非リレー型バトルロワイアル @ ウィキ内検索 / 「隠れていれば安全……とは限らない」で検索した結果

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  • 隠れていれば安全……とは限らない
    22話:隠れていれば安全……とは限らない 廃村の、とある廃家の土壁に真っ赤な液体が大量に付着した。 くすんだ白色だった壁が赤く染め上げられる。 壁のすぐ下の地面には、胴体と首が泣き別れになった少女の死体が転がっていた。 胴体から少し離れた所に転がる頭部が浮かべる表情は恐怖そのもの。 「……」 青い髪に赤い鉢巻を巻いた青年――勤武尚晶(きんぶ・なおあき)は、 血の付いた刀身を少女の衣服で拭き取る。 大勢の人間や獣人、獣を最後の一人が決まるまで殺し合わせるこの狂気のゲーム・バトルロワイアル。 だが彼にとって、人を殺す事など日常茶飯事であった。 闇に紛れての辻斬り、政治家や犯罪組織の用心棒、傭兵紛いの仕事。 今まで尚晶が斬り捨ててきた人間は、恐らく百を超える。 そんな彼がこの殺し合いを享受するのは、ある意味で当然の流れだった。 故に廃村で発見し...
  • 立沢義の憂鬱
    ...ない) 隠れていれば安全……とは限らない 時系列順 絶望の末の行動はやはり絶望そのもの 隠れていれば安全……とは限らない 投下順 絶望の末の行動はやはり絶望そのもの ゲーム開始 立沢義 Jam Cession ゲーム開始 本間秀龍 Jam Cession
  • 新訳俺オリロワ追跡表
    ... 登場人物 022 隠れていれば安全……とは限らない 勤武尚晶、フォナ・アンシュッツ、平池千穂 029 こんな村おこしは嫌だ 伊賀榛名、志村正隆、津野美鈴、一色利香、八房利徳、勤武尚晶 045 朱の色と空の色 四宮勝憲、勤武尚晶 15:葛葉美琴 4話 死亡 No. タイトル 登場人物 002 無菌状態に慣れ過ぎて 葛葉美琴、アルソンズ・ベイル 025 酔っ払いはマジ勘弁 ライゲ、葛葉美琴、アルソンズ・ベイル 032 Jam Cession 葛葉美琴、ライゲ、立沢義、本間秀龍、須牙襲禅、レオーネ 040 救いなど無い 石川昭武、川田喜雄、須牙襲禅、レオーネ、葛葉美琴、立沢義、本間秀龍、マティアス 16:久保遼平 1話 死亡 No. タイトル 登場人物 021 「友」 高原正封、藤堂リフィア、久保遼平 17:香瀧宏叔 3話 死亡 No. タイトル 登場...
  • 新訳俺オリロワ本編SS目次・投下順
    ...、久保遼平 022 隠れていれば安全……とは限らない 勤武尚晶、フォナ・アンシュッツ、平池千穂 023 立沢義の憂鬱 立沢義、本間秀龍 024 絶望の末の行動はやはり絶望そのもの セルゲイ・ルシコフ、平沢まりな、水鏡名雪 025 酔っ払いはマジ勘弁 ライゲ、葛葉美琴、アルソンズ・ベイル 026 オヤジはそんな高位存在だったのか 川田喜雄、石川昭武 027 EVE~逃亡劇~ 四宮勝憲、志水セナ 028 心の奥までは偽れない 朱雀麗雅、志水セナ、四宮勝憲 029 こんな村おこしは嫌だ 伊賀榛名、志村正隆、津野美鈴、一色利香、八房利徳、勤武尚晶 030 アザヤカナキセキ レックス、稲垣葉月 031 Police station where meaning doesn t exist 戸高綾瀬、香瀧宏叔、レイ・ブランチャード 032 Jam Cession 葛葉美琴、ライゲ、立沢義、本間秀龍...
  • 新訳俺オリロワ本編SS目次・時系列順
    ...、久保遼平 022 隠れていれば安全……とは限らない 勤武尚晶、フォナ・アンシュッツ、平池千穂 023 立沢義の憂鬱 立沢義、本間秀龍 024 絶望の末の行動はやはり絶望そのもの セルゲイ・ルシコフ、平沢まりな、水鏡名雪 【朝方】 No. タイトル 登場人物 025 酔っ払いはマジ勘弁 ライゲ、葛葉美琴、アルソンズ・ベイル 026 オヤジはそんな高位存在だったのか 川田喜雄、石川昭武 027 EVE~逃亡劇~ 四宮勝憲、志水セナ 028 心の奥までは偽れない 朱雀麗雅、志水セナ、四宮勝憲 029 こんな村おこしは嫌だ 伊賀榛名、志村正隆、津野美鈴、一色利香、八房利徳、勤武尚晶 030 アザヤカナキセキ レックス、稲垣葉月 031 Police station where meaning doesn t exist 戸高綾瀬、香瀧宏叔、レイ・ブランチャード 032 Jam Cess...
  • 「友」
    ...の殲滅華 時系列順 隠れていれば安全……とは限らない 私の殲滅華 投下順 隠れていれば安全……とは限らない 落ち着く場所ありますか? 高原正封 出来るなら、戻りたい、あの頃に ゲーム開始 藤堂リフィア 相反する二人 ゲーム開始 久保遼平 死亡
  • 光は希望とは限らない
    26話 光は希望とは限らない 気持ち斜めに傾いている座礁客船内の客室区画通路を、 懐中電灯で前方を照らしながら、眼鏡を掛けた少年、野比のび太は歩いていた。 時折どこからともなく響いてくる船が軋む音、そして光が届かない暗闇の部分に怯えながらも、 必死に自分の萎えそうになる気持ちを自分で励ましながらのび太は通路を進む。 しかし、元々のび太少年は暗がり等の、いわゆる「怖い物」が苦手なのだ。 「ひっ!!」 故にどこかから聞こえた謎の物音にも敏感に反応し情けない声を上げてしまう。 誰かいないかとこの座礁客船内を探索していたのび太だったが、 一人で回るには船は広過ぎた。ましてや電力が完全に死んでいるようで、 電源のスイッチと思しき物を押しても何の反応も返ってこず、更に、 停電の際にも点くようになっているはずの非常口案内看板や消火栓のランプも消えていた。 ...
  • その道が正解とは限らないから
    44話:その道が正解とは限らないから リュードはレオーネの無事を確認するやすぐさま行動に移った。 他の死者の事などどうでも良い。禁止エリアも現在位置のショッピングモールからは 離れた位置だ。特に気にする必要は無いだろう。 心のどこかで、もしかしたらもう既にどこかで息絶えているのでは無いかと諦めていた妹が、 少なくとも放送の時点までは生きている事が分かった。 「レオーネ…お姉ちゃんが必ず迎えに行くからね」 自動拳銃ベレッタM92FSを携え、ショッピングモール奥へ進む。 そして大きな吹き抜けになっているホールに辿り着く。 「ん……」 血の臭いを感じ取ったリュードはベンチに座っている血塗れの二足歩行の銀狐を発見した。 尾が二つあるため妖狐の類だろうか。 「! ……誰?」 銀狐――稲苗代儀重がリュードに気付き振り向く。 傍には...
  • 変人が必ずしも悪人とは限らない
    11話 変人が必ずしも悪人とは限らない 「疑問、貴方無問題?」 そんな声で目が覚めた。 ここはC-3学校。俺こと丹羽 雄二(うにゅう ゆうじ)は3階のどこかの教室で眠っていた。 そんな所にこの女の子に起こされた。 「…おはようございます」 「私見貴方無事」 「何なの?お前の喋り方」 「私話、文句有?」 「文句なんかねえよ」 なんというか分かりにくいしゃべり方しやがって。 ちなみにこいつは河田 遥(かわだ はるか)というらしい。 電波系っていうのか? 顔はかわいいくせして、電波とか…。 まあそれが基本なのかもしれない。 「貴方何思考?」 「貴方は何を考えているの…か?…何でもいいだろう」 「了」 分かった…のか? なんというか怖いな…。 まあ、仕方ないだろう。 「よし、さっさと行こうぜ…」 「小待」 ...
  • この道が正解だとは限らないから
    10話 この道が正解だとは限らないから 森の中。 薄暗い森の中。 粕谷結菜は息を荒げていた。 「はぁ…はぁ…はぁ…」 太い木に両手を付き尻を突き出し、剥き出しになった尻からは白い液が垂れていた。 「…気持ち良い~」 嬉しそうな表情で結菜が言う。 「凄く気持ち良かったよ…結菜ちゃん」 濃い青色と白の人狼の雄が舌舐めずりをしながら感想を言った。 人狼、ローレンツは近くの雑草で己のモノを後始末する。 結菜もまた然り。しゃがんで人狼の種液を垂れ流し後始末した。 結菜の背後からローレンツが抱き付く。包み込むように。 「決めた。結菜ちゃん、俺と行動してくれ」 「良いよ…」 「よろしいならば支給品確認だ」 二人はそれぞれ自分の支給品を確認し始め、互いに見せ合う。 結菜はマグナム弾を発射する強力な大型自動拳...
  • こんな村おこしは嫌だ
    ...い 八房利徳 死亡 隠れていれば安全……とは限らない 勤武尚晶 朱の色と空の色
  • その選択は正しいのか
    30:その選択は正しいのか 竜人少年、加藤淳五郎は別荘地を訪れる。 どの家屋も余り手入れされている様子が無い、使われていないのだろうか。 入ってみようとするが、どの家屋も施錠されていて入れない。 「……ふぅん」 中に誰かいて施錠されていると言う感じでは無い、元から施錠されていたのだろう。 「あれ」 とある一軒の別荘を尋ねた時だった。 窓の奥のカーテン越しに何か動いたような気がした。 気になった淳五郎はその別荘の玄関に向かい、扉のノブに手を掛ける。 すんなりと開いた。 警戒しつつ奥へと足を運ぶ。 そして先程影を見た辺りの部屋に入る、そこは居間のようだった。 見た所誰もいないように見える。 「……」 だが淳五郎は気配を感じていた。 部屋に飾られている少し大きめな壷のの上から少し髪の毛が出ていた。 「ねぇ、隠れてる...
  • ずっとずっと……籠城――ひとりきり
    14話 ずっとずっと……籠城――ひとりきり 廃墟となったホテルの三階、客室の一室。 チーター獣人の少年、篠原昌信は入口扉に鍵を掛けてベッドの中に潜っていた。 ホテルは廃墟だったが、客室の状態は割と良く、埃と黴の臭いさえ我慢すればある程度は使えそうだった。 勿論電気は使えず水道も使えないが。 「……」 布団の中で、昌信は恐怖に震えていた。 どうして自分が殺し合いなどしなければいけないのか全く分からない。 いきなり連れてきて殺し合いをしろなど、どう考えてもあの吉橋と言う男は正常では無い。 「嫌だ、殺し合いなんてしたくない……」 デイパックの中には、狩猟用のライフルと予備弾が入っていた。 これで人を殺せと言う事なのだろう。 当たり武器の部類に入るが、昌信にはこれで人を撃つ気は全く無かった。 「……じっとしてれば、大丈夫かな」 ...
  • 静謐と、恐怖
    第二十六話≪静謐と、恐怖≫ エリアG-2に存在する、鉄筋コンクリート三階建ての小規模な病院。 外来患者も、入院患者も、医師や看護師も誰一人としておらず、院内は異様な程静まり返っている。 三階にある個室病室の一つ、306号室に、一人の狼獣人の女性が潜んでいた。 獣に近い身体付きで、身に付けている物は胸に巻いた布と前掛けに似た下着。 濃い灰色と薄い灰色の毛並みが窓から差し込む光を反射し輝いている。 狼獣人の女性――島川奈織(しまかわ・なお)は、この殺し合いが始まった直後からこの病室に身を潜めていた。 「……もう、二時間経ったんだ……」 私は基本支給品の一つ、懐中時計が指している時刻を見て言った。 時刻は午前8時11分。この殺し合いが始まった時は午前6時7分だったから、 およそ二時間経過したと言う事になる。 二時間。たった二時間なのに、もっと長く感じたの...
  • 彼らの選択は未だ不明瞭のままで
    9話 彼らの選択は未だ不明瞭のままで 「うそだろぉ、なんだよこれ! ありえねぇよ!」 フィールド南東の山道を下って行くカラスの少年がいた。 名前をカラバッチョと言い、山びこ村という小さな村に住んでいる郵便屋の息子である。 彼は山びこ村ではみんなのリーダー的な存在ではあるが、結局は普通の子供である。 殺し合いをしろ、と言われてハイ分かりましたとは言わないししたくもない。なにより殺されるかもしれないという恐怖で上手く動けもしない。 「なんだよ、こんな事考えたばか野郎は! 俺がこんな事でビビるとでも思ってんのか!」 口ではこんな事を言っているカラバッチョだったが、内心ではとても怖かったし、なにより今現在ヒザがガクついている。 カラスにヒザもくそもないが。 「くそっ……せめて山びこ村の誰かに会えればいいんだがなぁ……はぁ。これからどうしよう……」 ...
  • 灰に咲く花のように
    23話 灰に咲く花のように 可愛い女の子と一緒にいれて、好きな時に行為をさせてくれて、幸せだと、 人狼ローレンツは思う。こんな殺し合いの中にいなければ幸福の絶頂だったはずだ。 しかし生憎首に爆弾内蔵の首輪をはめられ優勝者と言う名のたった一つの椅子を巡る、 死の椅子取りゲームに自分と少女、粕谷結菜は参加させられてしまっている。 改めて、ローレンツと結菜の心の中で、主催者の荒神健児に対する怒りが湧き起こる。 森を東に進み、市街地に出る事が出来た。 ローレンツと結菜は適当な民家に入り休息を取る事にする。 「ふぃ~」 疲労が溜まった結菜は和室に入るなり畳の上に横になった。 「しばらくここで休もう」 ローレンツも腰を下ろす。 結菜に性的に襲い掛かりたい衝動に駆られたが、彼女も疲れているだろうと思い自重した。 (……襲ってきてく...
  • 朱の色と空の色
    45話:朱の色と空の色 「美琴はまだ生きてんのか…」 エリアE-5住宅街の一角。 四宮勝憲は放送にて二人いる内のもう一人の知人の生存を知る。 「くそっ…主催の連中…絶対ェ許さねぇ」 幼馴染をこの殺し合いで失った事で、勝憲は主催者の柴田行隆とセイファートに対し 更に怒りの炎を燃やす。 「……だけど、もう半分近くも減ってんのか……こんな殺し合いに、 そんなにやる気になってる奴がいんのかよ……狂ってるぜ」 吐き捨てるように言うと、幼馴染の持っていた刀を携え、隠れていた民家の庭先から出る。 そしてこれからどこへ行こうかと思案していた時。 南の方角にある曲がり角から一人の男が現れた。 青い髪に赤い鉢巻を巻いた青年だったが、その衣服は血塗れになっていた。 「……!」 その男――勤武尚晶が血塗れになっているのは怪我をしているか...
  • その病気、治らない事につき
    12話 その病気、治らない事につき 「ねぇ、返事してよ…私が愛してあげるから…ねぇ…」 A-2商店街に若林 薫(わかばやし かおる)が立っていた。 その傍で呻き苦しんでいるのは、川越 哲司(かわごえ てつじ)。 若林の特徴を簡単にまとめると『ヤンデレ』である。 「ねぇ…返事してよ……」 「ぐ…化物が……」 「……え?」 「俺から離れろよ、ばけものおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 「なんで?なんで愛してくれないの?私はこんなにも愛しているのに…」 「初対面で告白してきて、断ったら鉈で切りつけてくる奴なんか愛せるか!」 当然の反応である。 しかし、その反応は間違いである。 少なくとも、この相手に対しては。 「私を愛してくれないなら、」 死んじゃえ 死んじゃえ死んじゃえ 死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ 死んじゃ...
  • 運という不確定なものも時には必要
    55話 運という不確定なものも時には必要 第一回目の放送を聞き終え、永倉萌は複雑な表情を浮かべる。 自分を含めて全47人いた参加者の内、最初の6時間で14人も死亡した。 その6時間の間、自分は一度も襲われる事は愚か他参加者に遭遇する事もなく過ごした。 これは幸運と言って良いのだろうか。 そう言えば数時間前にどこかから放送で呼び掛けを行っていた人物がいたが、 どうなったのだろう。もしかしたら先程呼ばれた14人の死者の中に入っているかもしれない。 現在位置と思われるエリアE-3は禁止エリアには指定されなかった。 一番近い所で廃精神病院があるエリアが指定されたが、 廃精神病院には行くつもりはないので気にする必要はないだろう。 「……」 この森の中に放置されていた廃車体に隠れて随分経つ。 このままずっとこうして隠れていれば安全だろうが……正直な所、...
  • THE FALLEN
    「ふむふむ……ま、こんなもんだろ」 さらさらと、ショッピングモール内の見取り図を軽くメモ帳に書き写し、スッとメモ帳をポケットに仕舞う。 この殺し合いが始まり、一番最初に自分が辿り着いたのが、このショッピングモールだった。 ……まあ、正確に言うなら気がついたら見取り図に寄り掛かった状態で目が覚めたと言うべきだが。 目が覚めた直後は頭がボーッとしていたが、自分の置かれている状況の事を考えると、すぐに目が覚めた。 そして、何かの役に立つかもしれないと思い、見取り図を軽く書き写して、今に至ると言う訳だ。 しかし、こうやって見取り図を見てみると、本当に普通のショッピングモールと言った感じの店だ。 全体的な形はと言うと、長方形が2つ重なって、カッコのような形になっているようだ。 3階建てで、中心辺りに吹き抜けがあって、その周りに食べ物系統の店とファッション系の店があるようだ...
  • 身体交われど血は交われず
    43話:身体交われど血は交われず A-4、B-4境界線付近に存在する焼き肉屋店内。 何度もの行為を一旦止め衣服を整えた葉月と黒狼レックスはここで放送を聞いた。 「もうそんなに死んでるのか…何てこった」 「うう……」 二人はお互い以外に知り合いなどいなかったが、 予想以上の死者の数にレックスも葉月もショックを受けた。 「この辺は禁止エリアにはなってないからすぐ動く必要は無いみたい」 「そうだな……何回もヤって、ちょっと腹減ったし…飯にしようよ葉月」 「うん」 それぞれ支給された食糧を取り出し、食事を取る事にした。 レックスはおつまみ用と思われる焼き豚、葉月はカレーパンである。 「むぐ…食べた後はどうしようか…」 「そうだな…まっすぐ北に行くと公民館らしいし、行ってみない? どうせ宛ても無いしさ」 「ショッピングセンターの方が近...
  • 幽霊船で泣く兎
    13話 幽霊船で泣く兎 淡いピンク色の髪を持った、バニーガールの格好の少女が、 少し床が傾いた寝室の中で膝を抱えて震えていた。 ここはエリアE-1にある座礁したクルーズ客船内部。 上部デッキにある客室の一つで、バニーの少女――神山アキナは殺し合いをスタートさせた。 「どうしよう…殺し合いなんてできっこないよぉ」 何も分からぬまま仕事先のバニーガールの衣装のままで、 「最後の一人になるまで殺し合いをしろ」と言われたのである。 首には爆発する仕掛けの金属製の首輪がはめられ、 もしかしたら主催者の気まぐれで爆破されるかもしれないと思うととても怖かった。 ギギイイイ…。 「ひっ!」 時折聞こえる船が軋む音に怯えるアキナ。 座礁船であるこのクルーズ客船は、波が船体に打ち付けられたりする度、 不気味な軋みを上げるのだ。 もしかしたら船底...
  • 痛みの数だけ強くなるとも限らない
    29:痛みの数だけ強くなるとも限らない ジャッカル獣人の男が、廃墟の病院に足を踏み入れる。 放送で呼ばれた名前は最初に見せしめになった一人を含む14人。 先刻出会った中根玲奈なる全裸美少女の名前は呼ばれなかった。 男、石黒雅則は、診察室にて凄惨な現場に遭遇する。 「これは…!?」 首を切断された女性、胴体に銃撃されたと思しき穴がいくつも空き、血を流して死んでいる緑色の竜の、 二つの死体と、座り込んで呆然としている金髪ショートの白衣姿の女性がいた。 「おい、あんた…」 「……あ」 「あ…俺は石黒雅則。俺は殺し合う気は無い…信じて、くれるか?」 「……(コクリ)」 白衣の女性、浅井うららはこれまでに起こった事を、震えた声で雅則に話した。 「……大変、だったな」 その言葉が適切がどうかは分からなかったが、雅則はそう声を掛...
  • 想いは 正しく伝わらない
    月光の下、桐山和雄は二度目の人生を生かされていた。 そして、前回のゲームでもそうしたように、彼は今回もコインを投げて決めようとしていた。 表ならば、主催者と戦う。 裏ならば、ゲームに乗って優勝を目指す。 そこに、例えば本当に優勝なんてできるのだろうか、とか、主催者とどうやって戦うのだろうとか、そういった感情による迷いは存在しない。 彼の心は、生まれた時からそういう風にできていたからだ。 コインを右手にのせ、指ではじいて上空に打ち上げる。 コインは空中でくるくると回り、やがて桐山の手の甲に向かって落下を始める。 桐山はそれを受け止めようとした。 背中に刃物をあてられた。 「動くな。質問に答えろ」 彼はひとまず指示にしたがった。 直立不動の姿勢をとった。 女性の鋭い声が質問をした。 「君の名前は?」 「……桐山和雄だ...
  • 声が届いた、届いた人はどう動く?
    27話 声が届いた、届いた人はどう動く? 「潮風は嫌ね…毛皮がベタついて」 海岸沿いの幹線道路を、吹き抜ける潮風をその身に受けながら、 突撃銃――H K G3を携えた狐獣人の少女、ミーウは歩いていた。 数時間前に自分に襲撃を仕掛けてきた緑色の竜を殺害し、 その竜が持っていたG3と水・食糧を奪い取ってから、ミーウは幹線道路を南下していた。 現在の所、まだ他参加者とは遭遇していなかった。 「ん…?」 アスファルトの上を歩くミーウが足を止める。 先端の色が濃い狐の耳がピクピクと動く。 海の方向から聞こえる波の音、反対側の森の方向から聞こえる葉が擦れ合う音、 そして吹き抜ける潮風の音の他に、ミーウの気を引く音が聞こえ始めていたからだ。 『…………のび太と言います! 今、エリアE-1………座礁した船…甲板にい……! この放送を………いる人、も...
  • 二人小会話
    19話 二人小会話 「小、疑問可?」 「なんだよ…」 丹羽と河田は学校内を探索していた。 見つけた物はカッターナイフと… 「是一体何?」 「は?これを知らないのか?」 見つけたもの、それは工芸用チェーンソーだった。 丹羽は普通に武器として持っている。 「まさかチェーンソー知らない奴がいるとは…」 「試使用、可?」 「試しに使う?危ないだろ…」 「…了」 分かったようだ。 丹羽は壁に掛かっている時計を見る。 放送まで残り30分を切っているようだ。 「とりあえず、放送が終わるまでここで待つけど…それでいい?」 「了」 二人はまだ知らない。 近くに最強の殺人機がいる事を。 【一日目/午前/C-3学校2階】 【丹羽雄二】 [状態]健康 [装備]工芸用チェーンソー(現地調達) [所持品]基...
  • 脆く砕ける宝石
    36:脆く砕ける宝石 浅井うららの希望で、石黒雅則は再び学校を訪れる。 恐らく、と言うより間違い無く、自分が殺してしまった猫少女の死体が残っているだろう。 雅則はうららには自分が――正当防衛だった可能性が高いとは言え――参加者を一人、 殺害しているとは言ってはいない。もっともその死体をうららが発見したからと言って、 自分に疑いがかかるとは限らないだろうが。 昇降口から中に入ると、微かに血の臭いが漂ってきた。 (…あの猫娘のものにしては新し過ぎる…もしかしたら…) 「……石黒さん、あれ……」 「……」 うららが指差す先、廊下の中央付近に人狼種の男の死体が横たわっていた。 明らかに、雅則が最初にこの廃校を出た後に、ここで死んだものだろう。 「……?」 「どうしたんだ、うららさん」 「……え?」 「? お、おい」 廃校の裏...
  • 勝利への鍵現る
    長い静寂。 暫くの間、何もない空間を漂っていた。 気が付くと森の中に立っていた。 「ここはどこだ…?」 イマイチ状況が理解できない。 確かに自分は、あの時宇理炎の代償で死んだはずなのに…。 足元にあるデイパック。 そして、独特の空気。 …自分はまた、殺し合いの場に呼ばれている。 「…なら、今回も生きて帰るしかないな」 カズヤや兄貴たちの分も、生きなければならない。 それが、自分の使命だからだ。 (とはいえ、俺の知識が今回も通用するかどうか…。首輪も、同じ物とは限らないだろうし) デイパックを開ける。 …紙切れが入っている。 何か書いてあるようだが…血が付いていて、何だか良く分からない。 「これ以外には何も入ってないのか…。仕方無い。」 紙をポケットに入れ、森の中を歩き出した。 【一日目・深夜/A-4】...
  • 集え、学び舎に
    38話 集え、学び舎に 緑髪の巫女、東風谷早苗は、小中学校の保健室にて、 銃撃された傷を治療し身を潜めていた。 「痛い……これで、大丈夫かな……」 かなり適当に包帯を巻き付けただけで治療と呼ぶには粗末な処置である。 左上腕は.357マグナム弾が貫通し、本来であれば、 専門の医師による適切な治療が必要なレベルの怪我だった。 当然、早苗にそのような治療など出来ない。 左腕は少し動かすだけでかなりの激痛が走るため、今後の行動に、 大きく影響する事は明白だった。 「うう……何でこんな事に……私、何か悪い事したっけ……?」 いきなり言葉を喋る何かの妖怪の類と思しき狼に殺し合えと言われ、 訳も分からぬまま見知らぬ土地に放り出され、銃で撃たれ大怪我をした。 早苗はここ数カ月の自分の生活を思わず振り返る。 このような理不尽極まりない殺し合いに参加...
  • そして狐は忍び込む
    42話 そして狐は忍び込む 座礁客船乗船用タラップの所で眼鏡少年・野比のび太とバニーガール・神山アキナは、 先刻行った拡声器による不戦の呼び掛けに応じて集まった二人の参加者を迎えていた。 一人は黒髪ツインテールに、黒いビキニ、その上に紺色のマントを羽織った、 のび太にとってはバニーガールであるアキナと並ぶ刺激的コスチューム姿の死神五世。 もう一人は黄色い狐の頭と毛皮を持った、狐獣人の少女のミーウ。 「死神五世さんにミーウさん、ですよね。 僕の呼び掛けに応じてくれてありがとうございます」 まずのび太が二人に礼を述べる。 横でアキナがのび太に続いて頭を下げた。 「いいけどな…あんな大声出してたら自殺行為だぞ。 以後はあんな軽率な行為は控えるべきだ」 「まぁまぁいいじゃない。殺し合いに乗ってない人が集まったんだし。 あたしと、えーと、死神五世さ...
  • 冷静と不安
    急に、意識が元に戻る。スッ、と半身を起こして、辺りの様子を伺う……。 どうやら、どこかの屋上らしい。地面は汚れていて、所々に草が生えて、柵は錆だらけだ。 おそらく、廃墟かそれに近い物なのだろう。あまり体が汚れるのも好きではないので、すぐに立ち上がる。 体を軽くはたいて、自分の今の状況を整理する。 (殺し合いと言う事は……合法的に人を殺れると言う事だな。ありがたい) 人を殺すと言う事は、すなわち警察に追われることにも繋がる。捕まってしまっては元も子も無い。 しかし、ここにはそれがない。つまり、何の気兼ねも無く人を殺めることができると言う訳だ。 そうなるとまず必要なのが、武器になる物だ。素手でも人を殺せない訳ではないが、反撃される等のリスクがある。 できるだけリスクは押さえなければ、話にならない。その為に欲しい武器は、銃だ。これなら遠方から攻撃出来る。 上手く使え...
  • 小曲園
    11話 小曲園 「酷いもんだな」 茶色と灰色の毛皮を持つ獣竜、マクシミリアンは交番内に貼られた犯罪予防ポスターを眺めながらそう言った。 常駐している筈の警官の姿はどこにも無い。外にはパトカーが停まっていた。 マクシミリアンのその手には支給されたチェコスロバキア製短機関銃Vz25が携えられている。 「大人数集めて殺し合いね…まあ、俺としては、殺し合いに抵抗は、特に無いのですが…知り合いも、いないみたいだし」 奥に行き、小さな台所のある和室に入り座る。 休憩所として使われていたのだろう。 「果報は寝て待て、と言うし…しばらくここにいようかね」 そう言うとマクシミリアンは畳の上に横になった。 【早朝/D-6交番】 【マクシミリアン】 [状態]健康 [装備]CZE Vz25(32/32) [道具]基本支給品一式、CZE Vz2...
  • 画餅に帰す
    「一体、どうなってるんだ、こりゃ」 ポリポリと頭をかきながら、見たことも無い場所を進む。 何か、映画にでも出てきそうな光景だ。 良く分からない広い工場のような場所、何やら図面のような物が置かれている部屋……。 何たって、こんな物が。 第一、所々に書かれている文字……これはどこの国の字だ? どっかで見たような、そうじゃないような……。 どっちにしろ、分からないんじゃどうしようもないけどねぇ。 (困ったね…………) こんな馬鹿げたゲームに乗るつもりはない。 だが、今の所どうすればいいのか、いまいちいい案が浮かばない。 知り合いがいるのか。 この近くに、人がいるのか。 何で、こんなことに巻き込まれてるのか。 何一つ、分かりゃしない。 「手厳しいねぇ。ゆっくり、腰を下ろして考えてみようか」 いろいろ、調べなきゃならない。 確か、自分の...
  • 殺人鬼?いいえ殺人機です
    10話 殺人鬼?いいえ殺人機です 「……」 突然な事を言うが…彼、洲崎 宏(すざき ひろし)は機械である。 機械として作られた目的は簡単だ。 戦争用殺人ロボット それだけのために作られている。 彼の考えはただ一つ。 この場でも、戦場でも同じ。 人間の排除。 敵も味方も関係ない。 全て同じなのだ。 ただの塊、魂があっても、それはただの敵。 「殲滅……開始―――」 最悪の機械は始動した。 ○ ○ ○ ○ ○ 石黒 幸男(いしぐろ さちお)と住吉 綾子(すみよし あやこ)はC-3の学校にいた。 「……ねえ」 「……何?」 「私怖いの…慰めてくれる…?」 「…もちろんだyガフォ」 男の首が胴体と離れてしまった。 住吉は後ろを向き、顔を確認した。 その顔は、楽しんでるわけでも、脅えているわけ...
  • ウホッ!いい神父
    「……困ったことになりましたね」 薄暗い船内の中の、限られた明るい場所の中に、自分はいた。 一体、ここはどこなのか。そして、自分は何故こんなところに連れてこられているのか。 それに、あの白石と名乗った男の事。あの男が、何か重要なことを知っていそうな気がするのだが……。 奴がどこにいるか分からない以上、この事を聞きだすこともできない。 (あの男の事は一旦置いておいて、荷物を改めてみましょうか) あの男の言うことに偽りがなければ、このバッグの中には携帯電話・メモと筆記用具・懐中電灯……。 それと、「ランダム支給品」なる物が入っているはずだ。このランダム支給品と言う物が、一番想像がつきにくい。 あの男は「殺し合いをしてもらう」と言った……と言う事は、このランダム支給品は「武器」である可能性が高い。 (私は殺しあう気なんてさらさらありませんが、中には殺し合...
  • 単なるエロ竜では終わらない
    41:単なるエロ竜では終わらない 島役場に向かうために病院の外に出たリューグとヴァレリア。 「ん……何か来る、ぞ」 「え…?」 リューグが北方向の道路の向こうから自分達に向かって走ってくる車を発見する。 車を運転するのは和メイド倉持房。 先刻、エリアB-6ホテルにて殺害した女性が持っていた車の鍵。 それにより軽乗用車を入手し、東海岸線沿いの道路を一気に渡ってきた。 「前の方に二人…いや、一人と一匹、ですかね」 前方に青と黄色の竜と金髪の全裸のエルフ少女を発見する房。 「…少し、えげつないですけど」 房はアクセルを思い切り踏み込み車を急加速させる。 その様子は二人の側でも見て取れた。 「……何だか、急にスピードが速くなりましたよ!?」 「俺達を…轢き殺すつもりか? …ヴァレリアちゃん、俺の後ろにいて」 「え…?」 ...
  • 歩いてきた道振り返らない
    23話 歩いてきた道振り返らない 「……鼻血出して気絶とか馬鹿だろ」 「面目ない」 桜見タワーから出てきた高坂王子と若王子隆太。 先ほどまでいた女はもういなくなっていた。 「よし、今度こそ行くぞ!」 すぐにその場から離れようとする。 すると、すぐ傍に隠れていた木から出てきた男…音無結弦。 そして…気付かれないようにそこから二人を…。 撃った 撃った 撃った 撃った 撃った 撃ちまくった。 出来る限り、見ないように。 「く……どうなった……?」 目をあけると、二人とも倒れているのが目に付いた。 それを見て、安心…いや、恐怖の念が浮かんできた。 自分は人を殺してしまった。 復活もしない…俺は殺人犯となってしまった。 「くそ……俺は……奏のために…!」 「誰だよ…それ……」 「!!」 ...
  • 変態も大勢いればそれが普通になる
    6:変態も大勢いればそれが普通になる 「私は一日一回中にビュッてされないと死んじゃうのよ」 「嘘を付くな! 嘘を付くなお前は!!」 「それぐらい私、エッチなのよ」 「そう……いや、私もだけど」 エリアD-3の森、某ゲームのキリン装備に身を包んだ少女、 白檀麒璃絵と高校制服である青いブレザーにスカート姿の少女、百瀬ほのかがいた。 「それにしても良かった。初めて会えた参加者が麒璃絵さんみたいな人で…。 もし殺し合いに乗ってる人だったらどうしようかと思った」 「私もだよ」 「…その格好って、キリン装備だよね? 自作したの?」 「いや、特別注文で」 「把握…おっぱい大きいねえ」 ほのかが麒璃絵の豊満な乳房を触る。 自身もかなりの巨乳ではあるが、やはり他人の乳房は自分のものとは、 感触がかなり異なる。 「ほのかも相当じゃない」 ...
  • 人生って予測不能
    人気のない街の中。 どこに、誰がいるのかなんて分からない。分かるはずが無い。その「分からない」恐怖は、どれほどの物だろうか。 どんなに良い方向に考えを持って行こうと、1つのマイナスで、簡単に悪い方向に持って行かれてしまう。 「……どうか、したんですか?凄く、怖い顔してますけど……」 「あ、大丈夫です。少し、考え事をしていて……」 ……そう聞いてきた布川の顔も、少々疲れているように見える。 やはり、いつ襲われるか分からない状況は、とてつもないストレッサーなのだろう。一般人なら、なおさらだ。 普通に生きていれば、これほどの恐怖を感じることも無く、生きていけるのだから。 ――自分も、書き手としてバトルロワイアルを書いてはいるが……現実と創作は、違う。 どんなに上手く書いても――創作は、創作だ。現実ではない。 自分だって、本当は恐ろしい。死ぬのは怖い。だが、恐ろしい...
  • もう誰にも頼らない
    (ここは……? ワルプルギスの夜は……どこに……?)  気付けば、暁美ほむらは暗闇の中にいた。  一寸の光すらも存在しない本当の暗闇。  自分がどちらを向いているのか、座っているのか、立っているのかすらあやふやになる、そんな暗闇。  暗闇の最中にて暁美ほむらは、困惑を表情に滲ませながら、首を左右へと振った。  視界に映る光景が、唐突に切り替わったのだ。  それはまるでテレビのチャンネルを変えたかのように。  まばたきの間に、世界が一変していた。  状況に対して、理解が追随しない。  暁美ほむらの心中を、混乱が支配していた。 「やぁ、お目覚めかい。暁美ほむら」  そして、混乱の最中にて暁美ほむらはその声を聞く。  もはや聞き慣れたと云っても良い、何処までも何処までも纏わりつく悪魔の声。  声が聞こえたと同時に、闇が切り裂か...
  • カウントダウンBR
    48話:カウントダウンBR 稲苗代儀重はショッピングセンターを出た後、C-4の橋を伝い、 市街地を南下しようとしていた。 辺りを警戒しつつコンクリート造りの端を渡る。 この橋を越えた先には公民館や病院があるので、そこには人が集まっている可能性が高い。 「……ん?」 ふと、儀重は上空を見上げた。何かが飛んでいたような気がしたが。 「気のせいかな」 特に気にする事も無く、儀重は先へ進もうとした。 建物の屋上から、自動小銃にて狙いを定める翼を持った人狼がいる事になど気付かない。 ドォン! 銃声と同時に、儀重の頭部が破裂した。 肉片と頭蓋骨の破片がアスファルトの上に飛び散り、銀狐はその場に崩れ落ちた。 恐らく本人は自分の身に何が起きたのか分からぬままだったであろう。 「命中…ってね」 翼を羽ばたかせて道路に...
  • 第三者の介入
    34話:第三者の介入 ドゴォン! 銃声と共に100円ショップの陳列棚が弾け、商品だった物の破片が周囲に飛び散る。 「ちぃっ!」 100円ショップ内の柱の陰に隠れる狼獣人の女戦士、エイミス・フロリッヒャーは 苦い表情を浮かべながら舌打ちする。 散弾銃を持った、二足歩行の銀色の雄狐に襲撃され危機的状況に陥っていた。 銃に疎い彼女でも散弾銃の殺傷力については知っている。 複数個の細かい散弾を撃ち出し、距離が近ければ近い程威力が増す。 近距離で食らえばほぼ間違い無く命は無いだろう。 「逃げたって無駄だよ…」 レミントンM870マリーナ・マグナムに12ゲージショットシェルを込めながら、 銀狐・稲苗代儀重は呟く。 「悪いけど…俺も死にたくは無いからね…死んで貰うよ」 静かな声でそう言う儀重。銃など初めて使うと言うのに、自分で...
  • 人識に葬式は起こらない
    とあるところにモンスターがたむろっていた。 その中心居たのは、零崎人識。 彼はもう、動けなかった。 「零崎」として、身体を酷使しすぎたのだ。 もう、身体が使い物にならなかった。 だから、倒れる。 大人しくしていればもう少し長く生きていられたが、それは過去の話でもう手遅れだった。 「あぁあ。因果な人生だな。欠陥製品」 人間失格の人生が幕を閉じた。 【零崎人識@戯言シリーズ:ログアウト(死亡)】 意味のない談話 投下順 [[]] 地味な奴らの分からない終わり 零崎人識 GAMEOVER
  • 2つのラプソディー ~serendipity~
    ~不二周助の場合~ 誰もいないさびれた劇場で、思いのほか時間を費やした。 というのも、猫の『かたまり』が入っていたころから、ディパックが『容量無限大、無制限』だと気づいてしまったのがきっかけだ。 漫画みたいだと思ったけど、深く考えないことにした。 このディパックは、どんなに大きいものでも好きなだけ詰め込めるらしい。 そして、不二に支給された道具は、どれも使い勝手が悪かった。 それぞれ、使いようはある支給品だったけれど、身を守るのには向かないものだった。 ならせめてと、役に立ちそうなものがあれば、かたっぱしから現地調達して詰め込んでいくことにしたのだった。 とはいえ、劇場なのだから武器の類は期待できない。せいぜいで消火器レベル。 その他、舞台裏で見つけた描き割りなどの大道具を、とにかくあるだけ詰め込んだ。 誰かに襲われたら、ディパックのチャ...
  • 戦乱の演
    22◇戦乱の演 「がぁあぁぁあっ、ふざけんなぁっ!」 「おぐぅ」 「割れろ! メガネ割れろばかぁあぁっ! どうしてくれんのよっ、”コレ”!」  と、ここでところ変わって場所はA-1。  駐車場でも娯楽施設でもないその場所では今、数えて六発目の打撃が、とある女性によって行われていた。  青息吐息が放った右フックは、女性らしからぬ勢いと速度で、的確に先手必勝のみぞおちにヒットする。  唸りながら、お腹を押さえて数歩後退する先手必勝。  体勢が崩れ、色素の薄い銀髪がぱらぱらと前に垂れてしまう。  自慢の銀縁メガネは傾いて、整っていた服は乱れて、  理系男子としてはとても残念な姿だ。  だが、それでも目の光だけは失わずに、皮肉のこもった喋りを彼は忘れなかった。 「ぐぇ……でもホラ、おかげで動けてるじゃあないですか、青息吐息さん。  ちょっと元気すぎるくら...
  • 狼のキモチ
    18話 狼のキモチ ようやく放精が終わったイェレミアスは海の見える幹線道路を南に歩いていた。 カツカツと固い爪がアスファルトに当たる小気味良い音が波の打ち寄せる音と共に響く。 「由菜はどこだー?」 殺し合いに呼ばれた知人を捜す。 「お前の淫乱***にまた突っ込むまでは俺は死なないし、お前も死ぬなよ……」 自分の欲望のためか、何かしらの愛情は持っているのか本人にしか分からないが、 とにかくイェレミアスは知人の若月由菜の事を捜していた。 「……」 突然、イェレミアスは立ち止まる。 嗅ぎ覚えのある匂いを感じたのだ。 道路脇の草むらの方に視線を向ける。 「由菜…の、匂い…?」 草むらの中から確かに香るそれを追い、狼は草むらの中へと進んで行く。 しばらく歩いて、彼は見付けた。 「由菜…」 「んー……」 ...
  • 狂宴開幕
    ≪狂宴開幕≫ 古びた木造校舎の教室に、50人の男女が集められていた。 普通の人間が多いが、狼、犬、狐、牛、猫、竜といった獣人も多数いる。 年齢も様々で、可愛らしい少女もいれば顔に皺が沢山ある老人もいた。 彼らは自分の意思でここに来たのでは無く、それぞれがいつも通りの日常を 送っている最中に、何の前触れも無くこの教室に連れて来られたのだ。 全員の首には、黒く光る金属製の頑丈な首輪がはまっていた。 何人かが外そうと試みるが、首輪はビクともしないようだ。 教室の窓や出入口はなぜか分厚い鉄板の扉になっており、 しかも固く施錠されていて全く開く気配は無い。 突然見知らぬ場所にいて、首には謎の首輪、 周囲には見知らぬ人、出口の無い教室。 人々は困惑し、不安になり、恐怖に怯えた。 ファァーーー……ン。 突然、教室の正面左上隅にあるスピーカーからハウリング音が...
  • 敗者復活、心機一転
    48話「敗者復活、心機一転」 路地裏で、右足を引きずりながら歩く一人の少女がいた。 艶やかな桃色の髪を持ったその少女――エイミス・フロリッヒャーは、 首にはめられた首輪、そして背負ったデイパック、そして手に持った鞘入りの長剣以外は何も持っていないし身に着けていない。 一言で言うなら「生まれたての姿」だった。 勿論、彼女とて好きでこの姿でいる訳では無い。その証拠にエイミスは、泣いていた。 「うっ……うっ……」 この殺し合いにおいて殺し合いに乗る事を決意したにも関わらず、 今まで二回程他参加者と遭遇していながら一人も殺せていない上、二人目の参加者に気絶させられた上、 身ぐるみ剥がされ路地裏のゴミ捨て場に飽きた人形のように捨てられた。 しかもその剥がされた身ぐるみ――自身のお気に入りであったビキニ鎧とマント、靴は、ズタズタに切り裂かれてしまっていた。 更に...
  • 離れ小島を出よう!
    古泉一樹は、困惑していた。 なぜなら、彼のスタート地点は本島から離れた小島だったからである。 本島まで橋が架かっているわけでもなければ、船が用意されているわけでもない。 完全に孤立した状態だ。 「こちらから移動できないということは、向こうからもこちらに来られないということ。  殺し合いという現状を顧みれば、決して悪い条件ではないのですが……」 独り言を呟きながら、古泉は苦笑いが貼りついた顔に手をやる。 海という天然の防壁に囲まれているこの島は、ただ生き残ることだけを目的にするなら悪くない場所だ。 だが古泉は、一カ所にじっとしているつもりはない。 すでに名簿をチェックして、自分以外のSOS団メンバーも殺し合いに参加させられていることは確認済みだ。 まずは彼女たち……とりわけ涼宮ハルヒの安全を確保しなければ、話は始まらない。 観察者である古泉にとって、涼宮ハル...
  • 正々堂々
    道の所々を、弱弱しい街灯が照らしている。それらに道を照らす力はあまりなく、申し訳程度にしかなっていない。 それでも、懐中電灯があるおかげで何とか歩いて行けるくらいにはなっている。 ……しかし、殺し合いとは驚いた物だ。いつもの様に、出掛けようかと思っていた時に、急に気が遠くなって。 気がついたらこんな場所にいたのだから、普通ならまず驚くだろう……。 しかし、自分はあまり驚きはしない。どこか能天気な気があるからだろうか? (……殺し合い、か。別に死ぬのが怖い訳でもねえが……別段、殺しあう理由もねえな) この異常な状況も気になるが、自分に配られていたこのバッグも、気になる。 中には、丸い形の物――レーションとか言うらしいが――と手榴弾のような物、そして1つの指輪が入っていた。 指輪には、1枚の紙が一緒にくっついていた。その紙に書いてあったのは……。 「……『勇...
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