**日常 小窓から差し込む冬の陽気と暖かい蝋燭の灯を 木の調度が映している。 給仕の年かさの女が慌ただしげな様子は上品ではないけれど、 貌に聖母の趣を浮かべている。 サンドウィッチに挟んだトマトとモッツァレラチーズにルッコラは、 イタリアの気高き旗を思わせて、俺をノスタルジックな気分に誘ってくれる。 やがてスコーンを切り分けながら紅茶を傾けた頃には、 日差しに夕方の表情を見てとれた。