寄る辺の海(Q.E.D. 証明終了)

登録日:2020/10/26 (月曜日) 00:18:06
更新日:2020/10/27 Tue 19:37:07
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その全てを解き明かしても答えられない疑問が残るんです…
いったい誰に罪があったのかと…


「寄る辺の海」とは、Q.E.D. 証明終了のエピソードの一つ。単行本第11巻に収録。同時収録作は「冬の動物園」。
以下、ネタバレにご注意ください。



【ストーリー】
級友たちと海水浴にやって来た燈馬と可奈。
かつては寂れた村にあったという海水浴場は、近くに出来たヨットハーバーの影響で都会化が進み現在では大きく様変わりしていた。
そんな中で可奈は、沖にある要石、通称馬岩の付近で40年前に1人の少年、内藤良介が溺れ死んだ事、
そして良介の父親、良蔵と当時良介とともに海で泳いでいたという彼の友人たちに向けて、
「あの日に何が起こったのかを話す」と書かれた手紙が届いた事を知る。
だがその日の夜、3人の友人の1人、米川幸吉が馬岩の付近の海上で40年前と同じように溺死体で発見される。



【事件関係者】
誓ってオレの口からあの事件のことを話す気はない!
本当だ!
  • 米川幸吉(よねかわ こうきち)
内藤良介のかつての友人。
差出人不明の手紙を受け取り海岸のある故郷の村へと戻って来た。
他2人と同様に良介の死について良蔵に話すつもりはないようだが、
子を持つ身となった現在では息子の死の真相を知りたがる良蔵の気持ちも分からなくはないようだ。
手紙で指定されていた8月7日に筏と内藤家に行く予定だったのだが、夜10時頃に馬岩付近の海上で溺死体で発見される。
監視員が見回った9時頃には海岸には誰もいなかったそうなので死亡したのはそれ以降と思われる。



良介は私の一番の親友だった
いつも一緒に遊んで…いつも私をかばってくれた
だがもう忘れさせて欲しいんだ!!
  • 筏三郎(いかだ さぶろう)
内藤良介のかつての友人。小学校教諭。
現在は教頭だが近々校長に昇格する予定。
8月7日の夜は米川と9時に海岸で落ち合わせて内藤家に行く予定だったが、
約束の時間になっても彼が来なかったため先に行ったのだと思い1人で出向いた。
しかし良介の死について彼もまた良蔵に話すつもりはないようで、
良蔵を前にしても何も言わずにただひたすら時間が過ぎるのを待ち続けていたようだ。
翌日も内藤家に出向いたがやはり何も語らず駐在に呼ばれている事を理由に立ち去り、内藤家に行く途中だった可奈と出会う。
40年も経ちながらなおも過去をほじくり返そうとする良蔵に苛立ちを覚えている。



まったくこの歳で馬岩まで泳ぐなんて自殺行為さ!
2kmも泳ぎきるなんてオレみたいに普段から鍛えてねェと
  • 関口和明(せきぐち かずあき)
内藤良介のかつての友人。東京のデザイン会社経営。
原風景にがあったためか、東京に住む現在でも週末は家族で横浜へと行き海で泳いでいる。
そのため今でも馬岩までならばなんとか泳ぐ事が出来るらしい。
7日は残業のため村のホテルに着いたのが夜7時過ぎだったが、米川も筏も外出中と知り10時頃に筏から連絡が来るまでホテルで待ち続けていた。
というのも彼は内藤家の場所を知らず1人では行けなかったからである。
筏も携帯で関口と連絡こそ取れたものの、彼が内藤家の場所を知らない事を事情聴取の時まで知らなかったようで、
「後で直接内藤家に来るのだろう」と思って放っておいていたようだ。
翌日、大きく変わった街並みに驚きながら歩いていた所を可奈に呼び止められ、
自分でも馬岩まではギリギリ泳げる程度なのだから、鍛えてない米川や泳ぎが一番下手だった筏には泳ぎきれるはずがないと断言する。
そんな彼でも40年前は泳ぎの腕では良介に敵わず馬岩へも死ぬ思いで泳いだらしいのだが、
その良介に何があったのかを訊かれると口を濁しその場を後にした。
その日の夜、海水浴場の脱衣所に着ていた服を残して行方をくらます。


ワシは思い知らされたんだ!!
命より大事な宝を失くした理由を知らされないほど理不尽なことなど
この世にないのだと!!
  • 内藤良蔵(ないとう りょうぞう)
内藤良介の父。
妻を早くに亡くし男手ひとつで一人息子の良介を育てていたが、40年前にその良介に9歳で死なれる。
息子の死について何があったのか3人を締め上げてでも吐かせようかとも思ったようだが、
あくまで事故に過ぎないと当時は自分に言い聞かせ続けてきた。
しかし40年も苦しみ続けた現在ではそれが間違いだったと考えている。
現在でも良介の命日である8月9日には船で馬岩まで向かい頭の部分に花を供えている。

7日は差出人不明の手紙を信じて夕方から自宅に待機し、9時半に1人やって来た筏が何か話してくれる事を期待してずっと待っていた。
そこへ村の有線放送で水難事故の存在を知り、もしやと思い彼と共に海岸へとやって来て米川の死を知る。
彼の家から海岸までは20分かかるため、監視員が見回った9時から筏が内藤家に着く9時半までの30分で、
沖合2kmの馬岩まで米川の遺体を捨てに行くことは不可能という巡査の判断により筏と共に一旦は容疑から外される。
しかし8日の夜、関口の行方が知れず海上での捜索が続く中、鎌を振りかざしながら筏を追いかけていた所を巡査に目撃され取り押さえられる。
「こいつが最後の一人なんだ!」と口走った事から米川、関口を殺害した事を疑われ緊急逮捕される。



  • 内藤良介(ないとう りょうすけ)
40年前の8月9日に海で溺死した少年。享年9歳。
米川、筏、関口の3人と共に夜間に馬岩まで子供だけで泳ぎに行ったが翌朝に遺体となって海岸に漂着した。
馬岩に辿り着いた3人は彼が溺れた事に気づかなかったらしく、途中で引き返して先に帰ったのだろうと思っていたようだ。
だが手紙を気にかけて3人がわざわざ村に戻って来た事から、その死はただの事故ではないようだ。
関口曰く4人の中で泳ぎが一番上手かったそうだが、亡くなった夜だけは一番先に音を上げたらしい。
また良蔵は良介を連れて夜の馬岩まで泳いだ事が何度もあったらしく(他の子供に真似させないよう、もちろん良介には秘密にさせていた)、
それ故に良介がただ溺れ死ぬなんてあり得ないと考えており、やはりその死がただの事故でないと確信している。



  • 監視員
テンガロンハットをかぶった監視員のおじさん。
近くにヨットハーバーが出来て昔よりも波が強くなった事を燈馬達に教えてくれた他、危険だから馬岩まで泳いでいかないよう注意した。
8日の夜、見回り中に脱衣所で関口の着ていたアロハシャツを発見する。



  • 駐在
村の交番に勤める若い警官。
可奈たちの通報を受け村の漁師に船を出してもらい馬岩で米川の遺体を発見。
彼が筏、関口とともに良蔵の元へ行くはずだった事を知り、ただの事故死と早合点せずに関係者達に事情聴取を行った。





なんか40年前の事故で隠してることがあるんだよ!

水原さん 僕達は神様じゃない
だから真実を知るときも受け入れるときも…努力が…そして覚悟が必要だと思いますよ
  • 燈馬想
この漫画の主人公兼ホームズ役。
馬岩まで簡単に泳げそうと言う可奈に「水原さんなら潜水でも行けますよ」と皮肉か本気か分からない返しをする。
海岸につながる河口がコンクリートで固められ上流にはダムが建設されているという事を知った他、
地元の漁師から沈没したボートの話を聞いて何かを考えていた。

  • 水原可奈
この漫画のヒロイン兼ワトソン役。
監視のおじさんから馬岩について注意された時には「あんなの簡単に往復できそうだけど」と余裕の表情を見せていた。
海の家で「馬岩」という言葉を耳にしたのをきっかけに米川と筏の話を立ち聞きし、その後民宿の女将に訊いて良介の事故を知る。
7日の事件を受け翌日は関口、筏、良蔵に話を聞きに行った他、燈馬から何らかの指示を受けたようである。
ただ非常に疲れる作業だったようで、その日の夜は民宿の畳で大の字になってへばっていた。



  • 水原幸太郎
可奈の父親にして警視庁捜査一課の警部。
級友たちと行くために良い海水浴場を探していた可奈に、肩揉みと引き換えに昔行ったという海水浴場を教えた。
ただ彼が行った時代はまだ都市化が進んでいなかったからか、「寂れているが砂浜が広く静かな海辺」と可奈に伝えていたようだ。
(寂れた海辺と聞いていたけどゲーセンもカラオケもあって夜も楽しめそう、と級友たちにはむしろ好評だったが)



  • 香坂まどか
そばかすが特徴的ないわゆる可奈の友人その1。他のエピソードでは基本的にモブ的立場なのだが、
今回は可奈と民宿の窓から馬岩を眺めてた時に米川の遺体を発見した第一発見者のためそこそこ出番がある。
翌日の夜には何かを探していたようだが、部屋で大の字になって寝ていた可奈を見つけ「象と格闘でもしたのかな」と訝しんでいた。
ちなみにカナヅチらしく泳ぐ時は浮き輪が必須。





【キーワード】
  • 馬岩
海岸から沖合2kmほどにある要石。
馬がちょうど海面に腰を下ろして後ろを振り返っているかのような姿をしているためそう呼ばれているが、
港が出来て強くなった波で削られた事で、現在では可奈曰く「どっちかと言うとっぽい」と言われる程にこじんまりとしている。
首にあたる場所にはしめ縄がかけられ、夜の満潮の時には首から下が水面下に沈み顔だけを出しているように見える。
監視員曰く、興味本位で馬岩まで泳ぎに行こうとして溺れる事故が毎年絶えないのだそうで、
地元民も子供には「馬岩の頭に登るとバチが当たるぞ」と言い聞かせ、大人の目の届かない時(=夜間)に泳ぎに行かせないようにしていたようだ。



  • 手紙
米川、筏、関口、良蔵の4人に送られた差出人不明の手紙。
文面としては良介の友人の誰かが良蔵に向けて書いたかのような語り口で、
「良介が死んだ日の真相をお伝えします。8月7日にお会いしましょう。」と述べられている。



  • 沈んだボート
港では何艘ものボートが穴を開けられて石まで積まれた上で海底に沈められていた。
第一発見者の漁師が言うには海岸がレジャー用に開発されて以降、
河口付近には自家用ボートの不法係留や要らないボートの不法投棄が相次いでいたらしい。
いくら注意しても収まらなかったため、過激な地元民が腹を立ててやったのではないかとの事らしい。









以上……証明終了です。

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最終更新:2020年10月27日 19:37