫びとブライアンの無意味に優しい口調が響いてくる。 セリアの声がしないので振り返ると、もう諦めたようで虚ろな微笑みを浮かべていた。 眼は虚空を見つめたまま光がない。本気で大丈夫なのかアレ。 首を戻し、前を向いた瞬間に体が浮いた。 抱っこの要領で、いつの間にか目の前にいたヒレーに持ち上げられていたんだぞ。 「ヒレー」 『何かな?ムスタング君』 「……降ろしてほしんだぞ?」 『俺のハイスペック♂の上にだな、了解した!』 その言葉は、もう考えることを放棄した俺の耳に、残響した。 ---- 「ひいいいいっ!!」 俺は、やっと起きたんだぞ。 ヒレーが元未来の特異点で、夢を通して行動できるのは知っている。 だが死んでから数万年経っているのに、あいつは何をしてくれるんだぞ。 「今頃は、セリアとノエルも跳ね起きてる頃か……」 ついでに後から知ったが、 その日の夜、とある宿の一室と誰も住んでいないはずの空き家から、 それぞれ女性と男性の恐ろしく悲痛な悲鳴が聞こえたらしいんだぞ。

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