【SS】もしアムロがジオンに亡命してたら part7-1

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【SS】もしアムロがジオンに亡命してたら part7-1 8 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/12/13(月) 00:22:24 ID:cpY5quGU0 [1/6] 「諸君、このオデッサでの会戦は、我々にとって単なる通過点に過ぎないという事を忘れるな」 ミハルとハマーンの手伝いをしようとハモン、そしてセイラとメイが示し合わせてブリッジを出て行ったのを見届けた後、シャアはそう言って全員を振り返った。 「サイド3のアンリ准将が密かに、しかし着々と足場を固めてくれているそうだ」 シャアの言葉に、アンリの勅使として派遣されて来たアンディが誇らしげに胸を張った。 アンリ・シュレッサー准将はザビ家の支配するジオン本国にあって、旧ダイクン派の軍人をはじめ反ザビ家の政治家や有力者を秘密裏に統括している。 殆ど絶望視していたキャスバルが生存していたとの報告が、彼を奮い立たせた事は間違いない 政治的な基盤を持たぬシャア達にとって、アンリの働き無くしてその未来は望むべくも無いだろう。 「ジオン軍がこの戦いに勝利すれば大きく戦局も変わるだろう。だが」 シャアはそこで、もう一度全員の顔を見回した。 「この話の続きは、再びこの場所で、諸君らと共にオデッサ勝利の祝杯を上げてからするとしよう。 その際ここにいるメンバーの一人でも欠けている事は許さん。肝に銘じておけ」 「・・・ハッ!」 感激の面持ちでラルが敬礼すると、場の全員がそれに倣った。 「あー・・・俺達はもう一蓮托生だから構わんがなあ」 しかしその時、一同の後方から黒い三連星のガイアが突然、場にそぐわぬ厳つい声を上げたのである。 何事かと振り返った全員が注目する中、ガイアの視線はアムロの横に立つニムバスだけに向けられている。 「・・・そうでない奴にシャア大佐の秘密が漏れると厄介だぜラル中佐ァ」 「む?何の話だガイア大尉」 いぶかしげにそう聞き返したラルの横を無言ですり抜け、ガイアはそのままニムバスの2メートルほど手前で立ち止まった。 アムロはオルテガとマッシュがいつの間にかブリッジに一つしか無いドアの前に移動し終えている事に気が付き、イヤな予感に身体を強張らせた。 「・・・知ってるぜえ。お前、キシリアの忠犬ニムバス・シュターゼンだろう?」 「キシリアの威光を笠に着て親衛隊気取りだった自称『ジオンの騎士』様が、何でこんな所にいるんだ?ああん?」 ドアの前で外部への退路を塞いでいる格好のオルテガとマッシュがニムバスに睨みを効かせている。 珍しくオルテガがメイと別行動をとったのには、こういう理由があったのだ。 「シャア大佐やアムロに取り入り、まんまと青い木馬に潜り込んだまでは良かったが、どっこい俺達の目は誤魔化せんぞ。残念だったなスパイ野朗」 「俺達は大佐やアムロみたいに甘くねえ。人間てのはそう簡単に変われるもんじゃねえのさ。 ・・・生きてここから出られると思うなよ?」 「・・・!」 咄嗟にいつのも鋭い舌鋒でガイアとマッシュに反論しようとしたニムバスはしかし、心配そうに自分を見つめているアムロの顔を直視した途端、ハッと口をつぐんでしまったのである。 長い間とらわれていたキシリア崇拝の枷から解き放たれた事で、ニムバスは自身の過去の姿を極めて冷静な視点で振り返る事ができる様になっていた。 もはや痛恨の思いしかその記憶からは見出せないが、そこには確かに無様な自分がいたのである。 だからそんな『唾棄すべき姿』を知っている者が、ここにいる自分に疑いを持つのは無理もあるまい・・・と、今のニムバスは思い巡らせる事ができてしまう。 現に、あのジョニー・ライデンもそうだったではないか。 9 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/12/13(月) 00:23:34 ID:cpY5quGU0 [2/6] 「グラナダでは、うっかりキシリアの陰口を漏らした俺の部下が貴様に見咎められ、半殺しの目に合わされた。 俺達がそれを知ったのは、貴様と入れ替わりに月に戻った後だった」 「・・・・・・」 ニムバスは固く目を閉じた。 ガイアの言った事は嘘ではない。全ては自分の蒔いた種なのだ。 長い間燻っていた怒りの炎を今まさに燃え立たせようとしているガイアに『現在の自分の心境は違う』のだと、どんなに言を尽くして説明をしてもムダだろう。 せいぜいが都合のいい自己弁護だと思われるのが関の山だ。 そして何より、この分ではこの先また同じ様な事が何度も起こるに違いないという諦観が、雄弁なニムバスから完全に言葉を消し去った。 その頭の片隅には、ここで自分が消え去ってしまえば、自分の事でこれ以上アムロに迷惑を掛けずに済むという考えも過ぎっている。 しかし、ガイアは深く何かを考え込んで絶句したニムバスを見て、悪い意味での確信を持った。 「見ろアムロ。奴はやはりキシリアのスパイだったんだ。黙っているのが何よりの証拠だ」 「違う!何を言ってるんですかガイア大尉!!どうしたんですニムバス中尉!違うって言って下さい!!」 「え?え?ニムバス中尉!?このままじゃ本当にスパイだと思われてしまいますよ!?」 突然石の様に固まってしまったニムバスに動転するアムロとバーニィを横に押し退け、ガイアはゆっくりとホルスターから拳銃を抜いてニムバスにピタリと狙いをつけた。 「ち、ちょっ、ガイア大尉、物騒な物は・・・ナシにしましょうや」 「おい!場所を弁えろ!!シャア大佐の前なんだぞ!」 「黙れ。貴様らはコイツのキシリアに対する忠誠と狂信を知らんのだ。 野放しにしておくと腹を食い破られるぞ」 引きつった笑顔を浮かべ両手を開いてとりなそうとしたコズンと、拳銃を見て色をなしたクランプを、ガイアはぴしゃりと遮った。 「お騒がせして済みませんなシャア大佐。とりあえずコイツは拘束して独房にぶち込んでおきます」 「待て。・・・ニムバス、お前は本当にこのまま何も弁明しないつもりなのか」 「・・・・・・」 シャアはそう言葉を掛けたが、ニムバスは相変わらず無表情に押し黙ったまま動かない。 当の本人がこれではシャアとしてもどうする事もできなかった。 「しょ、少尉。こりゃいったい全体どうなってやがるんです?」 「黙って見てな。コレは他所モンの通過儀礼みたいなもんよ」 思わぬ成り行きに、ニムバスとは初対面となる闇夜のフェンリル隊にも動揺が走っている。 だがマット・オースティンの懸念を、数多くの部隊を渡り歩いて来たレンチェフがポケットに手を突っ込んだまま余裕タップリに一蹴した。 「そんな悠長な事を言っていて良いんですか!?」 「あのニムバスとかいうのが本物ならば何の心配もいらん」 その横ではシャルロッテの小声での抗議を、今度は腕組みをしたル・ローアが遮った。 サンドラ、ソフィのフェンリル隊女性陣も眼前の成り行きを固唾を呑んで見つめている。 と、そこへ 「ちょっと待ちな」 突然、ジョニー・ライデンが不機嫌な面持ちで前に進み出、ニムバスとガイアの間に割って入ったのである。 瞬間、ガイアの脳裏に以前アムロに近付こうとした際、今の自分と同様にクランプとコズンの2人によって前を遮られたオルテガの姿が甦った。 場所も確かこのブリッジだった筈だ。 彼等にとっては面白くも無い巡り合わせであろう。 ニムバスに背を向け、ガイアに対したライデンはその鋭い眼光を心持ち柔らげた。 10 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/12/13(月) 00:24:25 ID:cpY5quGU0 [3/6] 「落ち着きなよおっさん。コイツは普段はやたらと口数が多いくせに、肝心な所じゃあ余計な事を考えすぎて無口になっちまう面倒臭い奴なのさ」 意外なライデンの言葉に背後のニムバスが息を呑み、その瞳が大きく見開かれた。 「何のマネだ若造・・・貴様、そいつの肩を持つつもりか!?」 「そんなつもりはねえ。俺もおっさん達と同じ様に、最初はコイツに疑惑を持ったんだ。 だがコイツの疑いは晴れてるぜ。俺が直に拳を交えて確かめた」 ギリリッという歯軋りの微かな音を聞いた気がして、コズンは慌てて隣に立つシーマを振り返った。 ニムバスの前に立った為にガイアの銃は、今はライデンの心臓に狙いを付けている。 シーマはその状況が気が気ではなかったが、ここはライデンの正念場なのだ。それが判る彼女だけに、今は動けないでいるのである。 「拳を交えた、だと?そいつと本気で殴り合ったって事か」 「いや拳だけじゃねえ、蹴りも関節技も使ったアルティメットでだ」 「ほう、どこで戦(や)った」 「ロドス島のハンガーさ。ここの連中が証人だ」 そう言いながらライデンが視線を周囲に向けると、それは本当かと俄かにガイアの目の色が変わった。 ちらりとシャアを見やると、彼はガイアにその通りだと軽く頷く。 オルテガとマッシュも興味深そうな顔で目配せするとドアの前を離れ、ガイア達に近寄って来た。 「それで、貴様らのどっちが勝った!?」 「ん?どっちと言われてもなあ・・・」 ガイア達の予想外の食いつきに戸惑うライデン。 そういえば、黒い三連星は3度のメシよりもケンカや格闘技に目がないと話には聞いた事がある。 彼等3人、見るのも戦るのも殊のほか好きらしい。 「・・・悔しいが、多分勝ったのはニムバスの方だろうな」 「いや、状況を鑑みるにそれは正確な判定では無い。どちらかと言えばライデンの方が優勢だった」 「ふざけるな。ありゃどう見てもお前の勝ちだったろうが!」 自分の立場も忘れ後ろから異を唱えて来たニムバスに、振り返ったライデンが本気で口を尖らせた。 意表を突いた成り行きに、彼等以外の一同は呆気に取られた顔をしている。 「・・・男って」 微かに聞こえた溜息混じりの呆れ声は、シャルロッテの物だったろうか。 「あのなあ!誰にも言わなかったが俺はあの後3日間、アゴがガタついてメシが上手く食えなかったんだぜ」 「私だって数日間、肩より上に右腕が上がらなかったのだ!総合的に被ったダメージはこちらの方が上だ!」 思わずアムロとバーニィは顔を見合わせた。そんな素振りは2人とも微塵も見せてはいなかったのである。 意外な場面で知られざる事実判明、と、いったところか。 「四十肩じゃねえのか」 「なんだと!?」 「まあ待て。待てお前ら。それで?コイツと殴り合った貴様は、コイツを信じるに足る男だと踏んだ訳だな?」 「おうよ。殴り合いの中では誤魔化しは効かねえからな」 「判ってるじゃねえか若造!確かに拳は嘘をつかねえ!」 オルテガの問い掛けに自信たっぷりに頷いたライデンを見て、マッシュも我が意を得たりと首肯した。 基本的に酒と拳で判り合うのが彼等【黒い三連星】の流儀なのだ。 酒とケンカのヤれない奴は信用しねえ・・・そう彼等は普段から主張してはばからない。 そんな彼等だからこそ、どんな理屈よりも納得できる心理がある。真理と言い換えてもいい。 命を掛けた刹那にこそ、その人間の持つ本性が無慈悲に暴かれ、さらけ出されるのだ。 極限状況では咄嗟に、真っ直ぐな人間は真っ直ぐな、臆病な人間は臆病な、姑息な人間は姑息な、卑怯な人間は卑怯な振る舞いをしてしまう。 どんな人間でも絶対に、戦いの中で自身の持つ内面を隠し通す事は不可能なのだ。 そしてこれは何も生身のケンカに限った事では無く、MS戦においても当て嵌まる。 その見極めを瞬時に行い、対処し得るからこそ、彼等は名パイロットたり得ているのである。 マッシュは愉しそうに、その隻眼をガイアに向けた。 「ようガイア、この野朗のミソギは済んでいるらしいぜ?」 「そのようだが・・・いや、しかしな・・・」 そう言いながらも、いつの間にかガイアは銃を下げている。 11 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/12/13(月) 00:25:44 ID:cpY5quGU0 [4/6] 3人の態度から殺気が消えかけている事を察知したライデンは、畳み掛けるように言を継いだ。 「コイツが何か不始末をやらかした時は、俺が責任を取ってやるぜ」 「調子に乗るな若造!貴様に責任なんぞ取れるか!!」 一転、にべもないガイアの言葉にライデンは口をへの字に曲げた。 確かに昇進したとは言え、たかだか中尉でしかない自分には分の過ぎた申し出だった。 「それじゃあアタシら海兵隊がケツを持ってやろうじゃないか」 「む・・・」 両手を腰に一歩前に出、ここぞとばかりにそう言い放ったシーマにガイアは言葉を失った。 にわかには信じ難い光景だ。 確かにパイロットとしての腕はあるが尊大な態度で周囲から疎まれ、抜き身の刃物の様だった『あのニムバス』が、まさかここまで隊の連中の信頼を勝ち得ていようとは。 「姐御・・・」 「この場は預かるよ。まさか不服だと言いはすまいね?」 ライデンの感謝の視線を満足そうに受け止めながら、シーマはガイアに向けて片方の口角を上げて笑った。 「どうなんだい!・・・それとも、アタシの顔を潰すつもりかい?」 シーマの眉間には深い縦皺が刻まれ、軽い口調とは裏腹に目が笑っていない。 ガイアは思わずブリッジの天井を見上げた。 この状況、下手にゴネると厄介な事になってしまう。個人の話がいつの間にか軍団のメンツの問題にすり替わってしまったからだ。 これはいわゆるヤクザ者、いやアウトロー特有の手打ち・・・場の納め方であり、他ならぬ黒い三連星が兵隊同士のイザコザにおいて双方を引かせる時に使う常套手段でもあった。 「ガイア大尉、聞いての通りだ。それに元々このニムバス・シュターゼンは私自ら招聘したのだ。 もし彼が我が隊に不利益をもたらす行いをしでかしたならば、それは私の責任でもある」 「判りましたよシャア大佐。これじゃあまるで俺だけが悪モンみたいじゃないですか」 きまりが悪そうに銃をホルスターに戻したガイアが髭だらけの顔で苦笑すると、ほっと場の空気が緩んだ。 「良かった!ニムバス中尉!」「ニムバス中尉!」 胸をなで下ろしながらニムバスの元にアムロとバーニィが駆け寄る。 シーマがああ宣言した以上、今後はニムバスに面と向かって疑惑を口にする輩は皆無となるだろう。 彼女が率いる海兵隊の恐ろしさは、それ程までに味方をも震え上がらせているからである。 「皆に感謝しろよニムバス・シュターゼン」 「はい・・・」 ガイアの言葉に感激を隠し切れず、瞑目して小さく頷いたニムバスの横顔を見たライデンは 『と、言ってもコイツが忠誠を誓っているのは、実はシャアじゃなくアムロなんだけどな』 と彼だけが知っている真実を心中で呟き、少しだけ複雑な笑みを浮かべたのだった。 「―――ライデン」 「おっと勘違いすんなよニムバス。俺は見当違いな連中が気に食わなかっただけだ」 神妙な面持ちでこちらを振り返ったニムバスに顔も合わせず、今度は邪険に背を向けたライデン。 暫く無言だったニムバスは、やがて静かにシーマに頭を垂れ、ライデンの背中に「感謝する」とだけ呟くとアムロとバーニィに促され、ハンガーに向かう為ブリッジを出て行った。 12 名前:1 ◆FjeYwjbNh6[sage] 投稿日:2010/12/13(月) 00:26:05 ID:cpY5quGU0 [5/6] ニムバスにとって大事なのはアムロのみであって、シャアが何ほどの者であろうが正直どうでもいいのだろうと、ライデンはそんなニムバスの後姿をチラリと見ながら思った。 アムロの命令でニムバスは動く。そのアムロがシャアに従う限り、間接的にではあるがニムバスも従う事になる。つまりはそういう事なのだ。 ニムバスの性格からして、今回の件を皆に感謝こそすれ恩義に感じる事は無いだろう。 つまり、今後もしもアムロがシャアと袂を分かつ事になった場合、ニムバスは迷わずアムロに付くという事を意味している。 取り越し苦労かも知れないが、ジオン・ズム・ダイクンの寵児を頭に据えたこの軍団の行く末が限りなく不透明である以上、そういうケースも絶対に無いとは言い切れない。 しかし―――それもまた良しだ、と、ライデンは無邪気に笑い飛ばした。 何より、気に入らない奴の風下に立つ事は、絶対にできない性分だと自分で理解しているライデンである。 他でもないライデン自身が、一軍を率いる将としてシャアという男の器がどの程度の物か、これからじっくりと見極めてやるつもりでいるのだから他人の事をとやかく言える立場ではないのだ。 姐御の手前、一旦は引き下がって見せたが、やはりこればかりは譲ることはできない。 盟友と認めたならば例え何があろうと地獄の底まで付き合うが、到底コイツのやり方にはついて行けねえとなったら、姐御と一緒にどんな状況でもケツを捲くる自信はある。 要は『シャアが俺達に愛想を尽かされなければ良い』のだ。 ――――と、兵隊にあるまじき勝手な結論を出し、面白くなってきやがったぜと、この状況を楽しんでしまうのがジョニー・ライデンという男だった。 さてさて、鬼が出るか蛇が出るか・・・ 「ニタニタ笑ってんじゃないよ全く!本当に余計な事に首を突っ込みたがる男だねアンタは!」 そんなライデンの後ろ頭を平手ではたいたシーマは、彼を怖い顔で睨みつけた。 「・・・なかなかユニークな連中揃いで先が思いやられますな」 「しかし、能力は押しなべて高い者ばかりだ。こういう個性的な人材をうまく使いこなせてこそ・・・」 眼前で巻き起こった騒ぎには敢えて介入せず、一同の最後尾で静観を決め込んでいたゲラートとラルは、その顛末を見届けた後、ひとしきり笑いあった。 人間とは誰も皆、一人ひとりが個性的な縦糸と横糸の様なものだ。 そうラルとゲラートは以前、酒を酌み交わしながら語り合った事がある。 何かを成し遂げようとした時に生じる人間関係とは、それら種々の糸が縦横無尽に組み合わさって形と色を成し、一枚のタペストリーを織り上げてゆくさまに似ている。 その際、糸同士が緻密に組み合わされればされる程、織物としての強度や作品としての完成度もまた増してゆくのだ。 我々の場合、最終的なその仕上がりは、果たしてどのようなものになるのだろうと老練な戦士達は思いを馳せた。 胎動を始めた新たな軍団の屋台骨を陰で支える2人の気苦労は、当分終わりそうも無い。 .

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