ショージキデンパ(ドラえもん)

登録日:2018/04/25 (水曜日) 14:19:07
更新日:2018/05/01 Tue 18:42:27
所要時間:約 8 分で読めます



「ショージキデンパ」は、漫画ドラえもんのエピソードの1つであり、その話に登場したひみつ道具の名称である。
小学二年生1971年10月号に初掲載され、『藤子不二雄ランド』版ドラえもん1巻、藤子・F・不二雄 大全集3巻に収録されている。
雑誌掲載時のタイトルは 「ビックリデンパ」 であり、藤子不二雄ランドに収録された際に項目名のタイトルに改められている。

【概要】

双眼鏡をなくしたという身に覚えのない疑いをかけられたのび太。
誰でも本当のことを喋らせるひみつ道具「ショージキデンパ」を使い、のび太の潔白を証明する話。
『ドラえもん』の中でもタチの悪い嘘つき、本山(ほんやま)の往生際の悪さ、
そんなフラストレーションを一気に吹き飛ばすラストの展開が見どころ。

【ひみつ道具の概要】

パラボラアンテナの形をしたひみつ道具。
ボタンを押すと電波が放出され、電波を浴びると正直なことを本人の意志にかかわらず喋る。
電波を強めることも可能だが、強めすぎると周りの人物にも影響が及んでしまう。

てんとう虫コミックス第25巻収録『のび太の結婚前夜』には、同じ読みの 「正直電波」 が登場する。
こちらは外見が電波塔の形で、効果も「本人が思っていることを自発的に喋らせる」と全く別の道具となっている。

【あらすじ】


ある日、のび太スネ夫本山の三人が本山の家の前で言い争いをしていた。
のび太はスネ夫からスイス製の何万もする双眼鏡を借りて、それを友達の本山に貸したのだが、
本山は昨日の学校の帰り道で返したといって憚らない。
のび太は必死に反論するが、
スネ夫は本山の言い分を信じ、「ぼくに借りた物を、人に貸すのが悪いんだ」とのび太を責めだした。
スネ夫からはしつこく返却をせがまれ、本山には「自分がなくしたくせに、人のせいにするんだ」と言いふらされ、
顔面蒼白になるのび太であった。

進退窮まったのび太は、頼みの綱のドラえもんに相談するも、
開口一番に「思い違いってこともあるから」と疑われてしまう。
ついに我慢ならず号泣するのび太。
これにはドラえもんも反省し、ひみつ道具 「ショージキデンパ」 を取り出した。
この道具から放出される電波を浴びると、どんな嘘つきでも本当のことをしゃべるという。
早速ドラえもんに対して使ってみると……。


いや、ほんとはのび太くんのかんちがいだよ。

きみは、おっちょこちょいで、わすれんぼだから。

でも、かわいそうだから、いちおう調べよう。


のび太のことを最初から疑ってかかっていたことを正直に告白したのだった。
激怒するのび太を何とかなだめ、本山に本当のことを白状させるべく出発。
出会い頭にスネ夫と遭遇、「なくしたら弁償させる」と責めだすスネ夫を尻目に、本山の家に向かうドラえもんとのび太。
だが本山は 母親に居留守を使うように言いだし 、二人は気づくこともなくあっさりと帰されてしまう。
次に空き地に向かった二人。そこでは、ジャイアンが友達相手にリサイタルを開いていた。

ね、ね、本山くんを見なかった。

うるさいっ。みんなおれのいい声に聞きほれてんだ。

ぜひ聞かせてくれと、せがまれてな。な、そうだな、みんな。

ほんとにすてきな声だもの。

うっとりしちゃう。

歌手になればいいや。

そうだろう。おれ、歌だけは自信あるんだ。

結局本山の居場所は分からず、ジャイアンに対してお世辞を並び立てる友達を尻目に去っていく二人。
道中またもスネ夫と遭遇、しつこく返却を迫る中、二人は静香と出会う。
本山と彼の家で遊んでいたとのことで、ようやく居留守を使われたことを知った二人。
早速スネ夫と共に本山の家に向かうと、玄関先でスネ夫のママ本山のママが相手の息子を褒め称えていた。


ああら奥様。ほほほ。

ほんとに頭のよいおぼっちゃま。

いつも学校では、優等生だそうですね。

とんでもございませんわ、おぼっちゃまこそ。

息子は留守だと言い張る本山のママに対してデンパを浴びせ、家に入る三人。
相変わらず「なん度いったらわかるんだ。たしかにきみに返した」と主張する本山。
早速デンパを浴びせるも、強情なだけに口を割ろうとしない。
とにかくデンパを強めて浴びせ続け、ついに……。


双眼鏡はぼくがこわした。


べんしょうさせられるのがいやで、うそついたんだよ。


本山は自分が双眼鏡を壊したことを正直に告白したのであった。
これでのび太の疑いも晴れて、めでたしめでたし。
……と思いきや、近くにいたスネ夫の様子がおかしい。


スイス製の高級品というのはうそ。

おまつりの屋台の売れのこりのおもちゃ。


なんと、 双眼鏡はスイス製の高級品ではなく、屋台で売られていた安物のおもちゃ だったことを正直に告白したのだ。
ドラえもんとのび太が外に出ると、玄関先では……。


なによっ、ばかでうそつきのくせに。

いつも学校でおこられてるの知ってんだから。


スネ夫のママと本山のママが 相手の息子に対する正直な思い を告白して言い争いに発展していた。
さらに空き地へ向かうと……。


ジャイアンの歌なんて、むねが悪くなるよ。

へたくそ。

おんち。

こわいからしかたなしに聞いてやってんだ。


友達から 正直な歌の感想 を聞かされ、ジャイアンが涙目になりながら皆をボコボコにしていた。
先程デンパを強めすぎたことで電波が街中に散らばり、皆正直なことしか言えなくなってしまったのだった。

【アニメ版】


大山版で1回のみアニメ化されており、 「ショージキデンパ」 のタイトルで1981年12月4日に放送された。

本山が居留守を使う際、母親に「のび太と遊ぶと怠け者になる」と
言っている。本山の家に入る際、スネ夫が本山にいるかと訪ねてからのび太達が入っている。

電波が町中まで広まっており、美容師と客が「髪形を変えてもその顔じゃどうしようもない」「安さだけが取り柄のヘボ美容師」と大喧嘩、主婦が肉屋で犬用の肉を購入した際に肉屋の主人に「今晩の夕飯でしょ?」と言われて激怒、絵描きが描いている絵を通行人に「幼稚園のお絵かきだ」と言われてキャンバスで叩き付けるなどの大騒動になった。
ドラえもんによると、22世紀では電波を止める装置はまだ開発されていないが、本音をすべて吐き出せば効果がなくなるという。

ラストではのび太が「皆、ウソばかり言ってるんだな」と呟いており、ドラえもんがショージキデンパでのび太に本音を言わせるところで話が終わっている。


【余談】

  • ラストのスネ夫ママの悪口は、雑誌掲載時は「ばかでうそつきの ぼうずの くせに」であったが、
    大全集では「ぼうず」の部分がカットされている。なぜカットされたのかは不明。
    藤子不二雄ランドにおいても「ぼうず」はカットされている。

  • 同時期に掲載されていた同作者の『新オバケのQ太郎』の『子ども図書館』には、同じ漢字と読みの「本山シミ夫」が登場するが、
    髪の毛が黒いこと以外は姿が同じ。更に母親の姿も同じで、挙句に 居留守を母親に頼むシーンの構図 も同じ。
    掲載されたのが本話と近い小学四年生1971年7月号であり、意識した可能性がある。
    ただし、こちらの本山は本を愛するあまり行動が過激になってしまうだけであり、『ドラえもん』の本山のような嘘つきではない。
    居留守を使ったのも、友達に大事な本を荒らされたくないという思いからの行動である。
    実際、二回目の居留守を使おうとした際は母親に咎められている。

  • てんとう虫コミックスプラス第1巻収録『ふろしきタクシー』には、これまた同じ漢字の「本山」が登場するが、
    こちらの読みは 「もとやま」 であり、本好きで誠実な子である。
    本山(もとやま)の名誉のためにも間違えないように。


おい、追記・修正したか。

ちょっとまってよ。もうすぐ追記・修正するから。

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