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赤から黄へは戻れない - (2015/07/17 (金) 19:31:14) の1つ前との変更点

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078 *赤から黄へは戻れない ◆BEQBTq4Ltk 椅子にふんぞり返り、今後の方針を考える佐倉杏子。 願いを叶えるには最後の一人になるまで生き残るしか無い。 独りになるまで他の人間全員を殺さなくてならなく、その時間と労力は多大だろう。 自分一人で殺さなくてもいいのだが、冷静に考えなくても殺し合いに乗る人間の方が少ない。 殺人は罪であり人道の道から踏み外れ道徳の対岸に存在する闇の極みだ。 最初に出会った学ランの男も殺し合いに反対する人間だった。 唯の一般人なら楽に殺せるが、妙な力を使われてしまい結果として返り討ちだ。 先が思いやられる、と思っていた矢先の氷男による襲撃。 神が自分を見限ったとしか思えない展開に杏子は溜息を吐きながら天井を見上げた。 「殺す……この手であたしが……か」 人間を殺す感触とはどんなものなのか。 肉は柔らかいのか骨は硬いのか。 内蔵は潰れやすいのか血液は重たくないのか。 魔法少女として生き抜く過程で間接的に他者を殺したことはある。 認めたくはないし現実から目を背けていたが、間接的に他者を殺したことはある。 しかし実際にこの手で肉を抉り心の臓を潰したことなど一度もない。 魔法少女の成れの果てが魔女。 広意義に捉えれば人間を殺したことはあるが、今は言葉遊びをしている訳ではない。 「父さんや母さん、モモが知ったら怒るのかな……ははっ」 この世に存在しない愛する家族を思い浮かべながらの乾いた笑いが虚しく残る。 聖職者の娘が摩耶香しで人々を騙し、バトル・ロワイアルに巻き込まれ人殺しの道を歩もうとしている。 「へ……殴ってでも止められそうだ」 魔法で得た偽りの信者の件で逆鱗に触れたのだ。あの父親なら殴るか完全に自分を見限るだろう。 それは間違いではなくて、人として正しい判断と行動である。 間違いなのは魔法少女であり彼女達の存在は誤りなのかもしれない。 「父さんなら「殺し合いなんてふざけている!」とか言ってさ……言ってさ……」 自らの希望を叶え、その後は他者の希望を絶望で塗り潰さなくては生きていけない。 魔法少女の存在が悪とまでは思えないが、存在しなければ世界は今よりも優しくなるかもしれない。 しかし魔法少女の力とシステムが無ければ彼女は家族揃って死んでいたかもしれないのだ。 一概に悪とは言えず、この世で何が正義で何が正しいのか解らなくなってしまう。 「言ってさ……あー、やめだやめ。こんなん考えても一文の徳? ってにもなんないよ」 自信のない日本語に疑問を覚えながら杏子は己の脳にシャッターを降ろした。 自分の存在が悪と、屑と、ゾンビと言われようが自分は自分である。 他人に死ねと言われそのまま死ぬ訳が無いように所詮他人の言葉はその程度だ。 自分が人殺しだろうがもう一度朝日を浴びれればそれでいい。 もう一度希望を手に入れる機会があるならば人を殺してもいい。 「人を殺す……あたしが、か。だよな、うん」 自分の人生のために殺し合いを生き残る覚悟を決めた。 死にたくない、もう一度やり直したい思いと気持ちは本物だ。 しかし人を殺す現実を考えると、人間である自分に迷いが生まれる。 「殺せる……ワケないと思うけど生き残らないと死ぬし」 合理的に考える。 誰の言葉か思い出したくも無いが、独りの時間は頭を冷静にさせる。 全員を敵に回すのは合理的か、違う。 願いを叶えるために誰かを不幸にするのは合理的か、そもそも合理的とは一体……彼女は頭を抑えた。 「いや……ついさっきまであたしは殺す気満々だった。  思いだせ、忘れるな……覚悟が鈍って殺せなくなる……正しいのは――っし」 殺し合いに乗る覚悟を決めた魔法少女。しかし彼女は人間である。 弱い意思と脆い心を持ち、闇にずっと触れていれば己を壊してしまうのだ。 この環境は人間に悪影響を及ぼす。本来の生活に殺し合いなど必要ないから。 勢い良く言葉を切り、そのまま椅子から立ち上がる杏子。 考えるのは辞めた、殺すって言ってるから殺すんだ。今はそれでいい。 実際に人を殺すことになったら躊躇うのも理解している、解っている。 男たちと戦った時、戦闘は始まったが追い詰めていない。 つまり命を奪う場面にまで進んでいない段階であり、彼女は殺しにまだ携わっていない。 覚悟を決めてもまだ一人も殺せていないとある少女がいるように。 人の命を奪えていない状況が余計に彼女を惑わせる。 だから考えるのを辞める、答えのない迷路に迷っているなど無駄だから。 「えびーでーやーんらーじゅーねーすー」 再生していたビデオが流れた耳に残るフレーズを口遊む。 頭から離れなく、自然と口に出してしまう。 フレーズとしては優秀であり、成功の部類と言えるだろうか。 幼い子供なら壊れたラジオのように何度も繰り返すような馴染みやすさを感じていた。 ビデオを元の場所に戻し彼女は北方司令部を後にする。 次の行き先はジュネス。 フレーズに惹かれたワケではないが物資の補給のために向かう。 大型の店ならば食糧だけではなく着替えなどの雑貨もあると判断。 それに他の参加者も集まりそうな気がしてくる。 映像にあったフードコード。 家族から友人まで多くの人間が集まっていた。 その光景に懐かしみを覚えたが、今は甘さを捨てるべきだ。 気合を入れ直したところで放送が割り込む。 数時間ぶりに聞いた広川の声に怒りと何かを覚えるも耳を傾ける。 彼の言葉通りにするのは癪だがメモを取るために筆記用具を取り出した。 自分が人殺しだろうがもう一度朝日を浴びれればそれでいい。 もう一度希望を手に入れる機会があるならば人を殺してもいい。 「人を殺す……あたしが、か。だよな、うん」 自分の人生のために殺し合いを生き残る覚悟を決めた。 死にたくない、もう一度やり直したい思いと気持ちは本物だ。 しかし人を殺す現実を考えると、人間である自分に迷いが生まれる。 「殺せる……ワケないと思うけど生き残らないと死ぬし」 合理的に考える。 誰の言葉か思い出したくも無いが、独りの時間は頭を冷静にさせる。 全員を敵に回すのは合理的か、違う。 願いを叶えるために誰かを不幸にするのは合理的か、そもそも合理的とは一体……彼女は頭を抑えた。 「いや……ついさっきまであたしは殺す気満々だった。  思いだせ、忘れるな……覚悟が鈍って殺せなくなる……正しいのは――っし」 殺し合いに乗る覚悟を決めた魔法少女。しかし彼女は人間である。 弱い意思と脆い心を持ち、闇にずっと触れていれば己を壊してしまうのだ。 この環境は人間に悪影響を及ぼす。本来の生活に殺し合いなど必要ないから。 勢い良く言葉を切り、そのまま椅子から立ち上がる杏子。 考えるのは辞めた、殺すって言ってるから殺すんだ。今はそれでいい。 実際に人を殺すことになったら躊躇うのも理解している、解っている。 男たちと戦った時、戦闘は始まったが追い詰めていない。 つまり命を奪う場面にまで進んでいない段階であり、彼女は殺しにまだ携わっていない。 覚悟を決めてもまだ一人も殺せていないとある少女がいるように。 人の命を奪えていない状況が余計に彼女を惑わせる。 だから考えるのを辞める、答えのない迷路に迷っているなど無駄だから。 「えびーでーやーんらーじゅーねーすー」 再生していたビデオが流れた耳に残るフレーズを口遊む。 頭から離れなく、自然と口に出してしまう。 フレーズとしては優秀であり、成功の部類と言えるだろうか。 幼い子供なら壊れたラジオのように何度も繰り返すような馴染みやすさを感じていた。 ビデオを元の場所に戻し彼女は北方司令部を後にする。 次の行き先はジュネス。 フレーズに惹かれたワケではないが物資の補給のために向かう。 大型の店ならば食糧だけではなく着替えなどの雑貨もあると判断。 それに他の参加者も集まりそうな気がしてくる。 映像にあったフードコード。 家族から友人まで多くの人間が集まっていた。 その光景に懐かしみを覚えたが、今は甘さを捨てるべきだ。 気合を入れ直したところで放送が割り込む。 数時間ぶりに聞いた広川の声に怒りと何かを覚えるも耳を傾ける。 彼の言葉通りにするのは癪だがメモを取るために筆記用具を取り出した。 『準備はできたかな?...では、今回の禁止エリアを発表しよう。  禁止エリアは3つ。 B-2。 E-6。 A-5。 以上の三つだ。 最初にも説明した通り、禁止エリアに踏み込むこめば首輪が爆発し死に至るため気をつけたまえ。』 言われた通りに地図の該当エリアを×で潰す。 施設等は記載されていなく、会場を歩く時に気を付ければ問題はない。 首輪が爆発する。 ペンでコンコンと軽く叩いてみるが何も反応はない。 この首輪が嵌められている限り自分に幸せは訪れないだろう。 (魔法でも外せないし真剣に考えてみるのもいいかも。  それか誰かと協力ね、協力。何も一人で全員ころ……はぁ) 首輪を外せれば心の負担はかなり減る。 確信はあるがなにせ外せない、外れない。 こればっかりは考えても行動しても答えは出ずに誰かを頼るしか無い。 『続いて、今回の脱落者だ。  南ことり  美遊・エーデルフェルト  浦上  比企谷八幡  佐天涙子  クロメ』 読み上げる死者。 死んだ人間を発表するのか、お前は本当に人間なのか。 広川の優しさの欠片も持ち併せない心に呆れる杏子だが彼女も同じだ。 他人を殺そうとしている自分も同じ存在だ、また乾いた笑いが響く。 『クマ  渋谷凛  モモカ・萩野目  星空凛  蘇芳・パブリチェンコ』 「がおー……って多くないか?」 クマが呼ばれ子供のように物真似をする彼女。 自分には関係ない名前が呼ばれているため緊張感が生まれない。 顔も知らない人間が死んでも実感が沸かず……。 (そもそも本当にこいつらは死んでるのか?) そんな疑問も生まれてくる。 これは広川が参加者を惑わすために流している戯れ言ではないだろうか。 言葉には出さない。 一度考えれば首輪に何か仕組まれていても不思議はない。 爆発するということは遠隔操作が可能であること。 遠隔操作が可能であるということは何処かで監視していること。 映像か音声かは不明だが用心することに越したことはないだろう。 立ち止まって聞いてても問題はないが動き始める杏子。 黙って止まっていればいい的だろう。 遠くから銃で狙撃でもされたら溜まったもんじゃない。 銃と言えば、だ。 「そう言えばあいつも……」 『巴マミ  園田海未  天城雪子  ペットショップ  イギー  以上16名だ。  素晴らしいペースだ。この調子でいけば時間切れで全員が死亡なんて結末にはならずに済みそうだな。  だが、もし早く終わらせたいと願うなら速やかに殺し合いを進行させることだ。  下手に長引かせれば、隣にいる者にグサリ!...などといった結末をきみ自身が辿ることになる。』 彼女は無言で外に出て朝日を浴びた。 身体を伸ばしながら等身大精一杯に太陽の輝きを感じる。 生活がどんなに苦しくても朝日を浴びない日は無かった。 天気が悪いは別たが、本来の生活で。という話しではあるが。 「十六人か。思ったよりも死んでる」 その足をジュネスへ向け歩み始める杏子。 広川が読み上げた名前は実に十六人分であり、第一印象が死に過ぎ、である。 たった六時間の間にこれだけの数が死んでいると考えると殺し合いに乗っている人間は多いのだろう。    現実を受け入れたくない。    呼ばれた名前の中に何故か知っている名前があった。    信じたくはないが何故かあった。 「覚悟はしてる……あたしだって殺ってやる」 殺人はパフォーマンスではない。 つまり多く殺せばいいという話しではなく、生き残ることが重要だ。 自分で殺すことに越したことはないが、やはり人間は甘く脆く狡い生物である。 その手は汚したくない。    父の言葉が民衆に受けいられなくなり生活は苦しんでいた。    その行いは神に背いていなく正しい行いだった。    だけど人間は古い習わしを大切し新風を拒んだ。    荒濁の中で杏子の人生に終幕が訪れた。    それは異形の襲来であり、彼女が死を覚悟した時、一人の魔法少女が現れた。 「ジュネスに行けば誰かしらいるだろ。其処で誰かを利用するか」 首輪を外せる存在。 自分の代わりに他者を殺せる存在。 利用出来そうな存在。 殺し合いを優位に進めるために利用出来る物は全て利用する。    憧れた。    その強い力とかっこよさに憧れた。     自分も一緒に戦いたいと思った。それで覚悟を決めた。    それが間違いだった。        願いは不幸を呼び込み、あたしを残して家族はみんな死んだ。    父さんに魔女って呼ばれた。思い出しただけで死にたくなってくる。    そんな時に心配してくれたあの人は眩しかった。    だから……避けちまった。 「えびーでーやーんらーじゅーねーすー……雨?」 足を止めて下を見ると水滴が堕ちた痕があった。 しかし太陽は輝いており、蒼天に曇りなど似合うはずもなく存在していない。    自分から独りぼっちになって。    寂しかった。天涯孤独って吐きそうになるぐらい不安だった。    あの人が居なくなってあたしの傍には誰も……いない。 「何で水滴が……」 更に水滴が増える。 雨のように連続では堕ちてこない。 ゆっくりと間隔を開けて堕ちてくる水滴の正体は何なのか。    それから死んだって聞いた時は泣いた。    何度も泣いたさ。礼も言えずに喧嘩別れだ。    取り返せないあの時間を悔いて何度も泣いた。    見滝原に戻ったのもあの人を忘れたくないから。    其処で見つけた新人に懐かしみを覚えて強く当たったりもしてさ。 「……あ」 その水滴は自分の頬を伝っていた。 感情を制御し切れない。溢れる想いを止められない。 彼女がその存在の大きさと正体に気付いた時、崩れるように涙が溢れた。 「勝手に生き返ってさ……なんで勝手にまたあたしから離れるんだよ……マミさん」 失った存在は二度と光を浴びることはない。 そして残された存在は闇を背負って光の中を生き抜かなければならない。 けれど彼女の心は脆く、崩れ、それでも前を向く意思だけは残っていた。 それが光を目指す意思か闇を歩み意思かは彼女にしか解らない。 【E-1/朝】 【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:精神疲労(大)、悲しみ、ノーベンバー11に対する苛立ちと怒り、殺し合いに対する迷い [装備]:自前の槍@魔法少女まどか☆マギカ [道具]:基本支給品一式、医療品@現実 大量のりんご@現実 不明支給品0~2(確認済み) [思考・行動] 基本方針:殺し合いについて考える。 1:巴マミを殺した参加者を許さない。 2:ジュネスに向かう。 3:殺し合いを壊す。それが優勝することかは解らない。 4:承太郎に警戒。もう油断はしない 5:ジャック(ノーベンバー11)は絶対殺す。猫も取り返す。 6:ジャックに殺し合いに乗る自分が正しいと証明してみせる。 ※参戦時期は第7話終了直後からです。 ※DARKER THAN BLACKの世界ついてある程度知りました。 ※首輪に何かしらの仕掛けがあると睨んでいます。 ※巴マミの死により精神が不安定状態です。 時系列順で読む Back:[[]] Next:[[]] 投下順で読む Back:[[]] Next:[[]] |069:[[消せない罪]]|ウェイブ|| |~|高坂穂乃果|| |~|小泉花陽|| |~|ロイ・マスタング|| |~|白井黒子|| |~|後藤||

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