PlayStation Portable

登録日:2009/06/02(火) 11:34:28
更新日:2024/01/18 Thu 16:50:09
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「全てのゲームを、持ちあるこう!」



PlayStation Portable』とは、Sony Computer Entertainment(SCE)が2004年に発売した携帯ゲーム機。携帯第5世代。

CPUにPlaystation2と互換性があるものを使用し、独自メディアとしてUMDを採用することで、携帯ゲーム機とは思えない程のグラフィック性能を実現した。
初代PlayStationがそのまま携帯できるといえばその凄さが伝わるだろうか。
しかも高性能をウリにした携帯機はどれもこれも欠陥を抱えていることが多かったが、PSPには致命的な欠陥はあんまりなかった。

発売前はグラフィック性能をウリとした事から発売日に大行列ができ、新型ゲーム機ニンテンドーDSとの全面対決として報道された。
日本国内市場ではPSP発売直後は各地で品不足に陥るほどの人気を見せたが、対抗のDS側は2005年5月に発売された『大人の脳を鍛える~』シリーズ発売後から一転ブームが巻き起こされ、決定力がある作品に恵まれずミリオンセラーが出ていないPSP側は圧倒的な差を付けられた。

だが、ニンテンドーDSブームの中盤、向こうが品薄になるのと前後して、2005年の年末商戦に投入された『モンスターハンター ポータブル』が口コミで徐々に広がり、じわじわと売れ始めるようになる。
そして2007年の『モンスターハンターポータブル 2nd』が念願(?)のミリオンセラー達成。
PS2の『鬼武者』に続き、PSP日本市場のミリオンセラー第一号はまたもやカプコンの作品となった。

そこでSCEはモデルチェンジしたPSP-2000を発売。
薄い、軽い、多色展開、別売り周辺機器によるワンセグ対応をウリとしPSPプラットフォームを大幅に普及させた。

その後は、『モンスターハンターポータブル 2nd G』をはじめとした人気ソフトの発売が行われていく。
更に、SCEは液晶を中心としたモデルチェンジを行ったPSP-3000を発売。16,800円。

そしてPSPの新モデルとしてUMDを廃止しダウンロードソフト専用と言う思い切った形態、そしてスライドボディにしたことで持ち運び易いコンパクトサイズになったPSP goを発売。こちらも16,800円。
UMDの代わりにフラッシュメモリを搭載し、ディスク交換の煩わしさ改善とロード時間短縮を実現している。

しばらくは後継機であるPSVitaと並行して発売され、ついでに2012年4月に最後の値下げ(13,800円)が行われた。
だが発売から10年経過した2014年の4月頃、PSP-3000の生産は終了。
6月をめどに在庫も姿を消し、完全にVITAへの世代交代を完了した


【特徴】
  • PSPは本来はiPod対抗商品と言われるだけあって、写真や音楽、動画などを再生できるマルチメディア機器となっている。
    これらはメモリースティックDUOを使うことによって再生できる。
    32MB~16GBまで幅広く対応しており、セーブデータにも使用されるのでメモリースティックDUOはPSPを使ううえで必須アイテムとなっている。
  • インターネットブラウザー(NetFront Browser)を搭載。Flash Playerプラグインも搭載しているので軽いFlashも表示できる他、ファイルダウンロードも可能。
  • RSSチャンネルやインターネットラジオ、PS3を操作可能なリモートプレイ、ロケーションフリープレーヤーと連携など様々な機能を備える。
  • 新型モデル「PSP go」はUMDが廃止された代わりに16GBフラッシュメモリが搭載され、パソコンを用意すれば買ってすぐにマルチメディアプレイヤーとして利用可能。
    設定を行えばゲームもPlayStation Storeから直接購入・ダウンロードできる。
    メモリ容量は超小型メモリースティック「メモリースティックマイクロ M2」によって増設可能。
  • ゲームとFW用に32MBメモリを搭載している。これはアップデートすることで、安定性向上だけでなく、新機能の追加も可能になっている。
  • 周辺機器ちょっとショットを購入すればカメラ機能も使える他、同じく周辺機器のGPSレシーバーはカーナビなどの一部ソフトに対応している。
  • PSP-2000からはワンセグ機器を購入することでワンセグも視聴可能に。番組表や録画など他の機器と遜色ない仕上がりになっている。
  • PSP-3000からはSkypeに対応。Skype用のマイクは内蔵されている。
  • 日本では『アドホック・パーティー』というPS3を用いたサービスを提供しており、無料でオンラインに接続できる。通信対戦を備えたゲームは全て対応している。

  • メモリースティックから起動できるゲームも一部あり、体験版のダウンロードやプレイ、PSPのアップデートをすることができる。
    他にも「ゲームアーカイブス」としてPlaystationとPCエンジンのゲームを配信している。
    これらはPlayStation Storeから購入、もしくは無料でダウンロードできる。

【PSP-2000の新機能(改良点)】
  • 内部メモリーが64MBに増加(32MB分はキャッシュ)
  • USB充電機能
  • ロード時間の短縮が期待されるUMDキャッシュ機能
  • ワンセグ対応など
  • ビデオ出力

【PSP-3000の新機能(改良点)】
  • 液晶の品質が良くなった*1
  • Skype対応とマイク内蔵

【PSPの改造について】
PSP-1000初期型からプログラムを走らせることが出来るためSCEが新しいFWを出し、その後はハッカーがFWの穴を探すといういたちごっこを繰り返していた。

しかし、FWを更新しなければ新機能や新しいゲームをプレイできない為、
SCEのFWをベースに自作ソフトやエミュレータを起動できるようにしたカスタムファームウェア(CFW)をハッカー達は作りだした。(iPhoneにおける脱獄、androidにおけるroot化に近い)
従来の改造方法では非常に敷居が高く、特定のソフトが無いと改造はできなかったが、パンドラバッテリーと呼ばれる機器が登場した。
コレを用いれば簡単にCFWをインスコができるようになり、大量の割れ厨を生み出すきっかけになってしまった。
(後日、パンドラを開発したハッカー達は後悔している)

噂ではPSPのプロアクションリプレイはパンドラと同じ仕組みでコードを走らせているらしい……

法律に関してはCFW自体は引っ掛からないが、持っていないPSPのゲーム(のROM)を入手すると著作権法違反となる。

今現在新基板で改造を対策しているPSP-3000とPSP-2000の一部だが、改造できるそれ以前のものは転売屋が買い占め、現在ヤフオク等で高騰が起きている。
しかし、過去に札幌市でCFW導入済みのPSPを売って逮捕された前例があるグレーゾーンである。

なお、CFWはSONYからすれば不正改造なので、無論修理は拒否される。
たとえそれで事故を起しても自己責任。

一方でPSPのゲームをメモリースティックから起動する利点は多少なり存在し、ロード時間がかなり速くなるという利点もある。
だが今では数々のUMDソフトがダウンロード販売開始(UMDより安い)されロード時間がかなり速くなる恩恵をすべてのユーザーが受けられるようになってきているので、ロード時間のためにわざわざ改造する意味はない。

SCEはパンドラバッテリーによる改造を防ぐため、UMDを廃止したコンパクトモデル「PSP go」からバッテリーを内蔵化しユーザー交換不可にした。(のちに登場した後継機VITAにおいても同様。)

正直SONYに限らず、メーカーサポートなんてあまりアテにされていないことが多いので、ユーザーはCFW自体の使用には抵抗感がないらしい。


【UMD】
Universal Media Discの略。
要するにソニーの作ったMDのスゴい版(ただしMDはMini Discの略であるうえ、磁気ディスクなので技術的な関連は薄い)。
MDと同じように、6cm程度の円盤を透明プラスチックのケースに包み、カートリッジ状にしたもの。

容量は1.8GBと(当時の)携帯ゲーム機としては圧倒的な容量を誇りコストもDVDと同額だが、ランダムアクセスに弱くロード時間が長いといったデメリットも同様。

中身はPSでお馴染みのディスクがそのまま入っている為、
PSの伝統としてシャーシャーという回転音がする。これが好きと言う人も多い。
後継機であるVITAはカードメディアになってしまい、UMDは物理的に挿せなくなったので回転音は聞こえない。

当時SCEはこのUMDをDVDのように多用途のメディアとして普及させる構想を立てており、UMDを利用した動画ソフトUMD VIDEOや音楽用動画ソフトUMD MUSICが存在し、かつてはアダルト向けコンテンツも存在した。

しかし、発売後に半導体メモリの大容量化・価格下落が急速に進んだこと、DL販売の普及などの要因により「安価で大容量」というメリットが失われ、ゲーム向けメディアとしてもデメリットが目立ちはじめる。
新しめの作品では2枚組になっていたり、カプコンの『メディアインストール』などのように、ロード時間短縮の為にメモリースティックにシステムファイルをセーブしてメモリースティックとUMDの両方からロードするシステムが採用されるなどの対策も行われたが、
最終的にSCE自体もDL販売に力をいれる方針に転換、UMD VIDEOやUMD MUSICも時代の流れ(スマホ、BD、動画/音楽配信サービス、PSPが旧機種であること)に押されて各社撤退状況にあり、PSPシリーズ以外での採用は行われていない。



【その他】
  • PSP-1000は非常に故障が多かった(大方改善済み)
特に有名な不祥事が「フライングディスク」と「ロボタン」。

  • フライングディスク
本体をひねるとUMDがポーンと飛び出してしまう欠陥。
ただし飛んでいくというのはデマで、挙げられた動画もトリック撮影したジョークであった(上下さかさまにして撮影)。
実際にはPSP-1000はロックスイッチをスライドさせると、ディスク収納部がスプリングで開くようになっていたのだが、
このロックスイッチの引っかかりが緩い個体があり、傾けたり、ひねる方向に力を加えるとロックが解除されてしまい、
本体の角度によっては(水平だとほぼ確実)UMDが脱落してしまう不具合があったことから噂に尾鰭がついたもの。
アクションゲームでつい力を入れた瞬間いきなりディスク収納部がオープンしてしまった人は結構いる。
それもそれで携帯ゲーム機としては致命的だったが、PSP-2000以降はスプリング開閉を止める等、蓋の構造自体が見直されたため改善。

【ロボタン】
PSPの□ボタンがかなり変な形状になっており、押したら中に引っかかって元に戻らなくなる不具合。
こうなった理由はPSPのデザインを変えたくなかったためで、
その上でクタラギがPSPのデザインを自画自賛しまくっていたことから格好のネタになった。
もちろん初期型限定の不具合である。
□ボタンを多用するゲームが多いため、一時的にでも戻らなくなったユーザーは多いのでは。

  • PSP PHONEことXPERIA PLAYが存在
スマホ専用のPS旧作ソフト群(移植)を快適にプレイするために開発されたもの。
PSPgoのように本体をスライドさせると、PSそっくりのボタンが現れる。ただしスティックは存在しない。


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最終更新:2024年01月18日 16:50

*1 発色は鮮やかで綺麗になり残像感がなくなったという意見が一般的だが、残像感の低減と引き換えに画面の横移動などでインターレースと呼ばれる横縞のノイズが発生するようになったため、2000以前の方が画質が良いとする向きもある。なおこのノイズは不具合ではなく3000の仕様である