「tribute」(2022/02/11 (金) 21:09:50) の最新版変更点
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*tribute ◆S8pgx99zVs
死者の名前を告げ哄笑を空に響かせて、ギガゾンビは日が昇ったばかりの薄紫の中に消えた。
その足元には女――峰不二子が一人。
木陰へと身を潜め、今しがた得た情報を手持ちの地図やメモへと書き込み考え込んでいる。
――次元大介が死んだ……か。
ギガゾンビによって読み上げられた七人の死者。その中に彼の名前があった。これでルパン一味は
自分を残して全員が死んだことになる。
だが、感傷はない。むしろ、自分を知る人間が減ってありがたいぐらいだ。
思ったとすれば、ルパン一味がこんな事態に巻き込まれ最後を迎えたということに意外性を感じた
ぐらいだが、それは今考えることではない。今必要なのは己の身を守るための情報だ。
峰不二子は次元大介と死んだ仲間達のことを頭から振るい出し、思考を進める。
――ぶりぶりざえもん。
劉鳳と分かれる直前に合流し、彼と同行していたはずの喋る豚。
豚が死んだと言うのは峰不二子にとって重要な問題ではない。重要なのは同行しているはずの劉鳳だ。
誰かに襲われた結果、豚だけが死んでしまったのだろうか? まさか劉鳳が殺したということはないだろう。
ともかく、彼は今一番会いたくない人物である。
どこかで襲われたのならまだ病院には辿り着いてはいないかもしれない。だが、もし着いていたなら
確実に自分は彼の言う”断罪”の対象となっているだろう。だが、どちらなのかは判らない……。
峰不二子は俯き小さな溜息をついた。
どうしてあんな化物に追われるはめになるのか。しかも化物は劉鳳だけではない。カズマという男もだ。
拳銃では歯が立たないだろう。かといって、デイバッグの中の二本のRPGでもそれは難しそうだ。
威力は申し分ないが、そもそも彼らに当てることはできないだろう。それに使えば非常に目立つ。
今の自分の方針上、無闇に人を集めたりしたくはない。これを使うのは最後の最後だ。
ともかく彼らから逃げ続けて自滅や相討ちを待つしかない。そう結論付けて峰不二子は思考を次へと進めた。
――アルルゥ……、それと石田ヤマト
ヤマトというのは自分が病院から連れ去った少年の名前だ。同じくその場で撃ち殺した少年が彼を
そう読んでいた。
そして、ヤマトという少年がアルルゥ、ハルヒという名前は口にしていたことを覚えている。
具体的に誰を指すかは解らないが、あそこにいた二人の少女の名前であることは想像に難くない。
だとすれば、あの後あそこでまた何かの騒動があったということだろうか……?
カズマという化物は自分を追ってきていたから、あそこには少年少女しか残っていなかったことになる。
もし襲われればひとたまりもないだろう。
だからといって、自分もそこへ戻ろうなどとは思えない。先の劉鳳やカズマが戻って来ている可能性も
あるし、何より彼らの荷物は自分がすでに全部頂戴したのだ。メリットがない。
それに、橋を渡り病院の方へと向かった三人組。あれと会う可能性もある。
見逃した……、ではなく手を出せなかったあの三人組。
一人は獣のような耳をした剣士。もう一人はライフルを構えた少女。そして学生服の少年。
彼女達はその次に襲った者達とは逆に周囲を警戒しており、結果こちらの存在を気取られた。
無理に襲えば返り討ちにあっていただろう。
もしかしたら、アルルゥという少女を殺したのは彼女達かも知れない。なら尚更病院へ行くと言う選択は
考えられない。
病院――西へと向かう選択肢は消えた。ならば逆に東はどうか……?
これも考えられない。先刻、奇襲したあの二人組。その特に女の方。あんなトリガーハッピーと
やりあうのはもうゴメンだ。
ああいう自らの命を顧みない人間を相手にしていたのでは、こちらが上手であっても命が危ない。
幸い傷を負わせることには成功した。ならば他の人間に特攻して自滅するのを待った方が得策だ。
あの女と忌々しい少年。二人の急いだ足取りからどこか東の方へ目的があったであろうことが解る。
それが人か物かは知れないが、無理に追って藪から蛇を出すこともない。
西も東も消えた。ならば次は南はどうか……?
南端に広がる遊園地――そういえばそこが出発地点でもあった――は、隠れる場所には適さない。
では、南西の橋を経て孤立した場所へ向かうのはどうか……?
そこなら申し分ないように思える。それに駅前の崩れたビルにいくつかの荷物が埋まっていることも
知っているのだ。
……だが、残念ながらそれも諦めざるを得ない。なぜなら、病院へと向かう途中で出会った少女と
人形の二人組――彼女達にそちらへと大切な物を持った劉鳳が去ったと言ってしまっている。
こんなことならば、正直に劉鳳を追わせておけばよかったが、今更言っても後の祭りにすぎない。
ここに来てからつき続けている嘘――自らの処世術。それが今の自分を窮地に追い込んでいる。
だがしかし、ここまできたら毒皿で行くしかない。泥を啜っても生き残れば勝ちなのだ。死んでしまえば
奇麗事もプライドも何もない。
南へ向かうという選択肢も消えた。ならば北か? それともやはりここに留まるか?
北へ――つまり山間の中へと進むにあたって懸案事項となるのが、件のカズマという存在だ。
彼はヤマトを押し込んだ禁止エリア(A-4)の前で自分を見失っている。ならば、そこから山の中へと
自分が逃げたと推測することは容易だろうし、今頃山中を跳び回っている可能性もある。
――だが。
不確定だが、彼が自分を認識していない可能性もある。あの時はマスクこそ脱いでいたがまだ
銭型警部の衣装を着ていたし、月明かりはあっても暗かった。
――それに。
今回新たに追加された禁止エリア。その中の二つであるA-7とB-6が山間を二つに割り、さらに
禁止エリアで囲まれたA-6を死に地にしている。分断されている東側は端に接しているということもあり、
さらに一つか二つ禁止エリアに指定されれば閉じ込められてしまうという状況だ。
山中は勾配もあり移動に時間がかかる。こんな状況で好き好んで入り込んでくる物好きはいない。
――逆に言えば人を避けるには絶好というわけだ。
先に挙げたようなリスクもあるが、市街地を劉鳳や他の化物に追われながら逃げ回るよりかは
遥かにましだ。自分が取り得る手段はもう少ない。ならばここは降りの一手に限る。
峰不二子はもたれていた樹から背中を浮かせると、山頂の方へと向けて足を進めた。
すでに禁止エリアに指定されているC-5の南側を回り込み、東へと峰不二子は足を進める。
「……あれは」
峰不二子の眼下に見えるのは倒壊し、瓦礫の山となったホテルの成れの果てだ。
改めてこの殺し合いに自分が加わることの馬鹿馬鹿しさを確認すると、溜息一つを残して彼女は
さらに山の中へと歩を進めた。
まだ陽の届かない薄暗い木々の間を進みながら峰不二子は考える。ある一つの賭けについて。
もう間もなく禁止エリアに囲まれて死に地と化すA-6。そこに入ってしまうという手がある。
もちろん普通に考えればそれは自分を追い詰めることに他ならないが、自分にはある情報がある。
『禁止エリアに入ってから首輪が爆発するまでには30秒の猶予がある』
荷物に紛れていたメモに書かれた真偽不明の情報だが、もしそれが本当ならば禁止エリアと
禁止エリアの触れ合う角の部分なら、その30秒で抜けられるかもしれない。
……どうするか?
禁止エリアに囲まれた中に逃げ込む――大きなメリットがある手ではあったが、山の低い部分を
北上し、川に沿って進路を北東に変える頃には、峰不二子はその考えを捨てていた。
一つに、A-7とB-6が触れ合う角には、現在沿って歩いている川が流れていること。
一つに、市街地の中ならともかく自然の地形である山の中ではエリアの境界が判別しにくいこと。
一つに、そもそもメモに書かれていた情報が信用できないこと。逆に罠の可能性もありうる。
そしてなにより、彼女は温泉に入りたかったのだ。
先程の戦闘で少年にかけられたチリソースは全身に付着しており、その刺激――いやそれよりもその
匂いが彼女を不快にさせていた。
そんな時に、向かう先に温泉があるというなら彼女ならずともそこへ行こうとするのは無理もないだろう。
とはいっても慎重な峰不二子である。彼女は真っ直ぐに温泉に向かうなどという真似はせず、まずは
禁止エリアに指定されているA-7エリア――その北東の端に腰を落ち着けた。
すぐに向かっては、もしかしたら篭っていた人間と鉢合わせするかもしれないからだ。
陽光を反射する水面の傍ら、片手に時計。もう片手で粘る髪を弄りながら峰不二子はゆっくりと時が
過ぎるのを待っている……。
【A-7(北東の端)/2日目・午前】
【峰不二子@ルパン三世】
[状態]:顔面及び全身に激辛のチリソースが付着、テキオー灯の効果持続中
[装備]:コルトSAA(弾数:6/6発-予備弾6発) 、コルトM1917(弾数:6/6発-予備弾無し)
[道具]:
デイバック×8、支給品一式×7(食料6食分消費、水1/5消費)、
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、
RPG-7×2(榴弾×3、スモーク弾×2、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能)
暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
ダイヤの指輪、のろいウザギ、ハーモニカ、デジヴァイス、真紅のベヘリット
ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、
トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
【薬局で入手した薬や用具】
鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
※種類別に小分けにしてあります。
[思考]
基本:最後まで生き残って優勝する。安全を最優先。利用できるものはなんでも利用する。
1:9時直前までA-7エリアで粘り、それから温泉へと向かう。
2:温泉に着いたら身体と服に付着したチリソースを洗い流し、くつろぐ。
3:次の放送まで身体を休め、次の手を考える。
4:弱っている者や確実に自分より弱いと思える人間を見つけたら殺害する。(それでも慎重に)
5:すでに出会っている人間とは極力接触を持たないようにする。
※劉鳳、水銀燈、凛、ハルヒ、のび太、ドラえもん、カズマ、レヴィ、ゲイナー
6:劉鳳やカズマなどの人間離れした連中とはやりあわない。
7:F-1の瓦礫に埋もれたデイバッグはいつか回収したい。
[備考]
※E-4の爆発について、劉鳳の主観を元にした説明を聞きました。
※「なくても見つけ出す!」にて、ドラえもんたちがしていた会話の一部始終を盗聴していました。
※着せ替えカメラの効果が解除され、元の格好に戻っています。
*時系列順で読む
Back:[[『FigureLess』VS『Amalgam』]] Next:[[運命に反逆する―――――――!!]]
*投下順で読む
Back:[[第五回放送]] Next:[[運命に反逆する―――――――!!]]
|256:[[暗闇に光る目]]|峰不二子|271:[[ひぐらしのなくころに(前編)]]|
*tribute ◆S8pgx99zVs
死者の名前を告げ哄笑を空に響かせて、ギガゾンビは日が昇ったばかりの薄紫の中に消えた。
その足元には女――峰不二子が一人。
木陰へと身を潜め、今しがた得た情報を手持ちの地図やメモへと書き込み考え込んでいる。
――次元大介が死んだ……か。
ギガゾンビによって読み上げられた七人の死者。その中に彼の名前があった。
これでルパン一味は自分を残して全員が死んだことになる。
だが、感傷はない。むしろ、自分を知る人間が減ってありがたいぐらいだ。
思ったとすれば、ルパン一味がこんな事態に巻き込まれ最期を迎えたということに意外性を感じたぐらいだが、
それは今考えることではない。今必要なのは己の身を守るための情報だ。
峰不二子は次元大介と死んだ仲間達のことを頭から振るい出し、思考を進める。
――ぶりぶりざえもん。
劉鳳と分かれる直前に合流し、彼と同行していたはずの喋る豚。
豚が死んだというのは峰不二子にとって重要な問題ではない。重要なのは同行しているはずの劉鳳だ。
誰かに襲われた結果、豚だけが死んでしまったのだろうか? まさか劉鳳が殺したということはないだろう。
ともかく、彼は今一番会いたくない人物である。
どこかで襲われたのならまだ病院には辿り着いてはいないかもしれない。
だが、もし着いていたなら確実に自分は彼の言う”断罪”の対象となっているだろう。だが、どちらなのかは判らない……。
峰不二子は俯き小さな溜息をついた。
どうしてあんな化物に追われるはめになるのか。しかも化物は劉鳳だけではない。カズマという男もだ。
拳銃では歯が立たないだろう。かといって、デイバッグの中の二本のRPGでもそれは難しそうだ。
威力は申し分ないが、そもそも彼らに当てることはできないだろう。それに使えば非常に目立つ。
今の自分の方針上、無闇に人を集めたりしたくはない。これを使うのは最後の最後だ。
ともかく彼らから逃げ続けて自滅や相討ちを待つしかない。そう結論付けて峰不二子は思考を次へと進めた。
――アルルゥ……それと石田ヤマト
ヤマトというのは自分が病院から連れ去った少年の名前だ。同じくその場で撃ち殺した少年が彼をそう読んでいた。
そして、ヤマトという少年がアルルゥ、ハルヒという名前は口にしていたことを覚えている。
具体的に誰を指すかは解らないが、あそこにいた二人の少女の名前であることは想像に難くない。
だとすれば、あの後あそこでまた何かの騒動があったということだろうか……?
カズマという化物は自分を追ってきていたから、あそこには少年少女しか残っていなかったことになる。
もし襲われればひとたまりもないだろう。
だからといって、自分もそこへ戻ろうなどとは思えない。先の劉鳳やカズマが戻って来ている可能性もあるし、
何より彼らの荷物は自分がすでに全部頂戴したのだ。メリットがない。
それに、橋を渡り病院の方へと向かった三人組。あれと会う可能性もある。
見逃した……ではなく手を出せなかったあの三人組。
一人は獣のような耳をした剣士。もう一人はライフルを構えた少女。そして学生服の少年。
彼女達はその次に襲った者達とは逆に周囲を警戒しており、結果こちらの存在を気取られた。
無理に襲えば返り討ちにあっていただろう。
もしかしたら、アルルゥという少女を殺したのは彼女達かも知れない。
なら尚更病院へ行くと言う選択は考えられない。
病院――西へと向かう選択肢は消えた。ならば逆に東はどうか……?
これも考えられない。先刻、奇襲したあの二人組。その特に女の方。
あんなトリガーハッピーとやりあうのはもうゴメンだ。
ああいう自らの命を顧みない人間を相手にしていたのでは、こちらが上手であっても命が危ない。
幸い傷を負わせることには成功した。ならば他の人間に特攻して自滅するのを待った方が得策だ。
あの女と忌々しい少年。二人の急いだ足取りからどこか東の方へ目的があったであろうことが解る。
それが人か物かは知れないが、無理に追って藪から蛇を出すこともない。
西も東も消えた。ならば次は南はどうか……?
南端に広がる遊園地――そういえばそこが出発地点でもあった――は、隠れる場所には適さない。
では、南西の橋を経て孤立した場所へ向かうのはどうか……?
そこなら申し分ないように思える。それに駅前の崩れたビルにいくつかの荷物が埋まっていることも知っているのだ。
……だが、残念ながらそれも諦めざるを得ない。
なぜなら、病院へと向かう途中で出会った少女と人形の二人組――彼女達にそちらへと大切な物を持った劉鳳が去ったと言ってしまっている。
こんなことならば、正直に劉鳳を追わせておけばよかったが、今更言っても後の祭りにすぎない。
ここに来てからつき続けている嘘――自らの処世術。それが今の自分を窮地に追い込んでいる。
だがしかし、ここまできたら毒皿で行くしかない。泥を啜っても生き残れば勝ちなのだ。
死んでしまえば奇麗事もプライドも何もない。
南へ向かうという選択肢も消えた。ならば北か? それともやはりここに留まるか?
北へ――つまり山間の中へと進むにあたって懸案事項となるのが、件のカズマという存在だ。
彼はヤマトを押し込んだ禁止エリア(A-4)の前で自分を見失っている。
ならば、そこから山の中へと自分が逃げたと推測することは容易だろうし、今頃山中を跳び回っている可能性もある。
――だが。
不確定だが、彼が自分を認識していない可能性もある。
あの時はマスクこそ脱いでいたがまだ銭型警部の衣装を着ていたし、月明かりはあっても暗かった。
――それに。
今回新たに追加された禁止エリア。その中の二つであるA-7とB-6が山間を二つに割り、
さらに禁止エリアで囲まれたA-6を死に地にしている。分断されている東側は端に接しているということもあり、
さらに一つか二つ禁止エリアに指定されれば閉じ込められてしまうという状況だ。
山中は勾配もあり移動に時間がかかる。こんな状況で好き好んで入り込んでくる物好きはいない。
――逆に言えば人を避けるには絶好というわけだ。
先に挙げたようなリスクもあるが、市街地を劉鳳や他の化物に追われながら逃げ回るよりかは遥かにましだ。
自分が取り得る手段はもう少ない。ならばここは降りの一手に限る。
峰不二子はもたれていた樹から背中を浮かせると、山頂の方へと向けて足を進めた。
すでに禁止エリアに指定されているC-5の南側を回り込み、東へと峰不二子は足を進める。
「……あれは」
峰不二子の眼下に見えるのは倒壊し、瓦礫の山となったホテルの成れの果てだ。
改めてこの殺し合いに自分が加わることの馬鹿馬鹿しさを確認すると、
溜息一つを残して彼女はさらに山の中へと歩を進めた。
まだ陽の届かない薄暗い木々の間を進みながら峰不二子は考える。ある一つの賭けについて。
もう間もなく禁止エリアに囲まれて死に地と化すA-6。そこに入ってしまうという手がある。
もちろん普通に考えればそれは自分を追い詰めることに他ならないが、自分にはある情報がある。
『禁止エリアに入ってから首輪が爆発するまでには30秒の猶予がある』
荷物に紛れていたメモに書かれた真偽不明の情報だが、
もしそれが本当ならば禁止エリアと禁止エリアの触れ合う角の部分なら、その30秒で抜けられるかもしれない。
……どうするか?
禁止エリアに囲まれた中に逃げ込む――大きなメリットがある手ではあったが、
山の低い部分を北上し、川に沿って進路を北東に変える頃には、峰不二子はその考えを捨てていた。
一つに、A-7とB-6が触れ合う角には、現在沿って歩いている川が流れていること。
一つに、市街地の中ならともかく自然の地形である山の中ではエリアの境界が判別しにくいこと。
一つに、そもそもメモに書かれていた情報が信用できないこと。逆に罠の可能性もありうる。
そしてなにより、彼女は温泉に入りたかったのだ。
先程の戦闘で少年にかけられたチリソースは全身に付着しており、
その刺激――いやそれよりもその匂いが彼女を不快にさせていた。
そんな時に、向かう先に温泉があるというなら彼女ならずともそこへ行こうとするのは無理もないだろう。
とはいっても慎重な峰不二子である。彼女は真っ直ぐに温泉に向かうなどという真似はせず、
まずは禁止エリアに指定されているA-7エリア――その北東の端に腰を落ち着けた。
すぐに向かっては、もしかしたら篭っていた人間と鉢合わせするかもしれないからだ。
陽光を反射する水面の傍ら、片手に時計。もう片手で粘る髪を弄りながら峰不二子はゆっくりと時が過ぎるのを待っている……。
【A-7(北東の端)/2日目・午前】
【峰不二子@ルパン三世】
[状態]:顔面及び全身に激辛のチリソースが付着、テキオー灯の効果持続中
[装備]:コルトSAA(弾数:6/6発-予備弾6発) 、コルトM1917(弾数:6/6発-予備弾無し)
[道具]:デイバック×8、支給品一式×7(食料6食分消費、水1/5消費)
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)
RPG-7×2(榴弾×3、スモーク弾×2、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能) @ドラえもん
暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
ダイヤの指輪、のろいウサギ@魔法少女リリカルなのはA's、ハーモニカ、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー
真紅のベヘリット@ベルセルク、ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ
トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
【薬局で入手した薬や用具】
鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
※種類別に小分けにしてあります。
[思考]
基本:最後まで生き残って優勝する。安全を最優先。利用できるものはなんでも利用する。
1:9時直前までA-7エリアで粘り、それから温泉へと向かう。
2:温泉に着いたら身体と服に付着したチリソースを洗い流し、くつろぐ。
3:次の放送まで身体を休め、次の手を考える。
4:弱っている者や確実に自分より弱いと思える人間を見つけたら殺害する。(それでも慎重に)
5:すでに出会っている人間とは極力接触を持たないようにする。
※劉鳳、水銀燈、凛、ハルヒ、のび太、ドラえもん、カズマ、レヴィ、ゲイナー
6:劉鳳やカズマなどの人間離れした連中とはやりあわない。
7:F-1の瓦礫に埋もれたデイバッグはいつか回収したい。
[備考]
※E-4の爆発について、劉鳳の主観を元にした説明を聞きました。
※「なくても見つけ出す!」にて、ドラえもんたちがしていた会話の一部始終を盗聴していました。
※着せ替えカメラの効果が解除され、元の格好に戻っています。
*時系列順で読む
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*投下順で読む
Back:[[第五回放送]] Next:[[運命に反逆する―――――――!!]]
|256:[[暗闇に光る目]]|峰不二子|271:[[ひぐらしのなくころに(前編)]]|
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