リュウ・ホセイ

登録日:2023/12/25 Mon 00:54:29
更新日:2023/12/30 Sat 00:55:47
所要時間:約 7 分で読めます





人間にはな、言葉があるんだ…俺の元気な内に…

ブライトはアムロとゆっくり話し合った事ないんだろ

それじゃ、虎は大人しくにはならん



リュウ・ホセイ(Ryu Jose*1)とは、『機動戦士ガンダム』の登場人物。


CV:飯塚昭三、田中美央(THE ORIGIN)
所属:地球連邦軍
階級:曹長→中尉
身長:180cm
搭乗機:ガンタンクコア・ファイター、ガンキャノン、ガンペリー


【概要】

地球連邦軍ホワイトベース所属の正規クルー。
70年代のロボットアニメ名物の「気は優しくて力持ち」という言葉が象徴するように、人の倍はある巨漢で温厚な人物。
アムロ達MSパイロットの兄貴分的存在であり、艦長のブライトとも対等に話し合える数少ない大人の男性。


【人物】

地球連邦軍に所属するパイロット候補生。
サイド7に停泊していたホワイトベースの正規クルーであり、シャア・アズナブル率いるファルメル隊襲撃後も生き残った軍人。
但し、多少訓練を受けただけで実戦は皆無であり、シミュレーションを二度経験した程度でカイ・シデンハヤト・コバヤシと大きくは変わらない。
設定上、年齢は18。
本人の雰囲気的なこともあってかあまり触れられていないものの、初登場時に既に年齢と経験には見合わぬ曹長という地位にあることから実はブライト同様の士官候補生だったのではないか?という考察もある。

軍隊に染まりきっていない思想や元来の親しみ易いおおらかな人柄を持ち、ホワイトベース隊の仲間達から厚い信頼を置かれている。
現場を纏める能力はブライト以上とも言われる。
ブライトも、正規のクルーが居なくなり、実践経験の無い士官候補生と民間人上がりのボランティアだけとなってしまったホワイトベースで、指揮系統をハッキリさせるために敢えて厳格な態度をとらなければならない、という理由はあったのだが、
それにしても厳格と言うより横暴・傲慢な態度を取ったり、叱責というより罵倒や鉄拳制裁に頼りがちだった。
リュウはそれに対して比較的温厚で、一方ではブライトの言い過ぎや独善的態度をなだめながら、一方ではブライトの立場も理解して衝突しがちなアムロたちとの緩衝役を買って出た。

序盤のアムロにとっては、臨まぬ戦いを押しつけるばかりか帰ってくれば文句ばかりのブライトに対して、素直に褒めてくれる相手として心の支えだった。
素直で前向きなハヤトは勿論、問題発言が多かった初期のカイもビンタや鉄拳を食らいつつも悪気は認めて従っていたりと、
彼等MSパイロットにとっては兄貴分、ブライトやミライにとっては相談相手、カツ、レツ、キッカには優しい兄ちゃんと、こと人間関係において特に頼れる人物であった。

一方で仮にも軍人であり甘さはなく、アムロが過剰なストレスで「新兵がかかる病気」を罹った際は荒療治として無理矢理ガンダムに乗せたり、傲慢な態度を取り始めたアムロを突き放したり、
勝手な言い分で脱走したカイやハヤトには説得より先に怒りの鉄拳を見舞ったりと、険しさもある程度備えている。


【劇中での活躍】

サイド7へのシャア達ファルメル隊襲撃に際し、コロニーの砲台から迎撃していた場面で初登場。
ホワイトベース艦長パオロ・カシアス中佐が自ら迎撃していたので代わろうとするが、直後に砲撃で艦長が重傷を負ってしまった。
その後はセイラ達と共に救護者の収容に尽力。
ホワイトベース出発後は頼れる兄貴分として隊全体を縁の下から支える。
パイロットとしてはガンタンクやコア・ファイターを駆り、主に火力支援やガンダムのサポートを担当。
アムロほど卓越した活躍は見せないものの、シャア専用ザクムサイ級軽巡洋艦への牽制攻撃など、縁の下の力持ちとしてホワイトベース隊を支えている。

ただ、彼もベテランではなく新兵であり、戦いには苦労する面も見られた。
実際、初期には「太陽を背にして攻撃をかけようとするアムロの考えに遅れる*2」「ホワイトベースとの無線を切ったままにしたため、ファルメルとホワイトベースの間に入ってしまい援護射撃ができなくなる」など、戦況の読みがアムロより悪かった時期がある。

とはいえその後はアムロとも打ち解け、またカイやハヤトと共にさまざまな状況で戦っていった。
ブライトがアムロにパトロールを命じ、ストレスマックスのアムロが抵抗すると「アムロは疲れてるんだ。俺達もアムロをあてにしすぎる。俺とハヤトでパトロールに出よう」とフォローと諫言と訓練によるチーム強化を同時に行うなど、内部不和で崩壊寸前だった「ホワイトベース隊」をまとめ続けた。
アムロ脱走により無意識にブライトが不安がった事がMSパイロット達へ伝播し、贔屓を感じたカイやハヤトの脱走に発展した際には、追いかけると甘ったれた態度を見せる彼ら*3に鉄拳制裁を見舞いながら「自分の良心に聞くんだな」と説得、戦闘の発生もあり彼らを引き戻した。
アムロに対しても過剰なストレスで陰険さを見せ始めると、厳しい態度で論難して正しい道へと修正させた。
一方、「マチルダさん」を引き合いに出すと「他人じゃなく自分の言葉でお説教してみたら」とアムロから逆ねじを喰らう場面も。


しかし、ランバ・ラル隊がホワイトベースに白兵戦を仕掛けてきた際、銃撃を直に受ける。
傷は重く、病床の身となるが、まるで自分の死期を悟ったかように傷ついた身を押してアムロとブライトに和解を促した。
項目冒頭の、ブライトにアムロと正面から話し合う必要性を説いたのはこの場面である。

ラル戦死後、ハモンが主導した弔い合戦の際には、まず独房のアムロを出撃させるよう指示を出し、続いて故障したガンタンクに乗り込むとコア・ファイターで出撃。
ハモンのマゼラトップにMSの急所である背中にとりつかれ、絶体絶命のガンダムを助けるべくマゼラトップに体当たりして戦死した。
直後に、彼に救われたアムロが爆薬を積んだギャロップの特攻を食い止め、背後に居たホワイトベース隊の命をも救い、味方レギュラーキャラでは初めての死者となった。

あまりの出来事にアムロは気が動転し、コア・ファイター出撃を許したジョブ・ジョンとハヤトは自身を責め、フラウ・ボゥセイラ・マス、ミライ・ヤシマ、カツ、レツ、キッカ達ほぼ全てのクルーが嘆き悲しんだ。
特にブライトは四つん這いになって泣き崩れ、TVアニメ版では過労と極度のストレスが重なり病床に臥す結果となる。

「か、勘弁してくれ、リュウ、勘弁してくれよ。なぁ、お、俺達こ、これからどうすりゃいいんだ? え? リュウ、教えてくれ。教えてくれんのだな……もう……」

なお、劇場版ではハモン襲撃とオデッサ作戦が同時に進行。危機的状況でアムロがマチルダの声をニュータイプ的直感により察知し、リュウのコア・ファイターが助けに来る流れに変更されている。

死後もリュウの存在がホワイトベース隊の精神的支柱であった事が様々な場面で描写された。
特に艦長のブライトが倒れた際は顕著となり、ブライトやミライ(ブライトに代わり艦長代行)やセイラが亡くなったリュウに縋り付いている。

ブライト「……リュウ。リュウ、ガンキャノンで左翼を……」
セイラ「こんな時、リュウがいてくれたら……」
ミライ「ブライト、リ、リュウ、助けて……」

死後もOP「翔べ!ガンダム」や、ED「永遠にアムロ」では仲間達と共に居る。単にOPやEDが一度も変更されなかっただけだが。

ホワイトベースのジャブロー到着後は他の戦死者と共に二階級特進し中尉に昇格。
死後に階級を上げる事でしか追悼を示さない地球連邦軍の態度にアムロは憤慨した*4

しかし戦争は進行中であり、リュウの死後はマチルダ・アジャンスレッガー・ロウと犠牲者が続いていく。
そのたびにホワイトベース隊は、大きく成長していくことになった。


【関係人物】

RX-78-2ガンダムを駆るホワイトベースのエースパイロット
マチルダと共にアムロをニュータイプと信じ、その実力や働きを高く評価していた。
ややナイーブな面も様々な出来事を経て変化していると感じ、最後は「期待しとるぞ」と激励。
アムロがジャブローでマチルダの婚約者・ウッディ大尉と出会った際、結婚式を思い浮かべたシーンではリュウも笑顔で参列している。

ガンタンクのパイロット。
リュウ存命時は二人乗りだったガンタンクでコンビを組むこともあり、休息中に行われた柔道で投げ飛ばされる一幕もあった。
中立地帯のサイド6でザンジバルが真隣に入港するとブライトから外出禁止を命じられるほど激怒し、リュウを亡くした恨みを抱えている。
劇場版ではリュウの死後激昂したアムロと掴み合いを行った。

ホワイトベースの艦長。
ブライトにとってはミライと同様に頼れる相手で、リュウの死後は号泣しながら感情を吐露している。

  • ミライ・ヤシマ
ホワイトベースの操舵手。
リュウの死後ブライトが倒れた際艦長代理を務め、存在の大きさを痛感する。

ホワイトベースに乗艦する戦争孤児達。
新任のスレッガーと出会った際「身体の大きいとこなんてリュウさんにそっくりだ」「リュウみたいに優しいといいなあ」と改めて人柄が慕われていた事が言及されている。

ホワイトベースの何でも屋。
リュウ負傷の際代わりにガンタンクへ乗り込むも、説得されコア・ファイターを明け渡した事が戦死に繋がる。
その酷い後悔はその際に言われた「ど、どけよ、素人め」というリュウにしては強い言葉と共に彼を何十年も蝕み続け、「力のない」ジョブの過激とも言える言動に繋がっていく…。


  • スレッガー・ロウ
リュウ亡き後に配属されたホワイトベースのクルー。
陽気な性格でアムロ達とも打ち解け、次第にミライとロマンスを展開する。
頼れる兄貴分というポジションを引き継ぎ、何の因果かその末路もリュウと似た部分がある。
劇場版『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』では、時系列変更でリュウに代わり登場。


【搭乗機】

地球連邦軍のMS開発計画・V作戦で試作された一機。
戦車とMSの中間にあたり、砲撃戦に優れる大火力でホワイトベースを支えた。
存命時はリュウが操縦手、ハヤトが砲手を担当。

同じくV作戦で試作された一機。
基本的にカイが乗っているが、イセリナが率いるガウ攻撃空母に対し一時的に搭乗。
なおガンタンクの登場しない小説版では、リュウ・カイ・ハヤトの3人でガンキャノン2機に交互に搭乗していた。

  • コア・ファイター
ガンダム・ガンキャノン・ガンタンクの中核となる戦闘機。
小回りのきく機体で搭乗時の回避能力は非常に高く、シャア専用ザクの攻撃も避けきっている。
最期はアムロを助けるためマゼラトップに突撃し散っていった。

地球連邦軍の輸送機。
ジョブ・ジョンに操縦を任せ、アムロと共にスポンサーの要望によるガンダムの空中合体の訓練を担当。
コア・ファイターが抜けた四つん這いの姿には「まったく、ガンダムのこんな姿見たくもないなあ」と呟いている。


【スピンオフ作品での活躍】

完全パラレルワールドと言うこともあって、展開や印象は異なっている。
こちらの彼も正規軍人・士官候補生ではあるが、アムロ・カイ・ハヤトもまた同期の候補生(軍人)であるのが最も大きな違いだろう。
一応、最年長のリュウがリーダーの様な立場だったとの記述こそあるが、アムロ達もちゃんと覚悟して志願兵となったこともあって精神面は鍛えており、アニメ版ほどギスギスもしていないため、包容力を見せる場面はそこまではない。
展開の都合もあって、ニュータイプという言葉も発している。

ペガサスにおいては、カイ・ハヤトとの3人でガンキャノン2機に交互に搭乗。
その最期は「乱戦の中、気付いたら撃墜されていた」というもの。アムロも戦闘後に報を聞いた際には「嘘でしょう?」と返している。
劇的ではなかったが、その「現実というもののあっけなさ」が却ってアムロ達に戦場の厳しさを淡々と刻みつけた。
また、彼の死を受けてハヤトは取り乱してカイに八つ当たりし、カイも逆ギレして一時期この両名の関係がかなり悪化した。

作中で死亡するキャラクターなためスパロボ補正により生存する場合もあるが、
そもそも一年戦争が舞台のファーストは参戦回数が多くない上に、時系列が彼の死亡後のパターンもあるため登場機会が少ない。
Tにおいては一年戦争時にホワイトベース隊所属だった竜馬から「俺達がアムロを無理矢理連れ戻すのがあと少し遅かったら、敵の特攻で犠牲者が出ていたかもな」という台詞で生存が示唆されている。
DDでは既に戦死しており出番は無いが、ブライトが弁慶を見て「その外見と声だと死んだ友人を思い出す」と発言している(中の人ネタ)。

一年戦争を生き残るとグリプス戦役にも引き続き登場し、エゥーゴに加入している。

2on2対戦アクションゲーム『ガンダムvs』シリーズの作品。
ガンタンクのパイロットはハヤトなのでリュウの出番はなし……と思いきや、特殊格闘でハヤトの「リュウさん!?」の叫びと共に上半身が離脱、分離変形して飛んで行ったコアファイターが敵に激突……と、ラル隊仇討戦の再現になっている。
なおこの特殊格闘『コアファイター特攻』、スタン効果があって便利な上に∀の核弾頭のような使用制限はないので、何度でも何度でもリュウを犠牲に出来てしまう。鬼か。

小太りのシャアで有名な外国人による実写版、もといゲーム版ドラマパートにも登場。
巨漢ではなく普通体形の陽気なおもしろ黒人キャラで、「あの赤い彗星とやり合って生きてるとは、ラッキーボーイだぜぃ☆」「やられ千葉ァ!」*5という同作で屈指の迷言を残す。中の人が一緒な分、余計腹筋に悪い。
終盤にガンタンクを撃破され戦死したかと思われたが、頭に包帯を巻いた姿で登場し無事生存。
かわりにハヤトの出番は完全にオミットされた。


【余談】

初期設定では黒人だったが、人種問題により黒人の血が混じったアルゼンチン系に変更。
その名残か、TV版のED映像では「本編より浅黒い肌と厚い唇」という当時の黒人キャラのステレオタイプな特徴で描かれている。リュ…リュウ・ホセです。
なお、上記の実写ゲーム版では何の因果か初期設定通り黒人のキャストが配役されている。

放送当時のセイカのぬりえでは「オカリナ笛が得意なリュウ・ホセイ隊員」という絵も確認されているが、作中でそういった特技を披露するシーンは無かった。






あの追記、修正とやり合って生きてるとは

ラッキーボーイだぜぃ☆

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最終更新:2023年12月30日 00:55

*1 「Jose」はスペイン系の人名で、一般的には「ホセ」と音訳される。なお、姓と名のどちらにも使える名前である。

*2 リュウは太陽を背にするムサイ&パプアにそのまま攻撃を掛けようとした

*3 アムロのストレスを無視する、ブライトのアムロへの恐れや態度の悪さに気付かない、自分たちのひがみだけを考えている、など。そもそもアムロが脱走するほど追い込まれた一因はカイの嫌みにもある(実際アムロが怒ったことがある)。

*4 ただ、死後に階級を上げるというのは軍人にとっての名誉だけでなく、遺族への追悼金を高めてその救済に充てるという意味もあり、重要なことではある。事務的な態度についても、彼らにとってはそれこそ「事務」であり、逆によく知りもしない相手から空々しく哀悼されても反応に困っただろう。

*5 当然ながら空耳の産物であり、実際は「やられちま(う)」という叫びである