第1話「決別」

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何!?脱走したアムロがジオンに亡命しただと!?-第1話 「決別」-

【ホワイトベース(WB)が傍受した暗号通信】

アムロ「フラウ、君も僕と来るんだ」 

フラウ「な、何言ってるのよアムロ!?」 

ラル 「お嬢さん、君の彼氏は男の選択をしたんだ。もう後には引けん。我々も彼をそう扱う。君も覚悟を決めるのだな」 

フラウ 「…」 

ハモン 「あなた」 

ラル 「うむ。クランプ!本国へ連絡だ!連邦の白いモビルスーツを捕獲したとな!」 


 「ガンダムに乗ったままでか…何て事だ…!」 
 「相手はどうやらランバ・ラルというジオンの将校らしいです!ど、どうしましょうブライトさん」 

 「く…我が軍の最高機密がジオンに渡ったのか…これは歴史が変わるかも知れんな…!」 


コズン「本部からの正式な返答はまだです。 
          かなり上(上層部)が白いモビルスーツの扱いに関してモメてるみたいですぜ」 

ラル「遅いな、本部からの指示を待ってはおれん。襲撃は予定通り行う。木馬に仕掛けるぞ」 

ハモン「あなた、もう少し待てば人員やモビルスーツも数が揃えられるのじゃなくて?」 

 ラル「悠長にしていると機を逃す。白いモビルスーツを失った今、木馬の戦力は落ちている。 
       今が攻め時なのだよ。一気に木馬も鹵獲する、な」 

 アムロ「待って下さいラルさん」 

 ラル「ん?何だ少年」 

 アムロ「僕もホワイトベース・・・いや「木馬」襲撃に加えてもらえませんか?」

 アコース「おいおいw」 

 フラウ「何言ってるの!?ブライトさんやセイラさんや・・・大勢の人がたくさん乗っている艦なのよ!? 
          アムロ!どうしちゃったのよアムロ!!」 

 アムロ「僕が何もしなくてもこの人達はホワイトベースを襲撃するんだぞ! 
           もしかしたら誰かが死んじゃうような事があるかも知れない! 
           だから僕が行くんだ!モビルスーツを無力化して一気に艦橋を制圧すれば余計な被害を出さずに済む!」 

 フラウ「だって・・・そんな・・・(泣く)」 

 アムロ「これが一番、被害を抑える方法なんだ・・・!」 

 ラル「本気か、少年」 

 アムロ「僕の名前はアムロ・レイ。モビルスーツは『ガンダム』です」 


 コックピットを開けたまま対峙するグフとガンダム 
 グフ後方には3機のザク 

 アムロ「それでは手はず通りに」 

 ラル「気は変わらんのか少年」 

 アムロ「僕の提案を受け入れて下さって感謝しますラルさん」 

 ラル「君に与えられた時間は5分。それ以上は一秒たりと待たんぞ?」 

 アムロ「はい。僕はその間にホワイト、いや木馬の戦力をモビルスーツと共に無力化して見せます」 

 ラル「・・・君がそれに失敗した場合、5分後に我々は総攻撃を仕掛ける。 
       それと、君がもしおかしな行動を取ったと判断した場合、後ろからでも撃たせて貰う。 
       その時はハモンの元にいるお嬢さんの命も、無い物と思え」 

 アムロ「判っています。僕が木馬と通信を開始したらカウントダウンを始めて下さい」 

 コックピットを閉じるガンダム。そのまま背を向けて歩き出す 
 グフのコックピットを開けたままそれを見送るラル 


 マーカー「12時の方向に反応!距離2000!これは・・・」 

 ブライト「敵か!?くそ、こんな時に!」 

 オスカ「違いますこれは、ガ、ガンダムです!」 

 ブライト「な ん だ と !?」 

 口を押さえ、息を呑むミライ 

 セイラ「回線開きます!アムロ?アムロなの!?返事をしてちょうだい!」 

 夕日を背に漆黒のシルエットとなり 
 ゆっくりとホワイトベースに近付いて来るガンダム 
 刹那、その相貌がギラリと輝いた 

 マーカー「ガンダムがスピードを上げました!突っ込んで来ます!」 

 ミライ「様子がおかしいわブライト!」 

 ブライト「戦闘態勢だ!MSを緊急発進させろ!」 


 セイラ「ガンキャノン発進完了。続いてガンタンク、どうぞ」 

 ハヤト「無理ですよリュウさん!ガンダムに勝てるわけ無い!」 

 リュウ「泣き言を言うな!アムロめ・・・!ガンタンク出るぞ!」 


 ブライト「WBのエンジンはどうなってる!?」 

 ミライ「調子悪いわね・・・出力が上がらなくて上手く高度が取れないの。 
         ガンダムを振り切るのは多分無理ね」 

 ブライト「クソッ!何でだ!何でこんな事に・・・!!」 

 ミライ「ブライト、落ち着いて。みんなあなたの指示を待っているのよ?」 

 ブライト「判ってる!手の開いているものは銃座につかせろ!弾幕を張ってガンダムを近づけさせるな!」 

 マーカー「ガンダム距離200!」 

 セイラ「ブライトさん!アムロから通信が入っています!」 

 WBのメインモニターにアムロの顔が映っている。 
 画像はときたまノイズが混じりその音声と画像を不明瞭に歪み消した 

 ブライト「アムロ貴様・・・!!」 

 アムロ「ブライトさん。時間がありません。WBは速やかに武装を放棄してジオンに投降して下さい」 

 ブライト「ふざけるな!そんな要求が呑めるとでも思っているのか!?」 

 アムロ「僕はWBの皆さんにできるだけ危害を加えたくないんです。指示に従って下さい!」 

 ブライト「ぬけぬけと・・・!自惚れるなよアムロ!ガンダム1機で何が出来ると言うんだ!」 

 アムロ「・・・それをこれからあなたに証明して見せますよ!」 

 セイラ「通信・・・切れました」 

 オスカ「ガンダム、先行していたガンキャノンと接触!交戦開始した模様です!」 


 カイ「撃つぞ!本当に撃っちまうぞアムロ!!」 

 至近距離で発射されたキャノン砲弾の下を掻い潜り、ガンキャノンを引き摺り倒すガンダム。 
 砂にめり込むガンキャノン 
 転倒の衝撃でカイのバイザーが割れ、カイはそのままコクピットで昏倒する 

 アムロ「まずは一つ!残り3分12!」 

 のたのたと近付いて来るガンタンクにバーニアジャンプで迫るガンダム 
 空中のガンダムに向けボップミサイルを放つガンタンクだが、ガンダムは逆方向にバーニアを再点火して回避する 
 そのままガンタンクに密着するように着地すると同時にビームサーベルを抜き、 
 両肩の砲身とボップミサイル内臓の両腕を切り飛ばした。 
 念の為にバルカン砲でキャタピラ部を破壊するガンダム 
 これでガンタンクは動く事も攻撃する事もできない、はずだ 
 上部コックピットのハヤトの顔が恐怖に歪んでいるのを、 
 ガンダムのメインモニターは冷酷に映し出していた 

 アムロ「二つ目!あと2分02!」 



 カモフラージュされた小高い砂丘の中腹から双眼鏡で様子を伺っているランバ・ラル隊 

 アコース「す、すげえぜあのアムロって奴!瞬く間にMS2機をやっちまいやがった!」 

 クランプ「残りは何分だ?」 

 コズン「後…一分半ほどです!こいつあ…もしかするかも知れませんぜ!」 

 ラル「…」 


 次の瞬間、一同の口から異口同音に驚愕のうめき声が漏れた 
 ガンダムがWBに取り付き、ビームライフルの銃口を艦橋に向けたのだ 

 高度を徐々に下げて行くWB 

 砂漠に堕ちた木馬は魂消える様にエンジンの火を落とし沈黙するしかなかった 


 ラル「…行くぞ。木馬内部の制圧は我々が行なうんだ」 

 それぞれのMSに搭乗する為に踵をかえすラル隊の面々 
 コズンの手に握り締められた軍用時計は、残り15秒を示していた 

 乗り込まれたラル隊によってWBクルーは次々と武装解除されて行く 
 ブリッジメンバーも拘束され、全ての人員がWB前に集められ並べられた 
 屈辱に震えるブライトをガンダムのコックピットでモニター越しにアムロが一瞥している 

 『どうですブライトさん、1人の犠牲者も出さずにWBを制圧して見せましたよ 
 やっぱり僕が一番ガンダムを上手く使・・・』 

 その瞬間! 

 完全に沈黙したと思われたガンタンクの上半身が強制排除され、コアブロックが射出された! 

 射出時にケガを負った血まみれのリュウがレバーををシフトさせると 
 コアブロックは上空でコアファイターに変形 
 急降下しながらガンダムめがけてバルカン砲を撒き散らす! 


 リュウ「アムロォ!お前のやった事を断じて認める訳にはいかんのだ!!」 


 呆然と銃弾を浴びるガンダム 
 しかしガンダリウム合金のボディを貫くにはあまりにも非力過ぎる攻撃だった 


 我に返るアムロ 


 アムロ「だ、駄目だリュウさん!おとなしく投降して下さい!さもないと…!!」 

 クランプ「野朗ッ!」 

 反転し、ミサイル発射態勢に入ったコアファイターを周囲警戒中だったクランプのザクマシンガンが薙ぎ払う 

 コアファイターはリュウを乗せたまま爆発四散し、一時の夕闇を照らす流星と化した 

 「そんな・・・リュウさあぁん!!」 

 コックピットで絶叫するアムロ 
 思わず両手で顔を覆うが、モニターを凝視する眼を閉じる事はできない 

 馬鹿な。こんな筈じゃ無かった 

 WBクルーの唯一人として傷付けずにこの亡命を成功させる 

 それがブライトを始めとするWBクルーに自分を認めさせる手段だと思っていたのに 

 結果的に自分勝手な行動がリュウ・ホセイという軍人を死に追いやってしまった 


 やっぱり僕は役立たずな男なんだろうか 


 「顔を伏せるなアムロ君!」 

 深い心の闇に陥りそうになったアムロを正気に引き戻したのはモニターに映るラルの力強い叱責だった 

  ラル「たったの5分足らずでMS1機を撃破し1機を無傷で捕獲!そして戦艦1隻を拿捕! 
      まるで赤い彗星並みの戦果だ!宣言どおり君はやり遂げたんだ!胸を張りたまえ!」 

 アムロ「ラルさん・・・でも僕は・・・誰も犠牲者を出さないつもりで・・・」 

 ラル「おこがましいぞ!君はちっぽけな一人の人間に過ぎん! 
      覚えておきたまえ!これが戦争だ!ゲームじゃないのだよ!!」 

 アムロ「これが・・・戦争・・・」 

 茫然と呟くアムロは、流しかけていた涙が止まっている事にも気付いていなかった 

第1話 完 つづく

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