ザ・ニュースキャスター(世にも奇妙な物語)

登録日:2020/04/04 (土) 16:23:15
更新日:2020/05/04 Mon 21:38:19
所要時間:約8分で読めます




「ザ・ニュースキャスター」は世にも妙な物語で放送されたエピソード。1996年冬の特別編で放送されている。

ネットでニュースが気軽に手に入るようになり、昔よりは重要性こそ薄れたものの、今も尚テレビ局のニュース番組・報道番組のメインキャスターは花形。「朝の顔」「昼の顔」「夕方の顔」「夜の顔」と、各局の象徴といえる存在でもある。
今回はそんなニュースキャスターに関する物語。

【登場人物】
  • 北村麗子
演 - 飯島直子
東西放送(EBS)のニュース番組「EBS NEWS ブロードアイズ(夜9時放送)」のメインキャスター。

  • 神山美咲
演 - 村岡英美
東西放送のアナウンサー。「ブロードアイズ」のお天気キャスターを務めている。

  • 石田
演 - 北見敏之
番組の編集長。放送時はサブで見守る。

  • 花岡
演 - 仲谷昇
東西放送の報道局長。

【ストーリー】
ある日の報道局内。今日もせわしない局内の中、連続殺人犯の身柄確保というトップニュースも飛び込み原稿差し替え。慣れた様子でニュース番組「ブロードアイズ」が始まる。

無事放送が終わった中、石田から「局長が呼んでいる」と言われ、麗子は戸惑いながら向かう。

「降板!?私がですか?」
局長から告げられた降板という言葉。花岡局長からは5年間夜の顔としてキャスターを務めてきた事は讃えられるものの「そろそろ後進に道を譲ったらどうか?」「長い目で見ると若い人材を育成することは大事なんだ」と言いつつも「視聴率も最近落ちてきたようだし…そろそろ番組もリニューアルしたいんだ。」と本音を漏らす。

後任には神山がメインに昇格する予定とし、正式決定ではないが「早めに伝えておこうと思って」と言われたものの、ショックを受け無人のスタジオでうなだれる麗子。が、掃除のおじさんの姿を見ると姿勢を正してその場を立ち去る。その様子を見て掃除のおじさんは怪訝に感じるものの、そのままスタジオの掃除を始める。

翌日の放送。流暢に天気を読み上げる神山に気を取られ心ここにあらずの中、何とか気づき締めに円相場のニュースを読み上げる。

「今日のロンドン市場は比較的落ち着いた動きを見せ、1ドル162円前後で…」

まさかの超円安(当時のレートはおおよそ1ドル110円前後)に「原稿を飛ばした(間違えた)」と騒然となるサブ(副調整室)。急遽ロンドンに中継を繋ぎ記者にリポート。麗子も原稿を間違え慌てるが、ロンドンの記者からは「急激な円売りドル買いが進行し、現在のレートは1ドル162円37銭で…」と伝えられる。

結果的に円安のニュースを番組が第一報を報じた形となり、なんとか誤報でなくなり「怪我の功名」とはなったものの、「偶然は二度は続かんぞ。気を付けろ。」と石田から注意。追い討ちとばかりに「最後ぐらい良い所見せてくれよ」とプレッシャーをかけられる。

翌日の放送。今度は速報で「民政党の梶原幹事長が公演中に暴漢に刺される」というニュースが飛び込む。が、今度は「民政党の梶原幹事長が公演中に暴漢に刺され死亡」と伝えてしまう。「勝手に殺すな!」という石田の言葉に原稿を見直してまたも間違えたことに気づく麗子。「VTR終わりで訂正しろ」と怒る石田だが、岡山支局からの電話で容体が急変し死亡したことが伝えられる。

翌朝。新聞で梶原幹事長の死亡時刻を知った麗子。その時間はまさに自分がニュースで「死亡」と言った瞬間だった。「まさかね…」とその時は偶然と思ったものの、局内で原稿を書こうとするときにあることを考え付く…

その夜の放送。放送が始まると意を決したようにニュースを読み上げる。

「アメリカのゲイツ大統領が今日辞任を発表しました。」

またしてもパニックになる石田とサブ。北村の勝手な原稿に慌てる中、今度はワシントン支局から大統領辞任の報が飛び込む。
あまりにもありえなさすぎるニュースが事実となったことに、スタジオで麗子が微笑みを見せる…

翌日の会議。編集長に何故か中継車を手配するよう要請する麗子。「何かあるんですか?」と聞くスタッフに「もちろんよ。でなきゃニュースと呼べないでしょ。スクープよ。決まってるじゃない。とっておきのネタがあるの。」
その夜の放送。厳戒態勢が敷かれたビルの前から麗子が生中継。
「実は過激派によってビル内に時限爆弾が仕掛けられたのです。現在警察の爆弾処理班が捜索を行っております。」
と、捜査員が爆弾を見つけたことを知らせる。
「どうやら爆弾が発見された模様です。しかし、爆破時刻は既に過ぎております。これからの処理作業は危険ではないでしょうか?」
その瞬間、ビルから爆炎が吹き出す。顔から血を出してビルから担ぎ出される爆破処理班など、麗子は臨場感溢れる様子を伝える。
CMに入り大スクープに驚くスタッフを後目についに「確信」した麗子。

花岡局長にも呼ばれ独占スクープの入手先を知りたがるが麗子ははぐらかす。
とはいえ独占スクープの連続で視聴率はうなぎのぼり。重役会議では麗子の続投も決定し、激励を受ける。

一方、最早「原稿を書く記者」と「キャスター」を1人でやらなければならない状態。
家でもセンセーショナルな記事を書こうと考え、「国会議員の疑獄事件」「海外の発電所の爆発事故」と様々な話題を出すが、視聴率はどんどんアップ。ついに視聴率1位も獲得し確固たる地位を築いた…

が、家で明日の記事を考える中、雑誌で「人気バレエダンサーの高桑康子が舞台稽古中に怪我をし療養中」という記事が目に入る。ある決心をし「ま、いっか」と言いながら、ベッドではしゃぐ麗子。
翌日の放送では「高桑が再起不能」という一報を伝え、今後の密着取材をしていくと伝える。
石田も「これで復帰を果たせば感動のドキュメンタリー」と考え、ADから「もし復帰を果たせなかったら…」という言葉にも「あの北村がそんなヘマをするはずない」と完全に信用する。

が、翌日。タクシーを降りた途端に他局の記者に囲まれる麗子。
スタッフに助け出され局内に入るが、スタッフから「高桑が自殺した」と伝えられる。
ワイドショーでは「北村の報道が彼女を死に追いやった」と騒ぎ立てるが「関係ないわよ」と知らんぷり。
だが、さすがの事態に花岡局長から呼び出し。局には抗議の電話が鳴りやまず「視聴者を敵に回した」「視聴者の反感を買ったらキャスターとして致命的なこととは思わんかね?」と言う花岡に「私はただ事実を伝えただけ」と冷徹に振る舞う麗子。が、当然重役会議でも問題になり、上層部から麗子への処分…つまり「降板」が決定。明日の記者会見で正式に発表することになり「記者会見でのコメントを考えてくれ」「先々の事は後でゆっくり考えよう。」と退室する花岡。だが、麗子は全く気にする様子を見せず…

その夜の放送。いつも通り進行する中、放送時間は終わりに近づいていく。神山の天気予報も終わり、最後のニュースを読み上げる。



最後に大変ショッキングな事件です。EBSの報道局長で当番組の責任者でもある花岡清二さんがつい先ほど雷に打たれて死亡しました。


その瞬間、局の外で雷が落ちる。



当初花岡さんは何者かに殺害されたものと考えられていましたが、
現場の状況から犯人は落雷であると判明した模様です。
以上北村麗子でした。


一仕事を終えてやり切った感を見せる麗子。一方、局の外では事切れた花岡局長が…


帰宅してワインで祝杯をあげる麗子。「これが本当の『完全犯罪』ってやつねぇ。テレビで喋るだけで全部現実になるなんて。それにしても傑作よねぇ。雷に打たれて死んじゃうなんて。まさに『天罰』ねぇ。我ながら天才だわぁ~。」と最強の力を持った自分に酔いしれる。

翌日。いつものように局に入るが、何故か皆よそよそしい。道中ではタモリともぶつかるが怪訝な顔をしてすぐに立ち去られる。報道部に入っても人はおらずようやく何か異変を感じる。

スタジオに入るとスタッフが全員集合していた。事情を聴く麗子に石田が切り出す。
「実はな、昨日放送事故があって…落雷で音声が少し…」
「それで?」と聞く麗子に石田は少し苛立ちを見せたものの持ち直し「自分の目で確かめた方が良いと思う。」と同録(放送局によるオンエアされた映像を録画したもの)を見せるよう指示する。



最後に大変ショッキングな事件です。EBSの報道局長で当番組の責任者でもある花岡清二さんがつい先ほど雷に打たれて死亡しました。

……花岡さんは…………殺害された……………………………………
…………………犯人は………………………………………
……北村麗子でした。


犯人は……………………………………………北村麗子でした。

その映像に言葉を失う麗子。その様子をにらむ全てのスタッフ…

もう、彼女に逃げ場はない…




【エピローグ】
その日の夜の「ブロードアイズ」、メインを務めるのは神山だ。
「ニュースキャスターの北村麗子が昨日EBS報道局長花岡清二さん殺害の容疑で逮捕されました…」

その映像をバックにタモリが語り出す。
「『スクープの女王』の最後が自らのトップニュースだったとは、本当に皮肉な結末としか言いようがありません。」
「しかし、皆さんが日頃見ているニュース。一見真実を伝えているようですが、果たして本当にそうなのでしょうか?」
「間に人間の手が入る限り、真実というものは必ず何らかの形に歪められてしまう物なのです。まさに『人がニュースを作る』と言っても過言ではない。」



「あなた、あまりにもニュースを信用しすぎてはいませんか?」




追記・修正は真実を伝えるのが難しくても、「嘘のニュース」を作らない人がお願いします。

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