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第05話「土くれの怪人」 - (2017/03/07 (火) 18:40:44) のソース

これまでのあらすじ
旅を続けるアルカとレーラビが次にたどり着いた場所は人間の街だった。
そこで「夜な夜な現れる謎の怪人」の噂に、二人は巻き込まれることとなるが...?


アームヘッド・ストーリー:リターン・デイズ
第05話「土くれの怪人」


...深夜、人通りの無い街道。
ひどく怯えた様子の長い黒服の男が、"何か"から逃げていた。
『くっ...逃げきれねえ』
背後からゆらゆらと揺れる形の崩れた人型の影!


男は振り切るように逃げるが、遂に行き止まりに追い詰められてしまった!
『ここまでか...』
人型の影の腕が変質し、鎌のような形状へと変わる!
だがそこへ足音と共に新手の影!


「そこまでだぜ!」
駆けつけたレーラビは大型ライフルで人型の影を殴りつけた!
「...ぜ?」
人型の影はその一撃を受けて、呆気なく砕け散った。


「大丈夫ですか?...立てます?」
遅れて駆けつけたアルカは、周囲の安全を確認して黒服の男を救出する。
『ああ...助かったよお嬢ちゃん』
「...ごめんなさい、僕お嬢ちゃんじゃないです」


「アルカ、ちょっとこれを見て欲しいぜ」
「どうしたの、レーラビくん」
辺りには砕け散った筈の敵の破片らしいものは残っておらず、周囲に少し湿った"土"が残るのみだった。
「これって...?」


『...土くれの怪人』
男はそう呟いた。
「何か知っているのぜ?」
『...俺達を狙う正体不明の土の化け物と聞いていたが...まさか自分が襲われるとは』


『赤髪の兄ちゃん、あんたも気をつけたほうがいい。...同類なら解るはずだ』
「同類?...お前もファントムぜ?」
『...貴族共には秘密にしてくれよ』
「そんなことしないぜ...」


『...もしこれが知れれば、俺はここに居られなくなっちまう』
ヒトとの関わり無くしては生きられないと悟った一部のはぐれアームヘッドは、人間のふりをしてその社会の中に溶け込む事を選んだのだった...


ーーーーー


翌日、アルカとレーラビは"土くれの怪人"を追っていた。
「何も君まで付き合う事は無かったのぜ」
「今更何言ってるのさ、僕達の仲でしょ?」
「アルカ...」


「あ...レーラビくん、昨日の怪人の事なんだけど...あの気配、調和能力による物みたいだ」
「そうなのぜ?だが能力を発動したアームヘッドは何処にも居なかったぜ」
「うん、だから僕達で、本体をおびき出すんだ」
「...成る程、そういう事なのぜ」


次回、第06話「土くれの怪人②」に続く。


土くれの怪人
何らかの力で使役されている人間サイズの土人形。
各個体の能力は低いが、数に際限が無い。
夜な夜な現れ、人間の街で人間として生活するアームヘッド達を襲っていた。