アノマリー分類システム(SCP Foundation)

登録日:2019/09/12 Thu 00:55:15
更新日:2024/03/29 Fri 22:46:38
所要時間:約 11 分で読めます




アノマリー分類システム/Anomaly Classification Systemはシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトの分類方法のひとつで、
主に001提言、シリーズIV(3000番台)、シリーズV(4000番台)の一部で使用されている。

いわゆる『新カクタスフォーマット』のことである。


概要

まず、djkaktus氏という存在について語っておくと、djkaktus氏は財団創作に新奇性を求め、
新たな手法を次々導入することで知られる人である。
あるときは自身の書いた提言を全部同じハブとしてリンクさせたり、
あるときは改稿そのものをJames Franklinという男の異常性を際立たせるために使ったり。
通常記事も『ティム・ダンカンを収容するためにバスケットボールという競技を作りました(SCP-2090)』だの、
『両親と娘のすれ違いが屋根裏そのものを異常存在にしました(SCP-2740)』だの、『ブライトだらけ(SCP-4498)』だの、
シュール方面からガチホラーまでよりどりみどり、飛び道具の使い方では右に出る者はいない。
ただそれゆえにシンプリシティを求めるミニマリストたちからは『ペスト医師の改稿は失敗だった』と名指しで批判されることもある。

そんな彼の、昨今のトレンドは『脅威度を記事冒頭でテンプレートとして表示する』、俗称カクタスフォーマットである。
この方式も、やはり賛否大きいものの(特に記事冒頭の情報量が多すぎる)、支持者により次第に広まり、確立化されつつある。
それを構成する要素がこのアノマリー分類システムであり、まとめたのはWoedenaz氏と別の方だが、
協力者のひとりにちゃっかりdjkaktus氏も入っている。

なお日本国内における翻訳はSCP-3902において、訳者Fennecist氏が『異常存在分類システム』としていたが、後に改定された。

またENでさえ全面的に受け入れられているわけではなくむしろSCP-3902のように皮肉られるときすらあるシロモノである。
海外支部でも例外ではなく、SCP-503-KOでは上記の3902のように盛大に皮肉られ、SCP-4999がこれを導入したのを日本支部で翻訳した時にはディスカッションより「内容は好みだったが違和感が勝ったのでDV」と批判の声が出てしまった。

実例

このフォーマットでSCPの情報を表記するとどんな感じなのかを実際に見てもらおう。
分類委員会メモの例示ではSCP-2316SCP-3000で扱っており
これらを従来の表記でやるならば↓こう記載する。
例1:
アイテム番号:SCP-2316
オブジェクトクラス:Keter

例2:
アイテム番号:SCP-3000
オブジェクトクラス:Esoteric - Thaumiel
カクタスフォーマットではThaumielは副次クラスなのだがEsotericの一語を足すだけである。
たまにこの報告書を読むのに必要なクリアランスを書く場合もあるが
Level 5 / classified
などを付け足すだけで済む。

これが新カクタスフォーマットでは↓SCP文書の 冒頭に必ずこれで表記される

出典:以下のCC内の「分類委員会メモ」ページ


覚えられないほどではないが
アイコンやカラーリングが3、4種まとまっていてちょっと 情報量が多くてうるさいなあ 、と
感じる人が出るのも理解できないだろうか。

アノマリー分類システム/ACSの構成要素

ACSの構成要素は以下の通りである。各ロゴのカラーリングは緑青黄橙赤の順でレベルが上がっていく。*1

  • クリアランスレベル/Clearance Level
セキュリティクリアランスレベルに対応した、報告書の開示されている内容の機密性。
カクタスフォーマットにおいては、報告書のトップに現在開示されている情報が、
どのセキュリティクリアランスレベルの職員に開示されているかを明確化する。

  • 収容クラス/Containment Class
オブジェクトクラスのこと。
『確保、収容、保護』のうち、『収容』の難易度を示す。
ただし、カクタスフォーマットにおいては、収容クラスは後述の通り、一部しか採用されず、
特殊/物語風クラス群は『副次クラス』として追記される。

  • 撹乱クラス/Disruption Class
ACSで新規導入されたクラシフィケーションのひとつ。
『確保、収容、保護』のうち、『確保』の難易度を示す。
非収容時に、どれだけ一般人に露出、曝露する危険性があるかというものである。
なお一部記事では「破壊クラス」と訳されている。

  • リスククラス/Risk Class
ACSで新規導入されたクラシフィケーションのひとつ。
『確保、収容、保護』のうち、『保護』の難易度を示す。
アノマリーそのものの危険度に関係するクラシフィケーションであり、
よくある「SafeだけどKeterより危険なやつ」とか「Keterだけど危険じゃない」とかそういうやつである。

  • 副次クラス/Secondary Class
ACSのために作られたわけではないクラシフィケーションを挿入するための項目。
要はここが、特殊/物語風クラス群のためにある部分である。

各要素の説明

クリアランスレベル

報告書の機密性は以下の通りになっている。

  • Level 1:Unrestricted/UR (Level 0:公式用途のみ)
全財団職員、つまり守衛さんとかに限らず食堂のパートのおばちゃんにすら公開していいレベルの情報。

  • Level 2:Restricted/RS (Level 1:内部機密)
収容施設などのロジスティクス担当や守衛さんには知らせておいたほうがいいレベルの機密事項。

  • Level 3:Confidential/CF (Level 2:最低レベル機密)
レベル3職員またはその職員に許可を得た者だけが見れる情報。
サイト上層部がレベル3らしい。

  • Level 4:Secret/SC (Level 3:極秘)
同様にレベル4職員向けの情報。
サイト管理官や財団のセキュリティ責任者、機動部隊指揮官がここに行き着く。

  • Level 5:Top Secret/TS (Level 4:最重要機密)
倫理委員会やO5といったトップクラスだけが見られる情報で、これ以下のメンバーはそもそも読むことも許されない。

  • Level 6:Cosmic Top Secret/CTS (Level 5:Thaumiel)
O5のみが見られる情報。
いくらなんでもバカバカしいネーミングセンスだが、これはNATOが実際に使っていたらしい。

収容クラス

ACSで認められている収容クラスは以下の7つで、うち『Esoteric』は特殊/物語風クラス群用であり、
これが付加された場合はもちろん副次クラスが併記される。

  • Safe
ちゃんと収容していれば安全なオブジェクトにつけられるクラス。

  • Euclid
収容していれば危険ではないが、予断を許さないオブジェクトにつけられるクラス。

  • Keter
収容が困難あるいは不可能なオブジェクトにつけられるクラス。

  • Neutralized
異常性を喪失したオブジェクトにつけられるクラス。

  • Pending
クラス議論中。

  • Explained
もはや異常とは見なされなくなったもの。

  • Esoteric
特殊/物語風クラス群。詳細は副次クラス参照。

撹乱クラス

撹乱クラスは以下のような観点から設定される。

1.どのくらいそのアノマリーの影響は素早く拡散するか?
2.警戒されていないとき、どれだけ広範に影響が拡散するか?
3.その影響を財団はどれくらい容易に無効化できるか?

5つのクラス名が設定されており、これらはいずれも「明るさに関係することば」である。

  • Dark
『だーく』。初っ端からヤバそうだが財団の使命は

人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない。

であることを振り返ってみよう。
この撹乱クラスのアノマリーは、「影響が考慮に値しないレベルで小さい」。
具体的に言えば、あえてわざわざ触れなければ影響を受けないくらいのもので、
財団もかんたんに影響を無効化したりカバーストーリーでごまかせる、
つまり確保するのがそこまで難しくないオブジェクトである。

なお、ほかがかなりひねったネーミングなのにこれだけ直球なのは、
収容クラスの『Safe』がやはりEuclidやKeterに比して直球だから、らしい。

  • Vlam
『ふらむ』。オランダ語で『炎(Flame)』を意味する。
局所的な地域に影響するレベルの撹乱クラス。

  • Keneq
『けねっく』。アリュティーク語で『火』を意味するが、キャンプファイアーレベルの大きな火であるようだ。
一つの都市に影響するレベルの撹乱クラスで、財団も影響を消し去るのに相当骨が折れるであろうもの。

  • Ekhi
『えき』。バスク語で『太陽』を意味する。
国レベルで影響があるようなものにつけられる撹乱クラスで、そこまで行けば当然世界的にも知れ渡る危険性がある。
財団が無力化するのに相当な困難が待っている。

  • Amida
『あみだ』。阿弥陀如来の名前の由来にもなる『計り知れない光』。
Keterといい、財団は神々に類するものを悪いものを表現するときに使いすぎな気はする。
(人智を超えたものはとりあえず脅威と考える世界観の表れだろうか?)
世界はおろか、基底宇宙そのものに影響を及ぼすレベルのもの。
犀賀のおっさんに出張してもらわないとどうにもならない系統のやつ。

リスククラス

オブジェクト単体の危険度を示すクラス。
こちらも5つが設定されている。

こちらの観点は以下の通り。
1.どれだけ容易に回復するか?
2.どれだけ危険か?
3.どれだけ近くに近づいたら影響に気付くか?

収容クラスや撹乱クラスとことなり、かなり直球。

  • Notice
『のーてぃす』。
危険度がないに等しいレベルのやつ。

  • Caution
『こーしょん』。
危険度がないわけではないが、注意して取り扱えば問題ないやつ。

  • Warning
『うぉーにん』。
近づいたらちょっとした影響を及ぼすレベルのもの。

  • Danger
『でんじゃー』。
近づいたらやばいやつ。

  • Critical
『くりてぃかる』。
影響が甚大で回復不能なレベルのもの。説明に「死ねるならまだマシ」と書いてある時点で察して。

副次クラス

S/E/K分類、及びNeutralized、Explainedで表せないクラスがここに所属する。
現時点でマークが設定されている副次クラスは以下の通り。

  • Apollyon
もうどうにもならないことで有名なやつ。

  • Archon
意図的に収容をしない、あるいは収容するほうがかえってやばいオブジェクト。

  • Cernunnos
収容は理論上はできるんだけど、その収容プロトコルに問題があるから実行されないやつ。

  • Hiemal
複数のアノマリー間で異常性が作用しあって抑制されているもの。

  • Tiamat
Apollyon一歩手前だがまだ希望はあるやつ。

  • Ticonderoga
収容はできないがそもそも不要なやつ。

  • Thaumiel
ACSではThaumielは副次クラスである。いわゆる財団の切札。

追記・修正お願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/


過去に荒れたことがあるため、コメント欄における暴力的な言葉による過度な批判や煽り、及び特定の人物への誹謗中傷等の話題は絶対に書き込まないで下さい。また、SCP以外の話題を持ち出さないでください。繰り返される場合コメント欄の撤去等の処置がとられますのでよろしくお願いいたします。


*1 収容クラスを除く