しんにくやよんごうてん内検索 / 「十年目の何気ない休日」で検索した結果

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  • 十年目の何気ない休日
    十年目こそ。 また新鮮で初々しい結婚ごっこ一年目が始まろうとしている。 けれどもう、ダメみたい。三度もこんなものに身をゆだねるなんて、もう目を覚まさないと。 流体金属型アームヘッドの調和能力「オンキャスト」 ただ、空間ごと人を模して人の真似をするだけの能力。 これが、私の幸せの正体だった。 あの子との本当の幸せは、三年目の、あの子が指輪を拒んだ日に終わっているから。 私は、本物のあの子と過ごした三年間を真似て、繰り返して、修正して、そうして、四年目を手に入れたいだけ。 けれどもう、薄々感づいている。四年目は来ない。夢ですら、あの子は私を拒む。 だからせめて、あの子が指輪を受け取ってくれた夢を見る。夢でいいから、ただそれだけを。 そのことを認めて鏡台からベッドのほうを眺めると、休日のメリーはまだ眠っていた。左手の薬指には私の渡した指輪が。 まだ朝は五時...
  • 回想録
    ... 九年目のわがまま 十年目の何気ない休日 十一年目のやきもち 十二年目のわがまま 十三年目の日
  • 七年目の何気ない休日
    清々しく、新鮮な気持ちでその日を迎えた。 ああ、あの子の久しぶりの完全な休日。 本当に、新鮮で、初々しい朝を迎えようとしていた。そんな七年目。 早朝、自分の鏡台でアクセサリーに悩む私は今日もかわいかった。 流体金属型アームヘッドを並べて悩む。ふたつは指輪。あと三つ。 ホットドッグを食べに行くだけ、でもかわいい私は常に全力でないと、なんて思った。 けれどすぐに考えるのが面倒になって、イヤリングと舌のピアスにした。 それからベッドのほうを見て、一糸まとわぬ姿で寝るメリーをべしべしとたたき起こそうかと思った。 思ったけれど、やめた。なんだか、それはいけない気がして。 けれど穏やかに起こして起きる子でもないので、鼻をつまんで口をふさいだ。鼻をつまんでキスをした。 するとうーんという声を出すものだから、起きたかな、と目を開こうとすると、この子は首に腕を回し...
  • 四年目の何気ない休日
    「ふんふんふふーん」鏡台に並べた五つの球。アームコアである。私のアクセサリーはこれの形状を変化させて形作られている。 今日はどんな形にしようかしら。鏡に舌を突き出すと、そこにあいた穴がとてもかわいい。やっぱり今日も私はかわいい。かわいいは木から落ちないし棒にも当たらない。人々の視線を拾い上げ視線に当たる。 かわいい私がアクセサリー型アームヘッドを起動する。 ひとつは、指輪。 ひとつ、それからもうひとつは、大きく穴のあいた耳を飾るためのイヤリング。 ひとつは、髪留め。今日はバレッタでまとめよう。 ひとつは、まあ、指輪。 そして、指輪をひとつつけてベッドのほうを向いた。アホがアホ面を晒してマッパで寝ている。それに慣れてしまっている自分。四年目に入ったのだっけ。 「起きて!なんで寝てるのよ!」べしべしと無駄にでかい乳をたたく。 「おひゃあ、おはようございます」 「はい!...
  • 九年目のわがまま
    九年目。この年は嫌い。だって――。 今日は結婚ごっこ記念日。今年で――。 「無理を言ってごめん。でも、一緒に居たくて」 「いいんですよ、お姉さま」 そういって、メリーは細長い箱を取り出した。 私はこの日に差し出されるその箱を知っていたから、とてもつらくなった。今度は、と思った。 仕事の入っていたメリーにどうしても断ってほしいとお願いして、この日を二人で過ごしていた。 「ありがとう。うれしい」 そして、その箱を開けて、ネックレスを首に。私の趣味ではないけれど。 それを見てあの子は微笑んだ。 「お姉さま、それ、似合わないですね。私、お姉さまの事、わかってないな」 「そ、そうかな。私、こういうのも好きよ」 「――お姉さま、あの、ごめんなさい」 あ、と。あ、これは知っているぞ、と。これは、回避できなかったと、そういうことだろう。 「お姉さま...
  • 十一年目のやきもち
    ああ、十一年目。 やっぱりあの子が一番かわいく見える。やきもちだってやいてしまう。 まあ、本物の記憶が一番頑張って我慢していた気もしてしまうのだけどね。 私は、嫉妬深いから。 本当のあの日、つまり二年目のあの日。週刊誌の表紙の水着姿も、画面に映るコメディアンとの交流も、仕事だと割り切って捉えた。 けれど、ふっと流れてきたワイドショーがメリー・ストロベリーの熱愛を報道したときはさすがに耐えられなかった。 「お姉さま、こんなのあるわけないじゃないですか、誤解ですよ。大体この服を着てた日は」 「別に、夜だけが二人きりになれる時間じゃないでしょう」 「私はお姉さましか――」 「そう。じゃあいいけど」 その時も嘘をついてない目に見えた。 だけど私はあの子に不信感を抱いて、それからだ。それから、少しのズレが気になるようになった。 私とあの子は分かり合えないのではないかと思...
  • 十二年目のわがまま
    十二年目の記念日。 やり直してからで言えば三年目。この頃になるともういつだって二人の間はそれなりに冷え始めている。今回は延命すらできなかった。 「お姉さま、わかって。最後位、私の気持ちをわかって」 「なんでよ。どうしてそうなるの。私、あなたを」 「お姉さまの気持ちなんてわからない!好きでもわからない!お姉さま、私のことなんて見てないでしょう!なにか、なにかを後ろに見ているでしょう」 「そんなこと」 「大好きですけど、さようなら」 そう言ってその子は外へ走って出ていった。 驚いた。四度目だけど、これは初めての時と全く同じじゃないの。 あの子が私の指輪を拒んで、出ていった時と全く同じ。 そうだ。だから、今回もおしまい。次の思い出へ。 次の、思い出へは、逃げたくない。 私は、あの子と出会って初めて外に出た。 あの子といるときは甘えていた。夢に縋り付くようにな...
  • 五年目のやきもち
    「ん」ふたりのダブルベッドの上、タンクトップ姿のメリーに私が突き出したのはかなりきわどいビキニ。 「はい!着ますね!お姉さまも水着着てください!」 「なんで私まで」 「これがいいです!」彼女がバッグから取り出してきたのも結構きわどいビキニだった。 この際なんでバッグからいきなりビキニが出てきたかは問うまい。 まず、この場合はなんでかなんとなく知っていたし。だってこのビキニには見覚えがあったから。 私はこの水着を着たメリーの写真を見たことがある。あの子が部屋に置いて行った週刊誌の表紙。それでなんだかものすごく独占欲を傷つけられてしまって、この子にそれよりきわどいビキニを着せようとしている。 メリー・ストロベリーはグラビアアイドルで、水着なんて着慣れていて、魅せるのはもっと慣れていて、けれど私の恋人。 あんまり考えたことがなかったけれど、そういえばそうか。あの子は多くの男の欲情...
  • 六年目のわがまま
    記念日の夜だというのに、そのダブルベッドには一人だった。 ふたりの出会って六年目、結婚ごっこの三年目記念。 私はなんだかむなしくなってベッドから降りた。 それから、床に敷いた真っ黒のカーペットに枕を置いて顔をうずめる。 指輪を渡した日のことを思い出した。あれは三年目を迎えた日、仕事から戻るあの子を待っているときにふっと思い立ったのだ。 けれど私にいつでも使っていいと渡されているお金ではさすがに立派な指輪は買えなかったので、まあこれでいいかと、それを形作らせた。 何に形作らせたかというと、普段は私のアクセサリーにしている五つの流体金属型アームヘッドのうちのひとつである。 あの子が帰ってきてそれを渡すと、それはもう喜んだ。 どうしてだか、あの時にはすでに、あんな子の事を私は大好きになっていた。 プロポーズですね、とあの子は言った。 ごっこよ、と私は返した。 そ...
  • 八年目のやきもち
    ふたりでベッドからモニターを見ていた。 画面の中でつまらない男のコメディアンが、私の恋人にべたべたとくっついているように見えた。 八年目にしてやきもちなんて、と思っていたのに、またやきもちをやいてしまった。 「これ、すごく嫌だったんですよ!あ、お姉さま、やきもちですか」 「そういう顔をしているかしら」 「ふふふーん」 メリーはパジャマ姿の私に頭を預けて擦り付けてきた。その頭に自分も頭を重ねた。 「お姉さま、好き」 「やきもち、やいてしまうわ」 「お姉さまがやきもちをやいてくれるのなんて初めて。貰ってきたグラビアとか、嫌がるかなって思ったんですけど」 「それは」 それはもうした。といいそうになるのを飲み込んだ。 キスしたくなって、我慢した。 そんな八年目。
  • 三話 違和感を抱けない少女とひねくれ眼鏡
    まぁ、私はやっぱり頷いてしまったのだった。 甘い判断は自分を不幸にするって知ってるのに。 変な感じがするんだけど、目の前には並の女の子よりずっとかわいい男の子、その子を挟むようにちゃらちゃらとしていて目が変な方向剥いちゃってる人と、保護者くらいの年齢の綺麗な女の人がいた。 私は絶対自分に関われる範囲の出来ごとじゃないって悟ったんだけど。 でも、正直無理でしょ。かわいそうすぎて、手伝ってあげたくなる。大好きな人の願いを胸に頑張るなんて、応援するしかないじゃない。 もう別れちゃって会えないけど、私はママよりパパの方が好きだった。パパの方がまっすぐだったから。 ママみたいにパパと別れて嘘つきな男と楽しい感じになっちゃうようなのは嫌だったから、だから応援したかった。 そういえば、あれと出会った時も同じだった。 シュガーリィ・ファイン・ナイトメアはそうだった。 彼は死にかけだ...
  • ザ・リベンジ 復讐編:第ニ話
    目の前にヴァントーズが五機、俺はスカージに乗りそれらと対峙する。 スカージのアームコアは連邦の最新機体ゾディアークに搭載されているが、その名前で呼ばれることは少なく専らスカージと呼ばれていた。 結局連邦は帝国に戦線を押し戻され敗北、十年前に休戦した。 帝国に勝利をもたらしたのはたった一機のアームヘッド、セイントメシアだ。 多くのリズの英雄を葬りさったセイントメシアはブラッディフェザーと呼ばれ恐れられた。 スカージはそのセイントメシアを倒すために作られたアームヘッドだ。 背部の特徴的な五本剣が五方向に飛び出たユニットはスターシステム。 スターシステムはいわばアームホーンの毒矢だ、アームホーンを投げ槍の如く飛ばしアームヘッド五体を同時に葬る、対セイントメシアの兵器である。 スカージにヴァントーズが飛びかかる、スカージは五方向にホーンスラスターソードを飛ばし五体同時にアーム...
  • 村井雪那とミザリー・テーリッツ
    今日は私たちの養子になるミザリーが来る日だ。 私たちが秋那とティガーを失ってから二十年にもなる。父さんを失った四十年前と同じくらい悲しかった。こんな悲劇が又あるなんて、その時は思ったものだ。 父さんと母さんが私を養子にした時もこんな気持だったのだろうか。問おうにもふたりとも、もういない。 そろそろ、ミザリーが来る時間だ。 マキータが来たみたいだぞと、私に声をかける。 私は、ミザリーを見たとき、声を失った。 ミザリーは母に瓜二つだった。
  • 「私のパンツをパパと一緒に洗濯しないで。ドーナツくさくなるでしょ」
     最近手汗がひどい。  ある日秋那ちゃんが言った。 「旬香さんって、なんで結婚しないんです?」 「え、えぇーっと……」  ――じわり。  洗濯ものを干していると、秋那ちゃんがそんなことを言う。  マキータとユッキーがハネムーンに月へ行ったので、二人の世話を私がたまに見ていた。  べつに、秋那ちゃんもティガーも大きいので心配は要らないと思っても、やっぱり小さいころから面倒を見ていた側としては気になってしまう。 「旬香さんてモテますよね?」 「え、えぇー……」  モテたらこんな年になってまで未婚ちゃうやい。 「まあ、秋那ちゃんのお母さんほどでもないかな」  ダサいクマちゃんパンティーを干しながら適当に話を逸らした。ってかなんだこのパンツ。だせえ。ティガーくんのかな? 「お、お母さんてモテたんすか……?」  秋那ちゃんが私の手にあるパンツを見ながらもじもじする。これ、...
  • In A Day
    空はコンクリートのような灰色をして、淀んでいた。まるで世界に大きな天井が出来たかのようにも見える。 自室の窓からそれを見つめていたパジャマ姿の少女、空条彼方は、静かにため息をひとつついた。 「今日は、機嫌が悪いのね」 興味を失くしたかのように目を背けてしまうと、彼方はそのまますとんとベッドに倒れこんだ。 外は暗いというのに、部屋の中は何ひとつとして明かりがついておらず、わずかに黴臭い。 必要最低限しか置かれていない生活用品の殆どが白や灰色といった色合いで統一され、年頃の少女らしい色味はまるでない。 しばらく天井を眺めていた彼方だったが、ふと思い出したような表情になると、ベッドの側から何か、毛むくじゃらの物体を引っ張りだした。 少女と天井の間で細い両腕に掲げられたそれは、あちこちが解れてぼろぼろになったクマのぬいぐるみだった。 「……」 見た目というものは案外意味としては大...
  • ラズベリィとマレェドの協力
    まぁ、私はやっぱり頷いてしまったのだった。 甘い判断は自分を不幸にするって知ってるのに。 変な感じがするんだけど、目の前には並の女の子よりずっとかわいい男の子、その子を挟むようにちゃらちゃらとしていて目が変な方向剥いちゃってる人と、保護者くらいの年齢の綺麗な女の人がいた。 私は絶対自分に関われる範囲の出来ごとじゃないって悟ったんだけど。 でも、正直無理でしょ。かわいそうすぎて、手伝ってあげたくなる。大好きな人の願いを胸に頑張るなんて、応援するしかないじゃない。 もう別れちゃって会えないけど、私はママよりパパの方が好きだった。パパの方がまっすぐだったから。 ママみたいにパパと別れて嘘つきな男と楽しい感じになっちゃうようなのは嫌だったから、だから応援したかった。 そういえば、あれと出会った時も同じだった。 シュガーリィ・ファイン・ナイトメアはそうだった。 彼は死にかけだ...
  • エピローグ サンパトリシアから
    カハタレは、世界なんて欲しがらなかった。欲しがっていなかった。 あれはただ、俺に覚悟と行動を促してくれただけ。あいつは優しい。 サンパトリシアの二人の家で目を覚ました。 旨いメシの匂いで目を覚ます、ことはあまりない。隣で寝ている女は朝に弱い。 トーストと紅茶を用意して彼女を起こす。あの日から十三年たっていた。 メシを食って、それから少し散歩に連れて行った。木々は青く茂っている。 昼食は昔彼女が腕を奮って作ってくれたパスタを真似て俺が作った。 チーズとバジルの香りがよかったが、やはり敵わないと思った。 その夜は、ちょっと忙しかった。 彼女を寝かしつけた。朝に弱いから、起きられないと思う。 ごめん縷々姫、これだけは、楽しめなかった。それはそれは泣いた。 でも、それ以外は本当に楽しかったんだ。 不幸から解き放たれたあの子は本当に明るくてかわいかった。いた...
  • お話
    「――こうして、仲間たちと一緒にわるものを倒したトマスは、世界を守ったのでした。めでたしめでたし」 壁のところどころに染みのある温かい部屋の中で、優しく朗らかな声が響いた。 少しぬるくなってしまった紅茶を啜り、声の主は目を輝かせている目の前の子どもたちを微笑みながら見ていた。 子どもたちは座ったままそれぞれの要望を言い合い、部屋の中は大分賑やかだった。 紅茶を啜る音が静かに響くが、子どもたちの声でかき消される。 「次のお話して!次はね、うーんとね、うーんと……」 「今のお話はなんかカッコ良かったから、もっとカッコ良い冒険が聞きたい!」 「えー?わたしはもっとロマンチックなお話がいいー!」 小さな喧嘩を初めかけた子供達の頭に、皺くちゃになった手が優しく添えられ、撫でられる。 途端に「ぼくも!「わたしもー!」と他の子供が、その膝下にさらに近寄り、露骨に撫でられたがった。 「...
  • The -6 Day Wonder:“Wonderland”
    ◎The -6 Day Wonder◎ ◎まだ遠く未来の声 キミと唄うこの聲◎ ――どこまでも、青い空。果てしなく続く草原。 はるか向こうにうっすらと、僕らの住んでいる街が見える。 胸いっぱいに吸った空気は、どこか青臭い草の香りがして。 肌を優しく撫でるそよ風は、バスケットを提げるアリスのワンピースを、僅かに揺らした。 広い草原に、ただひとつ、ぽつんと大きな木が立っていた。 何十年も前から立っていたらしいその木の下で、僕らはため息と一緒に腰を下ろした。 お腹のすいていた僕は、アリスがバスケットを下ろして中身を取り出すのを、今か今かと待っていた。 くす、と吐息だけでアリスに笑われて、顔が熱くなった。 卵やハム、レタスにトマト入り。 アリス特製のサンドイッチの美味しさに、僕は思わず我を忘れてもくもくと食べた。 おいしい、と素直な感想をいうと、アリスは嬉...
  • 巨人戦争英雄譚
    N.T.N.1980年より、十年間に渡って続いた巨人戦争・ギガントマキア。 数多く導入されたアームヘッドの中で、最強の機体がどれかと訊かれたら、 殆どの人々は「血染の羽毛」と答えるだろう。 いまや救世主さながらに崇められ、また俺たちから見ても伝説の機体といえるほど驚異的な存在だった。 だが、何故セイントメシアがそれほどまでに強いと言われるのか。 それは、無名の兵士を数多く葬った戦績だけが、理由ではない。 戦場の鬼神と恐れられていた実力者達―「異名」を持つ者と戦い、また、それを下したからだ。 我々「異名」を持たされた者からすれば、ブラッディ・フェザーを討つ事が同士への弔いであり、英雄への近道だった。 忘れられつつある、あの時代で命を燃やしていた、ツワモノどもの物語を残しておきたい。 「獅子騎士」 「疾風の蒼燕」 「妖怪蜘蛛魔女」 「アームヘッド・トレーナー」 ...
  • 第25話「逆襲レーリレイ」
    これまでのあらすじ メッサー本社ビルは巨大なアームホーンだった!空気中のプロトデルミスが吸収されタイムリミットが迫る中、超大型ギガース"ショグゴス"が襲いかかる! そしてツヴァイヘンダーの前に現れたレーリレイのクーリーローチ...窮地! ストーリー カウンター・アタック 第25話「逆襲レーリレイ」 フランベルグが攻性テトラダイ刀でショグゴスの格闘触手を切断する! 攻性テトラダイは物理的破壊力と熱量を持っており、アームヘッド以外にも有効! 『これじゃキリが無いわ!』 だがショグゴスの格闘触手は液状プロトデルミスで出来ており、幾ら切っても何処からか供給され増殖! ーーーーー 『死ね!』 クーリーローチの左腕部が展開し大口径の内臓ガトリング砲が火を噴く! 「嫌だぜ!」『逃げるな!』 ツヴァイはそれに気付き既に上昇...
  • 油脂で汚れた手でハンドルは握りたくない
     けだるい午後。未調整のコックピットに乗って、操縦桿を握りながら私は技師に細かくシートの調整を頼んでいた。  おおまかな調整はシートの方が自動でしてくれるけれど、細かい部分は人の手に任せるのが良。  12時が過ぎてから2時間ほど調整が続き、ようやくひと段落したところで私は技師たちと休憩をはさむことにした。  ドックのなかにある簡単な円卓とイス。各々が好きに過ごす。 「悪いわね、みんな」  私は左目に眼帯をつけながらコックピットの横に備え付けられた階段を下りた。  固い床は振動を跳ね返して骨に響く。 「なにがです?」  初老の男性が私に訊き返した。 「レインディアーズで、こんなに調整に時間かけるのって私くらいじゃない?」 「ほかの皆さんが早すぎるんですよォ。軍のパイロットはみんな一日くらい調整に費やしてましたよ、時代や時期によりますがね」  彼は御蓮軍の基地で働いていて...
  • ザ・リベンジ 最終話 "セイントメシア・ヴァーサス・スカージ"
    情報通りだ、テロリストの攻撃をあえて放置したのはスカージの力を内外に示すためである。 スカージはスターシステムの他に強化装甲マーダーマスターを装着したフルアーマーモードである。 アームコア反応は2,3,7,4,1,3,2といくつかバラけて複数。 ヴァントーズと弥生の混成部隊、テロリストが旧型機体を奪い武装。 スカージは両肩のサブアームを展開、二機を先端で挟む、そして持ち上げ二機をぶつけお互いの角でアームキルさせ破壊。 放り捨て、さらにほかの反応へ向かう。次は七機集まっているところだ。七つの反応とあった他の反応が同時消失。 五機のレギオス、弥生、ヴァントーズの部隊に衝突。スターシステムを発射せずそのまま回転させアームキルする。 磁力制御によりスターシステムを回収していると不振な音。パチパチパチ。 ――セイントメシアだ。 セイントメシアと対峙するスカー...
  • Denial of Other
    男は敗北した。そして死んだ。 自身の操るものより性能が低い筈の、オリジナルたる白い機体のアームキルを受けた時に、彼の胴体はコクピットごと貫かれていた。 身体から抜けていく血液と体温に背筋を一度だけ震わせると、 彼の意識は虚無に消え、その生命機能はゼンマイが切れたように、緩慢に停止した。 ――ここは。 目が覚めると、そこは見たこともない場所だった。 異様に薄暗く、壁面や床にはやたら複雑な機材のようなものが乱雑に配置された空間。 まるで電線が無秩序に配線された、何処かのスラム街の路地裏のようだった。 しばらくその光景を見つめてから、私は我に返った。 考えなければならない。私はどうして、こんな所にいるのだ。 ここが何処かは解らない。ならば、次に考えるべきは、最後に覚えている光景。 自分がどうやってここに来たのかを思い出せば、ここが何処なのかも解...
  • 終幕:ふたりの時
    これはなんというのだろう、つまり自分の衝動に従った結果というか。 御蓮の大都市にそびえる高層ビル。その最上階の広い広い部屋。全面ガラス張りのおかげで更に広く見える。世界のすべてが見えてしまいそうな解放感。十三年たってもなれない境界のあいまいな部屋。 差し込む陽光のまぶしさはカーテンはしめておくべきだったかと後悔を呼んだ。開けすぎている。これでは、私たちが二人だけではないみたい。 今という瞬間を、この子とだけ二人占めにしたかった。それなのに、開けすぎている。世界中のみんなが一緒にいるみたい。 とても、開けすぎている。この開けた世界で不自然なくらい、私たちだけをのけ者にして。切り捨てて。 その開けた世界で、何よりも狭苦しく息に詰まって嘔吐しそうになる。もしも嘔吐したらどうだろう。虹でも吐き出してしまえそうだ。最低な絵面。くそったれな気分。 窓と窓をつなぐ部分が不自然に空を区切る。視...
  • Page04:世界の、そして彼の
    ――狂気とは、可能性の類似語である。 正気を保つ者ほど、自分の認識の範囲を踏み越えられない。 人間含め、全ての生物が新たな進化を得てきた要因は、紛れも無く狂気だ。 意味を理解されない行動は、新たな意味を創造する。 常識的でない決断は、常識では辿りつけない扉を開く。 君はその可能性に負けた。 だからその可能性に賭けた。 故に、君は既に万能の神ではない。 認識し、探求し、開闢せよ。 ――世界の果て、可能性の境界線より君を待つ。 ◎◎◎ 「……私には……わから……」 ――胡桃は、それだけ呟いて、眠った。 うつ伏せに倒れた状態のまま、彼女はぐったりと力が抜けた体を無造作に放り出していた。 駆けつけたスタッフよって運ばれていく時も、まだ意識はあったローレライやブライアンとは違い、 担架から零れた彼女の腕は、力無くだらん、とぶ...
  • ウィノナ・サニーレタスとアイリーン・サニーレタス
    あの人は急に私を誘った。 『ちょっと。ウィノナさん。Blind alleyで話をしない?』 別に断っても良かったのだが、ミステリアスなアイリーンについて気になることもあったし、誘いに乗ってホイホイ付いていくことにしたのだ。 アイリーンはペペロンチーノを食べながら、私に話しかけた。無邪気なその行動に反して深刻な質問を彼女は投げかけた。いやこれも無邪気な質問ではあったのかも知れない。 『アームヘッドのあなたが、人間に与しているのはなんで?』 お前もそうだろうが、という言葉を飲み込む。少し思案をしていると続けて投げかけてきた。 『やっぱり、あの子のせい?』 『そうじゃない、人とアームヘッドとのわだかまりを…』 アイリーンはニヤニヤしながら聞いている。 『ふーん、それで、あなたって最終反乱に参加していたんでしょう?どうだった?』 『どう?っていうと...
  • 第三話「花道・イン・ザ・フレイム」
    「……今何時だ、ユメ」 「5時35分。もうそろそろね。みんな、準備はいい?」 回線越しの青年の言葉に、ユメと呼ばれた女性が答えた。 続いたユメの更なる回線越しの言葉に、複数の者達が、やはり回線越しに「ヤー」とだけ答える。 朝日が昇りだして間もない、静かな街の片隅に、複数の巨大な人型が鎮座していた。 青年とユメが座っているのはそれぞれの巨大な人型のコクピット内で、正面モニターには視点がかなり高い街の景色が映っている。 「敵は"ワーカー"級、"ステインドロー"級、及び"パースエイダー"級と推測……発見次第、早急に迎撃・殲滅せよ、か。連中も飽きないな」 「レンチだって凝り性じゃない、お互い似た者同士なんじゃないの?類はなんとやらって言うし」 「はッ、光栄だな」 レンチと呼ばれた青年は、ブリーフィングで知らされた敵勢力を...
  • かくづけっ!
    マキータ『おい幸太郎、ここはどこだ?』 村井『俺に聞くなよ』 マキータ『ていうかお前何故生きてるの?あの時に…。ん?なんで頭の上にドーナツ付けてんの?』 村井『ドーナツ?なんのことだ?』 アイリーンちゃん『ようこそ(^ω^)』 村井『あんた誰?なんかすげーあんた見てると鳥肌たつんだけど』 マキータ『俺もだ』 アイリーンちゃん『今日はお二人をあむへっ!格付けランキングにご招待!』 村井『マジか・・・』 1.アムへの操縦が上手い人ランキング マキータ『おいベストテンに俺ないんだけど・・・』 村井『ざまああああ、俺五位!!!』 マキータ『そんなに自慢することか?それより一位のマクータ・イグザイクスってのに作為を感じるんだが・・・』 エクジコウ「不正はなかった」 村井『ごまかしてるなよ...
  • 狩りぐらしの有江ッティ
    ここはマクシミリアン・ハンババーガー、ヘブン学園前店。 和野くん『ご注文は?』 有江ッティ『おれはジャンクフードは食わねぇ』 そして俺は―僕は、ヘブン学園2年生代表生徒の有江くん。 今は―休日は、有江ッティという偽名を使って活動している。 なんの活動かって?さぁ、言っても分からないかもな。 もちろん何かの手先という訳でも、私欲のために踏ん張ってるのとも違う。 強いて言えば。この俺はこの為に生まれ、この世界にそう運命づけられていると言えるかも知れない。 俺がそれをしなければ、きっとこの世界は静止して永遠の静寂に包まれてしまうだろう。 「狩り」だ。 俺は自らの「堕ちた世界」を駆って狩りをする。 ―――さぁ、狩りの時間だ。 戸升くん『ボリボリ。ピクルスうまい』 ビキビキビキビキ。バリィッ 戸升くん『あ、ピクルスに...
  • 第三話「水の消えた日」
    ここは「N.E.S.T.」。 突然現れた怪獣「バイオニクル」と戦う防衛組織の本部基地だ。 イブ隊長「ふう…最近怪獣が多くてデータ管理も大変ね」 ゼロ隊員「水持って来ようか?」 ヨシダ隊員「そうなると思って超神水を持って来た」 マトア隊員「大変です!」 イブ隊長「どうしました?」 マトア隊員「蛇口から…うどんが出てきました」 ヨシダ隊員「なん…だと…」 そしてマトア隊員とニトロ隊員が水道管を調べ始める。 マトア隊員「水道はうどんしか流れてないですね…水が一滴も無い」 ニトロ隊員「下水道もうどんしか見えないwww 2人の調査の結果、うどんは水を供給する元から流れてきている結論になった。 ダーヌ隊員「どうやら周辺の一般家庭でも同様の現象が起こっているようです」 シグレ隊員「水道局から電話が来ま...
  • 第五話「結成」
    「……"バイオニクル"?」 ガラクタはユメから聞いた、その全く聞き慣れない固有名詞を、怪訝な表情で繰り返していた。 そう、とユメは相槌をつくと、更に話を続けた。 「今から十年以上前よ。私がまだまだ小さかった頃。あいつらは世界中のあちこちの都市に何の前触れもなくやって来て、破壊の限りを尽くしたの。街の人達は為す術もなく犠牲になって、当時の軍隊や自衛軍の持ってた兵器は、殆ど意味がなかったらしいわ」 ユメの語り口調は、その内容に反してそこまで陰鬱なものでもない。 ガラクタはその事に安心しつつも、先程より少し控えめな態度で彼女の話を聞いていた。 「あいつらはその後も、何度も何度も群れで襲いかかってきた。その度に多くの人達が死んで、街が消え去って……今までに、50以上の街が焼け野原になったらしいわ。幸い、まだこの"テッパン・シティ”はそうなってないけど」 ...
  • 大破局
     超巨大新生エネルギープラント『テトラ・レース・ノワエ』の建造。  これによって慢性的なエネルギー問題は解決されるのだと、誰もが新時代の光明へ期待を抱いた。  しかし、初期起動実験の最中にプラントのシステム暴走が発生し、炉心が臨界点を超過。規格外の大爆発を起こしてしまう。  瞬間的に膨張した極熱量はプラントを中心として急速に拡散していき、驚異的な爆炎と衝撃波で大陸を席巻する。途方もない量の煤を含んだ高音の空気が上昇気流を生み、惑星全土を猛風が吹き荒れた。  上昇する高温の空気が成層圏に数千万トンの煤を降り注がせ、これがヘヴン全土を覆う。  そうして数十年に及ぶ極寒期が到来。人々は基幹施設に収容されたが、備蓄資源が費えたことで環境変化に適応できず大多数が死亡してしまう。  結果、人類は総数の実に8割強を喪失し、文明も維持が不可能となり崩壊した。  これは後に、ヘヴンの様相を一変...
  • 0001
     その日は誰しもがいやな気分になるような日だった。  振り続ける雨、轟く雷。  カラスは叫ぶように泣き続ける。  まだ昼前なのに窓から入る日は暗い。 「……」  エマは一人、バーのカウンターに座って足をぶらぶらさせながらぼおっとしていた。  バーの主であるブライアンは買い出しに出かけ、セリアは暗い顔で出かけると言って出ていった。  話し相手もいないし、エマはずいぶん暇をしていたのだ。  自分も一応はブライアンから各種酒の扱いやカクテルの作り方は教わっているのだし、いっそのことお客でも来てくれれば話し相手になって暇も潰せるはずだ。 「すいません」  そう言って一人の男が店に入ってきた。ナイスタイミングだ。そう思いながらエマはカウンターの奥に回った。 「初めてなんですけれど、おすすめは?」  男はカウンターに着くなりそう言った。 「そうですね――」  エマが答えよう...
  • Code-05
    「この感覚だ。俺が欲しいのは――」 誰にも向けられていないセレトの呟きは、そのまま何もなく無意味な空気の振動として消え去るはずだった。 だがその直後、通信から覚えのない声音が響いてきた。 「もっと欲しくない?」 「何?」 「なに、じゃないだろうそこの君。そういう非社会的な言動は自宅の中の更に自室で呟くべきだ。実際私みたいなのに聞かれているだろう」 まるで十年来の知人と酒場で話すかのような、朗らかさと呆れの混じった口調に、セレトの苛つきと警戒が加速度的に増した。 「でも、気持ちは解るよ。アンコールに応えよう」 セレトが相手の素性を尋ねる間もなく、突如敵性反応のアラームが鳴り響いた。 刹那、セレト機のすぐ横を『何か』が過ぎ去った。 セレトが機体を反転させながらレーダーを確認する。『それ』の反応はしっかりあったが、異様な速さ。 本能的恐怖すら覚える程の。 ...
  • もう失うものは何もない
    基本的にアルバムは最初の方の曲が好き。吉田組です。 (同じ曲ヘビーローテーションする奴はマジキチ) 最近は妄想ばかりしていて書いてないって半年くらい言っている気がする。 ムスタンがニキータにレインディアーズに誘われて代わりにアイリーン紹介するエピソードととかね。アイリーンちゃんがトナカイ数匹相手に本気出す的な。 まあ戦闘描写すごく面倒くさいけど。 だが妄想は楽しい。時間かかんないしな。 アームヘッドもパーツがあればなー。作るんだけどね・・・。アビススカージの方向性が見えてきたんだけどね。 ニクル界って留年組が政治的傾向が強いよね。って今日思った。元老院は俗世界に関わらないで自分を高める仙人っぽい感じ。 留年組って卒業できない人ね。まあニクル卒業したっていうやつは嫌いなんだけどさ。 黒いバイオニクル氏とチキンフォーが同盟を組...
  • デストネイター
     砂塵舞う荒涼の大地。雑草さえ生えない罅割れた地平。  生命力の枯渇した世界には、漫然とした死の影が揺らいで覆う。かつて優れた文明を抱いていた惑星は、その栄華を忘れて久しい。破滅的な大災害が天地を舐め、生きとし生ける者と、彼等の築いた全てを薙ぎ払ったが故に。  暗鬱とした曇天が空を塞ぎ、その隙間から漏れる虚空の色は血塗られた朱。遠い山々の稜線には雷電の嘶きが木霊し、青紫の稲光は明滅を繰り返す。吹き渡る風はどこまで渇き、荒んだ熱味を交えて逆巻いていく。木々の緑は何処にもなく、せせらぐ河川も望めない。  そんな大地を一台のジープが走っていく。四輪の駆動に合わせて砂煙を吐き散らせ、猛スピードで荒野を駆ける。乗っているのは年若い男女。二人の顔には焦りと恐怖が張り付いて、双眸は何度となくバックミラーを覗いていた。ジープの後方から、追ってくるモノがある。  四本の脚で地を踏み叩き、猛然と追走し...
  • 五番目のティアーズ、ブラインド・アーリィの誘い
    時は2013年。王の目覚めを見ていた。ついに寝たふりをやめたようだ。 対する我が主は寝ていた。だが良い。彼女は私の言うことに協力してくれるから。 良い、とは言ったが、やはり彼女の助けなしでは難しいところがあろうか。目を覚ましてもらうとしよう。 主、主よ。ペスカトーレ・シウルよ。 「ん、うぅ……」 目を覚ましてくれ。主。 「んわあぁっ!」主はティアーズである私の中でがばっと目を覚ました。 私はティアーズが五人目、ブラインド・アーリィ。縷々姫の中にある今という概念。 目を覚ましたばかりの主は辺りを見回して髪はバサバサと揺れている。未だあちこちを見ているので、私の立つ崖の下を見るように促した。覗き込むようにモニターを見るとおぉ、と声を上げた。 崖の下の小屋の前でひとつの同胞を喰らい、ついに王が目を覚まされた。我が王はまるで否定の意思が形を成したようだった。鋭く、不幸...
  • The -4 Day Wonder:“Singularity”
    ◎The -4 Day Wonder◎ ◎I know to I know◎ ――ここは。 泥のような暗闇から、僕の意識はやっと目覚めた。 まるで精神そのものにタールのようなものが纏わりついているような、不快な感覚。 周囲を見回すと、僕は自宅の、自分の部屋のベッドの上だった。 ……夢?いや違う、そんな筈はない。 何故なら、左手首にあの端末があるからだ。 アリスは。セリアは。ワールド・ナーブは。 僕はカレンダーを確認しようとして身を起こそうとして―― そこで、やっと気付いた。身体が全く動かない。 それどころか、僕の身体は僕自身の意思を無視して、勝手に動いていく。 (なんだこれ…!一体、なにが……) 「……今日も学校か」 ――僕の口が、勝手に喋った。 僕の意思を一切無視して、僕の身体はまるでロボットのように勝手に行動していく。 そうして『...
  • 傭兵夫婦記2:機動要塞跡
     新光皇歴2233年。  かつて引き起こされた惑星規模の災厄「大破局」以後、生き残った人類による文明再興の中心地とされたのがアイサ大陸。  四大大陸の一つであり、南西圏から南部山帯までを含む其処は、数多く自治都市が復興を刻んだ新しい繁栄の地だ。  しかし大破局直前まで繰り返されていたヘヴン全土を巻き込む未曽有の資源戦争は、あらゆる場所に深刻な爪痕を遺している。  果てしなく高度な文明を築きながら、それを支える物質的資源の欠乏により、人類同士が醜く陰惨な殺し合いに耽った時代。  自国を存続させるために他国を侵し、住民を虐殺し、全てを焼き払い、根こそぎ資源を収奪する。その蛮行が是とされ、誰もが必死に繰り返していた時代。  血で血を洗う大闘争が惑星のあらゆる場所で続き、法も秩序もなく、数限りない大量破壊兵器が只管に投入された。死と破滅に彩られ、人命が塵よりも軽く扱われていた時代...
  • 「要塞の男」
    十年も続いたギガントマキアの中には、やはりというか幾つもの都市伝説が存在する。 超兵器の急速な普及によって混乱を極めた時代……。 その裏でうごめいていた多数の思惑に、偶然触れてしまった者の話だ。 パイロット達の間で囁かれていた都市伝説『要塞の男』。 ”空が分厚い雲で覆われ、暗澹とした荒野に彷徨う時。  霧の彼方に聳える影が、山となり、丘となり、崖となり、岩壁となり・・・・・・。  遥かな背景から次第に迫り、そのどれでもない実態を現した巨大な要塞は、  ひたすらに地を滑り、あらゆる物を噛み砕き、全てを飲み込んでいく・・・・・・ ” 多少のばらつきはあるものの、噂の全容はこのようなものである。 いつ、誰が言い始めたのか、どこで誰が目撃、あるいは遭遇した出来事なのか、何故それが『要塞の男』と名づけられたのか? あるいは作り話や例えとして、夜間戦闘や...
  • 第05話「土くれの怪人」
    これまでのあらすじ 旅を続けるアルカとレーラビが次にたどり着いた場所は人間の街だった。 そこで「夜な夜な現れる謎の怪人」の噂に、二人は巻き込まれることとなるが...? アームヘッド・ストーリー:リターン・デイズ 第05話「土くれの怪人」 ...深夜、人通りの無い街道。 ひどく怯えた様子の長い黒服の男が、"何か"から逃げていた。 『くっ...逃げきれねえ』 背後からゆらゆらと揺れる形の崩れた人型の影! 男は振り切るように逃げるが、遂に行き止まりに追い詰められてしまった! 『ここまでか...』 人型の影の腕が変質し、鎌のような形状へと変わる! だがそこへ足音と共に新手の影! 「そこまでだぜ!」 駆けつけたレーラビは大型ライフルで人型の影を殴りつけた! 「...ぜ?」 人型の影はその一撃を受けて、呆気なく砕...
  • Angel(Footsteps)
     轟くファンファーレに花火。  輝く太陽を据える空の下、中央政府のケフィーヤ、シャングリラ宮殿前の広場に正装をして一人の男が立っていた。  彼の周囲にはずっと年老いた人々が群がり、死肉に蠢く虫のようにみえる。  男の隣に一人の女性が葡萄酒の入ったグラスを片手にやってきた。  彼女は虫の天敵なようで、虫たちはちらちらと二人を見やりながら少しずつ距離をとっていく。 「ごきげんよう」  青年と少年の境目にいる彼は声をかけられてようやく隣にやってきた女に気付いたらしかった。  旧御蓮軍の軍服に、ベレー帽。左目には眼帯。セミロングの髪は黒い。 「退屈そうだね」 「……あなたは?」  ビー玉のような目で男は女を見つめた。 「レインディアーズの芳田だ。」  ふと、男の脳裏にあの戦いで現れた青い機体がうかぶ。 「今回の戦闘での証人として呼ばれたんだ。本当は彼方が来るはずだったんだ...
  • 第64話「鋼のハート④」
    これまでのあらすじ 本性を表したRRRR、傷つくアルカ、探すハリッコ、圧倒する雷電のオーバーン。 追い詰められた古代の英雄は、レプリカの世界の中心で「ぜ」を叫び、吠える。 気の遠くなるほどの時間、止まっていた何かが、再び……… アームヘッド・ストーリー:リターン・デイズ 第64話「鋼のハート④」 「貴様が言うんじゃあないぜ!!!」 その叫びと共に、LLLLの身体を覆う青いオーラの中に、僅かだが赤いオーラが混ざり始める! 「俺は…俺はセイル・ライラビットだ!他の何者でも無い!!」 『いや、違うな!』 更に畳み掛けるオーバン! 『確信した!お前には残っているのだ!』 ゼルジギオンの巨体が唸り、強烈なパンチが繰り出される! 『あの男の記憶が!あの男の残滓が!!』 LLLLはハンドホーンでその一撃を逸らし、一気に距離を詰める! 「黙れ!...
  • 五話 非力のドロップ
    ドロップ・ルインの乗る列車の中には沈黙があった。 実際は騒々しい車内だったが何も聞こえなかった。 景色について話したし、弁当の味も伝え合った。だが結局のところ、それは空っぽで、嘘で、当然何も残らなかった。 ただ、揺られながらサンパトリシアを待つ。 緋に染まる村から逃げて、一週間たっていた。 ゆらゆらと、穏やかで、なんだか死んでしまいそうな心地だった。 奥の車両からどかどかという重い音が聞こえてくる。 まるで小規模な隊列のようだ。連結部の扉が開く。 車両を跨ぎ、こちらに向かってくる屈強な男。この軍服の男のことは知っていた。アイザック中佐、軍にいて彼を知らぬ者は居ない。 彼はやはり、隊列を従えていた。 その屈強な男は俺の隣のか弱い女の子を掴んだ。どうしてか実感がわかない。 「ガリア王国軍である。ついてこい」端的に言い放つと、隣にいた俺のことも拘束するよう指示した。 ...
  • 第39話「禁断のXドライブ②」
    ぜんかいのあらすじ 4つのアームヘッドのデータを集め、ついにパーフェクト・クアドレイが完成するが、レイル・レーラビはその瞬間に意識を失い古代ヘブンの「誰か」の記憶にアクセスしてしまう。 名も無き氷の剣を借り、文明崩壊の危機に立ち向かう青い髪の男の正体とは…? アームヘッド・ストーリー:リターン・デイズ 第39話「禁断のXドライブ②」 生命を蝕む紫の霧を剣で払い、赤い森を進むと銀色の池。 その水面に浮かぶ巨大なオブシディアンの結晶から、紫の霧が発生しているようだ。 「原因はこれか…」 結晶を破壊するべく、銀色の池に近づく男…だが! 『?????』「!!」 奇怪な言語と共に、水底から飛び出す謎の生命体!! おお見よ!皮膜の無い小麦色の紐状繊維が無数に絡まったその体が、ズルズルと何かを啜るような音を立てながらスープをくぐり光沢を纏い宙を舞...
  • 第29話「呪詛の根源へ④」
    これまでのあらすじ 紫の肌に緑の髪の男、8番目の尖兵バルバルの体に蓄積された毒を受け、ダメージを受けるレーラビ。 そして、一人になったアルカの前に現れた9番目の尖兵ゼロノヤマ。 この危機的状況に、二人は…? アームヘッド・ストーリー リターン・デイズ 第29話「呪詛の根源へ④」 「なっ…もう一人居たのぜ!?アルカ逃げ…」 背後に気を取られるレーラビ!すかさずバルバルの毒手突き!! 「全身紫色になって死ね!」 躱し切れず直撃!毒を注入される!! 「ぜ!しまっ…うぐ」 そのまま全身が麻痺して倒れる! 「レーラビくん!…んんっ!」 身動きが取れなくなったレーラビの目の前で、アルカがゼロノヤマに捕らえられる! 「ヒヒヒ…ゼロノヤマ、まだ殺すなよ…じっくりと痛めつけてから殺るんだ」 「や、止めるのだぜ…目的は俺だけのはずだぜ…」 「そう...
  • 第28話「呪詛の根源へ③」
    これまでのあらすじ レレラとハリッコの操る《デュアレイド》に《アンデッドバスター》のデータを奪われながらも、遂にファクトリーへ到着した二人。 不安を覚えるアルカ、焦るレーラビ… 近付く旅の終わり、そこで待つものとは…? アームヘッド・ストーリー リターン・デイズ 第28話「呪詛の根源へ③」 レーラビは導かれるままゲートを開き…アザーフォビア内部施設"ファクトリー"へと辿り着いた。 「…ここまで、本当に長かったぜ」 壁や床は無造作に配置された配管で埋め尽くされており、常に何かを切削する機械の駆動音が響いている。 「待ってよレーラビくん!」 「すまないぜ、何かに呼ばれたような気がしたのだぜ…」 追いつくアルカ、虚空を見つめるレーラビ… 「気を取り直して先へ進むぜ」 「…うん」 二人は一本道を進み…壁に寄りかかった白...
  • 「コータロー・ムライ暗殺計画」
    ”血染の羽毛”のようなエースパイロットにとっての敵は、戦場で相対するアームヘッドだけとは限らない。 優秀な者は常に危険に晒され、生身でいる間でさえも気を抜いてはいけないのだ・・・・・・。 暗闇に浮かび上がる、ミーティングテーブルを囲む複数の人影・・・・・・! 彼らは険しい表情で、互いに睨み合っている。 しかし真に睨めつけているのは目前の人物に対してではない。 「・・・・・・セイントメシアが我が軍に与えている損害は、周知の通り余りにも甚大だ・・・・・・」 「綿密に計画された作戦の失敗、優秀な人材の損失・・・・・・。  そのほとんどが、奴の、ただ一機のアームヘッドの仕業であると言っていいだろう」 「我々は、一刻も早く、”血染の羽毛”を葬らなければならぬ。  そう、どんな手を使ってでもだ・・・・・・!」 「・・・・・・『邪なる...
  • Page13:ニューストライプにて
    ――白く巨大な鉄の翼が、長大な滑走路の上をしばらく滑り、停止する。 障害物のひとつも在り得ないアスファルトを踏みしめるランディングギアの金属音も、 本体のジェット音で、漏れ無くかき消されていく。 その腹からわらわらと歩み出てくるのは、容姿も服装も十人十色。 黒いスーツに身を包み、焦るような表情で腕時計をちらと見る青年。 胸躍る興奮のままに声をあげ、困ったように微笑む両親に手を引かれていく少女。 いかにも高級そうな上質のコートを羽織り、妻と思わしき女性と共にエスカレーターを下りる壮年。 統一性もへったくれもない人々が、殆どつっかえるようにして空港内へと流れていく様は、 極めて乱雑だというのに、どこか無機質ですらあった。 その中で、一際周囲の視線を集めながら進む二人がいた。 片方はまるで人形のような、非人間的なまでの端麗さを持つ金髪翠眼の女性。 そしてもう片方...
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