声優(職業)

「声優(職業)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

声優(職業)」(2024/04/07 (日) 22:02:55) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

&font(#6495ED){登録日}:2012/06/12 Tue 18:04:44 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 22 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){ &b(){&sizex(5){&color(#df3fad){うちら…うちら声優やぞ!}}} &b(){&sizex(5){&color(aqua,firebrick){いい声してんだろ?ハハッ、声の仕事は得意なんだよ!}}} [[死んでも合わせるのが声優ぞい!>アニメ新番組・星のデデデ(星のカービィ)]]} 『声優』とは職業の一つ。 アニメ・ゲームのキャラクターの声を演じたり、テレビ番組のナレーション、洋画の吹き替えなどを行う俳優のこと。 アニメ・ゲーム・吹き替え映画が文化産業として確立しつつある現代社会においてはかなり需要のある職業であり、一般の認知度も上がりつつある。 ---- #contents() ---- *概要 読んで字のごとく声を使って演じる職業であり、動いている映像にあたかもそのキャラクターや人物が話しているかのように声を当てなければならない。 単に台詞だけ言えばいいわけではなく、絵に合わせて息を呑む、苦悶の声を上げる等、アドリブも必要だったり、キャラの見た目や性格に合わせて声色も変えなくてはいけない等、身体を使わない代わりに声を自在に変えることを要求される職業なのである。 台詞を喋らず動きだけで全てを表現するスーツアクターとは対極の存在と言える。 著名な声優たちについては、このアニヲタWikiには様々なWiki篭りがまとめた各[[声優項目>http://www49.atwiki.jp/aniwotawiki/tag/%E5%A3%B0%E5%84%AA%E9%A0%85%E7%9B%AE]]がある。是非ともそちらを参考にして欲しい。 実は、最初から「声優」と言う職業があったわけではなく、当初はラジオドラマ専門((というかそれくらいしか仕事のなかった。))の役者を、当時流行の海外ドラマや映画の吹き替えに起用し始めたことが始まりである。 故に声優になるには当初、俳優からの転身、と言うよりは兼業化するのが一般的だった。それはさらに当時の俳優にとっては屈辱的な役割でもあった。 上記の通りアニメが日本のサブカル業界において大きな存在感を示すようになった昨今では、声優という職業に求められているイメージも役割も変化している。 ただキャラに声を当てるだけでなく、声優個人、あるいは声優達だけで結成されたグループが実際に舞台やステージに立って大規模なライブを行ったり、場合によっては演じたアニメのキャラクターとは関係なく、その声優本人を前面に押し出したコンテンツや商品が作られたりすることもあるなど、もはや声優という職業そのものがある種の&bold(){アイドルおよびタレント的な存在}のように扱われているのも事実である。 今や一般的な俳優、お笑い芸人・タレントなどと共にバラエティ番組等に出演するといった光景も珍しくなくなり、タレント同様顔出しの冠番組を持つ者まで現れた((背景には、2020年にビデオリサーチの視聴率調査のリニューアルが行われ、テレビ局が視聴者層の若返りを目的とした改編が行うようになったこともある。))。 アニメや吹き替え映画、ゲームに興味がなくとも、声優という職業は知っているなんて人もいる事だろう。 一方で業界関係者の中には、この声優のアイドル、タレント化に関して疑問を抱いている人物たちも存在しており、「声優とはあくまでも裏方や役者であって、アイドルなどではない」と苦言を呈する者も多い。 特に古株のベテラン声優に多く見られ、彼らは声優が上記のような声優としての範疇を超えた活動に傾倒する事、そして業界全体が声優をそういう物のように扱う事に対して否定的だったりする者も多い。 だがベテラン声優たちがどれだけ苦言を呈そうが、今の世の中においては最早声優というのはそういう存在であり、&font(b,red){「アイドルやタレント活動が出来ない声優は到底生き残れない」}というのが現実なのだが。 過去に[[皆口裕子]]が「芝居は好きだけど顔出しは嫌だから、顔出しせずに芝居が出来る声優の道に興味を持った」と語っていたのは非常に有名な話だが、&font(b,red){今の世の中ではそんな甘えた事を言う声優は「え?顔出し出来ないの?じゃあ君もう帰っていいよ。君の代わりなんて他に幾らでもいるから。」などと門前払いされ、オーディションを受けさせてすら貰えないだろう。} 近頃は声優という職業自体の偶像化、およびその声優が演じたキャラクターと声優自身の同一視化の流行に伴い、声優個人の交友・男女関係に敏感なファン、自分がその声優に抱いているイメージに対して強い拘りのようなものを持つファンも増加傾向にある。 取り分けそういうファンはその声優が誰かと交際、結婚したりするとまるで祭りのように騒ぎたてたり、中には裏切られたと思い込んで勝手に反発するというケースも少なくない。 [[竹達彩奈]]はバラエティ番組に出演した際、&font(b,red){「事務所の方針で30歳を過ぎてからでなければ結婚が出来ない契約になっている」}という衝撃の事実を明かしている((後に声優の梶裕貴と結婚。))。 一見横暴とも取られかねないが、これも声優のアイドル化、タレント化が急激に進んでいる事から、事務所側が「ファンの夢を壊さないように」と配慮したからなのだろう。 だからと言って声優たちに『恋愛や結婚をするな』などと言う訳にもいかないので、妥協案として30歳までという方針を声優たちに提示した物だと思われる。 *仕事内容 昔とは逆転するように、現在では主にアニメやゲームに声を吹き込むこと((アフレコやアテレコ。))が仕事だが、 映画等での吹き替え、キャラクターCDやユニット、またはソロとしての歌唱、番組でのナレーション等多岐に渡る。 また、ナレーションを務める声優も多い。後述のギャランティの問題もあり「声優をしないナレーター」は多いが「ナレーターをしない声優」はほぼ皆無である。 ただ、俳優と声優の境界は曖昧であり、俳優もする人もいれば、声優しかしない人もいる。 因みに昔は『声優は俳優でもある』という認識が一般で、『声優は売れない俳優がやるアルバイト』とも言われていた。 分業化が進んでいるとはいえ、舞台やドラマで俳優としても活躍する声優も未だ多い、というか近年では[[高木渉]]の様に俳優業で注目を受ける人も。 ロボットやAIを演じる場合など、実写ドラマに声だけ出演するというパターンもある。 ちなみに、アフレコとアテレコという言葉にも違いがある。 ・アフレコ &font(#0000ff){『映像作成→声を吹き込む』の順。} 映像を先にとり音声は後で取るということ。「アフターレコーディング」から「アフレコ」となった。 ・アテレコ &font(#ffb74c){『元からある映像に台詞そのものをあてる』こと。} 最初からある元の映像に、台詞を変えて((例えば英語→日本語訳になど。))、後から吹き込むこと。「当ててレコーディング」から「アテレコ」となった。例として洋画の吹き替えなど。 つまり、台詞の当て方の問題である。 まあ、最近はアフレコに統一され始めているが。 *目指し方 声優になる方法は1つだけではない。 どの方法を使うかはその人が置かれている環境やどのようなジャンルの声優を目指すかによって変わる。 なお、''ここに載っている例はあくまでも参考程度の物であり、&color(#ff0000){声優になることを保証する物ではない}''。 #region(一例) **1.声優に関する学校(または養成所)を卒業後、声優事務所に所属する。 ''おそらく最もオーソドックスな方法''。 そこで演技に関する専門知識と基礎技術を身につけるのだが、学費が卒業までに最低でも50万円以上はかかる事は覚悟しておこう。 金銭的にかなりの余裕か親族の支援が無いと難しいだろう。 最近ではベテラン声優が特別講師として直々に授業をしたりする学校もある。 専門学校(養成所)を卒業してからプロダクションに入るが、実力を更に伸ばす為に専門学校→養成所と通う人も一部いる。 現在はかなりの数の専門学校があり、毎年山ほど声優志望者が集まるが、&bold(){本当に声優としてやっていけるようになるのはほんの一握り}。 ぶっちゃけ&bold(){1学年に1人いれば良い方}という非常に狭き門なのだ。 ちなみに学校には認可校と無認可校があり、認可校の場合は履歴書に学歴として記載できる(最終学歴が専門学校卒になる)。 別分野の専門学校や大学に通いながら、または学校を卒業してから養成所に通うという選択肢もある。 また芸能の仕事全般に言える事だが、やはり事務所の力が大きい。 ライバルも多いが、なるべく大手事務所の養成所に行くべきだろう。 なお[[野沢雅子]]はこの養成学校や専門学校に関して、&font(b,red){「若手声優から個性を奪っている」}と否定的な意見を出している。 かつては知人に頼まれて自身も講師を勤めていた経験があったらしいのだが、「生徒たちが講師の言われた通りにしか演技をする事が出来なくなってしまう」ケースを数多く見せつけられた事で、 今では頼まれても断っているんだそうな。 このような養成所は「学費さえ払ってくれれば誰でも受け入れる」という所もあれば、定期的にオーディションを開催して「声優になれる見込みがある者しか受け入れない」という所もある。 度々アニメ雑誌などで広告を見かけ、全国各地に事業所を展開している「CHK声優センター」は後者だが、 &font(b,blue){「声優というのは特殊な職業であり、一般企業と違って誰でも就けるという物では無い。我々がオーディションを行っているのは、その応募者が声優として大成出来るだけの資質を持っているかどうか見極める為」} などとパンフレットなどで語っている。 ただしそれでも2022年現在の声優は演技力だけでなく容姿も重要視されている事から、&font(b,red){容姿を理由に「君の容姿では声優になっても絶対に仕事を貰えない」と突き放され、オーディションを受けさせてもくれなかった}というケースさえもあるんだとか。 **2.自分から応募 &font(#ff0000){オーディションやプロダクションに自ら応募するという方法}。 勇気がいる方法ではあるが、経験などに関係なく、チャンスを手にする事ができる。 また、先述の通り専門学校は多額の費用がかかるので、どうしてもお金が足りない人はやむを得ない。 専門学校を卒業したはいいが、事務所に所属が出来なかったという場合もこの方法を試すことになるだろう。 中には「従姉妹が声優をしていたので試しに応募してみたら採用」((服巻浩司。ちなみにその従姉妹は田村ゆかり。))とか「帰りの電車でたまたまオーディション募集の広告を見て応募。ちなみにこの時勤め先の会社をクビになっていた」((若本規夫。曰く「(よせばいいのについ)上司をぶん殴ってしまった」。))なんて人も。 また、稀にだがアマチュアを含めて公募する公開オーディションを行っている作品もあり、そこから声優になるケースも存在する。 とは言え、これもとてつもない倍率になるのは目に見えており、''単なる声や滑舌のみならず、よほど卓越した何かを持っていなければ受からない''と考えるべき。 **3.転向 かつては主流だった方法。 現代でも俳優から声優に転向したり子役から声優に転向する方々は意外と多い。 特に[[スーパー戦隊シリーズ]]は着ぐるみキャラクターの声を務める声優に誘われ、番組終了後に声優に転身する人も多い。 これは2008年の『[[炎神戦隊ゴーオンジャー]]』までは&bold(){「一度演技パートを撮影した後、その映像にアフレコでセリフを入れる」}((『[[侍戦隊シンケンジャー]]』から生身パートのみそのまま同時録音になった。変身後がアフレコなのは同様。))撮影方法だったため、元々アフレコの経験自体はある事も大きいか。 ただ、最初はやはり映像に声を合わせることの難しさを感じる人も多いようだ。 稀に元の職業と声優業を両立させ、どちらでも有名という人もいる。 舞台、銀幕での活躍が評価され声優としてオファーを受けるパターンもある。 このような形で俳優、子役から声優に転向するのも多い。 このことから、『声優になる為に劇団の門をたたく』といったやり方が一時期流行したが、劇団側の迷惑になることがある為、控えたほうがよい。 また劇団に所属している面々の場合「声優レギュラーを持ちながら劇団で芝居を続ける」という形で俳優業両立を続けるケースが複数ある(劇団『テアトル・エコー』の所属者や犬山イヌコ等)。 前述の「どっちもガチでプロ」パターンも殆ど劇団出身者。 ちなみにこのパターンには「子役から歌手になるも売れないから劇団に所属」→「声優に転向し人気に」→「有名劇作家に見いだされ顔出しの女優としてもメジャーに」 と複雑な経緯を辿った[[アンパンマン]]の声優・戸田恵子や、 「子役活動」→「アイドルグループ所属」→「声優」と転向し必死の努力で演技を磨いて成功した日高のり子、 &bold(){「劇団で役者していたら[[元々声優をしている父親>大塚周夫]]から紹介されて声優になり、なんやかんやで著名俳優に」}という[[大塚明夫]]のようなとんでもないパターンも存在する。 ただし大塚曰く「声優って大変だよ、やめといたほうがいいよ」とのこと。 2000年代以降の女性アイドルグループ乱立時代に突入して以降は、アイドルグループへの所属を「声優への横滑りを目指すステップ」として目指す者も増えている。 この典型は元[[AKB48]]の仲谷明香で、実家の経済的事情で声優養成所経由でなるのを断念し、AKBでアイドルとして活動した後声優になった。 これはこれで狭き門だが数年前後で卒業や解散を余儀なくされるアイドルグループのメンバーも多いため、先を見据えた活動ができるという利点はある。 **4.他分野で活躍する著名人の出演 コレに関しては[[賛否が分かれる>賛否両論]]が、作品への話題性・視聴率確保の為に人気のある芸能人や俳優、 又は主題歌を担当した歌手、スポーツ選手などが&font(#ff0000){ゲストとして出演する}というもの。 著名人ならば『&font(#ff0000){声優やってみたい}』の鶴の一声でモブキャラはおろかメインキャラの声を担当する事が出来ることもある。 とはいえ、このパターンは殆どが劇場版や一話限りのゲスト参加であり、正直「声優になる方法」とは言えないところではあるが。 また、スタジオジブリは『平成狸合戦ぽんぽこ』以降敢えて声優を起用せず、俳優を起用する傾向がある。 このパターンは、(作品に愛が無い)大人の事情が強く絡んでいたり、本業では無い故に演技力が低い人もいる為、&bold(){批判もかなり多い}。 声優が発表されるや否や大炎上したり、プロ声優の中にもこのパターンに苦言を呈する人もいるほど。 どちらかと言えば素人が出しゃばって全く違う畑に土足で踏み込んでいるイメージが強い人もいるだろう。 演者の力量に見合った配役が求められるところであり、分相応な配役であればゲスト声優の演技力は目立たない。 もっとも声優もCD出したり、経験がない人が舞台に出たり、バラエティに出たり違う分野に進出しつつあるのであまり言えたものではない。 一方で、プロに匹敵する程演技の上手い人も多く、声の出演クレジットを見て驚くことも多い。 俳優は言うに及ばず、歌舞伎役者や落語家、果てはお笑い芸人に至るまで「演じる」ことを生業とする方々にその傾向がある。 初出演で下手な演技を披露するケースこそあるが、声だけで演じることに対する不慣れが原因なので、声だけの演技に慣れたとき大きく腕を上げる人物も多い。 [[武藤遊戯]]役の声優、ジャニーズの[[風間俊介]]などが良い例だろう。TVアニメ版の初期と後期、あるいは客演した映画作品とでは明らかに演技力が上達している。 主に話題作りなどの目的で声優をやらせてみたら結果的にハマリ役だったというパターンも多い。 [[ルパン三世>ルパン三世(人物)]]役の声優の栗田貫一は本業がモノマネタレントで、先代のルパン役の声優(山田康雄。こちらは声優業が本業であった)のモノマネが非常に上手く、 さらに先代の山田とルパンが縁で親交があったため、先代が急病に倒れ後任に収まったという「俳優でもない本業の延長で声優のレギュラー仕事をやっている」珍しいパターンである。 他にも、爆発的なブームを起こした『[[けものフレンズ>けものフレンズ(アニメ)]]』ではED歌手(シンガーソングライター)がゲストキャラ役で出演したエピソードがある。 EDを歌っていたみゆはんに声優経験は殆どなかったものの、飽きやすい性格でやる気のない喋り方が多いというキャラクターを担当したため、違和感を覚えた視聴者は殆どいなかった。 派生形として「声優のレギュラー仕事を経験しているが、それ以降も声優にならず本職メインで生活している」という人達がおり、 [[青柳隆志]](ミッキーマウス)や、あおい輝彦([[矢吹丈]])、岸谷五朗([[ターちゃん>ターちゃん(ジャングルの王者ターちゃん)]])、ラサール石井([[両津勘吉]])、栗田貫一(ルパン三世)が当てはまる。 **5.業界人とのコネクション プロデューサー、アニメ監督、音響監督、プロ声優などとのコネクションによって声優デビュー又は事務所に所属するというパターン。 とはいえ、一般人が業界人とコネクションがあるなんて事はそうそうなく、&bold(){非常に難しい方法}といえる。 業界人の親族、知人、裏方だった人物が才能を見出されて……というパターンはあるかもしれない。 3や4もこのパターンの亜種と言える。 なお、これを目的として、SNSなどで業界人にアポイントをとる行為は止めよう。 特に不倫や情報漏洩などのスキャンダルに発展すると、&bold(){逆に道が閉ざされるような結果になり兼ねない}。 **6.スカウトされる &bold(){おそらく一番難しい方法}。 街中等でプロダクションの方にスカウトをしてもらってその後デビューというあのカタチである。 もっとも、ルックスが重要視される俳優やモデルとは違い、顔出しをメインとしない声優が街中でスカウトされることは殆ど無いといっても良い。 しかし、声優のルックスも重視される現在、これからはスカウトでデビューする声優が出てくる可能性もあるかもしれない。 また、接客業やツアーガイド等の声を出す職業に就いている人物や歌手などが、たまたま居合わせた業界人に声を評価されてスカウトされるパターンも考えられる。 ただし、声優のスカウトはメジャーではないので、必ず事務所やスカウトした人物の評判をチェックしてから入所する事をお勧めする。 この方法でプロの声優になった事で有名なのが、[[三ツ矢雄二]]と[[一条和矢]]の2人である。 三ツ矢は元々は子役だったのだが、永井一郎と一緒に居酒屋で酒を飲んでいた際、永井からスカウトされて声優になった。 ただし永井はこの件に関して、「酔っぱらっていたので、よく覚えていない」と語っていたそうな。 一条は元々アマチュアの劇団に所属していたのだが、舞台でたまたま彼の演技を見ていた[[神谷明]]にスカウトされて声優になっている。 **7.どこの事務所にも属さず、フリーランスとして活動する。 かなり特殊な事例だが、実際には声優というのは芸能事務所に所属しなければなれないという代物ではない。 日本俳優連合に声優として登録すれば、その時点で晴れて声優の肩書を得る事が出来るのだ。 もっと言えば登録などせずとも、SNSやクラウドソーシングで「私は声優です!お仕事募集中!」と名乗るだけでも構わない。 この場合はどこの事務所にも所属しない、フリーランスの声優として活動する事になる。 また以前は事務所に所属しながらも、何らかの理由で事務所を退所しフリーランスになる声優も存在している。 この方法で声優になる際、以下のメリットとデメリットが存在する。 ★メリット -やる気さえあれば誰でも声優を名乗る事が出来る。 -実力に自信があるのなら養成所や専門学校に通わなくても声優になれるので、高額な学費を支払う必要が無い。 -事務所との契約やしがらみに縛られずに自由に活動する事が出来る。 -事務所にマネジメント料を支払う必要が無いので、ギャラを全額自分の物に出来る。((ただし年間20万円以上の収益が発生した場合は、確定申告をして所得税を支払う必要がある。事務所に所属する声優は事務所側が源泉徴収と年末調整をやってくれるので、基本的に確定申告は必要無い。)) ★デメリット -事務所からの支援を一切受けられないので、基本的に仕事は全て自分で探さなければならない。 -スケジュールの管理や営業活動、経理、交渉、トラブル解決などを、全て自分でやらなければならない。 -事務所のコネクションや権力に頼る事が出来ない((部外者から忌避されがちな大人の事情も内部の人間であれば味方となる。))。 -クライアントによっては仕事を受けられない場合があり、大作に携わることが難しくなる。 -新人の場合、業界や同業者とのコネクションを作りにくい。 -実績と収入が無ければ、事実上無職やフリーターとして扱われる。 -何かあったら全て自分の責任となり、誰も助けてくれない。 -プロの基準や資格がない為、実力や責任感が伴わないままプロ声優を名乗ってしまう危険性がある。 この方法で大成した声優として[[名塚佳織]]や力丸乃りこが挙げられるが、当然ながら彼女たちのように第一線で活躍出来る者は極僅かである。 ''事務所に所属するよりも遥かに茨の道''だと思った方がいいだろう。 **8.声優事務所(及び他業種が声優部門)を設立する。 7の派生形で、声優事務所(法人)を設立してしまうという物。 事務所を名乗っているが、法人格を持たないアマチュアグループ、サークル活動はこの頁では扱わない。 どこの企業にも所属しない場合に比べ、 -(自身が経営に関与する場合)場合によっては役職を得られる場合がある -税金の扱いが変わる -融資が受けやすくなる -企業間取引しかしないクライアントとビジネスチャンスが生まれる などの違いがある。 どちらかと言えば、''既に実績のある声優が独立する際に行う''物であり、 ''実績のない新人声優が事務所を設立してもフリーランスと大差ない''だろう。 なので、いきなり事務所を設立する事はお勧めできない。 #endregion() *厳しい現実 &bold(){一見華やかな職業だが、世の中そんなに甘くない}。 多くの声優志望者に対して、仕事を受けられるのはごく一部であり、レギュラー作品を持っている声優になると更に減る。 更に生涯に渡って安定した収入が得られる人物は、極々一部言っても過言ではない。 [[桑原由気]]は自らの著書において #center(){&bold(){「声優は4000人近くいるが、それだけで食べていけるのは300人位」}} という過酷な実情を明らかにしており、自身もアルバイトをしながら声優業をこなしている事を公言している。 [[ルパン三世>ルパン三世(人物)]]で知られる山田康雄はかつて、日々の食事を&bold(){コロッケ一個}で凌ぐ生活を続けていたという逸話も。 またどんな職業にも言える事だが、仮に才能があったとしても常に努力をしないと実を結ばないという職業でもある。 演じ分けやアドリブへの対応、外国語や方言もある程度出来ないと厳しいだろう。 更に最近ではテレビ番組や楽曲のプロモーション、顔出しでのメディア露出のニーズから、''容姿や歌唱力、果てには声優と直接関係ない技能((高学歴、高難易度の資格持ち、スポーツが得意、ゲームが上手い、絵が上手い、楽器演奏ができる、作編曲スキルがある、その他珍しい趣味を持つなど。))も重要視されている''。 所謂「アイドル声優」等と呼ばれる物で、売れっ子声優の中にも歌の為に態々ボーカルスクールに通ったという人もいる。 …もっとも、制作スタッフが匙を投げる上に本人も歌う仕事を嫌がるほどの音痴の人や[[「僕が素顔を出すとみんなショックを受けるんですよw」なんて人>檜山修之]]もいるっちゃいるが、 大御所のベテランならともかく他に特徴のない新人や若手がそんな事をした所で、&font(b,red){「あー無理なの?じゃ帰っていいよ。おーい、今抜けた人の代わり集めてきてー」と呆気なく現場から叩き出されて終了だろう。} また、アイドルとしての需要、キャラクターとの一体感を出せる事などから、若い人材が求められやすい。 遅咲きの声優もいるにはいるが、声優として芽が出なかった時も進路の修正がしやすく、 本気で声優を目指すのであれば、なるべく若いうちに行動する事をお勧めする。 しかし、声優の多様化・アニメやゲームの浸透によって「アニメ声だから」「俳優やアイドル目指すより簡単になれそう」「[[オタク]]だから」「一般の職に就きたくない」 と言った甘い考えから業界を志す若者も増えており、結果的に当然と言わんばかりに夢を絶たれるケースも年々増えている。 このような甘い考えから業界を志す者に対してはベテラン声優のみならず[[富野由悠季]]も苦言を呈している。 勿論、上記の理由を「声優を目指すきっかけ」として挙げるプロも珍しくないが、あくまでもきっかけだけであり、それだけではプロになる事は難しい。 アニメ声を出せる人間なんて声優学校の1クラスだけ見てもわんさかいるし、雇われのサラリーマンさえ務まらないような人間がやっていける業界ではない。 志村由美は声優業の引退を自らのブログで報告した(現在は閉鎖)際、 &bold(){「声優というのは一見華やかに見えるけど、全然そんな事は無い。」} &bold(){「一般企業と同じで物凄く辛くて大変な事ばかり。」} &bold(){「中途半端な気持ちで目指す事だけは、絶対に止めておいた方がいい。」} などと警告を発していた。 また、声優のアイドル化や社会的な認知度の向上に伴って、世間が声優のスキャンダルに敏感になっていることも注意が必要。 不祥事や過去のヤンチャが発覚すると今後の活動にも悪影響を及ぼしてしまう。 それから声優を目指す人が大切にすべき物。''それは自分の身体''。 身一つで仕事をこなす都合上、心身ともに消耗が激しい職業でもある。 なので、''日々の体調管理は怠らないようにしてほしい''(社会人であれば基本でもあるが)。 特に大事な商売道具である「喉」周辺のケアはかなり重視される。何せ喉が枯れただけで仕事にならないのだから。 が、意外な事に個人差も激しい。 ・喉の乾燥を防ぐ(加湿器を置く、常にマスクをする、こまめな水分補給など) ・喉に刺激がある物を控える(酒やタバコ、辛味のある食品、硬い食品など喉に膜を作る食品を控える人もいる) といったケアをしっかりする人もいれば、 ・仕事の時以外は特別なケアをしない(壊さないようには気を付ける) ・酒もタバコもするし食事も特に気にしない(特にベテランに多い) と言った人も普通にいる。 自分の体質や思想と相談して、無理のない範疇で行うと良い。 事務所やスタッフの指示がある場合は、そちらに従おう。 また、狭い世界であるため、共演者やスタッフ、マネージャーとの協調性も非常に重要視されており、 態度が悪い、仕事がやり辛いと判断されれば才能豊富な逸材だったとしてもバッサリ切り捨てられたりもする。 切り捨てる際も 『こいつ性格悪いから次呼ばなくていーよね?』 と、軽いノリで決まってしまう可能性も(これは声優以外にも言えるが)。 現場での共演がきっかけでプライベートでも仲良く…とかこれをきっかけに付き合い始めてそのまま…というパターンが多いのも協調性が求められる(=どうしたって現場で仲良くなる)からだろう。 また上記でも記した通り、専門学校に通うだけでも最低50万円近くはかかる等、初期投資の資金もそれなりに必要。 相当の意志があるか、家族に理解があるか、実家が裕福でもない限り、これだけの金額を出すのはかなり厳しいだろう。 俳優との決定的な差はやはりギャランティの額と拘束時間だろう。 &font(#ff0000){30分番組を1本吹き込んだあたりの給料は約1万円から3万円+再放送料等を入れて×1.8(目安)}であり、一番安いのがラジオ、次にアニメ、ナレーション、CM、一番高いのがゲームかパチンコとなっている。 また30分番組の収録時間は大体2~3時間、長くても半日程度で、劇場版でも1日で終わる事が多い。 なお、イベント出演などはまた事情が異なる。 なおギャラはキャリアによって変動し、台詞が1行でも50行でも1本分のギャラは基本的に変動はないことが多い。 しかし、所謂「大御所」レベルの声優はほぼ言い値でギャラが決まることがある(といっても限度はあるだろうが)、 週一のレギュラー長寿アニメくらいしか仕事のないベテラン声優が生活していけるのはこのためである。 ドラマや映画ならば製作費用の大半が人件費に費やされるのに対して、元々予算の少ないアニメでもその凡そ1~2割ほどで収まるのだ。 ただしテレビ番組のナレーションやCMのギャランティは別格であり、番組によってはタレント並に支払われることもある。 ちなみに、所謂18禁作品の出演料は一般作品のよりも高く、知名度が低い声優が『裏に行きそう』と言われることもある。 ただ、そういう作品に出演すると基本的に[[濡れ場]]もこなす必要があるため、裏をメインに活動している声優は総じて演技力が高い傾向がある。 名前は知らないが演技は上手い、と思った声優が実は裏メインだった……というのはよくあることである。 もっとも、実はR-18作品と全年齢作品で[[別名義を使い分けている著名声優も多い>裏名]]ため、18禁作品の声優=無名の声優とは限らない。 なお、こういった別名義と紐づける行為はマナー違反だと感じる人もいるので、事実を知ってしまった場合は胸の中にしまっておこう。騒ぎ立てたって良い事ないよ。 また、副業(アルバイト等)と掛け持ちしながら声優を続けている人もいるが、副業の方が稼いでいるような声優もいる。 最近、実家が裕福な声優が目立つようになってきたのも、そうでないと生活していくのが厳しいというのもあるだろう。 白石文子は声優として仕事を貰えていて忙しかったにも関わらず、引退して実家に帰っているのだが、その理由として&font(b,red){「声優業だけではとても食べていけないから」}だと明かしている。 …とここまで色々書いてきたが、 #center(){&b(){&font(#ffb74c){『好きこそ物の上手なれ』}}} 厳しいけど好きだから色々頑張れるというまさにそんな人がなれるような職業だろう。 テレビ等で紹介されている華やかな部分も事実の一つであり、中には豪邸を建てた声優もいる。 他の芸能関係の職業同様&font(#f09199){まさにハイリスクハイリターンな職業である。} &font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){大塚氏曰く「ハイリスクローリターン」}}} ただ、大御所たちの多くは「声優」という職業を認めていない。 「声優」とは「声優業」であって、あくまで「役者」の一部分に過ぎず、それが全てであると思われるのはかなり抵抗があるらしい。 その背景には顔出しで売れなかった苦い過去が影響している。 *フィクション作品における声優一覧 **夏とレモンとオーバーレイ ***ゆにまる。 主人公の女性声優。本名は「西島沙樹」。 年齢は不明だが作中での「高卒後7年経つけど」という本人のセリフから25歳前後だと思われる。 声優業だけでなくユーチューバーとしても活動している。 事務所に所属しているのかフリーランスなのかは明確に描写されていないが、作中で事務所を介さずに直接仕事の契約をしている描写がある事から、フリーランスの声優として活動している可能性が高い。 あるいは養成所を卒業したものの、どこの事務所とも契約を結ぶ事が出来ず、フリーランスとして声優としての活躍の場を求めたのかもしれないが。 だが声優になる事を夢見て高卒後すぐに上京し、晴れて声優としてデビューするものの、 -仕事が全然貰えない -生活費がいつもギリギリ((「そろそろ卵以外のたんぱく質を摂りたい」などと愚痴をこぼしたり、真夏にエアコンをつけずに扇風機で涼を取っている描写がある、家賃や税金、公共料金の支払いに追われているなど、相当困窮している事が伺える。)) -コンビニのバイトとユーチューバーとしての収入で、辛うじて食いつないでいる -両親からは声優を続ける事を反対されており、実家に帰ってこいと執拗に迫られている などといった&font(b,red){声優という仕事の負の一面}が、作中においてこれでもかという位明確に描かれてしまっている。 作中での描写を見た限りでは、プロの声優としての確かな技術と歌唱力はしっかりと持ち合わせているようだが、そもそも声優というのは&font(b,red){そういう連中がごまんといる世界}であり、それだけでやっていけるような甘い世界ではないという事なのだろう。 代わりの声優なんて掃いて捨てる程いる今の業界において、容姿が平凡で他に何の特徴も武器も無い彼女が、声優としてクライアントから仕事を貰えるのかと問われると…。 そんな中、彼女の生配信を観たという金持ちの令嬢から、成功報酬50万円&何らかの理由で拘束した場合は時給3000円という破格の報酬((依頼主の女性曰く「プロの声優への依頼の相場がよく分からなかった」との事。))を提示され、 「私はもうすぐ死ぬ予定なので、葬儀の場で遺書を読んで貰えませんか?」 という破天荒な依頼を受け、疑心暗鬼になりながらも元々生活苦に陥っていたという事もあり、多額の報酬に釣られて受諾する事になったのだが…。 **あかね噺 ***高良木ひかる 上記のゆにまる。とは全くの正反対で、アイドル声優として確固たる地位を確立している女子高生。芸名なのか本名なのかは不明。 ある人気アニメの主役に抜擢された事と彼女自身の美貌によって、多くのアニメファンたちからの絶大な人気を誇っている。 大手の事務所に所属し、他の声優たちが羨む程の多数の仕事の依頼が舞い込んでいる人気声優なのだが、それらは全て&font(b,red){「彼女の演技力ではなく容姿が評価されての物」}だという事が作中で明確に描写されてしまっている。 今の世の中、声優は演技力だけでなく容姿も重要視されている、アイドル活動が出来ない声優は到底生き残れないという事を明確に描写していると言えるだろう。 この件に関してプロの落語家の1人が、 &font(b,red){「華があり過ぎるのも考え物だな。これでは観客は作品を楽しむどころではなくなってしまう。」} などと苦言を呈していた。 彼女自身もその事に危機感を抱いており、落語家業界のトップに君臨する阿良川一生に認めてもらう事で、容姿だけに頼った上っ面な声優ではなく、実力派の声優として周囲に認めてもらう為に、阿良川一生が主催するアマチュアの学生の落語大会である可楽杯に参加する事になった。 なお可楽杯には彼女以外にもプロの声優が多数参加していたらしいのだが、決勝まで生き残れたのは彼女1人だけらしい。 *余談 **女性声優の枕営業について 2022年になって邦画業界において、女優たちによる「ある有名監督に[[枕営業]]を強要された」との告発が相次いだ事で大騒動になってしまった。 これは声優業界でも当てはまるのではないかとの声も当然出ているのだが、音響監督の長崎行男はその事実を真っ向から否定している。 &bold(){「仮にそんな経緯で技術の無い女性声優をキャスティングしてしまうと、経緯が経緯だけに関係を切れなくなってしまう。」} &bold(){「その女性声優が何度もNGを出してしまうと、キャスティングをした監督やプロデューサーが責任を問われる事になってしまう。」} &bold(){「少なくとも僕には怖くて出来ないですね。」} また現在のアニメは制作委員会方式で作られており、監督、プロデューサー、スタッフ、原作が存在する作品ならば原作者も交えての綿密な話し合いによってキャスティングが決定されるので、いかに監督といえども個人の一存だけでキャスティングを勝手に決める事は出来ないようになっている。 なので、&font(b,blue){そもそも声優業界において枕営業の入り込む余地は微塵も無い}との事。 #center(){ &color(orange,navy){何でマスターが編集してんだよ?} &color(aqua,firebrick){いい記事してんだろ?ハハッ、項目の追記・修正は得意なんだよ!}} 死んでも編集するのが項目ぞい! #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,21) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }
&font(#6495ED){登録日}:2012/06/12 Tue 18:04:44 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 22 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){ &b(){&sizex(5){&color(#df3fad){うちら…うちら声優やぞ!}}} &b(){&sizex(5){&color(aqua,firebrick){いい声してんだろ?ハハッ、声の仕事は得意なんだよ!}}} [[死んでも合わせるのが声優ぞい!>アニメ新番組・星のデデデ(星のカービィ)]]} 『声優』とは職業の一つ。 アニメ・ゲームのキャラクターの声を演じたり、テレビ番組のナレーション、洋画の吹き替えなどを行う俳優のこと。 アニメ・ゲーム・吹き替え映画が文化産業として確立しつつある現代社会においてはかなり需要のある職業であり、一般の認知度も上がりつつある。 ---- #contents() ---- *概要 読んで字のごとく声を使って演じる職業であり、動いている映像にあたかもそのキャラクターや人物が話しているかのように声を当てなければならない。 単に台詞だけ言えばいいわけではなく、絵に合わせて息を呑む、苦悶の声を上げる等、アドリブも必要だったり、キャラの見た目や性格に合わせて声色も変えなくてはいけない等、身体を使わない代わりに声を自在に変えることを要求される職業なのである。 台詞を喋らず動きだけで全てを表現するスーツアクターとは対極の存在と言える。 著名な声優たちについては、このアニヲタWikiには様々なWiki篭りがまとめた各[[声優項目>http://www49.atwiki.jp/aniwotawiki/tag/%E5%A3%B0%E5%84%AA%E9%A0%85%E7%9B%AE]]がある。是非ともそちらを参考にして欲しい。 実は、最初から「声優」と言う職業があったわけではなく、当初はラジオドラマ専門((というかそれくらいしか仕事のなかった。))の役者を、当時流行の海外ドラマや映画の吹き替えに起用し始めたことが始まりである。 故に声優になるには当初、俳優からの転身、と言うよりは兼業化するのが一般的だった。それはさらに当時の俳優にとっては屈辱的な役割でもあった。 上記の通りアニメが日本のサブカル業界において大きな存在感を示すようになった昨今では、声優という職業に求められているイメージも役割も変化している。 ただキャラに声を当てるだけでなく、声優個人、あるいは声優達だけで結成されたグループが実際に舞台やステージに立って大規模なライブを行ったり、場合によっては演じたアニメのキャラクターとは関係なく、その声優本人を前面に押し出したコンテンツや商品が作られたりすることもあるなど、もはや声優という職業そのものがある種の&bold(){アイドルおよびタレント的な存在}のように扱われているのも事実である。 今や一般的な俳優、お笑い芸人・タレントなどと共にバラエティ番組等に出演するといった光景も珍しくなくなり、タレント同様顔出しの冠番組を持つ者まで現れた((背景には、2020年にビデオリサーチの視聴率調査のリニューアルが行われ、テレビ局が視聴者層の若返りを目的とした改編が行うようになったこともある。))。 アニメや吹き替え映画、ゲームに興味がなくとも、声優という職業は知っているなんて人もいる事だろう。 一方で業界関係者の中には、この声優のアイドル、タレント化に関して疑問を抱いている人物たちも存在しており、「声優とはあくまでも裏方や役者であって、アイドルなどではない」と苦言を呈する者も多い。 特に古株のベテラン声優に多く見られ、彼らは声優が上記のような声優としての範疇を超えた活動に傾倒する事、そして業界全体が声優をそういう物のように扱う事に対して否定的だったりする者も多い。 だがベテラン声優たちがどれだけ苦言を呈そうが、今の世の中においては最早声優というのはそういう存在であり、&font(b,red){「アイドルやタレント活動が出来ない声優は到底生き残れない」}というのが現実なのだが。 過去に[[皆口裕子]]が「芝居は好きだけど顔出しは嫌だから、顔出しせずに芝居が出来る声優の道に興味を持った」と語っていたのは非常に有名な話だが、&font(b,red){今の世の中ではそんな甘えた事を言う声優は「え?顔出し出来ないの?じゃあ君もう帰っていいよ。君の代わりなんて他に幾らでもいるから。」などと門前払いされ、オーディションを受けさせてすら貰えないだろう。} 近頃は声優という職業自体の偶像化、およびその声優が演じたキャラクターと声優自身の同一視化の流行に伴い、声優個人の交友・男女関係に敏感なファン、自分がその声優に抱いているイメージに対して強い拘りのようなものを持つファンも増加傾向にある。 取り分けそういうファンはその声優が誰かと交際、結婚したりするとまるで祭りのように騒ぎたてたり、中には裏切られたと思い込んで勝手に反発するというケースも少なくない。 [[竹達彩奈]]はバラエティ番組に出演した際、&font(b,red){「事務所の方針で30歳を過ぎてからでなければ結婚が出来ない契約になっている」}という衝撃の事実を明かしている((後に声優の梶裕貴と結婚。))。 一見横暴とも取られかねないが、これも声優のアイドル化、タレント化が急激に進んでいる事から、事務所側が「ファンの夢を壊さないように」と配慮したからなのだろう。 だからと言って声優たちに『恋愛や結婚をするな』などと言う訳にもいかないので、妥協案として30歳までという方針を声優たちに提示した物だと思われる。 *仕事内容 昔とは逆転するように、現在では主にアニメやゲームに声を吹き込むこと((アフレコやアテレコ。))が仕事だが、 映画等での吹き替え、キャラクターCDやユニット、またはソロとしての歌唱、番組でのナレーション等多岐に渡る。 また、ナレーションを務める声優も多い。後述のギャランティの問題もあり「声優をしないナレーター」は多いが「ナレーターをしない声優」はほぼ皆無である。 ただ、俳優と声優の境界は曖昧であり、俳優もする人もいれば、声優しかしない人もいる。 因みに昔は『声優は俳優でもある』という認識が一般で、『声優は売れない俳優がやるアルバイト』とも言われていた。 分業化が進んでいるとはいえ、舞台やドラマで俳優としても活躍する声優も未だ多い、というか近年では[[高木渉]]の様に俳優業で注目を受ける人も。 ロボットやAIを演じる場合など、実写ドラマに声だけ出演するというパターンもある。 ちなみに、アフレコとアテレコという言葉にも違いがある。 ・アフレコ &font(#0000ff){『映像作成→声を吹き込む』の順。} 映像を先にとり音声は後で取るということ。「アフターレコーディング」から「アフレコ」となった。 ・アテレコ &font(#ffb74c){『元からある映像に台詞そのものをあてる』こと。} 最初からある元の映像に、台詞を変えて((例えば英語→日本語訳になど。))、後から吹き込むこと。「当ててレコーディング」から「アテレコ」となった。例として洋画の吹き替えなど。 つまり、台詞の当て方の問題である。 まあ、最近はアフレコに統一され始めているが。 *目指し方 声優になる方法は1つだけではない。 どの方法を使うかはその人が置かれている環境やどのようなジャンルの声優を目指すかによって変わる。 なお、''ここに載っている例はあくまでも参考程度の物であり、&color(#ff0000){声優になることを保証する物ではない}''。 #region(一例) **1.声優に関する学校(または養成所)を卒業後、声優事務所に所属する。 ''おそらく最もオーソドックスな方法''。 そこで演技に関する専門知識と基礎技術を身につけるのだが、学費が卒業までに最低でも50万円以上はかかる事は覚悟しておこう。 金銭的にかなりの余裕か親族の支援が無いと難しいだろう。 最近ではベテラン声優が特別講師として直々に授業をしたりする学校もある。 専門学校(養成所)を卒業してからプロダクションに入るが、実力を更に伸ばす為に専門学校→養成所と通う人も一部いる。 現在はかなりの数の専門学校があり、毎年山ほど声優志望者が集まるが、&bold(){本当に声優としてやっていけるようになるのはほんの一握り}。 ぶっちゃけ&bold(){1学年に1人いれば良い方}という非常に狭き門なのだ。 ちなみに学校には認可校と無認可校があり、認可校の場合は履歴書に学歴として記載できる(最終学歴が専門学校卒になる)。 別分野の専門学校や大学に通いながら、または学校を卒業してから養成所に通うという選択肢もある。 また芸能の仕事全般に言える事だが、やはり事務所の力が大きい。 ライバルも多いが、なるべく大手事務所の養成所に行くべきだろう。 なお[[野沢雅子]]はこの養成学校や専門学校に関して、&font(b,red){「若手声優から個性を奪っている」}と否定的な意見を出している。 かつては知人に頼まれて自身も講師を勤めていた経験があったらしいのだが、「生徒たちが講師の言われた通りにしか演技をする事が出来なくなってしまう」ケースを数多く見せつけられた事で、 今では頼まれても断っているんだそうな。 このような養成所は「学費さえ払ってくれれば誰でも受け入れる」という所もあれば、定期的にオーディションを開催して「声優になれる見込みがある者しか受け入れない」という所もある。 度々アニメ雑誌などで広告を見かけ、全国各地に事業所を展開している「CHK声優センター」は後者だが、 &font(b,blue){「声優というのは特殊な職業であり、一般企業と違って誰でも就けるという物では無い。我々がオーディションを行っているのは、その応募者が声優として大成出来るだけの資質を持っているかどうか見極める為」} などとパンフレットなどで語っている。 ただしそれでも2022年現在の声優は演技力だけでなく容姿も重要視されている事から、&font(b,red){容姿を理由に「君の容姿では声優になっても絶対に仕事を貰えない」と突き放され、オーディションを受けさせてもくれなかった}というケースさえもあるんだとか。 **2.自分から応募 &font(#ff0000){オーディションやプロダクションに自ら応募するという方法}。 勇気がいる方法ではあるが、経験などに関係なく、チャンスを手にする事ができる。 また、先述の通り専門学校は多額の費用がかかるので、どうしてもお金が足りない人はやむを得ない。 専門学校を卒業したはいいが、事務所に所属が出来なかったという場合もこの方法を試すことになるだろう。 中には「従姉妹が声優をしていたので試しに応募してみたら採用」((服巻浩司。ちなみにその従姉妹は田村ゆかり。))とか「帰りの電車でたまたまオーディション募集の広告を見て応募。ちなみにこの時勤め先の会社をクビになっていた」((若本規夫。曰く「(よせばいいのについ)上司をぶん殴ってしまった」。))なんて人も。 また、稀にだがアマチュアを含めて公募する公開オーディションを行っている作品もあり、そこから声優になるケースも存在する。 とは言え、これもとてつもない倍率になるのは目に見えており、''単なる声や滑舌のみならず、よほど卓越した何かを持っていなければ受からない''と考えるべき。 **3.転向 かつては主流だった方法。 現代でも俳優から声優に転向したり子役から声優に転向する方々は意外と多い。 特に[[スーパー戦隊シリーズ]]は着ぐるみキャラクターの声を務める声優に誘われ、番組終了後に声優に転身する人も多い。 これは2008年の『[[炎神戦隊ゴーオンジャー]]』までは&bold(){「一度演技パートを撮影した後、その映像にアフレコでセリフを入れる」}((『[[侍戦隊シンケンジャー]]』から生身パートのみそのまま同時録音になった。変身後がアフレコなのは同様。))撮影方法だったため、元々アフレコの経験自体はある事も大きいか。 ただ、最初はやはり映像に声を合わせることの難しさを感じる人も多いようだ。 稀に元の職業と声優業を両立させ、どちらでも有名という人もいる。 舞台、銀幕での活躍が評価され声優としてオファーを受けるパターンもある。 このような形で俳優、子役から声優に転向するのも多い。 このことから、『声優になる為に劇団の門をたたく』といったやり方が一時期流行したが、劇団側の迷惑になることがある為、控えたほうがよい。 また劇団に所属している面々の場合「声優レギュラーを持ちながら劇団で芝居を続ける」という形で俳優業両立を続けるケースが複数ある(劇団『テアトル・エコー』の所属者や犬山イヌコ等)。 前述の「どっちもガチでプロ」パターンも殆ど劇団出身者。 ちなみにこのパターンには「子役から歌手になるも売れないから劇団に所属」→「声優に転向し人気に」→「有名劇作家に見いだされ顔出しの女優としてもメジャーに」 と複雑な経緯を辿った[[アンパンマン]]の声優・戸田恵子や、 「子役活動」→「アイドルグループ所属」→「声優」と転向し必死の努力で演技を磨いて成功した日高のり子、 &bold(){「劇団で役者していたら[[元々声優をしている父親>大塚周夫]]から紹介されて声優になり、なんやかんやで著名俳優に」}という[[大塚明夫]]のようなとんでもないパターンも存在する。 ただし大塚曰く「声優って大変だよ、やめといたほうがいいよ」とのこと。 2000年代以降の女性アイドルグループ乱立時代に突入して以降は、アイドルグループへの所属を「声優への横滑りを目指すステップ」として目指す者も増えている。 この典型は元[[AKB48]]の仲谷明香で、実家の経済的事情で声優養成所経由でなるのを断念し、AKBでアイドルとして活動した後声優になった。 これはこれで狭き門だが数年前後で卒業や解散を余儀なくされるアイドルグループのメンバーも多いため、先を見据えた活動ができるという利点はある。 **4.他分野で活躍する著名人の出演 コレに関しては[[賛否が分かれる>賛否両論]]が、作品への話題性・視聴率確保の為に人気のある芸能人や俳優、 又は主題歌を担当した歌手、スポーツ選手などが&font(#ff0000){ゲストとして出演する}というもの。 著名人ならば『&font(#ff0000){声優やってみたい}』の鶴の一声でモブキャラはおろかメインキャラの声を担当する事が出来ることもある。 とはいえ、このパターンは殆どが劇場版や一話限りのゲスト参加であり、正直「声優になる方法」とは言えないところではあるが。 また、スタジオジブリは『平成狸合戦ぽんぽこ』以降敢えて声優を起用せず、俳優を起用する傾向がある。 このパターンは、(作品に愛が無い)大人の事情が強く絡んでいたり、本業では無い故に演技力が低い人もいる為、&bold(){批判もかなり多い}。 声優が発表されるや否や大炎上したり、プロ声優の中にもこのパターンに苦言を呈する人もいるほど。 どちらかと言えば素人が出しゃばって全く違う畑に土足で踏み込んでいるイメージが強い人もいるだろう。 演者の力量に見合った配役が求められるところであり、分相応な配役であればゲスト声優の演技力は目立たない。 もっとも声優もCD出したり、経験がない人が舞台に出たり、バラエティに出たり違う分野に進出しつつあるのであまり言えたものではない。 一方で、プロに匹敵する程演技の上手い人も多く、声の出演クレジットを見て驚くことも多い。 俳優は言うに及ばず、歌舞伎役者や落語家、果てはお笑い芸人に至るまで「演じる」ことを生業とする方々にその傾向がある。 初出演で下手な演技を披露するケースこそあるが、声だけで演じることに対する不慣れが原因なので、声だけの演技に慣れたとき大きく腕を上げる人物も多い。 [[武藤遊戯]]役の声優、ジャニーズの[[風間俊介]]などが良い例だろう。TVアニメ版の初期と後期、あるいは客演した映画作品とでは明らかに演技力が上達している。 主に話題作りなどの目的で声優をやらせてみたら結果的にハマリ役だったというパターンも多い。 [[ルパン三世>ルパン三世(人物)]]役の声優の栗田貫一は本業がモノマネタレントで、先代のルパン役の声優(山田康雄。こちらは声優業が本業であった)のモノマネが非常に上手く、 さらに先代の山田とルパンが縁で親交があったため、先代が急病に倒れ後任に収まったという「俳優でもない本業の延長で声優のレギュラー仕事をやっている」珍しいパターンである。 他にも、爆発的なブームを起こした『[[けものフレンズ>けものフレンズ(アニメ)]]』ではED歌手(シンガーソングライター)がゲストキャラ役で出演したエピソードがある。 EDを歌っていたみゆはんに声優経験は殆どなかったものの、飽きやすい性格でやる気のない喋り方が多いというキャラクターを担当したため、違和感を覚えた視聴者は殆どいなかった。 派生形として「声優のレギュラー仕事を経験しているが、それ以降も声優にならず本職メインで生活している」という人達がおり、 [[青柳隆志]](ミッキーマウス)や、あおい輝彦([[矢吹丈]])、岸谷五朗([[ターちゃん>ターちゃん(ジャングルの王者ターちゃん)]])、ラサール石井([[両津勘吉]])、栗田貫一(ルパン三世)が当てはまる。 **5.業界人とのコネクション プロデューサー、アニメ監督、音響監督、プロ声優などとのコネクションによって声優デビュー又は事務所に所属するというパターン。 とはいえ、一般人が業界人とコネクションがあるなんて事はそうそうなく、&bold(){非常に難しい方法}といえる。 業界人の親族、知人、裏方だった人物が才能を見出されて……というパターンはあるかもしれない。 3や4もこのパターンの亜種と言える。 なお、これを目的として、SNSなどで業界人にアポイントをとる行為は止めよう。 特に不倫や情報漏洩などのスキャンダルに発展すると、&bold(){逆に道が閉ざされるような結果になり兼ねない}。 **6.スカウトされる &bold(){おそらく一番難しい方法}。 街中等でプロダクションの方にスカウトをしてもらってその後デビューというあのカタチである。 もっとも、ルックスが重要視される俳優やモデルとは違い、顔出しをメインとしない声優が街中でスカウトされることは殆ど無いといっても良い。 しかし、声優のルックスも重視される現在、これからはスカウトでデビューする声優が出てくる可能性もあるかもしれない。 また、接客業やツアーガイド等の声を出す職業に就いている人物や歌手などが、たまたま居合わせた業界人に声を評価されてスカウトされるパターンも考えられる。 ただし、声優のスカウトはメジャーではないので、必ず事務所やスカウトした人物の評判をチェックしてから入所する事をお勧めする。 この方法でプロの声優になった事で有名なのが、[[三ツ矢雄二]]と[[一条和矢]]の2人である。 三ツ矢は元々は子役だったのだが、永井一郎と一緒に居酒屋で酒を飲んでいた際、永井からスカウトされて声優になった。 ただし永井はこの件に関して、「酔っぱらっていたので、よく覚えていない」と語っていたそうな。 一条は元々アマチュアの劇団に所属していたのだが、舞台でたまたま彼の演技を見ていた[[神谷明]]にスカウトされて声優になっている。 **7.どこの事務所にも属さず、フリーランスとして活動する。 かなり特殊な事例だが、実際には声優というのは芸能事務所に所属しなければなれないという代物ではない。 日本俳優連合に声優として登録すれば、その時点で晴れて声優の肩書を得る事が出来るのだ。 もっと言えば登録などせずとも、SNSやクラウドソーシングで「私は声優です!お仕事募集中!」と名乗るだけでも構わない。 この場合はどこの事務所にも所属しない、フリーランスの声優として活動する事になる。 また以前は事務所に所属しながらも、何らかの理由で事務所を退所しフリーランスになる声優も存在している。 この方法で声優になる際、以下のメリットとデメリットが存在する。 ★メリット -やる気さえあれば誰でも声優を名乗る事が出来る。 -実力に自信があるのなら養成所や専門学校に通わなくても声優になれるので、高額な学費を支払う必要が無い。 -事務所との契約やしがらみに縛られずに自由に活動する事が出来る。 -事務所にマネジメント料を支払う必要が無いので、ギャラを全額自分の物に出来る。((ただし年間20万円以上の収益が発生した場合は、確定申告をして所得税を支払う必要がある。事務所に所属する声優は事務所側が源泉徴収と年末調整をやってくれるので、基本的に確定申告は必要無い。)) ★デメリット -事務所からの支援を一切受けられないので、基本的に仕事は全て自分で探さなければならない。 -スケジュールの管理や営業活動、経理、交渉、トラブル解決などを、全て自分でやらなければならない。 -事務所のコネクションや権力に頼る事が出来ない((部外者から忌避されがちな大人の事情も内部の人間であれば味方となる。))。 -クライアントによっては仕事を受けられない場合があり、大作に携わることが難しくなる。 -新人の場合、業界や同業者とのコネクションを作りにくい。 -実績と収入が無ければ、事実上無職やフリーターとして扱われる。 -何かあったら全て自分の責任となり、誰も助けてくれない。 -プロの基準や資格がない為、実力や責任感が伴わないままプロ声優を名乗ってしまう危険性がある。 この方法で大成した声優として[[名塚佳織]]や力丸乃りこが挙げられるが、当然ながら彼女たちのように第一線で活躍出来る者は極僅かである。 ''事務所に所属するよりも遥かに茨の道''だと思った方がいいだろう。 **8.声優事務所(及び他業種が声優部門)を設立する。 7の派生形で、声優事務所(法人)を設立してしまうという物。 事務所を名乗っているが、法人格を持たないアマチュアグループ、サークル活動はこの頁では扱わない。 どこの企業にも所属しない場合に比べ、 -(自身が経営に関与する場合)場合によっては役職を得られる場合がある -税金の扱いが変わる -融資が受けやすくなる -企業間取引しかしないクライアントとビジネスチャンスが生まれる などの違いがある。 どちらかと言えば、''既に実績のある声優が独立する際に行う''物であり、 ''実績のない新人声優が事務所を設立してもフリーランスと大差ない''だろう。 なので、いきなり事務所を設立する事はお勧めできない。 #endregion() *厳しい現実 &bold(){一見華やかな職業だが、世の中そんなに甘くない}。 多くの声優志望者に対して、仕事を受けられるのはごく一部であり、レギュラー作品を持っている声優になると更に減る。 更に生涯に渡って安定した収入が得られる人物は、極々一部言っても過言ではない。 [[桑原由気]]は自らの著書において #center(){&bold(){「声優は4000人近くいるが、それだけで食べていけるのは300人位」}} という過酷な実情を明らかにしており、自身もアルバイトをしながら声優業をこなしている事を公言している。 [[ルパン三世>ルパン三世(人物)]]で知られる山田康雄はかつて、日々の食事を&bold(){コロッケ一個}で凌ぐ生活を続けていたという逸話も。 またどんな職業にも言える事だが、仮に才能があったとしても常に努力をしないと実を結ばないという職業でもある。 演じ分けやアドリブへの対応、外国語や方言もある程度出来ないと厳しいだろう。 更に最近ではテレビ番組や楽曲のプロモーション、顔出しでのメディア露出のニーズから、''容姿や歌唱力、果てには声優と直接関係ない技能((高学歴、高難易度の資格持ち、スポーツが得意、ゲームが上手い、絵が上手い、楽器演奏ができる、作編曲スキルがある、その他珍しい趣味を持つなど。))も重要視されている''。 所謂「アイドル声優」等と呼ばれる物で、売れっ子声優の中にも歌の為に態々ボーカルスクールに通ったという人もいる。 …もっとも、制作スタッフが匙を投げる上に本人も歌う仕事を嫌がるほどの音痴の人や[[「僕が素顔を出すとみんなショックを受けるんですよw」なんて人>檜山修之]]もいるっちゃいるが、 大御所のベテランならともかく他に特徴のない新人や若手がそんな事をした所で、&font(b,red){「あー無理なの?じゃ帰っていいよ。おーい、今抜けた人の代わり集めてきてー」と呆気なく現場から叩き出されて終了だろう。} また、アイドルとしての需要、キャラクターとの一体感を出せる事などから、若い人材が求められやすい。 遅咲きの声優もいるにはいるが、声優として芽が出なかった時も進路の修正がしやすく、 本気で声優を目指すのであれば、なるべく若いうちに行動する事をお勧めする。 しかし、声優の多様化・アニメやゲームの浸透によって「アニメ声だから」「俳優やアイドル目指すより簡単になれそう」「[[オタク]]だから」「一般の職に就きたくない」 と言った甘い考えから業界を志す若者も増えており、結果的に当然と言わんばかりに夢を絶たれるケースも年々増えている。 このような甘い考えから業界を志す者に対してはベテラン声優のみならず[[富野由悠季]]も苦言を呈している。 勿論、上記の理由を「声優を目指すきっかけ」として挙げるプロも珍しくないが、あくまでもきっかけだけであり、それだけではプロになる事は難しい。 アニメ声を出せる人間なんて声優学校の1クラスだけ見てもわんさかいるし、雇われのサラリーマンさえ務まらないような人間がやっていける業界ではない。 志村由美は声優業の引退を自らのブログで報告した(現在は閉鎖)際、 &bold(){「声優というのは一見華やかに見えるけど、全然そんな事は無い。」} &bold(){「一般企業と同じで物凄く辛くて大変な事ばかり。」} &bold(){「中途半端な気持ちで目指す事だけは、絶対に止めておいた方がいい。」} などと警告を発していた。 また、声優のアイドル化や社会的な認知度の向上に伴って、世間が声優のスキャンダルに敏感になっていることも注意が必要。 不祥事や過去のヤンチャが発覚すると今後の活動にも悪影響を及ぼしてしまう。 それから声優を目指す人が大切にすべき物。''それは自分の身体''。 身一つで仕事をこなす都合上、心身ともに消耗が激しい職業でもある。 なので、''日々の体調管理は怠らないようにしてほしい''(社会人であれば基本でもあるが)。 特に大事な商売道具である「喉」周辺のケアはかなり重視される。何せ喉が枯れただけで仕事にならないのだから。 が、意外な事に個人差も激しい。 ・喉の乾燥を防ぐ(加湿器を置く、常にマスクをする、こまめな水分補給など) ・喉に刺激がある物を控える(酒やタバコ、辛味のある食品、硬い食品など喉に膜を作る食品を控える人もいる) といったケアをしっかりする人もいれば、 ・仕事の時以外は特別なケアをしない(壊さないようには気を付ける) ・酒もタバコもするし食事も特に気にしない(特にベテランに多い) と言った人も普通にいる。 自分の体質や思想と相談して、無理のない範疇で行うと良い。 事務所やスタッフの指示がある場合は、そちらに従おう。 また、狭い世界であるため、共演者やスタッフ、マネージャーとの協調性も非常に重要視されており、 態度が悪い、仕事がやり辛いと判断されれば才能豊富な逸材だったとしてもバッサリ切り捨てられたりもする。 切り捨てる際も 『こいつ性格悪いから次呼ばなくていーよね?』 と、軽いノリで決まってしまう可能性も(これは声優以外にも言えるが)。 現場での共演がきっかけでプライベートでも仲良く…とかこれをきっかけに付き合い始めてそのまま…というパターンが多いのも協調性が求められる(=どうしたって現場で仲良くなる)からだろう。 また上記でも記した通り、専門学校に通うだけでも最低50万円近くはかかる等、初期投資の資金もそれなりに必要。 相当の意志があるか、家族に理解があるか、実家が裕福でもない限り、これだけの金額を出すのはかなり厳しいだろう。 俳優との決定的な差はやはりギャランティの額と拘束時間だろう。 &font(#ff0000){30分番組を1本吹き込んだあたりの給料は約1万円から3万円+再放送料等を入れて×1.8(目安)}であり、一番安いのがラジオ、次にアニメ、ナレーション、CM、一番高いのがゲームかパチンコとなっている。 また30分番組の収録時間は大体2~3時間、長くても半日程度で、劇場版でも1日で終わる事が多い。 なお、イベント出演などはまた事情が異なる。 なおギャラはキャリアによって変動し、台詞が1行でも50行でも1本分のギャラは基本的に変動はないことが多い。 しかし、所謂「大御所」レベルの声優はほぼ言い値でギャラが決まることがある(といっても限度はあるだろうが)、 週一のレギュラー長寿アニメくらいしか仕事のないベテラン声優が生活していけるのはこのためである。 ドラマや映画ならば製作費用の大半が人件費に費やされるのに対して、元々予算の少ないアニメでもその凡そ1~2割ほどで収まるのだ。 ただしテレビ番組のナレーションやCMのギャランティは別格であり、番組によってはタレント並に支払われることもある。 ちなみに、所謂18禁作品の出演料は一般作品のよりも高く、知名度が低い声優が『裏に行きそう』と言われることもある。 ただ、そういう作品に出演すると基本的に[[濡れ場]]もこなす必要があるため、裏をメインに活動している声優は総じて演技力が高い傾向がある。 名前は知らないが演技は上手い、と思った声優が実は裏メインだった……というのはよくあることである。 もっとも、実はR-18作品と全年齢作品で[[別名義を使い分けている著名声優も多い>裏名]]ため、18禁作品の声優=無名の声優とは限らない。 なお、こういった別名義と紐づける行為はマナー違反だと感じる人もいるので、事実を知ってしまった場合は胸の中にしまっておこう。騒ぎ立てたって良い事ないよ。 また、副業(アルバイト等)と掛け持ちしながら声優を続けている人もいるが、副業の方が稼いでいるような声優もいる。 最近、実家が裕福な声優が目立つようになってきたのも、そうでないと生活していくのが厳しいというのもあるだろう。 白石文子は声優として仕事を貰えていて忙しかったにも関わらず、引退して実家に帰っているのだが、その理由として&font(b,red){「声優業だけではとても食べていけないから」}だと明かしている。 …とここまで色々書いてきたが、 #center(){&b(){&font(#ffb74c){『好きこそ物の上手なれ』}}} 厳しいけど好きだから色々頑張れるというまさにそんな人がなれるような職業だろう。 テレビ等で紹介されている華やかな部分も事実の一つであり、中には豪邸を建てた声優もいる。 他の芸能関係の職業同様&font(#f09199){まさにハイリスクハイリターンな職業である。} &font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){大塚氏曰く「ハイリスクローリターン」}}} ただ、大御所たちの多くは「声優」という職業を認めていない。 「声優」とは「声優業」であって、あくまで「役者」の一部分に過ぎず、それが全てであると思われるのはかなり抵抗があるらしい。 その背景には顔出しで売れなかった苦い過去が影響している。 *フィクション作品における声優一覧 **夏とレモンとオーバーレイ ***ゆにまる。 主人公の女性声優。本名は「西島沙樹」。 年齢は不明だが作中での「高卒後7年経つけど」という本人のセリフから25歳前後だと思われる。 声優業だけでなくユーチューバーとしても活動している。 事務所に所属しているのかフリーランスなのかは明確に描写されていないが、作中で事務所を介さずに直接仕事の契約をしている描写がある事から、フリーランスの声優として活動している可能性が高い。 あるいは養成所を卒業したものの、どこの事務所とも契約を結ぶ事が出来ず、フリーランスとして声優としての活躍の場を求めたのかもしれないが。 だが声優になる事を夢見て高卒後すぐに上京し、晴れて声優としてデビューするものの、 -仕事が全然貰えない -生活費がいつもギリギリ((「そろそろ卵以外のたんぱく質を摂りたい」などと愚痴をこぼしたり、真夏にエアコンをつけずに扇風機で涼を取っている描写がある、家賃や税金、公共料金の支払いに追われているなど、相当困窮している事がうかがえる。)) -コンビニのバイトとユーチューバーとしての収入で、辛うじて食いつないでいる -両親からは声優を続ける事を反対されており、実家に帰ってこいと執拗に迫られている などといった&font(b,red){声優という仕事の負の一面}が、作中においてこれでもかという位明確に描かれてしまっている。 作中での描写を見た限りでは、プロの声優としての確かな技術と歌唱力はしっかりと持ち合わせているようだが、そもそも声優というのは&font(b,red){そういう連中がごまんといる世界}であり、それだけでやっていけるような甘い世界ではないという事なのだろう。 代わりの声優なんて掃いて捨てる程いる今の業界において、容姿が平凡で他に何の特徴も武器も無い彼女が、声優としてクライアントから仕事を貰えるのかと問われると…。 そんな中、彼女の生配信を観たという金持ちの令嬢から、成功報酬50万円&何らかの理由で拘束した場合は時給3000円という破格の報酬((依頼主の女性曰く「プロの声優への依頼の相場がよく分からなかった」との事。))を提示され、 「私はもうすぐ死ぬ予定なので、葬儀の場で遺書を読んで貰えませんか?」 という破天荒な依頼を受け、疑心暗鬼になりながらも元々生活苦に陥っていたという事もあり、多額の報酬に釣られて受諾する事になったのだが…。 **あかね噺 ***高良木ひかる 上記のゆにまる。とは全くの正反対で、アイドル声優として確固たる地位を確立している女子高生。芸名なのか本名なのかは不明。 ある人気アニメの主役に抜擢された事と彼女自身の美貌によって、多くのアニメファンたちからの絶大な人気を誇っている。 大手の事務所に所属し、他の声優たちが羨む程の多数の仕事の依頼が舞い込んでいる人気声優なのだが、それらは全て&font(b,red){「彼女の演技力ではなく容姿が評価されての物」}だという事が作中で明確に描写されてしまっている。 今の世の中、声優は演技力だけでなく容姿も重要視されている、アイドル活動が出来ない声優は到底生き残れないという事を明確に描写していると言えるだろう。 この件に関してプロの落語家の1人が、 &font(b,red){「華があり過ぎるのも考え物だな。これでは観客は作品を楽しむどころではなくなってしまう。」} などと苦言を呈していた。 彼女自身もその事に危機感を抱いており、落語家業界のトップに君臨する阿良川一生に認めてもらう事で、容姿だけに頼った上っ面な声優ではなく、実力派の声優として周囲に認めてもらう為に、阿良川一生が主催するアマチュアの学生の落語大会である可楽杯に参加する事になった。 なお可楽杯には彼女以外にもプロの声優が多数参加していたらしいのだが、決勝まで生き残れたのは彼女1人だけらしい。 *余談 **女性声優の枕営業について 2022年になって邦画業界において、女優たちによる「ある有名監督に[[枕営業]]を強要された」との告発が相次いだ事で大騒動になってしまった。 これは声優業界でも当てはまるのではないかとの声も当然出ているのだが、音響監督の長崎行男はその事実を真っ向から否定している。 &bold(){「仮にそんな経緯で技術の無い女性声優をキャスティングしてしまうと、経緯が経緯だけに関係を切れなくなってしまう。」} &bold(){「その女性声優が何度もNGを出してしまうと、キャスティングをした監督やプロデューサーが責任を問われる事になってしまう。」} &bold(){「少なくとも僕には怖くて出来ないですね。」} また現在のアニメは制作委員会方式で作られており、監督、プロデューサー、スタッフ、原作が存在する作品ならば原作者も交えての綿密な話し合いによってキャスティングが決定されるので、いかに監督といえども個人の一存だけでキャスティングを勝手に決める事は出来ないようになっている。 なので、&font(b,blue){そもそも声優業界において枕営業の入り込む余地は微塵も無い}との事。 #center(){ &color(orange,navy){何でマスターが編集してんだよ?} &color(aqua,firebrick){いい記事してんだろ?ハハッ、項目の追記・修正は得意なんだよ!}} 死んでも編集するのが項目ぞい! #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,21) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: